説明

ワークの自動積載方法及びその装置

【課題】サイクルタイムを短縮することができるワークの自動積載方法及びその装置を提供する。
【解決手段】先ず、初期位置からロボットヘッド20を第1プレートW1の上方に移動し、ロボットヘッド20に設けられた第1把持部42、42にて第1プレートW1を把持する。そして、ロボットヘッド20を第2プレートW2の上方に移動し、ロボットヘッド20に設けられた第2把持部54、54にて第2プレートW2を把持する。その後、第1プレートW1及び第2プレートW2を把持した状態でロボットヘッド20をトレー104に形成された凹部106の上方に移動し、第1プレートW1及び第2プレートW2の把持を解放することにより、第1プレートW1及び第2プレートW2を積載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のワークを所定位置に運んで積載する自動積載方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のワークを所定位置に運んで積載するロボット等の自動積載装置が広汎に利用されている。
【0003】
そして、一般的な自動積載方法では、例えば、ロボットを利用して第1ワーク及び第2ワークを所定位置(載置部)に運んで積載する場合、以下のステップが行われる。
(1)ロボットヘッドにて第1ワークを把持する。
(2)前記第1ワークを把持した状態でロボットヘッドを載置部に移動する。
(3)前記第1ワークの把持を解放して該第1ワークを前記載置部に載置する。
(4)前記ロボットヘッドを第2ワークの位置まで移動する。
(5)前記第2ワークに対して前記(1)〜(3)のステップを行う。
【0004】
つまり、2つのワークを載置部に運んで積載する場合、ロボットは、少なくとも、ワークの把持・解放動作を2回行うと共に、ワーク及び載置部間のロボットヘッドの移動動作を3回行う。
【0005】
このような方法においては、前記ワーク及び前記載置部の間隔を短くすることでサイクルタイムを短縮することが可能であるが、サイクルタイムの一層の短縮化が希求されている。
【0006】
また、前記第1ワーク及び前記第2ワークの形状が異なる場合、該第1ワークの形状に応じた第1ロボットヘッドを有する第1ロボットと、該第2ワークの形状に応じた第2ロボットヘッドを有する第2ロボットを用いて前記第1ワーク及び前記第2ワークの積載を行うことがある。しかしながら、この場合、2台のロボットが必要となるため、設備費用が高騰する。
【0007】
設備費用を抑える対策としては、例えば、ロボットヘッドを所謂ターレットヘッドにすることで、1台のロボットに2種類のロボットヘッドを設けるものが考えられる。しかしながら、この場合には、ロボットヘッド全体の重量が重くなり、ロボットが大型化する。
【0008】
また、別の手段としては、ワークの種類に応じて複数のハンド(ロボットヘッド)を用意しておき、前記複数のハンドをアームに対して着脱可能とするものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−114857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、従来の自動積載方法では、少なくとも、2回の把持・解放動作と、3回の移動動作が必要となるため、サイクルタイムが長い。
【0011】
また、形状の異なる2種類のワークを積載する場合において、特許文献1の技術を適用すると、把持するワークに応じてロボットヘッドを取り替える必要があるため、ロボット可動範囲内に前記複数のロボットヘッドの配置スペースを要すると共に、サイクルタイムが一層長期化するおそれがある。
【0012】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、サイクルタイムを短縮することができるワークの自動積載方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明に係るワークの自動積載方法は、ロボットヘッドに設けられた第1把持部にて第1ワークを把持する第1把持ステップと、前記第1把持部に把持された前記第1ワークの下方に第2ワークが位置するように、前記ロボットヘッドに設けられた第2把持部にて前記第2ワークを把持する第2把持ステップと、前記第1ワーク及び前記第2ワークを把持した状態で前記ロボットヘッドを移動手段により所定位置まで移動する移動ステップと、前記移動ステップの後に行われ、前記第1ワーク及び前記第2ワークの把持を解放する積載ステップと、を備える。
【0014】
このような方法によれば、ワークの把持・解放動作を2回行うと共に、ロボットヘッドの移動動作を2回行うことで、第1ワーク及び第2ワークを所定位置(積載位置)に運んで積載することができる。これにより、従来のワークの自動積載方法と比較して、前記ロボットヘッドの移動動作を1回省略することができるので、サイクルタイムを短縮することができる。
【0015】
第2の発明に係るワークの自動積載装置は、ロボットヘッドに設けられて第1ワークを把持可能な第1把持部と、前記ロボットヘッドに設けられ、且つ前記第1把持部に把持された第1ワークの下方に第2ワークが位置するように該第2ワークを把持可能な第2把持部と、前記ロボットヘッドを移動する移動手段とを備える。これにより、上述した第1の発明と同様の作用効果を奏する。
【0016】
また、この装置では、1つのロボットヘッドに対して第1把持部及び第2把持部を設けているので、第1プレート用のロボットヘッドと第2プレート用のロボットヘッドを用意する必要がない。そのため、自動積載装置(ロボットヘッド)が大型になることを抑制することができる。さらに、ロボットヘッドを取り替える動作も不要であるので、サイクルタイムが長期化することを抑えることができる。
【0017】
さらに、前記第1把持部は、前記第1ワークの左右両側を挟んで把持する第1接触部を有し、前記第2把持部は、前記第2ワークの左右両側を挟んで把持する第2接触部を有し、前記第1ワークの左右の幅は、前記第2ワークの左右の幅以下に設定されていてもよい。
【0018】
そうすると、第1接触部及び第2接触部にて左右両側から挟むだけで第1ワーク及び第2ワークを把持することができるので、第1把持部及び第2把持部の構成を簡素化することができる。また、前記第1ワークの左右の幅が前記第2ワークの左右の幅以下に設定されているので、前記第2接触部にて前記第2ワークを把持する際に、前記第1ワークが邪魔になることはない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ワークの把持・解放動作を2回行うと共に、ロボットヘッドの移動動作を2回行うことで、第1ワーク及び第2ワークを所定位置に運んで積載することができる。これにより、従来のワークの自動積載方法と比較して、前記ロボットヘッドの移動動作を1回省略することができるので、サイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るワークの自動積載装置の要部と、トレー、第1プレート、及び第2プレートの位置関係とを示す斜視図である。
【図2】ロボットヘッドの拡大正面図である。
【図3】第1把持機構及び第2把持機構の要部を示す斜視図である。
【図4】ワークの自動積載方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】第1把持部にて第1プレートを把持した状態を示す斜視図である。
【図6】第1把持部の間に第1プレートが位置している状態を示すロボットヘッドの拡大正面図である。
【図7】第1把持部にて第1プレートを把持した状態を示すロボットヘッドの拡大正面図である。
【図8】第2把持部にて第2プレートを把持した状態を示す斜視図である。
【図9】第2把持部の間に第2プレートが位置している状態を示すロボットヘッドの拡大正面図である。
【図10】第2把持部にて第2プレートを把持した状態を示すロボットヘッドの拡大正面図である。
【図11】第1プレート及び第2プレートを凹部に積載した状態を示す斜視図である。
【図12】第1プレートと、前記第1プレートの左右幅よりも狭い左右幅を有する第2プレートとを把持した状態を示すロボットヘッドの拡大正面図である。
【図13】第1プレートと、前記第1プレートの左右幅よりも広い左右幅を有する第2プレートとを把持した状態を示すロボットヘッドの拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るワークの自動積載方法について、それを実施する装置との関係で好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
本実施形態に係る自動積載装置(ロボット)は、例えば、基板に半導体素子を積載するための装置として用いられるが、その用途は特に限定されるものではない。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るロボット10は、第1載置台100に並べられた複数の第1ワークとしての第1プレートW1の各々と、第2載置台102に並べられた複数の第2ワークとしての第2プレートW2の各々とを、トレー104に形成された複数の凹部106の各々に運んで積載するための装置である。
【0024】
トレー104は、板状に形成されており、その上面には、第1プレートW1及び第2プレートW2を重ねて配置可能な大きさの凹部106が複数形成されている。なお、トレー104は、例えば、黒鉛等で構成されている。
【0025】
また、トレー104の一方の側には、板状に形成された第1載置台100及び第2載置台102が配置されている。なお、図1から諒解されるように、トレー104、第1載置台100、及び第2載置台102は、それぞれ近接して配置されている。
【0026】
第1載置台100の上面には、複数の第1プレートW1が所定間隔離間して配置されており、各第1プレートW1間には、後述する第2接触部58が配置可能な溝108が形成されている(図6参照)。
【0027】
第2載置台102の上面には、複数の第2プレートW2が所定間隔離間して配置されている。なお、第2載置台102の上面には、溝108は形成されていない。
【0028】
第1プレートW1及び第2プレートW2のそれぞれの数は、トレー104の凹部106の数に一致している。また、第1プレートW1の間隔、第2プレートW2の間隔、及び凹部106の間隔は、略同一に設定されている。
【0029】
第1プレートW1及び第2プレートW2には、位置合わせを容易にするために所謂アライメントマーク(不図示)を設けてもよい。アライメントマークとしては、各プレートW1、W2の特定の位置に切り欠き等を形成すればよい。
【0030】
ロボット10は、床面に設置される一対の脚部12、12と、一対の脚部12、12を架橋する第1アーム14と、第1アーム14に対して第1アーム14の延在方向(X方向)に移動可能に設けられた第2アーム16と、第2アーム16に対して第2アーム16の延在方向(Y方向)に移動可能に設けられた第3アーム18と、第3アーム18の端部に設けられたロボットヘッド20と、制御部22とを備えている。
【0031】
第3アーム18は、伸縮自在に形成されており、第2アーム16に設けられる筒体24と、筒体24に収容可能に設けられてZ方向に移動する可動筒26とを有している。つまり、第3アーム18は、所謂テレスコピック構造となっている。
【0032】
また、ロボット10は、第2アーム16を移動する第1モータ28と、第3アーム18を移動する第2モータ30と、可動筒26を移動する第3モータ32とをさらに備えている。なお、第1アーム14、第2アーム16、及び可動筒26は、例えば、不図示のボールねじ機構により移動する。
【0033】
図2に示すように、ロボットヘッド20は、可動筒26の端部に固定されたロボットヘッド本体34を有している。また、ロボットヘッド本体34には、第1プレートW1を把持するための第1把持機構36と、第2プレートW2を把持するための第2把持機構38と、第1把持機構36及び第2把持機構38をロボットヘッド本体34に保持する保持板40とが設けられている。
【0034】
図2及び図3に示すように、第1把持機構36には、逆U字形状に形成された一対の第1把持部42、42と、第1把持部42、42をY方向に移動する一対の第1移動機構44、44とが設けられている。
【0035】
第1把持部42は、Z方向に延びて第1プレートW1と接触可能な一対の第1接触部46、46と、一対の第1接触部46、46を連結する第1連結部48とを含む。
【0036】
第1移動機構44は、例えば、電動シリンダとして構成されており、保持板40(図2参照)の下面に固定された第1シリンダ50と、第1シリンダ50に収容可能に設けられてY方向に移動する第1ロッド52とを含む。第1ロッド52の端部は、第1連結部48の上面に固定されている。
【0037】
第2把持機構38には、第1把持部42と近接配置された一対の第2把持部54、54と、第2把持部54、54をY方向に移動する一対の第2移動機構56、56とが設けられている。
【0038】
第2把持部54は、X方向に延びて第2プレートW2と接触可能な第2接触部58と、第2接触部58と第2移動機構56とを連結する第2連結部60とを含む。
【0039】
第2接触部58は、第1連結部48と略同等の長さに形成されており、第1接触部46、46よりも下方に位置している。
【0040】
第2連結部60は、第2接触部58の上面の略中央からZ方向に延びた第1部材62と、第1部材62の端部からもう一方の第2把持機構38側(Y方向)に延びた第2部材64と、第2部材64の端部からX方向に延びた第3部材66と、第3部材66の端部から第2接触部58側(Y方向)に延びた第4部材68とを含む。
【0041】
第1部材62は、一対の第1接触部46、46間に位置すると共に、第1把持部42とは非接触となっている。第3部材66の長さは、第1接触部46の幅(第1接触部46のX方向の長さ)よりも長く設定されている。これにより、第1接触部46と第4部材68との間に隙間が形成される。第4部材68は、第2部材64の端部から保持板40側(Z方向)にも延びている。これにより、Z方向に関して、第4部材68の上面の位置と第1連結部48の上面の位置が一致する。
【0042】
第2移動機構56は、例えば、電動シリンダとして構成されており、保持板40の下面に固定された第2シリンダ70と、第2シリンダ70に収容可能に設けられてY方向に移動する第2ロッド72とを含む。第2ロッド72の端部は、第4部材68の上面に固定されている。なお、第2シリンダ70と第4部材68とは、固定されていない。
【0043】
図1及び図2に示すように、制御部22は、第1モータ28を制御する第1モータ制御部74と、第2モータ30を制御する第2モータ制御部76と、第3モータ32を制御する第3モータ制御部78と、第1把持部42、42の動きを制御する第1把持制御部80と、第2把持部54、54の動きを制御する第2把持制御部82と、記憶部84とを有する。
【0044】
記憶部84には、トレー104の凹部106、第1載置台100に配置されている第1プレートW1、第2載置台102に配置されている第2プレートW2、及び初期状態のロボットヘッド20の位置関係に基づく位置情報が記憶されている。また、記憶部84には、第1プレートW1、第2プレートW2、及び凹部106の数及び形状に基づく情報についても記憶されている。
【0045】
次に、本実施形態に係るロボット10を用いて第1プレートW1及び第2プレートW2を所定位置に積載する手順(工程)について図1、図2、及び図4〜図11を参照しながら説明する。
【0046】
先ず、図1に示すように、初期状態において、ロボットヘッド20は、第1載置台100とトレー104の間に位置している。これにより、第1載置台100、第2載置台102、及びトレー104を前工程から所定位置に搬送する際に、ロボットヘッド20が邪魔になることはない。また、図2に示すように、初期状態において、第1把持部42、42の間隔及び第2把持部54、54の間隔は、第1プレートW1(第2プレートW2)の左右の幅よりも大きく設定されている。
【0047】
続いて、図5に示すように、第1モータ制御部74及び第2モータ制御部76は、記憶部84に記憶されている位置情報に基づいて第1モータ28及び第2モータ30を制御して、ロボットヘッド20を第1プレートW1の上方に移動する(図4のステップS1)。
【0048】
そして、第3モータ制御部78は、前記位置情報に基づいて第3モータ32を制御して、第3アーム18を伸ばすことによりロボットヘッド20を下方に移動する(ステップS2)。これにより、図6に示すように、第1把持部42、42の間に第1プレートW1が位置する。なお、このとき、第1載置台100の上面に溝108が形成されているので、第2把持部54、54が第1載置台100に当たることはない。つまり、第2把持部54は、溝108内に位置することとなる。
【0049】
次に、図7に示すように、第1把持制御部80は、第1プレートW1の形状に関する情報に基づいて第1移動機構44、44を制御して、第1把持部42、42を内側(第1把持部42、42の間隔が狭くなる方向)に移動する(ステップS3)。これにより、第1接触部46が第1プレートW1の側面に当接し、その結果、第1プレートW1が第1接触部46、46にて把持される。
【0050】
続いて、図8に示すように、第3モータ制御部78は、第3モータ32を制御して、第3アーム18を縮めることによりロボットヘッド20を上方に移動する(ステップS4)と共に、第1モータ制御部74及び第2モータ制御部76は、前記位置情報に基づいて第1モータ28及び第2モータ30を制御して、ロボットヘッド20を第2プレートW2の上方に移動する(ステップS5)。
【0051】
その後、第3モータ制御部78は、第3モータ32を制御して、前記位置情報に基づいて第3アーム18を伸ばすことによりロボットヘッド20を下方に移動する(ステップS6)。これにより、図9に示すように、第2把持部54、54の間に第2プレートW2が位置する。
【0052】
次に、図10に示すように、第2把持制御部82は、第2プレートW2の形状に関する情報に基づいて第2移動機構56、56を制御して、第2把持部54、54を内側(第2把持部54、54の間隔が狭くなる方向)に移動する(ステップS7)。これにより、第2接触部58、58が第2プレートW2の側面に当接し、その結果、第2プレートW2が第2把持部54、54にて把持される。このとき、図10からも諒解されるように、第1プレートのW1下方に第2プレートW2が位置することとなる。
【0053】
続いて、第1モータ制御部74及び第2モータ制御部76は、前記位置情報に基づいて第1モータ28及び第2モータ30を制御して、ロボットヘッド20をトレー104における所定の凹部106の上方に移動する(ステップS8)と共に、第3モータ制御部78は、凹部106の形状に関する情報に基づいて第3モータ32を制御して、第3アーム18を伸ばすことにより、ロボットヘッド20を下方に移動する(ステップS9)。
【0054】
その後、第1把持制御部80は、第1移動機構44、44を制御して、第1把持部42、42を外側(第1把持部42、42の間隔が広くなる方向)に移動する(ステップS10)。これにより、第1プレートW1の第1把持部42、42による把持が解放される。そのため、第1プレートW1が第2プレートW2の上面に積載されることとなる。
【0055】
次に、第2把持制御部82は、第2移動機構56、56を制御して、第2把持部54、54を外側(第2把持部54、54の間隔が広くなる方向)に移動する(ステップS11)。これにより、第2プレートW2の第2把持部54、54による把持が解放されるので、第1プレートW1及び第2プレートW2が凹部106内に載置されることとなる。
【0056】
続いて、制御部22は、トレー104の全ての凹部106に対して第1プレートW1及び第2プレートW2が積載されたか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、否定判定された場合(ステップS12:No)、残りの第1プレートW1及び第2プレートW2を凹部106に積載する。具体的には、ロボットヘッド20を初期位置に一旦戻し、第1載置台100に配置されている第1プレートW1、W1間隔分だけ所定方向に移動させた後に、前記ステップS1〜ステップS11までの処理を行えばよい。
【0057】
一方、ステップS12において、肯定判定された場合(ステップS12:Yes)、第1〜第3モータ制御部74、76、78は、前記位置情報に基づいて第1〜第3モータ28、30、32を制御して、ロボットヘッド20を初期位置に移動する(ステップS13)。この段階で、本実施形態に係るロボット10による第1プレートW1及び第2プレートW2を所定位置に積載する処理は終了する。
【0058】
上述した積載手順では、ステップS3の処理が第1把持ステップに、ステップS7の処理が第2把持ステップに、ステップS8の処理が移動ステップに、ステップS11の処理が積載ステップにそれぞれ相当する。
【0059】
ところで、従来の積載方法では、先ず、初期位置にあるロボットヘッドを第2プレートの上方に移動し、前記ロボットヘッドにて前記第2プレートを把持する。そして、前記第2プレートを把持した前記ロボットヘッドをトレーの凹部の上方に移動し、該第2プレートを該凹部に載置する。その後、前記ロボットヘッドを第1プレートの上方に移動し、前記ロボットヘッドにて前記第1プレートを把持する。そして、前記第1プレートを把持した前記ロボットヘッドを前記凹部に配置することにより、前記第1プレート及び前記第2プレートが該凹部に積載される。
【0060】
すなわち、従来の積載方法は、初期位置から第2プレートの上方にロボットヘッドを移動した後に、第1プレート及び第2プレートの把持・解放動作を2回行うと共に、ロボットヘッドのXY方向の移動動作を3回行うことにより、第1プレート及び第2プレートが凹部に積載される。
【0061】
一方、本実施形態の積載方法によれば、初期位置から第1プレートW1の上方にロボットヘッド20を移動した後に、第1プレートW1及び第2プレートW2の把持・開放動作を2回行うと共に、ロボットヘッド20のXY方向の移動動作を2回行うことにより、第1プレートW1及び第2プレートW2が凹部106に積載される。つまり、本実施形態では、従来に比べて、ロボットヘッド20の移動動作を1回省略することができるので、サイクルタイムを短縮することができる。
【0062】
また、本実施形態では、1つのロボットヘッド20に対して第1把持部42、42及び第2把持部54、54を設けているので、第1プレートW1用のロボットヘッドと第2プレートW2用のロボットヘッドを用意する必要がない。そのため、ロボットヘッド20(ロボット10)が大型になることを抑制することができる。さらに、ロボットヘッド20を取り替える動作も不要であるので、サイクルタイムが長期化することを抑えることができる。
【0063】
本実施形態は、第1把持部42を逆U字形状に形成すると共に、第1接触部46、46の間に第1部材62を位置しているので、第1接触部46、46及び第2接触部58を近接配置することができる。これにより、第1プレートW1及び第2プレートW2を近づけた状態で把持することが可能となる。よって、第1プレートW1及び第2プレートW2を積載する際の第1プレートW1及び第2プレートW2の位置ずれを抑えることができる。
【0064】
本実施形態は、上述した構成及び方法に限定されない。例えば、第1プレート及び第2プレートの把持の解放は、同時に行ってもよい。つまり、ステップS10及びステップS11を1つにまとめてもよい。これにより、ステップS10及びステップS11を分けた場合と比較して、サイクルタイムを短縮することができる。
【0065】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。例えば、第1移動機構及び第2移動機構は、油圧や圧縮空気等によって第1ロッド及び第2ロッドが移動するように構成してもよい。
【0066】
第1プレート及び第2プレートの形状は、異なっていてもよい。例えば、図12に示すように、第2プレートW2の左右(Y方向)の幅を第1プレートW1の左右の幅以上に構成してもよい。この場合、第2把持部54、54にて第2プレートW2を把持する際に、第1プレートW1が邪魔になることはない。
【0067】
なお、図13に示すように、第2プレートW2の左右の幅が第1プレートW1の左右の幅よりも狭い場合であっても、第1部材62に対して第2接触部58を内側(もう一方の第2接触部58側)に突き出すように形成すれば、第1プレートW1に邪魔されることなく第2把持部54、54にて第2プレートW2を把持することができる。
【符号の説明】
【0068】
10…自動積載装置 12…脚部
14…第1アーム 16…第2アーム
18…第3アーム 20…ロボットヘッド
22…制御部 42…第1把持部
46…第1接触部 54…第2把持部
58…第2接触部 106…凹部
W1…第1プレート W2…第2プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットヘッドに設けられた第1把持部にて第1ワークを把持する第1把持ステップと、
前記第1把持部に把持された前記第1ワークの下方に第2ワークが位置するように、前記ロボットヘッドに設けられた第2把持部にて前記第2ワークを把持する第2把持ステップと、
前記第1ワーク及び前記第2ワークを把持した状態で前記ロボットヘッドを移動手段により所定位置まで移動する移動ステップと、
前記移動ステップの後に行われ、前記第1ワーク及び前記第2ワークの把持を解放する積載ステップと、を備えることを特徴とするワークの自動積載方法。
【請求項2】
ロボットヘッドに設けられて第1ワークを把持可能な第1把持部と、
前記ロボットヘッドに設けられ、且つ前記第1把持部に把持された第1ワークの下方に第2ワークが位置するように該第2ワークを把持可能な第2把持部と、
前記ロボットヘッドを移動する移動手段と、を備えることを特徴とするワークの自動積載装置。
【請求項3】
請求項2記載のワークの自動積載装置において、
前記第1把持部は、前記第1ワークの左右両側を挟んで把持する第1接触部を有し、
前記第2把持部は、前記第2ワークの左右両側を挟んで把持する第2接触部を有し、
前記第1ワークの左右の幅は、前記第2ワークの左右の幅以下に設定されていることを特徴とするワークの自動積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−161561(P2011−161561A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26422(P2010−26422)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】