説明

ワーク搬送装置

【課題】凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる場合であっても、特段の制御機構を設けることなく、相互に重なったワークを分離させつつ搬送することができるワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】このワーク搬送装置1は、複数のワークSを次工程に搬送するコンベア10を有しており、このコンベア10は、昇り勾配のコンベアが二段連続して配置されている。そして、一段目のコンベア11と二段目のコンベア12とは、一段目の先端上面11fと二段目の後端上面12fとが、相互に重なったワークSを分離させるために必要な落差Rを有して設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送するためのワーク搬送装置に係り、特に、複雑な凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる上で好適なワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワーク搬送装置で搬送される立体形状のワークとしては、例えばパンや菓子、煎餅等の種々の食品生地を例示できる。
上記食品生地の一例として、例えば煎餅は、米の粉を練った生地を円形等の形状に型抜き等で成形後、これを乾燥して煎餅生地とする。そして、その煎餅生地を焼成装置の焼きコンベヤに載せて焼き、次工程で醤油等により味を付けた後に乾燥させることによって煎餅が製造される。
【0003】
煎餅生地等の搬送工程では、コンベアを用いたワーク搬送装置が用いられている。この種のワーク搬送装置では、乾燥後の煎餅生地(ワーク)は、通常、まずホッパ内に収容される。このとき、煎餅生地(ワーク)は、ホッパ内では無秩序に収容されるため相互に重なりあっている。次いで、ホッパ内のワークは、ホッパ下部からコンベアの搬送面上に落下して受け渡される。通常、煎餅生地等に用いられるコンベアは、その搬送面に突起部を有し、ホッパ下部からコンベアの搬送面に落下した複数のワークは、その落下の衝撃と搬送面の突起部の作用とによってワーク相互が分離され、これにより、搬送されるワーク同士が一枚ずつ適度に離間して次工程の焼成装置に搬送されるようになっている。
【0004】
ところで、煎餅生地を焼成装置の焼きコンベヤに載せて焼いていく作業は、焼きコンベヤ上に煎餅生地を整列させて(一枚ずつ所定間隔をあけて)載せていかなければならない。しかし、この作業を人的作業で行うのは、時間がかかるとともに、煎餅生地を焼コンベヤ上に一枚ずつ所定間隔をあけた状態に整列させていくのも難しい。
例えば、上記煎餅生地(ワーク)のコンベアの搬送面に落下した複数のワークは、そのほとんどが一枚ずつ適度に離間するものの、中には離間が不十分なものもある。そのため、コンベア近傍に作業員が待機して、ワークの搬送状態を随時確認し、離間が不十分なワークがあれば、作業員が手で搬送状態を修正する等の補助作業を要していた。そのため、焼きコンベヤ上に煎餅生地を整列させる工程での一層の自動化、省力化を阻害する要因となっており、また、人手が介在することによって見落としなどがあれば効率低下や不良が生じることにもなりかねない。したがって、例えば上述のようなコンベアを用いたワーク搬送装置のコンベア上において、焼成装置に至るまでの間に、一枚ずつ所定間隔をあけた状態に一層確実に整列がなされることが望まれる。
【0005】
そこで、立体形状のワークを自動的に搬送しつつ整列する例として、例えば特許文献1には、板状ワークを吸着する吸着部と、この吸着部を、搬送コンベヤ上及びワークホルダーの間を往復運動させる往復運動部と、吸着部の吸盤の吸引およびその解除をする吸着駆動部と、板状ワークの搬送に必要な所定動作を制御する制御手段とを備える搬送装置が開示されている。この特許文献1に記載の技術によれば、板状ワークを一枚ずつ確実に取り出し、搬送コンベヤ上に整列させていく作業を自動的に行うことができる。
【0006】
また、他の例として、例えば特許文献2では、立体形状のワークを搬送するワーク搬送装置として、コンベアに、その搬送方向に前進後退可能な食品生地排出端部と、食品生地の通過を検出する検出装置と、その検出装置からの検出信号に基づいて前記食品生地排出端部に所定の前進後退動作を適宜繰り返し行なわせる制御部とを備え、立体形状のワークである食品生地を搬送する搬送装置が提案されている。この特許文献2に記載の技術によれば、搬送される食品生地同士の間隔を近づけたり、あるいは、密着した状態で等間隔に移載したりすることができる。
【特許文献1】特開2004−49051号公報
【特許文献2】特開2006−321644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した煎餅等の食品生地(ワーク)は、その形状や大きさが多種多様であり、単なる円形形状のワークばかりではない。例えば煎餅においては、その生地を円形に型抜きした後、更に六角形状の凸部をもつ金網の型板に載せることにより、生地の厚み方向に大きな曲がり形状を付与してなる曲がり形煎餅がある。この曲がり形煎餅は、立体形状のワークとしては特に凹凸が大きく、また、複雑な湾曲面をもつ外形形状を呈しており、その曲がりの程度は、単なる円形状の煎餅に比べて大きい。
【0008】
そして、この曲がり形煎餅のように、複雑且つ大きな凹凸面をもつ立体形状のワークは、これを搬送する場合、例えばホッパ内に無秩序に収容された状態では、ワーク相互が単なる円形状の煎餅に比べてより複雑に絡み合ってしまう。そのため、上述したような、ホッパ下部からコンベアの搬送面に落下させただけではその絡み合いが容易に外れずに、ワーク相互が離間しないままで搬送される確率が増大する。さらに、上記のような搬送面に突起部をもつコンベアを用いた場合には、複雑な湾曲面をもつワークの凹部がコンベアの突起部に引っ掛かってしまい、複雑且つ大きな凹凸面をもつ立体形状のワークにおいては、かえって安定した搬送が妨げられる。
【0009】
これに対し、例えば上記特許文献1に記載の技術は、板状ワークを吸着部で吸着することを前提としているので、上記曲がり形煎餅のように、凹凸が大きく複雑な湾曲面をもつ外形形状を呈するワークに対しては、その吸着が困難であり、複雑且つ大きな凹凸面をもつ立体形状のワークに対しての適用が難しい。また、この特許文献1に記載の技術では、ワークを個別に操作するため、搬送や整列に時間がかかる。さらに、吸着部、往復運動部および吸着駆動部等の制御機構および制御手段が必要なので、比較的にコストが掛かるとともに、その制御機構の制御も複雑になる。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術は、コンベアに、その搬送方向に前進後退可能な食品生地排出端部を設けているので、ワークを個別に操作する場合に比べて、搬送や整列に要する時間を短縮可能である。しかし、コンベアを前進後退させるようになっているので、単に搬送方向にワークを順次に送る場合と比較すれば、やはり搬送時間が延長することになる。また、食品生地排出端部、検出装置および制御手段等の制御機構が必要なので、特許文献1に記載の技術同様に、比較的にコストが掛かるとともに、その制御機構の制御も複雑になる。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、例えば凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる場合であっても、特段の制御機構を設けることなく相互に重なったワークを分離させつつ搬送し得るワーク搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、ホッパから取り出された複数のワークを次工程に搬送するコンベアを有するワーク搬送装置であって、前記コンベアは、昇り勾配のコンベアが二段連続して配置されており、一段目のコンベアと二段目のコンベアとは、一段目の先端上面と二段目の後端上面とが、相互に重なったワークを分離させるために必要な落差を有して設置されていることを特徴としている。
【0013】
本発明に係るワーク搬送装置によれば、一段目の先端上面から二段目の後端上面への落差が設けられており、この落差は、相互に重なったワークを分離させるように設定されているので、この落差によって、ワークの落下およびその落下による二段目のコンベア上への衝撃によって、相互に重なったワークを分離させることができる。したがって、例えば凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる場合であっても、相互に重なったワークを分離させつつ搬送することができる。
【0014】
ここで、本発明に係るワーク搬送装置において、前記コンベアは、その表面の摩擦力が、前記ワーク表面の摩擦力よりも高くなっていることは好ましい。このような構成であれば、ワーク同士の摩擦力をコンベアのベルトでの保持力よりも滑りやすくすることができるので、ワーク相互の重なりがより好適に防止または抑制される。したがって、例えば上記のような搬送面に突起部をもつコンベアを用いることなくコンベアを構成可能であり、相互に重なったワークを分離させつつ搬送する上でより好適である。
【0015】
また、本発明に係るワーク搬送装置において、前記コンベアは、二段目のコンベアの搬送速度が、一段目のコンベアの搬送速度よりも高速であることは好ましい。このような構成であれば、二段目のコンベアが、一段目のコンベアの速さよりも高速なので、ワーク相互の間隔を空けて、ワーク相互をより離間した状態で搬送することができる。したがって、相互に重なったワークを分離させつつ搬送する上でより好適である。
【発明の効果】
【0016】
上述のように、本発明に係るワーク搬送装置によれば、例えば凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる場合であっても、相互に重なったワークを分離させつつ搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図1を適宜参照しつつ説明する。なお、図1は、本発明に係るワーク搬送装置の一実施形態を説明する図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)はその正面図である。
同図に示すように、このワーク搬送装置1は、搬送方向の上流に、略漏斗形をなすホッパ2を備えており、このホッパ2内に、立体形状のワークSが複数収容されている。ここで、このワーク搬送装置1で搬送されるワークSは、煎餅の食品生地である煎餅生地である。そして、この煎餅生地は、上記曲がり形煎餅用の煎餅生地であって、米の粉を練った生地を円形形状に型抜き後、更に六角形状の凸部をもつ金網の型板に載せることにより、生地の厚み方向に大きな曲がり形状を付与し、これを乾燥したものである。したがって、このワークSは、煎餅生地の中でも、立体形状のワークとしては特に凹凸が大きく、また、複雑な湾曲面をもつ外形形状を呈しており、その曲がりの程度は、単なる円形状の煎餅に比べて大きい。
【0018】
そして、上記略漏斗形のホッパ2は、そのホッパ下部2dに開口部が形成されている。さらに、このホッパ2内には、ホッパ2の内壁面に沿って、上記ホッパ下部2dの近傍の位置まで延設されるワーク滑落板9が設けられており、ホッパ2内のワークSは、このワーク滑落板9に沿って、自重により、ホッパ下部2dに順次移動するようになっている。
そして、ホッパ下部2dの先端部には、ワークSを所定間隔で切り出すためのブロック装置8がさらに付設されている。このブロック装置8は、ホッパ下部2dの開口部に沿って配置されるとともに、ホッパ下部2dの開口部を開状態と閉状態とに切換る開閉扉8aを有して構成されている。この開閉扉8aは、周方向に放射状に設けられた複数の羽根を有しており、各羽根は、その基端部が支軸8bに固定され、この支軸8bを介して不図示の回転式のアクチュエータに連結される。これにより、開閉扉8aの各羽根は、このアクチュエータを駆動することによって所定のタイミングで支軸8b回りに回動し、ワーク滑落板9に沿って自重で滑落してくるワークSを所定間隔で切り出して、例えばバッチ処理に応じた量をホッパ下部2dから順次排出するようになっている。
【0019】
さらに、このブロック装置8は、上記支軸8bを、その軸方向に開閉扉8aと一体でスライドさせるスライド移動機構(不図示)を有している。このスライド移動機構は、開閉扉8aの開閉動作でワークSを所定間隔で切り出す際に連動し、開閉扉8aを、ワーク搬送装置1の幅方向に往復移動させるよう構成されている。これにより、ワークSは、ホッパ2内では無秩序に収容されるため相互に重なりあっているが、このスライド移動機構の往復動作によって、切り出されるワークS相互の絡みついた状態を緩和するようになっている。
【0020】
そして、このホッパ2のホッパ下部2dに上下方向で対向する位置には、昇り傾斜したコンベア10が配置されている。そして、このコンベア10は、その搬送面10sに突起部を有しておらず、平坦な面のベルトが用いられ、その表面の摩擦力は、ワークS表面の摩擦力よりも高いものを使用している。
具体的には、コンベア10の搬送面10sに採用した搬送ベルトとして、本実施形態の例では、心体にガラス繊維を用い、カバー材料にシリコーンを用いてなる樹脂製の搬送ベルトを採用した。なお、この種のベルトとしては、例えば、三つ星ベルト株式会社製の樹脂ベルトの、ネオフレックススタート(登録商標)のシリコーンシリーズを例示できる。
【0021】
そして、この傾斜したコンベア10の最も上流側の端部10tが、上記ホッパ下部2dに対向配置されており、ホッパ2内のワークSは、ホッパ下部2dからコンベア10の搬送面10s上に落下して受け渡されるように配置されている。
ここで、このコンベア10は、同図(b)に示すように、昇り勾配のコンベアが二段連続して配置されている。一段目のコンベア11と二段目のコンベア12とは、それぞれ独立した筐体4上に設置されている。そして、一段目のコンベア11は、その水平面HLに対する傾斜角θ1が、二段目のコンベア12の水平面HLに対する傾斜角θ2よりも大きい(θ1>θ2)。さらに、一段目のコンベア11の傾斜角θ1は、当該一段目のコンベア11の搬送面10s上において、複数のワークS相互の重なりに対しては、相互間の摩擦力よりも落下方向の力が打ち勝ってワークSが滑落する傾斜角であり、且つ、ワークSと搬送面(上記搬送ベルト)10sとの間に対しては、ワークSが滑落しない傾斜角に設定されている。
【0022】
そして、各コンベア11、12の幅方向両側には、その両側から搬送されるワークSが脱落しないように、搬送方向に沿って左右側面を案内するワークガイド(側面案内板)4aが各筐体4を基部として各コンベア11、12の搬送面から上方まで張り出して設けられている。また、二段目のコンベア12の後端には、後端上面12fよりも低い位置に、滑落防止板24が、コンベア12の搬送面と干渉しない位置に且つ幅方向に沿って張り渡されており、この滑落防止板24によって、一段目の先端上面11fから落下したワークSの後方(搬送方向とは逆方向)への滑落が防止されている。
【0023】
さらに、二段のコンベア11、12のうち、上流側の一段目のコンベア11には、その筐体4の支持脚の部分に、加振装置3が設置されており、ホッパ下部2dから一段目のコンベア11搬送面10s上に落下した複数のワークSは、その落下の衝撃によってワークS相互が分離されるとともに、加振装置3によって加えられる振動の作用が更に加わることによって、搬送されるワークS同士が一枚ずつ適度に離間してコンベア10の下流側に搬送されるようになっている。
【0024】
また、一段目のコンベア11と二段目のコンベア12とは、一段目の先端上面11fと二段目の後端上面12fとが、相互に重なったワークSを分離させるために必要な落差Rを有して設置されている。さらに、このコンベア10は、二段目のコンベア12の搬送速度が、一段目のコンベア11の搬送速度よりも高速に設定されている。
なお、上記一段目の先端上面11f、および二段目の後端上面12fの位置は、各コンベアの当該端部に位置する駆動プーリないし従動プーリと搬送ベルトとの、上下方向上方側での接点の位置と定義する。
【0025】
さらに、このワーク搬送装置1は、コンベア10に対し、その搬送方向下流の先端に、中継コンベア22が水平に配置され、この中継コンベア22に続いて焼成装置20が設けられている。そして、コンベア10から中継コンベア22を介して焼成装置20に搬送されたワークSが、焼成装置20の焼きコンベヤ20aに載せて焼かれ、醤油等で味を付けた後に乾燥されることによって煎餅が製造されるようになっている。
【0026】
次に、このワーク搬送装置の作用・効果について説明する。
上述のように、このワーク搬送装置1は、ホッパ2内に収容されたワーク(煎餅生地)Sをホッパ下部2dからコンベア10の搬送面10s上に落下して受け渡し、その後、焼成装置20まで順次に搬送して、焼成装置20の焼きコンベヤ20aに載せて焼くことによって煎餅を製造することができる。
【0027】
そして、このワーク搬送装置1によれば、そのコンベア10は、昇り勾配のコンベアが二段連続して配置されており、一段目のコンベア11と二段目のコンベア12とは、一段目の先端上面11fと二段目の後端上面12fとが、相互に重なったワークSを分離させるために必要な落差Rを有して設置されているので、この落差Rによって、ワークSの落下およびその落下による二段目のコンベア12上への衝撃によって、相互に重なったワークSを分離させることができる。そのため、本実施形態のように、ホッパ2内に乱雑に収容されたワーク(煎餅生地)Sであって、更に、凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる場合であっても、相互に重なったワークSを分離させつつ搬送することができる。したがって、ワークS相互の重なりを解除し、これにより、作業員の監視を軽減可能であり、さらには省力化、効率化、不良低下を図ることが可能となる。
【0028】
さらに、このワーク搬送装置1によれば、そのコンベア10は、その表面の摩擦力が、ワークS表面の摩擦力よりも高くなっているので、ワークS同士の摩擦抵抗をコンベア10のベルトでの保持力よりも滑りやすくすることができる。そのため、ワークS相互の重なりをより確実に防止または抑制することができる。これにより、例えば上記のような搬送面に突起部をもつコンベアを用いることなくコンベアを構成して、相互に重なったワークをより確実に分離させつつ搬送することができる。
【0029】
また、このワーク搬送装置1によれば、そのコンベア10は、二段目のコンベア12の搬送速度が、一段目のコンベア11の搬送速度よりも高速なので、ワークS相互の間隔を空けて、ワーク相互を一層離間した状態で搬送することができる。したがって、相互に重なったワークをより確実に分離させつつ搬送することができる。
以上説明したように、このワーク搬送装置1によれば、例えば凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる場合であっても、相互に重なったワークを分離させつつ搬送することができる。
【0030】
なお、本発明に係るワーク搬送装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明に係るワーク搬送装置で搬送するワークとして、煎餅生地を例に説明したが、これに限定されず、例えばパンや菓子、煎餅等の種々の食品生地は勿論、立体形状のワークであれば、種々のワークの搬送に対して本発明に係るワーク搬送装置を採用することができる。しかし、上述のように、本発明に係るワーク搬送装置は、複雑な凹凸面をもつ立体形状のワークを搬送および整列させる上で好適なものであり、特に、煎餅生地のうちでも、上記曲がり形煎餅のように、特に凹凸が大きく、また、複雑な湾曲面をもつ外形形状を呈しており、その曲がりの程度は、単なる円形状の煎餅に比べて大きいワークに適用する上で好適である。
【0031】
また、例えば上記実施形態では、二段目のコンベア12の搬送速度が、一段目のコンベア11の搬送速度よりも高速である例で説明したが、これに限定されず、例えば一段目のコンベア11と二段目のコンベア12とを同じ搬送速度としてもよい。しかし、ワークS相互の間隔を空けて、ワーク相互を一層離間した状態で搬送する上では、二段目のコンベア12の搬送速度を、一段目のコンベア11の搬送速度よりも高速とすることは好ましい。
【0032】
また、例えば上記実施形態では、コンベア10は、その表面の摩擦力が、ワークS表面の摩擦力よりも高くなっている例で説明したが、これに限定されず、例えばコンベア10の傾斜角によってワークSがコンベア10の表面から滑落しなければ、種々の摩擦力のものを搬送ベルトとして採用することができる。しかし、ワークS同士の摩擦力を、コンベア10の搬送ベルトとワークSとの摩擦力による保持力よりも滑りやすくすることによって、ワークS相互の重なりをより好適に防止または抑制する上では、コンベア10の表面の摩擦力を、ワークS表面の摩擦力よりも高くすることは好ましい。さらに、その際のコンベア10(本実施形態の例では、一段目のコンベア11)の傾斜角の設定は、ワーク相互間では、ワークが滑落するとともに、ワークとコンベア間では、ワークの滑落が生じない傾斜角に設定されていることは好ましい。
【0033】
また、例えば上記実施形態では、コンベア10の表面に対する他の付帯装置については特に説明しなかったが、コンベア10の表面に対し、さらに、相互に重なったワークを分離させつつ搬送させるための付帯装置を装備することができる。
具体的な例を図2に示す。
同図に示す第一の変形例では、上記実施形態の構成に加えて、一段目のコンベア11上面を覆うように仕切ガイド5を備えた点が異なっている。
【0034】
この仕切ガイド5は、外観が矩形形状の略簀子状をなしており、搬送方向に沿って延びる複数の仕切案内条6を有して構成されている。隣接する仕切案内条6同士は、案内条連結板7によって幅方向に適宜離間して等間隔に保持される。そして、その幅方向に適宜離間する距離は、ワークSが一枚だけ通過可能な幅の隙間になっており、これにより、搬送されるワークSは、この隙間に沿って搬送されることにより、各列に沿って一層整った状態に整列される。
【0035】
さらに、具体的な他の例を図3に示す。
同図に示す第二の変形例は、上記第一の変形例の構成での仕切ガイド5に替えて、一段目のコンベア11上面を覆うように仕切ガイド5Bを備える点が異なっている。
この仕切ガイド5Bは、略簀子状をなしている点は上記第一の変形例同様であるが、同図(a)に示すように、搬送方向上流側から下流側に向けて略扇状に複数の仕切案内条6Bが配置されている点が異なっている。なお、隣接する仕切案内条6B同士は、案内条連結板7A,7B,7Cによって相互に連結されている。さらに、各仕切案内条6Bは、対向するコンベア11上面側の面に、凹の半円弧面6dをそれぞれ有して形成されており、各凹の半円弧面6dの大きさは、ワークSが一枚だけ通過可能な寸法になっている。
【0036】
このような構成の仕切ガイド5Bを、一段目のコンベア11上面を覆うように設ければ、各仕切案内条6Bの凹の半円弧面6dを通過したワークSは、各列に沿って一層整った状態に整列されるとともに、幅方向についても仕切ガイド5Bにて設定された所望の距離を隔てて整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るワーク搬送装置の一実施形態を説明する図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)はその正面図である。
【図2】本発明に係るワーク搬送装置の変形例(仕切ガイド)を説明する図であり、同図は図1(a)に対応する図を示している。
【図3】本発明に係るワーク搬送装置に装備される仕切ガイドの変形例を説明する図であり、同図(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)は同図(a)でのC矢視図、(d)は同図(a)でのD矢視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ワーク搬送装置
2 ホッパ
2d ホッパ下部
3 加振装置
4 筐体
4a ワークガイド
5 仕切ガイド
6 仕切案内条
7 案内条連結板
8 ブロック装置
9 ワーク滑落板
10 コンベア
10s コンベアの搬送面
11 一段目のコンベア
11f 一段目の先端上面
12 二段目のコンベア
12f 二段目の後端上面
20 焼成装置
22 中継コンベア
24 滑落防止板
S 煎餅生地(ワーク)
R 落差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを次工程に搬送するコンベアを有するワーク搬送装置であって、
前記コンベアは、昇り勾配のコンベアが二段連続して配置されており、一段目のコンベアと二段目のコンベアとは、一段目の先端上面と二段目の後端上面とが、相互に重なったワークを分離させるために必要な落差を有して設置されていることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記コンベアは、その表面の摩擦力が、前記ワーク表面の摩擦力よりも高くなっていることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記コンベアは、二段目のコンベアの搬送速度が、一段目のコンベアの搬送速度よりも高速であることを特徴とする請求項1または2に記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−297081(P2008−297081A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145561(P2007−145561)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(390026631)株式会社冨士製作所 (25)
【Fターム(参考)】