説明

ヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置

【課題】自動ヴァイオリンによって他種楽器との合奏音源を演奏する場合、伴奏楽器の音量や音色を十分に再現できなかった。
【解決手段】同一音源の音声信号を分岐し、一方の音声信号によってヴァイオリンの自動演奏を行い、他方の音声信号によってダイナミックスピーカーを発音させ、さらに両者の音量を好ましいバランスに調整することにより、自動ヴァイオリンによって創生される高周波数帯域から超音波帯域に至る実演奏の音声と、ダイナミックスピーカーによって再生される可聴音帯域における演奏家や使用楽器独自の音色や響きと伴奏楽器の音量と音色を伴う忠実な音声とをバランス良く重畳し、両者の長所を加算することによって、実演奏リアリティ度の高い音源再生効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源によりヴァイオリンが自動演奏すると同時に、ダイナミックスピーカーが同じ音源の再生音を発生し、聴者が両者の音量を調整してミキシング・サウンド効果を享受することができるようにしたヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステレオシステムの問題点の一つとして、高周波数帯域におけるダイナミックスピーカーの性能限界が、永年指摘されてきた。その対応策として、高音用のトゥイータその他幾多の考案がなされてきたが、必ずしも満足できる水準の効果が得られず、特に弦楽器音楽の再生には大きな不満が残っていた。
【0003】
さらに近年は、ステレオシステムの愛好家が激減して久しい。その大きな原因の一つは、LPレコードから音楽CDへの録音媒体の変換である。同じソースから作製されたLPレコードの音声信号と音楽CDの音声信号とを周波数分析して比較してみると、特に高周波数帯域における差異が歴然である。音楽CDは、44.1KHzのサンプリング周波数によって22.05KHz以上の超音波帯域音をまったく欠くのみならず、22.05KHz以下の周波数帯域においても、10KHz以上の周波数帯域において、LPレコードよりも相当程度に音声エネルギーが減弱している。これらの差異は、特に弦楽器の可聴域から超音波域にまたがる倍音の再生や、アタック音など矩形波の再生において顕著であって、音楽CDは、LPレコードが有していたサウンド上の輝きに満ちた魅力を喪失し、売上激減の原因になったことは間違いない。
【0004】
一方発明者は、スピーカーシステムと大きく異なる楽器自動演奏方法として、音声信号によって振動する圧電振動子をヴァイオリンの駒に結合し、楽器を自動演奏する自動ヴァイオリンを提案した(特許文献1)。
この自動ヴァイオリンは、奏者が弓で絃を弾く代りに音声信号によって駒を励振し、擦絃と同様に楽器全体を振動させて演奏する。楽器の振動形態が演奏者による演奏と同様であるため、特に弦楽器ソースによる自動演奏では、単なる「再生」の概念を超え、楽器自身の振動による現実音が創生される(非特許文献1参照)。その音には、人間の可聴音のみならず超音波までが含まれる。そのため従来の通常再生システムでは得られない実演奏の輝かしいリアリティー感が醸成されるという大きな特徴がある。
【0005】
しかしながらこの自動ヴァイオリンには、以下述べる二つの課題があった。
その第1は、多くの入手可能な弦楽器曲音源はピアノやオーケストラの伴奏を伴うものであるので、ヴァイオリン1台では、伴奏の音量や音色まで再現することが困難であった。
その第2は、音源に含まれる音色や響きの再現にあった。ヴァイオリンは特に、ストラディヴァリウスやグァルネリウスなどの名器に特有の音色と響きがある。さらに優れた演奏家には独特の奏法と音色がある。これらに対して、自動演奏は通常、名器とは大きく異なる楽器を利用することが多いので、音源に含まれている優れた音色や響きがある程度は再現されるが、より多くは使用された楽器の特性に覆い隠されてしまうことであった。
第2の課題の解決策として、発明者は、弦楽器の独奏音声と伴奏音声とを別途録音し、同期的に再生して合奏する方法の提案を行っている(特許文献2)。しかしながらこの方法は、そのための専用ソフトの特別製作を要する点において、普及利用に限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−034998号公報
【特許文献2】特願2009−049656号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】C.M.ハッチンス著 「バイオリンの音響学」、サイエンス、1981年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、ヴァイオリンによって他種楽器との合奏音源を自動演奏する場合、音源ヴァイオリンと伴奏楽器の音量や音色を十分に再現できなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、同一音源の音声信号を分岐し、一方の音声信号によってヴァイオリンの自動演奏を行い、他方の音声信号によってダイナミックスピーカーを発音させ、さらに両者の音量を好ましいバランスに調整することにより、ヴァイオリンの自動演奏によって創生される高周波数帯域から超音波帯域に至る実演奏の音声と、ダイナミックスピーカーによって再生される可聴音帯域における演奏家や使用楽器独自の音色や響きと伴奏楽器の音量と音色を伴う忠実な音声とをバランス良く重畳し、両者の長所を加算することによって、実演奏に近いリアリティ度の音源再生効果を発揮することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置は、同一音源の音声信号を分岐し、それぞれを独立の増幅器で増幅することにより、一方の音声信号によるヴァイオリンの音量と、他方の音声信号によるダイナミックスピーカーの音量とを独立に調整するため、ヴァイオリンが創生する高周波数帯域から超音波帯域に至る広帯域音声の音量と、ダイナミックスピーカーが発生する演奏家や使用楽器独自の音色や響きをもった可聴音帯域音声と伴奏楽器音声の音量との間で、音量バランスをとることができるので、音楽CDやダイナミックスピーカーにおける高周波数帯域から超音波帯域に至る広帯域音声の欠落による物足りなさを充足した鑑賞性の高い協奏音を楽しむことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明装置の構成を示した説明図である。(各実施例共通)
【図2】図2は圧電振動・伝達ユニットを取り付けたヴァイオリンの断面を示した説明図である。(各実施例共通)
【図3】図3は圧電振動・伝達ユニットの構成例を示した説明図である。(各実施例共通)
【図4】図4は振動伝達体の構造を示した説明図である。(実施例1)
【図5】図5は振動伝達体の構造を示した説明図である。(実施例2)
【図6】図6は振動伝達体の構造を示した説明図である。(実施例3)
【図7】図7は振動伝達体の構造を示した説明図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実演奏に近く、リアリティ度の高い音楽音源の再生を実現するという目的を、同一音源を使用して、自動演奏ヴァイオリンによる高周波数帯域から超音波帯域に至る広帯域音声の音量と、ダイナミックスピーカーによる可聴帯域音声の音量とを、それぞれ独立に調整して最適の重畳サウンドを得るようにしたことにより実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明装置を実現した実施例1の構成を示す図であって、1は音声媒体のプレイヤー、2は自動ヴァイオリン・ラインとスピーカー・ラインに分岐する音声信号分岐器である。3は自動ヴァイオリン・ラインに接続した自動ヴァイオリン用増幅器であり、4はスピーカー・ラインに接続したスピーカー用増幅器である。5は圧電振動・伝達ユニットを駒に取り付けた自動ヴァイオリン、5−1はヴァイオリン、5−2は圧電振動・伝達ユニット、そして6はダイナミックスピーカーである。LとRは、それぞれステレオ左音声信号ラインと同右音声信号ラインとを示しており、それぞれが音声信号分岐器2によって分岐されて、自動ヴァイオリン用増幅器3とスピーカー用増幅器4に接続され、それぞれ自動ヴァイオリン5とダイナミックスピーカー6に入力する。
【0014】
ここで、プレイヤー1に適用する音声媒体は、磁気テープでもLPレコードでも音楽CDでもDVDその他何でも適用可能である。
【0015】
音声信号分岐器2は、プレイヤー1からのステレオ信号ラインL、Rをそれぞれステレオ自動ヴァイオリン・ラインとステレオスピーカー・ラインに分岐する。
【0016】
自動ヴァイオリン用増幅器3は、ヴァイオリンの発音周波数帯域に適合した周波数特性を有する増幅器である。即ち、超音波に至る高周波数の倍音に対応するため、高周波数特性を有する増幅器を適用する。自動ヴァイオリン用増幅器3の増幅率を変えることにより、自動ヴァイオリン5の音量を調整する。
【0017】
自動ヴァイオリン5は、ヴァイオリン5−1と圧電振動・伝達ユニット5−2より成る。この実施例の説明では、説明を単純化するため5を自動ヴァイオリンとしているが、5はヴァイオリン以外のヴァイオリン族楽器のいずれであっても適用できることは言うまでもない。ただしその場合には、例えばチェロの場合には、ヴァイオリン用増幅器3をチェロ用増幅器とし、低音域から高音域に亘る広い周波数帯域特性を有する増幅器を適用する。
なお、本発明において適用するヴァイオリンは、楽器実演奏効果のみの役割を演じるものであるため、高価な名器を必要としない点を大きな特色としている。
【0018】
図2は、圧電振動子1と振動伝達体2より成る圧電振動・伝達ユニットを駒3に結合した、ヴァイオリン4の断面を示す図である。圧電振動子1は、音声媒体の音声信号によって振動し、この振動が振動伝達体2を介して駒3を励振し、駒3の振動が楽器の表板を振動させる。表板の振動は胴内の魂柱を通って裏板に伝わり、裏板を振動させる。このようにして、圧電振動子1の振動が楽器4全体を鳴らせ、奏者による擦絃と同様の音が楽器4から発せられる。
【0019】
図3は、圧電振動子1と振動伝達体4より成る圧電振動・伝達ユニットを説明する図であり、5は駒の断面図である。この実施例では、図3Aに示すように、2個の圧電振動子を取り付けており、その一方はステレオの左音声信号2によって振動し、他方は右音声信号3によって振動する。圧電振動子2個の使用は、ステレオ再生効果と音量効果のためであるが、圧電振動子の個数は、図3Bに示したように、1個でも勿論構わない。圧電振動子が1個の場合には、図1において、音声信号分岐器2からのステレオ左音声信号Lあるいは同右音声信号Rを自動ヴァイオリン用増幅器3で増幅する。このとき、自動ヴァイオリン用増幅器3はモノラル用増幅器を適用することができる。
圧電振動子1は、円形のバイモルフ型ピエゾセラミック圧電振動板の中心を貫通して固定治具に固定し、固定治具を振動伝達体4に結合している。振動伝達体4は、圧電振動子1の振動を駒5に伝達するための極めて重要な要素である。
【0020】
振動伝達体が付帯すべき特性には、下記に掲げる重要な4要素がある。
(1)材質は、音声振動伝達特性が良好であること。
(2)構造は、音声振動伝達特性が良好であること。
(3)形状は、文様的な開口を有する駒をしっかり掴む形状であること。
(4)開裂防止の要素を備えること。
【0021】
音声振動伝達特性が良好な材質に関しては、ヴァイオリンが木製であることに関連し、木質によって最良の結果が得られることが判明した。楽器や弓の材料木材をはじめ、種々の材質について、硬度や粘弾性などのほか、広い周波数帯に亘る振動波の伝達特性を調べたところ、複数の適材が見出されている。
【0022】
図4は、実施例1における振動伝達体の構造を示す説明図であり、図4Aは側面図、図4Bは平面図、そして図4Cは振動伝達体分枝部における断面図である。振動伝達体は、一端を圧電振動子を貫通する固定治具1に固定する。他端を二股状に分枝し、分枝2、3の先端部によって駒8を前後から掴むようにして振動伝達体が駒8に固定される。
【0023】
振動伝達体は、分枝2、3基部の開裂防止のため、両分枝の基部に開口4を設けている。開口4の形状は図4Aにおいて円筒状に表しているが、駒8からの応力による開裂ベクトルの方向を転じて相殺する形状であれば、円筒状以外の形状でもよい。
【0024】
分枝2、3の先端部には、横方向の内刳り5(図4A)と縦方向の内刳り7(図4C)とを備えている。これらの構造は、個別に独自の形状を有する駒8への取り付けを安定化するために有効な形状要素である。
【0025】
また分枝2、3の各外面6は、縦方向に沿って厚みを減じ、凹面状にしている。この形状は、各先端部が駒8をしっかり掴むために必要な曲がり性を分枝2、3に与えるために必要な基本形状である。
【実施例2】
【0026】
本発明の実施例2の全体構成は、実施例1の構成と同様であるので、その説明を省略する。実施例2は、図5に示したその圧電振動・伝達ユニットにおいて実施例1と異なっている。
図5は、実施例2の振動伝達体の構造を示す説明図であり、図5Aは側面図、図5Bは平面図である。振動伝達体は、一端を圧電振動子を貫通する固定治具1に固定する。他端を二股状に分枝し、分枝2、3の先端部によって駒8を前後から掴むようにして振動伝達体が駒8に固定される。
【0027】
振動伝達体は、分枝2、3の開裂防止のため、両分枝の基部に開口4を設けている。開口4の形状は図4Aにおいて円筒状に表しているが、駒8からの応力による開裂ベクトルの方向を転じて相殺する形状であれば、円筒状以外の形状でもよい。
【0028】
分枝2、3の先端部には、横方向の内刳り5(図5A)と縦方向の内刳り(図示せず)とを備えている。これらの構造は、個別に独自の形状を有する駒8への取り付けを安定化するために有効な形状要素である。
【0029】
また分枝2、3の各外面6は、縦方向に沿って厚みを減じ、凹面状にしている。この形状は、各先端部が駒8をしっかり掴むために必要な曲がり性を分枝2、3に与えるために必要な基本形状である。
【0030】
実施例2は、締め具7を備える。締め具7は、分枝2と分枝3の基部における開裂を防止する機能と共に、分枝2と3の先端部間隔を、駒を掴むために最適な間隔に調節する機能をも有している。締め具7は、図5においてボルトナットの形状に表しているが、これら2機能が得られるものであれば、それ以外の形状のものも適用できる。
【実施例3】
【0031】
本発明の実施例3の全体構成は、実施例1の構成と同様であるので、その説明を省略する。実施例3は、図6に示したその圧電振動・伝達ユニットにおいて実施例1と異なっている。
図6は、実施例3の振動伝達体の構造を示す説明図であり、図6Aは側面図、図6Bは平面図である。
振動伝達体は、主軸2と副軸3とより成る。主軸2は、一端を圧電振動子を貫通する固定治具1に固定する。副軸3はスプリング5によって主軸2と連結している。
【0032】
主軸2と副軸3はそれぞれ縦方向に沿う内刳り(図示せず)と横方向に沿う内刳り4とを備えている。これらの構造は、個別に独自の形状を有する駒6への取り付けを安定化するために有効な形状要素である。
【0033】
実施例3は、スプリング5のばね性を利用して常時閉状態(ノーマルクローズ)とし、駒6に取り付ける際に主軸と副軸を開き、閉状態に戻る力によって駒を掴むようにしている。
【実施例4】
【0034】
本発明の実施例4の全体構成は、実施例1の構成と同様であるので、その説明を省略する。実施例4は、図7に示したその圧電振動・伝達ユニットにおいて実施例1と異なっている。
図7は、実施例4の振動伝達体の構造を示す説明図であり、図7Aは側面図、図7Bは平面図である。振動伝達体は、主軸2と副軸3とより成る。主軸2は、一端を圧電振動子を貫通する固定治具1に固定する。副軸3は蝶番4によって主軸2と連結している。
【0035】
主軸2と副軸3はそれぞれ縦方向に沿う内刳り(図示せず)と横方向に沿う内刳り7とを備えている。これらの構造は、個別に独自の形状を有する駒8への取り付けを安定化するために有効な形状要素である。
【0036】
実施例4は、主軸と副軸それぞれの先端部に常磁性体5,6をN極とS極とを対向させて取り付けて常時閉状態(ノーマルクローズ)とし、駒6に取り付ける際に主軸と副軸を開き、閉状態に戻ろうとする磁気力によって主軸と副軸が駒8を掴むようにしている。
【0037】
以上、本発明実施例の説明は、振動伝達体の材質を木質として説明したが、これは音声振動伝達特性を重視したためであり、振動伝達体を合成樹脂成型品とすることももちろん可能である。
【0038】
図1の説明に戻り、図1のスピーカー用増幅器4には、一般的に用いられるステレオアンプが適用できる。スピーカー用増幅器4の増幅率を変えることにより、ダイナミックスピーカー6の音量を調整する。
【0039】
この発明により、図1の自動ヴァイオリン用増幅器3の増幅率変更によって自動ヴァイオリン5の音量を調整すること、およびスピーカー用増幅器4の増幅率変更によってダイナミックスピーカー6の音量を調整することができるようになったので、聴者は、ダイナミックスピーカー6が再生する可聴音帯域の音声の上に、自動ヴァイオリン5が発する高周波数帯域から超音波帯域に至る広帯域の実演奏音声を重畳し、更に両音声の最も好ましい重畳比率を選択することができるようになった。これにより、例えば高周波数帯域以上における音楽CDの特性欠陥が大幅に改善される効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
同一音源を使用して、ヴァイオリンによる高周波数帯域から超音波帯域に至る広帯域音声の音量と、ダイナミックスピーカーによる可聴帯域音声の音量とを、それぞれ独立に調整でき、最適の重畳サウンドを得ることによって、実演奏に近く、リアリティ度の高い音楽音源の再生を実現するという用途に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 音声媒体のプレイヤー
2 音声信号分岐器
3 自動ヴァイオリン用増幅器
4 スピーカー用増幅器
5 圧電振動・伝達ユニットを駒に取り付けた自動ヴァイオリン
6 ダイナミックスピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声媒体のプレイヤーと、
プレイヤーからの音声信号を自動ヴァイオリン・ラインとスピーカー・ラインに分岐する音声信号分岐器と、
自動ヴァイオリン・ラインに接続し、ヴァイオリンの発音周波数帯域に適合した周波数特性を有する自動ヴァイオリン用増幅器と、
自動ヴァイオリン用増幅器の出力によって振動する圧電振動子と圧電振動子の固定治具と振動伝達体とを備えた圧電振動・伝達ユニットと、
駒の振動により発音する自動ヴァイオリンと、
スピーカー・ラインに接続したスピーカー用増幅器と、
スピーカー用増幅器に接続したダイナミックスピーカーと
より成り、自動ヴァイオリン用増幅器の増幅率を変更して自動ヴァイオリンの音量を調整し、またスピーカー用増幅器の増幅率を変更してダイナミックスピーカーの音量を調整することによって、両者の音量比率を聴者の嗜好性に応じて最適化し、実演奏近似の重畳サウンド効果が得られるようにしたことを特徴とするヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置。
【請求項2】
前記圧電振動・伝達ユニットは、
圧電振動子と、
圧電振動子を貫通・固定する固定治具と、
一端が固定治具に連結し、他端が二股に分枝した振動伝達体であって、両分枝の基部に横方向の開口を備え、各分枝先端部の内面において、それぞれ縦方向に沿う内刳りと横方向に開けた内刳りとを設け、各分枝の外面を縦方向に沿って凹面形状にして分枝中央部の厚みを減じた振動伝達体と
より成り、両分枝が復元弾性力を利用して駒を挟むことにより、振動伝達体が駒に固定されることを特徴とする請求項1記載のヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置。
【請求項3】
前記圧電振動・伝達ユニットは、
圧電振動子と、
圧電振動子を貫通・固定する固定治具と、
一端が固定治具に連結し、他端が二股に分枝した振動伝達体であって、両分枝の基部に横方向の開口と両分枝を貫通する締め具とを備え、各分枝はそれぞれ縦方向に沿う内刳りと横方向に開けた内刳りとを設け、各分枝外面を縦方向に沿って凹面形状にして分枝中央部の厚みを減じた振動伝達体と
より成り、両分枝が復元弾性力を利用して駒を挟むことにより振動伝達体が駒に固定され、締め具によって振動伝達体両分枝基部の開裂を防止し、かつ両分枝先端部の間隔を駒を掴むために最適な間隔に調節することを特徴とする請求項1記載のヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置。
【請求項4】
前記圧電振動・伝達ユニットは、
圧電振動子と、
圧電振動子を貫通・固定する固定治具と、
一端が固定治具に連結した主軸と、副軸と、スプリングで構成され、スプリングが主軸と副軸を常時閉状態(ノーマルクローズ)になるように連結し、主軸と副軸はそれぞれ縦方向に沿う内刳りと横方向に開けた内刳りとを設けた振動伝達体と
より成り、振動伝達体は、主軸と副軸がスプリングのばね力で駒を掴むようになしたことを特徴とする請求項1記載のヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置。
【請求項5】
前記圧電振動・伝達ユニットは、
圧電振動子と、
圧電振動子を貫通・固定する固定治具と、
一端が固定治具に連結した主軸と、副軸と、蝶番で構成され、蝶番が主軸と副軸を連結し、主軸と副軸の先端部にそれぞれ常磁性体をN極とS極が対向するように取り付けて主軸と副軸を常時閉状態(ノーマルクローズ)にすると共に、主軸と副軸はそれぞれ縦方向に沿う内刳りと横方向に開けた内刳りとを設けた振動伝達体と
より成り、振動伝達体は、常磁性体間の磁気引力によって主軸と副軸が駒を掴むようになしたことを特徴とする請求項1記載のヴァイオリンとスピーカーによる重畳再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−35851(P2011−35851A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182951(P2009−182951)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(594077024)
【出願人】(307025126)
【Fターム(参考)】