説明

一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システム

【課題】建物内で一体型ヒートポンプ式空調機を利用することができる一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システムを提供する。
【解決手段】 一体型ヒートポンプ式空調機1が建物12の1階に設けられ、室内8の空気を一体型ヒートポンプ式空調機1へダクトレスで取り込み、暖められた又は冷やされた空気を、床下10に設けられたダクト3を介して各室内8へ送り、室内8の空気と熱交換する空気を床下10より一体型ヒートポンプ式空調機1へダクトレスで取り込み、室内8の空気と熱交換した空気を床下10へ放出するようになされている。さらに、一体型ヒートポンプ式空調機1からダクト6を介して、室内8の空気と熱交換した空気を床下へ放出するようになされているとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式空調機を用いて室内の空調を行うことは、従来より行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−303691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般的にヒートポンプ式空調機は、空調が必要な室内に設置する室内機と、室内の空気と熱交換するための空気を外部より取り込む室外機とに分離されており、室内機と室外機は冷媒配管により接続されている。特に一般の住宅では、機器の設置スペースや騒音などの問題から、室内機と室外機を一体とした一体型ヒートポンプ式空調機の採用は難しかった。
【0005】
そして、空調機が室内機と室外機とに分離されているので、室内機と室外機を冷媒配管で接続する必要があるため、空調機の設置には、専門の施工業者が必要であった。また、施工不良による冷媒漏れなどが故障の原因となっていた。さらに、冷媒配管を室内から室外へと導くため、冷媒配管が露出した場合、建物の外観に影響を与えてしまう。さらに、離れた場所に設置する室内機と室外機を冷媒配管で接続するため、空調機そのものがコスト高になるといった問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、建物内で一体型ヒートポンプ式空調機を利用することができる一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、一体型ヒートポンプ式空調機が建物の1階に設けられ、室内の空気を一体型ヒートポンプ式空調機へダクトレスで取り込み、暖められた又は冷やされた空気を、床下に設けられたダクトを介して各室内へ送り、前記室内の空気と熱交換する空気を床下より一体型ヒートポンプ式空調機へダクトレスで取り込み、前記室内の空気と熱交換した空気を床下へ放出することを特徴とする一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システムにより解決される。
【0008】
この室内空調システムでは、一体型ヒートポンプ式空調機を利用しているので、室内機と室外機を分離して配置する必要がないため、室内機と室外機を接続する冷媒配管を施工する必要がなく、一体型ヒートポンプ式空調機を設置するだけでよく、施工を容易に行うことができる。また、一体型ヒートポンプ式空調機を建物の1階に設け、室内の空気をダクトレスで取り込むとともに、暖められた又は冷やされた空気を、床下に設けられたダクトを介して各室内へ送っているので、一体型ヒートポンプ式空調機を1階に設置し、床下にダクトを設けるだけで、各室内へ暖められた又は冷やされた空気を送ることができ、各室内に空調機を設ける必要がなく、建物内の空調を効率的に実現することができる。
【0009】
さらに、床下よりダクトレスで室内の空気と熱交換する空気を取り込むため、簡素な構成で、一体型ヒートポンプ式空調機の稼動に必要な空気を得ることができる。
【0010】
上記の室内空調システムにおいて、一体型ヒートポンプ式空調機からダクトを介して、前記室内の空気と熱交換した空気を床下へ放出されるとよい。
【0011】
一体型ヒートポンプ式空調機からダクトを介して、床下へ空気を放出されるので、放出された空気が、そのまま直接一体型ヒートポンプ式空調機へ取り込まれることがないため、機器の運転を効率よく実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりであるから、建物内で一体型ヒートポンプ式空調機を利用して、室内を効率よく空調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図(イ)は、本発明の実施形態の一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システムを示すもので建物の断面正面図、図(ロ)は一体型ヒートポンプ式空調機部分の一部拡大断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示す本発明の実施形態である一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システムにおいて、1は一体型ヒートポンプ式空調機で、建物12の1階の階段下収納スペース9に設置されており、室内8と階段下収納スペース9とは、空気が流れるように連通されている。一体型ヒートポンプ式空調機1は、室内8から階段下収納スペース9に流れ込んだ空気を、取込み口2からダクトレスで直接取り込み、熱交換により暖められた又は冷やされた空気は床下10に設けられた送風用ダクト3を介して室内に設けられた通気口4から室内8へ送られる。
【0016】
一方、室内の空気と熱交換するための空気は、床下10より外気取込み口5からダクトレスで直接一体型ヒートポンプ式空調機1に取り込まれ、熱交換の後、床下10に設けられた排気用ダクト6を介して、排気口7から床下10へ排出される。排気用ダクト6は、排気口7から排出した空気がそのまま直接外気取込み口5から一体型ヒートポンプ式空調機1に取り込まれることがないように、外気取込み口5と排気口7との距離を確保して設けられている。なお、13は1階の床、14は床下10と建物の外部11を連通する建物基礎に設けられた床下換気口である。
【0017】
この室内空調システムでは、一体型ヒートポンプ式空調機1を利用しているので、室内機と室外機を分離して配置する必要がないため、室内機と室外機を接続する冷媒配管を施工する必要がなく、一体型ヒートポンプ式空調機1を設置するだけでよく、施工を容易に行うことができる。また、一体型ヒートポンプ式空調機1を建物の1階に設け、室内の空気をダクトレスで取り込むとともに、暖められた又は冷やされた空気を、床下10に設けられたダクト3を介して室内8へ送っているので、一体型ヒートポンプ式空調機1を1階に設置し、床下10にダクト3を設けるだけで、室内8へ暖められた又は冷やされた空気を送ることができる。
【0018】
さらに、一体型ヒートポンプ式空調機1は1階に設けられているので、室内の空気と熱交換するための空気を、床下10より外気取込み口5からダクトレスで取り込むことができるため、室内の空気と熱交換するための空気を取り込むために室外までダクトを設置する必要がない。
【0019】
また、一体型ヒートポンプ式空調機からダクトを介し、外気取込み口と排気口との距離を確保して、床下へ空気を放出されるので、放出された空気が、直接一体型ヒートポンプ式空調機へ取り込まれることがないため、機器の運転を効率よく実現することができる。
【0020】
この室内空調システムは、空調機を室内機と室外機とに分離することなく、一体型ヒートポンプ式空調機を用いるものであるから、室内機と室外機を冷媒配管で接続する必要がなく、この接続のための施工が必要でなく、また施工不良による冷媒漏れなど故障が発生することがない。
【0021】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、一体型ヒートポンプ式空調機を階段下収納スペースに設置した場合について示したが、一体型ヒートポンプ式空調機が設置される場所は1階であれば特に制限はなく、専用スペースを設けて設置してもよいし、1階の居住スペースに設けてもよい。さらに、一体型ヒートポンプ式空調機の設置は1階の床上に設置されるだけでなく、1階の床下に設置されてもよいし、上部が1階の床上で下部が1階の床下に位置する半埋込み状態に設置されてもよい。要は、一体型ヒートポンプ式空調機は、建物の床下の空気を、一体型ヒートポンプ式空調機へダクトレスで取り込むことができる位置に設置されていればよく、本明細書における1階の用語も上記目的を達することができる、1階の床上だけでなく、1階の床下や上部が床上で下部が床下に位置する半埋込み状態をも含む態様で用いられる。
【0022】
また、上記の実施形態では、一つの室内を空調する場合について示したが、空調が行われる室内の数に限定はなく、2室以上の複数であってもよく、その場合、一体型ヒートポンプ式空調機から、床下に設けられた複数本のダクトを通じて各室内へと温められた又は冷やされた空気が送られればよい。そして、各室内から一体型ヒートポンプ式空調機が設置されている箇所への空気の移動は、各室内と一体型ヒートポンプ式空調機が設置されている箇所が隣接している場合は、ガラリ等を介して行われてもよいし、離れている場合は、ダクトを介して行われてもよい。この場合、一体型ヒートポンプ式空調機を一箇所に設置するだけで、床下に設けたダクトを介して各室内へ暖められた又は冷やされた空気を送ることができ、各室内に空調機を設ける必要がなく、建物内の空調を効率的に実現することができる。また、各室内へ送られる空気の設定は、全室共通である必要はなく、各室内の設定に応じて個別に設定されてよいのはいうまでもない。また、空調される部屋は建物の1階に限定されることはなく、2階建て建物の1階以外の2階であってもよいし、3階建て建物の1階以外の2階であっても3階であってもよい。
【0023】
また、設置される一体型ヒートポンプ式空調機の台数は1台に限定されることはなく、2台以上の複数であってもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0024】
1・・・一体型ヒートポンプ式空調機
2・・・取込み口
3・・・送風用ダクト
4・・・通気口
5・・・外気取込み口
6・・・排気用ダクト
7・・・排気口
8・・・室内
9・・・階段下収納スペース(1階)
10・・・床下
11・・・建物の外部
12・・・建物
13・・・床(1階)
14・・・床下換気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型ヒートポンプ式空調機が建物の1階に設けられ、
室内の空気を一体型ヒートポンプ式空調機へダクトレスで取り込み、暖められた又は冷やされた空気を、床下に設けられたダクトを介して各室内へ送り、
前記室内の空気と熱交換する空気を床下より一体型ヒートポンプ式空調機へダクトレスで取り込み、前記室内の空気と熱交換した空気を床下へ放出することを特徴とする一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システム。
【請求項2】
一体型ヒートポンプ式空調機からダクトを介して、前記室内の空気と熱交換した空気を床下へ放出する請求項1に記載の一体型ヒートポンプ式空調機を用いた室内空調システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−163716(P2011−163716A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29623(P2010−29623)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(000219233)東プレ株式会社 (91)
【Fターム(参考)】