説明

一又は二以上の凹みを備えた鋳造され鍛造される部品の製造方法

【課題】製造工程が少なく及び廉価のパーツの製造方法を提供することである。
【解決手段】一又は二以上の穴の開いた凹み1Cあるいは止まり穴の凹み1Cを含む鋳造プレフォーム1を形成する段階と、プレフォーム1を、該プレフォームの温度を一様に保持するトンネル炉に移動する段階と、鋳造プレフォーム1をプレス上に配備された圧造ダイに位置づける段階と、鍛造作業の前に、コマンドにより、一又は二以上の多方向ロッド2を鋳造プレフォーム1の凹み1Cあるいは空洞に一又は複数のロッド2を導入する段階と、形作られた凹み1Cの中にロッド2が一時的に位置付けられている間にロッド2を受けるプレフォーム1を所定の大きさにする段階と、上部鍛造ダイを持ち上げて鍛造されたプレフォーム1を自由にする段階と、凹み1Cに位置付けられたロッド2を引き出す段階と、鍛造されたプレフォーム1を取り外す段階とを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造所で鋳造され、次いで鍛造されたアルミニウム合金部のような軽合金部品の製造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋳造所で製造され、次いで、軽合金特にアルミニウム合金についての欧州特許第119,365号公報の主題であるコバプレス(COBAPRESS)法によって鍛造する部品(パーツ)は多い。これらの部品では、複雑さの度合いが変化する製品自体における部品の使用及び応用に直接関連する穴(ボア)、凹みあるいは止まり穴を形成するために、しばしばさらなる機械加工作業が必要となる。この場合、鋳造及び鍛造の後、最終製品に存在する凹み及び空洞部の機械加工のような必要な形作り作業を実施するために、当該部品を他の作業場に移すことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−146841号公報
【特許文献2】特開平8−155589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの作業は、製造工程及びそれによるコストをかなり増大する。
【0005】
従って、出願人はこれらの欠点及び困難を克服することを試み、得られる最終製品の品質の維持及び保証するものである。
【0006】
凹みを有する鋳造部を製造するためのロッドの使用も、鋳造所の鋳型では周知のことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の情報を考慮した出願人は、鋳造され、次いで、鋳造プレフォーム(プリフォーム)の凹みを保持し従来必要とされていた上述の後の作業の全てあるいはその一部を取り除く本発明によって鍛造された部品を製造する方法を開発した。
【0008】
本発明は、
− 得られる最終部品の有益なあるいは必要な形状に合致する一又は二以上の穴の開いた凹みあるいは止まり穴の凹みを含む鋳造プレフォームを形成する段階と;
− プレフォームを、該プレフォームの温度の一様性を保持するためのトンネル炉に移動する段階と;
− 鍛造作業の前に、コマンドにより、鋳造プレフォームの凹みあるいは空洞に一又は多方向のロッドを導入する段階と;
− ロッドが一時的に形作られた凹みの中に位置付けられている間にロッドを受けるプレフォームを所定の大きさにする(sizing)段階と;
− 鍛造されたプレフォームを自由にするために上部鍛造ダイを持ち上げる(raise)段階と;
− 凹みに位置付けられたロッドを取り除く段階と;
− 鍛造されたプレフォームを取り除く段階と;
を備えた方法である。
【0009】
これらの特徴、上述の方法について及びこの方法を実施するために必要な技術的な手段の他の特徴を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるプレフォーム状態で示され、鍛造される部品を示した図である。
【図2】ロッドが鍛造作業中のプレフォームに位置付けられた段階の平面図の概略図である。
【図3】ロッドが鍛造作業の後にプレフォームから引き出された段階の平面図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して以下に本発明を詳細に記載する。本発明をより明瞭に理解するために、図面を参照して非限定的な例を記載する。
【0012】
鋳造され次いで鍛造された部品を製造する本発明の方法は、有益で、機能的で、あるいは、前記部品を単に軽量化するために最終的に形作られた状態での一又は二以上の穴の開いたあるいは止まり穴の凹みあるいは空洞を有することができるいかなる形状のいかなる部品にも応用される。
【0013】
図1は、スリーブ部1aと脚部1bを有する鋳造プレフォーム部1を示し、この構成は、本発明をよりよく理解することを可能にする単なる例である。前記スリーブ部1aの内側には、その長さ全体あるいはその一部に沿った凹み1cを有する。図は、型割線P及び凹みの長軸X−Xを示し、サイジング(sizing)の方向を矢印Fで示す。
【0014】
この部品は、アルミニウム合金のような軽合金に対して鋳造し次いで鍛造作業を実施する欧州特許第119,365号公報に記載のコバプレス法によって得るものである。鋳造と鍛造との間に、鋳造プレフォームされた状態の部品をトンネル炉に移動して加熱し鍛造ステーションに移動する前はその部品を一定温度に保つという中間段階を含む。従って、鋳造プレフォームは一又は二以上の凹みあるいは空洞を有する。
【0015】
本発明では、鍛造ツールは、前記プレフォームの鍛造作業の間マッチング凹み1cを通して鋳造プレフォームにおいて一時的に位置付けることが目的とされた一又は二以上のロッド2の並進機構によって、鍛造ダイ(heading die)の回りにはまる。より正確には、鋳造プレフォームは下部鍛造ダイ3に位置付けられ、上部鍛造ダイは持ち上げられる。鋳造プレフォームの下部鍛造ダイへの位置付けは、前記凹みがロッドが動く方向である長軸Y−Yに対面するように行われる。ここで、2つの軸X−XとY−Yとは一致している。
【0016】
ロッドは、シリンダ型あるいは同種の制御手段5によって動くよう描いた。最終的な部品を生産するための方法に直接的に関連して、ロッドの動きを制御するために、自動化手段が用いられている。
【0017】
方法は、
− 得られる最終部品の有益なあるいは必要な形状に合致する一又は二以上の穴の開いた凹みあるいは止まり穴の凹みを含む鋳造プレフォームを形成する段階と;
− プレフォームを、該プレフォームの温度を一様に保持するトンネル炉に移動する段階と;
− 鋳造プレフォームをプレス上に配備された圧造ダイに位置づける段階と;
− 鍛造作業の前に、コマンドにより、一又は二以上の多方向ロッドを鋳造プレフォームの凹みあるいは空洞に一又は複数のロッドを導入する段階であって、前記ロッドが鋳造プレフォームに位置付けされるように一時的に並進する段階と;
− ロッドが形作られた凹みの中に一時的に位置付けられている間にロッドを受けるプレフォームを所定の大きさにする(sizing)段階と;
− 鍛造されたプレフォームを自由にするために上部鍛造ダイを持ち上げる段階と;
− 凹みに位置付けられたロッドを引き出す段階と;
− 鍛造されたプレフォームを取り除く段階と;
を実施する方法である。
【0018】
ロッドのプロファイルは、そのプロファイルが最終の部品における凹みのプロファイルにできるだけ近接するように決定する。
【0019】
本発明は以下のような利点を有する:
− 凹みの形作りが鍛造作業に統合されており、そのため、機械加工の作業が低減しかつ製造コストが低下する。
− 特に、機械加工作業において、プレフォームの凹みについての材料の無駄が低減し、そのため、重量が減少すると共に製造コストが低下する。
− 凹みあるいはプレホールがサイジングの方向だけでなく、多方向に向いている。
【符号の説明】
【0020】
1 鋳造プレフォーム部
1a スリーブ部
1b 脚部
1c 凹み
2 ロッド
3 下部鍛造ダイ
5 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造され、次いで鍛造される、一又は二以上の凹みを備えた部品の製造方法であって:
− 得られる最終部品の有益なあるいは必要な形状に合致する一又は二以上の穴の開いた凹みあるいは止まり穴の凹みを含む鋳造プレフォームを形成する段階と;
− プレフォームを、該プレフォームの温度を一様に保持するトンネル炉に移動する段階と;
− 鋳造プレフォームをプレス上に配備された圧造ダイに位置づける段階と;
− 鍛造作業の前に、コマンドにより、一又は二以上の多方向ロッドを鋳造プレフォームの凹みあるいは空洞に一又は複数のロッドを導入する段階と;
− 形作られた凹みの中にロッドが一時的に位置付けられている間にロッドを受けるプレフォームを所定の大きさにする段階と;
− 上部鍛造ダイを持ち上げて鍛造されたプレフォームを自由にする段階と;
− 凹みに位置付けられたロッドを引き出す段階と;
− 鍛造されたプレフォームを取り外す段階と;
を実施することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−140069(P2011−140069A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36836(P2011−36836)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2001−392644(P2001−392644)の分割
【原出願日】平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願人】(599061176)
【Fターム(参考)】