説明

一時染毛用組成物

【課題】毛髪からの液ダレがなく塗布することができ、毛髪への着色剤の定着性に優れる一時染毛用組成物の提供。更には、べたつき、きしみ、ごわつきがなく風合いに優れるとともに、汗や雨などによる色落ちや摩擦などによる衣類、皮膚などへの色移りを防ぐ一時染毛用組成物の提供。
【解決手段】(A)着色剤、(B)皮膜形成剤、(C)陽イオン性界面活性剤および(D)高級アルコールを含有してなる一時染毛用組成物とする。所望により、(E)グリセリンおよび/又はポリグリセリンを含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時染毛用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、毛髪が本来有する自然な艶や滑らかさが重要視されてきている。その反面、依然としておしゃれ染めなどの毛髪の色調を変化させる願望もある。しかしながら、毛髪を毛髪脱色剤で脱色したり、酸化染毛剤でヘアカラーすると、毛髪に損傷を与えてしまい、毛髪本来の艶や滑らかさが消失してしまう。そのため、毛髪に損傷を与えずに、一時的に毛髪の色調を変化させる、一時染毛剤でヘアカラーする人が増えてきている。
【0003】
これまでの一時的に毛髪を着色させる技術としては、皮膜形成剤を固定剤として用い、毛髪を着色する試みがなされている。例えば、ポリマー、顔料および溶剤を含有する一時染毛剤組成物(例えば、特許文献1を参照)、顔料、ゲル化剤、油性物質およびフィルム形成性ポリマーを含有するジェル状一時染毛剤組成物(例えば、特許文献2を参照)、顔料、ゲル化剤、フィルム形成ポリマーおよびシリコーン変性ポリマーを含有するジェル状一時染毛剤組成物(例えば、特許文献3を参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、このような試みに拠って顔料を毛髪に固定することはできるものの、毛髪を単に着色しているにすぎず、汗や雨などにより色落ちするといった問題や、耐磨耗性が十分でないため、形成されたフィルムが剥離し、衣類、皮膚などへ顔料が色移りするといった問題がある。また、フィルム形成ポリマー特有のべたつき、きしみ、ごわつきなどの風合いに優れないといった問題もある。加えて、従来の一時染毛剤は、ジェル状を有しているものが多く、そのため毛髪の一部分のみを染毛したい場合、毛髪からの液ダレにより、目的としない毛髪への色移りが生じ、施術し難いといった問題も有している。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−218613号公報
【特許文献2】特開平10−158129号公報
【特許文献3】特開2005−239626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、毛髪からの液ダレがなく塗布することができ、毛髪への着色剤の定着性に優れる一時染毛用組成物を提供することを課題とする。更には、べたつき、きしみ、ごわつきがなく風合いに優れるとともに、汗や雨などによる色落ちや摩擦などによる衣類、皮膚などへの色移りを防ぐ一時染毛用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)着色剤、(B)皮膜形成剤、(C)陽イオン性界面活性剤および(D)高級アルコールを含有してなる一時染毛用組成物、
〔2〕前記(A)成分が、パール顔料である前記〔1〕記載の一時染毛用組成物、
〔3〕前記(B)成分が、ポリビニルピロリドンおよび/又は酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体と、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩である前記〔1〕又は〔2〕記載の一時染毛用組成物、
〔4〕更に、(E)グリセリンおよび/又はポリグリセリンを含有してなる前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の一時染毛用組成物、
〔5〕実質的に、非イオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の一時染毛用組成物、並びに
〔6〕組成物の性状が、ワックス状であることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の一時染毛用組成物
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一時染毛用組成物は、塗布時の速乾性に優れることから、部分的に染毛する場合であっても、望む毛髪部位のみを染毛することができ、染毛を目的としない毛髪への色移りを抑制することができるという効果を奏する。また、べたつき感、きしみ感、ごわつき感を抑制し、優れた風合いを付与することができる。更には、着色剤の定着性にも優れることから、汗や雨などによる色落ちや摩擦などによる衣類、皮膚などへの色移りを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一時染毛用組成物は、(A)着色剤、(B)皮膜形成剤、(C)陽イオン性界面活性剤および(D)高級アルコールを含有する。
【0010】
(A)成分の着色剤としては、無機顔料、有機顔料、パール顔料、積層粉体などが挙げられる。無機顔料の具体例としては、酸化鉄、群青、酸化クロム、カーボンブラックなどの有色顔料;酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの白色顔料;タルク、マイカ、カオリンなどの体質顔料を例示することができる。有機顔料の具体例としては、レーキ、不溶性色素などを例示することができる。パール顔料の具体例としては、パール粉末、オキシ塩化ビスマス、雲母、金属酸化物被覆雲母(例えば、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母、酸化鉄・黒酸化鉄被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、酸化鉄・コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタンなど)、金属酸化物被覆アルミナフレーク、金属酸化物被覆シリカフレーク、多層コートパール顔料(例えば、TiO−SiO−TiO−Micaなど)などを例示することができる。積層粉体の具体例としては、アルミニウム、金、銀などの金属層を有していてもよいポリエステル−エポキシ樹脂積層体、ポリエステル−アクリル樹脂積層体、ポリエステル−ポリオレフィン樹脂積層体などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0011】
用いる着色剤の大きさは、容器に収納した際の審美性および毛髪上で美しい光沢を有する観点から、無機顔料、有機顔料、パール顔料の場合、平均粒径が5〜200μmのものが好ましく、10〜50μmのものがより好ましい。また、積層粉体を用いる場合、平面面積が0.001〜0.5mmのものが好ましく、0.001〜0.3mmのものがより好ましい。尚、平面面積とは、積層粉体の一方の平面における面積を意味する。
【0012】
好適な(A)成分としては、毛髪上で美しい光沢を有し、明るい髪を演出する観点から、パール顔料を用いることが好ましい。
【0013】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、光沢の美しさおよび明るい髪を演出する観点から、組成物中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、剥離による色落ちや色移りの観点から、組成物中、15重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0014】
また、本発明の一時染毛用組成物には、調色の目的で染料を含有させることができる。染料としては、特に限定はされないが、例えば、黄色403号(1)などのニトロ系色素;だいだい色205号、黄色4号、黒色401号などのアゾ染料、緑色401号などのニトロソ染料;青色205号などのトリフェニルメタン染料;赤色106号、黄色202号(1)などのキサンテン染料;黄色203号などのキノリン染料、紫色401号、緑色201号などのアントラキノン染料;青色2号などのインジゴ染料、緑色204号などのピレン系タール染料などが好適に使用される。
【0015】
(B)成分の具体例としては、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカル・ボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0016】
好適な(B)成分としては、着色剤の毛髪への定着性を付与する観点から、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体を用いることが好ましく、中でも、定着を強固なものとし、汗や雨などによる色落ちを防ぎ、衣類などへの色移りを抑制する観点から、ポリビニルピロリドンおよび/又は酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体と、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩とを併用することがより好ましい。
【0017】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、着色剤の定着性の観点から、組成物中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、風合いの観点から、組成物中、15重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0018】
(C)成分の陽イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ジオクチルアミン、ジメチルステアリルアミン、トリラウリルアミンなどのアルキルアミン塩;ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどの脂肪酸アミドアミン塩;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(20〜22)トリメチルアンモニウムなどのモノアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウムなどのジアルキル型4級アンモニウム塩;塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウムなどのトリアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ベンザルコニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのベンザルコニウム型4級アンモニウム塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0019】
(C)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、塗布時の速乾性を付与し、毛髪からの液ダレを防止する観点から、組成物中、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、風合いの観点から、3重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、組成物中、0.01〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0020】
(D)成分の高級アルコールの具体例としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの炭素数12〜22の高級アルコールを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0021】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、毛髪からの液ダレを防止する観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%以上である。また、風合いの観点から、15重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、組成物中、1〜15重量%が好ましく、より好ましくは2〜10重量%である。
【0022】
また、本発明の一時染毛用組成物には、(E)グリセリンおよびポリグリセリンを含有させることができる。(E)成分の具体例としては、例えば、グリセリン;ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグセリンなどのポリグリセリンを例示することができる。また、「医薬部外品原料規格2006」に掲載されている平均重合度が2〜10の範囲にあるポリグリセリンであってもよい。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0023】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、毛髪からの液ダレを防止し、着色剤の定着性を向上させる観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは4重量%以上である。また、風合いの観点から、20重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、組成物中、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは4〜15重量%である。
【0024】
更に、本発明の一時染毛用組成物には、毛髪上での延展性を良好な粘度に調整するために、グリコール類を含有させることができる。用いられるグリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0025】
グリコール類の含有量は特に限定されないが、毛髪上での延展性を向上させる観点から、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、風合いの観点から、15重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下である。これらの観点から、グリコール類の含有量は、組成物中、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0026】
また、本発明の一時染毛用組成物には、実質的に非イオン性界面活性剤は含有しないことが好ましい。これにより、べたつき感を抑え、優れた風合いを付与することがより可能となる。尚、本発明における「実質的に非イオン性界面活性剤を含有しない」とは、「別途、非イオン性界面活性剤を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含有される少量の非イオン性界面活性剤までを除外するものではない。
【0027】
本発明の組成物の性状は、着色剤の分散性を良好に発揮させる観点から、ジェル状やワックス状とすることが好ましく、中でも、毛髪からの液ダレを防止し、望む毛髪部位のみを染毛できる観点から、ワックス状とすることがより好ましい。尚、本発明におけるワックス状とは、1〜30℃の室温下で固化した状態の剤型であり、広口容器に充填し容器を斜め45度に30秒間傾けた際に、充填した剤が広口容器から垂れ落ちない状態のものを言う。
【0028】
本発明の一時染毛用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、ロウ類、エステル油類、高級脂肪酸、炭化水素類、シリコーン油などの油剤;低級アルコール、増粘剤、糖類、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸化防止剤、ビタミン類、植物抽出物、pH調整剤、防腐剤、水などを目的に応じて適宜配合することができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、配合量は各皮膜形成剤としての純分に換算した。
【0030】
(試料の調製)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜5および比較例1〜5の各一時染毛用組成物を常法により調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0031】
(試験用毛束の調製)
23℃、湿度60%の恒温恒湿下で一晩放置した毛束(長さ10cm、幅0.8cm、重量1g)に各実施例および各比較例で得られた一時染毛用組成物を0.5g塗布し、指先で均一にのばして毛束の厚みを均一にしたものを試験用毛束とした。
【0032】
(試験例1:性状)
各実施例および各比較例で得られた試料の性状を、目視で評価した。
【0033】
(試験例2:速乾性の評価)
官能評価パネル20名により、各試料塗布直後のべたつき感のなさ(速乾性)を下記の評価基準に従って官能評価した。
【0034】
<速乾性の評価基準>
○:20名中16名以上がべたつかず速乾性があると回答
△:20名中10〜15名がべたつかず速乾性があると回答
×:20名中9名以下がべたつかず速乾性があると回答
【0035】
(試験例3:毛髪への色移りの評価)
官能評価パネル20名により、試験例2の評価後の試験用毛束を、無処理毛束で3回撫で付けてもらい、無処理毛束への色移りを下記の評価基準に従って評価した。
【0036】
<毛髪への色移りの評価基準>
○:20名中16名以上が色移りしないと回答
△:20名中10〜15名が色移りしないと回答
×:20名中9名以下が色移りしないと回答
【0037】
(試験例4:風合いの評価)
官能評価パネル20名により、試験例3の評価後、23℃、湿度60%の恒温恒湿下で30分間放置した試験用毛束のべたつき感、きしみ感およびごわつき感について、下記の評価基準に従って官能評価した。
【0038】
<べたつき感の評価基準>
○:20名中16名以上がべたつかないと回答
△:20名中10〜15名がべたつかないと回答
×:20名中9名以下がべたつかないと回答
【0039】
<きしみ感の評価基準>
○:20名中16名以上がきしみ感がないと回答
△:20名中10〜15名がきしみ感がないと回答
×:20名中9名以下がきしみ感がないと回答
【0040】
<ごわつき感の評価基準>
○:20名中16名以上がきしみ感がないと回答
△:20名中10〜15名がごわつき感がないと回答
×:20名中9名以下がごわつき感がないと回答
【0041】
(試験例5:毛髪への着色剤の定着性および着色剤の色移りの評価)
各試料を塗布し、23℃、湿度60%の恒温恒湿下で24時間放置後、指先で上から下へ連続して10回コーミングし、毛束から1m離れて観察を行ったときの着色剤の定着状態を目視にて下記の評価基準に従って評価した。併せて、コーミングしたときの指先への着色剤の色移りを、下記の評価基準に従って評価した。
【0042】
<定着性の評価基準>
○:着色剤が毛髪に定着し、剥離が認められない
△:着色剤の毛髪からの剥離が認められる
×:50cm以内からの観察でも毛髪に着色剤が認められない
【0043】
<色移りの評価基準>
○:指先への着色剤の色移りが認められない
△:指先への着色剤の色移りが若干認められる
×:指先への着色剤の色移りが明らかに認められる
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた一時染毛用組成物は、各比較例で得られたものと対比して、速乾性に優れ、染毛を目的としない毛髪への色移りがないことが分かる。また、べたつき感、きしみ感、ごわつき感がなく風合いにも優れていることが分かる。更に、塗布24時間後においても色移りがなく、着色剤の定着性に格段優れた効果を発揮していることが分かる。
【0047】
以下、本発明に係る一時染毛用組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0048】
(処方例1:一時染毛用組成物)
パラフィンワックス 2.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
グリセリン 4.0
セチルアルコール 5.5
ポリビニルピロリドン 5.0
ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸
共重合体ジエチル硫酸塩 1.0
キサンタンガム 0.5
カーボンブラック 10.0
精製水 残 部
合 計 100.0
【0049】
(処方例2:一時染毛用組成物)
ステアリン酸ステアリル 2.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
ジグリセリン 6.0
セトステアリルアルコール 6.0
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体 1.5
ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸
共重合体ジエチル硫酸塩 0.2
パントテニルアルコール 1.5
ポリエチレングリコール 0.1
黒酸化鉄被覆雲母チタン 5.0
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)皮膜形成剤、(C)陽イオン性界面活性剤および(D)高級アルコールを含有してなる一時染毛用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、パール顔料である請求項1記載の一時染毛用組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、ポリビニルピロリドンおよび/又は酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体と、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩である請求項1又は2記載の一時染毛用組成物。
【請求項4】
更に、(E)グリセリンおよび/又はポリグリセリンを含有してなる請求項1〜3の何れかに記載の一時染毛用組成物。
【請求項5】
実質的に、非イオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の一時染毛用組成物。
【請求項6】
組成物の性状が、ワックス状であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の一時染毛用組成物。

【公開番号】特開2009−29719(P2009−29719A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192532(P2007−192532)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】