説明

一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物

2以下のpHを有する一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物であって、(a)重合性酸性リン酸エステルモノマー、(b)1種類以上の重合性酸性モノマー、(c)重合性N置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマー、(d)任意で、有機及び/又は無機酸、(e)有機系水溶性溶媒及び/又は水、及び(f)重合開始剤、抑制剤及び安定剤を含む、一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以下のpHを有する一液型(one-part)自己エッチング自己プライマー処理(self-priming)の歯科用接着剤組成物であって、重合性リン酸エステル誘導体と、さらに重合性酸性モノマーとを含有する歯科用接着剤組成物に関する。前記重合性リン酸エステル誘導体は、酸性媒体中での加水分解に対して抵抗性である。
【背景技術】
【0002】
[技術的背景]
WO03/013444には、一液型自己プライマー処理の歯科用接着剤が開示されている。WO03/013444は、重合性酸性リン酸エステルモノマーを含有する歯科用接着剤組成物に関するものではない。
【0003】
現在、自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤は、従来の重合性酸性エステルモノマーの加水分解安定性が低いため、二液型(two-part)から構成されたものである。低い加水分解安定性は、水又は水/溶媒混合物中での酸性の接着剤モノマーの加水分解に起因する。したがって、既知の酸性の接着剤モノマーは、無水状態で保存し、その水性液と適用直前に混合しなければならない。
【0004】
多くの場合、硫酸及びリン酸エステル基が、酸性重合性接着剤モノマーに用いられる。しかしながら、これらの酸性基は、該モノマー内のアクリルエステル部分及びメタクリルエステル部分並びにリン酸エステル基を加水分解する(Moszner他, Macromol. Chem. Phys. 2000, 1062, (1999)、DE19918974、EP1169996)。これらの不利点を克服するため、重合性ホスホン酸エステルモノマーが、Mosznerらによって提案された(Macromol. Chem. Phys. 2000, 1062, (1999)、DE19918974及びEP1169996)。さらにまた、US4,539,382には、1個のホスホン酸基を有するモノ(メタ)アクリルアミドが開示されている。しかしながら、これらのモノマーは、依然として加水分解性(メタ)アクリル酸エステル部分を含む。したがって、2−(オキサアルキル)アクリレート系のホスホン酸エステル基を有するモノマーが、DE19746708にて提案された。しかしながら、これらのホスホン酸誘導体もまた、酸性溶液中で加水分解する傾向にある。したがって、一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物を提供することは可能ではなかった。一液型組成物とは、前記組成物が、貯蔵することができる1つだけの容器内に含まれることを意味する。これにより、適用前に全く混合することなく、且つなんら特定の器具を使用せず前記組成物の適用が可能になる。自己エッチングとは、歯科用接着剤組成物が、別途の方法の工程でエナメル質の予備的エッチングを何ら用いずに歯に適用することができることを意味する。自己エッチングの特徴を提供するためには、前記組成物は酸性でなければならない。自己プライマー処理とは、歯科用接着剤組成物が、プライマー剤の予備的適用を何ら用いずに歯に適用することができることを意味する。
【0005】
実際面では、従来技術のモノマーは、プライマー液及び結合液から成る二液型歯科用においてのみ用いることができた。これらの二液系歯科用接着剤系は、順次、又は2液を混合した後の一工程でのいずれかで適用される。どちらの手順も、順次の工程間に起こり得る臨床上の複雑性(唾液又は血液による汚染)による、又は自己エッチング接着剤の適用前に混合を要する場合における分配の問題による固有の不都合点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの臨床上の問題を解決するためには、自己プライマー処理且つ自己エッチングの接着剤を一液型の系として提供し、順次適用又は予備混合の必要性を排除することが望ましい。
【0007】
ホスホン酸誘導体を含有する従来技術のモノマーのさらなる不都合点は、以下のとおりである:ホスホン酸はリン酸より酸性が弱い。したがって、歯科用組成物の自己エッチングの特徴を得るためには、さらなる酸が必要とされる。しかしながら、さらなる酸は、一般的に、加水分解による前記モノマーの崩壊を増大させる。さらに、ホスホン酸誘導体を作製するための中間体は毒性である。したがって、この調製方法は、危険であり、且つより複雑である。さらに、ホスホン酸エステル誘導体は、リン酸誘導体よりも高価である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の説明]
重合性ホスホン酸誘導体における前記の必要性及び不都合は、
2以下のpHを有する一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物により解決されるが、本組成物は、
(a)重合性酸性リン酸エステルモノマーであって、下記式(A):
【化1】

〔式中、
Y部分は、互いに独立して、水素原子又は、下記式(Y):
【化2】

(式中、
は、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10であり、
(式中、
10及びR20は、独立して、
水素原子、
任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、
任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、2つのRの残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、
また、ここでは、前記の任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。)、
Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基(ここでは、bは、前記式(A)中の前記Yが大きな丸括弧(bracketsis)内にあるときは1である)を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されている。)の部分を表し、
aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である。)
bは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、
ただし、前記Yの少なくとも1個は水素でないものとする。〕
の重合性酸性リン酸エステルモノマーと、
(b)1種類以上の重合性酸性モノマーであって、
(b1)重合性酸性モノマーであって、下記式(B):
【化3】

(式中、
及びRは、独立して、
水素原子、
任意で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキル基、
任意で置換されたC5〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、前記任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよく、
は、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄のようなヘテロ原子を含有する(c+d)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるc+d個の炭素原子を含み、前記c+d個の炭素原子の各々は、ホスホン酸基又は任意で置換されたアクリルアミド基と連結されており、及び
c及びdは、独立して、1〜10の整数を表す。)の重合性酸性モノマー、
(b2)重合性酸性モノマーであって、下記式(C):
【化4】

(式中、
は、独立して、Zについて定義したものと同じ意味を有し、
は、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(e+f)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるe+f個の炭素原子を含み、前記e+f個の炭素原子の各々は、スルホン酸基又は任意で置換された2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と結合されており、
e及びfは、独立して、1〜10の整数を表す。)の重合性モノマー、及び
(b3)酸性モノマーであって、下記式(D):
【化5】

(式中、
及びRは、独立して、
水素原子、
任意で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキル基、
任意で置換されたC5〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、前記の任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよく、
は、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(g+h)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるg+h個の炭素原子を含み、前記g+h個の炭素原子の各々は、スルホン酸基又は任意で置換されたアクリルアミド基と連結されており、
g及びhは、独立して、1〜10の整数を表す)の酸性モノマー
から成る群より選択される、1種類以上の重合性酸性モノマーと、
(c)重合性N置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマー、
(d) 任意で、有機及び/又は無機酸と、
(e) 有機系水溶性溶媒及び/又は水と、
(f) 重合開始剤、抑制剤及び安定剤と
を含む。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物は、
下記式(A−1):
【化6】

〔式中、
は、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10であり、
(式中、
10及びR20は、独立して、
水素原子、
任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、
任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、2つのR10の残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、
また、ここでは、任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。)、
Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されており、
aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、
bは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である。〕
の重合性酸性リン酸エステルモノマーを含む。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施形態では、一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物は、式(A)においてY部分がいずれも水素原子でない重合性酸性リン酸エステルモノマーを含む。この場合、bは、好ましくは1〜5、より好ましくは1の整数である。
【0011】
本発明は、また、
下記式(A):
【化7】

〔式中、
Y部分は、互いに独立して、下記式(Y):
【化8】

(式中、
は、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10であり、
(式中、
10及びR20は、独立して、
水素原子、
任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、
任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、2つのRの残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、
また、ここでは、前記の任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。)、
Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基(ここでは、bは、前記式(A)中の前記Yが大きな丸括弧内にあるときは1である。)を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されている。)の部分を表し、
aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、
bは、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1である。〕
の重合性酸性リン酸エステルモノマーを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[発明の詳細な説明]
式(A)において、存在するZは、独立して、−COOR10、−COSR20、−CON(R10、−CONR1020、又は−CONHR10を表すことができる。R10及びR20は、独立して、水素原子、任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、任意で置換されたC18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は任意で置換されたC30アラルキル基を表し、ここでは、2つのR10残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、また、ここでは、任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びヘキシルである。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。ヘテロアリール基の例は、フリル及びピリジルである。アラルキル基の一例は、ベンジルである。
【0013】
式(A)において、Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結している。本発明の重合性リン酸エステル誘導体内の有機残基Lは、さらなる炭素、水素、及びヘテロ原子、好ましくは、酸素及び硫黄原子を含むことができるが、ここでは、酸素原子が特に好ましい。さらなる原子の数はさまざまとすることができ、限定されない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、2〜45個、好ましくは30個まで、より好ましくは18個まで、最も好ましくは10個までの炭素原子を含むことができる。また、さらなるヘテロ原子の数も限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、1〜10個のヘテロ原子、好ましくは、酸素原子を含むことができる。本発明の好ましい実施形態では、有機残基Lは、少なくとも2個の前記第一級脂肪族炭素原子、及び任意で1個以上の前記第二級脂肪族炭素原子を有する(a+b)価の飽和脂肪族C〜C18基であり、ここでは、前記(a+b)価の基は、C〜Cアルキル基で置換されていてもよく;又は1〜14個の酸素原子を有するC〜C45モノ−、ジ−若しくはポリエーテルであり、前記第一級及び/又は第二級脂肪族炭素原子を有する少なくとも2個のC〜C10脂肪族基で置換されており、ここでは、前記エーテルは、任意で、C〜Cアルキル基で置換されていてもよい。かかるC〜Cアルキル基の数は、さまざまとすることができる。好ましくは、前記エーテルは、1〜15、より好ましくは1〜5個のC〜Cアルキル基で置換されたものとすることができる。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、有機残基Lは、0〜4個、好ましくは0〜3個、より好ましくは0又は1個の前記第二級脂環式炭素原子を有する飽和C〜C環式、C〜C15二環式若しくは多環式炭化水素基;及び/又は0〜5個、好ましくは0〜3個、より好ましくは0若しくは1個の前記芳香族炭素原子を有するC〜C18アリール若しくはヘテロアリール基を表し、ここでは、前記飽和炭化水素又はアリール若しくはヘテロアリール基は、0〜5個のC〜Cアルキル基、前記第一級及び/又は第二級脂肪族炭素原子を有する0〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個の飽和C〜C10脂肪族基、及び/又は0〜2個の下記式の1つによる二価残基で置換され:
−[O−CHCH−]−(式中、fは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である;
−[O−CHCHCH−]−(式中、gは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である);
−[O−R12−(式中、R12は、−CH(CH)−CH−又は−CH−CH(CH)−であり、hは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である);
−[−O−R14−[O−R15−又は−[O−R15−[O−R14−(式中、R14は、−CHCH−であり、R15は、−CH(CH)−CH−若しくは
−CH−CH(CH)−であり、i、j、k及びlは、2i+3j≦15及び2k+3l≦15の整数である)、
−[O−CHCHCHCH−]−(式中、rは、1又は2の整数である);
ここで、前記二価残基は、前記第一級脂肪族炭素原子の1つを有する;ここでは、前記飽和炭化水素、アリール及びヘテロアリール基から選択される2つの基は、任意で、単結合、アルキレン基又は−O−で連結されていてもよい。前記アルキレン基は、C〜Cアルキレン基であってもよい。好ましくは、これは、C〜Cアルキレン基であり、ここでは、イソ−プロピレン基が特に好ましい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、有機残基Lは、少なくとも2個の前記第二級脂環式炭素原子を有する(a+b)価の飽和C〜C環式又はC〜C15二環式若しくは三環式炭化水素基;2〜6個の前記芳香族炭素原子を有する(a+b)価の飽和C〜C18アリール若しくはヘテロアリール基;少なくとも1個の前記芳香族炭素原子、少なくとも1個の前記第二級脂肪族炭素原子、及び任意で1個の前記第一級脂肪族炭素原子を、アルキルアリール若しくはアルキルへテロアリール基のアルキル部分の末端端部に有する(a+b)価のC〜C18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基;又は少なくとも1個の前記第一級脂肪族炭素原子及び少なくとも1個の前記第二級脂肪族炭素原子を有する(a+b)価のC〜C30アラルキル基である。
【0017】
式(A)において、aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、bは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である。
【0018】
特に好ましい重合性リン酸エステル誘導体は、下記式:
【0019】
【化9】

【0020】
(式中、
Zは前記定義のZであり、Rは、二価のC〜C18アルキレン基、二価のC〜Cシクロアルキレン基、二価のC〜C18アリール若しくはヘテロアリール基、二価のC〜C18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、二価のC〜C30アラルキル基を表し、ここでは、前記の基は、1〜5個のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい。)
の1つを有するものである。
【0021】
前記式における重合性リン酸エステル誘導体は、多数の重合性2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基及び/又は多数の酸性リン酸基が1つの分子に連結されているという利点を有する。これにより、かかる化合物を含む歯科用組成物の自己プライマー処理特性の特徴及び自己エッチングの特徴を調整することが可能になる。1分子当りの多量の2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基は、本発明の重合性リン酸エステル誘導体を含む歯科用接着剤組成物の接着強度を増強する。1分子当りの多量のリン酸基により、本発明の重合性リン酸エステル誘導体を含む歯科用組成物の自己エッチングの特徴が増強される。本発明のさらなる実施形態では、重合性リン酸エステル誘導体は、前記式の式中のRが、下記式:
−[CHCH−O−]−CHCH−(式中、mは、1〜14の整数である)、
−[CHCHCH−O−]−CHCHCH−(式中、pは、1〜14の整数である)、
−[R12−O]−R13−(式中、R12及びR13は、−CH(CH)−CH−又は−CH−CH(CH)−とすることができ、qは1〜14である)、
−[R14−O]−[R15−O]−R14−又は−[R14−O]−[R15−O]−R15−(式中、R14は−CHCH−であり、R15は−CH(CH)−CH−又は−CH−CH(CH)−であり、r、s、t及びuは、2r+3s≦43及び2t+3u≦42の整数である)、
−[CHCHCHCH−O−]−CHCHCHCH−(式中、rは1又は2である)
【0022】
【化10】

又は、
【化11】

【0023】
(式中、R16及びR17は、H又は−CHであり、x及びyは、独立して、0〜10、好ましくは0〜5の整数とすることができる)
の1つによる二価残基であるものを有する。
【0024】
特に好ましいのは、前記に定義したような重合性リン酸エステル誘導体であり、前記(a+b)個の炭素原子が第一級脂肪族炭素原子であるものである。
【0025】
本発明の重合性リン酸エステル誘導体は、酸性条件下で、好ましくは、4以下のpHで、より好ましくは2以下のpHで、最も好ましくは、1.0のpHで加水分解安定性である。
【0026】
本発明の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物は、式(A)の重合性酸性リン酸エステルモノマーの他に、式(B)、(C)及び(D)の重合性酸性モノマーから成る群より選択される1種類以上の重合性酸性モノマーを含む。
【0027】
式(B)において、R及びRは、独立して、水素原子、任意で置換されたC1〜18アルキル基、任意で置換されたC〜C18シクロアルキル基、任意で置換されたC18アリール若しくはヘテロアリール基、任意で置換されたC18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は任意で置換されたC7〜30アラルキル基を表し、ここでは、前記の任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルである。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。ヘテロアリール基の例は、フリル及びピリジルである。アラルキル基の一例は、ベンジルである。
【0028】
式(B)において、Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄のようなヘテロ原子を含有する(c+d)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるc+d個の炭素原子を含み、前記c+d個の炭素原子の各々は、ホスホン酸基又は任意で置換されたアクリルアミド基と連結している。本発明の重合性リン酸誘導体における有機残基Lは、さらなる炭素、水素、及びヘテロ原子、好ましくは、酸素及び硫黄原子を含むことができ、ここでは、酸素原子が特に好ましい。さらなる原子の数はさまざまとすることができ、限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、2〜45個、好ましくは30個まで、より好ましくは18個まで、最も好ましくは10個までの炭素原子を含有することができる。また、さらなるヘテロ原子の数も限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、1〜10個のヘテロ原子、好ましくは1個又は複数の酸素原子を含有することができる。
【0029】
式(B)において、c及びdは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0030】
式(C)において、Zは、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10を表すことができる。R10及びR20は、式(A)とは独立して、水素原子、任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、任意で置換されたCシクロアルキル基、任意で置換されたC18アリール若しくはヘテロアリール基、任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は任意で置換されたC7〜30アラルキル基を表し、ここでは、2つのR10残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、また、ここでは、任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルである。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。ヘテロアリール基の例は、フリル及びピリジルである。アラルキル基の一例は、ベンジルである。
【0031】
式(C)において、Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(e+f)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるe+f個の炭素原子を含み、前記e+f個の炭素原子の各々は、スルホン酸基又は任意で置換された2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されている。本発明の重合性スルホン酸誘導体における有機残基Lは、さらなる炭素、水素、及びヘテロ原子、好ましくは、酸素及び硫黄原子を含むことができ、ここでは、酸素原子が特に好ましい。さらなる原子の数はさまざまとすることができ、限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、2〜45個、好ましくは30個まで、より好ましくは18個まで、最も好ましくは10個までの炭素原子を含有することができる。また、さらなるヘテロ原子の数も限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、1〜10個のヘテロ原子、好ましくは1個又は複数の酸素原子を含有することができる。
【0032】
式(C)において、e及びfは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0033】
式(D)において、R及びRは、独立して、水素原子、任意で置換されたC1〜18アルキル基、任意で置換されたC18シクロアルキル基、任意で置換されたC18アリール若しくはヘテロアリール基、任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、任意で置換されたC7〜30アラルキル基を表し、ここでは、前記の任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルである。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。アリール基の例は、フェニル及びナフチルである。ヘテロアリール基の例は、フリル及びピリジルである。アラルキル基の一例は、ベンジルである。
【0034】
式(D)において、Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(g+h)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるg+h個の炭素原子を含み、前記g+h個の炭素原子の各々は、スルホン酸基又は任意で置換されたアクリルアミド基と連結されている。本発明の重合性スルホン酸誘導体における有機残基Lは、さらなる炭素、水素、及びヘテロ原子、好ましくは、酸素及び硫黄原子を含むことができ、ここでは、酸素原子が特に好ましい。さらなる原子の数はさまざまとすることができ、限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、2〜45個、好ましくは30個まで、より好ましくは18個まで、最も好ましくは10個までの炭素原子を含有することができる。また、さらなるヘテロ原子の数は限定されない。本発明の好ましい実施形態によれば、Lは、1〜10個のヘテロ原子、好ましくは1個又は複数の酸素原子を含有することができる。
【0035】
式(D)において、g及びhは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0036】
好ましくは、式(D)の重合性モノマーは、
下記式:
【0037】
【化12】

【0038】
の1つであることを特徴とする。
【0039】
本発明の重合性リン酸エステル誘導体は、リン酸基が存在するにもかかわらず、驚くべき高い加水分解安定性を有する。驚くべきことに、当該2−(オキサ−エチル)基及びリン酸エステル基は、ともに酸性条件下で加水分解安定性である。特に、加水分解安定性は、4以下のpHで、好ましくは2以下のpHで、最も好ましくは1.0のpHで存在する。したがって、本発明の重合性リン酸エステル誘導体は、好都合なワンパック型(one-pack)自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物の調製を可能にする。
【0040】
ワンパック型組成物とは、本発明の組成物が、保存することができる1つだけの容器内に含まれ、適用前に全く混合することなく、且つなんら特定の器具を使用することなく前記組成物の適用を可能にすることを意味する。
【0041】
自己エッチングとは、本発明の歯科用接着剤組成物が、別途の方法の工程でエナメル質の予備的エッチングを全くせずに歯に適用することができることを意味する。特に、本発明の重合性リン酸エステル誘導体は、少なくとも1週間、50℃の保存温度で加水分解安定性である歯科用組成物の調製を可能にし、ここでは、かかる保存後において、かかる歯科用組成物から調製される接着剤の、エナメル質及び/又は象牙質に対する接着強度は少なくとも10MPa、好ましくは15MPaである。本発明の化合物の高い加水分解安定性により、優れた貯蔵寿命を有する一液型自己エッチング且つ自己プライマー処理の系を調製することができる。
【0042】
本発明の重合性リン酸エステル誘導体のさらなる利点は、リン酸誘導体がホスホン酸誘導体よりも強酸性であることである。
【0043】
本発明による歯科用組成物は、酸をさらに含有することができ、ここでは、組成物のpHは容易に調製され得る。驚くべきことに、より強酸性の本発明のリン酸誘導体もさらなる1種類又は複数種類の酸もいずれも、加水分解安定性を低下させない。さらに、リン酸誘導体の作製の中間体は毒性でない。したがって、この調製方法は安全であり、本発明の重合性リン酸エステル誘導体の調製方法をより容易に行うことができる。さらに、リン酸エステル誘導体は、一般的に、ホスホン酸誘導体よりも安価である。
【0044】
本発明の重合性リン酸エステル誘導体は、
(i)式(HO)−L−(OH)(I)のジオール又はポリオールを、式(II):
【0045】
【化13】

【0046】
(式中、Z、L、a及びbは、前記に定義したとおりであり、特に、式中、Lは前記に定義したRであり、
Xは、1分子あたりb個のヒドロキシル基を有する化合物(III)を生成するための脱離基である)
の化合物と反応させる工程、及び
(ii)化合物(III)を、ヒドロキシル基と反応性であるリン酸誘導体(IV)と反応させる工程
を含む方法によって調製することができる。
【0047】
好ましくは、脱離基Xはハロゲン原子である。Xが塩素又は臭素原子であることが特に好ましく、ここでは、塩素原子が最も好ましい。
【0048】
前記方法における化合物(II)とジオール又はポリオール(I)との当量比は、約a:1とすることができる。さらに、化合物(III)と(IV)との当量比は、式(A−1)の化合物を調製するためにはb:1とすることができる。化合物(III)をより高当量(例えば、b:2まで)で使用する場合、リン酸ジエステルが優勢に形成される。好ましくは、リン酸誘導体(IV)は、三塩化酸化リン(phosphorus trichloride oxide)である。さらに、前記方法は、化合物(III)及び(IV)の反応生成物の加水分解を含むことができる。
【0049】
ポリオールを化合物(I)として使用する場合、ポリオール(I)のb個のヒドロキシル基を保護し、次いで、化合物(II)と反応させた後、工程(ii)を行なう前に脱保護することが好都合とすることができる。ヒドロキシル基を保護するための任意の既知の保護剤を使用することができる。特に好ましいのは、第一級、第二級及び芳香族ヒドロキシル基に好適であるため、3,4−ジヒドロ−2H−ピランである。3,4−ジヒドロ−2H−ピランをアルコールと酸性条件下で反応させると、テトラヒドロ−ピラニルエーテルがもたさられ、これは、塩基性条件下で安定性であり、且つ弱酸により容易に切断又は脱保護することができる。
【0050】
本発明の歯科用組成物は、接着剤、プライマー、セメント、合成物等とすることができる。特に好ましいのは、一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物である。本発明は、前記のような重合性酸性モノマーと重合性N−置換アルキルアクリル酸アミドモノマー若しくはアクリル酸アミドモノマーとの特定の組合せ、有機及び/又は無機酸、有機系水溶性溶媒及び/又は水、並びに
重合開始剤、抑制剤及び安定剤を含む歯科用組成物を提供する。好ましくは、成分(a)及び(b)は、1:100〜100:1の比で含まれる。
【0051】
本発明の歯科用組成物は、2以下の酸性pH、好ましくは約1.0のpHを有する。
【0052】
さらに、本発明の歯科用組成物は、硬化系を含む。かかる硬化系は、重合開始剤、抑制剤及び安定剤を含むことができる。重合開始剤は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤とすることができる。好ましくは、カンファーキノンが使用される。
【0053】
安定剤は、歯科用組成物を安定化するために適用することができる。かかる安定剤は、例えば、ラジカル吸収性モノマー、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、テトラメチルピペリジンN−オキシルラジカル、ガルバノキシルラジカルとすることができる。
【0054】
本発明の特定の実施形態において、歯科用組成物は、充填剤を含むことができる。この充填剤は、無機充填剤及び/又は有機充填剤とすることができる。好ましくは、充填剤はナノ充填剤である。
【0055】
さらに、本発明の歯科用組成物は、有機系水溶性溶媒及び/又は水を含む。有機系水溶性溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;及び/又はアセトン及びメチルエチルケトン等のケトンから選択することができる。特に好ましいのは、アセトン、エタノール及び/又はtert−ブタノールである。
【0056】
本発明によれば、歯科用組成物は、有機及び/又は無機酸を含む。好ましい実施形態では、前記成分(d)の有機酸は、モノカルボン酸又は多価カルボン酸、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸、ギ酸等から成る群より選択され、また、成分(d)の無機酸は、スルホン酸、リン酸、硫酸及びフッ化水素酸から成る群より選択される。
【0057】
前記請求項いずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物、ここで、成分(b)である前記酸性重合性モノマーは、式(C)の重合性酸性モノマーである。
【0058】
本発明の歯科用組成物はまた、重合性N置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマーを含む。
【0059】
好ましくは、成分(c)の重合性N置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマーは、下記式:
【0060】
【化14】

【0061】
(式中、
及びRは、独立して、
水素原子、又は置換されたC〜C18アルキル基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキル基、
任意で置換されたC5〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、
任意で置換されたC7〜30アラルキル基を表すか、又は、2つのR残基が、これらが結合したN原子と一緒に、前記N原子の他にさらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、また、ここでは、置換された基は、1〜5個のC〜Cアルキル基で置換されていてもよく、
は、
1〜45個の炭素原子を有する二価の置換若しくは非置換の有機残基を表し、ここでは、前記有機残基は、1〜14個の酸素及び/又は窒素原子を含有することができ、C〜C18アルキレン基(式中、1〜6個の−CH−基は、−N−(C=O)−CR=CH基(式中、Rは、水素原子又はC〜C18アルキル基、二価の置換若しくは非置換C〜C18シクロアルキル若しくはシクロアルキレン基、二価の置換若しくは非置換C〜C18アリール若しくはヘテロアリール基、二価の置換若しくは非置換C〜C18アルキルアリール若しくはアルキルへテロアリール基、二価の置換若しくは非置換C〜C30アラルキル基、及び1〜14個の酸素原子を有する、二価の置換若しくは非置換C〜C45モノ−、ジ−若しくはポリエーテル基である)基で置き換えられていてもよい。)、特に、
任意で置換されたC1〜18アルキレン基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキレン基、
任意で置換されたC5〜18アリーレン若しくはヘテロアリーレン基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリーレン若しくはアルキルヘテロアリーレン基、
任意で置換されたC7〜30アラルキレン基
から選択され、
は、
飽和した二価若しくは多価の置換若しくは非置換のC〜C18炭化水素基、飽和した二価若しくは多価の置換若しくは非置換の環式C〜C18炭化水素基、二価若しくは多価の置換若しくは非置換のC〜C18アリール若しくはヘテロアリール基、二価若しくは多価の置換若しくは非置換のC〜C18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、二価若しくは多価の置換若しくは非置換のC〜C30アラルキル基、又は1〜14個の酸素原子を有する、二価若しくは多価の置換若しくは非置換のC〜C45モノ−、ジ−若しくはポリエーテル残基、特に、
二価若しくは多価の任意で置換されたC1〜18アルキレン基、
二価若しくは多価の任意で置換されたC3〜18シクロアルキレン基、
二価若しくは多価の任意で置換されたC5〜18アリーレン若しくはヘテロアリーレン基、
二価若しくは多価の任意で置換されたC5〜18アルキルアリーレン若しくはアルキルヘテロアリーレン基、
二価若しくは多価の任意で置換されたC7〜30アラルキレン基を表し、
nは整数であり、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜4である)
の1つであることを特徴とする。
【0062】
より好ましくは、本発明の歯科用組成物は、下記式:
【0063】
【化15】

【化16】

【0064】
の1つであることを特徴とするモノ−、ビス−又はポリ(メタ)アクリルアミドモノマーを含有する。
【0065】
本発明の歯科用組成物は、好ましくは、加水分解安定性の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物である。かかる組成物は、好都合には、例えば少なくとも1週間、50℃の保存温度で加水分解安定性であり、ここでは、かかる保存後において、かかる歯科用組成物から調製される接着剤の、エナメル質及び/又は象牙質に対する接着強度は少なくとも10MPa、好ましくは15MPaである。歯科用組成物は、成分(a)の重合性リン酸エステル誘導体を5〜90重量%含有し得る。好ましい実施形態では、前記成分(e)による有機系水溶性溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンのようなのようなアルコール類及びケトン類から成る群より選択される。
【0066】
好ましくは、本発明による一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物は、前記成分(a)及び(b)の酸性重合性モノマーを5〜90重量%の量で含有する。前記重合開始剤は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤である。光開始剤は、カンファーキノンとすることができる。本発明による一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物において、充填剤は、無機充填剤及び/又は有機充填剤とすることができ、好ましくは、充填剤はナノ充填剤である。前記請求項いずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物において、前記安定剤は、ラジカル吸収性モノマー、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等である。
【0067】
次に、本発明を、以下の実施例によって、より詳細に説明する。
【0068】
実施例1
2−[4−ヒドロキシ−2−オキサブチル]アクリル酸エチル(1)
【0069】
【化17】

【0070】
32.52gのトリフルオロメタンスルホン酸無水物を100mlのジクロロメタン中に含む溶液に、15g(0.115mol)のアクリル酸α−ヒドロキシエチル及び11.66g(0.115mol)のトリエチルアミンを200mlのジクロロメタン中に含む溶液を、反応混合物の温度が5℃未満の状態が継続されるようにゆっくりと添加した。この溶液を室温で210g(1.127mol)の1,2−エタンジオールに滴下した。反応混合物を12時間、室温で攪拌した後、溶液を、逐次、1×200mlの水、2×250mlの炭酸ナトリウム水溶液(25重量%)及び1×200mlの水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。溶媒の蒸発後、油状原料生成物を、15mgのBHTで安定化し、真空蒸留により精製した(63℃/0.032mbar)。これにより、10.12g(収率:50%)の無色透明な油状物が得られた。
【0071】
IR(フィルム,cm−1)3436(OH)、2979、2931、2871(CH/CH)、1710(CO)、1638(C=C)、1453、1373、1304(CH/CH)、1270、1173、1109、1052、953。
H−NMR(250MHz,CDCl,ppm)1.27(t,3H,CH)、2.52(幅の広いs,1H,OH)、3.54−3.63(m,2H,OCHCHO)、3.67−3.78(m,2H,OCHCHO)、4.15−4.24(m,4H,CH(1)及びOCHCH)、5.84(s,1H,CH=C)、6.28(s,1H,CH=C)。
13C−NMR(63MHz,CDCl,ppm) 14.06(CH)、60.74及び61.56(CH(4)及びOCHCH)、69.31及び71.80(CH(1)及びCH(3))、126.21(C=C−CO)、137.03(C=C−CO)、165.82(C=C−CO)。
【0072】
2−[5−ジ水素ホスホリル−5,2−ジオキサペンチル]アクリル酸エチル(2)
【0073】
【化18】

【0074】
15.46g(0.1008mol)のオキシ塩化リンを280mlのジエチルエーテル中に含む溶液の攪拌溶液に、17.56g(0.1008mol)の化合物1及び10.2g(0.1008mol)のトリエチルアミンを含む250mlのジエチルエーテルの溶液を滴下し、この間、温度を5℃未満に維持した。反応混合物を14時間、室温で攪拌した後、これを濾過し、0℃で200mlの水にゆっくりと添加した。得られたエマルジョンを、40分間攪拌すると、層が分離し、水層を2×100mlのジエチルエーテルで洗浄した。水層を100mlまで減らし、4×100mlのジクロロメタンで抽出した。有機画分を合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過及び蒸発した。これにより、19gの黄色油状物が得られた。この原料生成物を400mlの水中に溶解し、3×200mlのジエチルエーテルで洗浄した。回転式蒸発器での水の蒸発及び真空(減圧)(10−3mbar)下での乾燥により、14.18g(収率:55%)の無色透明な油状物が得られた。
【0075】
IR(フィルム,cm−1)3500−2500幅の広い吸収(OH)、2912(CH/CH)、1709(CO)、1637(C=C)、1456、1374(CH/CH)、1261、1178、1105、1014、949。
H−NMR(250MHz,CDCl,ppm)1.25(t,3H,CH)、3.70(幅の広いs,2H,CH)、4.30−4.13(m,6H,CH)、5.87(s,1H,CH=C)、6.27(s,1H,CH=C)、10.71(幅の広いs,2H,PO)。
13C−NMR(63MHz,CDCl,ppm)13.94(CH)、60.94(OCHCH)、66.01(CH(4))、69.25(CH(1))、69.40(CH(3))、127.11(C=C−CO)、136.28(C=C−CO)、166.00(C=C−CO)。
【0076】
2−[5−ジ水素ホスホリル−5,2−ジオキサペンチル]アクリル酸(3)
【0077】
【化19】

【0078】
7.08g(0.0278mol)の化合物2を40mlの水中に含む溶液を、7.88g(0.197mol)の水酸化ナトリウムを70mlの水中に含む溶液に、反応混合物の温度が20℃未満の状態が継続されるように添加した。溶液を23時間、23℃で攪拌した後、2×200mlのジエチルエーテル及び1×100mlのジクロロメタンで洗浄した。水層を、40mlの塩酸水溶液(5n)の添加により酸性化し、この間、溶液の温度を20℃未満に維持した。水溶液を4×100mlのジクロロメタン及び1×100mlのジエチルエーテルで洗浄し、塩化ナトリウムで飽和させ、1×200mlのアセトニトリル及び3×200mlのテトラヒドロフランで抽出した。アセトニトリル画分及びテトラヒドロフラン画分を合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過及び蒸発した。これにより、わずかに赤色を帯びた油状物が得られ、これを、200mlの水中に溶解し、3×200mlのジエチルエーテルで洗浄した。水層の蒸発及び真空(10−3mbar)下での乾燥により、5.78g(収率:91%)の透明な黄色油状物が得られた。
【0079】
IR(フィルム,cm−1)3500−2500幅の広い吸収(OH)、2879(CH/CH)、1693(CO)、1630(C=C)、1446(CH/CH)、1104、966、826、772。
H−NMR(250MHz,d−DMSO,ppm)3.56(m,2H,OCHCHO)、3.92(m,2H,OCHCHO)、4.08(s,2H,CH(1))、5.76(s,1H,CH=C)、6.09(s,1H,CH=C)、10.65(幅の広いs,3H,PO,COH)。
13C−NMR(63MHz,d−DMSO,ppm)65.12(CH(4))、69.07(CH(1))、69.87(CH(3))、125.51(C=C−CO)、138.36(C=C−CO)、167.35(C=C−CO)。
【0080】
実施例2
2−[12−ヒドロキシ−2−オキサドデシル]アクリル酸エチル(1)
【0081】
【化20】

【0082】
54.7gのトリフルオロメタンスルホン酸無水物を210mlのジクロロメタン中に含む溶液に、25g(0.192mol)のアクリル酸α−ヒドロキシエチル及び19.43g(0.192mol)のトリエチルアミンを400mlのジクロロメタン中に含む溶液を、反応混合物の温度が5℃未満の状態が継続されるようにゆっくりと添加した。溶液を45分間、0℃で攪拌した後、これを、室温で、60g(0.344mol)の1,10−デカンジオールを400mlのジクロロメタン中に含む溶液に滴下した。反応混合物を12時間、室温で攪拌した後、溶液を、逐次、2×300mlの炭酸ナトリウム水溶液(1n)及び1×400mlの水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した。原料生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチルを溶出液として用いて予備精製した。この原料生成物を、113mgのBHTで安定化した後、これを、最後に真空蒸留により精製した(>150℃/0.028mbar)。これにより、11.024g(収率:20%)の無色透明な生成物が得られた。
【0083】
IR(フィルム,cm−1)3425(OH)、2926/2855(CH/CH)、1714(CO)、1638(C=C)、1459/1375/1303(CH/CH)、1270/1172/1102/1031/949。
H−NMR(250MHz,CDCl,ppm)1.08−1.24(m,15H,CHCH)、1.24−1.49(m,4H,CH)、3.17(幅の広い s,1H,OH)、3.27(t,2H,OCH)、3.37(t,2H,OCH)、3.96(s,2H,CH(1))、4.01(q,2H,OCHCH)、5.65(s,1H,CH=C)、6.07(s,1H,CH=C)。
13C−NMR(63MHz,CDCl,ppm)13.64(CH)、25.36、25.68、28.98、29.07、29.11、19.17及び32.24(CH(4−11))、60.10及び61.90(CH(12)及びCHCH)、68.31及び70.52(CH(1)及びCH(3))、124.69(C=C−CO)、137.12(C=C−CO)、165.37(C=C−CO)。
【0084】
2−[13−ジ水素ホスホリル−13,2−ジオキサトリデシル]アクリル酸エチル(2)
【0085】
【化21】

【0086】
7.082g(46.18mmol)のオキシ塩化リンを120mlのジエチルエーテル中に含む攪拌溶液に、11.024g(38.49mmol)の化合物1及び4.673g(46.18mmol)のトリエチルアミンを150mlのジエチルエーテル中に含む溶液を滴下し、この間、温度を0℃に維持した。添加を終了した後、反応混合物を16時間室温で攪拌した後、反応を、懸濁液の濾過及び溶媒の蒸発により終了させた。該溶液を300mlの水に滴下し、この間、温度を10℃未満に維持した。混合物をさらに1.5時間0℃で攪拌した後、有機層を分離し、水性画分を2×100mlのジエチルエーテルで抽出した。有機層を合わせ、5×250mlの炭酸ナトリウム水溶液(25重量%)で洗浄した。合わせた水性画分を、酸性塩酸水溶液(18重量%)をゆっくりと添加することにより酸性化した。この酸性溶液を4×300mlのジエチルエーテルで洗浄した。有機画分を合わせ、再度、1×150mlの水で洗浄した。分離した有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過及び蒸発した。真空(10−3mbar)下での乾燥により、8.57g(収率:60%)の黄色がかった固形物が得られた。
【0087】
IR(フィルム,cm−1)2926/2855(CH/CH)、1715(CO)、1639(C=C)、1461/1375(CH/CH)、1265/1169/1101/1023/951。
H−NMR(250MHz,CDCl,ppm)1.15−1.36(m,15H,CH2、CH)、1.45−1.77(m,4H,CH)、3.41(t,2H,CH(3))、4.03−4.24(m,4H,CHOPO,OCHCH)、4.11(s,2H,CH(1))、5.79(s,1H,CH=C)、6.22(s,1H,CH=C)。
13C−NMR(63MHz,CDCl,ppm)13.98(CH)、25.08、25.93、28.92、29.19、29.25、29.30及び29.45(CH(4−11))、60.42(CHCH)、68.63及び70.86(CH(1)及びCH(3))、125.08(C=C−CO)、137.38(C=C−CO)、165.69(C=C−CO)。
【0088】
実施例3
2−[10−ヒドロキシ−2,5,8−トリオキサデシル]アクリル酸エチル(1)
【0089】
【化22】

【0090】
IR(フィルム,cm−1)幅の広い吸収(OH)、(CH/CH)、(CO)、(C=C)、(CH/CH)。
H−NMR(250MHz,CDCl,ppm)1.16(t,3H,CH)、3.04(s,1H,OH)、3.44−3.61(m,12H,CH)、4.07(q,2H,OCHCH)、4.10(s,1H,CH)、5.75(s,1H,CH=C)、6.15(s,1H,CH=C)。
13C−NMR(63MHz,CDCl,ppm)
【0091】
2−[11−ジ水素ホスホリル−2,5,8,11−テトラオキサウンデシル]アクリル酸エチル(2)
【0092】
【化23】

【0093】
2−[10−ヒドロキシ−2,5,8−トリオキサデシル]アクリル酸エチル(1)のリン酸化は、実施例2に従って行なった。
【0094】
ビス(3,6,9,13−テトラオキサ−11−メチレン−12−オキソ−ペンタデシル)リン酸水素(3)
【0095】
【化24】

【0096】
4.303g(28.06mmol)のオキシ塩化リンを80mlのジエチルエーテル中に含む攪拌溶液に、14.72g(56.13mmol)の化合物1及び5.67g(56.13mmol)のトリエチルアミンを180mlのジエチルエーテル中に含む溶液を滴下し、この間、温度を5℃未満に維持した。反応混合物を3時間室温で攪拌した後、これを濾過し、ゆっくりと0℃にて300mlの水に添加した。層を分離させ、水性画分を2×150mlのジエチルエーテルで抽出した。有機画分を合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発し、真空(10−3mbar)下で乾燥させた。これにより、7.907g(収率:48%)の無色透明な油状物が得られた。
【0097】
IR(フィルム,cm−1)幅の広い吸収 3412(OH)、2871(CH/CH)、1712(CO)、1639(C=C)、1457/1372(CH/CH)、1301/1264/1096/1025/855/816。
H−NMR(250MHz,CDCl,ppm)1.17(t,6H,CH)、3.36−3.63(m,20H,CH)、4.01−4.09(m,12H,CH)、5.75(s,2H,CH=C)、6.15(s,2H,CH=C)、9.25(幅の広い s,1H,PO)。
13C−NMR(63MHz,CDCl,ppm)13.79(CH)、60.02(OCHCH)、66.00(d,CH−OP)、68.84、69.62、69.75、70.19、70.10、71.82、125.21(C=C−CO)、136.84(C=C−CO)、165.39(C=C−CO)。
【0098】
実施例4
2−[6−ジ水素ホスホリル−6,2−ジオキサヘキシル]アクリル酸エチル(1)
【0099】
【化25】

【0100】
2−[6−ジ水素ホスホリル−6,2−ジオキサヘキシル]アクリル酸エチル(1)は、2−[5−ジ水素ホスホリル−5,2−ジオキサペンチル]アクリル酸エチルの前記合成と同様にして、2工程合成にて合成し、31g(収率:12.5%)の量の物質が無色透明な油状物として得られた。
【0101】
IR(フィルム,cm−1)3500−2500幅の広い吸収(OH)、2877(CH/CH)、1705(CO)、1637(C=C)、1469、1381、1177、1101、1002、953、819、746。
H−NMR(250MHz,d−DMSO,ppm)1.18(t,3H,CH)、1.72−1.87(m,2H,CH)、3.43−3,51(m,2H,CH)、3.81−3.94(m,2H,CH)、4.00−4.19(m,4H,CH)、5.79(s,1H,CH=C)、6.12(s,1H,CH=C)、10.67(幅の広いs,2H,PO)。
13C−NMR(63MHz,d−DMSO,ppm)14.35(CH)、30.58、30.65(d,CH(4))、60.79(COCHCH)、63.15、63.18(CH(5))、66,88(CH(3))、68.76(CH(1))125.77(C=C−CO)、137.84(C=C−CO)、165.61(C=C−CO)。
【0102】
適用実施例1(AG 13−166−1)
0.3052gのN,N’−ビスアクリルアミド−N,N’−ジエチル−1,3−プロパン、0.4430gの3,(4),8,(9)−ビス(アクリルアミドメチル)トリシクロ−5.2.1.02,6デカン、0.1110gの2−[13−ジ水素ホスホリル−13,2−ジオキサトリデシル]アクリル酸エチル、0.0555gの2−アクリルアミド−2−メチル−プロパン−スルホン酸、0.0067gのカンファーキノン、0.0170gのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及び0.0078gのジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを、0.7040gのエタノール及び0.3497gの水から構成される溶媒混合物中に溶解した。
【0103】
以下の手順を、エナメル質及び象牙質に対する接着性の測定に適用した。
− 歯を200及び500グリットの研磨紙で研磨した。
− 歯を37℃にて水中で保存した。
− レジン配合物での処理:20秒間
− 空気流による蒸発5秒間
− 光硬化20秒間
− Spectrum TPH本体を歯において20秒間3回硬化
− 調製した歯を、測定前に、水中で37℃にて2時間保存した。
【0104】
これらの条件下で、以下の値が測定された。象牙質に対する接着性:19.3±1.8MPa、エナメル質に対する接着性:15.1±2.2MPa。
【0105】
適用実施例2(FBE−03.96.01)
0.4611gのN,N’−ビスアクリルアミド−N,N’−ジエチル−1,3−プロパン、0.3596gの3,(4),8,(9)−ビス(アクリルアミドメチル)トリシクロ−5.2.1.02,6デカン、0.1320gの2−[5−ジ水素ホスホリル−5,2−ジオキサペンチル]アクリル酸エチル、0.1076gの2−アクリルアミド−2−メチル−プロパン−スルホン酸、0.0085gのカンファーキノン、0.0213gのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及び0.0099gのジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを、0.5850gのエタノール及び0.3150gの水から構成される溶媒混合物中に溶解した。
【0106】
以下の手順を、エナメル質及び象牙質に対する接着性の測定に適用した。
− 歯を200及び500グリットの研磨紙で研磨した。
− 歯を37℃にて水中で保存した。
− レジン配合物での処理:20秒間
− 空気流による蒸発5秒間
− 光硬化20秒間
− Spectrum TPH本体を歯において20秒間3回硬化
− 調製した歯を、測定前に、水中で37℃にて2時間保存した。
【0107】
これらの条件下で、以下の値が測定された。エナメル質に対する接着性:12.2±2.3MPa、象牙質に対する接着性:12.7±2.6MPa。
【0108】
適用実施例3(FBE−03.90.01)
0.5334gのN,N’−ビスアクリルアミド−N,N’−ジエチル−1,3−プロパン、0.4167gの3,(4),8,(9)−ビス(アクリルアミドメチル)トリシクロ−5.2.1.02,6デカン、0.1076gの2−アクリルアミド−2−メチル−プロパン−スルホン酸、0.0090gのカンファーキノン、0.0227gのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及び0.0105gのジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを、0.5850gのエタノール及び0.3150gの水から構成される溶媒混合物中に溶解した。
【0109】
以下の手順を、エナメル質及び象牙質に対する接着性の測定に適用した。
− 歯を200及び500グリットの研磨紙で研磨し、歯を37℃にて水中で保存した。
− レジン配合物での処理:20秒間
− 空気流による蒸発5秒間
− 光硬化20秒間
− Spectrum TPH本体を歯において20秒間3回硬化
− 調製した歯を、測定前に、水中で37℃にて2時間保存した。
【0110】
これらの条件下で、以下の値が測定された。エナメル質に対する接着性:12.3±3.1MPa、象牙質に対する接着性:11.6±3.1MPa。
【0111】
適用実施例4(FBE 05−131−1)
0.7175gのN,N’−ビスアクリルアミド−1,3−プロパン、0.2083gの3,(4),8,(9)−ビス(アクリルアミドメチル)トリシクロ−5.2.1.02,6デカン、0.0596gの2−[6−ジ水素ホスホリル−6,2−ジオキサヘキシル]アクリル酸エチル、0.0481gの2−アクリルアミド−2−メチル−プロパン−スルホン酸、0.0142gのカンファーキノン、0.0358gのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及び0.0165gのジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを、0.18gのアクリル酸及び0.720gの水から構成される溶媒混合物中に溶解した。
【0112】
以下の手順を、エナメル質及び象牙質に対する接着性の測定に適用した。
− 歯を200及び500グリットの研磨紙で研磨した。
− 歯を37℃にて水中で保存した。
− レジン配合物での処理:20秒間
− 空気流による蒸発5秒間
− 光硬化20秒間
− Spectrum TPH本体を歯において20秒間3回硬化
− 調製した歯を、測定前に、水中で37℃にて2時間保存した。
【0113】
これらの条件下で、以下の値が測定された。象牙質に対する接着性:18.9±3,0MPa、エナメル質に対する接着性:18.9±3.2MPa。
【0114】
適用実施例5
本発明による組成物A(これは、リン酸エステルを含有する)及び対応するホスホン酸誘導体を含有する比較組成物を、以下の表に従って調製した。これらの組成物を、0.15mol%(二重結合1個あたり)ヒドロキノンで安定化させた。続いて、試料を24時間37℃にて水中で保存し、次いでこの試料を熱サイクル(1800×5−55℃、滞留時間:20秒間)に供した後、せん断接着強度を測定した。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
結果に示されるように、組成物A及び比較組成物は、象牙質に対して同等のせん断接着強度をもたらす。しかしながら、エナメル質に対するせん断接着強度は、比較組成物と比べ、組成物Aでは約100%大きい。比較組成物のエナメル質に対するせん断接着強度は、歯科用途には不十分である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以下のpHを有する一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物であって、
(a)下記式(A):
【化1】

〔式中、
Y部分は、互いに独立して、水素原子又は、下記式(Y):
【化2】

式中、
は、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10であり、
(式中、
10及びR20は、独立して、
水素原子、
任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、
任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、2つのRの残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、
また、ここでは、前記任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい)、
Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基(ここでは、bは、前記式(A)中の前記Yが大きな丸括弧内にあるときは1である)を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されている)の部分を表し、
aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である。)
bは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、
ただし、前記Yの少なくとも1個は水素でないものとする。〕
の重合性酸性リン酸エステルモノマーと、
(b)1種類以上の重合性酸性モノマーであって、
(b1)下記式(B):
【化3】

(式中、
及びRは、独立して、
水素原子、
任意で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキル基、
任意で置換されたC5〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、前記任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよく、
は、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄のようなヘテロ原子を含有する(c+d)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるc+d個の炭素原子を含み、該c+d個の炭素原子の各々は、ホスホン酸基又は任意で置換されたアクリルアミド基と連結されており、及び
c及びdは、独立して、1〜10の整数を表す。)の重合性酸性モノマー、
(b2)下記式(C):
【化4】

(式中、
は、独立して、Zについて定義したものと同じ意味を有し、
は、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(e+f)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるe+f個の炭素原子を含み、該e+f個の炭素原子の各々は、スルホン酸基又は任意で置換された2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されており、
e及びfは、独立して、1〜10の整数を表す)の重合性酸性モノマー、及び
(b3)下記式(D):
【化5】

(式中、
及びRは、独立して、
水素原子、
任意で置換されたC〜C18アルキル基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキル基、
任意で置換されたC5〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、前記任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよく、
は、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(g+h)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるg+h個の炭素原子を含み、該g+h個の炭素原子の各々は、スルホン酸基又は任意で置換されたアクリルアミド基と連結されており、
g及びhは、独立して、1〜10の整数を表す。)の酸性モノマー、
から成る群より選択される1種類以上の重合性酸性モノマーと、
(c)重合性N置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマーと、
(d)任意で、有機及び/又は無機酸と、
(e)有機系水溶性溶媒及び/又は水と、
(f)重合開始剤、抑制剤及び安定剤と
を含むことを特徴とする、一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項2】
前記L、L及びLが、独立して、
1〜9個の酸素原子をその鎖中に含有することができる任意で置換されたC1〜18アルキレン基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキレン基、
任意で置換されたC5〜18アリーレン若しくはヘテロアリーレン基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリーレン基、
任意で置換されたC7〜30アラルキレン基
を表す、請求項1に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項3】
少なくとも1週間、50℃の保存温度で加水分解安定性であり、これにより、かかる保存後において、前記接着剤組成物から調製される接着剤の、エナメル質及び/又は象牙質に対する接着強度が少なくとも10MPa、好ましくは15MPaである、請求項1又は2に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項4】
前記成分(a)及び(b)が、1:100〜100:1の比で含まれる、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項5】
前記成分(d)の有機酸が、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸、ギ酸のようなモノカルボン酸又は多価カルボン酸から成る群より選択され、前記成分(d)の無機酸が、スルホン酸、リン酸、硫酸及びフッ化水素酸から成る群より選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項6】
前記成分(e)の有機系水溶性溶媒が、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンのようなアルコール及びケトンから成る群より選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項7】
前記成分(a)の酸性重合性モノマーが、下記式:
【化6】

(式中、Zは請求項1に定義したとおりであり、及び
nは整数である。)
の1つであることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項8】
前記成分(b)の酸性重合性モノマーが式(C)の重合性酸性モノマーである、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項9】
前記酸性重合性モノマーが、下記式:
【化7】

の1つであることを特徴とする、請求項8に記載の加水分解安定性一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項10】
前記成分(c)の重合性N置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマーが、下記式:
【化8】

(式中、
及びRは、独立して、
水素原子、又は置換されたC〜C18アルキル基、
任意で置換されたC3〜18シクロアルキル基、
任意で置換されたC5〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、
任意で置換されたC7〜30アラルキル基を表し、
は、1〜45個の炭素原子を有する二価の置換若しくは非置換有機残基を表し、ここでは、該有機残基は、1〜14個の酸素及び/又は窒素原子を含有することができ、C〜C18アルキレン基(式中、1〜6個の−CH−基は、−N−(C=O)−CR=CH基(式中、Rは、水素原子又はC〜C18アルキル基である。)、二価の置換若しくは非置換C〜C18シクロアルキル若しくはシクロアルキレン基、二価の置換若しくは非置換C〜C18アリール若しくはヘテロアリール基、二価の置換若しくは非置換C〜C18アルキルアリール若しくはアルキルへテロアリール基、二価の置換若しくは非置換C〜C30アラルキル基、及び1〜14個の酸素原子を有する、二価の置換若しくは非置換C〜C45のモノエーテル残基、ジエーテル残基若しくはポリエーテル残基で置き換えられていてもよい。)から選択され、
は、飽和した二価若しくは多価の置換若しくは非置換C〜C18炭化水素基、飽和した二価若しくは多価の置換若しくは非置換環式C〜C18炭化水素基、二価若しくは多価の置換若しくは非置換C〜C18アリール若しくはヘテロアリール基、二価若しくは多価の置換若しくは非置換C〜C18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、二価若しくは多価の置換若しくは非置換C〜C30アラルキル基、又は1〜14個の酸素原子を有する、二価の置換若しくは非置換C〜C45モノエーテル残基、ジエーテル残基若しくはポリエーテル残基を表し、
nは整数である。)
の1つであることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項11】
前記重合性モノマーが、下記式:
【化9】

の1つであることを特徴とするモノ−、ビス−又はポリ(メタ)アクリルアミドである、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項12】
前記成分(a)及び(b)の酸性重合性モノマーを5〜90重量%の量で含有する、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項13】
前記重合開始剤が、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤である、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項14】
前記光開始剤がカンファーキノンである、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項15】
前記充填剤が無機充填剤及び/又は有機充填剤であり、好ましくは、前記充填剤がナノ充填剤である、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項16】
前記安定剤が、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールのようなラジカル吸収性モノマーである、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項17】
Lが、
少なくとも2個の前記第一級脂肪族炭素原子、及び任意で1個以上の前記第二級脂肪族炭素原子を有する(a+b)価の飽和脂肪族C〜C18基(ここでは、前記(a+b)価の基は、1個又は複数のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい。)、又は
前記第一級及び/又は第二級脂肪族炭素原子を有する少なくとも2個のC〜C10脂肪族基で置換されている、1〜14個の酸素原子を有するC〜C45モノ−、ジ−若しくはポリエーテル(ここでは、前記エーテルは、任意で、1個又は複数のC〜Cアルキル基で置換されていてもよい)を表し、又は
式中、Lは、
0〜4個、好ましくは0〜3個、より好ましくは0若しくは1個の前記第二級脂環式炭素原子を有する飽和C〜C環式、C〜C15二環式若しくは多環式炭化水素基、及び/又は
0〜5個、好ましくは0〜3個、より好ましくは0若しくは1個の前記芳香族炭素原子を有するC〜C18アリール若しくはヘテロアリール基を表し、ここでは、前記飽和炭化水素又はアリール若しくはヘテロアリール基は、0〜5個のC〜Cアルキル基、
前記第一級及び/又は第二級脂肪族炭素原子を有する0〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1若しくは2個の飽和C〜C10脂肪族基、及び/又は
下記式:
−[O−CHCH−]−(式中、fは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である、
−[O−CHCHCH−]−(式中、gは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である)、
−[O−R12−(式中、R12は、−CH(CH)−CH−又は−CHCH(CH)−であり、hは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である)、
−[−O−R14−[O−R15−又は−[O−R15−[O−R14−(式中、R14は、−CHCH−であり、R15は、−CH(CH)−CH−又は−CH−CH(CH)−であり、i、j、k及びlは、2i+3j≦15及び2k+3l≦15の整数である)、
−[O−CHCHCHCH−]−(式中、rは、1又は2の整数である。)
の1つによる0〜2個の二価残基で置換されており、
ここで、前記二価残基は、前記第一級脂肪族炭素原子の1つを有し、
ここでは、前記飽和炭化水素、アリール及びヘテロアリール基から選択される2つの基は、任意で、単結合、アルキレン基又は−O−で連結されていてもよい、
前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項18】
Lが、
少なくとも2個の前記第二級脂環式炭素原子を有する(a+b)価の飽和C〜C環式又は、C〜C15二環式若しくは三環式炭化水素基、
2〜6個の前記芳香族炭素原子を有する(a+b)価の飽和C〜C18アリール若しくはヘテロアリール基、
少なくとも1個の前記芳香族炭素原子、少なくとも1個の前記第二級脂肪族炭素原子、及び任意で1個の前記第一級脂肪族炭素原子を、前記アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基のアルキル部分の末端端部に有する(a+b)価のC〜C18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
少なくとも1個の前記第一級脂肪族炭素原子及び少なくとも1個の前記第二級脂肪族炭素原子を有する(a+b)価のC〜C30アラルキル基
を表す、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項19】
Lが、下記式:
−[CHCH−O−]−CHCH−(式中、mは、1〜14の整数である)、
−[CHCHCH−O−]−CHCHCH−(式中、pは、1〜14の整数である)、
−[R12−O]−R13−(式中、R12及びR13は、−CH(CH)−CH−又は−CH−CH(CH)−とすることができ、qは1〜14である)、
−[R14−O]−[R15−O]−R14−又は−[R14−O]−[R15−O]−R15−(式中、R14は−CHCH−であり、R15は−CH(CH)−CH−又は−CH−CH(CH)−であり、r、s、t及びuは、2r+3s≦43及び2t+3u≦42の整数である)、
−[CHCHCHCH−O−]−CHCHCHCH−(式中、rは1又は2である。)
【化10】

又は、
【化11】

(式中、R16及びR17は、H又は−CHであり、x及びyは、独立して、0〜10、好ましくは0〜5の整数とすることができる)
の1つの二価の残基を表す、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項20】
前記(a+b)個の炭素原子が第一級脂肪族炭素原子である、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項21】
前記重合性酸性リン酸エステルモノマーが、下記式(A−1):
【化12】

(式中、
は、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10であり、
(式中、
10及びR20は、独立して、
水素原子、
任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、
任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、2つのRの残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、
また、ここでは、任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい)、
Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようなヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結されており、
aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、
bは、1〜10、好ましくは1〜5の整数である。)
のものである、前記請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項22】
前記Y部分がいずれも水素原子でない、前期請求項のいずれか1項に記載の一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物。
【請求項23】
下記式(A):
【化13】

〔式中、
Y部分は、互いに独立して、下記式(Y):
【化14】

式中、
は、COOR10、COSR20、CON(R10、CONR1020、又はCONHR10であり、
(式中、
10及びR20は、独立して、
水素原子、
任意でC3〜8シクロアルキル基で置換されたC1〜18アルキル基、
任意で置換されたC3〜8シクロアルキル基、
任意で置換されたC4〜18アリール若しくはヘテロアリール基、
任意で置換されたC5〜18アルキルアリール若しくはアルキルヘテロアリール基、又は
任意で置換されたC7〜30アラルキル基
を表し、
ここでは、2つのRの残基は、これらが結合した隣接窒素原子と一緒に、さらなる窒素原子又は酸素原子を含むことができる5〜7員の複素環を形成していてもよく、
また、ここでは、前記任意で置換された基は、1〜5個のC1〜5アルキル基で置換されていてもよい)、
Lは、2〜45個の炭素原子、及び任意で酸素、窒素及び硫黄原子のようにヘテロ原子を含有する(a+b)価の有機残基(ここでは、bは、前記式(A)中の前記Yが大きな丸括弧内にあるときは1である)を表し、前記炭素原子は、第一級及び第二級脂肪族炭素原子、第二級脂環式炭素原子並びに芳香族炭素原子から選択されるa+b個の炭素原子を含み、前記a+b個の炭素原子の各々はリン酸基又は2−(オキサ−エチル)アクリル誘導体基と連結され、
aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり、
bは、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1の整数である。〕
の重合性酸性リン酸エステルモノマー。

【公表番号】特表2007−520465(P2007−520465A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545998(P2006−545998)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014307
【国際公開番号】WO2005/063778
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502289695)デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー. (28)
【Fターム(参考)】