一軸型コンバインドサイクルプラントの性能監視方法及びシステム
【課題】一軸型コンバインドサイクルプラントにおいて、ガスタービン(GT)または蒸気タービン(ST)の性能低下が運転実績を超えて進行していた場合でも、GT出力と
ST出力を精度よく推定する。
【解決手段】GT出力とST出力の両方を計算で求め、総合出力の計算値と発電機出力の実測値を比較し、その差が大きければ、GTまたはSTのいずれかで、運転実績を超えた性能劣化が進行していると判断する。このときGT排ガス温度の計算値と実測値との差が大きければ、GTで運転実績を超えた性能劣化が発生していると判断し、差が小さければSTで発生していると判断する。発電機出力の実測値から、性能劣化が発生していない機器に対する出力の計算値を減算して、性能劣化が発生した機器に対する出力を決定する。
ST出力を精度よく推定する。
【解決手段】GT出力とST出力の両方を計算で求め、総合出力の計算値と発電機出力の実測値を比較し、その差が大きければ、GTまたはSTのいずれかで、運転実績を超えた性能劣化が進行していると判断する。このときGT排ガス温度の計算値と実測値との差が大きければ、GTで運転実績を超えた性能劣化が発生していると判断し、差が小さければSTで発生していると判断する。発電機出力の実測値から、性能劣化が発生していない機器に対する出力の計算値を減算して、性能劣化が発生した機器に対する出力を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインドサイクルプラントの性能監視方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン(以下、GTという)と蒸気タービン(以下、STという)の両方で発電を行うコンバインドサイクルプラントには、ガスタービンと蒸気タービンそれぞれに異なる発電機を連結した多軸型と、ガスタービン、蒸気タービン、発電機を一軸で連結した一軸型がある。一軸型コンバインドサイクルプラントでは、ガスタービン単独で生成した発電機出力を計測するのは困難である。
【0003】
このため、一軸型コンバインドサイクルプラントでは、ガスタービン単独の出力を温度,流量,圧力などのプロセス値を基に計算で求めている。例えば、特開平5−195720号公報では、先に蒸気タービン出力を計算で求め、次に、発電機出力の実測値から蒸気タービン出力の計算値を減算することによりガスタービン出力を求めている。
【0004】
従来技術では、運転条件(主蒸気圧力と温度)に基づいて求めた性能劣化を含まない内部効率の値に、内部効率低下比率カーブを用いて経年劣化の影響を考慮して蒸気タービン出力を決定している。ここで、内部効率低下比率カーブは、同類の蒸気タービンの運転実績データに基づいて決定した運転時間に対する効率低下の程度を表したものである。また、このカーブは、定期検査時に計測した各部クリアランスの値で補正している。
【0005】
【特許文献1】特開平5−195720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に説明したように、従来技術では蒸気タービン出力を同類の蒸気タービンの運転実績を基に計算する。したがって、蒸気タービンの性能劣化が運転実績を超えて進行すれば、蒸気タービン出力の計算値に含まれる誤差が大きくなる。このため、ガスタービン出力の計算に含まれる誤差も大きくなる。
【0007】
この問題は、コンバインドサイクルプラントの性能監視の精度を低下させる要因となる。本発明の目的は、運転実績を超えて性能劣化が発生した場合でも、性能監視を高精度で行う性能監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一軸型コンバインドサイクルプラントにおいて、蒸気タービン出力とガスタービン出力の両方を計算で求め、これを合計した蒸気タービン/ガスタービン総合出力の計算値を利用する。また、出力に加えて、ガスタービン排ガス温度も計算で求める。
【0009】
蒸気タービン/ガスタービン総合出力の計算値と発電機出力の実測値を比較し、その差が大きければ、蒸気タービンまたはガスタービンのいずれかで、運転実績を超えた性能劣化が進行していると判断する。さらに、このときガスタービン排ガス温度の計算値と実測値との差が大きければ、ガスタービンで運転実績を超えた性能劣化が発生していると判断し、差が小さければ蒸気タービンで発生していると判断する。
【発明の効果】
【0010】
一軸型コンバインドサイクルプラントにおいて、運転実績を超えて性能劣化が発生した場合でも、性能監視を高精度で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による一軸型コンバインドサイクル(C/C)プラントの性能監視システムの構成を示している。性能監視システムは、各データを記憶するデータベースと、計算機である各計算部と、プロセス値や計算結果を表示する表示部を有する。ここで、計算機は、メモリ,CPUを有する。GT計算部2,ST計算部3,プラント熱効率計算部5,性能監視計算部6は、一つの計算機で処理される各モジュールとすることもできるし、それぞれの計算部を複数の計算機それぞれで行うこともできる。
【0012】
プラントの制御盤から取り込まれたプロセス値のデータは、プロセス値データベース
(DB)1に格納される。図3にプロセス値DBの構成を示した。熱効率の計算に必要なプロセス値のデータを時系列に格納している。次いで、GT計算部2が、プロセス値データベース1に格納されたプロセス値を基に運転条件に応じたGT出力を計算する。ここで、GTはガスタービンを表す。GT出力の計算は図6,図7で後述する。同様に、ST計算部3はST出力を計算する。ここで、STは蒸気タービンを表す。ST出力の計算は図8,図9で後述する。
【0013】
GT計算部2でのGT出力及びGT排ガス温度の計算方法を図6,図7を用いて説明する。図6に計算に使用する入力パラメータを示した。GTは、圧縮機,燃焼器,タービン(膨張機)で構成されており、各構成機器について計算で入力するプロセス値と設計値を示した。圧縮機の入力として、入口空気の流量・温度・圧力を設定する。また、燃焼器の入力として、燃料流量と燃料の単位質量当たりの発熱量を設定する。この二つで燃焼器への入熱量を定義する。また、出口条件として、タービン出口の排ガス圧力を設定する。また、圧縮機の評価のために圧縮機効率を設定する。これは実測値から計算で求めた値でも、運転条件(入口空気温度・圧力)に合わせて設計値を補正した値でもよい。このとき、運転実績を用いて求めた圧縮機効率の劣化傾向を加味することも考えられる。一方、本実施例では、タービン側の評価には翼形状を設定する。ここでも、劣化傾向を加味した翼形状(例えば、動翼先端部のクリアランスが増加するなど)を設定することも考えられる。以上の入力条件から、圧縮機,燃焼器,タービン全体にわたるヒートバランスを基に、
GT出力、及び、GT排ガス温度を計算する。
【0014】
図7に、GT計算部2での計算処理の流れを示した。最初に、翼形状を劣化傾向で補正し、基準条件での圧縮機効率を運転条件と劣化傾向で補正する(S11)。次に、圧縮機の圧力比(入口圧力と出口圧力の比)を初期値として与える(S12)。次に、入力で与えた圧縮機の入口条件(温度,流量,圧力)と圧縮機効率、及び、S12で設定した圧力比から圧縮機出口温度を計算する(S13)。次に、圧縮機出口の流量,温度,圧力(燃焼器の入口条件となる)と、燃料発熱量から燃焼器出口温度を計算する(S14)。燃焼器出口温度はそのままタービン入口温度となるので、次に、タービン入口の流量,温度,圧力と翼形状から空力計算でタービン出口の温度と圧力を計算する(S15)。タービン出口圧力がそのまま排ガス圧力となるので、計算値と入力値を比較し、両者の差が閾値を超えていれば、S12で初期値として設定した圧力比を修正し、S13〜S15までの処理を繰り返す(S16,S17)。収束計算で排ガス圧力の計算値と入力値の差が閾値以内になれば、ガスタービン全体のヒートバランスの整合性が取れたことを表す(S16)。このときの、タービン入口・出口のエネルギー差がタービン側で得られた出力であり、圧縮機入口・出口のエネルギー差が圧縮機に使われた動力である。両者の差からGT出力を得る(S18)。
【0015】
次に、ST計算部3での計算方法を図8,図9を用いて説明する。図8に計算に使用する入力パラメータを示した。STの入力として主蒸気温度・流量・圧力を設定し、出口として復水器真空度(ST出口圧力に相当)を設定する。例えば、主蒸気温度・流量・圧力、腹水器真空度を設定する際の条件として、定格出力運転時等が挙げられるが、その条件を基準条件という。また、ST内部効率については、運転条件(主蒸気温度・流量・圧力,復水器真空度)に合わせて、設計値を補正した値を使用する。このとき、運転実績を用いて求めたST内部効率の劣化傾向を加味することも考えられる。以上の入力条件から、STのヒートバランスを基にST出力を計算する。
【0016】
図9に、ST計算部での処理の流れを示した。最初に、基準条件でのST内部効率ηを運転条件と劣化傾向で補正する(S21)。次に、入力で設定した入口温度、圧力を用いてエンタルピーiとエントロピーsを計算する(S22)。ST出力の計算は、図10に示したi−s線図を基に行う。図10のAが入口の状態を表す。次に、入力パラメータとして設定した出口圧力を基に、放熱、摩擦等のエネルギー損失がないことを仮定した(エントロピーが入口状態と同じ)出口エンタルピーを求める(S23)。図10のA′がこの状態を表す。次に、S21で補正した内部効率を基に、エネルギー損失を考慮した出口エンタルピーを求める(S24)。図10のBがこの状態を表す。最後に、入口Aと出口Bのエンタルピー差に、入力パラメータとして設定した蒸気流量を乗じてST出力を求める(S25)。
【0017】
図1のGT計算部2、及び、ST計算部3における計算結果は、GT/ST計算結果
DB4に格納される。図4にGT/ST計算結果DBの構成を示した。GT計算部2が出力したGT出力,GT排ガス温度の計算値、及び、ST計算部3が出力したST出力の計算値を時系列に格納している。時刻は、計算に使用したプロセス値データの時刻と対応している。
【0018】
次に、性能監視計算部6がGT熱効率を計算する。異常などにより性能劣化が運転実績を超えて進行している場合、GT出力またはST出力の計算値と実際の値との差が大きくなるので、性能監視計算部6はそれぞれの出力の計算値を補正した後に、熱効率の計算を行う。以下に、性能監視計算部6での処理方法を説明する。
【0019】
図2に性能監視計算部6の構成を示す。ここでは、最初に、異常機器判定部9が、異常などでGTまたはSTの性能が運転実績を超えて劣化していないかを判断する。次に、異常機器判定部での判定結果を踏まえて、出力決定部10が最終的にGT出力とST出力の値を決定する。最後に、GT熱効率計算部11が、出力決定部で求めたGT出力の値を用いてGT熱効率を計算する。
【0020】
図11に性能監視計算部6における処理について詳細を示す。以下、この図11を用いて処理の流れを説明する。
【0021】
異常機器判定部9は、プロセス値DB1に格納された発電機出力の実測値と、GT/
ST計算結果DBに格納されたGT出力,ST出力、及び排ガス温度の計算値を取り込み、GTまたはSTの異常を判定する。GT及びSTの経年劣化が運転実績と同程度に進行していれば、GT出力とST出力の和である総合出力の計算値は、計算誤差を除けば発電機出力の実測値と一致するはずである。最初に、異常機器判定部は、総合出力の計算値と発電機出力の実測値を比較し、差が閾値以内にあるかを判定する(S1)。
【0022】
両者の差が閾値以内であれば、GT/STの性能劣化の程度は共に運転実績と同等であることを表す。この場合、出力決定部10がGT出力/ST出力の両方の計算値に対し、計算誤差の影響を取り除くための補正を行い、出力の最終的な値とする(S2)。補正は、総合出力の計算値を発電機出力の実測値とが完全に一致するように、GT出力・ST出力の計算値の双方に同じ値を乗じることにより実施する。
【0023】
一方、両者の差が閾値を超えていれば、GTとSTのどちらかに異常が発生していると判断できる。どちらに異常か発生したかを特定するために、GT排ガス温度の計算値を実測値と比較する(S3)。排ガス温度の計算値と実測値の差が閾値以内であれば、GTは正常、すなわち、STに異常が発生していると判断できる(S4)。同様に、排ガス温度の計算値と実測値との差が閾値を超えていれば、GTに異常が発生していると判断する
(S6)。このように、GT出力推定値、ST出力推定値の合計と実測値を比較して、
GT排気温度の推定値とGT排気温度の実測値を比較することで、運転実績を超えて性能劣化が発生した場合でも、どちらで劣化が発生したか特定でき、排ガス異常タービンを特定することができる。
【0024】
出力決定部10が、異常が生じたST又はGTを排除して、出力を算出する。上記
(S4)で、STに異常が発生していると判断した場合、ST出力の計算値は実際の値から乖離しているので利用せずに、GT出力の計算値のみを用いる。ST出力については、発電機出力の実測値からGT出力の計算値を減算して求める(S5)。上記(S6)で、GTに異常が発生していると判断した場合、GT出力を発電機出力の実測値からST出力の計算値を減算して求める(S7)。このように、運転実績を超えた性能劣化が発生した機器に対する計算値は、誤差が大きいので出力の評価に利用しない。発電機出力の実測値から、性能劣化が発生していない機器に対する出力の計算値を減算して、性能劣化が発生した機器に対する出力を決定する。これにより、劣化進行したタービンの出力を排除して、正確なST出力及びGT出力を把握することができる。
【0025】
次いで、性能監視計算部6は、GT熱効率計算部11で、求めたGT出力の値を基に
GT熱効率を計算する。ガスタービン単独の性能の変化を監視するための指標に熱効率がある。これは、ガスタービンへの時間当たりの入熱量に対するガスタービンにより発電した電気出力の割合で表される。GT熱効率は、GT出力を単位時間当りの燃料発熱量で除することにより計算する。
【0026】
タービンの内部効率低下カーブを用いて熱効率を計算するものでは、劣化が進行した場合は定期点検のクリアランス計測データによる内部効率低下カーブの修正を待つ必要がある。しかし、上述の様に、ST及びGTの何れか一方の劣化が進んでしまっていても、
STとGTの一方を異常と判断し、異常な方の出力を正常な方の出力から把握でき、異常な方の正確な効率を把握できる。これにより、定期点検を待たずに異常なタービンの正確な効率を早く把握することができる。
【0027】
以上が、図1に示した性能監視計算部6での処理の流れである。これとは別に、プラント熱効率計算部5は、プラント全体、すなわち、GTとSTの両方を合わせたプラント熱効率を計算する。プラント熱効率は、発電機出力(GT/ST総合出力)の実測値を単位時間当りの燃料発熱量で除することにより計算する。この処理は実測値のみで計算できる。
【0028】
性能監視計算部6、及びプラント熱効率計算部5が計算した熱効率のデータは、熱効率計算結果DB7に格納される。図5に熱効率計算結果DBの構成を示す。最終結果であるGT熱効率とプラント熱効率の値に加えて、性能監視計算部6が算出したGT/ST出力の補正後の値、また、GT/ST異常の判定結果(0が正常、1が異常を表す)を格納している。
【0029】
本システムのデータベースに格納されている実測値及び計算値のデータは、表示部8を通してユーザインタフェースに出力される。
【0030】
図12は、システムの表示画面例を示している。表示領域31は、熱効率計算結果DBに格納されているGT/ST異常のデータを基に示した異常情報である。表示領域32及び表示領域33は、熱効率計算結果DB7に格納されているGT/ST出力(GT熱効率計算部による補正後の値)、プラント熱効率、GT熱効率のデータである。この表示例では、GTに異常が発生したことによりGT出力が低下し、低下分を補うためST出力が上昇している。これに伴い、GT熱効率とプラント熱効率が低下傾向にある。
【0031】
図13は、ST異常発生時の表示画面例を示している。表示領域41は、熱効率計算結果DBに格納されているGT/ST異常のデータを基に示した異常情報である。表示領域42は、GT出力とST出力を表示している。表示されているGT出力は、熱効率計算結果DB7に格納されているGT出力推定値であり、表示されているST出力は、発電機出力の実測値からGT計算部2で計算されたGT出力推定値を減算して求めた値である。表示領域43は、プラント熱効率とGT熱効率を表示している。このGT熱効率はGT出力推定値からGT熱効率計算部11で算出された値である。この表示例では、STに異常が発生したことによりST出力が低下し、低下分を補うためGT出力が上昇している。これに伴い、GT熱効率とプラント熱効率が低下傾向にある。
【0032】
比較例の出力と熱効率の計算結果を破線で表した。比較例として、蒸気タービンの性能劣化が運転実績を超えて進行しても判別できず、同類の蒸気タービンの運転実績を基に蒸気タービン出力を計算した場合の例を示す。これによるとST出力の劣化分をGT出力の劣化分として計算してしまうこととなり、GT熱効率も下がった様に表示され、性能監視の精度を低下させることとなる。
【0033】
表示する際に、表示領域41のST異常やGT異常の表示に対応させて、表示領域42の出力の表示を変化させることができる。ST異常の場合、GT出力はGT計算部2の
GT出力推定値であることを表示し、ST出力は、発電機出力の実測値からGT出力推定値を減算して求めた値であることを表示する。ST出力表示は、「実測値−GT出力推定値」や「GT出力推定値から算出」をトレンドグラフに表示させる。GT異常の場合も同様に、ST出力はST計算部3のST出力推定値であることを表示し、GT出力は、発電機出力の実測値からST出力推定値を減算して求めた値であることを表示する。
【0034】
この様に、異常の表示と出力の表示を対応させ、異常となったST又はGTの出力表示は、異常となっていないGT又はSTについて計算で求めた出力に基づいて算出されていることを表示することで、どの出力を基準としているか、運転員に容易に把握させることができる。 上記実施例では、異常機器判定部9でGT排気ガス温度に基づいて異常判定を行ったが、これに限らず、GT又はSTの他のプラントデータに基づいてGT又はSTの異常を判断しても良い。つまり、GTに関連するプロセス値からGT出力を推定する
GT計算部2、STに関連するプロセス値からST出力を推定するST計算部3、GT又はSTのプロセス値に基づいてGT又はSTの異常を判断する異常機器判断部9、GT異常と判断した場合には、発電機の出力の実測値とST出力の推定値との差からGT出力を算出し、ST異常と判断した場合には、発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出する出力決定部10を有する性能監視システムにより、片方のタービン異常の際であっても、正確な出力を把握できる。
【0035】
上記実施例では、GT又はSTの異常の際に、出力と熱効率の両方について計算し、出力したが、どちらか片方について計算、出力を行っても良い。
【0036】
多軸型と一軸型のコンバインドサイクルプラントのうち、一軸型コンバインドサイクルプラントでは、ガスタービン単独で生成した発電機出力を計測するのは困難であることを説明した。この一軸型コンバインドサイクルプラントでもトルク検出器を設置して計測することは可能であるが、設置によるコスト高を考慮すると、検出器の設置は困難である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
一軸型コンバインド発電プラントの監視システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】熱効率監視システムの構成。
【図2】性能監視計算部の構成。
【図3】プロセス値データベースの構成。
【図4】GT/ST計算結果データベースの構成。
【図5】熱効率計算結果データベースの構成。
【図6】GT出力計算の設定パラメータ。
【図7】GT出力計算の処理の流れ。
【図8】ST出力計算の設定パラメータ。
【図9】ST出力計算の処理の流れ。
【図10】ST出力計算に用いるi−s線図。
【図11】性能監視計算部の処理の流れ。
【図12】GT異常時のシステムの表示画面例。
【図13】ST異常時のシステムの表示画面例。
【符号の説明】
【0039】
1…プロセス値データベース、2…GT計算部、3…ST計算部、4…GT/ST計算結果データベース、5…プラント熱効率計算部、6…性能監視計算部、7…熱効率計算結果データベース、8…表示部、9…異常機器判定部、10…出力決定部、11…GT熱効率計算部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインドサイクルプラントの性能監視方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン(以下、GTという)と蒸気タービン(以下、STという)の両方で発電を行うコンバインドサイクルプラントには、ガスタービンと蒸気タービンそれぞれに異なる発電機を連結した多軸型と、ガスタービン、蒸気タービン、発電機を一軸で連結した一軸型がある。一軸型コンバインドサイクルプラントでは、ガスタービン単独で生成した発電機出力を計測するのは困難である。
【0003】
このため、一軸型コンバインドサイクルプラントでは、ガスタービン単独の出力を温度,流量,圧力などのプロセス値を基に計算で求めている。例えば、特開平5−195720号公報では、先に蒸気タービン出力を計算で求め、次に、発電機出力の実測値から蒸気タービン出力の計算値を減算することによりガスタービン出力を求めている。
【0004】
従来技術では、運転条件(主蒸気圧力と温度)に基づいて求めた性能劣化を含まない内部効率の値に、内部効率低下比率カーブを用いて経年劣化の影響を考慮して蒸気タービン出力を決定している。ここで、内部効率低下比率カーブは、同類の蒸気タービンの運転実績データに基づいて決定した運転時間に対する効率低下の程度を表したものである。また、このカーブは、定期検査時に計測した各部クリアランスの値で補正している。
【0005】
【特許文献1】特開平5−195720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に説明したように、従来技術では蒸気タービン出力を同類の蒸気タービンの運転実績を基に計算する。したがって、蒸気タービンの性能劣化が運転実績を超えて進行すれば、蒸気タービン出力の計算値に含まれる誤差が大きくなる。このため、ガスタービン出力の計算に含まれる誤差も大きくなる。
【0007】
この問題は、コンバインドサイクルプラントの性能監視の精度を低下させる要因となる。本発明の目的は、運転実績を超えて性能劣化が発生した場合でも、性能監視を高精度で行う性能監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一軸型コンバインドサイクルプラントにおいて、蒸気タービン出力とガスタービン出力の両方を計算で求め、これを合計した蒸気タービン/ガスタービン総合出力の計算値を利用する。また、出力に加えて、ガスタービン排ガス温度も計算で求める。
【0009】
蒸気タービン/ガスタービン総合出力の計算値と発電機出力の実測値を比較し、その差が大きければ、蒸気タービンまたはガスタービンのいずれかで、運転実績を超えた性能劣化が進行していると判断する。さらに、このときガスタービン排ガス温度の計算値と実測値との差が大きければ、ガスタービンで運転実績を超えた性能劣化が発生していると判断し、差が小さければ蒸気タービンで発生していると判断する。
【発明の効果】
【0010】
一軸型コンバインドサイクルプラントにおいて、運転実績を超えて性能劣化が発生した場合でも、性能監視を高精度で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による一軸型コンバインドサイクル(C/C)プラントの性能監視システムの構成を示している。性能監視システムは、各データを記憶するデータベースと、計算機である各計算部と、プロセス値や計算結果を表示する表示部を有する。ここで、計算機は、メモリ,CPUを有する。GT計算部2,ST計算部3,プラント熱効率計算部5,性能監視計算部6は、一つの計算機で処理される各モジュールとすることもできるし、それぞれの計算部を複数の計算機それぞれで行うこともできる。
【0012】
プラントの制御盤から取り込まれたプロセス値のデータは、プロセス値データベース
(DB)1に格納される。図3にプロセス値DBの構成を示した。熱効率の計算に必要なプロセス値のデータを時系列に格納している。次いで、GT計算部2が、プロセス値データベース1に格納されたプロセス値を基に運転条件に応じたGT出力を計算する。ここで、GTはガスタービンを表す。GT出力の計算は図6,図7で後述する。同様に、ST計算部3はST出力を計算する。ここで、STは蒸気タービンを表す。ST出力の計算は図8,図9で後述する。
【0013】
GT計算部2でのGT出力及びGT排ガス温度の計算方法を図6,図7を用いて説明する。図6に計算に使用する入力パラメータを示した。GTは、圧縮機,燃焼器,タービン(膨張機)で構成されており、各構成機器について計算で入力するプロセス値と設計値を示した。圧縮機の入力として、入口空気の流量・温度・圧力を設定する。また、燃焼器の入力として、燃料流量と燃料の単位質量当たりの発熱量を設定する。この二つで燃焼器への入熱量を定義する。また、出口条件として、タービン出口の排ガス圧力を設定する。また、圧縮機の評価のために圧縮機効率を設定する。これは実測値から計算で求めた値でも、運転条件(入口空気温度・圧力)に合わせて設計値を補正した値でもよい。このとき、運転実績を用いて求めた圧縮機効率の劣化傾向を加味することも考えられる。一方、本実施例では、タービン側の評価には翼形状を設定する。ここでも、劣化傾向を加味した翼形状(例えば、動翼先端部のクリアランスが増加するなど)を設定することも考えられる。以上の入力条件から、圧縮機,燃焼器,タービン全体にわたるヒートバランスを基に、
GT出力、及び、GT排ガス温度を計算する。
【0014】
図7に、GT計算部2での計算処理の流れを示した。最初に、翼形状を劣化傾向で補正し、基準条件での圧縮機効率を運転条件と劣化傾向で補正する(S11)。次に、圧縮機の圧力比(入口圧力と出口圧力の比)を初期値として与える(S12)。次に、入力で与えた圧縮機の入口条件(温度,流量,圧力)と圧縮機効率、及び、S12で設定した圧力比から圧縮機出口温度を計算する(S13)。次に、圧縮機出口の流量,温度,圧力(燃焼器の入口条件となる)と、燃料発熱量から燃焼器出口温度を計算する(S14)。燃焼器出口温度はそのままタービン入口温度となるので、次に、タービン入口の流量,温度,圧力と翼形状から空力計算でタービン出口の温度と圧力を計算する(S15)。タービン出口圧力がそのまま排ガス圧力となるので、計算値と入力値を比較し、両者の差が閾値を超えていれば、S12で初期値として設定した圧力比を修正し、S13〜S15までの処理を繰り返す(S16,S17)。収束計算で排ガス圧力の計算値と入力値の差が閾値以内になれば、ガスタービン全体のヒートバランスの整合性が取れたことを表す(S16)。このときの、タービン入口・出口のエネルギー差がタービン側で得られた出力であり、圧縮機入口・出口のエネルギー差が圧縮機に使われた動力である。両者の差からGT出力を得る(S18)。
【0015】
次に、ST計算部3での計算方法を図8,図9を用いて説明する。図8に計算に使用する入力パラメータを示した。STの入力として主蒸気温度・流量・圧力を設定し、出口として復水器真空度(ST出口圧力に相当)を設定する。例えば、主蒸気温度・流量・圧力、腹水器真空度を設定する際の条件として、定格出力運転時等が挙げられるが、その条件を基準条件という。また、ST内部効率については、運転条件(主蒸気温度・流量・圧力,復水器真空度)に合わせて、設計値を補正した値を使用する。このとき、運転実績を用いて求めたST内部効率の劣化傾向を加味することも考えられる。以上の入力条件から、STのヒートバランスを基にST出力を計算する。
【0016】
図9に、ST計算部での処理の流れを示した。最初に、基準条件でのST内部効率ηを運転条件と劣化傾向で補正する(S21)。次に、入力で設定した入口温度、圧力を用いてエンタルピーiとエントロピーsを計算する(S22)。ST出力の計算は、図10に示したi−s線図を基に行う。図10のAが入口の状態を表す。次に、入力パラメータとして設定した出口圧力を基に、放熱、摩擦等のエネルギー損失がないことを仮定した(エントロピーが入口状態と同じ)出口エンタルピーを求める(S23)。図10のA′がこの状態を表す。次に、S21で補正した内部効率を基に、エネルギー損失を考慮した出口エンタルピーを求める(S24)。図10のBがこの状態を表す。最後に、入口Aと出口Bのエンタルピー差に、入力パラメータとして設定した蒸気流量を乗じてST出力を求める(S25)。
【0017】
図1のGT計算部2、及び、ST計算部3における計算結果は、GT/ST計算結果
DB4に格納される。図4にGT/ST計算結果DBの構成を示した。GT計算部2が出力したGT出力,GT排ガス温度の計算値、及び、ST計算部3が出力したST出力の計算値を時系列に格納している。時刻は、計算に使用したプロセス値データの時刻と対応している。
【0018】
次に、性能監視計算部6がGT熱効率を計算する。異常などにより性能劣化が運転実績を超えて進行している場合、GT出力またはST出力の計算値と実際の値との差が大きくなるので、性能監視計算部6はそれぞれの出力の計算値を補正した後に、熱効率の計算を行う。以下に、性能監視計算部6での処理方法を説明する。
【0019】
図2に性能監視計算部6の構成を示す。ここでは、最初に、異常機器判定部9が、異常などでGTまたはSTの性能が運転実績を超えて劣化していないかを判断する。次に、異常機器判定部での判定結果を踏まえて、出力決定部10が最終的にGT出力とST出力の値を決定する。最後に、GT熱効率計算部11が、出力決定部で求めたGT出力の値を用いてGT熱効率を計算する。
【0020】
図11に性能監視計算部6における処理について詳細を示す。以下、この図11を用いて処理の流れを説明する。
【0021】
異常機器判定部9は、プロセス値DB1に格納された発電機出力の実測値と、GT/
ST計算結果DBに格納されたGT出力,ST出力、及び排ガス温度の計算値を取り込み、GTまたはSTの異常を判定する。GT及びSTの経年劣化が運転実績と同程度に進行していれば、GT出力とST出力の和である総合出力の計算値は、計算誤差を除けば発電機出力の実測値と一致するはずである。最初に、異常機器判定部は、総合出力の計算値と発電機出力の実測値を比較し、差が閾値以内にあるかを判定する(S1)。
【0022】
両者の差が閾値以内であれば、GT/STの性能劣化の程度は共に運転実績と同等であることを表す。この場合、出力決定部10がGT出力/ST出力の両方の計算値に対し、計算誤差の影響を取り除くための補正を行い、出力の最終的な値とする(S2)。補正は、総合出力の計算値を発電機出力の実測値とが完全に一致するように、GT出力・ST出力の計算値の双方に同じ値を乗じることにより実施する。
【0023】
一方、両者の差が閾値を超えていれば、GTとSTのどちらかに異常が発生していると判断できる。どちらに異常か発生したかを特定するために、GT排ガス温度の計算値を実測値と比較する(S3)。排ガス温度の計算値と実測値の差が閾値以内であれば、GTは正常、すなわち、STに異常が発生していると判断できる(S4)。同様に、排ガス温度の計算値と実測値との差が閾値を超えていれば、GTに異常が発生していると判断する
(S6)。このように、GT出力推定値、ST出力推定値の合計と実測値を比較して、
GT排気温度の推定値とGT排気温度の実測値を比較することで、運転実績を超えて性能劣化が発生した場合でも、どちらで劣化が発生したか特定でき、排ガス異常タービンを特定することができる。
【0024】
出力決定部10が、異常が生じたST又はGTを排除して、出力を算出する。上記
(S4)で、STに異常が発生していると判断した場合、ST出力の計算値は実際の値から乖離しているので利用せずに、GT出力の計算値のみを用いる。ST出力については、発電機出力の実測値からGT出力の計算値を減算して求める(S5)。上記(S6)で、GTに異常が発生していると判断した場合、GT出力を発電機出力の実測値からST出力の計算値を減算して求める(S7)。このように、運転実績を超えた性能劣化が発生した機器に対する計算値は、誤差が大きいので出力の評価に利用しない。発電機出力の実測値から、性能劣化が発生していない機器に対する出力の計算値を減算して、性能劣化が発生した機器に対する出力を決定する。これにより、劣化進行したタービンの出力を排除して、正確なST出力及びGT出力を把握することができる。
【0025】
次いで、性能監視計算部6は、GT熱効率計算部11で、求めたGT出力の値を基に
GT熱効率を計算する。ガスタービン単独の性能の変化を監視するための指標に熱効率がある。これは、ガスタービンへの時間当たりの入熱量に対するガスタービンにより発電した電気出力の割合で表される。GT熱効率は、GT出力を単位時間当りの燃料発熱量で除することにより計算する。
【0026】
タービンの内部効率低下カーブを用いて熱効率を計算するものでは、劣化が進行した場合は定期点検のクリアランス計測データによる内部効率低下カーブの修正を待つ必要がある。しかし、上述の様に、ST及びGTの何れか一方の劣化が進んでしまっていても、
STとGTの一方を異常と判断し、異常な方の出力を正常な方の出力から把握でき、異常な方の正確な効率を把握できる。これにより、定期点検を待たずに異常なタービンの正確な効率を早く把握することができる。
【0027】
以上が、図1に示した性能監視計算部6での処理の流れである。これとは別に、プラント熱効率計算部5は、プラント全体、すなわち、GTとSTの両方を合わせたプラント熱効率を計算する。プラント熱効率は、発電機出力(GT/ST総合出力)の実測値を単位時間当りの燃料発熱量で除することにより計算する。この処理は実測値のみで計算できる。
【0028】
性能監視計算部6、及びプラント熱効率計算部5が計算した熱効率のデータは、熱効率計算結果DB7に格納される。図5に熱効率計算結果DBの構成を示す。最終結果であるGT熱効率とプラント熱効率の値に加えて、性能監視計算部6が算出したGT/ST出力の補正後の値、また、GT/ST異常の判定結果(0が正常、1が異常を表す)を格納している。
【0029】
本システムのデータベースに格納されている実測値及び計算値のデータは、表示部8を通してユーザインタフェースに出力される。
【0030】
図12は、システムの表示画面例を示している。表示領域31は、熱効率計算結果DBに格納されているGT/ST異常のデータを基に示した異常情報である。表示領域32及び表示領域33は、熱効率計算結果DB7に格納されているGT/ST出力(GT熱効率計算部による補正後の値)、プラント熱効率、GT熱効率のデータである。この表示例では、GTに異常が発生したことによりGT出力が低下し、低下分を補うためST出力が上昇している。これに伴い、GT熱効率とプラント熱効率が低下傾向にある。
【0031】
図13は、ST異常発生時の表示画面例を示している。表示領域41は、熱効率計算結果DBに格納されているGT/ST異常のデータを基に示した異常情報である。表示領域42は、GT出力とST出力を表示している。表示されているGT出力は、熱効率計算結果DB7に格納されているGT出力推定値であり、表示されているST出力は、発電機出力の実測値からGT計算部2で計算されたGT出力推定値を減算して求めた値である。表示領域43は、プラント熱効率とGT熱効率を表示している。このGT熱効率はGT出力推定値からGT熱効率計算部11で算出された値である。この表示例では、STに異常が発生したことによりST出力が低下し、低下分を補うためGT出力が上昇している。これに伴い、GT熱効率とプラント熱効率が低下傾向にある。
【0032】
比較例の出力と熱効率の計算結果を破線で表した。比較例として、蒸気タービンの性能劣化が運転実績を超えて進行しても判別できず、同類の蒸気タービンの運転実績を基に蒸気タービン出力を計算した場合の例を示す。これによるとST出力の劣化分をGT出力の劣化分として計算してしまうこととなり、GT熱効率も下がった様に表示され、性能監視の精度を低下させることとなる。
【0033】
表示する際に、表示領域41のST異常やGT異常の表示に対応させて、表示領域42の出力の表示を変化させることができる。ST異常の場合、GT出力はGT計算部2の
GT出力推定値であることを表示し、ST出力は、発電機出力の実測値からGT出力推定値を減算して求めた値であることを表示する。ST出力表示は、「実測値−GT出力推定値」や「GT出力推定値から算出」をトレンドグラフに表示させる。GT異常の場合も同様に、ST出力はST計算部3のST出力推定値であることを表示し、GT出力は、発電機出力の実測値からST出力推定値を減算して求めた値であることを表示する。
【0034】
この様に、異常の表示と出力の表示を対応させ、異常となったST又はGTの出力表示は、異常となっていないGT又はSTについて計算で求めた出力に基づいて算出されていることを表示することで、どの出力を基準としているか、運転員に容易に把握させることができる。 上記実施例では、異常機器判定部9でGT排気ガス温度に基づいて異常判定を行ったが、これに限らず、GT又はSTの他のプラントデータに基づいてGT又はSTの異常を判断しても良い。つまり、GTに関連するプロセス値からGT出力を推定する
GT計算部2、STに関連するプロセス値からST出力を推定するST計算部3、GT又はSTのプロセス値に基づいてGT又はSTの異常を判断する異常機器判断部9、GT異常と判断した場合には、発電機の出力の実測値とST出力の推定値との差からGT出力を算出し、ST異常と判断した場合には、発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出する出力決定部10を有する性能監視システムにより、片方のタービン異常の際であっても、正確な出力を把握できる。
【0035】
上記実施例では、GT又はSTの異常の際に、出力と熱効率の両方について計算し、出力したが、どちらか片方について計算、出力を行っても良い。
【0036】
多軸型と一軸型のコンバインドサイクルプラントのうち、一軸型コンバインドサイクルプラントでは、ガスタービン単独で生成した発電機出力を計測するのは困難であることを説明した。この一軸型コンバインドサイクルプラントでもトルク検出器を設置して計測することは可能であるが、設置によるコスト高を考慮すると、検出器の設置は困難である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
一軸型コンバインド発電プラントの監視システムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】熱効率監視システムの構成。
【図2】性能監視計算部の構成。
【図3】プロセス値データベースの構成。
【図4】GT/ST計算結果データベースの構成。
【図5】熱効率計算結果データベースの構成。
【図6】GT出力計算の設定パラメータ。
【図7】GT出力計算の処理の流れ。
【図8】ST出力計算の設定パラメータ。
【図9】ST出力計算の処理の流れ。
【図10】ST出力計算に用いるi−s線図。
【図11】性能監視計算部の処理の流れ。
【図12】GT異常時のシステムの表示画面例。
【図13】ST異常時のシステムの表示画面例。
【符号の説明】
【0039】
1…プロセス値データベース、2…GT計算部、3…ST計算部、4…GT/ST計算結果データベース、5…プラント熱効率計算部、6…性能監視計算部、7…熱効率計算結果データベース、8…表示部、9…異常機器判定部、10…出力決定部、11…GT熱効率計算部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(以下、STという)とガスタービン(以下、GTという)を一軸で発電機に連結した一軸型コンバインドサイクルプラントの性能を監視する性能監視システムにおいて、
GTに関連するプロセス値からGT出力、及びGT排ガス温度を推定するGT計算手段と、
STに関連するプロセス値からST出力を推定するST計算手段と、
前記推定したST出力及びGT出力の推定値の合計と前記発電機の出力の実測値との差が所定の値を超えた場合のうち、前記GT排ガス温度の推定値と前記GTの排ガス温度の実測値との差が所定の値を超えていれば、GT異常と判断し、GT排ガス温度の推定値と実測値との差が所定の値を超えていなければ、ST異常と判断する性能監視計算手段と、
を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の性能監視システムにおいて、前記性能監視計算手段は、前記GT異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記ST出力の推定値との差からGT出力を算出し、前記ST異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出する出力決定手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の性能監視システムにおいて、前記性能監視計算手段は、前記推定した出力を用いて、効率を計算する熱効率演算手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の性能監視システムにおいて、GT出力またはST出力の推定値を表示する表示手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項5】
請求項3に記載の性能監視システムにおいて、前記計算された効率を表示する表示手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項6】
蒸気タービン(以下、STという)とガスタービン(以下、GTという)を一軸で発電機に連結した一軸型コンバインドサイクルプラントの性能を監視する性能監視システムの性能監視方法において、
前記性能監視システムは、
GTに関連するプロセス値からGT出力、及びGT排ガス温度を推定し、
STに関連するプロセス値からST出力を推定し、
前記推定したST出力及びGT出力の推定値の合計と前記発電機の出力の実測値との差が所定の値を超えた場合のうち、前記GT排ガス温度の推定値と前記GTの排ガス温度の実測値との差が所定の値を超えていれば、GT異常と判断し、GT排ガス温度の推定値と実測値との差が所定の値を超えていなければ、ST異常と判断することを特徴とする性能監視方法。
【請求項7】
請求項6に記載の性能監視方法において、前記性能監視システムは、前記GT異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記ST出力の推定値との差からGT出力を算出し、前記ST異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出することを特徴とする性能監視方法。
【請求項8】
請求項7に記載の性能監視方法において、前記性能監視システムは、前記推定した出力を用いて、効率を計算することを特徴とする性能監視方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の性能監視方法において、GT出力またはST出力の推定値を表示することを特徴とする性能監視方法。
【請求項10】
請求項8に記載の性能監視方法において、前記計算された効率を表示することを特徴とする性能監視方法。
【請求項11】
蒸気タービン(以下、STという)とガスタービン(以下、GTという)を一軸で発電機に連結した一軸型コンバインドサイクルプラントの性能を監視する性能監視システムにおいて、
GTに関連するプロセス値からGT出力を推定するGT計算手段と、
STに関連するプロセス値からST出力を推定するST計算手段と、
前記GT又はSTのプロセス値に基づいてGT又はSTの異常を判断する手段と、
前記GT異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記ST出力の推定値との差からGT出力を算出し、前記ST異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出する出力決定手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項12】
請求項11に記載の性能監視システムにおいて、
前記出力決定手段で算出された情報を表示する表示手段を有し、
前記表示手段に、異常となったST又はGTの出力表示は、異常となっていない他方のGT又はSTについて計算で求めた出力に基づいて算出されていることを表示することを特徴とする性能監視システム。
【請求項1】
蒸気タービン(以下、STという)とガスタービン(以下、GTという)を一軸で発電機に連結した一軸型コンバインドサイクルプラントの性能を監視する性能監視システムにおいて、
GTに関連するプロセス値からGT出力、及びGT排ガス温度を推定するGT計算手段と、
STに関連するプロセス値からST出力を推定するST計算手段と、
前記推定したST出力及びGT出力の推定値の合計と前記発電機の出力の実測値との差が所定の値を超えた場合のうち、前記GT排ガス温度の推定値と前記GTの排ガス温度の実測値との差が所定の値を超えていれば、GT異常と判断し、GT排ガス温度の推定値と実測値との差が所定の値を超えていなければ、ST異常と判断する性能監視計算手段と、
を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の性能監視システムにおいて、前記性能監視計算手段は、前記GT異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記ST出力の推定値との差からGT出力を算出し、前記ST異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出する出力決定手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の性能監視システムにおいて、前記性能監視計算手段は、前記推定した出力を用いて、効率を計算する熱効率演算手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の性能監視システムにおいて、GT出力またはST出力の推定値を表示する表示手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項5】
請求項3に記載の性能監視システムにおいて、前記計算された効率を表示する表示手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項6】
蒸気タービン(以下、STという)とガスタービン(以下、GTという)を一軸で発電機に連結した一軸型コンバインドサイクルプラントの性能を監視する性能監視システムの性能監視方法において、
前記性能監視システムは、
GTに関連するプロセス値からGT出力、及びGT排ガス温度を推定し、
STに関連するプロセス値からST出力を推定し、
前記推定したST出力及びGT出力の推定値の合計と前記発電機の出力の実測値との差が所定の値を超えた場合のうち、前記GT排ガス温度の推定値と前記GTの排ガス温度の実測値との差が所定の値を超えていれば、GT異常と判断し、GT排ガス温度の推定値と実測値との差が所定の値を超えていなければ、ST異常と判断することを特徴とする性能監視方法。
【請求項7】
請求項6に記載の性能監視方法において、前記性能監視システムは、前記GT異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記ST出力の推定値との差からGT出力を算出し、前記ST異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出することを特徴とする性能監視方法。
【請求項8】
請求項7に記載の性能監視方法において、前記性能監視システムは、前記推定した出力を用いて、効率を計算することを特徴とする性能監視方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の性能監視方法において、GT出力またはST出力の推定値を表示することを特徴とする性能監視方法。
【請求項10】
請求項8に記載の性能監視方法において、前記計算された効率を表示することを特徴とする性能監視方法。
【請求項11】
蒸気タービン(以下、STという)とガスタービン(以下、GTという)を一軸で発電機に連結した一軸型コンバインドサイクルプラントの性能を監視する性能監視システムにおいて、
GTに関連するプロセス値からGT出力を推定するGT計算手段と、
STに関連するプロセス値からST出力を推定するST計算手段と、
前記GT又はSTのプロセス値に基づいてGT又はSTの異常を判断する手段と、
前記GT異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記ST出力の推定値との差からGT出力を算出し、前記ST異常と判断した場合には、前記発電機の出力の実測値と前記GT出力の推定値との差からST出力を算出する出力決定手段を有することを特徴とする性能監視システム。
【請求項12】
請求項11に記載の性能監視システムにおいて、
前記出力決定手段で算出された情報を表示する表示手段を有し、
前記表示手段に、異常となったST又はGTの出力表示は、異常となっていない他方のGT又はSTについて計算で求めた出力に基づいて算出されていることを表示することを特徴とする性能監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−231804(P2007−231804A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53036(P2006−53036)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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