説明

一軸破砕機及びニ軸破砕機

【課題】 例えば家庭の粗大ゴミを含む大型の被破砕物や、ペットボトル等の円筒状の被破砕物に対して、回転刃が大きな噛込み量(噛込み深さ)で噛み込むことができるようにして、効率的に破砕することができる一軸破砕機を提供すること。
【解決手段】 回転されるロータ13と、ロータ13の表面に設けられている複数の回転刃14と、ケーシング15に設けられ複数の回転刃14との間で被破砕物を剪断破砕する第1及び第2固定刃16、17とを備える一軸破砕機11において、ロータ13の表面は、複数の回転刃14がロータ13の周方向の略180°の所定の範囲において偏在し、かつ、ロータ13の軸方向の全範囲に亘って設けられている破砕領域23と、回転刃14がロータ13の周方向の略180°の所定の範囲に亘り、かつ、ロータ13の軸方向の全範囲に亘って設けられていない非破砕領域24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家庭の粗大ゴミを含む大型の被破砕物や、ペットボトル等の円筒状の被破砕物に対して、回転刃が大きな噛込み量(噛込み深さ)で噛み込むことができるようにして、効率的に破砕することができる一軸破砕機及びニ軸破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一軸破砕機の一例として図10及び図11に示すものがある。(例えば、特許文献1参照。)。この図10に示す一軸破砕機1は、ホッパ2から被破砕物3が供給されると、その被破砕物3が回転するロータ4上に載置された状態となる。このとき、プッシャ5を前進方向に移動させて、被破砕物3をロータ4の表面に押し付けると、ロータ4の表面に設けられている複数の回転刃6が、この被破砕物3を固定刃7との間に強力に噛み込むことができて破砕することができる。そして、破砕片qは、ロータ4の下方に落下して排出される。
【0003】
なお、図10に示すように、回転刃6は、ロータ4の同心円周上に約90°おきに配置され、合計4つ設けられている。そして、図11に示すように、多数の回転刃6は、ロータ4の表面にジグザグ状に配置され、これによって、回転刃6が、板状体の先端縁部に形成された固定刃7との間に被破砕物3を噛み込んだときに、大きな破砕負荷が掛からないようになっている。この図11には、ロータ4の同心円周上に回転刃6が1つしか表れていないが、他の3つの回転刃6は省略されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−57138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図10に示す従来の一軸破砕機1では、例えば粗大ゴミ等の大型の被破砕物3を、プッシャ5でロータ4に押し付けたときに、被破砕物3が、同一円周上の90°おきに設けられた互いに隣り合う回転刃6上に乗り上げた状態となることがある。この状態で回転刃6が回転しても、回転刃6がこの大型の被破砕物3を噛み込むことができる深さは小さいので、回転刃6の刃先は、被破砕物3の表面をこすることしかできない場合があり、このような場合は、被破砕物3を効率よく破砕することができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、例えば家庭の粗大ゴミを含む大型の被破砕物や、ペットボトル等の円筒状の被破砕物に対して、回転刃が大きな噛込み量(噛込み深さ)で噛み込むことができるようにして、効率的に破砕することができる一軸破砕機及びニ軸破砕機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一軸破砕機は、回転軸を中心にして回転されるロータと、このロータの表面に設けられている複数の回転刃と、固定部に設けられ前記複数の回転刃との間で被破砕物を剪断破砕する固定刃とを備える一軸破砕機において、前記ロータの表面は、前記複数の回転刃が前記ロータの周方向の所定の範囲において偏在し、かつ、前記ロータの軸方向の範囲に亘って設けられている破砕領域と、前記回転刃が前記ロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、前記ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域とを有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る一軸破砕機によると、ロータを回転させることによって、複数の回転刃と固定刃との間に被破砕物を挟み込んで、この被破砕物を、順次剪断破砕することができる。そして、ロータの表面には、回転刃がロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域を有しているので、例えば大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物が供給されたときに、被破砕物をロータ表面の非破砕領域で受け止めることができる。つまり、被破砕物が、ロータの周方向の互いに隣合う回転刃上に乗り上げた状態のままで維持されないようにすることができる。これによって、大型の被破砕物やペットボトル等の円筒状の被破砕物に対する回転刃及び固定刃の噛込み量(噛込み深さ)を大きくすることができ、回転刃及び固定刃がこれらの被破砕物に確実に噛み込んで破砕することができる。
【0009】
この発明に係る一軸破砕機において、前記破砕領域には、前記ロータの同一円周上に前記回転刃が3つ〜5つ設けられ、前記非破砕領域は、前記ロータの同一円周上に120°〜220°の範囲に亘って形成されているものとすることができる。
【0010】
このように、破砕領域において、ロータの同一円周上に回転刃を3つ〜5つ設けることによって、同一円周上に設けられている回転刃の間隔を大きく取ることができ、粗大ゴミのような大型の被破砕物に回転刃が深く噛み込み易くして効率的に破砕することができる。ここで、回転刃を2つ以下とすると、必要な破砕処理能力が得られない。そして、回転刃を6つ以上とすると、回転刃が大型の被破砕物に深く噛み込むことが困難であり、効率的に破砕することができないし、回転刃のコストの上昇に繋がる。
【0011】
そして、非破砕領域を、ロータの同一円周上に120°〜220°の範囲に亘って形成することによって、大型の被破砕物をロータの略半分の表面の非破砕領域で確実に受け止めることができる。
【0012】
なお、回転刃をロータの同一円周上に約90°おきに(円周の4等分の各位置に)3つ設けると、非破砕領域を、ロータの同一円周上に約180°の範囲に亘って形成することができ、約72°おきに(円周の5等分の各位置に)3つ設けると、非破砕領域を、ロータの同一円周上に約220°の範囲に亘って形成することができる。そして、約60°おきに(円周の6等分の各位置に)5つ設けると、非破砕領域を、ロータの同一円周上に約120°の範囲に亘って形成することができる。
【0013】
この発明に係る一軸破砕機において、前記回転刃と前記固定刃とが噛合う位置の上方には、被破砕物を誘導する誘導通路が形成され、前記誘導通路は、前記ロータの断面円弧状の傾斜表面と、前記固定刃の傾斜刃面とによって下方に向かうに従って先細りとなる形状に形成されているものとすることができる。
【0014】
このようにすると、誘導通路に供給されて来る被破砕物を、ロータの断面円弧状の傾斜表面と、固定刃の傾斜刃面とによって下方に案内することができ、この下方には、回転刃と固定刃とが噛合う位置が設定されているので、被破砕物を確実に効率よく破砕することができる。
【0015】
この発明に係る一軸破砕機において、前記誘導通路又はその近傍に進入している被破砕物を、ケーシングに押し付けることができるプッシャを備えるものとすることができる。
【0016】
このようにすると、回転刃と固定刃とによって噛み込まれていく被破砕物を、プッシャでケーシングに押し付けておくことができるので、被破砕物が回転刃及び固定刃の噛込みから逃げないように留めておくことができ、これによって、被破砕物を確実に破砕することができる。
【0017】
この発明に係る一軸破砕機において、前記プッシャによって被破砕物が押し付けられるケーシングの部分には、前記固定刃に向かう方向に延びる凸条が設けられ、この凸条の頂部の少なくとも一部が前記回転刃の先端部と対向するように配置されているものとすることができる。
【0018】
このようにすると、被破砕物を押し付ける方向に移動するプッシャと凸条との間に被破砕物を挟み込んで留めておくことができる。そして、この凸条は、固定刃に向かう方向に延びているので、被破砕物を固定刃に向かう方向に案内することができると共に、被破砕物が水平方向に移動することを阻止することができ、これによって、被破砕物が確実に破砕されるようにすることができる。
【0019】
そして、凸条の頂部の一部が回転刃の先端部と対向するように配置されているので、被破砕物の回転刃に押圧された部分が凸条と凸条との間に形成される溝に入り込むことを軽減することができる。これによって、被破砕物をスムースに固定刃側に案内することができる。
【0020】
この発明に係る一軸破砕機において、前記プッシャによって被破砕物が押し付けられるケーシングの部分がゲートで形成され、このゲートは、被破砕物と共に供給された異物を排出することができる排出口を開閉することができるものとすることができる。
【0021】
このようにすると、例えば被破砕物が供給されて、この被破砕物に混入する異物が誘導通路又はその近傍に進入しているときに、ゲートを開いてプッシャをゲートに押し付ける方向に移動させることによって、異物を排出口から外側に自動的に排出することができる。
【0022】
なお、例えば硬質の異物が誘導通路又はその近傍に進入すると、破砕されずにこの誘導通路又はその近傍に滞留するので、次の被破砕物を破砕できず、破砕作業を行なえないが、このように、異物を外側に排出すると、破砕作業を行うことができる。
【0023】
この発明に係る一軸破砕機において、複数の前記回転刃が外周部に設けられ、かつ、この外周部に溝部が形成されている板状の回転刃体と、この回転刃体よりも小さい外径の板状のスペーサとが軸方向に交互に配置され、前記回転刃体に形成されている溝部の底が、前記スペーサの外周面と略一致するように形成されているものとすることができる。
【0024】
このようにすると、例えば固定刃の先端部と、回転するスペーサの外周面との間(例えば誘導通路)に被破砕物が挟まっているときに、この溝部が固定刃の取り付けられている部分に回転移動すると、その被破砕物は、固定刃によってこの溝部から押し出されて脱落する。これによって、次の被破砕物が、順次回転刃と固定刃とが噛合う位置に移動することができ、被破砕物を連続的に破砕することができる。また、このような溝部を形成すると、スペーサに巻き付いた被破砕物をこの溝部から先端部の尖った棒状体を使用して除去することができる。
【0025】
なお、回転刃体における回転刃の付根部分を通る外径(基礎円)を、スペーサの外径よりも大きく形成しているのは、回転刃体の基礎円のスペーサよりも半径方向の外側に突出している円環状部分が、固定刃とによって被破砕物を剪断破砕することができる機能を発揮させるためである。
【0026】
この発明に係る一軸破砕機において、前記複数のそれぞれの回転刃は、前記固定刃と噛み合う両側の第1縁部及び第2縁部を有し、一方の前記第1縁部と前記固定刃との間の第1隙間を、他方の前記第2縁部と前記固定刃との間の第2隙間よりも小さくして、前記第1縁部と前記固定刃とによって被破砕物を破砕し、前記第2隙間から被破砕物の破砕片を排出できるものとすることができる。
【0027】
このようにすると、回転刃の一方の第1縁部と固定刃とによって被破砕物を破砕することができ、回転刃の他方の第2縁部と固定刃と間に形成されている第2隙間からは、被破砕物の破砕片を排出することができる。これによって、破砕負荷を低減できて、ロータの回転駆動装置の小型化を図ることができ、この一軸破砕機の費用の低減を図ることができる。そして、第2隙間から破砕片を排出することができるので、破砕効率の向上を図ることができる。
【0028】
この発明に係る一軸破砕機において、前記固定刃は、前記ロータの軸方向に並んで配置された複数の固定刃によって構成され、これら複数の各固定刃が、それぞれ別々にケーシングにボルトで着脱自在に取り付けられているものとすることができる。
【0029】
このようにすると、例えば交換が必要な固定刃のみのケーシングからの取外し、及び交換用の固定刃の取付けを極めて簡単で短時間に行なうことができる。
【0030】
本発明に係るニ軸破砕機は、それぞれ別々の回転軸を中心にして回転される第1ロータ及び第2ロータを備え、これら第1及び第2ロータのそれぞれの表面には回転刃が複数ずつ設けられ、前記第1ロータに設けられている複数の回転刃と、前記第2ロータに設けられている複数の回転刃との間で被破砕物を剪断破砕するニ軸破砕機において、前記第1及び第2ロータのそれぞれの表面は、前記複数の回転刃が前記各ロータの周方向の所定の範囲において偏在し、かつ、前記各ロータの軸方向の範囲に亘って設けられている破砕領域と、前記回転刃が前記各ロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、前記各ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域とを有することを特徴とするものである。
【0031】
本発明に係るニ軸破砕機によると、第1及び第2ロータを回転させることによって、第1ロータの回転刃と、第2ロータの回転刃との間に被破砕物を挟み込んで、この被破砕物を、順次剪断破砕することができる。そして、第1及び第2ロータのそれぞれの表面は、回転刃が各ロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、各ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域を有しているので、例えば大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物が供給されたときに、被破砕物を第1及び(又は)第2ロータ表面の非破砕領域で受け止めることができる。つまり、被破砕物が、第1及び(又は)第2ロータの周方向の互いに隣合う回転刃上に乗り上げた状態のままで維持されないようにすることができる。これによって、回転刃及び固定刃の、大型の被破砕物やペットボトル等の円筒状の被破砕物に対する噛込み量(噛込み深さ)を大きくすることができ、回転刃及び固定刃がこれらの被破砕物に確実に噛み込んで破砕することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明に係る一軸破砕機によると、例えば粗大ゴミを含む大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物が供給されたときに、被破砕物をロータ表面の非破砕領域で受け止めることによって、これらの被破砕物に対する回転刃及び固定刃の噛込み量(噛込み深さ)を大きくすることができる。従って、安価で小型の一軸破砕機を使用して、このような大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物を確実に破砕することができる。
【0033】
この発明に係るニ軸破砕機によると、上記と同様に、第1及び第2ロータのそれぞれの回転刃によって、大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物を確実に破砕することができる。しかも、一軸破砕機よりも大きな破砕処理能力を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施形態に係る一軸破砕機を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す同実施形態の一軸破砕機の要部を示す拡大縦断面図である。
【図3】同実施形態に係る一軸破砕機を示す横断面図である。
【図4】図3に示す同実施形態の一軸破砕機の要部を示す拡大横断面図である。
【図5】図3に示す同実施形態の一軸破砕機の回転刃と第2固定刃との噛合いを示す拡大横断面図である。
【図6】同実施形態が備える回転刃体を示し、(a)は、回転刃体の正面図、(b)は、回転刃体の側面図である。
【図7】同実施形態が備える回転刃及びスペーサを重ね合わせた状態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、その側面図である。
【図8】同実施形態が備える第1固定刃を示し、(a)は、その平面図、(b)は、その正面図、(c)は、その側面図である。
【図9】同実施形態が備える第2固定刃を示し、(a)は、その平面図、(b)は、その正面図、(c)は、その側面図である。
【図10】従来の一軸破砕機を示す縦断面図である。
【図11】図10に示す同従来の一軸破砕機に設けられている回転刃の配置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る一軸破砕機の一実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。この一軸破砕機11は、図1に示すように、回転軸12を中心にして回転されるロータ13と、このロータ13の表面に設けられている複数の回転刃14と、ケーシング15(固定部)に設けられ、複数の回転刃14との間で被破砕物を剪断破砕する第1固定刃16及び第2固定刃17とを備えるものである。そして、この一軸破砕機11は、例えば家庭の粗大ゴミを含む大型の被破砕物や、ペットボトル等の円筒状の被破砕物に対して、回転刃14が大きな噛込み量(噛込み深さ)で噛み込んで破砕することができるようにしたものである。そして、被破砕物を一軸破砕機11によって破砕するのは、例えば廃棄物等の被破砕物を、ボイラー燃料や農業資材としてリサイクルできるようにするためである。
【0036】
一軸破砕機11は、図1に示すように、ケーシング15と、ケーシング15の内部に配設されたロータ13と、ロータ13の表面に設けられた複数の回転刃14と、ケーシング15に設けられ、ロータ13の表面に沿って配置された第1固定刃16及び第2固定刃17と、ケーシング15の上部に取り付けられたホッパ18と、ケーシング15の側部に取り付けられたプッシャ19とを備えている。
【0037】
ホッパ18は、収容空間Sに被破砕物を供給するための供給口を形成するものである。
【0038】
ケーシング15は、上記の各部品を支持する基台となる部分である。そして、ケーシング15の内部には、被破砕物を収容する平面視略四角形の収容空間Sが形成されており、ロータ13、ホッパ18及びプッシャ19等は、収容空間Sを取り囲むようにしてケーシング15に固定して設けられている。
【0039】
図2及び図3に示すように、外周面に複数の回転刃14が設けられているロータ13は、複数の回転刃体20、複数のスペーサ21、及び回転軸12等によって構成されている。
【0040】
この回転刃体20は、図6(a)、(b)に示すように、略円板状の回転刃本体22を有し、この回転刃本体22の外周部に、例えば合計3つ各回転刃14が半径方向の外側に突出するように設けられている。
【0041】
これら3つの各回転刃14は、回転刃本体22の外周部の周方向に約90°おきに設けられ、すくい面である刃面14aが略四角形に形成されている。このすくい面は、正のすくい角となるように形成されている。
【0042】
この図6(a)の正面図に示すように、回転刃体20の外周部の左半分の略180°の範囲に亘って3つの回転刃14が偏在して設けられている領域が破砕領域23であり、そして、回転刃体20の外周部の右半分の略180°の範囲に亘って回転刃14が設けられていない領域が非破砕領域24である。
【0043】
このように形成された複数の回転刃体20は、図7(a)、(b)に示すように、円板状に形成された複数のスペーサ21と交互に重ね合わされ、それぞれの中心に形成された略矩形の挿通孔25に回転軸12が挿通されて、複数の回転刃体20、複数のスペーサ21及び回転軸12は、一体に結合されている。このようにして、図4に示すように、外周面に複数の回転刃14が設けられたロータ13が完成されている。従って、ロータ13は、複数の回転刃体20と、複数のスペーサ21と、回転軸12とを備えている。
【0044】
このように構成されたロータ13の表面は、複数の回転刃14がロータ13の周方向の略180°の所定の範囲において偏在し、かつ、ロータ13の軸方向の全範囲に亘って設けられている破砕領域23と、回転刃14がロータ13の周方向の略180°の所定の範囲に亘り、かつ、ロータ13の軸方向の全範囲に亘って設けられていない非破砕領域24とを有している。
【0045】
そして、ロータ13の表面には、例えば複数の回転刃14が複数条の螺旋状又はジグザグ状に並ぶように設けられ、これによって、破砕領域23が螺旋状又はジグザグ状に形成されている。このようにして、ロータ13の軸方向に一直線上に並ぶ回転刃14の数の低減が図られており、複数の各回転刃14が、第1及び第2固定刃16、17との間で被破砕物を挟み込んで剪断破砕するときに、第1及び第2固定刃16、17、並びにロータ13に過大な負荷が掛かることを防止できる。
【0046】
また、ロータ13の中心部に挿通されている回転軸12は、ケーシング15に取り付けられた軸受26、26によって回動自在に支持されている。このようにして、ロータ13が回動自在に軸受26、26によって支持されている。また、ロータ13の回転軸12には、ギアユニット等を介して駆動モータ(図示省略)が接続されている。この駆動モータによって、ロータ13を所定方向に回転させることができる。ロータ13の回転速度は、例えば30rpm以下の低速に設定されている。
【0047】
また、図1に示すように、ケーシング15の内部には、ロータ13が回動自在に支持され、ロータ13は、その上部の外周面の一部が収容空間Sに面するように配置されている。そして、ロータ13の下部の外周面の一部は、間隔を隔ててスクリーン27によって覆われている。このスクリーン27には、多数の孔が形成され、被破砕物は、スクリーン27に形成されている多数の孔の大きさよりも小さくなるまで、複数の回転刃14と、第1及び第2固定刃16、17との間で繰り返し剪断破砕される。従って、孔径の異なるスクリーンに交換することによって、最終的に得られる破砕片qの大きさを調整することができる。
【0048】
そして、スクリーン27の下方には、ベルトコンベア等の搬送装置(図示省略)が配設されており、スクリーン27の孔を通って落下した破砕片qは、当該搬送装置によって次の工程に搬送される。
【0049】
次に、第1固定刃16及び第2固定刃17を説明する。図2及び図4に示すように、ケーシング15の内面には、多数の第1及び第2固定刃16、17が交互に一直線上に配置されている。このように、多数の第1及び第2固定刃16、17が交互に一直線上に配置されている方向は、ロータ13の回転軸12と平行する方向であり、これら一直線上に配置された多数の第1及び第2固定刃16、17は、ロータ13と略同じ長さに形成されている。
【0050】
そして、これら多数の第1及び第2固定刃16、17は、ロータ13の外面と対向して配置され、ロータ13の外面に設けられている多数の回転刃14との間で被破砕物を剪断力によって破砕することができ、硬質の金属材料等によって板状に形成されている。また、それぞれの第1及び第2固定刃16、17は、図2に示すように、それぞれ別々に着脱自在にボルト28でケーシング15に取り付けられている。
【0051】
それぞれの第1固定刃16は、それぞれ同一の形状であり、図8(a)、(b)、(c)に示すように、板状のブロックであって、上面(傾斜刃面16a)は、凹状の湾曲面として形成され、下部には、ボルト28が螺合される2つの雌ねじ部29,29が形成されている。この第1固定刃16は、図2に示すように、第1固定刃16をケーシング15に取り付けた状態で、ロータ13が回転して回転刃14が回転するときに、回転刃14の刃先が、第1固定刃16の上面に形成されている傾斜刃面16aと隙間を隔てて回転移動できるように形成されている。
【0052】
そして、それぞれの各第2固定刃17は、それぞれ同一の形状であり、図9(a)、(b)、(c)に示すように、板状のブロックであって、上面(傾斜刃面17a)には、高さの低い台形状の中央凸部17bが形成され、この中央凸部17bの上面には、中央平坦面が形成され、この中央平坦面の両側に緩傾斜面17c、17cが形成されている。そして、各緩傾斜面17c、17cのそれぞれの外側に側部平坦面17dが形成されている。そして、各第2固定刃17の下部には、ボルトが螺合される2つの雌ねじ部が形成されている。
【0053】
この第2固定刃17は、図2に示すように、第2固定刃17をケーシング15に取り付けた状態で、ロータ13と共に回転刃14が回転するときに、回転刃14の刃先が、この第2固定刃17の傾斜刃面17a(上面)に形成されている一方の緩傾斜面17cの側方位置を少しの隙間を隔ててその刃先から噛合いを開始して回転移動できるように形成されている。
【0054】
また、図2に示すように、それぞれの第1及び第2固定刃16、17は、それぞれ別々に着脱自在にボルト28でケーシング15に取り付けられているので、例えば交換が必要な第1固定刃16又は第2固定刃17のみのケーシング15からの取外し、及び交換用の第1固定刃16又は第2固定刃17の取付けを極めて簡単で短時間に行なうことができる。
【0055】
次に、図2を参照して被破砕物を誘導する誘導通路30について説明する。この誘導通路30は、収容空間Sに供給された被破砕物を、回転刃14と第1及び第2固定刃16、17とが噛合う位置に誘導するための通路であり、回転刃14と第1及び第2固定刃16、17とが噛合う位置の上方に形成されている。
【0056】
誘導通路30は、ロータ13の断面円弧状の傾斜表面13aと、複数の各第1固定刃16の傾斜刃面16a(上面)とによって下方に向かうに従って先細りとなる形状に形成されている。
【0057】
この図1に示すように形成された誘導通路30によると、収容空間Sに供給されて来る被破砕物を、ロータ13の断面円弧状の傾斜表面13aと、複数の第1固定刃16の傾斜刃面16aとによって下方に案内することができ、この下方には、複数の回転刃14と、複数の第1及び第2固定刃16、17とが噛合う位置が設定されているので、被破砕物を確実に効率よく破砕することができる。
【0058】
次に、図7(a)、(b)を参照して、回転刃体20の非破砕領域24の略中央に形成されている溝部31について説明する。この溝部31は、回転刃体20を構成する回転刃本体22の外周部であって、非破砕領域24の略中央に例えば1つ形成されている。そして、この溝部31の底は、この回転刃本体22よりも小さい外径の円板状のスペーサ21の外周面と略一致する深さに形成されている。
【0059】
この溝部31によると、図2に示す第2固定刃17の傾斜刃面17aと、回転するスペーサ21の外周面との間(誘導通路30)に被破砕物が挟まっているときに、この溝部31が第2固定刃17の取り付けられている位置に回転移動すると、その被破砕物は、第2固定刃17によってこの溝部31から押し出されて脱落する。これによって、次の被破砕物が、順次回転刃14と第1及び第2固定刃16、17とが噛合う部分(誘導通路30)に移動することができ、被破砕物を連続的に破砕することができる。また、このような溝部31を形成すると、スペーサ21に巻き付いた被破砕物をこの溝部31から先端部の尖った棒状体を使用して除去することができる。
【0060】
なお、回転刃体20を構成する回転刃本体22の外径(回転刃14の付根部分を通る基礎円)を、スペーサ21の外径よりも大きく形成しているのは、回転刃体20の基礎円のスペーサ21よりも半径方向の外側に突出している円環状部分が、第1及び第2固定刃16、17とによって被破砕物を剪断破砕することができる機能を発揮させるためである。
【0061】
プッシャ19は、図1及び図3に示すように、ホッパ18から収容空間Sの内部に供給されて誘導通路30又はその近傍に進入している被破砕物を、ケーシング15に揺動自在に設けられているゲート32の内面に押し付けることができるものであり、被破砕物を押圧する押圧部19aと、押圧部19aをゲート32の内面に対して接近する方向、及び引き離す方向に往復移動させる駆動部19bとを有している。
【0062】
このプッシャ19によると、回転刃14と第1及び第2固定刃16、17とによって噛み込まれていく被破砕物を、押圧部19aでゲート32に押し付けておくことができるので、被破砕物が回転刃14、並びに第1及び第2固定刃16、17の噛込みから逃げないように留めておくことができ、これによって、被破砕物を確実に破砕することができる。
【0063】
また、図2及び図4に示すように、プッシャ19によって被破砕物が押し付けられるゲート32の内面には、第1及び第2固定刃16、17に向かう方向(鉛直方向)に延びる複数の凸条33が設けられている。そして、それぞれの各凸条33の矩形断面の頂部の少なくとも一部は、各回転刃14の矩形断面の先端部と対向するように配置されている(図4参照)。
【0064】
これら複数の凸条33によると、被破砕物を押し付ける方向に移動するプッシャ19の押圧部19aと凸条33の間に被破砕物を挟み込んで留めておくことができる。そして、この凸条33は、第1及び第2固定刃16、17に向かう方向に延びているので、被破砕物を第1及び第2固定刃16、17に向かう方向に案内することができると共に、被破砕物が水平方向に移動することを阻止することができ、これによって、被破砕物が確実に破砕されるようにすることができる。
【0065】
そして、図4に示すように、凸条33の矩形断面の頂部の少なくとも一部は、各回転刃14の矩形断面の先端部と対向するように配置されているので、被破砕物の回転刃14に押圧された部分が凸条33と凸条33との間に形成される溝に入り込むことを軽減することができる。これによって、被破砕物をスムースに第1及び第2固定刃16、17側に案内することができる。
【0066】
また、これら複数の凸条33は、図2に示すように、収容空間Sに供給された被破砕物を、その下方の誘導通路30に案内するような形状に形成されている。そして、この複数の凸条33は、ロータ13の断面円弧状の傾斜表面13aと、複数の各第1固定刃16の傾斜刃面16a(上面)とによって下方に向かうに従って先細りとなる空間を形成している。
【0067】
更に、図2に示すように、プッシャ19によって被破砕物が押し付けられるケーシング15の部分がゲート32で形成されており、このゲート32は、被破砕物と共に供給された異物を排出するための排出口34を開閉することができるものである。このゲート32は、図2に示すように、枢支部32aを中心にして揺動自在であり、ケーシング15の外側に向かって揺動して、排出口34を開放するようになっている。そして、排出口34は、ケーシング15に形成されている。また、このゲート32は、ゲート駆動部35によって開閉駆動される。
【0068】
このゲート32によると、例えば被破砕物が供給されて、この被破砕物に混入する異物が誘導通路30又はその近傍に進入しているときに、ゲート32を開いてプッシャ19の押圧部19aをゲート32に押し付ける方向に移動させることによって、異物を排出口34から外側に自動的に排出することができる。
【0069】
なお、例えば硬質の異物が誘導通路30又はその近傍に進入すると、破砕されずにこの誘導通路30又はその近傍に滞留するので、次の被破砕物を破砕できず、破砕作業を行なえないが、このように、異物を外側に排出すると、破砕作業を行うことができる。
【0070】
次に、図5を参照して、複数のそれぞれの回転刃14と、第2固定刃17との噛合いについて説明する。図5に示すように、複数のそれぞれの回転刃14は、互いに隣合う2つの各第2固定刃17と噛み合う両側の第1縁部36及び第2縁部37を有している。そして、回転刃14の第1縁部36と一方の第2固定刃17との間の第1隙間38を、第2縁部37と他方の第2固定刃17との間の第2隙間39よりも小さくして、第1縁部36と第2固定刃17とによって被破砕物を破砕し、第2隙間39から被破砕物の破砕片qを排出できるようにしてある。
【0071】
このようにすると、回転刃14の第1縁部36と一方の第2固定刃17とによって被破砕物を破砕することができ、回転刃14の第2縁部37と他方の第2固定刃17と間に形成されている第2隙間39からは、被破砕物の破砕片qを排出することができる。これによって、破砕負荷を低減できて、ロータ13の回転駆動モータの小型化を図ることができ、この一軸破砕機11の費用の低減を図ることができる。そして、第2隙間39から破砕片qを排出することができるので、破砕効率の向上を図ることができる。
【0072】
ただし、上記実施形態では、図5に示すように、第1隙間38を第2隙間39よりも小さくしたが、これに代えて、第2固定刃17の厚みを大きくして、第1隙間38及び第2隙間39を同じ大きさの隙間(第1隙間38と同じ大きさの隙間)とし、第1及び第2縁部36、37の両方の縁部と、両方の各第2固定刃17とによって被破砕物を破砕するようにしてもよい。
【0073】
このようにすると、片側の第1縁部36でのみ破砕する場合と比較して、被破砕物をより小さく破砕することができる。
【0074】
なお、図2に示す40は、スクレパーである。このスクレパー40は、ケーシング15に複数設けられ、互いに隣合って配置されている回転刃体20の間に挟まっていたり、スペーサ21に巻き付いている被破砕物を除去するためのものである。
【0075】
次に、上記のように構成された一軸破砕機11の動作及び作用を説明する。この図2に示す一軸破砕機11を使用して被破砕物を破砕するときは、駆動モータを駆動してロータ13を所定方向に回転させると共に、被破砕物をホッパ18の供給口から収容空間Sに供給する。すると、この供給された被破砕物は、回転するロータ13の表面に設けられている多数の回転刃14によって、ゲート32側に移送されて誘導通路30内に引き込まれる。
【0076】
これによって、ロータ13の表面に設けられた複数の回転刃14と、複数の第1及び第2固定刃16、17との間で被破砕物を挟み込んで、この被破砕物を順次剪断破砕することができる。このとき、例えば作業者がプッシャ19を作動させて、被破砕物をゲート32に押し付けるようにすると、被破砕物が回転刃14、並びに第1及び第2固定刃16、17の噛込みから逃げないように留めておくことができ、これによって、被破砕物を確実に破砕することができる。
【0077】
そして、破砕された被破砕物の破砕片qは、複数の各回転刃14の刃部によって回転移送されてスクリーン27の上に落下する。破砕片qがスクリーン27に形成された多数の各孔よりも小さい場合には、破砕片qは当該多数の孔を通って搬送装置の上に落下し、この搬送装置によって次の工程に搬送される。
【0078】
ただし、破砕片qがスクリーン27に形成された各孔よりも大きい場合には、破砕片qはロータ13とスクリーン27との間に留まるため、各回転刃14に押されて収容空間S内に戻される。
【0079】
そして、図1及び図6(a)に示すように、ロータ13の表面には、回転刃14がロータ13の周方向の略180°の所定範囲に亘り、かつ、ロータ13の全長の範囲に亘って設けられていない非破砕領域24を有しているので、例えば大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物がホッパ18から供給されたときに、被破砕物をロータ13表面の非破砕領域24で受け止めることができる。つまり、被破砕物が、ロータ13の周方向の互いに隣合う回転刃14上に乗り上げた状態のままで維持されないようにすることができる。これによって、大型の被破砕物やペットボトル等の円筒状の被破砕物に対する回転刃14、並びに第1及び第2固定刃16、17の噛込み量(噛込み深さ)を大きくすることができ、回転刃14、並びに第1及び第2固定刃16、17がこれらの被破砕物に確実に噛み込んで破砕することができる。
【0080】
従って、安価で小型の一軸破砕機11を使用して、このような大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物を確実に破砕することができる。
【0081】
また、図6(a)、(b)に示すように、破砕領域23には、ロータ13の同一円周上に回転刃14が3つ(3つ〜5つとしてもよい。)設けられ、非破砕領域24は、ロータ13の同一円周上に略180°(120°〜220°としてもよい。)の範囲に亘って形成されている。
【0082】
このように、破砕領域23において、ロータ13の同一円周上に回転刃14を3つ(3つ〜5つ)設けることによって、同一円周上に設けられている回転刃14の間隔を大きく取ることができ、粗大ゴミのような大型の被破砕物に回転刃14が深く噛み込み易くして効率的に破砕することができる。
【0083】
ここで、回転刃14を2つ以下とすると、必要な破砕処理能力が得られない。そして、回転刃14を6つ以上とすると、回転刃14が大型の被破砕物に深く噛み込むことが困難であり、効率的に破砕することができないし、回転刃14のコストの上昇に繋がる。
【0084】
そして、非破砕領域24を、ロータ13の同一円周上に略180°(120°〜220°)の範囲に亘って形成することによって、大型の被破砕物をロータ13の略半分の表面の非破砕領域24で確実に受け止めることができる。
【0085】
なお、回転刃14をロータ13の同一円周上に約90°おきに(円周の4等分の各位置に)3つ設けると、非破砕領域24を、ロータ13の同一円周上に約180°の範囲に亘って形成することができ、約72°おきに(円周の5等分の各位置に)3つ設けると、非破砕領域24を、ロータ13の同一円周上に約220°の範囲に亘って形成することができる。そして、約60°おきに(円周の6等分の各位置に)5つ設けると、非破砕領域24を、ロータ13の同一円周上に約120°の範囲に亘って形成することができる。そして、上記それぞれの非破砕領域24以外は、破砕領域23となる。
【0086】
ただし、上記実施形態では、図7(a)、(b)に示すように、回転刃体20と、スペーサ21とを交互に重ね合わせてロータ13を形成したが、これに代えて、中空円筒状体又は中実円柱状体によってロータを形成し、このロータの表面に多数の各回転刃14をボルトで取り付けたものとしてもよい。
【0087】
そして、上記実施形態では、図8に示す第1固定刃16と、図9に示す第2固定刃17とを交互に配置して、それぞれをケーシング15に着脱自在にボルト28で取り付けたが、これに代えて、これら多数の第1及び第2固定刃16、17を一体物として形成してもよいし、又はこの一体物としたものを複数に分割した分割型の物として形成して、ケーシング15に着脱自在にボルトで取り付けてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、図2に示すように、回転刃体20の外周部の非破砕領域24に溝部31を設けたが、これに代えて、回転刃体20の外周部の破砕領域23に溝部31を設けてもよいし、両方の各領域に設けてもよい。そして、溝部31を1つ設けたが、2つ以上設けてもよい。
【0089】
更に、上記実施形態では、本発明を一軸破砕機11に適用した例を挙げたが、これに代えて、図には示さないが、本発明をニ軸破砕機に適用することができる。
【0090】
このニ軸破砕機は、それぞれ別々の回転軸を中心にして回転される第1ロータ及び第2ロータを備え、これら第1及び第2ロータのそれぞれの表面には回転刃が複数ずつ設けられ、第1ロータに設けられている複数の回転刃と、第2ロータに設けられている複数の回転刃との間で被破砕物を剪断破砕するものである。
【0091】
この第1ロータは、図1〜図4に示す上記実施形態のロータ13と同等のものであり、上記実施形態と同様に、表面に複数の回転刃14が設けられていて、この表面に破砕領域23と非破砕領域24が設けられている。第2ロータは、第1ロータと左右対称の形状である。
【0092】
このニ軸破砕機によると、第1及び第2ロータを、この2つのロータ間に被破砕物を引き込む方向に回転させることによって、第1ロータの回転刃と、第2ロータの回転刃との間に被破砕物を挟み込んで、この被破砕物を、順次剪断破砕することができる。そして、第1及び第2ロータのそれぞれの表面は、回転刃が各ロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、各ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域を有しているので、上記実施形態と同様に、例えば大型の被破砕物や、ペットボトルのような円筒形状の被破砕物が供給されたときに、被破砕物を第1及び(又は)第2ロータ表面の非破砕領域で受け止めることができる。つまり、被破砕物が、第1及び(又は)第2ロータの周方向の互いに隣合う回転刃上に乗り上げた状態のままで維持されないようにすることができる。これによって、回転刃の、大型の被破砕物やペットボトル等の円筒状の被破砕物に対する噛込み量(噛込み深さ)を大きくすることができ、回転刃がこれらの被破砕物に確実に噛み込んで破砕することができる。しかも、一軸破砕機よりも大きな破砕処理能力を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明に係る一軸破砕機及びニ軸破砕機は、例えば家庭の粗大ゴミを含む大型の被破砕物や、ペットボトル等の円筒状の被破砕物に対して、回転刃が大きな噛込み量(噛込み深さ)で噛み込むことができるようにして、効率的に破砕することができる優れた効果を有し、このような一軸破砕機及びニ軸破砕機に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0094】
11 一軸破砕機
12 回転軸
13 ロータ
13a 傾斜表面
14 回転刃
14a 刃面
15 ケーシング
16 第1固定刃
16a 傾斜刃面
17 第2固定刃
17a 傾斜刃面
17b 中央凸部
17c 緩傾斜面
17d 側部平坦面
18 ホッパ
19 プッシャ
19a 押圧部
19b 駆動部
20 回転刃体
21 スペーサ
22 回転刃本体
23 破砕領域
24 非破砕領域
25 挿通孔
26 軸受
27 スクリーン
28 ボルト
29 雌ねじ部
30 誘導通路
31 溝部
32 ゲート
32a 枢支部
33 凸条
34 排出口
35 ゲート駆動部
36 第1縁部
37 第2縁部
38 第1隙間
39 第2隙間
40 スクレパー
S 収容空間
q 破砕片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心にして回転されるロータと、このロータの表面に設けられている複数の回転刃と、固定部に設けられ前記複数の回転刃との間で被破砕物を剪断破砕する固定刃とを備える一軸破砕機において、
前記ロータの表面は、前記複数の回転刃が前記ロータの周方向の所定の範囲において偏在し、かつ、前記ロータの軸方向の範囲に亘って設けられている破砕領域と、前記回転刃が前記ロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、前記ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域とを有することを特徴とする一軸破砕機。
【請求項2】
前記破砕領域には、前記ロータの同一円周上に前記回転刃が3つ〜5つ設けられ、
前記非破砕領域は、前記ロータの同一円周上に120°〜220°の範囲に亘って形成されていることを特徴とする請求項1記載の一軸破砕機。
【請求項3】
前記回転刃と前記固定刃とが噛合う位置の上方には、被破砕物を誘導する誘導通路が形成され、
前記誘導通路は、前記ロータの断面円弧状の傾斜表面と、前記固定刃の傾斜刃面とによって下方に向かうに従って先細りとなる形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の一軸破砕機。
【請求項4】
前記誘導通路又はその近傍に進入している被破砕物を、ケーシングに押し付けることができるプッシャを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一軸破砕機。
【請求項5】
前記プッシャによって被破砕物が押し付けられるケーシングの部分には、前記固定刃に向かう方向に延びる凸条が設けられ、この凸条の頂部の少なくとも一部が前記回転刃の先端部と対向するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の一軸破砕機。
【請求項6】
前記プッシャによって被破砕物が押し付けられるケーシングの部分がゲートで形成され、このゲートは、被破砕物と共に供給された異物を排出することができる排出口を開閉することができるものであることを特徴とする請求項4又は5記載の一軸破砕機。
【請求項7】
複数の前記回転刃が外周部に設けられ、かつ、この外周部に溝部が形成されている板状の回転刃体と、この回転刃体よりも小さい外径の板状のスペーサとが軸方向に交互に配置され、
前記回転刃体に形成されている溝部の底が、前記スペーサの外周面と略一致するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の一軸破砕機。
【請求項8】
前記複数のそれぞれの回転刃は、前記固定刃と噛み合う両側の第1縁部及び第2縁部を有し、一方の前記第1縁部と前記固定刃との間の第1隙間を、他方の前記第2縁部と前記固定刃との間の第2隙間よりも小さくして、前記第1縁部と前記固定刃とによって被破砕物を破砕し、前記第2隙間から被破砕物の破砕片を排出できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の一軸破砕機。
【請求項9】
前記固定刃は、前記ロータの軸方向に並んで配置された複数の固定刃によって構成され、これら複数の各固定刃が、それぞれ別々にケーシングにボルトで着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の一軸破砕機。
【請求項10】
それぞれ別々の回転軸を中心にして回転される第1ロータ及び第2ロータを備え、これら第1及び第2ロータのそれぞれの表面には回転刃が複数ずつ設けられ、前記第1ロータに設けられている複数の回転刃と、前記第2ロータに設けられている複数の回転刃との間で被破砕物を剪断破砕するニ軸破砕機において、
前記第1及び第2ロータのそれぞれの表面は、前記複数の回転刃が前記各ロータの周方向の所定の範囲において偏在し、かつ、前記各ロータの軸方向の範囲に亘って設けられている破砕領域と、前記回転刃が前記各ロータの周方向の所定の範囲に亘り、かつ、前記各ロータの軸方向の範囲に亘って設けられていない非破砕領域とを有することを特徴とするニ軸破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−230077(P2011−230077A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104152(P2010−104152)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(390015967)株式会社キンキ (29)
【Fターム(参考)】