説明

丁合機の紙受装置

【課題】 ちらし束を、その折り紙の前端部に上向折曲り部を生じることなく、二つ折りの折り紙ではさまれた良好な外観状態で集積させることができる紙受装置を提供する。
【解決手段】 丁合機の紙排出口部に配設された紙受台21の前端部に複数枚の背板を間隔をおいて並設し、先端部が前記間隔部を貫通して前記背板の外側に延びる2本の帯板状のガイド24の基端部を、丁合機のフレームに水平軸線のまわりに揺動自在に支持してなる紙受装置において、前縁が背板22bの内側面近傍に位置し両側縁が平面視で2本のガイド24の近傍位置に達する左右巾寸法を有し紙受台21上の丁合品(ちらし束80)の上面に載せられる平板部41と、この平板部の後縁に連設され側面視でガイド24と交差して斜め後方上向きに延びる傾斜板部44とをそなえた押え具40を、背板22bに昇降自在に支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新聞折込広告丁合用などに用いられる丁合機において、丁合されて排出される紙を受取り集積する紙受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞折込広告用の数種類のちらしを一枚ずつ寄せ集めてセットにする丁合機としては、一般に上下に複数段にわたって設けた給紙台上のちらしを給紙装置により順次1枚ずつ送り出して縦送り装置により下方へ搬送しつつ重ね合わせ、最下段部で2つ折りにしたちらしの中にはさみ込んだちらしのセットを、紙排出口部より側方へ排出して紙受装置により集積する縦型の丁合機が用いられている。
【0003】
そして上記紙受装置としては、丁合機の紙排出口(広告物繰出し部)の下部前方に紙受台(集積台)を設け、丁合機のフレームに基端部を揺動自在に支持した押え板や、上記フレームに基端部を固設した重錘付きの押えばねなどのガイドにより、上記紙排出口から前方に排出される丁合ずみのちらし束を案内して、上記紙受台上に集積させるものが用いられている(たとえば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開昭48−27517号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】実開平7−2355号公報(第1−2頁、図1)
【0004】
ところが上記形式の紙受装置によると、図9(A)に示すように、複数枚のちらし81を二つ折りした折り紙(ちらし)82の中にはさみ込んだ丁合品であるちらし束80が、上記紙排出口から排出されたのち紙受台部において、図9(B)に示すように最上層紙である上側の折り紙82が前方へずれて、その前端部が上向きに膨出して折れ曲った上向折曲り部83が形成された形で、紙受台上に積層されることが多い。
【0005】
これは、図10(A)に示すように、紙受台90に固設した背板91の近傍部に、前端部が位置する形で集積されているちらし束のうちの最上層のちらし束80aの上に、図10(B)に示すように次のちらし束80がガイド92によりガイドされつつその先端部84が衝突すると、ちらし束80aの上側の折り紙82が上記先端部84により押されて鎖線85で示すように上方へ膨出し、この膨出部が前進する先端部84により前方に向ってしごかれる形で変形して、前記図9(B)に示す上向折曲り部83が形成されるものと推定される。なお図10において、最上層のちらし束80aより下側の各ちらし束80も、上記の上向折曲り部83が形成された状態で紙受台90上に積層されているのであるが、その図示は省略してある。
【0006】
また通常、上記のガイド92は、巾20〜30mm程度の帯板を湾曲成形したものを、左右に間隔をおいて2本設けるだけなので、このガイド92で押えられていない部分においては、図10(C)に示すように鎖線85で示す膨出部は広範囲にわたって生じ、上向きに大きく突出した上向折曲り部83が形成されるのである。
【0007】
上記の上向折曲り部83は、折り紙82の腰が弱い場合や、折り紙82の内面とこれに接するちらし81の表面との間の摩擦抵抗が小さい場合などに生じやすい。そして上記の上向折曲り部83を生じた状態のちらし束80は、紙受台90上から取上げて手作業あるいは自動式の折込装置を用いて新聞紙本体に折込む(挿入する)際に、上記の上向折曲り部83が邪魔で折込みの支障となったり、上向折曲り部83が破れて丁合品不良を生じやすく、また新聞へ折込んだ状態の外観も劣るなど、多くの問題点を有するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は上記従来の問題点を解決しようとするもので、ちらし束を、その折り紙の前端部に上向折曲り部を生じることなく、二つ折りの折り紙ではさまれた良好な外観状態で集積させることができる丁合機の紙受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の丁合機の紙受装置は、丁合機の紙排出口部に配設された紙受台の前端部に複数枚の背板を間隔をおいて並設し、先端部が前記間隔部を貫通して前記背板の外側に延びる2本の帯板状のガイドの基端部を、丁合機のフレームに水平軸線のまわりに揺動自在に支持してなる丁合機の紙受装置において、前縁が前記背板の内側面近傍に位置し両側縁が平面視で前記2本のガイドの近傍位置に達する左右巾寸法を有し前記紙受台上の丁合品(ちらし束)の上面に載せられる平板部と、この平板部の後縁に連設され側面視で前記ガイドと交差して斜め後方上向きに延びる傾斜板部とをそなえた押え具を、前記背板に昇降自在に支持したことを特徴とする。
【0010】
この発明において、「前」側とは、丁合品排出口から排出される丁合品の進行方向側を称し、「後」側とはその反対側を称し、また「左右」とは後側から前側に向かう前後方向に対する左右方向を称するものとする。また背板の「外側」とは、上記丁合品の進行方向側、すなわち前側を称するものとし、背板の「内側」とはその反対側、すなわち上記丁合品の集積部側を称するものとする。
【0011】
請求項1記載の手段によれば、紙排出口から排出された丁合品であるちらし束は、2本のガイドにより案内されて斜め下向きに進行したのち、その先端部は、紙受台上に積層されているちらし束上に載置されている押え具の傾斜板部によって、該押え具の平板部の後縁部へと案内され、該後縁部付近で、積層されている最上層のちらし束に衝突するが、このちらし束の折り紙の上記衝突部より前側の部分は、平板部により広範囲にわたって下向きに押圧されているので、上記衝突による折り紙の上向きの膨出が抑制され、ちらし束はこの膨出部をしごくことによる上向折曲り部を形成させることなく背板部に達し積層される。
【0012】
請求項1記載の発明において、押え具を背板に昇降自在に支持するための昇降ガイドは、たとえば押え具の平板部に立設した2本のブラケットなどに取付けてもよいが、請求項2記載の発明のように、前記押え具が、前記平板部の前縁に連設され前記背板の内側面に沿って延びる上向板部をそなえ、この上向板部に、前記背板と係合する昇降ガイドを取付けた構成とすれば、押え具の構造が簡潔となる。
【0013】
また請求項3記載の丁合機の紙受装置は、丁合機の紙排出口部に配設された紙受台の前端部に複数枚の背板を間隔をおいて並設し、先端部が前記間隔部を貫通して前記背板の外側に延びる2本の帯板状のガイドの基端部を、丁合機のフレームに水平軸線のまわりに揺動自在に支持してなる丁合機の紙受装置において、前縁が前記背板の内側面近傍に位置し両側縁が平面視で前記2本のガイドの近傍位置に達する左右巾寸法を有し前記紙受台上の丁合品(ちらし束)の上面に載せられる平板部と、この平板部と同一平面上にあり前縁が前記背板の内側面近傍に位置し前記平板部の側方に前記ガイドを挟んで配置され連結部材を介して前記平板部に固定された副平板部と、前記平板部および副平板部の後縁にそれぞれ連設され側面視で前記ガイドと交差して斜め後方上向きに延びる傾斜板部とをそなえた押え具を、前記背板に昇降自在に支持したことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の手段によれば、請求項1記載の発明と同じ押え具の平板部とこの平板部の後縁に連設された傾斜板部とによって、請求項1記載の発明と同じ作用効果が得られるのに加えて、ガイドを挟んで配置された副平板部とこの副平板部の後縁に連設された傾斜板部とによっても、これらの配置部において、ガイドに衝突したちらし束の副平板部の後縁部への案内と紙受台上の最上層のちらし束の折り紙の上向膨出の抑制作用が得られるので、請求項1記載の発明よりも左右巾の大きい広範囲にわたって、上向折曲り部の形成を防止できる。
【0015】
請求項3記載の発明においても、押え具を背板に昇降自在に支持するための昇降ガイドは、たとえば押え具の平板部に立設した2本のブラケットなどに取付けてもよいが、請求項4記載の発明のように、前記連結部材が、前記平板部および副平板部の前縁に連設され前記背板の内側面に沿って左右方向に延びる上向板部から成り、この上向板部に、前記背板と係合する昇降ガイドを取付けた構成とすれば、上向板部が、主平板部と副平板部の連結部材と、昇降ガイドの支持部材とを兼ねることになり、押え具の構造が簡潔となる。
【0016】
この発明において、丁合品が衝突するガイドは、押え具に対して自由に上向きに揺動させてもよいが、請求項5記載の発明のように、前記押え具が、前記各ガイドの上側に小間隙をおいて位置する掛止片部をそなえ、丁合品の衝突により上向きに揺動する前記ガイドが前記掛止片部により掛止されるようにした構成とすれば、掛止片部により、ちらし束衝突時に2本のガイドのうちの一方が大きく上向きに揺動するのが抑制され、2本のガイドはほぼ同期状態で揺動するので、ちらし束は左右巾方向各部における前後のずれの少ない状態で押え具部へと案内される。
【0017】
またこの発明において押え具は、その自重(背板に係合する昇降ガイド等を含む)のみにより、紙受台上のちらし束の上面を押圧するようにしてもよいが、請求項6記載の発明のように、前記押え具が、前記平板部上に取付けられるおもりをそなえている構成とすれば、押え具を軽量な材料で構成した場合でも、おもり重量の選定により適切な押圧力を得て最上層ちらし束の折り紙の膨出を抑制し上向折曲り部の形成を防止できるとともに、押え具が請求項5の掛止片部をそなえている場合には、大重量のちらし束衝突時等においても2本のガイドのうちの一方が上向きに大きく揺動するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、紙排出口から排出されたちらし束の衝突時において、給紙台上に積層されている最上層のちらし束の折り紙の上向きの膨出が、押え具により抑制され、ちらし束はこの膨出部をしごくことによる上向折曲り部を形成させることなく背板部に達し積層されるので、ちらし束を、その折り紙の前端部に上向折曲り部を生じることなく、二つ折りの折り紙ではさまれた良好な外観状態で集積させることができる。
【0019】
また上記の効果に加えて、請求項2記載の発明によれば、押え具の構造が簡潔となる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、副平板部とこの副平板部の後縁に連設された傾斜板部との付加により、請求項1記載の発明よりも左右巾の大きい広範囲にわたって、さらに確実に上向折曲り部の形成を防止でき、ちらし束を一層良好な外観状態で集積させることができる。
【0021】
また、上記の請求項3記載の発明による効果に加えて、請求項4記載の発明によれば、上向板部が、主平板部と副平板部の連結部材と、昇降ガイドの支持部材とを兼ねることになり、押え具の構造が簡潔となる。
【0022】
また上記の各効果に加えて、請求項5記載の発明によれば、ちらし束衝突時に2本のガイドはほぼ同期状態で揺動し、ちらし束は左右巾方向各部における前後のずれの少ない状態で押え具部へと案内されるので、ちらし束は前後のずれによる不揃いの少ない良好な状態で紙受台上に積層できる。
【0023】
また上記の各効果に加えて、請求項6記載の発明によれば、押え具を軽量な材料で構成した場合でも、おもり重量の選定により適切な押圧力を得て、上向折曲り部の形成を防止でき、また掛止片部をそなえている場合には、ちらし束が大重量の場合でも、2本のガイドのうちの一方が上向きに大きく揺動するのを抑制して、ちらし束を不揃いの少ない良好な状態で紙受台上に積層できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図1〜図6に示す第1例により、この発明の実施の形態を説明する。先ず図1において、丁合機1は、前後両面が開口した箱状のケーシング2内に、給紙台3と、該給紙台の先端部付近に設けた給紙ローラ4と補助ローラ5および二重送り防止用の駒片(捌き板)6等から成る給紙装置7とを、前後に2列、上下に複数組並設し、各給紙台3上から給紙装置7により送出された丁合前のちらし81を、送りローラ8を経て、案内ローラ9を有する縦送り装置10により順次積層しながら下方へ送り、最下段に設けた折込装置11部において、最下段の給紙装置7から送りローラ8および後側ガイド12を経て前側ガイド13のストッパ部に当るまで送出された二つ折り用の折り紙(ちらし)82の中央部を、上下動する折込刃14により折り曲げ、この折り紙82に上方からのちらし81の一揃いを折込ローラ15によりはさみ込んで、この丁合状態のちらし束80を、搬出コンベヤ16により紙排出口17から矢印X方向に排出し、紙受装置20の紙受台21上に送出し集積するように構成されている。
【0025】
紙受装置20は、図2〜図6に示すように、丁合機1の紙排出口17の下部側方に紙受台21を設け、この紙受台21の前端部に3枚の背板22a〜22cを間隔23をおいて並設固着し、先端部が間隔23部を貫通して背板22(背板22a〜22cの総称)の外側に延びる帯板状の2本(一対)のガイド24,24の基部を、丁合機1のフレーム18に水平軸線25のまわりに揺動自在に支持するとともに、押え具40を背板22bに昇降自在に支持して成る。
【0026】
上記紙受台21として、この例では図3に示すように、前部を軸26により基台27に傾動自在に支持され後部を圧縮ばね28により弾性支持された、傾動式の紙受台を用いている。29は基台27の後部と丁合機1のフレーム18を連結して基台27の位置ぎめをおこなう連結棒である。また21aは集積されたちらし束80の束を側方へ引出す時のための切欠部である。また上記のガイド24,24は、丁合機1の搬出コンベヤ16により矢印Xで示すように横向きに高速で排出される丁合ずみのちらし束80を案内して紙受台21上へ集積させるためのものであるが、この例では各ガイド24に、おもり31を取付位置変更自在に取付ける構成としてある。すなわち、各ガイド24に固設したアングル状の取付材32の側壁部に長手方向に穿設した長穴33を貫通する取付ねじ34をおもり31の側面にねじ込み、ガイド24に衝突するちらし束80の重量が大きい場合でも、ガイド24が水平軸線25を中心として過度にはね上らないようにおもり31の取付位置を調整し、確実にちらし束80を紙受台21に向って案内するようにしてある。
【0027】
一方、押え具40は、図5に示すように両側縁が2本のガイド24,24の近傍位置に達する平板部41と、この平板部41の側方の1本のガイド24を挟んで配置された副平板部42の、背板22の内側面近傍に位置する各前縁部に、背板22の内側面に沿って左右に延びる上向板部43を連設して、平板部41と副平板部42を一体に連結し、平板部41と副平板部42の各後縁部41a,42aには、傾斜板部44,45を連設し、上向板部43に背板22bの両側辺部に係合するガイドローラ46,46を軸着して成り、このガイドローラ46によって押え具40は背板22bに昇降自在に支持されている。
【0028】
上記平板部41は、紙受台21上に集積される丁合品(ちらし束80)の上面に載せられるもので、副平板部42もこの平板部41と同一平面上にあり、上記丁合品の上面に載せられる。また傾斜板部44,45は、図5および図6に示すように、側面視でガイド24と交差して斜め後方上向きに延び、後端部はガイド24より上側位置に達している。また上向板部43には、図4に示すように、その下部を貫通するガイド24,24に対して小間隔gをおいて(下縁が)位置する掛止片部47,48を設けてある。
【0029】
またこの例では、上向板部43,平板部41,副平板部42,傾斜板部44,45の各部は、いずれも板厚0.5mm程度の薄い金属板で一体に成形されており、軽量であるのでその自重調整用に、おもり49を平板部41上に着脱自在としてある。おもり49は平板部41上に立設したピン50に嵌脱され、所望の重量のおもり49を選定して装着するようになっており、その重量選定については後述する。
【0030】
上記構成の装置においては、丁合機1においてちらしの丁合をおこなえば、丁合されたちらし束80は紙排出口17から矢印X方向に排出され、2本のガイド24,24により案内されて斜め下向きに進行したのち、紙受台21上に載置されている押え具40の下側に進入し、紙受台21上に順次積層される。図6はこの積層中のちらし束80の挙動を示し、ガイド24,24により斜め下向きに案内されて矢印Y方向に進行したちらし束80の先端部84は、ガイド24の下端部寄りの位置において、紙受台21上に積層されているちらし束80上に載置されている押え具40の、ガイド24と斜め上向きに交差する傾斜板部44,45によって、平板部41,副平板部42の後縁部41a,42aへと案内され、この後縁部付近において最上層のちらし束80に衝突する。
【0031】
この最上層のちらし束80aの折り紙82の上記衝突部より前側の部分は、前後巾Sおよび左右巾V,W(図5参照)を有する平板部41,副平板部42によって広範囲にわたって下向きに押圧されているので、上記衝突による折り紙82の上向きの膨出が抑制され、ちらし束80はこの膨出部をしごくことによる上向折曲り部83(図9参照)を形成させることなく背板22部に達し積層され、上向折曲り部83の発生が防止されるのである。
【0032】
また上記の紙排出口17から排出されるちらし束80がガイド24に衝突した際、この衝突により上向きに揺動する2本のガイド24,24の先端部(前端部)は、押え具40の上向板部43の掛止片部47,48に掛止され、2本のガイド24,24は1本のみが大きく上向きに揺動することなくほぼ同期状態で揺動するので、ちらし束80は左右巾各部における前後のずれの少ない(平面視で先端縁部が前後方向に対してほぼ直交する)状態で押え具40部へと案内され、前後のずれによる不揃いの少ない良好な状態で紙受台21上に積層されるのである。
【0033】
この掛止片部47,48によるガイド24,24の揺動の均一化のための掛止片部による下向きの適正な掛止力、および前述の最上層のちらし束80aの折り紙82の膨出抑制のため、および背板22に衝突したちらし束80の過度の反撥・後退の防止のための、押え具40による下向きの適正な押圧力を得るために、この例ではちらし束80の重量等に応じて、おもり49の追加や交換をおこなうことにより、ちらし束80を不揃いの少ない良好な状態で紙受台21上に積層させることができる。なお押え具40を金属板製として、自重の異なる複数個の押え具40を取替使用する場合などは、おもり49は省略してもよい。
【0034】
この発明は上記の例に限定されるものではなく、たとえば押え具40の材質は、プラスチック製など上記以外のものとしてもよく、また丁合機1は、給紙装置7を一列そなえたものなど、上記以外の構成のものでもよい。また上記の例は3枚の背板22a〜22cが紙受台21に並設された場合について説明したが、背板が4枚以上あるいは2枚の場合などにもこの発明は適用でき、後者の場合、たとえば前記背板22cが欠落した場合の背板22bのように、隣合う背板がない側の「間隔部」は、背板(22b)の側縁部側方を称するものとする。さらに上記の例は傾動式の紙受台21を用いた場合について説明したが、この発明は固定式の紙受台を有する紙受装置にも適用できるものである。また上記のちらし束80は、ちらしと新聞増頁を丁合して得たちらし束や、丁合ずみのちらし束をさらに他のちらしと丁合して得た厚手のちらし束であってもよい。
【0035】
また上記の例では、押え具40として副平板部42およびこれに連設した傾斜板部45をそなえたものを用いたので、ガイド24,24に衝突したちらし束80は傾斜板部44,45により左右巾の大きい広範囲にわたって各平板部の後縁部へと案内されるとともに、紙受台21上に積層された最上層のちらし束80a(の折り紙82)が左右巾の大きい広範囲にわたって押え具40により押圧されてその上向膨出が抑制されるので、折り紙82の上向折曲り部83の形成を特に確実に防止できるものであるが、たとえば背板22bがある程度広巾の場合などは、この副平板部42および傾斜板部45を省略して、図7に示す構成の押え具60とすることもできる。さらに掛止片部47,48を省略する場合は、図中鎖線61で示すように、上向板部43は平板部41および傾斜板部44と同寸(V)の左右巾とすればよい。なお図中、図2〜図6と同一または相当部分には同一符号を付して図示し、それらの詳細な説明は省略し、以下、他の例も同様とする。
【0036】
また上記各例では、平板部41と副平板部42を連結する上向板部43に、押え具40の昇降支持材(ガイドローラ46)を取付けた構成としたので、押え具40の構造を簡潔なものとすることができるが、図8に示す押え具70のように、平板部41に立設した2本のブラケット71,71にガイドローラ46,46を取付け、連結部材を兼ねた掛止片部48と、副平板部のない側の掛止片部47とを、平板部41および副平板部42に連続する1枚の屈曲板体で構成してもよい。また平板部41と副平板部42の連結部材やガイドローラ46の取付部材は、さらに別の構造のものとしてもよく、また押え具を背板22bに昇降自在に支持する部材としては、ガイドシューなど、ガイドローラ46以外の構造のものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態の一例を示す丁合機および紙受装置の縦断面図である。
【図2】図1の紙受装置の斜視図である。
【図3】図1のA部拡大縦断面図(図5におけるD−D線断面図)である。
【図4】図3の矢視B−B側面図である。
【図5】図3の矢視C−C平面図である。
【図6】ちらし束の集積動作を示す要部縦断面図(図5におけるE−E線断面図)である。
【図7】この発明の実施の形態の他の例を示す押え具の斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態のさらに他の例を示す押え具の斜視図である。
【図9】正常なちらし束と上向折曲り部の形成されたちらし束を示す斜視図である。
【図10】従来の紙受装置におけるちらし束の上向折曲り部発生状況を示す要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…丁合機、17…紙排出口、20…紙受装置、21…紙受台、22a…背板、22b…背板、22c…背板、23…間隔、24…ガイド、25…水平軸線、40…押え具、41…平板部、41a…後縁部、42…副平板部、42a…後縁部、43…上向板部、44…傾斜板部、45…傾斜板部、46…ガイドローラ、47…掛止片部、48…掛止片部、49…おもり、60…押え具、70…押え具、80…ちらし束。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
丁合機の紙排出口部に配設された紙受台の前端部に複数枚の背板を間隔をおいて並設し、先端部が前記間隔部を貫通して前記背板の外側に延びる2本の帯板状のガイドの基端部を、丁合機のフレームに水平軸線のまわりに揺動自在に支持してなる丁合機の紙受装置において、前縁が前記背板の内側面近傍に位置し両側縁が平面視で前記2本のガイドの近傍位置に達する左右巾寸法を有し前記紙受台上の丁合品の上面に載せられる平板部と、この平板部の後縁に連設され側面視で前記ガイドと交差して斜め後方上向きに延びる傾斜板部とをそなえた押え具を、前記背板に昇降自在に支持したことを特徴とする丁合機の紙受装置。
【請求項2】
前記押え具が、前記平板部の前縁に連設され前記背板の内側面に沿って延びる上向板部をそなえ、この上向板部に、前記背板と係合する昇降ガイドを取付けたことを特徴とする請求項1記載の丁合機の紙受装置。
【請求項3】
丁合機の紙排出口部に配設された紙受台の前端部に複数枚の背板を間隔をおいて並設し、先端部が前記間隔部を貫通して前記背板の外側に延びる2本の帯板状のガイドの基端部を、丁合機のフレームに水平軸線のまわりに揺動自在に支持してなる丁合機の紙受装置において、前縁が前記背板の内側面近傍に位置し両側縁が平面視で前記2本のガイドの近傍位置に達する左右巾寸法を有し前記紙受台上の丁合品の上面に載せられる平板部と、この平板部と同一平面上にあり前縁が前記背板の内側面近傍に位置し前記平板部の側方に前記ガイドを挟んで配置され連結部材を介して前記平板部に固定された副平板部と、前記平板部および副平板部の後縁にそれぞれ連設され側面視で前記ガイドと交差して斜め後方上向きに延びる傾斜板部とをそなえた押え具を、前記背板に昇降自在に支持したことを特徴とする丁合機の紙受装置。
【請求項4】
前記連結部材が、前記平板部および副平板部の前縁に連設され前記背板の内側面に沿って左右方向に延びる上向板部から成り、この上向板部に、前記背板と係合する昇降ガイドを取付けたことを特徴とする請求項3記載の丁合機の紙受装置。
【請求項5】
前記押え具が、前記各ガイドの上側に小間隙をおいて位置する掛止片部をそなえ、丁合品の衝突により上向きに揺動する前記ガイドが前記掛止片部により掛止されるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の丁合機の紙受装置。
【請求項6】
前記押え具が、前記平板部上に取付けられるおもりをそなえていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の丁合機の紙受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−168873(P2006−168873A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361248(P2004−361248)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000152125)ドーワワークス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】