説明

三次元交差鉄筋締結金具

【課題】トンネル工事におけるアンカー鉄筋、ループ鉄筋、直進鉄筋の3方向の交差部を一括して締結することのできる三次元交差鉄筋締結金具を提供する。
【解決手段】アンカー鉄筋3、ループ鉄筋4および直進鉄筋5の3方向交差部の締結金具であって、アンカー鉄筋3が挿通される挿通孔を有する二つの締結プレート1,2に、ネジ切りされているアンカー鉄筋3を挿通し、締結プレート1,2の前後を中間部挿入ナット61及び先端部ナット7で螺合し、ループ鉄筋4および直進鉄筋5が強固に挟持される。締結プレート1,2は、屈曲内側面が互いに齟齬状に取付けられ、ループ鉄筋4および直進鉄筋5を挟持する。中間部挿入ナット61はアンカー鉄筋3の中間部に螺合し、アンカー鉄筋3の基部はシート受け金具を介し支保工等に固定され、シート受け金具は、防水シートを破損せずに固定できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元交差鉄筋締結金具に関し、特にトンネル工事におけるアンカー鉄筋、ループ鉄筋、直進鉄筋の3方向の交差部を一括して締結することのできる三次元交差鉄筋締結金具を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の鉄筋締結金具が開発されているが、主に2方向に交差する鉄筋を締結するものであった。例えば、特開2007−278010号や特開2008−2126号等が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2007−278010公報
【特許文献2】 特開2008−2161号公報
【0004】
前記せる特開2007−278010公報は、締結プレートとUボルトを利用する締結具であり、締結鉄筋の直径に適合したUボルトを使用することにより、直径が異なる複数種類の第1鉄筋と第2鉄筋を安定良く平行状態で締結固定させるものである。
【0005】
また、前記せる特開2008−2161号公報は、前記公報と同様に締結プレートとUボルトを利用する締結具である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記せる公報は、いずれも交差する2本の鉄筋を締結するものであってトンネル工事におけるアンカー鉄筋、ループ鉄筋、直進鉄筋の3方向の交差部を一括して締結することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アンカー鉄筋、ループ鉄筋および直進鉄筋の3方向交差部の締結金具であって、アンカー鉄筋が挿通される挿通孔を有する二つの締結プレートに、予めネジ切りされているアンカー鉄筋を挿通し、該締結プレートの前後を中間部挿入ナット及び先端部ナットで強固に螺合し、該二つの締結プレートにループ鉄筋および直進鉄筋が強固に挟持されるように構成したことを特徴とし、両端部が屈曲された二つの締結プレートは、屈曲内側面が互いに齟齬状に取付けられ、それぞれ締結プレート間で直交するループ鉄筋および直進鉄筋を強固に挟持するように構成されたことを特徴とし、ヒンジ付きナット等の中間部挿入ナットをアンカー鉄筋の中間部に螺合したことを特徴とし、アンカー鉄筋の基部はシート受け金具を介してトンネル内の支保工等に固定され、シート受け金具は防水シートを固定するように構成されたことを特徴とし、且つ、シート受け金具にはアンカー鉄筋の基部が防水シートを押し込む孔部が形成されており、防水シートを破損せずに固定できるように構成されたことを特徴とする三次元交差鉄筋締結金具を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の三次元交差鉄筋締結金具は少ない部品で、3方向に交差する鉄筋を強固に締結することのできる三次元交差鉄筋締結金具であり、例えばトンネル工事等における足場の悪い所でも、トンネル内のアンカー鉄筋、ループ鉄筋および直進鉄筋の3方向交差部を少ない部品で強固に締結することのできる締結金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】三次元交差鉄筋締結金具の構成部品である締結プレートの斜視図である。
【図2】締結状態斜視図である。
【図3】三次元交差鉄筋締結金具の構成部品である締結プレートの斜視図である。
【図4】ヒンジ付きナットの開放状態の斜視図である。
【図5(a)】ヒンジ付きナットの使用状態を説明する斜視図である。
【図5(b)】ヒンジ付きナットの使用状態を説明する斜視図である。
【図6】トンネル内三次元交差鉄筋締結金具の締結状態側面図である。
【図7】トンネル内三次元交差鉄筋締結金具の締結状態側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す実施例に基づき、本発明の三次元交差鉄筋締結金具について具体的に説明する。図面に於いて、図1は三次元交差鉄筋締結金具の構成部品である締結プレートの斜視図である。図2は締結状態斜視図である。図3は三次元交差鉄筋締結金具の構成部品である締結プレートの斜視図である。図4はヒンジ付きナットの開放状態の斜視図である。図5(a)はヒンジ付きナットの使用状態を説明する斜視図である。図5(b)はヒンジ付きナットの使用状態を説明する斜視図である。図6はトンネル内三次元交差鉄筋締結金具の締結状態側面図である。図7はトンネル内三次元交差鉄筋締結金具の締結状態側面図である。
【0011】
図1乃至図2の斜視図に示すように、本発明の三次元交差鉄筋締結金具の構成部品である締結プレート1はプレート平面部10に孔部13が設けられ、締結プレート1の両端部は屈曲された形状で、それぞれ屈曲部11を有し、屈曲された先端のエッジ部にはテーパー部12が形成されている。
【0012】
また、本発明の三次元交差鉄筋締結金具の構成部品である締結プレート2はプレート平面部20に孔部23が設けられ、締結プレート2の両端部は屈曲された形状で、それぞれ屈曲部21を有し、屈曲された先端のエッジ部にはテーパー部22が形成されている。
【0013】
図2に示すように、両端部が屈曲された二つの締結プレート1,2は、屈曲内側面が互いに齟齬状に取付けられ、アンカー鉄筋3が挿通される挿通孔13,23を有する二つの締結プレート1,2に、予めネジ切りされているアンカー鉄筋3を挿通し、該締結プレート1,2の前後を中間部挿入ナット61及び先端部ナット7で強固に螺合され、該二つの締結プレート1,2にループ鉄筋4および直進鉄筋5が強固に挟持される。
【0014】
図3に示す締結プレート20にはスリット部24が形成されており、アンカー欽筋3の中間部にはめ込むときに作業がしやすくなっている。
【0015】
中間部挿入ナット61及び先端部ナット7の強力な締め付けに伴って、直進鉄筋5は連結プレート1の屈曲された先端のエッジ部のテーパー部12の作用で連結プレート1の内側へ付勢される。
【0016】
また、ループ鉄筋4は、中間部挿入ナット61及び先端部ナット7の強力な締め付けに伴って、連結プレート2の屈曲された先端のエッジ部のテーパー部22の作用で連結プレート2の内側へ付勢される。
【0017】
図4はヒンジ62を有するナット等の中間部挿入ナット61をアンカー鉄筋3の中間部に螺合して強固に締め付けて三次元交差鉄筋が締結される。
【0018】
アンカー鉄筋3の基部はシート受け金具32を介してトンネル内の支保工等8に固定されるが、シート受け金具32に図6乃至図7に示すように固定された防水シートを破損しなおようにアンカー鉄筋3の基部が当接される個所には、孔部33が形成されており、アンカー鉄筋3の基部が防水シート31を孔部33に押し込むようになっており、防水シート31を破損せずに固定することができる。
【0019】
トンネル工事等で3方向交差鉄筋を締結する際、狭い個所で作業がしづらい場合、中間部挿入ナット61をアンカー鉄筋3の中間部に螺合するとき、図4乃至図5に示すような中間部挿入ナット61等を用いることができる。
【0020】
また、中間部挿入ナット61は、図4乃至図5に示すヒンジ付きナットに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の三次元交差鉄筋締結金具は、特に部品が少なく、トンネル工事等におけるアンカー鉄筋3、ループ鉄筋4、直進鉄筋5の3方向の交差部を一括して締結する場合に有用である。
【符号の説明】
【0022】
1 締結プレート
10 プレート平面部
11 屈曲部
12 テーパー部
13 孔部
2 締結プレート
20 プレート平面部
21 屈曲部
22 テーパー部
23 孔部
24 スリット部
3 アンカー鉄筋
30 締結プレート
31 防水シート
32 シート受金具
33 孔部
4 ループ鉄筋
5 直進鉄筋
6 ナット
60 Uボルト
61 中間部挿入ナット
62 ヒンジ
63 嵌着部
64 嵌着部
7 ナット
71 ナット
8 支保工等
9 トンネル壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカー鉄筋、ループ鉄筋および直進鉄筋の3方向交差部の締結金具であって、アンカー鉄筋が挿通される挿通孔を有する二つの締結プレートに、予めネジ切りされているアンカー鉄筋を挿通し、該締結プレートの前後を中間部挿入ナット及び先端部ナットで強固に螺合し、該二つの締結プレートにループ鉄筋および長手方向直進鉄筋が強固に挟持されるように構成したことを特徴とする三次元交差鉄筋締結金具。
【請求項2】
両端部が屈曲された二つの締結プレートは、屈曲内側面が互いに齟齬状に取付けられ、それぞれ締結プレート間で直交するループ鉄筋および直進鉄筋を強固に挟持するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の三次元交差鉄筋締結金具。
【請求項3】
ヒンジ付きナット等の中間部挿入ナットをアンカー鉄筋の中間部に螺合したことを特徴とする請求項1記載の三次元交差鉄筋締結金具。
【請求項4】
アンカー鉄筋の基部はシート受け金具を介してトンネル内の支保工等に固定され、シート受け金具は防水シートを固定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の三次元交差鉄筋締結金具。
【請求項5】
シート受け金具にはアンカー鉄筋の基部が防水シートを押し込む孔部が形成されており、防水シートを破損せずに固定できるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の三次元交差鉄筋締結金具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−26930(P2011−26930A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187870(P2009−187870)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(390027661)株式会社金澤製作所 (29)
【Fターム(参考)】