三次元画像表示装置の製造方法
【課題】表示パネルとレンチキュラレンズとの距離を高精度に制御するとともに、高い接着性を確保できる三次元画像表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の三次元画像表示装置の製造方法は、レンチキュラレンズを有するレンズ板、及び画像を表示する表示パネルの少なくともどちらか一方に、前記レンズ板と前記表示パネルが貼り合わせられた状態で隙間を形成するように、不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給する工程と、前記レンズ板と前記表示パネルとを、前記表示パネルに前記レンチキュラレンズを向けて、前記接着部材を介して貼り合わせる工程と、減圧雰囲気下において、前記レンズ板と前記表示パネルとを貼り合わせた状態で、前記隙間に接着剤を供給し、前記隙間を封止する工程と、を有し、前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させることを特徴とする。
【解決手段】実施形態の三次元画像表示装置の製造方法は、レンチキュラレンズを有するレンズ板、及び画像を表示する表示パネルの少なくともどちらか一方に、前記レンズ板と前記表示パネルが貼り合わせられた状態で隙間を形成するように、不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給する工程と、前記レンズ板と前記表示パネルとを、前記表示パネルに前記レンチキュラレンズを向けて、前記接着部材を介して貼り合わせる工程と、減圧雰囲気下において、前記レンズ板と前記表示パネルとを貼り合わせた状態で、前記隙間に接着剤を供給し、前記隙間を封止する工程と、を有し、前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、三次元画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元画像表示装置の表示パネルとしてレンチキュラレンズを備える三次元画像表示装置が開発されている。この種の三次元画像表示装置の製造方法において、表示パネル上にレンチキュラレンズを設ける場合には、そのレンチキュラレンズを有するレンズ板を、表示パネル上において、矩形の枠形状に塗布された接着剤により、表示パネルに貼り合わせている。
【0003】
表示パネルとレンチキュラレンズとの間の距離を高精度に制御するために、減圧雰囲気中で、表示パネルとレンズ板とを、表示パネルにレンチキュラレンズを向けて枠形状の接着部材を介して貼り合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3708112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三次元画像表示装置の表示パネルでは、表示パネルとレンチキュラレンズとの距離を高精度に制御するとともに、高い接着性を確保することが要求されるため、製造方法における圧力制御や接着部材の形状や高さ寸法の設定が複雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法は、レンチキュラレンズを有するレンズ板、及び画像を表示する表示パネルの少なくともどちらか一方に、前記レンズ板と前記表示パネルが貼り合わせられた状態で隙間を形成するように、不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給する工程と、前記レンズ板と前記表示パネルとを、前記表示パネルに前記レンチキュラレンズを向けて、前記接着部材を介して貼り合わせる工程と、減圧雰囲気下において、前記レンズ板と前記表示パネルとを貼り合わせた状態で、前記隙間に接着剤を供給し、前記隙間を封止する工程と、を有し、前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させることを特徴とする三次元画像表示装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態に係る三次元画像表示装置の概略構成を示す断面図。
【図2】同三次元画像表示装置の製造方法を示すフローチャート。
【図3】同三次元画像表示装置の製造装置を示すブロック図。
【図4】同製造方法における塗布工程を示す説明図。
【図5】同製造方法における塗布工程後の接着部材の状態を示す説明図。
【図6】同製造方法における貼り合わせ工程を示す説明図。
【図7】同製造方法における減圧工程を示す説明図。
【図8】同製造方法における隙間の状態を示す説明図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る三次元画像表示装置の製造方法を示すフローチャート。
【図10】同三次元画像表示装置の製造装置を示すブロック図。
【図11】同製造方法における隙間の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下一実施形態にかかる三次元画像表示装置10及び三次元画像表示装置10の製造方法について、図1乃至図8を参照して説明する。各図においては適宜構成を拡大、縮小、または省略して概略的に示す。
【0009】
図1に示す三次元画像表示装置(以下表示装置)10は、画像を表示する表示パネル2と、その表示パネル2上に接着部材3を介して設けられ、表示パネル2側にレンチキュラレンズ4aを有するレンズ板4とを備えている。これらの表示パネル2、接着部材3及びレンズ板4により形成される内部空間である閉空間Nは気密封止され、閉空間Nはその内圧が大気圧より低い気密状態になっている。
【0010】
表示パネル2は、アレイ基板等の背面基板となる第1基板2aと、前面基板となる第2基板2bとを具備している。この表示パネル2の面内には、複数の画素が所定のパターンで、例えばマトリクス状(格子状)に配列されている。このような表示パネル2としては、例えば、液晶表示パネルを用いる。第1基板2aと第2基板2bとの間には、液晶層(図示せず)が設けられており、この表示パネル2の外面には、2つの偏光板2c、2dが設けられている。それらの偏光板2c、2dは、各々対向させて表示パネル2に配置されている。
【0011】
第1基板2aは、例えば矩形状のガラス基板である。この第1基板2aの内面(第2基板2bに対向する面:図1中の上面)には、複数の画素電極や、それらに電位を供給するための電気配線(いずれも図示せず)等が設けられている。各画素電極は画素毎にドット状(点状)に設けられており、電気配線はマトリクス状(格子状)に設けられている。第2基板2bは、例えば矩形状のガラス基板である。この第2基板2bの内面(第1基板2aに対向する面:図1中の下面)には、カラーフィルタFや共通電極となる対向電極(図示せず)等が設けられている。カラーフィルタFは、ドット状あるいはストライプ状に設けられた複数の着色層(赤、緑及び青)と、ブラックマトリクス等の遮光層とにより構成されている。
【0012】
接着部材3は、レンチキュラレンズ4aの周囲を囲むように表示パネル2とレンズ板4との間に設けられ、表示パネル2とレンズ板4とを接着するための部材である。この接着部材3は、例えば、周縁に沿うようにして、矩形の枠形状に、表示パネル2とレンズ板4との間に形成されている。接着部材3は、表示パネル2とレンズ板4とを接合して閉空間Nを形成する側壁として機能し、閉空間Nの気密性も維持する。接着部材3としては、例えば光硬化性樹脂等を用い、ここではUV硬化性樹脂とした。
【0013】
レンズ板4は、三次元画像を生成するためのレンチキュラレンズ4aを有するレンズ基板やレンズシート等のレンズ部材である。このレンズ板4は、例えば矩形状の基板である。レンチキュラレンズ4aは、円柱を軸方向に2つに割った形状であるシリンドリカルレンズ(円筒面レンズ)4a1を軸方向(長手方向、すなわち稜線方向)に直交する方向(短手方向)に隣接させて並べることにより形成されている。ここで、シリンドリカルレンズ4a1は円筒状のレンズで一方向にのみ曲率があるレンズであり、一つの屈曲面を有している。また、レンチキュラレンズ4aは、レンズ板4の内面に固定されてレンズ板4の一部として設けられている。なお、レンチキュラレンズ4a及びレンズ板4は、別体で形成された後に一体化されても、最初から同一材料を用いて一体で形成されてもよい。
【0014】
表示装置10は、マトリクス状に配置された各画素に対応する画素電極に対し、画像信号(画像データ)に応じて電圧を印加することにより、各画素(液晶層)の光学特性を変化させて画像を表示する。特に、表示装置10は、インテグラルイメージング方式を用いて、見る角度により微妙に見え方が異なる複数の視差画像(二次元画像)を表示し、三次元画像を形成する。この三次元画像は、自然で、見やすく、さらに疲れ難い画像であり、さらに、そのような三次元画像を見ることが可能な範囲は連続的となる。
【0015】
次に、表示装置10の製造方法について図2乃至図9を参照して説明する。表示装置10の製造方法は、図2に示すように、一例として、塗布工程(S1)と、設置工程(S2)と、位置合わせ工程(S3)と、貼り合わせ工程(S4)と、第1硬化工程(S5)と、減圧工程(S6)と、封止工程(S7)と、減圧緩和(引き込み)工程(S8)と、第2硬化工程(S9)と、確認工程(S10)と、を備えている。
【0016】
この製造方法に用いられる製造装置は、図3に示すように、塗布装置11や貼り合わせ装置20に加え、これらを制御する制御部30を備えて構成されている。
【0017】
図4に示す塗布装置11はノズル12aから接着部材3を吐出する塗布ヘッド12を備えている。塗布ヘッド12は、接着部材3を内部に収容し、その内部に連通するノズル12aから接着部材3を吐出する。塗布ヘッド12にはレーザを利用した非接触の変位計であるレーザ変位計14が取り付けられている。
【0018】
塗布工程(S1)では、塗布装置11を用いて表示パネル2に接着剤としての接着部材3を塗布する。具体的にはノズル12aから接着部材3を吐出する塗布ヘッド12に対して、表示パネル2が載置されたステージ13をXY方向に移動させ、ステージ13上の表示パネル2に接着部材3を塗布する。塗布を行う場合、塗布ヘッド12のノズル12aとステージ13上の表示パネル2との塗布ギャップを計測する。この塗布ギャップが塗布装置11の制御部30によるフィードバック制御に用いられ、塗布ヘッド12のノズル12aとステージ13上の表示パネル2との塗布ギャップは一定に維持される。
【0019】
ここでは、必要に応じて、前述と同様に、レンズ板2に接着部材3を塗布しておくことが可能である。
【0020】
図5に示すように、塗布工程において表示パネル2上の上面周囲には不連続な枠形状の接着部材3が塗布される。すなわち、枠形状の接着部材3には、周における所定箇所に1つの不連続部分3aが形成される。この不連続部分3aは、例えば、塗布量を減らす、あるいは塗布しないことにより形成される。例えばこの不連続部分3aで塗布開始し、表示パネル2の周囲に沿って塗布し、不連続部分3aで塗布終了することにより不連続部分3aを除く枠形状に接着部材3が塗布される。この不連続部分3aは、貼り合わせた際に内部空間Nと外部を連通する隙間31を形成する。
【0021】
図6に示すように、貼り合わせ装置20は、例えば、開閉可能な減圧チャンバ21と、減圧チャンバ21内の圧力を調整する減圧部22と、を備えている。減圧チャンバ21内には表示パネル2が載置されるステージ23と、レンズ板4を支持する支持部24と、ステージ移動機構25と、が設けられる。さらに、減圧チャンバ21には、位置合わせ時の撮像を行う撮像部26、光照射用の照射ヘッド27、及び封止用の接着剤供給機構28が設けられている。
【0022】
設置工程(S2)としては、減圧チャンバ21内に、接着部材3が塗布された表示パネル2及びレンズ板4を設置する。まず、減圧チャンバ21内に設けられたステージ23上に接着部材3塗布後の表示パネル2が載置される。次いで、ステージ23に対向させて所定の高さにレンズ板4を支持する支持部24に、ステージ23上の表示パネル2にレンチキュラレンズ4aが向けられてレンズ板4が取り付けられる。ステージ23は、吸引吸着や静電吸着等の保持機構により表示パネル2を保持する。
【0023】
位置合わせ工程(S3)では、表示パネル2とレンズ板4との位置合わせを行う。位置合わせ工程では、ステージ23をXYZθ方向に移動させるステージ移動機構25及び撮像動作を行う撮像部26が用いられる。撮像部26によりアライメント用の画像が撮像され、その画像に基づいてステージ移動機構25によりステージ23上の表示パネル2が移動し、支持部24により支持されたレンズ板4に対する位置合わせが行われる。ここで、表示パネル2とレンチキュラレンズ4aとの平面方向の相対位置のずれが許容範囲内(例えば、目標値±数μmの範囲内)になるように表示パネル2とレンズ板4との位置合わせが行われる。
【0024】
図6に示すように、貼り合わせ工程(S4)として、表示パネル2とレンズ板4とを対向させ、ステージ移動機構25によりステージ23が上昇し、ステージ23上の表示パネル2がレンズ板4に対して押し付けられる。
【0025】
表示パネル2とレンズ板4とが近づくと、まず、表示パネル2とレンズ板4のレンチキュラレンズ4aとが離れた状態で空間Nができ(図6左側参照)、その後、さらに表示パネル2とレンズ板4が近づくと、それに応じて閉空間Nの体積が小さくなっていき表示パネル2とレンズ板4との貼り合わせが行われる。(図6の右側参照)。
【0026】
なお、閉空間Nはこの時点において、不連続部分3aに形成される隙間31を介して外部と連通し、この隙間31を通って空気が流通可能になっている。
【0027】
第1硬化工程(S5)では、接着部材硬化用のUV光を照射する複数の照射ヘッド27により、貼り合わせ完了状態の表示パネル2及びレンズ板4の間に存在する接着部材3を硬化させる。
【0028】
減圧工程(S6)では、減圧チャンバ21を閉状態とし、次いで、減圧チャンバ21内を減圧する減圧部22により、減圧チャンバ21から減圧チャンバ21内の雰囲気が排気される。減圧部22は、例えば、真空ポンプやレギュレータによって構成されている。これにより、図7及び図8<b>に示すように閉状態の減圧チャンバ21の内部が減圧部により所定の真空圧まで減圧されて、大気圧より低い圧力状態になる。例えば、減圧チャンバ21内の圧力を−40kPaとする。
【0029】
封止工程(S7)では、減圧雰囲気下において、減圧チャンバ21内にて、シリンジ等の接着剤供給機構28によって接着剤32を供給し、隙間31の外側から接着剤32を塗布する。接着剤32は例えば塗布時点では流動可能な液体状のUV硬化性樹脂を用いる。表示装置10の閉空間Nの内圧が大気圧より低い気密状態となった状態で封止工程によりレンチキュラレンズ4aの凸部と表示パネル2(偏光板2c)とが完全に密着し、空間Nが閉空間となる。
【0030】
この封止工程(S7)により表示パネル2、接着部材3及びレンズ板4により形成される閉空間Nは大気圧より低く気密封止される。封止工程後には図8<b>に示すように隙間31に接着剤32が配置されている。なおこの封止工程(S7)では、減圧緩和工程で接着剤32が移動する量を考慮して、多めの塗布量に設定しておく。この時点において外側から塗布した接着剤32は表示パネル2とレンズ4のエッジ部分10eに塗布されるため、予め設定された所定の目標位置A1には到達していない。
【0031】
減圧緩和工程(S8)では、減圧部22により、減圧チャンバ21内の減圧状態を緩和させ(即ち、減圧チャンバ21内の圧力を上昇させる)て、接着剤32の引き込みを行う。例えば、減圧チャンバ21内の圧力を−40kPaから−20kPaとする。このとき、空間Nの圧力は−40kPaのまま閉空間となっているので、減圧緩和によって内圧と外圧の差が生じる。このとき、不連続部分3aを有する枠形状の接着部材3は、すでに硬化されているため、隙間31に配置された流動可能な接着剤32のみが、圧力差により内側に引き込まれる。図8<c>に示すように、エッジ部分10eに塗布された接着剤32が隙間を通って内側へ移動することで接着剤32の内側端32aの位置が内側に向かって移動し、接着面積が拡大する。なお、封止工程(S7)で塗布量を多く設定しているため、減圧緩和工程(S8)において封止状態を維持したまま、接着面積を拡大しながら移動する。
【0032】
第2硬化工程(S9)では、接着剤32硬化用のUV光を照射する複数の照射ヘッド27により、封止状態の表示パネル2及びレンズ板4の隙間31(不連続部分3a)に存在する接着剤32を硬化させる。そして確認工程(S10)として、例えば、目視や画像検出によって接着剤32の引き込み位置の確認を行い、三次元画像表示装置が完成する。なお、この確認工程(S10)は、接着剤32が硬化する前の段階で行っても良い。この後、減圧チャンバ21内を大気開放して表示装置10を取り出す。
【0033】
本実施の形態によれば、減圧工程(S6)後の封止工程(S7)では、表示パネル2とレンズ板4の貼り合わせの構造において、接着剤32がエッジ部分10eに塗布された状態にある。そして、その後、減圧緩和工程(S8)において周囲の減圧緩和(即ち、周囲の圧力を上昇させる。)を行うと、接着剤32は、その内側端32aの位置が所望量、より閉空間N側の所定の位置まで移動する(図8<c>を参照する。)。このようにして、減圧緩和工程(S8)においては、不連続部分3aにおける接着面積を拡大させることができ、表示パネル2とレンズ板4の貼り合わせの構造に関し、高い密着性を確保できることがわかる。
【0034】
本実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法によれば、単純な製造方法で三次元画像表示装置における密着性を確保できる。すなわち、表示パネル2とレンズ板4とが接着部材3を介して貼り合わされ、減圧状態で封止された後、減圧緩和により封止の接着剤を引き込み容易に高い接着力を確保することができる。すなわち、ギャップや隙間が小さい場合であっても、圧力差によって容易に接着力を確保できる。また、減圧状態を調整するだけで実施可能であるため、新たに設備を追加することなく容易に実現可能である。
【0035】
本実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法で製造された表示装置は、高い密着性を確保するとともに、内部圧力と大気圧との圧力差も十分となっているので、製造後でも、密着状態が維持される。このため、自重による撓み、外部からの部分的な加圧及び周囲温度上昇等により、ギャップが変化してしまうことを防止することが可能になることから、表示パネル2とレンズ板4とのギャップ精度、すなわち画素とレンズ間の離間距離精度を維持することができる。したがって、例えば、大型で環境変化の影響が大きい表示装置においてもギャップ精度の維持が可能となる。
【0036】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について、図9乃至図11を参照して説明する。なお、接着剤32の位置検出に基づき、減圧緩和工程をフィードバック制御する点以外については、上記第1実施形態と同様であるため、共通する部分の説明を省略する。
【0037】
第2実施形態の製造装置としては図10及び図11に示すように減圧チャンバ21内に接着剤32の位置を検出する位置検出部29を設ける。位置検出部29は、例えば、撮像により画像検出するカメラやセンサなどで構成される。
【0038】
本実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法では、図9に示すように、上記第1実施形態にかかる確認工程(S10)の代わりに、制御部30は第2硬化の前に、位置検出部29によって接着剤32の引き込み位置の位置情報を検出し(S11)、この検出結果に基づいて目標位置A1に達したか否かを判定し(S12)、目標位置A1に達するまで減圧緩和による引き込みを続け、必要な場合には、減圧緩和状態の圧力を調整する(S13)ように減圧緩和動作をフィードバック制御することとした。例えば、接着剤32の引き込みが十分に行われていない場合には、減圧チャンバ21内の圧力を、さらに上昇させる調整を行い、圧力差を大きくして引き込みを促進させる。
【0039】
本実施形態においても上記第1実施形態にかかる製造方法と同様の効果を奏する。さらに第2実施形態では位置検出による減圧緩和動作のフィードバック制御を行うことでより確実に接着面積を確保することが可能となる。
【0040】
上記実施形態では不連続部分3a及び隙間31が一箇所である場合を例示したが複数としてもよい。
【0041】
本発明の実施形態において、上述のように説明したうちの少なくとも一つによれば、三次元画像表示装置に関して、レンズ板と表示パネルとの間の距離設定を高精度に行い、その貼り合わせ構造の密着性を高めることができる。
【0042】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10…表示装置(三次元画像表示装置の一例)、2…表示パネル、3…接着部材、3a…不連続部分、4a…レンチキュラレンズ、4…レンズ板、10e…エッジ部分、11…塗布装置、12a…ノズル、12…塗布ヘッド、13…ステージ、20…貼り合わせ装置、21…減圧チャンバ、22…減圧部、23…ステージ、24…支持部、25…ステージ移動機構、26…撮像部、27…照射ヘッド、28…接着剤供給機構、29…位置検出部、30…制御部、31…隙間、32…接着剤、32a…内側端。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、三次元画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元画像表示装置の表示パネルとしてレンチキュラレンズを備える三次元画像表示装置が開発されている。この種の三次元画像表示装置の製造方法において、表示パネル上にレンチキュラレンズを設ける場合には、そのレンチキュラレンズを有するレンズ板を、表示パネル上において、矩形の枠形状に塗布された接着剤により、表示パネルに貼り合わせている。
【0003】
表示パネルとレンチキュラレンズとの間の距離を高精度に制御するために、減圧雰囲気中で、表示パネルとレンズ板とを、表示パネルにレンチキュラレンズを向けて枠形状の接着部材を介して貼り合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3708112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三次元画像表示装置の表示パネルでは、表示パネルとレンチキュラレンズとの距離を高精度に制御するとともに、高い接着性を確保することが要求されるため、製造方法における圧力制御や接着部材の形状や高さ寸法の設定が複雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法は、レンチキュラレンズを有するレンズ板、及び画像を表示する表示パネルの少なくともどちらか一方に、前記レンズ板と前記表示パネルが貼り合わせられた状態で隙間を形成するように、不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給する工程と、前記レンズ板と前記表示パネルとを、前記表示パネルに前記レンチキュラレンズを向けて、前記接着部材を介して貼り合わせる工程と、減圧雰囲気下において、前記レンズ板と前記表示パネルとを貼り合わせた状態で、前記隙間に接着剤を供給し、前記隙間を封止する工程と、を有し、前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させることを特徴とする三次元画像表示装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態に係る三次元画像表示装置の概略構成を示す断面図。
【図2】同三次元画像表示装置の製造方法を示すフローチャート。
【図3】同三次元画像表示装置の製造装置を示すブロック図。
【図4】同製造方法における塗布工程を示す説明図。
【図5】同製造方法における塗布工程後の接着部材の状態を示す説明図。
【図6】同製造方法における貼り合わせ工程を示す説明図。
【図7】同製造方法における減圧工程を示す説明図。
【図8】同製造方法における隙間の状態を示す説明図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る三次元画像表示装置の製造方法を示すフローチャート。
【図10】同三次元画像表示装置の製造装置を示すブロック図。
【図11】同製造方法における隙間の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下一実施形態にかかる三次元画像表示装置10及び三次元画像表示装置10の製造方法について、図1乃至図8を参照して説明する。各図においては適宜構成を拡大、縮小、または省略して概略的に示す。
【0009】
図1に示す三次元画像表示装置(以下表示装置)10は、画像を表示する表示パネル2と、その表示パネル2上に接着部材3を介して設けられ、表示パネル2側にレンチキュラレンズ4aを有するレンズ板4とを備えている。これらの表示パネル2、接着部材3及びレンズ板4により形成される内部空間である閉空間Nは気密封止され、閉空間Nはその内圧が大気圧より低い気密状態になっている。
【0010】
表示パネル2は、アレイ基板等の背面基板となる第1基板2aと、前面基板となる第2基板2bとを具備している。この表示パネル2の面内には、複数の画素が所定のパターンで、例えばマトリクス状(格子状)に配列されている。このような表示パネル2としては、例えば、液晶表示パネルを用いる。第1基板2aと第2基板2bとの間には、液晶層(図示せず)が設けられており、この表示パネル2の外面には、2つの偏光板2c、2dが設けられている。それらの偏光板2c、2dは、各々対向させて表示パネル2に配置されている。
【0011】
第1基板2aは、例えば矩形状のガラス基板である。この第1基板2aの内面(第2基板2bに対向する面:図1中の上面)には、複数の画素電極や、それらに電位を供給するための電気配線(いずれも図示せず)等が設けられている。各画素電極は画素毎にドット状(点状)に設けられており、電気配線はマトリクス状(格子状)に設けられている。第2基板2bは、例えば矩形状のガラス基板である。この第2基板2bの内面(第1基板2aに対向する面:図1中の下面)には、カラーフィルタFや共通電極となる対向電極(図示せず)等が設けられている。カラーフィルタFは、ドット状あるいはストライプ状に設けられた複数の着色層(赤、緑及び青)と、ブラックマトリクス等の遮光層とにより構成されている。
【0012】
接着部材3は、レンチキュラレンズ4aの周囲を囲むように表示パネル2とレンズ板4との間に設けられ、表示パネル2とレンズ板4とを接着するための部材である。この接着部材3は、例えば、周縁に沿うようにして、矩形の枠形状に、表示パネル2とレンズ板4との間に形成されている。接着部材3は、表示パネル2とレンズ板4とを接合して閉空間Nを形成する側壁として機能し、閉空間Nの気密性も維持する。接着部材3としては、例えば光硬化性樹脂等を用い、ここではUV硬化性樹脂とした。
【0013】
レンズ板4は、三次元画像を生成するためのレンチキュラレンズ4aを有するレンズ基板やレンズシート等のレンズ部材である。このレンズ板4は、例えば矩形状の基板である。レンチキュラレンズ4aは、円柱を軸方向に2つに割った形状であるシリンドリカルレンズ(円筒面レンズ)4a1を軸方向(長手方向、すなわち稜線方向)に直交する方向(短手方向)に隣接させて並べることにより形成されている。ここで、シリンドリカルレンズ4a1は円筒状のレンズで一方向にのみ曲率があるレンズであり、一つの屈曲面を有している。また、レンチキュラレンズ4aは、レンズ板4の内面に固定されてレンズ板4の一部として設けられている。なお、レンチキュラレンズ4a及びレンズ板4は、別体で形成された後に一体化されても、最初から同一材料を用いて一体で形成されてもよい。
【0014】
表示装置10は、マトリクス状に配置された各画素に対応する画素電極に対し、画像信号(画像データ)に応じて電圧を印加することにより、各画素(液晶層)の光学特性を変化させて画像を表示する。特に、表示装置10は、インテグラルイメージング方式を用いて、見る角度により微妙に見え方が異なる複数の視差画像(二次元画像)を表示し、三次元画像を形成する。この三次元画像は、自然で、見やすく、さらに疲れ難い画像であり、さらに、そのような三次元画像を見ることが可能な範囲は連続的となる。
【0015】
次に、表示装置10の製造方法について図2乃至図9を参照して説明する。表示装置10の製造方法は、図2に示すように、一例として、塗布工程(S1)と、設置工程(S2)と、位置合わせ工程(S3)と、貼り合わせ工程(S4)と、第1硬化工程(S5)と、減圧工程(S6)と、封止工程(S7)と、減圧緩和(引き込み)工程(S8)と、第2硬化工程(S9)と、確認工程(S10)と、を備えている。
【0016】
この製造方法に用いられる製造装置は、図3に示すように、塗布装置11や貼り合わせ装置20に加え、これらを制御する制御部30を備えて構成されている。
【0017】
図4に示す塗布装置11はノズル12aから接着部材3を吐出する塗布ヘッド12を備えている。塗布ヘッド12は、接着部材3を内部に収容し、その内部に連通するノズル12aから接着部材3を吐出する。塗布ヘッド12にはレーザを利用した非接触の変位計であるレーザ変位計14が取り付けられている。
【0018】
塗布工程(S1)では、塗布装置11を用いて表示パネル2に接着剤としての接着部材3を塗布する。具体的にはノズル12aから接着部材3を吐出する塗布ヘッド12に対して、表示パネル2が載置されたステージ13をXY方向に移動させ、ステージ13上の表示パネル2に接着部材3を塗布する。塗布を行う場合、塗布ヘッド12のノズル12aとステージ13上の表示パネル2との塗布ギャップを計測する。この塗布ギャップが塗布装置11の制御部30によるフィードバック制御に用いられ、塗布ヘッド12のノズル12aとステージ13上の表示パネル2との塗布ギャップは一定に維持される。
【0019】
ここでは、必要に応じて、前述と同様に、レンズ板2に接着部材3を塗布しておくことが可能である。
【0020】
図5に示すように、塗布工程において表示パネル2上の上面周囲には不連続な枠形状の接着部材3が塗布される。すなわち、枠形状の接着部材3には、周における所定箇所に1つの不連続部分3aが形成される。この不連続部分3aは、例えば、塗布量を減らす、あるいは塗布しないことにより形成される。例えばこの不連続部分3aで塗布開始し、表示パネル2の周囲に沿って塗布し、不連続部分3aで塗布終了することにより不連続部分3aを除く枠形状に接着部材3が塗布される。この不連続部分3aは、貼り合わせた際に内部空間Nと外部を連通する隙間31を形成する。
【0021】
図6に示すように、貼り合わせ装置20は、例えば、開閉可能な減圧チャンバ21と、減圧チャンバ21内の圧力を調整する減圧部22と、を備えている。減圧チャンバ21内には表示パネル2が載置されるステージ23と、レンズ板4を支持する支持部24と、ステージ移動機構25と、が設けられる。さらに、減圧チャンバ21には、位置合わせ時の撮像を行う撮像部26、光照射用の照射ヘッド27、及び封止用の接着剤供給機構28が設けられている。
【0022】
設置工程(S2)としては、減圧チャンバ21内に、接着部材3が塗布された表示パネル2及びレンズ板4を設置する。まず、減圧チャンバ21内に設けられたステージ23上に接着部材3塗布後の表示パネル2が載置される。次いで、ステージ23に対向させて所定の高さにレンズ板4を支持する支持部24に、ステージ23上の表示パネル2にレンチキュラレンズ4aが向けられてレンズ板4が取り付けられる。ステージ23は、吸引吸着や静電吸着等の保持機構により表示パネル2を保持する。
【0023】
位置合わせ工程(S3)では、表示パネル2とレンズ板4との位置合わせを行う。位置合わせ工程では、ステージ23をXYZθ方向に移動させるステージ移動機構25及び撮像動作を行う撮像部26が用いられる。撮像部26によりアライメント用の画像が撮像され、その画像に基づいてステージ移動機構25によりステージ23上の表示パネル2が移動し、支持部24により支持されたレンズ板4に対する位置合わせが行われる。ここで、表示パネル2とレンチキュラレンズ4aとの平面方向の相対位置のずれが許容範囲内(例えば、目標値±数μmの範囲内)になるように表示パネル2とレンズ板4との位置合わせが行われる。
【0024】
図6に示すように、貼り合わせ工程(S4)として、表示パネル2とレンズ板4とを対向させ、ステージ移動機構25によりステージ23が上昇し、ステージ23上の表示パネル2がレンズ板4に対して押し付けられる。
【0025】
表示パネル2とレンズ板4とが近づくと、まず、表示パネル2とレンズ板4のレンチキュラレンズ4aとが離れた状態で空間Nができ(図6左側参照)、その後、さらに表示パネル2とレンズ板4が近づくと、それに応じて閉空間Nの体積が小さくなっていき表示パネル2とレンズ板4との貼り合わせが行われる。(図6の右側参照)。
【0026】
なお、閉空間Nはこの時点において、不連続部分3aに形成される隙間31を介して外部と連通し、この隙間31を通って空気が流通可能になっている。
【0027】
第1硬化工程(S5)では、接着部材硬化用のUV光を照射する複数の照射ヘッド27により、貼り合わせ完了状態の表示パネル2及びレンズ板4の間に存在する接着部材3を硬化させる。
【0028】
減圧工程(S6)では、減圧チャンバ21を閉状態とし、次いで、減圧チャンバ21内を減圧する減圧部22により、減圧チャンバ21から減圧チャンバ21内の雰囲気が排気される。減圧部22は、例えば、真空ポンプやレギュレータによって構成されている。これにより、図7及び図8<b>に示すように閉状態の減圧チャンバ21の内部が減圧部により所定の真空圧まで減圧されて、大気圧より低い圧力状態になる。例えば、減圧チャンバ21内の圧力を−40kPaとする。
【0029】
封止工程(S7)では、減圧雰囲気下において、減圧チャンバ21内にて、シリンジ等の接着剤供給機構28によって接着剤32を供給し、隙間31の外側から接着剤32を塗布する。接着剤32は例えば塗布時点では流動可能な液体状のUV硬化性樹脂を用いる。表示装置10の閉空間Nの内圧が大気圧より低い気密状態となった状態で封止工程によりレンチキュラレンズ4aの凸部と表示パネル2(偏光板2c)とが完全に密着し、空間Nが閉空間となる。
【0030】
この封止工程(S7)により表示パネル2、接着部材3及びレンズ板4により形成される閉空間Nは大気圧より低く気密封止される。封止工程後には図8<b>に示すように隙間31に接着剤32が配置されている。なおこの封止工程(S7)では、減圧緩和工程で接着剤32が移動する量を考慮して、多めの塗布量に設定しておく。この時点において外側から塗布した接着剤32は表示パネル2とレンズ4のエッジ部分10eに塗布されるため、予め設定された所定の目標位置A1には到達していない。
【0031】
減圧緩和工程(S8)では、減圧部22により、減圧チャンバ21内の減圧状態を緩和させ(即ち、減圧チャンバ21内の圧力を上昇させる)て、接着剤32の引き込みを行う。例えば、減圧チャンバ21内の圧力を−40kPaから−20kPaとする。このとき、空間Nの圧力は−40kPaのまま閉空間となっているので、減圧緩和によって内圧と外圧の差が生じる。このとき、不連続部分3aを有する枠形状の接着部材3は、すでに硬化されているため、隙間31に配置された流動可能な接着剤32のみが、圧力差により内側に引き込まれる。図8<c>に示すように、エッジ部分10eに塗布された接着剤32が隙間を通って内側へ移動することで接着剤32の内側端32aの位置が内側に向かって移動し、接着面積が拡大する。なお、封止工程(S7)で塗布量を多く設定しているため、減圧緩和工程(S8)において封止状態を維持したまま、接着面積を拡大しながら移動する。
【0032】
第2硬化工程(S9)では、接着剤32硬化用のUV光を照射する複数の照射ヘッド27により、封止状態の表示パネル2及びレンズ板4の隙間31(不連続部分3a)に存在する接着剤32を硬化させる。そして確認工程(S10)として、例えば、目視や画像検出によって接着剤32の引き込み位置の確認を行い、三次元画像表示装置が完成する。なお、この確認工程(S10)は、接着剤32が硬化する前の段階で行っても良い。この後、減圧チャンバ21内を大気開放して表示装置10を取り出す。
【0033】
本実施の形態によれば、減圧工程(S6)後の封止工程(S7)では、表示パネル2とレンズ板4の貼り合わせの構造において、接着剤32がエッジ部分10eに塗布された状態にある。そして、その後、減圧緩和工程(S8)において周囲の減圧緩和(即ち、周囲の圧力を上昇させる。)を行うと、接着剤32は、その内側端32aの位置が所望量、より閉空間N側の所定の位置まで移動する(図8<c>を参照する。)。このようにして、減圧緩和工程(S8)においては、不連続部分3aにおける接着面積を拡大させることができ、表示パネル2とレンズ板4の貼り合わせの構造に関し、高い密着性を確保できることがわかる。
【0034】
本実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法によれば、単純な製造方法で三次元画像表示装置における密着性を確保できる。すなわち、表示パネル2とレンズ板4とが接着部材3を介して貼り合わされ、減圧状態で封止された後、減圧緩和により封止の接着剤を引き込み容易に高い接着力を確保することができる。すなわち、ギャップや隙間が小さい場合であっても、圧力差によって容易に接着力を確保できる。また、減圧状態を調整するだけで実施可能であるため、新たに設備を追加することなく容易に実現可能である。
【0035】
本実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法で製造された表示装置は、高い密着性を確保するとともに、内部圧力と大気圧との圧力差も十分となっているので、製造後でも、密着状態が維持される。このため、自重による撓み、外部からの部分的な加圧及び周囲温度上昇等により、ギャップが変化してしまうことを防止することが可能になることから、表示パネル2とレンズ板4とのギャップ精度、すなわち画素とレンズ間の離間距離精度を維持することができる。したがって、例えば、大型で環境変化の影響が大きい表示装置においてもギャップ精度の維持が可能となる。
【0036】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について、図9乃至図11を参照して説明する。なお、接着剤32の位置検出に基づき、減圧緩和工程をフィードバック制御する点以外については、上記第1実施形態と同様であるため、共通する部分の説明を省略する。
【0037】
第2実施形態の製造装置としては図10及び図11に示すように減圧チャンバ21内に接着剤32の位置を検出する位置検出部29を設ける。位置検出部29は、例えば、撮像により画像検出するカメラやセンサなどで構成される。
【0038】
本実施形態にかかる三次元画像表示装置の製造方法では、図9に示すように、上記第1実施形態にかかる確認工程(S10)の代わりに、制御部30は第2硬化の前に、位置検出部29によって接着剤32の引き込み位置の位置情報を検出し(S11)、この検出結果に基づいて目標位置A1に達したか否かを判定し(S12)、目標位置A1に達するまで減圧緩和による引き込みを続け、必要な場合には、減圧緩和状態の圧力を調整する(S13)ように減圧緩和動作をフィードバック制御することとした。例えば、接着剤32の引き込みが十分に行われていない場合には、減圧チャンバ21内の圧力を、さらに上昇させる調整を行い、圧力差を大きくして引き込みを促進させる。
【0039】
本実施形態においても上記第1実施形態にかかる製造方法と同様の効果を奏する。さらに第2実施形態では位置検出による減圧緩和動作のフィードバック制御を行うことでより確実に接着面積を確保することが可能となる。
【0040】
上記実施形態では不連続部分3a及び隙間31が一箇所である場合を例示したが複数としてもよい。
【0041】
本発明の実施形態において、上述のように説明したうちの少なくとも一つによれば、三次元画像表示装置に関して、レンズ板と表示パネルとの間の距離設定を高精度に行い、その貼り合わせ構造の密着性を高めることができる。
【0042】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10…表示装置(三次元画像表示装置の一例)、2…表示パネル、3…接着部材、3a…不連続部分、4a…レンチキュラレンズ、4…レンズ板、10e…エッジ部分、11…塗布装置、12a…ノズル、12…塗布ヘッド、13…ステージ、20…貼り合わせ装置、21…減圧チャンバ、22…減圧部、23…ステージ、24…支持部、25…ステージ移動機構、26…撮像部、27…照射ヘッド、28…接着剤供給機構、29…位置検出部、30…制御部、31…隙間、32…接着剤、32a…内側端。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチキュラレンズを有するレンズ板、及び画像を表示する表示パネルの少なくともどちらか一方に、前記レンズ板と前記表示パネルが貼り合わせられた状態で隙間を形成するように、不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給する工程と、
前記レンズ板と前記表示パネルとを、前記表示パネルに前記レンチキュラレンズを向けて、前記接着部材を介して貼り合わせる工程と、
減圧雰囲気下において、前記レンズ板と前記表示パネルとを貼り合わせた状態で、前記隙間に接着剤を供給し、前記隙間を封止する工程と、を有し、
前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させることを特徴とする三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記減圧雰囲気の圧力を上昇させる際に、前記隙間に供給された前記接着剤の位置を検出し、
前記検出結果に基づいて、前記圧力上昇動作を制御することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤は光硬化性の接着剤であり、
前記減圧雰囲気の圧力を上昇させた後に、光照射により、前記接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記不連続部分は、他の部分に比べて前記接着部材の塗布量が少ないか、あるいは塗布されていない部分であり、前記貼り合わせ時に、対向する、レンズ板及び表示パネルの間に隙間を形成することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給した後に、前記不連続部分を有する枠形状の前記接着部材を硬化させる工程と、
前記枠形状の接着部材を硬化させる工程の後に、前記貼り合わせ工程を行い、
減圧雰囲気下において、前記貼り合わせに工程によって形成される前記隙間に、前記パネルの外周側から接着剤を供給して前記封止する工程を行い、
前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させて、供給された前記接着剤を前記パネルの内部側に引き込む工程と、
前記減圧雰囲気の圧力を上昇させた後に、光照射により前記隙間の前記接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項1】
レンチキュラレンズを有するレンズ板、及び画像を表示する表示パネルの少なくともどちらか一方に、前記レンズ板と前記表示パネルが貼り合わせられた状態で隙間を形成するように、不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給する工程と、
前記レンズ板と前記表示パネルとを、前記表示パネルに前記レンチキュラレンズを向けて、前記接着部材を介して貼り合わせる工程と、
減圧雰囲気下において、前記レンズ板と前記表示パネルとを貼り合わせた状態で、前記隙間に接着剤を供給し、前記隙間を封止する工程と、を有し、
前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させることを特徴とする三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記減圧雰囲気の圧力を上昇させる際に、前記隙間に供給された前記接着剤の位置を検出し、
前記検出結果に基づいて、前記圧力上昇動作を制御することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤は光硬化性の接着剤であり、
前記減圧雰囲気の圧力を上昇させた後に、光照射により、前記接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記不連続部分は、他の部分に比べて前記接着部材の塗布量が少ないか、あるいは塗布されていない部分であり、前記貼り合わせ時に、対向する、レンズ板及び表示パネルの間に隙間を形成することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記不連続部分を有する枠形状に接着部材を供給した後に、前記不連続部分を有する枠形状の前記接着部材を硬化させる工程と、
前記枠形状の接着部材を硬化させる工程の後に、前記貼り合わせ工程を行い、
減圧雰囲気下において、前記貼り合わせに工程によって形成される前記隙間に、前記パネルの外周側から接着剤を供給して前記封止する工程を行い、
前記封止する工程の後に、前記減圧雰囲気の圧力を上昇させて、供給された前記接着剤を前記パネルの内部側に引き込む工程と、
前記減圧雰囲気の圧力を上昇させた後に、光照射により前記隙間の前記接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の三次元画像表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−68861(P2013−68861A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208427(P2011−208427)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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