説明

三次元X線撮像のための装置及び方法

オブジェクトの三次元X線撮像のための装置であって、オブジェクトの二次元画像の少なくとも1つの集合を使用中に得るように、オブジェクトに関して両者が適合するX線源及びX線画像検出器を有するシステムと、二次元画像の集合から導き出される前記オブジェクトの三次元画像を演算するためにX線画像検出器に接続された処理器とを有する装置であり、そのシステムは、低強度レベルにおける二元画像の第1集合及び高強度レベルにおける二元画像の第1集合を少なくとも得るように異なる強度レベルで動作し、低強度レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するようにあるポイントで予め決定され、そして処理器は、三次元画像の演算に先立って前記の二次元画像の第2集合からの対応する画像と二次元画像の第1集合からの画像を組み合わせるように備えられている、装置について開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトの二次元画像の少なくとも1つの集合を用いて得られるようにオブジェクトに対して両者が適合するX線源及びX線画像検出器を有するシステムと、二次元D画像の集合から導き出されるオブジェクトの三次元画像を計算するための検出器に接続された処理器とを有するオブジェクトの三次元X線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置については、米国特許第5,852,646号明細書に開示されている。
【0003】
このような既知の装置は、X線源及びX線画像撮像装置が取り付けられたC字型アームを用いる。C字型アームは、(半)円状経路に沿った複数の曝射位置に、前記(半)円状経路に沿った異なる視野からの二次元X線画像の集合を形成するように移動される。
【0004】
一般に、既知の装置は、C字型アームの移動中に取得される、検査下のオブジェクトの二次元画像の記憶及び検索のための処理器に接続されたメモリユニットを有する。
【0005】
既知の装置の課題はX線画像検査器の制限されたコントラスト分解能に関連している。
【0006】
特に、三次元画像が異なる角度の投影からもたらされる二次元画像から再構成されるようになっているとき、少なくとも10倍高い画像検出器の高コントラスト分解能が必要とされる。特に、‘軟組織撮像’として知られている低コントラストの撮像の場合、この高コントラスト分解能が、画像の特定部分の過度の飽和を伴わずに、十分なコントラストの細部を認識することができるように必要とされる。
【0007】
しかしながら、今日まで、軟組織が特に、前記の飽和についての課題のために特定できない、例えば、増影剤で満たされた血管及び骨の高コントラスト撮像については、既知である。
【特許文献1】米国特許第5,852,646号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、本発明の目的は、先行技術に比較して拡張されたコントラスト分解能を有する三次元画像を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明にしたがった装置は、少なくとも低強度レベルにおける二次元画像の第1集合及び高強度レベルにおける二次元画像の第2集合を得るように異なる強度レベルでシステムが動作し、低強度レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するポイントで予め決定され、処理器は、三次元画像の計算に先行して二次元画像の第2集合からの対応する画像と二次元画像の第1集合からの画像を組み合わせるように備えられている。
【0010】
本発明の装置により、X線画像検出器のコントラスト分解能は、先行技術にしたがった装置の既知の10ビットに比べて、例えば、実質上14ビットに実質的に改善されることが可能である。また、必要なコントラスト分解能の三次元画像は、本発明にしたがった装置を用いて、それ故、イメージインテンシファイアのような従来のX線画像検出器のみを用いて得ることができる。
【0011】
本発明にしたがった装置の更なる利点は、データ取得が、検査中の患者に対する放射線曝射のレベルの適度な増加のみにより可能であることである。
【0012】
必然的に、低強度レベルが高強度レベルの前に得られ、その逆もまた可能である。本出願に関連して、“低い”及び“高い”は互いの関係で理解される必要がある。
【0013】
有利であることに、予め決定された閾値以上の二次元画像の第2集合の画像の画素は二次元画像の第1集合からの画像の対応する画素により置き換えられ、そのように組み合わされた二次元画像は、三次元画像を演算するように実質的に用いられる。この動作は容易に実施され、多い演算量は必要なく、結果として得られる画像は全体のダイナミックレンジに亘って十分な線形性を伴って取得されることができる。
【0014】
有利であることに、二次元画像の第2集合の閾値化は、二次元画像の隣接画素について僅かに異なる予め決定されたレベルにおいて実行される。これは、結果として得られる画像の品質を改善し、閾値の他の一定レベルに関係する画像の処理に原因する再構成画像における不所望の擬アーティファクトを回避する。
【0015】
既知の装置においては、X線画像検出器は、イメージインテンシファイアとCCD又は撮像管により後続されるダイヤフラムとを有する。この装置においては、有効な実施形態は、ダイヤフラムが、二次元画像の低強度レベル及び高強度レベルに対応する設定間で切り替えられることを特徴とする。
【0016】
他の好適な実施形態においては、しかしながら、既知の装置は、X線源が二次元画像の低強度レベル及び高強度レベルに対応する異なる曝射レベルにおいて動作することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の特徴においては、装置は、二次元画像の第1集合及び二次元画像の第2集合が互いに排除し合う時間フレームで収集される。このことは、第1集合及び第2集合の個々の画像が同じ幾何学的パラメータを共有するような画像の選択を可能にする。
【0018】
本発明の他の特徴においては、装置は、二次元画像の第1集合及び二次元画像の第2集合からの後続の画像は交互に収集されることを特徴とする。これは、後続画像の幾何学的パラメータの僅かなシフトをもたらす、二次元画像の第1集合及び二次元画像の第2集合の、所謂、インターリーブ集合を可能にする。それらの画像を組み合わせるとき、画像の補間が、幾何学的パラメータにおける差を改善するために必要である。しかしながら、画像の第1集合及び二次元画像の第2集合の画像の収集が単一の実行において実行されることができる。また、データ収集中に患者の動きに関連する問題はあまり重要でない。
【0019】
特に、前記実施形態においては、X線画像検出器は平面検出器撮像装置であることが有利である。そのような平面検出器撮像装置は、高レベル強度データ収集と低レベル強度データ収集との間の迅速な切り替えを可能にする。そのような平面検出器撮像装置については、例えば、文献“Innovation in flat−detector cardiac angiography”,byJ.Fajadet et al.,MedicaMundi,47/2,August 2003,pages56−60に記載されている。
【0020】
本発明はまた、目的の二次元X線画像の少なくとも1つの集合を収集することにより目的の三次元画像を取得するための方法で実施され、それらの画像は異なる角度で撮像され、二次元画像は三次元画像に処理される。
【0021】
本発明にしたがった方法は、逃げ時が画像の第1集合が低強度レベルで取得され、二次元画像の第2集合は高強度レベルで取得され、その低強度レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するようにあるポイントで予め決定され、二次元画像の第1集合からの画像は、三次元画像への同じ処理に先行する二次元画像の第2集合からの対応する画像と組み合わされる。
【0022】
好適には、この方法においては、三次元画像に二次元画像を処理する前に、予め決定された閾値以上の画像の第2集合の画像の画素は、画像の第1集合の画像の対応する画素により置き換えられる。
【0023】
更に、本発明の方法においては、二次元画像の第2集合の閾値は、二次元画像の隣接画素について僅かに異なる予め決定されたレベルで実行されることが好ましい。
【0024】
本発明は、更に、上記のような装置の処理器についてのコンピュータプログラムにおいて実施され、そのコンピュータプログラムは上記方法を実施するように構成されている。
【0025】
また、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを備えるデータ担体において実施される。
【0026】
本発明については、以下、本発明の非制限的な例示としての実施形態にしたがった装置を1つの図に示して、参照して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1においては、参照番号1は本発明にしたがった装置であって、スタンド11に取り付けられ、矢印20で示された中心の周りの約210°に亘って回転されることが可能であるC字型フレーム10を用いる、装置が示されている。C字型アーム10は、X線源12及びX線画像検出器13を備え、検査下にある患者3から画像粗取得するように意図されていて、静止位置ではテーブル4上に置かれている。
【0028】
装置1の種々の構成要素は制御ユニット17により制御され、C字型アーム10が移動している間に、X線画像検出器13からの情報をデジタル化する装置14によりデータ収集が行われる。X線検出器13は、当該技術分野で知られているようなイメージインテンシファイアであることが可能である。しかしながら、X線検出器13及びデジタイザ14は、デジタル化された画像を直接与える、所謂、平面検出器に一体化されることが可能である。そのような平面検出器については、上記文献MedicaMundi,47/2,August 2003,pages56−60に記載されている。
【0029】
デジタイザ14により与えられるデータが記憶されるメモリ15は、収集された二次元画像から三次元画像を導き出すために用いられる処理器16に接続されている。
【0030】
柔らかい組織及び硬い骨のコントラストの詳細を示すことができる十分なコントラスト分解能を有する三次元画像を取得する目的で、本発明の装置は、二次元画像Ai−1乃至Ai+2の第1集合を得るために異なる強度レベルを用い、第2強度レベルで二次元画像Bi−1乃至Bi+2の第2集合を用いる。通常、両者の集合は、それらの収集後、メモリ15に記憶される。
【0031】
集合Ai−1乃至Ai+2の第1強度レベルは集合Bi−1乃至Bi+2の第2強度レベルより小さい。
【0032】
二次元画像Ai−1乃至Ai+2の第1集合が収集されるレベルは、X線画像検出器13の飽和を実質的に回避するためのポイントで予め決定されている。
【0033】
通常、映像表示ユニット18が接続されている処理器16は、映像表示ユニット18に表示されるように意図されている三次元画像を計算することに先行する二次元画像の第2集合Bi−1乃至Bi+2からの対応する画像に二次元画像の第1集合Ai−1乃至Ai+2からの画像を組み合わせるように備えられている。
【0034】
二次元画像の第2集合Bi−1乃至Bi+2からの対応する画像と二次元画像の第1集合Ai−1乃至Ai+2からの画像との組み合わせは、好適には、二次元画像の第1集合Ai−1乃至Ai+2からの画像の対応する画素により所定の閾値以上の二次元画像の第2集合Bi−1乃至Bi+2の画像の画素を置き換えることにより実行される。そのように組み合わされた二次元画像は、次いで、三次元画像を計算するために効果的に用いられることが可能である。
【0035】
この装置においては、二次元画像の第2集合Bi−1乃至Bi+2の閾値は、二次元画像の隣接画素について僅かに異なる所定レベルで実行されることは好ましい。
【0036】
通常、X線画像検出器13は、デジタル画像を取得するようにダイヤフラム及びCCD又は撮像管により後続されるイメージインテンシファイアとして用いられることが可能である。異なる強度レベルで装置1を動作させるように、ダイヤフラムは、それ故、第1強度レベルに対応する設定と取得された二次元画像の第2強度レベルに対応する設定との間で切り替えられることが可能である。
【0037】
しかしながら、有利であることに、X線源12は、検査中に患者3の放射線曝射を制限するように、二次元画像の前記第1強度レベル及び前記第2強度レベルに対応することなる曝射レベルで動作する。
【0038】
二次元画像の第1集合Ai−1乃至Ai+2及び二次元画像の第2集合Bi−1乃至Bi+2は、互いに除外する時間フレームにおいて、即ち、互いにすぐに後続して、収集されることが可能である。それら2つの集合は、それ故、画像が収集された同じ幾何学的位置を共有する画像を有する。両方の集合の組み合わせは、それ故、容易に実施することができる。
【0039】
他の実施形態においては、二次元画像の第1集合Ai−1乃至Ai+2からの後続の画像は二次元画像の第2集合Bi−1乃至Bi+2と交互に収集されることが好ましい。両者の集合の後続の画像は、それ故、検査中に患者3による動きに対して殆ど敏感ではない。それ故、しかしながら、それぞれの画像の集合が収集される異なる幾何学的位置について補正することが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】参照番号1は本発明にしたがった装置であって、スタンド11に取り付けられ、矢印20で示された中心の周りの約210°に亘って回転されることが可能であるC字型フレーム10を用いる、装置を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの三次元X線撮像のための装置であって:
前記オブジェクトの二次元画像の少なくとも1つの集合を使用中に得るように、前記オブジェクトに関して両者が適合するX線源及びX線画像検出器を有するシステム;並びに
前記の二次元画像の集合から導き出される前記オブジェクトの三次元画像を演算するために前記X線画像検出器に接続された処理器;
を有する装置であり、
前記システムは、低強度レベルにおける二元画像の第1集合及び高強度レベルにおける二元画像の第1集合を少なくとも得るように異なる強度レベルで動作し、前記低強度レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するようにあるポイントで予め決定され、そして前記処理器は、前記三次元画像の演算に先立って前記の二次元画像の第2集合からの対応する画像と前記の二次元画像の第1集合からの画像とを組み合わせるように備えられている;
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、所定の閾値以上の前記の二次元画像の第2集合の前記画像の画素は前記の二次元画像の第1集合からの画像の対応する画素により置き換えられ、そのように組み合わされる二次元画像は前記三次元画像を演算するように実質的に用いられる、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記の二次元画像の第2集合の閾値化は前記二次元画像の隣接画素について僅かに異なる予め決定されたレベルで行われる、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れ一項に記載の装置であって、X線画像検出器はイメージインテンシファイアとCCD又は撮像管とにより後続されるダイヤフラムとを有し、前記ダイヤフラムは前記低強度レベルに対応する設定と前記二次元画像の高強度レベルに対応する設定との間で切り替えられる、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れ一項に記載の装置であって、前記X線源は、前記二次元画像の前記低強度レベル及び前記高強度レベルに対応する異なる曝射レベルで動作する、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れ一項に記載の装置であって、前記の二次元画像の第1集合及び前記の二次元画像の第2集合は互いに排除する時間フレームで収集される、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れ一項に記載の装置であって、前記の二次元画像の第1集合及び前記の二次元画像の第2集合から続く画像は交互に収集される、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れ一項に記載の装置であって、前記X線画像検出器は平面検出器撮像装置である、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
オブジェクトの二次元X線画像の少なくとも1つの集合により前記オブジェクトの三次元画像を取得するための方法であって、前記画像は異なる角度から撮像され、前記二次元画像は前記三次元画像に処理される、方法であり、二次元画像の第1集合は低強度レベルで取得され、二次元画像の第2集合は高強度レベルで取得され、前記低レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するようにあるポイントで予め決定され、前記の二次元画像の第1集合からの前記画像は前記三次元画像への同じ処理に先立って前記の二次元画像の第2集合からの対応する画像と組み合わされる、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記三次元画像への前記二次元画像の処理に先立って、予め決定された閾値以上の前記の画像の第2集合の前記画像の画素は前記の画像の第1集合の前記画像の対応する画素により置き換えられる、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法であって、前記の二次元画像の第2集合の前記閾値は前記二次元画像の隣接画素について僅かに異なる予め決定されたレベルで実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
オブジェクトの二次元X線画像の少なくとも1つの集合により前記オブジェクトの三次元画像を取得するための命令を有するコンピュータプログラムであって、前記画像は異なる角度から撮像され、前記二次元画像は前記三次元画像に処理される、コンピュータプログラムであり、二次元画像の第1集合は低強度レベルで取得され、二次元画像の第2集合は高強度レベルで取得され、前記低レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するようにあるポイントで予め決定され、前記の二次元画像の第1集合からの前記画像は前記三次元画像への同じ処理に先立って前記の二次元画像の第2集合からの対応する画像と組み合わされる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
オブジェクトの二次元X線画像の少なくとも1つの集合により前記オブジェクトの三次元画像を取得するための命令を有するコンピュータプログラムを備えたデータ担体であって、前記画像は異なる角度から撮像され、前記二次元画像は前記三次元画像に処理される、データ担体であり、二次元画像の第1集合は低強度レベルで取得され、二次元画像の第2集合は高強度レベルで取得され、前記低レベルはX線画像検出器の飽和を実質的に回避するようにあるポイントで予め決定され、前記の二次元画像の第1集合からの前記画像は前記三次元画像への同じ処理に先立って前記の二次元画像の第2集合からの対応する画像と組み合わされる、ことを特徴とするデータ担体。

【図1】
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【公表番号】特表2007−530203(P2007−530203A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505682(P2007−505682)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050943
【国際公開番号】WO2005/093663
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】