説明

上包み包装機の折込み装置

【課題】ダブルポイントエンドフォールドの形態で製品側面を閉じる上包み包装機において、前記製品側面の縦横比が小さくでも、ダブルポイントエンドフォールドでの折込みを綺麗且つ確実に行うことができる折込み装置を提供する。
【解決手段】上包み包装機の折込み装置は、製品Aの側面から突出した半包装品Bの角筒部、つまり、その後側及び前側縦耳dr,dfの折込みをなし、先ず後側縦耳drを折り込む可動折込みタッカ46と、前側縦耳dfを折り込む固定折込みタッカ54と、固定折込みタッカ54による折込みに先立ち、且つ、後側縦耳drがまだ可動折込みタッカ46により折り込まれているとき、可動折込みタッカ46とのオーバラップが許容された状態で前側縦耳dfを部分的に折り込む受け渡しタッカ48とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム等の柔軟な包材で製品を上包みする上包み包装機に係わり、特に、所謂ダブルポイントエンドフォールドの形態にして閉じられる側面の縦横比が小さい製品に好適した上包み包装機の折込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したダブルポイントエンドフォールドは、製品側面上に折り込まれた左右の縦耳と、縦耳上に順次折り込まれた台形状の一対のサイドフラップとを有する。これらサイドフラップは縦耳の折込みに伴って形成され、その先端同士が接着された状態で互いに重ね合われている。
上述した縦横比が小さい製品にあっては、製品側面の横辺に沿う方向での縦耳の長さが横辺の半長以上に長くなるので、左右の縦耳が折り込まれる際、これら縦耳の先端同士もまたサイドフラップと同様に互いに重ね合わされなければない。それ故、このような左右の縦耳の折込みには可動及び固定横折りガイドが使用され、これら横折りガイドはサイドフラップを台形形状に成形する幅、具体的には固定横折りガイドは可動横折りガイドよりも僅かに狭い幅を有し、これにより、左右の縦耳が干渉することなく、これら縦耳を安定して重ね合わすことができる(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005-075365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の上包み包装機は、その包材に比較的硬い紙製のシートを使用することから、上述した可動及び固定横折りガイドは有効に機能するものの、フィルム等の柔軟な包材にあっては包材の腰が弱いので、左右の縦耳の先端同士が互いに干渉したり、また、縦耳に皺が生じたりした状態で、縦耳の折込みがなされてしまい、綺麗なダブルポイントエンドフォールドの折込み形態が得られない。
【0004】
本発明は、上述の事情に基づいてされたもので、その目的とするところは、縦横比が小さい製品にあっても綺麗なダブルポイントエンドフォールドの形態の折込みを確実に行うことができる上包み包装機の折込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の上包み包装機の折込み装置は、半包装品を移送案内する移送経路であって、半包装品が直方体形状の製品の回りに包材を胴巻きして得られ、この胴巻きに伴い包材の一部が製品の側面から突出した角筒部として形成され、この角筒部が移送経路と垂直で且つ移送方向に離間した上流の後側縦耳及び下流の前側縦耳を有する、移送経路と、この移送経路に沿って半包装品を移送させる移送手段と、移送経路に沿って往復動し、製品の側面に後側縦耳を折込むための可動折込みタッカであって、移送経路に対して垂直方向に離間した一対のタッカ半体及びこれらタッカ半体との間に確保された間隙を有する、可動折込みタッカと、移送方向でみて可動折込みタッカにおける往復動範囲の下流域とオーバラップした状態で移送経路に沿って延び、半包装品が移送されてきたときに製品の側面に向けて角筒部の前側縦耳を部分的に押し込み、且つ、可動折込みタッカの前記間隙内への相対的な進入が許容された受け渡しタッカと、移送方向でみて受け渡しタッカの下流に配置され、半包装品が更に移送されてきたときに製品の側面に対する前側縦耳の折り込みを完了させる固定折込みタッカとを備える(請求項1)。
【0006】
請求項1の折込み装置によれば、可動折込みタッカは製品に向けて往動し、製品の側面に対し、一対のタッカ半体により半包装品における角筒部の後側縦耳を先ず折込む。この後、半包装品の移送とともに可動折込みタッカが往復動範囲の下流域に至ると、受け渡しタッカは角筒部の前側縦耳の中央を製品の側面に向けてV字状に押し込み、そして、可動折込みタッカの間隙内に相対的に進入する。それ故、受け渡しタッカは可動折込みタッカとオーバラップする。
【0007】
この際、前側及び後側縦耳が互い重なり合う長さを有する場合、可動折込みタッカにより折込み状態に保持されている後側縦耳に対して前側縦耳が重ね合わされる。
この後、半包装品が可動折込みタッカの往復動範囲から抜け出し、下流側に更に移送され、そして、固定折込みタッカに到達すると、固定折込みタッカは製品の側面への前側縦耳の折込みを完了させる。
【0008】
好ましくは、受け渡しタッカは、半包装品側の内面に形成され、前側縦耳を吸着可能な吸着域を有する(請求項2)。このような吸着域が受け渡しタッカに備えられていれば、受け渡しタッカが前側縦耳をV字状に押し込む際、前側縦耳は吸着域に吸着されることで緊張状態となり、その押し込みは安定して行われる。
一方、折込み装置は、可動折込みタッカ側及び受け渡しタッカ側の少なくとも一方の側に設けられ、対応する側の縦耳の前記折込みに先立ち、製品の側面から離れた縦耳の部位を製品の側面に向けて予備的に押し込む予備折込みタッカを更に備えることができる(請求項3)。
【0009】
請求項3の折込み装置によれば、予備折込みタッカが先ず縦耳の前記部位を製品の側面に向けて押し込み、この後、対応する折込みタッカがその縦耳を折り込むことになる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の上包み包装機の折込み装置は、半包装品における角筒部の前後の縦耳に関し、可動折込みタッカが後側縦耳を折り込んだままに保持している状態で、受け渡しタッカが前側縦耳の中央を押し込んで後側縦耳に重ね合わせるので、たとえ前後の縦耳が互いに重なり合うような長さを有していても、後側縦耳との干渉を避けて前側縦耳の折込みが可能となる。
【0011】
請求項2の折込み装置は、前側縦耳の中央が押し込まれる際、受け渡しタッカの吸着域に前側縦耳を吸着させるので、この際、前側縦耳は緊張状態になり、この後の固定折込みタッカにより前側縦耳が折り込まれるとき、前側縦耳の角部に弛みを生じることなく、前側縦耳を綺麗に折り込むことができる。
請求項3の折込み装置は、対応する縦耳の折込みに先立ち、予備折込みガイドがその縦耳を押し込むので、縦耳に皺の発生要因となる中折れが防止され、この結果、折込みタッカにより、縦耳を綺麗に折り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、上包み包装機の全体を概略的に示す。
上包み包装機は直方体形状の製品Aの供給経路2を備え、この供給経路2は水平に延び、製品Aを矢印で示す一方向に間欠的に移送する。供給経路2の終端にはその上方にフィルム等の柔軟な包材Fが供給され、この包材FはウエブロールRから繰り出される包材ウエブWを所定の長さ毎に切断して得られる。
【0013】
より詳しくは、ウエブロールRから供給経路2の終端上方に向けて包材ウエブWの繰り出し経路4が延び、この繰り出し経路4の途中には予備繰り出しローラ6及び複数のピンチローラ8が配置されている。これらローラ6,8は互いに協働してウエブロールRから包材ウエブWを繰り出す。
また、繰り出し経路4の近傍にはテープロールRが配置されており、このテープロールRからテープウエブTが繰り出される。繰り出されたテープウエブTは包材ウエブWの裏面に連続的に貼付けられる。
【0014】
更に、繰り出し経路4の終端部には、主繰り出しローラ10及び複数のピンチローラ12が配置され、これらローラ10,12は互いに協働し、包材ウエブWを製品Aの供給経路2に向けて繰り出す。なお、予備繰り出しローラ6による繰り出し量と、主繰り出しローラ10による繰り出し量との差は、予備繰り出しローラ6の直下流に配置したダンサローラ14の昇降により吸収される。
【0015】
主繰り出しローラ10の直下流にはカッタユニット16が配置され、このカッタユニット16から供給経路2の終端上方までバキュームベルトコンベア(図示しない)が延びている。主繰り出しローラ10から包材ウエブWが所定の長さだけ繰り出されると、カッタユニット16は包材ウエブWを切断し、この時点で、ティアテープTt付きの包材Fが形成される。
【0016】
この後、包材Fはバキュームベルトコンベアに吸着され、バキュームベルトコンベアにより供給経路2の終端上方まで供給される。
一方、供給経路2の終端にはエレベータが配置されており、このエレベータは供給経路2の終端に到達した製品Aを受け取る。この後、エレベータ上の製品Aはエレベータとともに上方の移送経路18まで上昇し、そして、移送経路18上の位置P1に供給される。製品Aが上昇する際、製品Aはバキュームベルトコンベアから包材Fを上方に突き上げ、これにより、包材Fが製品Aの回りに包材Fが先ず胴折りされる。
【0017】
移送経路18はバキュームベルトコンベア及び繰り出し経路4の上方を位置P1から水平に延び、供給された製品Aを移送経路18に沿い矢印で示す方向に移送案内する。移送経路18上での製品Aの移送過程にて、前述した胴折り後の包材Fの折込みが実施され、これにより、移送経路18に沿う製品Aの両側面はダブルポイントエンドフォールドの形態で包材Fによりそれぞれ閉じられる。
【0018】
ダブルポイントエンドフォールドの折込み形態については公知であるので、ここではその折込みについて簡単に説明する。
先ず、製品Aが移送経路18上の位置P1に供給されたとき、製品Aの回りに既に胴折りされている包材Fは製品Aの下面から垂下された一対の胴フラップを有しており、これら胴フラップは、製品Aが位置P1から次の位置P2に移送されるまでの間にて製品Aの下面に順次折り込まれ、そして、互いに重ね合わされる。この時点で、製品Aに対する包材Fの胴巻きが完了し、半包装品Bが得られる。
【0019】
包材Fの胴巻きは、前述した包材Fの一部に移送経路18に沿う製品Aの両側面からそれぞれ突出した角筒部を形成する。このような角筒部は移送経路18に沿う上下の横耳cと、移送経路18と垂直な上流側及び下流側の縦耳dr,dfとを有し、これら縦耳dr,dfは移送経路18に沿い互いに離間している。
一方、半包装品B(製品A)が位置P1からP2に移送される過程にて、各角筒部に対して、上流側つまり後側縦耳drが対応する側の製品Aの側面に先ず折り込まれ、この後、下流側つまり前側縦耳dfもまた製品Aの側面に折り込まれる。このような後側及び前側の縦耳dr,dfの折込みにより、角筒部の残部、つまり、上下の横耳cはいわゆるサイドフラップsfとしてそれぞれ形成される。
【0020】
この後、半包装品Bが移送経路18に沿い位置P2から次の位置P3,P4を経て移送されるとき、下側のサイドフラップsfが製品Aの側面に対して先ず折り込まれ、縦耳dr,dfに重ね合わされる(位置P3)。この後、上側のサイドフラップsfが製品Aの側面に対して同様にして折り込まれることで、既に折込み状態にある下側のサイドフラップsfに重ね合わされる。そして、これらサイドフラップsfはヒートシールにより互いに接着されて、ダブルポイントエンドフォールドでの折込みが完了し、この時点で、包装品Hが得られる。
【0021】
図1に示されるように、前述した移送経路18の下流部分はチェーンコンベア20により形成されており、半包装品Bはチェーンコンベア20上に乗り移った後、チェーンコンベア20のプッシャ22により位置P3,P4を経て移送される。
図2及び図3は移送経路18をより具体的に示す。
移送経路18には、胴折り後の包材Fに対して前述した折込みを行うための折込み装置が配置されている。この折込み装置について以下に説明する。
【0022】
移送経路18上には、位置P1の上流及び下流にリアプッシャ24及びフロントプッシャ26をそれぞれ有し、これらプッシャ24,26は連結梁28により相互に連結されている。連結梁28は位置P1に供給された製品Aの上方に位置付けられ、その直下にストッパプレート30を備えている。このストッパプレート30は、複数ずつの支持ロッド32及び圧縮コイルばね34を介して連結梁28に吊持されている。
【0023】
ストッパプレート30は、前述したように製品Aがエレベータにより位置P1まで上昇されたとき、製品Aの上面に包材Fを介して当接し、エレベータからの製品Aの飛び上がりを防止し、また、製品Aが移送経路18上を位置P1から移送される際のアッパーガイドとなる。
なお、図2中には、位置P1に供給された製品Aのためのラッチユニット36もまた示されており、このラッチユニット36は、位置P1にて製品Aを一時的に保持するが、移送経路18上での製品Aの移送を拘束するものでない。これにより、エレベータは製品Aを位置P1に供給した後、製品Aの供給経路2に向けて下降し、次の製品Aを移送経路18に供給することができる。
【0024】
リアプッシャ24は移送経路18に沿って往復動するキャリッジ38に連結ブラケット40を介して連結されている。従って、リアプッシャ24及びフロントプッシャ26は、キャリッジ38とともに同一の往復ストロークSにて往復することができる。図2に示す状態からリアプッシャ24及びフロントプッシャ26が移送経路18に沿って往動したとき、位置P1にある製品Aはリアプッシャ24により押し出され、移送経路18上を移送される。
【0025】
フロントプッシャ26の上端は連結梁28の先端に回動可能、つまり、図2中矢印Eで示すよう跳ね上げ可能に連結されている。それ故、リア及びフロントプッシャ24,26の復動時、フロントプッシャ26はリアプッシャ24により押し出されている製品Aに当接しても跳ね上がり、この製品Aと干渉することなく戻ることができ、この後の往動時にその製品Aを移送経路18に沿って押し出す。即ち、リア及びフロントプッシャ24,26は往復動を繰り返すことにより、位置P1の製品Aを順次押し出し、前述したチェーンベルトコンベア20の始端部まで移送することができる。
【0026】
更に、図2に示されているように、移送経路18の直下には位置P1の上流に胴フラップ折りタッカ42が配置され、この胴フラップ折りタッカ42は前述したキャリッジ38、つまり、リアプッシャ26とは独立し、移送経路18に沿って往復動することかできる。胴フラップ折りタッカ42はリアプッシャ26の往動に先だって往動し、前述した包材Fの一対の胴フラップのうち上流側の胴フラップを製品Aの下面に折り込む。
【0027】
一方、下流側の胴フラップは、前述したように製品Aが位置P1から移送経路18に沿って移送されるとき、移送経路18の上面により折り込まれ、既に折込み状態にある上流側の胴フラップに下方から重ね合わされ、これにより、前述した半包装品Bが得られる。即ち、半包装品Bは、位置P1にある製品Aが位置P1から押し出されると同時に形成されることなる。
【0028】
更にまた、製品A、即ち、半包装品Bがリアプッシャ24により押し出される位置には、移送経路18の直下に胴シーラ(図示しない)が配置されており、この胴シーラは半包装品Bが到達したとき、互い重ね合わされている胴フラップをヒートシールし、これら胴フラップを互いに接着する。
前述した連結ブラケット40には一対の予備折込みタッカ44が取り付けられており、これら予備折込みタッカ44は、図3から明らかなようにリアプッシャ24の両側を移送経路18に沿って延び、その先端はリアプッシャ24よりも移送経路18の下流側に突出している。予備折込みタッカ44間の間隔は図3でみて移送経路18の幅方向に沿う製品Aの幅、つまり、その両側面間の幅により広いが、包材Fの対応する幅よりも狭い。
【0029】
一方、リアプッシャ24には一対の可動折込みタッカ46が取り付けられている。これら可動折込みタッカ46は移送経路18の下流側に向かう先細状をなし、その先端部はリアプッシャ24よりも移送経路18の下流側に突出しているが、その突出長さは予備折込みタッカ44の突出長さに比べて短い。更に、可動折込みタッカ46間の間隔は製品Aの幅よりも僅かに広い。
【0030】
更に詳しくは、図2から明らかなように各可動折込みタッカ46は、移送経路18の垂直方向に離間した一対のタッカ半体46hからなり、これらタッカ半体46h間に確保された所定の間隙Gを有する。この間隙Gは、移送経路18の上面と前述したストッパプレート30との間の中間、即ち、移送経路18の上面から製品Aの高さの1/2に相当する位置に位置付けられている。
【0031】
一方、移送経路18は可動折込みタッカ46の下流側に一対の受け渡しタッカ48を備え、これら受け渡しタッカ48は移送経路18の両側、即ち、対応する側の可動折込みタッカ46の間隙Gと同一の直前上に位置付けられるべく配置されている。それ故、受け渡しタッカ48は移送経路18の上面から可動折込みタッカ46の間隙Gと対応した高さレベルに位置付けられ、移送経路18に沿って延びている。
【0032】
また、上下方向でみて受け渡しタッカ48の幅は間隙Gよりも狭く、受け渡しタッカ48の上流側の端部は前述したリアプッシャ24の往復動範囲の下流域とオーバラップした状態で位置付けられている。
更に、各受け渡しタッカ48の内面は吸着域、つまり、吸着面50として形成されている。具体的には、各受け渡しタッカ48の外面にはホルダプレート52が取り付けられており、ホルダプレート52と受け渡しタッカ48との間にサクション室が確保されているともに、このサクション室に連通する複数の吸着孔が受け渡しタッカ48に形成されている。なお、サクション室は外部のサクション源に接続され、所定のサクション圧の供給を受けることができる。詳しくは、ホルダプレート52に関し、移送経路18の移送方向でみて、ホルダプレート52の上流側の端部は上流に向けて先細形状をなすが、その下流側の端部の上下方向の幅は、移送経路18上での製品Aの高さ寸法よりも狭く、そして、図3から明らかなように予備折込みタッカ44よりも内側に配置されている。
【0033】
更にまた、各受け渡しタッカ48の下流端には固定折込みタッカ54がそれぞれ連なっており、これら固定折込みタッカ54は対応するホルダプレート52よりも内側に位置付けられている。各固定折込みタッカ54は、前述のホルダプレート52と同様、に移送経路18の上流側に向けて先細状をなし、そして、その下流側の端部における上下方向の幅は製品Aの高さ寸法よりも狭い。
【0034】
なお、本実施例の場合、各固定折込みタッカ54は移送経路18に沿って更に下流側に延び、図2に示される折込みプレート56,58と協働して、前述した下側及び上側のサイドフラップsfの折込みをなす折込みガイド溝60,62を形成する。なお、サイドフラップsfのヒートシールは、折込みプレート58の下流にて行われる。
次に、図4及び図5を追加し、上述した折込み装置の作動を説明する。
【0035】
ここで、半包装品Bの両側の角筒部は折込み装置により同様にして折り込まれるので、以下には一方の角筒部に着目し、その折込みを説明する。
先ず、移送経路18上の位置P1にて、胴折り後の製品Aに対して、前述したように上流側の胴フラップの折込みが行われた後、リア及びフロントプッシャ24,26は製品Aに向けて往動する。この際、予備及び可動折込みタッカ44,46は何れもリアプッシャ24によりも下流側に突出され、しかも、予備折込みタッカ44の方が可動折込みタッカ46よりも大きく突出されているので、図4中の(a)に示されるように予備折込みタッカ44が角筒部の後側縦耳drに先ず当接し、後側縦耳drを製品Aの側面に向けて押し込む。
【0036】
ここで、予備折込みタッカ44は可動折込みタッカ46よりも外側にあるので、予備折込みタッカ44は図5中の(a)にて、参照符号Xで示す部位、つまり、製品Aの側面から離れた部位を押し込み、それ故、柔軟なフィルム等の包材Fであっても、後側縦耳drに中折れを生じさせることはない。
この後、図4中の(b)に示されるように可動折込みタッカ46が製品Aの側面に摺接するように移動し、これにより、後側縦耳drが製品Aの側面に折り込まれる。ここでの折込み時、後側縦耳drは予備折込みタッカ44により既に押し込まれた状態にあるので、可動折込みタッカ46は、図5中の(b)に示されるように後側縦耳drをその上下の角から綺麗に折り込むことができる。
【0037】
そして、図4中の(b)での位置P1a にて、後側縦耳drの折込みが完了し、これと同時にリアプッシャ24が製品Aに包材Fを介して当接し、製品Aを下流側に押し出し始める。なお、ここでの押し出しにて、前述したように角筒部が完全に形成される。
製品A、即ち、半包装品Bの押し出しがリアプッシャ24により更に進められると、受け渡しタッカ48は半包装品Bの下流側から製品Aの側面に摺接するようにして相対的に移動し、図4中の(c)に示すように前側縦耳dfの中央を製品Aの側面に向けてV字状に押し込む。そして、リアプッシャ24が往復動範囲の下流域に到達すると、受け渡しタッカ48の上流側の部位は可動折込みタッカ46の前述した間隙G内に上下のタッカ半体46hと干渉することなく進入する。
【0038】
ここで、後側縦耳dr及び前側縦耳dfが前述したように互いに重なり合うような突出長さを有している場合、前側縦耳dfの中央は後側縦耳drに重ね合われるが、この際、リアプッシャ24の往動の終端を示す位置P1bにあっても、後側縦耳drは可動折込みタッカ46より折込み状態に保持されており、それ故、前側縦耳dfの中央は後側縦耳drと干渉することなく、後側縦耳drに確実に重ね合わされる。
【0039】
しかも、受け渡しタッカ48はその内面が吸着面50(図3参照)として形成されているで、前側縦耳dfの中央が押し込まれるとき、前側縦耳dfは受け渡しタッカ48に吸着される。このような受け渡しタッカ48への吸着は前側縦耳dfを緊張状態にし、これにより、前側縦耳dfはその上下の角から綺麗に押し込まれることになる。
更にまた、この際、前述したホルダプレート52は図5中の(c)から明らかなように前側縦dfを予備的に折り込むことになる。
【0040】
この後、半包装品Bはリアプッシャ24ではなくフロントプッシャ26により下流に向けて更に押し出され、この際、受け渡しタッカ48を抜け出し、そして、固定折込みタッカ54に至る。この固定折込みタッカ54もまた製品Aの側面に摺接するように相対的に進入し、図4中の(d)に示されるように前側縦耳dfの折込みを完了させる。
ここで、受け渡しタッカ48は、半包装品Bが固定折込みタッカ54に移動する直前まで前側縦耳dfの緊張状態や、後側及び前側縦耳dr,dfの重ね合わせを維持することから、図5中の(d)に示されるように、前側縦耳dfはその上下の角から綺麗に折り込まれることになる。
【0041】
この後、半包装品Bの押し出し、つまり、その移送はチェーンベルトコンベア20に引き継がれ、図4中の(e),(f)に示され如く、前述したようにサイドフラップsfの折込みが順次実施される。
本発明は、上述した一実施例に節約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、可動折込みタッカ46側に設けた予備折込みタッカ44と同様な機能を発揮する予備折込みタッカを固定折込みタッカ54側で且つ予備折込みタッカ44よりも外側に設けることも可能である。
【0042】
また、一実施例では、移送経路18上にて製品Aを移送させるためにリア及びフロントプッシャ24,26からなる2段プッシャを使用したが、これに限られるものではない。
更に、本発明の折込み装置が折り込む包材はフィルム等の柔軟な包材に限られるものではないし、また、本発明は、その側面の縦横比が大きな製品Aに対しても適用可能であり、更には、製品Aが移送経路18に沿う水平方向に移送経路18内に押し込まれたとき、包材Fの胴折りがなされるタイプの上包み包装機にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】上包み包装機の全体を概略的に示す斜視図である。
【図2】一実施例の折込み装置を備えた図1の移送経路を一部破断して示す側面図である。
【図3】図1の移送経路の平面図である。
【図4】半包装品の移送過程とともに、図2の折込み装置による折込み動作を(a)〜(f)の順に示す図である。
【図5】半包装品における角筒部の折込み手順を(a)〜(d)の順に示す図である。
【符号の説明】
【0044】
18 移送経路
24 リアプッシャ(移送手段)
26 フロントプッシャ(移送手段)
44 予備折込みタッカ
46 可動折込みタッカ
46h タッカ半体
48 受け渡しタッカ
50 吸着面(吸着域)
54 固定折込みタッカ
A 製品
B 半包装品
F 包材
G 間隙
dr 後側縦耳
df 前側縦耳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半包装品を移送案内する移送経路であって、前記半包装品が直方体形状の製品の回りに包材を胴巻きして得られ、この胴巻きにより前記包材の一部が前記製品の側面から突出した角筒部として形成され、前記角筒部が前記移送経路に垂直で且つ移送方向に離間した上流の後側縦耳及び下流の前側縦耳を有する、移送経路と、
前記移送経路に沿って前記半包装品を移送させる移送手段と、
前記移送経路に沿って往復動し、前記製品の前記側面に前記後側縦耳を折込むための可動折込みタッカであって、前記移送経路に対する垂直方向に離間した一対のタッカ半体及びこれらタッカ半体との間に確保された間隙を有する、可動折込みタッカと、
前記移送方向でみて前記可動折込みタッカにおける往復動範囲の下流域とオーバラップした状態で前記移送経路に沿って延び、前記半包装品が移送されてきたときに前記製品の側面に向けて前記角筒部の前側縦耳を部分的に押し込み、且つ、前記可動折込みタッカの前記間隙内への相対的な進入が許容された受け渡しタッカと、
前記移送方向でみて前記受け渡しタッカの下流に配置され、前記半包装品が更に移送されてきたときに前記製品の側面に対する前記前側縦耳の折り込みを完了させる固定折込みタッカと
を具備したことを特徴とする上包み包装機の折込み装置。
【請求項2】
前記受け渡しタッカは、前記半包装品側の内面に前記前側縦耳を吸着可能な吸着域を有することを特徴とする請求項1に記載の上包み包装機の折込み装置。
【請求項3】
前記可動折込みタッカ側若しくは前記受け渡しタッカ側の少なくとも一方の側に設けられ、対応する側の縦耳の前記折込みに先立ち、前記製品の側面から離れた縦耳の部位を前記側面に向けて予備的に押し込む予備折込みタッカを更に具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載の上包み包装機の折込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−238170(P2007−238170A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67383(P2006−67383)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】