説明

上流に多層ゾーンを含めた排気ガス用触媒

【課題】 自動車排気ガスの処理に有用な触媒作用を示す排気ガス処理用品の提供。
【解決手段】 本発明は上流の触媒ゾーンと少なくとも1つの下流触媒ゾーンを含めた排気ガス処理用触媒品に関する。この上流触媒ゾーンは第一上流層と第二上流層を含み、下流触媒ゾーンは第一下流層と第二下流層を含む。第一上流層は第一上流支持体と少なくとも1種の第一上流パラジウム成分を含み、第二上流層は第二上流支持体と第二上流パラジウム成分を含む。第一下流層に第一下流支持体と第一下流貴金属成分を含める。第二下流層に第二下流支持体と第二下流貴金属成分を含める。ここで第一下流層と第二下流層の一つがパラジウム成分を含み、他の層がロジウム成分を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス(これには自動車エンジンの排気ガスが含まれる)を処理してそこに含まれている汚染物の量を少なくするに有効な触媒装置に関する。より具体的には、本発明は、改良触媒(これには「スリーウエイ(three−way)変換」または「TWC」触媒が含まれる)を用いた上流の触媒ゾーンと下流の触媒ゾーンを含めた触媒装置に関する。TWC触媒は、炭化水素および一酸化炭素の酸化と窒素酸化物の還元を実質的に同時に触媒する能力を有する点で多機能的である。
【背景技術】
【0002】
排気ガス(これには自動車エンジンの排気ガスが含まれる)を処理してそこに含まれている汚染物の量を少なくするに有効な、上流の触媒ゾーンと下流の触媒段階(またゾーンとも呼ぶ)を含む触媒装置は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に例示されているように、本技術分野で開示されている。
【0003】
スリーウエイ変換触媒は、内燃機関、例えば自動車および他のガソリン燃料エンジンなどから出る排気の処理を含む数多くの分野で有用である。いろいろな統治機関が未燃焼炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物汚染物に関して排出基準を設定しており、例えば新しい自動車などはそれに合致する必要がある。上記基準に合致させる目的で、TWC触媒が備わっている触媒変換器を内燃機関の排気ガスライン内に位置させることが行われている。これらの触媒は、その排気ガス中で起こる酸素による未燃焼炭化水素および一酸化炭素の酸化および窒素酸化物から窒素への還元を助長する。
【0004】
良好な活性と長い寿命を有する公知TWC触媒は、高い表面積を有する耐火性酸化物支持体、例えば高い表面積を有するアルミナ被膜などの上に位置している1種以上の白金族金属(例えば白金またはパラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムなど)で出来ている。この支持体は、適切な担体または基質、例えば耐火性セラミックまたは金属製ハニカム構造で出来ているモノリス型(monolithic)担体、または耐火性粒子、例えば適切な耐火性材料で出来ている球または押し出し加工短片などの上に担持されている。
【0005】
特許文献4には、選択的酸化および還元反応を助長する触媒が開示されている。この触媒には白金族金属、希土類金属およびアルミナ成分が含まれており、これらは、比較的不活性な担体、例えばハニカムなどの上に支持されていてもよい。有効な希土類金属にはセリアが含まれると開示されている。
【0006】
「ガンマアルミナ」または「活性化アルミナ」とも呼ばれる、高い表面積を有するアルミナ材料は、典型的に1グラム当たり60平方メートル(「m/g」)を越えるBET表面積を有し、しばしば約200m/g以上に及ぶ。このような活性化アルミナは、通常、ガンマアルミナ相とデルタアルミナ相の混合物であるが、また実質的量でイータ、カッパおよびシータアルミナ相を含んでいる可能性がある。与えられた触媒内の触媒成分を少なくともいくらか支持する支持体として活性化アルミナ以外の耐火性金属酸化物を利用することも知られている。例えば、このような使用ではバルクな(bulk)セリア、ジルコニア、アルファアルミナおよび他の材料が知られている。これらの材料の多くは活性化アルミナよりもかなり低いBET表面積を有すると言った欠点を有しているが、このような欠点は、その結果として得られる触媒が示す耐久性が向上することで相殺される傾向がある。
【0007】
動いている自動車の排気ガス温度は1000℃に到達する可能性があり、温度がこのように高くなると、活性化アルミナまたは他の支持体材料は、特に蒸気の存在下で、体積収縮を伴う相転移が原因で熱劣化を受け、それによって収縮した支持体媒体の中にその触媒金属が吸蔵され、その結果として触媒の露出表面積が失われ、それに相当して触媒活性が低下する。ジルコニア、チタニア、アルカリ土類金属の酸化物、例えばバリア、カルシアまたはストロンチアなど、或は希土類金属の酸化物、例えばセリア、ランタナなど、そして2種以上の希土類金属酸化物の混合物などの如き材料を用いてアルミナ支持体をそのような熱劣化に対して安定にすることは、本分野における公知手段である。例えばC.D.Keith他の特許文献5を参照のこと。
【0008】
バルクな酸化セリウム(セリア)はロジウム以外の白金族金属を支持する優れた耐火性酸化物支持体になることが知られており、これを用いると、白金の小さい結晶子をセリア粒子の上に高度に分散させることができ、そしてアルミニウム化合物の溶液を含浸させた後に焼成を受けさせることでそのバルクなセリアの安定化を行うことができることは公知である。C.Z.Wan他の特許文献6にはアルミニウムによる安定化を受けさせたバルクなセリアが開示されており、それを白金族金属成分を浸み込ませる耐火性酸化物支持体として用いており、それを任意に活性化アルミナと組み合わせて用いることも可能である。ロジウム以外の白金族金属触媒を支持する触媒支持体としてバルクなセリアを用いることはまたC.Z.Wan他の特許文献7およびOhata他の特許文献8の中にも開示されている。
【0009】
特許文献6には、アルミナによる安定化を受けさせたセリア触媒組成物が開示されている。そこには材料の製造方法が開示されており、その方法は、バルクなセリアまたはバルクなセリアの前駆体にアルミニウム化合物を含浸させた後、その含浸させたセリアの焼成を行うことでアルミニウム安定化セリアを生じさせることを含む。その組成物は更に上に分散している1種以上の白金族触媒成分を含む。
【0010】
特許文献9には、排気ガスの浄化を行うための改良された耐久性を示す触媒が開示されており、その触媒は、支持体基質と、この支持体基質の上に形成させた触媒担体層と、その触媒担体層の上に担持されている触媒材料を含む。この触媒担体層はランタンとセリウムの酸化物を含んでおり、全希土類原子に対するランタン原子のモル分率は0.05から0.20であり、そしてアルミニウム原子数に対する全希土類原子数の比率は0.05から0.25である。
【0011】
特許文献10にはスリーウエイ触媒系が開示されており、それは、ハニカム構造形態の下部構造物(これは耐火性材料で出来ている)とその表面上に作られた粉末多孔質層(これは、アルミナ、アルミナ−マグネシアスピネルおよび酸化セリウムから成る群から選択される少なくとも1種の粉末と酸化ジルコニウム粉末の混合粉末および酸化ジルコニウムの粉末から成る群から選択される粉末で出来ている)を有する担体と、その上に支持されている触媒材料(これは、白金、パラジウムおよびそれらの混合物から成る群から選択される金属と酸化セリウムから成っている)を含む。
【0012】
特許文献11には、基質上で用いられるアルミナ触媒が開示されている。この触媒は高温で安定である。安定化用の材料はバリウム、ケイ素、希土類金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素、トリウム、ハフニウムおよびジルコニウムから誘導される化合物を含む数種の化合物の1つであると開示されている。その安定化用材料の中で酸化バリウム、二酸化ケイ素および希土類(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジムなどを包含)の酸化物が好適であることが示されている。それらを焼成アルミナ膜に接触させておくと焼成アルミナ膜が高い表面積をより高い温度に及んで維持し得ると開示されている。
【0013】
特許文献12、特許文献13および特許文献14にはスリーウエイ触媒組成物が開示されており、それはアルミナ、セリア、アルカリ金属酸化物助触媒および貴金属を含む。特許文献4および特許文献15は、多様な金属酸化物、例えば希土類金属の酸化物、例えばセリアなど、および卑金属酸化物、例えば酸化ニッケルなどを組み込むことでPt/Rhを基とするTWC系の触媒効率を改良する試みの一例である。特許文献16には、アルミナ支持体と、その上に位置させたランタナ成分、セリア、アルカリ金属酸化物および白金族金属から本質的に成る構成要素を含む触媒が開示されている。特許文献14にはアルミナに支持させた白金族金属触媒が開示されている。この支持体の改質が逐次的に行われており、この改質には、ランタナまたはランタナが豊富な希土類酸化物を用いた支持体の安定化、セリアとアルカリ金属酸化物の二重助触媒作用(double promotion)および任意に酸化ニッケルを用いることが含まれる。
【0014】
パラジウム含有触媒組成物、例えば特許文献17などの組成物は高温用途で有用であることが確認されている。ランタンとバリウムを組み合わせると触媒成分であるパラジウムを支持するアルミナの優れた熱水安定化が得られることが確認されている。従って、高温暴露による急激な焼結に遭遇することによる相転換が原因で起こるアルミナからのパラジウム金属排除が回避される。粒子状のバルクな金属酸化物を用いると触媒活性が向上する。このバルクな金属酸化物は主にセリア含有および/またはセリア−ジルコニア含有粒子から成る。このような粒子状のバルクな金属酸化物はその安定化を受けたアルミナ粒子とは容易に反応せず、従って触媒助触媒効果を与える。
【0015】
特許文献18には、自動車に取り付けられた触媒変換器のテールパイプから出る排出物中のHC、COおよびNOに加えてHSを制御する能力を有する触媒が開示されている。HSを吸収する化合物としてニッケルおよび/または鉄の酸化物を用いることは公知である。
【0016】
Schlatter他著の非特許文献1の中に、スリーウエイ触媒の作動環境は1Hzの桁の振動で供給流れ組成物の動揺が起こることによって特徴づけられると報告されている。この触媒の中に「酸素貯蔵」成分を組み込むと、化学量論よりも豊富な排気状態と希薄な排気状態の間の急激な変化で起こる影響が和らげられることが示唆されている。その著者は、また、「新鮮な」スリーウエイ触媒内のロジウム含浸球上にセリウムを存在させると、酸化されたロジウム種の量または安定度が高まることで、供給流れの状態が過渡的、即ち動揺している時に触媒が示す性能が向上することも示唆している。同じ雑誌の中で公開された後の論評である非特許文献2の中で、その著者であるKimは、アルミナ上に支持されている典型的なPt−パラジウム−Rh TWC触媒に最良の非貴金属酸化物助触媒はセリアでありそしてその主な理由はこれが水−気体シフト反応(CO+HO=CO+H)を増進させることにありそしてその理由はある程度であるが恐らくはそれがTWCに追加的酸素貯蔵を与えることによるものであろうと報告している。
【0017】
特許文献19には自動車の排気煙を処理する触媒が開示されており、その触媒は鉛に対して改良された耐性を示すと述べられている。最初に、高い表面積を有するアルミナにバリウム部分、例えばバリウム化合物が入っている水溶液などを含浸させた後、焼成を400℃以上で行うことで分解を起こさせて酸化バリウムを生じさせ、そして次に焼成後、例えば金属化合物が入っている水溶液の中に上記アルミナを浸漬することなどによって、白金族金属部分が入っている分散液を含浸させ、そしてそれの焼成を400℃以上で行ってその金属化合物の分解を起こさせることにより、白金族金属を残存させるか或はその触媒を使用している間に白金族金属に変化する化合物を残存させることが行われている。アルミナと合体させたセリアでハニカム支持体を被覆することを通して、その触媒の製造が行われている。次に、その乾燥させて焼成を受けさせたアルミナ被膜を硝酸バリウムの水溶液に浸漬し、乾燥および焼成を行った後、クロロ白金酸の水溶液に浸し、そして乾燥およ
び焼成を行うことが行われている。この焼成段階は550℃で実施されている。
【0018】
特許文献20には白金とロジウムが入っているTWC触媒組成物が開示されており、これは、セリウムとジルコニウムと鉄の塩が入っている水溶液をガンマアルミナ担体材料に含浸させるか或はそれぞれセリウムとジルコニウムと鉄の酸化物と一緒にアルミナを混合し、そして次に、この材料の焼成を500から700℃の空気中で行った後、この材料に、白金の塩とロジウムの塩が入っている水溶液を含浸させ、乾燥させた後、250−650℃の温度の水素含有ガス中で処理を行うことによって得られている。そのアルミナにカルシウム、ストロンチウム、マグネシウムまたはバリウム化合物による熱安定化を受けさせることも可能である。そのセリア−ジルコニア−酸化鉄処理を行った後、その処理した担体材料に白金とロジウムの塩が入っている水溶液を含浸させ、そして次に、この含浸させた材料の焼成を行うことが行われている。
【0019】
特許文献21には、セリアおよびアルミナと一緒にバリウム化合物およびジルコニウム化合物を組み込むことによって貴金属含有TWC触媒の熱安定性を改良する方法が開示されている。それにはアルミナのウオッシュコート(washcoat)が高温暴露時に示す安定性を高める触媒部分が生成すると述べられている。
【0020】
特許文献22および特許文献23には、パラジウム、ロジウム、活性アルミナ、セリウム化合物、ストロンチウム化合物およびジルコニウム化合物を含む触媒組成物が開示されている。上記特許には、セリア、ジルコニアと組み合わせてアルカリ土類金属を利用することで熱安定性を示すアルミナ支持パラジウム含有ウオッシュコートを生じさせることが提案されている。
【0021】
特許文献17および特許文献24にはセリア−ジルコニア含有粒子が言及されている。そのセリア−ジルコニア複合体全重量の30重量パーセントに及んでセリアがそのジルコニアマトリックス全体に均一に分散して、固溶体が生じ得ることが確認されている。共生成(例えば共沈させた)粒子状のセリア−ジルコニア複合体を用いると、セリア−ジルコニア混合物含有粒子におけるセリアの利用度が高くなり得る。このセリアはそのジルコニアを安定にしており、そしてこのセリアはまた酸素貯蔵成分としても作用する。この特許文献24には、そのセリア−ジルコニア複合体にネオジムおよび/またはイットリウムを添加することで結果として得られる酸化物の特性を所望に応じて改善することができると開示されている。
【0022】
特許文献25には、高温耐性を示すTWC触媒の製造方法が開示されている。この方法は、ガンマもしくは活性化アルミナの粒子が入っている水性スラリーを生じさせた後、このアルミナに、セリウムと、ジルコニウムと、鉄およびニッケルの少なくとも1つと、白金、パラジウムおよびロジウムの少なくとも1つと、任意にネオジム、ランタンおよびプラセオジムの少なくとも1つを含む選択した金属の可溶塩類を含浸させることを含む。この含浸させたアルミナの焼成を600℃で行った後、これを水中に分散させることでスラリーを生じさせ、このスラリーをハニカム担体上に被覆した後、乾燥させることで、完成触媒を得ている。
【0023】
特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30および特許文献31の全部に、内燃機関の排気ガスに含まれる窒素酸化物の低減で使用する目的で酸化ネオジムを用いることが開示されている。特に、特許文献31には、焼成を高温で行う場合、活性化と安定化を受けた触媒支持体を生じさせるにはアルミナと一緒にランタニド系列の希土類金属を用いるのが有効であることが開示されている。上記希土金属にはランタン、セリア、セリウム、プラセオジム、ネオジムなどが含まれると開示されている。
【0024】
耐火性酸化物で出来ている2層またはそれ以上の層と担体を含むTWC触媒系が開示されている。
【0025】
例えば、特許文献32には排気ガス浄化用の触媒支持構造物が開示されており、これには、熱絶縁用のセラミック担体と、アルミナもしくはジルコニア含有触媒で出来ている層が少なくとも2層含まれており、このアルミナもしくはジルコニア含有触媒層内の触媒は互いに異なっている。
【0026】
特許文献33には、少なくとも2種の白金族金属が入っている排気ガス浄化用触媒が開示されている。この触媒は、各々に異なる白金族金属が入っている耐火性金属酸化物の担体層を少なくとも2層含む。白金族金属が入っていない耐火性金属酸化物の層がその担体層間および/またはそれらの担体層の外側に存在している。
【0027】
特許文献34には、無機基質とこの基質表面上に位置している耐熱性貴金属型触媒で構成されている第一多孔質担体層と貴金属型触媒が上に位置している第二耐熱性非多孔質粒状担体層が備わっている触媒が開示されており、ここで、上記第二担体層は第一担体層の表面上に作られていて触媒毒に抵抗を示す。
【0028】
特許文献35には排気ガス浄化用触媒が開示されており、この触媒は、コージライトの如き無機担体基質と、この基質表面上に作られていてランタンおよびセリウムなどの如き希土類金属の少なくとも1種および白金およびパラジウムの少なくとも1種が上に位置しているアルミナ層と、上述したアルミナを基とする第一層の上に作られていて上に卑金属、例えば鉄またはニッケルなどと少なくとも1種の希土類金属、例えばランタンなどとロジウムが位置している第二層を含む。
【0029】
特許文献36には、低温における一酸化炭素除去能力を向上させた排気ガス浄化用触媒が開示されており、上記触媒は、例えばコージライトなどで構成されている基質と、この基質表面に積層させた活性アルミナで出来ている2層を含み、ここで、下方のアルミナ層の上には白金またはバナジウムが配置されており、そして上方のアルミナ層の上にはロジウムと白金またはロジウムとパラジウムが配置されている。
【0030】
特許文献37には排気ガス浄化用触媒およびこの触媒の製造方法が開示されており、この触媒は、排気ガス浄化で触媒作用を示す貴金属とハニカム型担体を含み、この担体の内側と外側はアルミナ層で覆われていてこの内側層に吸着されている貴金属量の方が外側層よりも多い。
【0031】
特許文献38には柱の形状をした排気ガス浄化用モノリス型触媒が開示されており、このモノリス型触媒は、排気ガス入り口側から排気ガス出口側に向かって配置されているセルを数多く含む。これらのセル各々の内壁表面にアルミナ層が作られており、そしてそのアルミナ層上に触媒材料が配置されている。このアルミナ層は内側に存在している第一アルミナ層と表面側に存在している第二アルミナ層から成っており、この第一アルミナ層の上にはパラジウムとネオジムが配置されておりそして第二アルミナ層の上には白金とロジウムが配置されている。
【0032】
特許文献39には触媒担体の上に支持されていて白金、パラジウムおよびロジウムから成る群から選択される触媒成分を1つ含む触媒層が開示されている。この触媒層の上にアルミナコート層が与えられている。このコート層には酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化鉄から成る群から選択される1つの酸化物とランタンおよびネオジムの少なくとも1つの酸化物(1−10重量%)が入っている。
【0033】
特許文献40および特許文献41には、(a)クロム、タングステン、IVB族金属およびそれらの混合物の酸化物から成る群から選択される金属酸化物とアルミナと希土類金属酸化物で出来ている触媒活性を示す焼成複合体および(b)上記複合体の焼成を行った後それに触媒有効量で添加された白金族金属を有する触媒組成物が開示されている。その希土類金属にはセリウム、ランタンおよびネオジムが含まれる。
【0034】
特許文献42には、内側層にアルミナとセリアと白金が入っておりそして外側層にアルミニウムとジルコニウムとロジウムが入っている2層触媒構造物が開示されている。
【0035】
特許文献43には、白金、パラジウムおよびロジウムの群から選択される少なくとも1種の成分と、セリアと、セリアでドープ処理された(ceria−doped)アルミナが入っているアルミナ層を含む触媒複合体が開示されている。パラジウムおよびロジウムの群から選択される少なくとも1種の成分と、ランタンでドープ処理されたアルミナと、プラセオジムで安定化されたジルコニウムと、酸化ランタンが入っている第二層が存在している。この2層を離して触媒担体の上に位置させることで排気ガス浄化用触媒が作られている。
【0036】
特許文献44には自動車用の層状触媒が開示されており、その底層には、希土類酸化物が入っているアルミナ支持体の上に分散している白金または白金とロジウムが含まれており、そしてトップコートには、アルミナとジルコニアと希土類酸化物で出来ている支持体の上に分散しているパラジウムとロジウムが含まれている。
【0037】
特許文献45には自動車用の層状触媒が開示されており、それには、アルミナとランタナと他の希土類酸化物で出来ている支持体の上に分散しているパラジウムを含む第一層およびアルミナとジルコニアとランタナと希土類酸化物で出来ている支持体の上に分散しているロジウムを含む第二コートが備わっている。
【0038】
特許文献46には、2種の触媒成分を含む排気ガス用触媒が開示されており、その成分の1つは耐火性無機酸化物支持体の上に分散している白金を含み、そしてその2番目は耐火性無機酸化物支持体の上に分散しているパラジウムとロジウムを含む。
【0039】
特許文献47には排気ガス浄化用モノリス型スリーウエイ触媒を製造する方法が開示されている。最初に、酸化セリウム含有活性アルミナ粉末をセリア粉末と一緒に分散させたコーティングスリップ(coating slip)で担体を処理した後、この処理した担体を焼くことによって、モノリス型担体に混合酸化物被膜を与える。次に、熱分解により、その酸化物被膜の上に白金、ロジウムおよび/またはパラジウムを配置する。任意に、このコーティングスリップにジルコニア粉末を添加してもよい。
【0040】
特許文献48は触媒構造物の製造に関係している。この触媒組成物には、白金族金属、卑金属、希土類金属および耐火性支持体、例えばアルミナ支持体などを含めることができる。比較的不活性な担体、例えばハニカムなどの上にその組成物を位置させることができる。
【0041】
特許文献49には排気ガス処理用の触媒組成物が開示されており、この組成物には、少なくとも1種の酸素貯蔵成分と少なくとも1種の貴金属成分が上に分散しておりそしてその直ぐ上に酸化ランタンで出来ている上塗り層が分散している第一支持体と、任意に第二支持体が含まれている。この触媒層はその酸化ランタン層から離れて位置している。その貴金属には白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムが含まれ得る。その酸素貯蔵成分には鉄、ニッケル、コバルトおよび希土類から成る群の金属の酸化物が含まれ得る。これらの具体例はセリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムなどである。
【0042】
特許文献24には内燃機関、例えば自動車ガソリンエンジンなどの排気ガスのスリーウエイ変換で用いるに適切な触媒組成物が開示されており、これには、個々別々の2つのコートが担体上に配置されている触媒材料が含まれている。その第一コートには上に第一白金触媒成分が分散している安定化アルミナ支持体とバルクなセリアが含まれており、そしてこれにはまた、硫化水素排出量の抑制で効果を示すバルクな酸化鉄、金属酸化物(例えばバルクな酸化ニッケル)、およびこの第一コート全体に渡って分散しているバリアおよびジルコニアの一方または両方が熱安定剤として含まれていてもよい。この第一コートの上に位置するトップコートを構成していてもよい第二コートには、上に第一ロジウム触媒成分が分散している共形成(例えば共沈)希土類酸化物−ジルコニア支持体および上に第二白金触媒成分が分散している第二活性化アルミナ支持体が含まれている。この第二コートにはまた活性化アルミナ支持体上に分散している第二ロジウム触媒成分および任意に第三白金触媒成分が含まれていてもよい。
【0043】
安価で安定なスリーウエイ触媒系の開発は引き続き存在する目標である。この系は、同時に、炭化水素および一酸化炭素の酸化と同時に窒素酸化物を窒素に還元する能力を有するべきである。
【0044】
【特許文献1】米国特許第5,010,051号
【特許文献2】米国特許第5,106,588号
【特許文献3】米国特許第5,510,086号
【特許文献4】米国特許第3,993,572号
【特許文献5】米国特許第4,171,288号
【特許文献6】米国特許第4,714,694号
【特許文献7】米国特許第4,727,052号
【特許文献8】米国特許第4,708,946号
【特許文献9】米国特許第4,808,564号
【特許文献10】米国特許第4,367,162号
【特許文献11】米国特許第4,438,219号
【特許文献12】米国特許第4,476,246号
【特許文献13】米国特許第4,591,578号
【特許文献14】米国特許第4,591,580号
【特許文献15】米国特許第4,157,316号
【特許文献16】米国特許第4,591,518号
【特許文献17】米国特許第4,624,940号
【特許文献18】米国特許第4,780,447号
【特許文献19】米国特許第4,539,311号
【特許文献20】米国特許第4,294,726号
【特許文献21】米国特許第4,965,243号
【特許文献22】日本特許第J01210032号
【特許文献23】オーストラリア特許第615721号
【特許文献24】米国特許第5,057,483号
【特許文献25】米国特許第4,504,598号
【特許文献26】米国特許第3,787,560号
【特許文献27】米国特許第3,676,370号
【特許文献28】米国特許第3,552,913号
【特許文献29】米国特許第3,545,917号
【特許文献30】米国特許第3,524,721号
【特許文献31】米国特許第3,899,444号
【特許文献32】特開145381/1975号
【特許文献33】特開105240/1982号
【特許文献34】特開52530/1984号
【特許文献35】特開127649/1984号
【特許文献36】特開19036/1985号
【特許文献37】特開31828/1985号
【特許文献38】特開232253/1985号
【特許文献39】特開71538/87号
【特許文献40】米国特許第3,956,188号
【特許文献41】米国特許第4,021,185号
【特許文献42】米国特許第4,806,519号
【特許文献43】日本特許第88−240947号
【特許文献44】特開昭J−63−205141−A号
【特許文献45】特開昭J−63−077544−A号
【特許文献46】特開昭J−63−007895−A号
【特許文献47】米国特許第4,587,231号
【特許文献48】米国特許第4,134,860号
【特許文献49】米国特許第4,923,842号
【非特許文献1】「過渡期に対するスリーウエイ触媒の応答」の論評、Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev.、1980、19、288−293
【非特許文献2】「自動排気制御用のセリア助触媒スリーウエイ触媒」の論評、Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev.、1982、21、274−288
【発明の開示】
【0045】
発明の要約
本発明は、自動車排気ガスの処理で用いるに特に有用な触媒作用を示す排気ガス処理用品に関する。この排気ガス処理用品に上流の触媒ゾーンと下流に位置させた少なくとも1つの触媒ゾーンを含める。この上流の触媒ゾーンに上流の組成物を含めそして下流の触媒ゾーンに下流の組成物を含める。この2つの触媒ゾーンを個別の基質担体、例えば個別のモノリス、好適にはハニカムなど上に位置させてもよい。別法として、この2つの触媒ゾーンを同じ基質担体上に位置させることも可能である。本発明の品の機械的設計の目的は、上流ゾーンが排気ガスに含まれる被酸化性成分、例えば一酸化炭素および炭化水素などの酸化および/または排気ガスに含まれる被還元性成分、例えば窒素酸化物などの還元を下流ゾーン内の温度よりも低い温度で起こし始め得る品を構築しそして/またはそれを成し得る化学組成物を提供することにある。
【0046】
これを、本発明に従い、排気ガスに含まれる成分の酸化および/または還元を下流ゾーン内で上流ゾーンの組成物よりも低い温度で触媒するように設計した触媒組成物を第一ゾーン内で用いることで達成することができる。この下流ゾーンの組成物を、排気ガスが定常状態の運転温度に到達した後に排気ガスの成分が起こす反応をより有効に触媒するように設計する。
【0047】
好適な上流組成物に1番目の上流支持体を含め、そしてこの支持体上に少なくとも1種の第一上流パラジウム成分を位置させる。下流の触媒ゾーンに第一下流支持体を含めて、この支持体上に少なくとも1種の第一下流白金族成分を位置させる。好適には、第一下流支持体と少なくとも1種の第一下流白金族成分を含む第一下流層を存在させ、そして第二下流支持体と少なくとも1種の第二下流白金成分を含む第二下流層を存在させる。この第一および第二白金族金属成分は同じか或は異なっていてもよく、これにロジウム、白金およびパラジウムから成る群から選択される成分を含める。より好適には、第一および第二下流白金族成分の少なくとも1つにパラジウム成分を含める。
【0048】
上流触媒
好適な態様では、本発明の上流ゾーンに、900℃またはそれ以上に及んで安定な熱安定性を示す上流触媒品を含める。この上流触媒品に、好適には、一般にスリーウエイ変換触媒またはTWC触媒と呼ばれる種類の単層または多層触媒複合体であってもよい触媒を含める。上流ゾーンの触媒品に、パラジウム成分(これにはパラジウム金属および/またはパラジウム化合物、例えば酸化パラジウムなどが含まれ得る)を含有する層を少なくとも1層含める。単層を用いる場合には、上流の触媒組成物に好適には実質的に酸素貯蔵成分を含めない。この単一の上流層組成物に、パラジウム成分と密に接触していない酸素貯蔵成分を含めることも可能である。
【0049】
好適な上流触媒複合体は共通譲渡の米国連続番号08/265,076(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。上記TWC触媒は、炭化水素および一酸化炭素の酸化と窒素酸化物の還元を本質的に同時に触媒する能力を有する点で多機能的である。上記上流触媒複合体の層相関性および上記上流層の組成特異性により安定で経済的な系が得られる。これにより、パラジウムがこの複合体内のただ一つの白金族金属成分であっても、炭化水素および一酸化炭素の有効な酸化を維持することができることに加えて窒素酸化物化合物の変換率を高くすることができる。
【0050】
本発明の好適な上流の層状触媒複合体の構造設計では第一上流層組成を有する第一上流層および第二上流層組成を有する第二上流層を存在させる。また、この第一上流層をボトム層または内側上流層と呼びそして第二上流層をトップ層または外側上流層と呼ぶ。炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物を含む排気ガス放出物は最初に第二層、即ちトップ上流層に出会う。このトップ上流層では、白金族金属が、窒素酸化物から窒素への還元および炭化水素の酸化を触媒する働きをする。このトップ層に酸素貯蔵成分、例えばセリアなどを含めてもよい。しかしながら、このトップ層内ではセリアと該白金族金属を密に接触させておかない方が好適である。可溶セリウム塩の溶液ではなくセリア−ジルコニア複合体を用いてトップ層を製造することでこれを達成することができる。この複合体である酸素貯蔵組成物をバルク形態にする。バルク形態は、組成物が固体、好適には微細粒子形態、より好適には粒子の少なくとも約95重量%が典型的には0.1から5.0、好適には0.5から3ミクロメートルの直径を有するような粒子サイズ分布を示す微細粒子形態にあることを意味する。バルクな粒子の考察に関しては米国特許第5,057,483号(引用することによって本明細書に組み入れられる)が参考になる。
【0051】
排気ガスは、トップ、即ち第二上流層を通った後、第一、即ちボトム上流層に接触する。この層では、白金族金属が酸素貯蔵成分、例えばセリアなどと密に接触している。支持体および他の粒子状材料に含浸させた可溶セリウム塩溶液の形態でセリウム成分をボトム上流層組成の中に導入することによってこれを達成することができる。このセリウム塩は焼成時に酸化セリウム(セリア)に変化する。好適には上記セリアと白金族金属が密に接触していることで酸化反応と還元反応が向上すると考えている。「密に接触している」は、そのような接触状態の成分(例えばボトム層内の白金族金属成分と酸素貯蔵成分)の有効量が同じ支持体上に存在しそして/または直接接触していることを意味する。「密に接触していない」(または物理的に離れている)は、成分(例えばトップ層内のセリアと白金族成分)が同じ支持体上にないか或は同じ粒子内に含まれていないことを意味する。
【0052】
本発明は、第一上流層と第二上流層を含む層状の上流触媒複合体を包含する。この第一上流層は第一上流支持体を含む。この第一層は第一上流パラジウム成分と任意にパラジウム以外の第一上流白金族金属成分を少なくとも1種含み、この第一上流層では、上流酸素貯蔵成分と白金族金属成分が密に接触している。この第一上流層は、好適には追加的に、第一上流ジルコニウム成分、少なくとも1種の第一上流アルカリ土類金属成分、そしてランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一
上流希土類金属成分を含む。
【0053】
第二上流層は好適には第二上流パラジウム成分と任意にパラジウム以外の第二上流白金族金属成分を少なくとも1種含む。この第二上流層は、好適には追加的に、第二上流ジルコニウム成分、少なくとも1種の第二上流アルカリ土類金属成分、そしてランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第二上流希土類金属成分を含む。好適には、各上流層にジルコニウム成分、少なくとも1種のアルカリ土類金属成分および希土類成分を含める。最も好適には、各上流層に少なくとも1種のアルカリ土類金属成分と少なくとも1種の希土類成分の両方を含める。この第二上流層に任意に更に第二酸素貯蔵成分を含む第二上流酸素貯蔵組成物を含めてもよい。この第二酸素貯蔵成分および/または第二酸素貯蔵組成物は好適にはバルク形態であり、そしてまたこれを第一白金族金属成分と密に接触させることも可能である。本発明の特定および好適な態様において、第一上流白金族金属は本質的に第一上流パラジウム成分から成っており、この成分がこの第一上流層内の実質的にただ1つの白金族金属成分である。この好適な態様における第二上流白金族金属成分は本質的に第二パラジウム成分から成っており、この第二パラジウム成分がこの第二上流層内の実質的にただ1つの白金族金属成分である。
【0054】
任意に、この第一および/または第二上流層に粒子形態の上流酸素貯蔵複合体を含める。この上流酸素貯蔵複合体は、好適にはセリアおよびジルコニアを含み、任意にそして更により好適には、ランタンおよびネオジム成分およびそれらの混合物から成る群から選択される希土類成分を含む。特に好適な複合体はセリア、ネオジミアおよびジルコニアを含む。好適には、ジルコニアを60から90重量パーセント、セリアを10から30重量パーセントおよびネオジミアを10重量パーセント以下の量で存在させる。この複合体内のセリアは、一酸化炭素の酸化および酸化窒素の還元を高める酸素貯蔵成分として挙動するばかりでなくまた、ジルコニアが望ましくない相転換を起こさないようにこれを安定にするに役立つ。上に示したように、本発明の特定および好適な組成物は、第一層と第二層が個別に第一パラジウム成分と第二パラジウム成分を必要とする組成物である。任意に、この第一上流層に更に追加的白金族金属成分を少なくとも1種含めてもよく、この成分を好適には白金、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウム成分から成る群から選択し、好適な第一層の追加的白金族金属成分は白金、ロジウムおよびそれらの混合物から成る群から選択される成分である。
【0055】
第二上流層にも同様に、第二パラジウム成分に加えて更に、好適には白金、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウム成分から成る群から選択される第二白金族金属成分を少なくとも1種含めてもよく、白金およびロジウム成分が好適である。
【0056】
示したように、本発明に従い、パラジウムを含む、好適には実質的にパラジウムのみから成る第一白金族金属と好適には密に接触している第一酸素貯蔵成分を、第一上流層に含める。更に、バルクな第一上流酸素貯蔵成分、例えばバルクなセリア、バルクなプラセオジミアなど、および/または酸素貯蔵複合体、例えばセリアとジルコニアの粒子状複合体を存在させてもよい。
【0057】
第二上流層は第二白金族金属成分を含み、この成分はパラジウムを含み、最も好適には本質的にパラジウムから成る。この第二上流層に酸素貯蔵成分を存在させる場合、これを好適には白金族金属成分と密に接触させず、好適にはバルクな第二酸素貯蔵複合体を含め、この複合体にセリア、ジルコニア、および任意にそして好適には希土類金属の酸化物、例えばネオジミアまたはランタナなどの複合体を含めてもよい。
【0058】
特定および好適な態様では、第一上流層に、第一上流支持体;この第一上流支持体上に分散していて第一上流パラジウム成分を含む少なくとも1種の第一上流白金族金属成分;
およびこの上流白金族金属成分と密に接触している上流酸素貯蔵成分、好適にはセリア;少なくとも1種の上流アルカリ土類金属成分、少なくとも1種の上流ジルコニウム成分、そしてランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の上流の第一希土類金属成分を含める。第二上流層に、第一上流支持体と同じか或は異なっていてもよい第二上流支持体;この第二支持体上に分散していて第二パラジウム成分を含む少なくとも1種の第二上流白金族金属;第一アルカリ土類金属成分と同じか或は異なっていてもよい少なくとも1種の第二上流アルカリ土類金属成分;少なくとも1種の第二上流ジルコニウム成分;および第一希土類金属成分と異なっていてもよいランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第二上流希土類金属成分を含める。
【0059】
好適な第一および第二上流支持体は、シリカ、アルミナおよびチタニア化合物から成る群から選択される同一もしくは異なる化合物であってもよい。より好適には、この第一および第二上流支持体は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミノ−シリケート類、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミアおよびアルミナ−セリアから成る群から選択される活性化された化合物である。第一および第二上流支持体は最も好適には活性化アルミナである。
【0060】
アルカリ土類金属がこの第一および第二上流層組成物を安定にしていると考えており、そしてランタンおよびネオジム成分から選択される希土類金属成分がこの第一および第二上流層組成物の触媒活性を助長すると考えている。両方の上流層において、ジルコニウム成分はウオッシュコートの安定剤および助触媒の両方として作用する。
【0061】
この第一および第二上流組成を有する上流層の特異的構造により、パラジウムを各層内のただ一つの白金族金属として用いた時でも有効なスリーウエイ触媒が得られることを見い出した。この複合体は自己支持型品、例えばペレットなどの形態であってもよく、このペレットの内側に第一層を存在させそして外側に第二層を存在させる。別法としてそしてより好適には、担体(基質とも呼ぶ)、好適にはハニカム型基質に第一層を支持させ、そして第二層を、上記基質上に取り付けた第一層に支持させる。
【0062】
この少なくとも1種の第一上流アルカリ土類金属および少なくとも1種の第二上流アルカリ土類金属は、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウム、好適にはストロンチウムおよびバリウムから成る群から選択可能である。最も好適には、第一アルカリ土類金属成分は酸化バリウムから成りそして第二アルカリ土類金属成分は酸化ストロンチウムから成る。安定化は、各層の触媒組成物が示す変換効率を高温で長期間に渡って維持することを意味する。安定化された支持体、例えばアルミナなどと組み合わせた触媒成分、例えば貴金属などは、高温暴露に対する劣化に高い抵抗を示すことで変換効率全体をより良好に維持する。
【0063】
第一上流層組成および第二上流層組成それぞれに更にそして好適には第一および第二希土類金属成分も含め、この成分は助触媒として働くと考える。この希土類金属成分をランタンおよびネオジムから成る群から選択される金属から誘導する。特定態様において、この第一希土類金属成分は実質的にランタナでありそして第二希土類成分は実質的にネオジミアである。この助触媒は、炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物を無害な化合物に変化させる変換率を高める。
【0064】
特定および好適な態様において、この第一および/または第二層に、更に、硫化水素の如き硫化物排出物を除去するに有用なニッケルまたは鉄成分も含める。より好適には、この第一層にニッケルまたは鉄化合物を含める。
【0065】
本組成物をモノリス型担体基質に薄被膜として取り付ける場合、通常、触媒および基質1立方インチ当たりの材料のグラム数として材料の比率を表す。このような尺度は、モノリス型担体基質が異なることで気体流れ通路のセルサイズが異なっても適応する。白金族金属成分は白金族金属の重量を基準にする。
【0066】
有用で好適な第一上流層は、
少なくとも1種のパラジウム成分を約0.003から約0.6g/立方インチ、
少なくとも1種の第一白金および/または第一ロジウム成分を0から約0.065g/立方インチ、
第一支持体を約0.15から約2.0g/立方インチ、
第一層内の第一酸素貯蔵成分を全体で約0.05から約2.0g/立方インチ、
少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分を0.0、好適には約0.025から約0.5g/立方インチ、
第一ジルコニウム成分を0.0、好適には約0.025から約0.5g/立方インチ、および
セリウム金属成分、ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一希土類金属成分を0.0、好適には約0.025から約0.5g/立方インチ、
有するものである。
【0067】
有用で好適な第二上流層は、
少なくとも1種の第二パラジウム成分を約0.003g/立方インチから約0.6g/立方インチ、
少なくとも1種の第二白金および/またはロジウム成分を0.0g/立方インチから約0.065g/立方インチ、
第二支持体を約0.15g/立方インチから約2.0g/立方インチ、
ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第二希土類金属成分を0.0、好適には約0.025g/立方インチから約0.5g/立方インチ、
少なくとも1種の第二アルカリ土類金属成分を0.0、好適には約0.25g/立方インチから約0.5g/立方インチ、および
第二ジルコニウム成分を0.0、好適には約0.025から約0.5g/立方インチ、
有するものである。しかしながら、この第一層はアルカリ土類金属成分および/または希土類成分を必要としそして上記第二層はアルカリ土類金属成分および/または希土類金属成分を必要とする。
【0068】
この第一および/または第二層に、粒子形態のセリア−ジルコニア複合体を含む酸素貯蔵複合体を0.0から約2.0g/立方インチ含めてもよい。
【0069】
この層状の上流触媒複合体は自己支持型品、例えばペレットなどの形態であってもよく、この場合には、上記ペレットの内側に第一層を存在させそして外側に第二層を存在させる。別法としてそしてより好適には、基質、好適にはハニカム型担体に第一上流層を支持させ、そして第二上流層を、上記基質上に取り付けた第一上流層に支持させる。
【0070】
下流触媒
好適な態様では、本発明の下流ゾーンに、900℃またはそれ以上に及んで安定な熱安定性を示す下流触媒品を含める。この下流触媒品に、好適には、一般にスリーウエイ変換触媒またはTWC触媒と呼ばれる種類の単層または多層触媒複合体であってもよい触媒を含める。下流ゾーンの触媒品に、好適には、パラジウム成分と少なくとも1種の追加的貴
金属成分を含有する層を少なくとも1層含める。好適な追加的貴金属成分は白金族金属、金および銀から選択される少なくとも1種の追加的貴金属成分であってもよい。この追加的金属は好適には白金族金属であり、好ましくはこれを白金および/またはロジウムから選択する。最も好適には、この白金族金属にロジウムを含める。この用語「成分」は金属および/または化合物、例えば酸化パラジウムなどを包含し得る。
【0071】
好適な下流触媒複合体は共通譲渡の米国連続番号08/563,884(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0072】
ボトム層または内側下流層とも呼ぶ下流の第一層およびトップ層または外側下流層とも呼ぶ第二下流層を存在させる。この第一下流層に少なくとも1種の第一パラジウム成分を含める。この第一下流層に任意に白金成分を第一層および第二層に入れる白金成分の全白金金属量を基準にして少量を含めてもよい。第二下流層に少なくとも2種の第二白金族金属成分を含めるが、この白金族金属成分の1つは第二白金成分でありそしてもう一つはロジウム成分である。この第二下流層に好適には第二下流酸素貯蔵組成物を含め、この組成物に、希釈した第二酸素貯蔵成分を含める。この第二下流酸素貯蔵組成物は上記酸素貯蔵成分に加えて希釈剤を含有する。有効で好適な希釈剤には耐火性酸化物が含まれる。上記第二下流酸素貯蔵成分を該酸素貯蔵組成物内に比較的少ない量で存在させることを意味する目的で希釈を用いる。この組成物は、真に固溶体であるか或は固溶体でなくてもよい複合体として特徴づけ可能な混合物である。この第二下流酸素貯蔵成分を希釈することにより、ロジウム成分との相互作用を最小限にする。そのような相互作用が起こると長期の触媒活性が低下する可能性がある。
【0073】
炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物を含有する排気ガス放出物は最初に第二下流層に出会う。好適な層組成物では、上記第二下流層内の第二白金成分およびロジウム成分が窒素酸化物から窒素への還元および炭化水素および一酸化炭素の酸化を触媒すると考えている。トップコート内の第二白金成分は上記ロジウム成分の助触媒になることでロジウムの触媒活性が向上すると考えている。この第二下流層に、好適には、第二酸素貯蔵成分、例えば希土類酸化物、好適にはセリアなどが入っている第二下流酸素貯蔵組成物を含める。この第二下流酸素貯蔵成分を希釈剤、例えば耐火性金属酸化物、好適にはジルコニアなどで希釈する。特に好適な第二下流酸素貯蔵組成物はセリア/ジルコニアを共沈させた複合体である。好適には、セリアを30重量パーセント以下の量で存在させそしてジルコニアを少なくとも70重量パーセント存在させる。好適には、この酸素貯蔵組成物にセリアを含め、そしてセリアに加えてランタナ、ネオジミア、イットリアの1つ以上またはそれらの混合物を含める。特に好適な粒子状複合体にはセリアとネオジミアとジルコニアを含める。好適には、ジルコニアを60から90重量%、セリアを10−30重量%およびネオジミアを10重量%以下の量で存在させる。このセリアは、ジルコニアが望ましくない相転換を起こさせないようにすることでそれを安定にするばかりでなくまた一酸化炭素の酸化および窒素酸化物の還元を増強する酸素貯蔵成分としても挙動する。
【0074】
この第二下流酸素貯蔵組成物を好適にはバルク形態にする。バルク形態は、組成物が固体、好適には微細粒子形態、より好適には粒子の少なくとも約95重量%が典型的に0.1から5.0、好適には0.5から3ミクロメートルの直径を有するような粒子サイズ分布を示す微細粒子形態にあることを意味する。バルクな粒子の考察に関しては米国特許第4,714,694号および米国特許第5,057,483号(両方とも引用することによって本明細書に組み入れられる)が参考になる。
【0075】
また、この第二下流白金成分と第二下流ロジウム成分は両方とも上記第二酸素貯蔵組成物内の第二下流酸素貯蔵成分と相互作用してそれの有効性を高めると考えている。
【0076】
排気ガスは、トップ、即ち第二層を通った後、第一、即ちボトム下流層に接触する。好適なボトム下流層では主に第一下流パラジウム成分と任意の第一下流白金成分が酸化反応を増強すると考えている。この反応では第一酸素貯蔵成分、例えばセリウム族の化合物、好適には酸化セリウムなどが助触媒として働く可能性があり、これはトップ層で用いる如きバルクな第一酸素貯蔵組成物形態であってもよいか、或は第一白金族金属成分と密に接触している酸素貯蔵成分であってもよい。このような密な接触は、該酸素貯蔵成分の溶液を該白金族金属成分に含浸させることで達成可能である。
【0077】
本発明の特定および好適な態様は、第一下流層を含む層状の下流触媒複合体に関し、ここでは、この第一下流層に第一下流支持体を含め、この支持体に少なくとも1種のパラジウム成分を支持させそして少なくとも1種の第一層白金成分を第一と第二下流層内の白金金属全体量を基準にした白金金属を基にして0から50重量パーセント未満の量で支持させる。
【0078】
好適には、この第一下流層に第一支持体、第一パラジウム成分、少なくとも1種の第一安定剤、そして少なくとも1種の第一希土類金属成分(セリア、ネオジミアおよびランタナから選択される)を含める。この第一下流層にまた第一酸素貯蔵組成物を含めてもよく、この第一酸素貯蔵組成物に第一下流酸素貯蔵成分を含める。好適には、第二下流層に、第二下流支持体、少なくとも1種の第二下流白金成分、少なくとも1種のロジウム成分、および第二下流酸素貯蔵組成物を含める。この第二層の白金成分を第一と第二下流層内の白金金属全体量を基準にした白金金属を基にして50から100重量パーセントの量で存在させてもよい。
【0079】
この第一および第二下流層内の白金族金属成分を支持する支持体成分は同じか或は異なっていてもよく、好適にはシリカ、アルミナおよびチタニア化合物から成る群から選択される化合物である。好適な第一および第二下流支持体は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミノ−シリケート類、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミアおよびアルミナ−セリアから成る群から選択される活性化された化合物であり得る。
【0080】
第二下流酸素貯蔵成分および任意の第一下流酸素貯蔵成分を、好適には、セリウム族から選択し、好適にはセリウム化合物、プラセオジムおよび/またはネオジム化合物で構成させる。セリウム族の化合物を用いると、排気ガス流れに硫黄が存在している場合には好ましくない硫化水素が生成する可能性があることを見い出した。硫化水素の量を最小限にするのが好適な場合には、追加的にIIA族金属の酸化物、好適には酸化ストロンチウムおよび酸化カルシウムを用いるのが好適である。セリウム、プラセオジムまたはネオジムの化合物を用いることが望まれる場合には、第一または第二下流層の少なくとも1層に硫化水素を抑制するニッケルまたは鉄成分を更に含めてもよい。好適には、この第一下流層にニッケルまたは鉄成分を更に含める。
【0081】
安定剤を第一または第二下流層のいずれかに入れてもよく、好適には第一下流層に入れる。安定剤は、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウム、好適にはストロンチウムおよびバリウムから成る群から選択される金属から誘導される少なくとも1種のアルカリ土類金属成分から選択可能である。
【0082】
この第一および/または第二下流層にジルコニウム成分を入れるのが好適であり、これは安定剤および助触媒の両方として働く。希土類酸化物は第一層組成物が示す触媒活性を助長する働きをする。希土類金属成分を好適にはランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択する。
【0083】
本組成物をモノリス型担体基質に薄被膜として取り付ける場合、通常、触媒1立方イン
チ当たりの材料のグラム数として材料の比率を表す、と言うのは、このような尺度は、モノリス型担体基質が異なることで気体流れ通路のセルサイズが異なっても適応するからである。白金族金属成分の場合、白金族金属の重量を基準にする。
【0084】
有用で好適な第一下流層は、
パラジウム成分を約0.0175から約0.3g/立方インチ、
第一白金成分を約0から約0.065g/立方インチ、
第一支持体を約0.15から約2.0g/立方インチ、
少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分を約0.025から約0.5g/立方インチ、
第一ジルコニウム成分を約0.025から約0.5g/立方インチ、および
セリウム金属成分、ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一希土類金属成分を約0.025から約0.5g/立方インチ、有するものである。
【0085】
有用で好適な第二下流層は、
ロジウム成分を約0.001g/立方インチから約0.03g/立方インチ、
白金を約0.001g/立方インチから約0.15g/立方インチ、
第二支持体を約0.15g/立方インチから約1.5g/立方インチ、
第二酸素貯蔵組成物を約0.1から2.0g/立方インチ、
ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第二希土類金属成分を約0.025g/立方インチから約0.5g/立方インチ、および
第二ジルコニウム成分を約0.025から約0.5g/立方インチ、有するものである。
【0086】
この複合体は自己支持型品、例えばペレットなどの形態であってもよく、この場合には上記ペレットの内側に第一層を存在させそして外側に第二層を存在させる。別法として、そしてより好適には、基質、好適にはハニカム担体に第一下流層を支持させ、そして第二下流層を、上記基質上に取り付けた第一層に支持させてもよい。
【0087】
代替態様では、下流ゾーンの熱質量(thermal mass)の方が上流ゾーンのそれよりも大きくなるようなデザインにする。本発明の目的で、上流ゾーンまたは下流ゾーンの質量に個々のゾーンの熱容量をかけた値として熱質量を定義する。このようなデザインをこの上に示した如き触媒組成物と組み合わせて個々のゾーンで用いるのが特に好適である。上流および下流のハニカムモノリスを同じか或は同様な材料で作成する場合に有用な上流モノリスは、軸方向の長さが0.5から3.0インチ、0.5から2.5インチ、0.5から2.0インチ、1.0から2.0インチおよび1.0から3.0インチの長さの範囲のものである。好適な上流のセラミック製ハニカムモノリスは、長さが2.0から3.0インチの長さのものであり、長さが2.5インチのモノリスが商業的に入手可能である。上流および下流ゾーンの熱質量に影響を与える有意な要因は、その基質を構成している材料である。有効な態様には、上流のハニカムを金属で作成しそして下流のモノリスをセラミックで作成することを含める。セラミック製のハニカムの方が大きい熱容量を有する傾向がある。熱質量に影響を与える他のパラメーターは、1平方インチ当たりのセル数(cpsi)、触媒充填率、およびハニカムの壁厚(これは0.001から0.008インチに及んで多様である)である。セラミック製モノリスの壁厚は典型的に0.002から0.014インチの範囲であり、そして金属製モノリスの壁厚は典型的に0.0015から0.003インチの範囲である。有用なハニカムフロースルーモノリス(honeycomb flowthrough monoliths)は300から600cpsiのものである。壁厚などに応じて、モノリスのcpsiが高くなればなるほど熱質量
が高くなる。本発明では、上流モノリスのcpsiの方が下流のモノリスのそれよりも小さいモノリスを用いることができる。上流モノリスを小さくすればするほど、より迅速に温まるであろう。
【0088】
好適には、より小さい上流ゾーンの組成を、それが下流ゾーンのライトオフ(light−off)温度より低いライトオフ温度を持つように設計する。それによって、上流ゾーンがより早期に温まって反応を触媒するようになる。また、滞留時間がより長い状態、例えばアイドル(idle)運転中の空間速度の方が定常状態運転中よりも遅くなり得るような設計にする。本発明の目的で、用語「ライトオフ」は、触媒が活性を示すようになって排気ガス成分の反応を開始させ得る温度を意味する。別の様式で示すと、滞留時間は空間速度の逆数で示される。本発明の目的で、用語「空間速度」は、触媒モノリスの中を一定時間内に通る気体の体積を触媒モノリスの全体積で割った値を意味し、これを単位時間の逆数、例えば時間の逆数で測定する。本発明の触媒品は、有利に10から500,000、より典型的には50から350,000時−1の範囲の空間速度で使用可能である。
【0089】
本発明は、窒素酸化物、一酸化炭素および/または炭化水素を含有するガスをこの上に示した如き層状触媒複合体に接触させて上記ガスを処理する段階を含む方法を包含する。
【0090】
本発明は、また、本発明の触媒品の製造方法および本発明の層状触媒複合体の製造方法も包含する。
【0091】
図の簡単な説明
図1は、上流ハニカムと下流ハニカムを示す図式図であり、ここでは、これらをキャニスター(canister)内に隣接して存在させて、排気ガス流れ内に位置させる。
図2に、自動車のアンダーフロア(underfloor)位置に位置させた図1の品を示す。
図3は、上流ハニカムと下流ハニカムの図式的断面図であり、これは上流触媒層と下流触媒層を示している。
【0092】
好適な態様の詳細な説明
本分野の技術者は図1−3を参考にして本記述を参照することで本発明を理解するであろう。
【0093】
本発明は排気ガス処理用触媒品10に関する。この触媒品10を自動車14のエンジン16から導かれる排気ガスライン12と伝達状態で位置させる。この触媒品10に上流触媒ゾーン18と少なくとも1つの下流触媒ゾーン20を含める。上記上流触媒ゾーン18に上流組成物を含めて、この組成物に第一上流支持体と少なくとも1種の第一上流パラジウム成分を含める。パラジウムを含有する上流触媒層を1つ存在させる場合には、このパラジウム含有組成物に酸素貯蔵成分を実質的に全く含めないのが好適である。上記下流触媒ゾーン20に第一下流層22を含めて、この層に第一下流支持体と第一下流貴金属成分を含める。この下流触媒ゾーン20に更に第二下流層24を含めて、この層に第二下流支持体と第二下流貴金属成分を含める。上記第一および第二下流層の少なくとも1つにパラジウム成分を含める。
【0094】
好適な態様では、上記上流触媒ゾーン18に第一上流層26と第二上流層28を含める。この第一上流層26に第一上流支持体と少なくとも1種の第一上流貴金属成分を含める。上記第二上流層28に第二上流支持体と少なくとも1種の第二上流貴金属成分を含める。この第一および第二上流層の少なくとも1つにパラジウム成分を含める。上記下流触媒ゾーン18に第一下流層22を含めて、この層に第一下流支持体と第一下流貴金属成分を
含める。第二下流層24に第二下流支持体と第二下流貴金属成分を含める。好適には、この第一および第二下流層の少なくとも1つにパラジウム成分を含める。
【0095】
この触媒品10をキャニスター21内に位置させることができる。この触媒品10を好適にはマフラー23の上流でアンダーフロア位置に位置させる。従って、本発明は、冷運転期間中、例えば冷機起動運転中の排気ガスをアンダーフロア位置で触媒処理することを提供するものである。
【0096】
単層含有上流ゾーン18に最も好適な組成物は、共通譲渡の米国連続番号08/350,297(引用することによって本明細書に組み入れられる)の実施例1に記述されている組成物である。2層含有上流ゾーン18に最も好適な組成物は、共通譲渡の米国連続番号08/265,076(引用することによって本明細書に組み入れられる)の実施例1に記述されている組成物である。2層含有下流ゾーン18に最も好適な組成物は、共通譲渡の米国連続番号08/563,884(引用することによって本明細書に組み入れられる)の実施例1に記述されている組成物である。上流ゾーンおよび下流ゾーンで用いる好適な組成物の詳細な説明を以下に行う。
【0097】
上流の1層触媒
本発明の好適な上流の単層触媒組成物にTWC触媒組成物で用いられる種類のパラジウム成分を含め、好適には酸素貯蔵成分を実質的に存在させない。この上流の単層触媒組成物の目的で、酸素を貯蔵して放出する能力を有する成分には、酸化セリウムおよび酸化プラセオジムが含まれる。酸素貯蔵能力があまり有意でない他の希土類の相当する量は実質的な酸素貯蔵および放出能力を有する成分であると見なさない。追加的に白金族金属成分も酸素貯蔵成分であると見なさない。特に、この触媒組成物はセリアが実質的に入っていないスリーウエイ触媒組成物であってもよい。セリアまたはプラセオジムが不純物または痕跡量として少量存在していてもよい。酸素貯蔵成分、例えば酸化セリウムなどは、酸素を貯蔵し、そして豊富(rich)運転条件中には、それを放出して炭化水素および一酸化炭素の酸化を起こさせる追加的酸素を与えることで、酸化がより高い効率で進行し得る。単層含有上流ゾーン18に最も好適な組成物は、共通譲渡の米国連続番号08/350,297(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている組成物である。
【0098】
本上流単層触媒組成物にパラジウム成分を好適には比較的高い濃度で含める。従って、冷機始動運転中に炭化水素が比較的多い量で酸化されかつ一酸化炭素が有意な量で酸化される(酸化されるのは一酸化炭素の全部ではないが)。追加的に、窒素酸化物も有意量で還元される。加うるに、この直動式触媒には酸素貯蔵成分、特にセリウム化合物を存在させていないことから、エンジンの排気ガスが熱くなって下流(アンダーフロア)触媒が運転温度に到達した時でも、この直動式触媒内で酸化される一酸化炭素の量は制限される。この直動式触媒内で反応しなかった一酸化炭素は下流触媒ゾーンに流れ込み、その中で触媒的に酸化を受け、そしてそのような酸化によって、下流触媒の温度が上昇する結果として運転効率がより高くなる。従って、本発明の上流単層触媒組成物は、低い温度で汚染物を有意な量で除去するに充分な効果を示すと同時に長期間に渡るエンジン運転で安定である。下流触媒ゾーンに少なくとも2層含めてもよく、これは以下に記述するのと同じ種類のものであってもよい。
【0099】
本発明の上流単層触媒組成物に好適には実質的に酸素貯蔵成分、例えばセリアおよびプラセオジミアなどを含めない。この触媒組成物に支持体(好適にはシリカ、アルミナ、チタニアから成る群から選択される少なくとも1種の化合物を包含)および第一ジルコニア化合物(本明細書で以降第一ジルコニア化合物と呼ぶ)を含める。この組成物に、更に、パラジウム成分を、好適には一酸化炭素および炭化水素を酸化させかつ窒素酸化物を還元
させるに充分な量で含めて、比較的低い変換率である50%の変換率になるような個々のライトオフ温度、好適には炭化水素の酸化に適した200から350℃の範囲のライトオフ温度を持たせる。この組成物に任意に酸化ストロンチウム、酸化カルシウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含めてもよく、酸化ストロンチウムが最も好適である。この組成物に任意にまた他の貴金属または白金族金属成分を含めてもよく、好適には白金、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウム成分から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含める。追加的白金族金属を含める場合に白金を用いる時には、それを1立方フィート当たり60グラム未満の量で用いる。他の白金族金属を用いる場合には、それを1立方フィート当たり約20グラム以下の量で用いる。この組成物に任意にまた第二酸化ジルコニウム化合物を安定剤として含めることも可能であり、そして任意に酸化ネオジムおよび酸化ランタンから成る群から選択される少なくとも1種の希土類酸化物を含めることも可能である。
【0100】
上記上流単層触媒組成物を好適には担体に支持させた触媒の形態にし、ここでは、この担体にハニカム型担体を含める。好適なハニカム型担体に、パラジウム成分が1立方フィート当たり少なくとも約50グラムで活性化アルミナが0.5から3.5g/立方インチで少なくとも1種のアルカリ土類金属成分、最も好適には酸化ストロンチウムが0.05から0.5g/立方インチの組成物を包含させる。酸化ランタンおよび/または酸化ネオジムを存在させる場合には、それらを0.6g/立方インチ以下の量で存在させる。
【0101】
上流の2層触媒
本発明は上流の触媒ゾーンが基質と少なくとも2層含む態様を包含する。この触媒構造はスリーウエイ変換触媒またはTWCとして用いるに有用な種類の層状触媒複合体に向けたものである。本発明のTWC触媒複合体は気体流れに含まれる炭化水素および一酸化炭素の酸化と窒素酸化物の還元を同時に触媒する。2層含有する上流ゾーン18に最も好適な組成物は共通譲渡の米国連続番号08/265,076(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている組成物である。
【0102】
この層状触媒複合体に第一層組成物で出来ている第一上流層と第二層組成物で出来ている第二上流層を含める。上に示したように、気体流れは、最初、窒素酸化物から窒素への還元および炭化水素の酸化が有効に生じると同時に一酸化炭素の酸化が生じるように設計した第二、トップ、即ち外側層組成物に出会う。次に、この気体は、上記汚染物の残りを変換する第一層に流れ込む。
【0103】
このトップ、即ち第二上流層の設計は特異的であり、その結果として、窒素酸化物の還元および炭化水素の酸化が幅広い温度範囲に渡って有効に生じる。本発明の複合体では経済的な白金族金属であるパラジウム自身を上記用途でより有効に使用することができる。安定剤として作用すると考えているアルカリ土類金属、助触媒として作用すると考えているランタンおよびネオジムから選択される希土類金属成分、およびジルコニウム成分を用いることによって、上記材料が示す性能を更に高める。
【0104】
第一、即ちボトム上流層では、第一酸素貯蔵成分を白金族金属と密に接触させるのが望ましい。この第一層では、約500℃よりも高い温度で酸化および還元反応が効率良く生じる。
【0105】
この第一上流層に第一白金族金属成分を含め、この成分は、第二層内のパラジウム成分と同じか或は異なっていてもよい第一パラジウム成分を含む。この第一層における変換をより高い温度で効率良く生じさせる目的で、該白金族金属と密に接触させた状態で酸素貯蔵成分を用いる。ここでも再び安定剤として作用すると考えているアルカリ土類金属成分、助触媒として作用すると考えているランタンおよびネオジム金属成分から選択される希
土類金属、およびジルコニウム成分を用いるのが好適である。
【0106】
本発明の好適な触媒にはパラジウム成分を含めて、これを第一および第二上流層各々の中に存在させ、この成分を、このパラジウム成分による触媒活性が有意に向上した組成物が得られるに充分な量で触媒活性助触媒成分内に存在させる。好適な態様では、この第一パラジウム成分を第一層内のただ一つの白金族金属成分にしそして第二パラジウム成分を第二層内のただ一つの白金族金属成分にする。任意に、この第一層および第二層のどちらかまたは両方それぞれに更に有用な第一および第二白金族金属(これには例えば白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウムおよび上記金属の混合物または合金、例えば白金−ロジウムなどが含まれる)を含めてもよい。
【0107】
好適な態様では、この第一上流層に第一パラジウム成分を含めると共にパラジウム以外の第一白金族金属を比較的少量含めてもよくそして/または第二層に第二パラジウム成分を含めると共にパラジウム成分以外の第二白金族金属成分を比較的少量含めてもよい。この好適な第一および第二白金族成分を白金、ロジウムおよびそれらの混合物から選択する。パラジウム以外の好適な第一白金族金属成分は白金であり、そしてパラジウム以外の最も好適な第二白金族金属成分はロジウム、白金およびそれらの混合物から選択される成分である。典型的には、この第一層にパラジウムを白金族金属として100重量パーセントに及んで含める。パラジウム以外の第一白金族金属成分を用いる場合、これを、この第一層内の第一パラジウム成分とパラジウム以外の白金族金属成分の全重量を基準にして典型的には40重量パーセント以下の量、好適には0.1から40重量パーセント、より好適には5から25重量パーセントの量で用いる。パラジウム以外の第二白金族金属成分を用いる場合、これを、この第二層内の第二パラジウム成分とパラジウム以外の白金族金属成分の全重量を基準にして典型的には40重量パーセント以下の量、好適には0.1から40重量パーセント、より好適には5から25重量パーセントの量で用いる。
【0108】
このように、この系に好適には上流層を少なくとも2層含め、ここでパラジウムは第二(トップ)層内では低温活性(反応)を高めそして第一(ボトム)層内では高温(トップ層に比較して)活性(反応)を高める触媒として主に作用すると考えている。従って、好適には、トップ層を約500℃以下の温度で反応性を示すように設計する一方、ボトム層を約500℃を越える温度で高い反応性を示すように設計する。しかしながら、これらの層が反応性を示す特定温度および変換率は例えば空間速度を含む特定の排気ガス環境に依存すると認識する。
【0109】
この第一上流層組成物および第二上流層組成物にそれぞれ同一もしくは異なる成分であってもよい第一支持体および第二支持体を含める。この支持体を高い表面積を有する耐火性酸化物支持体で作成する。高い表面積を有する有用な支持体には1種以上の耐火性酸化物が含まれる。このような酸化物には、例えばシリカおよび金属酸化物、例えばシリカ−アルミナ、非晶質もしくは結晶性であってもよいアルミノシリケート類、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−セリアなどの如き混合酸化物形態を含むアルミナが含まれる。この支持体を実質的にアルミナで構成させ、好適には、ガンマまたは活性化アルミナ族の一員、例えばガンマおよびイータアルミナなどで構成させて、そして他の耐火性酸化物を存在させる場合、その量を少量、例えば約20重量パーセント以下の量にする。望ましくは、この活性アルミナに60から300m/gの比表面積を持たせる。
【0110】
この第一上流層および第二上流層組成物にアルミナ、触媒成分、安定剤、反応助触媒および他の改質剤(存在させる場合)を含め、担体も基質も含めない。この組成物をモノリス型担体基質に薄被膜として取り付ける場合、通常、触媒1立方インチ当たりの材料のグラム数として材料の比率を表す、と言うのは、この尺度は、モノリス型担体基質が異なることで気体流れ通路セルサイズが異なっても適応するからである。典型的な自動車排気ガ
スの触媒使用変換器では、モノリス型基質を含む触媒複合体に触媒組成物被膜を一般に約0.50から約6.0、好適には約1.0から約5.0g/立方インチ含めてもよい。
【0111】
この触媒の好適な製造方法では、パラジウムおよびパラジウム以外の任意の白金族金属成分、例えばパラジウムおよび白金族金属の適切な化合物および/または錯体などを用いて、活性化アルミナ支持体粒子への触媒成分の分散を達成することができる。この用語「パラジウムおよび任意の白金族金属成分」を本明細書で用いる場合、これは、この触媒の焼成時または使用時に分解するか或は他の様式で触媒的に活性な形態、通常、金属または金属酸化物に変化する何らかのパラジウムおよび任意の白金金属の化合物、錯体などを意味する。アルミナ支持体粒子に触媒金属化合物を含浸または付着させる目的で用いる液体が該触媒金属またはそれの化合物もしくは錯体とか或は該触媒組成物の他の成分と不利な反応を起こさずそして熱および/または真空をかけた時点で蒸発または分解することでこの触媒から除去され得る限り、パラジウムの水溶性化合物または水に分散し得る化合物もしくは錯体を用いることができる。ある場合には、この触媒を使用に供してこれが運転中に遭遇する高温を受けるまでは上記液体の完全な除去が起こらない可能性もある。一般的には、経済および環境両方の面を鑑み、パラジウムおよび任意の白金族金属の可溶化合物もしくは錯体が入っている水溶液を用いるのが好適である。適切な化合物は、例えばクロロ白金酸、アミンで可溶化した水酸化白金、硝酸パラジウムもしくは塩化パラジウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、ヘキサミン塩化ロジウムなどである。この触媒の焼成段階中にか或は少なくともこの触媒を使用する初期段階中に上記化合物は触媒的に活性な形態の白金族金属またはそれらの化合物に変化する。
【0112】
本発明の触媒に第一上流酸素貯蔵成分を含めてもよく、これを上記パラジウム成分と密に接触させて第一、即ちボトム上流層の中に入れてもよい。この酸素貯蔵成分は、本技術分野で知られているそのような材料のいずれかであり、好適には、希土類金属から成る群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物であり、最も好適にはセリウムまたはプラセオジム化合物であり、最も好適な酸素貯蔵成分は酸化セリウム(セリア)である。このような酸素貯蔵成分を第一層組成物の少なくとも5重量%、好適には少なくとも10重量%、より好適には少なくとも15重量%の量で存在させることができる。
【0113】
本技術分野で知られる分散方法を用いて、この第一、即ちボトム上流層の組成物に酸素貯蔵成分を含めることができる。このような方法には第一組成物への含浸が含まれ、これは、パラジウム含有支持体に酸素貯蔵成分を水溶液の形態で含浸させ、乾燥させた後、その結果として生じた混合物の焼成を空気中で行うことで、パラジウム成分に密に接触した状態で酸素貯蔵成分の酸化物を含む第一層を生じさせることによって行われ得る。含浸は、典型的に、含浸を受けさせる材料の孔が液体で実質的に完全に満たされることを意味する。用いることができる水溶解性または分散性で分解性の酸素貯蔵成分の例には、これらに限定するものでないが、酢酸セリウム、酢酸プラセオジム、硝酸セリウム、硝酸プラセオジムなどの水溶性塩および/またはコロイド状分散液が含まれる。米国特許第4,189,404号にはアルミナを基とする支持体組成物に硝酸セリウムを含浸させることが開示されている。
【0114】
この第一、即ちボトム上流層の中に、任意に、好適にはバルク形態のセリアおよび/またはプラセオジミアである酸素貯蔵成分を含むバルクな第一酸素貯蔵組成物を存在させる。セリアが最も好適である。バルク形態は、このセリアおよび/またはプラセオジミアが1から15ミクロンまたはそれ以下の如き小さい直径を有していてもよい個々の粒子として存在することを意味し、これは第一層のように溶液の状態で分散させるのとは対照的である。このようなバルクな成分の記述および使用は米国特許第4,714,694号(引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に示されている。米国特許第4,727,052号(これもまた引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に示
されているように、バルクな形態は、セリアが固体形態またはバルク形態で存在するようにセリアの粒子が活性化アルミナの粒子と混和していることを意味し、これは、例えばセリア化合物の溶液をアルミナ粒子に含浸させる(この場合、セリア化合物は、焼成後、アルミナ粒子内に位置するセリアに変化する)のとは対照的である。
【0115】
上に挙げた第一上流層組成物および第二層組成物の成分に加えて、各層にジルコニアと少なくとも1種の希土類酸化物(セリアを含む)の粒子状複合体を含めるのは任意である。このような材料は例えば米国特許第4,624,940号および5,057,483号(引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されている。特に好適なものは、ジルコニアを基とする化合物を50重量%以上、好適にはジルコニアを60から90重量%、セリアを10から30重量%、そして任意に、このジルコニアの安定化に有用なランタナ、ネオジミアおよびイットリアから成る群から選択される非セリア希土類酸化物を10重量%以下の量(使用する場合少なくとも0.1重量%の量)で含む粒子である。
【0116】
この第一上流層組成物および第二上流層組成物は両方とも、安定化を与える成分を含み、好適には第一層内に第一安定剤および第二層内に第二安定剤を含める。この安定剤をアルカリ土類金属化合物から成る群から選択する。好適な化合物にはマグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウムから成る群から選択される金属から誘導される化合物が含まれる。安定剤または安定剤組み合わせを用いて支持体材料、例えば活性化アルミナなどを熱的に安定にすることで、アルミナ相が高温で望ましくなくガンマからアルファに変化するのを遅らせることができることは、米国特許第4,727,052号から公知である。多様な安定剤が開示されているが、本発明の第一層および第二層組成物ではアルカリ土類金属成分を用いる。このアルカリ土類金属成分は好適にはアルカリ土類金属の酸化物である。特に好適な組成物では、第一および/または第二層組成物にバリウムおよびストロンチウムを化合物として用いるのが望ましい。このアルカリ土類金属は可溶形態で塗布可能であり、これは焼成時に酸化物になる。硝酸バリウム、酢酸バリウムまたは水酸化バリウムとして可溶バリウムを供給しそして硝酸ストロンチウムまたは酢酸ストロンチウムとして可溶ストロンチウムを供給するのが好適であり、これらは全部、焼成時に酸化物になる。
【0117】
本発明の1つの面では、担体基質上で前以て焼成を受けさせておいた活性化アルミナおよび触媒成分の被膜に1種以上の熱安定剤および/または触媒助触媒を付着させる。本発明の他の面では、アルミナ粒子を担体基質に付着させて焼成被膜を生じさせる前か後に、この活性化アルミナに1種以上の添加剤を加えてもよい。(本明細書で用いる如き「前駆体」は、熱安定剤、他の改質剤または他の成分の前駆体であるか否かに拘らず、触媒の焼成時または使用時に分解するか或は他の様式でそれぞれ熱安定剤、他の改質剤または他の成分に変化する化合物、錯体などである)。熱安定剤である金属酸化物を1種以上存在させると、高い表面積を有するアルミナの相転移、例えばガンマおよびイータアルミナからアルファ−アルミナ(これは小さい表面積のアルミナである)への転移が遅くなる傾向がある。このように相転換が遅くなることで、アルミナによる触媒金属成分の吸蔵(結果として触媒活性の低下を伴う)が防止されるか或は低くなる傾向がある。
【0118】
第一および第二上流層組成物の各々でアルミナと組み合わせる熱安定剤である金属酸化物の量は、アルミナと安定剤と触媒金属成分を一緒にした全重量を基準にして約0.05から30重量パーセント、好適には約0.1から25重量パーセントであってもよい。
【0119】
更に、この第一上流層組成物および第二上流層組成物の両方に、ジルコニウムから誘導される化合物、好適には酸化ジルコニウムも含める。このジルコニウム化合物は、水溶性化合物、例えば酢酸ジルコニウムなどとしてか或は比較的不溶な化合物、例えば水酸化ジ
ルコニウムなどとして供給可能である。個々の組成物の安定化および助触媒性を高めるに充分な量にすべきである。
【0120】
この第一上流層組成物および第二上流層組成物の両方に、ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一助触媒を含め、好適な成分は酸化ランタン(ランタナ)および酸化ネオジム(ネオジミア)である。特に好適な組成物では、ボトム層内にランタナを存在させそして任意にネオジミアを少量存在させ、そしてトップコート内にネオジミアまたは任意にランタナを存在させる。これらの化合物はアルミナ支持体用安定剤として働くことが知られているが、本発明の組成物におけるこれらの主要な目的は、これらを個々の第一および第二層組成物の反応助触媒として働かせることにある。助触媒は、所望の化学物質が別の物質に変化する変換率を高める材料であると見なす。TWCの場合の助触媒は、触媒による一酸化炭素および炭化水素から水および二酸化炭素への変換率そして窒素酸化物から窒素および酸素への変換率を高める。
【0121】
好適には、この第一および第二上流層にランタンおよび/またはネオジムを酸化物の形態で含める。しかしながら、これらの化合物を、好適には最初、可溶形態、例えば酢酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩などの形態で供給して固体状成分に含浸させた後、酸化物に変化させる。このトップコートおよびボトムコートの両方とも、助触媒を該組成物に含める他の成分、特に白金族金属と密に接触させるのが好適である。
【0122】
本発明の第一上流層組成物および/または第二上流層組成物に他の通常添加剤、例えば硫化物抑制剤、例えばニッケルまたは鉄成分などを含めることも可能である。酸化ニッケルを使用する場合、第一コートの約1から25重量%の量が有効であり得る。引用することによって本明細書に組み入れられる米国特許第5,057,483号に開示されているように。
【0123】
本発明の特に有用な上流の層状触媒複合体は、第一層内に第一パラジウム成分を約0.003から0.3g/立方インチ;パラジウム以外の第一白金族金属成分を約0から0.065g/立方インチ;第一支持体、即ちアルミナを約0.15から約2.0g/立方インチ;上記パラジウム成分と密に接触している第一酸素貯蔵成分を全体で少なくとも約0.05g/立方インチ;少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分を約0.025から約0.5g/立方インチ;第一ジルコニウム成分を約0.025から約0.5g/立方インチ;ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一希土類金属成分を約0.025から約0.5g/立方インチ含み、そして第二層内に、第二パラジウム成分を約0.003から0.3g/立方インチ;第二ロジウム成分または第二白金成分またはそれらの混合物を約0から0.065g/立方インチ;第二支持体、即ちアルミナを約0.15g/立方インチから約2.0g/立方インチ;および第二ジルコニウム成分を約0.025から約0.5g/立方インチ含むものである。上記第一および/または第二層に更にニッケル成分を約0.025g/立方インチから約0.5g/立方インチ含めてもよい。この第一および/または第二層に更にジルコニアとセリアの粒子状複合体を0.0から2.0g/立方インチの量で含めてもよく、この複合体に、ジルコニアを60から90重量%、セリアを10から30重量%、およびランタナ、ネオジミアおよびそれらの混合物を含む希土類酸化物を0から10重量%含める。このパラジウム成分および他の白金族金属成分の重量は金属の重量を基にした重量である。
【0124】
この触媒複合体をモノリス型基質上に層の状態で被覆してもよく、これに触媒組成物を、このモノリスの体積当たりの組成物のグラム数を基準にして、一般に約0.50から約6.0、好適には約1.0から約5.0g/立方インチ含めてもよい。
【0125】
本発明の触媒複合体は適切な如何なる方法で製造されてもよい。好適な方法は、水溶性
もしくは分散性を示す少なくとも1種の第一パラジウム成分が入っている溶液とこの溶液を本質的に全部吸収するに充分なほど乾燥している高表面積の微細耐火性酸化物から成る第一混合物を混合することを含む。パラジウム以外の第一白金族金属成分を使用する場合、これをパラジウム成分を支持させた粒子と同じか或は異なる耐火性酸化物粒子に支持させてもよい。
【0126】
次に、この支持させた第一パラジウムおよび他の成分を水に添加し、好適には粉砕して、第一コート(層)のスラリーを生じさせる。その支持させた、パラジウム以外の第一白金族成分を、第一支持パラジウム成分と一緒に粉砕するか或は個別に粉砕した後、他の成分と一緒にして第一コートのスラリーを生じさせてもよい。好適には、このスラリーを酸性にし、7以下のpH、好適には3から7のpHにする。好適には、上記スラリーに酸、好適には酢酸を添加することによってpHを下げる。特に好適な態様では、この第一コートのスラリーを粉砕することで、結果として実質的に全ての固体が平均直径で10ミクロメートル以下の粒子サイズを有するようにする。この第一コートのスラリーから第一層を形成させて乾燥させることができる。この第一層では、結果として得た第一混合物に入っている第一パラジウム成分およびパラジウム成分以外の任意の白金成分を、化学的にか或は焼成によって、水に不溶な形態に変化させる。好適には、この第一層の焼成を好適には少なくとも250℃で行う。
【0127】
少なくとも1種の水溶性第二パラジウム成分が入っている溶液とこの溶液を本質的に全部吸収するに充分なほど乾燥している高表面積の微細耐火性酸化物から成る第二混合物を混合する。第二白金族金属成分を使用する場合、これをパラジウム成分を支持させた粒子と同じか或は異なる耐火性酸化物粒子に支持させてもよい。好適には、該パラジウム成分のとは異なる耐火性酸化物粒子にロジウム成分を支持させる。この支持させた第二パラジウム成分および他の成分を水に添加し、好適には粉砕して、第二コートのスラリーを生じさせる。その支持させた、パラジウム以外の第二白金族金属成分を、上記パラジウム成分と一緒に粉砕するか或は個別に粉砕した後、その支持させたパラジウム成分および他の成分と一緒にして第二コートのスラリーを生じさせてもよい。好適には、この第二スラリーを酸性にし、7以下のpH、好適には3から7のpHにする。好適には、上記スラリーに酸、好適には硝酸を添加することによってpHを下げる。特に好適な態様では、この第二コートのスラリーを粉砕することで、結果として実質的に全ての固体が平均直径で10ミクロメートル以下の粒子サイズを有するようにする。この第二スラリーを用いて第一層上に第二層を形成させて乾燥させることができる。その結果として生じる第二コート混合物内の第二パラジウム成分およびパラジウム以外の任意の第二白金族金属成分を化学的にか或は焼成によって不溶形態に変化させることができる。次に、好適には、この第二層の焼成を好適には少なくとも250℃で行う。
【0128】
別法として、米国特許第4,134,860号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている方法を用いることでも本複合体の各上流層を調製することができる。
【0129】
マクロサイズの担体に第一および第二コートのスラリーを付着させる場合、粉砕した1つ以上のスラリーを所望様式のいずれかで担体に付着させる。このように、この担体上にスラリーが適当量で存在するようになるまで、望まれるならば中間で乾燥を行いながら、この担体を上記スラリーの中に1回以上浸けてもよい。この担体の上に触媒−助触媒金属成分−高表面積支持体の複合体を付着させる時に用いるスラリーに入れる微細固体量を、しばしば約20から60重量パーセント、好適には約25から55重量パーセントにする。
【0130】
本発明の第一上流層組成物および本発明の第二層組成物を調製した後、それらを適切な
基質、好適には金属またはセラミック製のハニカム担体に取り付けることができる。この粉砕した触媒−助触媒金属成分−高表面積支持体の複合体を所望量で上記担体の上に付着させることができ、例えばその被覆された担体の約2から40重量パーセントを上記複合体で構成させてもよく、典型的なセラミック製ハニカム構造物の場合にはその量を好適には約5から30重量パーセントにする。この担体上に付着させた複合体は、一般に、その接触している担体表面の大部分(全部でなくても)を覆う被膜として生じる。この組み合わせた構造物を乾燥させた後、これの焼成を好適には少なくとも約250℃の温度で行ってもよいが、与えられた状況で望まれない限り、その耐火性酸化物支持体が有する広い面積を過度に壊すほどの高温では行わない。
【0131】
本発明で製造する触媒で用いるに有用な担体は、実際、金属製であってもよく、1種以上の金属または金属合金で作られていてもよい。この金属製担体は多様な形状、例えば波形シートまたはモノリス形態などであってもよい。好適な金属製支持体には耐熱性卑金属合金、特に鉄が実質的成分または主要成分である合金が含まれる。このような合金にニッケル、クロムおよびアルミニウムの1種以上を含めてもよく、このような金属の合計は有利に上記合金の少なくとも約15重量パーセントを構成していてもよく、例えばクロムを約10から25重量パーセント、アルミニウムを約3から8重量パーセントおよびニッケルを約20重量パーセント以下の量で存在させてもよい、即ちニッケル(存在させる場合)を少なくとも約1重量パーセントの量か或は痕跡量以上の量で存在させてもよい。好適な合金は、他の金属、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1種以上を少量または痕跡量で含有し得る。この金属担体の表面を極めて高い温度、例えば少なくとも約1000℃の温度で酸化させてこの担体の表面に酸化物層を生じさせることで、この合金の耐食性を向上させてもよく、この層の厚みおよび表面積は、周囲温度で酸化を起こさせる結果として生じる厚みおよび表面積よりも高い。高温酸化で酸化させた表面もしくは拡張させた表面を上記合金担体に与えると、この担体に対して上記耐火性酸化物支持体および触媒−助触媒金属成分が示す接着性が高くなり得る。
【0132】
適切な如何なる担体、例えば中を通って流れる流体流れに通路を開放するように担体の入り口または出口面から中を通って伸びる平行で微細な気体流れ通路が多数備わっている種類のモノリス型担体などを使用することができる。流体入り口から流体出口に向かって本質的に真っすぐな通路が壁で限定されていて、この壁に触媒材料を「ウオッシュコート」として被覆すると、結果として、その通路の中を流れる気体はその触媒材料に接触する。このモノリス型担体に備わっている流れ通路は薄壁チャンネル(channels)であり、このチャンネルは、適切な如何なる断面形状およびサイズを有していてもよく、例えば台形、長方形、正方形、正弦形、六角形、楕円形、円形などであってもよい。上記構造物に気体流入開口部(「セル」)を断面1平方インチ当たり約60から約1200個またはそれ以上持たせてもよい。セラミック製担体は適切な如何なる耐火性材料で作られていてもよく、例えばコージライト、コージライト−アルファアルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト(sillimanite)、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト(petalite)、アルファアルミナおよびアルミノシリケート類などで作られていてもよい。金属製ハニカムは耐火性金属、例えばステンレス鋼または鉄を基とするか或はニッケルを基とする他の適切な耐食性合金などで作られていてもよい。
【0133】
このようなモノリス型担体にフローチャンネル(「セル」)を断面1平方インチ当たり約700個またはそれ以上に及んで含めてもよいが、それよりもずっと少ない数も使用可能である。例えば、この担体の平方インチ当たりのセル数(「cpsi」)は約60から600、より通常には約200から400であってもよい。
【0134】
触媒材料の第二コート(通常「ウオッシュコート」と呼ぶ)を個別形態で適切な担体上
に被覆するが、好適には、この担体に第一コートを接着させそしてこの第一コートの上に第二コートを重ねて接着させる。このような配置を用いると、この触媒に接触する気体、例えば触媒材料を被覆した担体に備わっている通路の中を通って流れる気体は、最初に第二、即ちトップコートに接触した後、その中を貫通してその下に位置しているボトム、即ち第一コートに接触する。しかしながら、代替構造配置では、この第二コートを第一コートの上に位置させる必要はなく、この第二コートをその担体の上流部分(触媒組成物の中を気体が流れる方向の意味で)に位置させ、この担体の下流部分に第一コートを位置させてもよい。従って、ウオッシュコートをそのような構造配置で付着させる場合には、担体の縦方向上流部分のみを第二コート触媒材料のスラリーに浸漬して乾燥させた後、この担体の縦方向下流部分(未浸漬)を第一コート触媒材料のスラリーに浸漬して乾燥させることになるであろう。また、個別の上流担体を使用することも可能であり、1つの担体に第一上流コートを付着させそして2番目の担体に第二上流コートを付着させた後、この2つの担体を個々にキャニスター(canister)または他の保持用デバイスの中に位置させてもよく、そしてこれらを、処理すべき排気ガスが直列で最初に上記触媒含有第二コートの中を流れた後その上に位置している上記触媒含有第一コートの中を流れるように配置する。しかしながら、上に示したように、第一コートの上に第二コートを位置させて接着させた触媒組成物を利用するのが好適である、と言うのは、このような構造配置の方が触媒組成物の製造が簡単であると共に効率が高いと考えられるからである。
【0135】
下流の2層触媒
本発明は下流の触媒ゾーンが基質と少なくとも2層含む態様を包含する。この触媒構造はスリーウエイ変換触媒またはTWCとして用いるに有用な種類の層状触媒複合体に向けたものである。本発明のTWC触媒複合体は気体流れに含まれる炭化水素および一酸化炭素の酸化と窒素酸化物の還元を同時に触媒する。2層含有する下流ゾーン18に最も好適な組成物は共通譲渡の米国連続番号08/563,884(引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている組成物である。
【0136】
この層状触媒複合体に、第一下流層組成物で出来ている第一下流層と第二層組成物で出来ている第二層を含める。上に示したように、上記気体流れは、最初、窒素酸化物から窒素への還元および炭化水素の酸化を有効に起こさせる一方で一酸化炭素の酸化をいくらか起こさせるように設計した第二、トップ、即ち外側下流層組成物に出会う。次に、この気体を第一下流層に流れ込ませることで汚染物の残りの変換を起こさせる。
【0137】
この層状触媒複合体に、第一層組成物で出来ている第一下流層と第二層組成物で出来ている第二下流層を含める。この第一下流層をまたボトム層または内側層とも呼び、そして第二下流層をまたトップ層または外側層とも呼ぶ。
【0138】
示すように、気体流れは、最初、窒素酸化物から窒素への還元および炭化水素の酸化が有効に起こると同時に一酸化炭素の酸化がいくらか起こるように設計した第二下流組成物に出会う。次に、この気体は、汚染物の変換(これには炭化水素の酸化および残存する一酸化炭素の酸化が含まれる)が起こるように設計した第一下流層に流れ込む。
【0139】
この第一下流層の特殊な設計により、幅広い温度範囲に渡って炭化水素の酸化が長期間有効に生じる。好適な複合体では、第一下流層にパラジウム成分を触媒有効量で含める。任意に、白金を0から50重量パーセントの少量、即ち第一層および第二層で用いる白金成分全体を基準にした白金金属量が0から50重量パーセント以下、好適には0から20重量パーセント、最も好適には0から10重量パーセントになるように存在させてもよい。白金を用いる場合、それの典型的な最小量は、第一層および第二層内の白金金属を基準にした白金成分量で約1重量パーセント、好適には3重量パーセント、最も好適には5重量パーセントである。安定剤、好適にはアルカリ土類金属、助触媒、好適にはランタンお
よびネオジムから選択される助触媒、およびジルコニウム成分を用いることによって、第一層に入れる白金族の貴金属成分が示す性能を向上させることができる。また好適には酸素貯蔵成分も含める。この酸素貯蔵成分は如何なる形態のものであってもよく、この形態にはバルク形態、第一酸素貯蔵組成物の一部(中に入っているか、或は溶液として含浸させた)(この場合には、酸素貯蔵成分と第一層の白金族金属成分の間で密な接触が生じ得る)などが含まれる。この酸素貯蔵成分はボトム層内で起こる酸化を向上させる。この酸素貯蔵成分を可溶塩の溶液形態で導入してこれを支持体および他の粒子状材料に含浸させると(その後、焼成で酸化物形態に変換してもよい)、密な接触が生じる。
【0140】
この第二下流層に第二白金成分とロジウム成分を含める。この第二、即ちトップ下流層に白金成分を第一層および第二層内の白金金属全体を基準にして50から100重量パーセントの量で含める。この第二下流層は、変換効率をより高い温度で得る目的で、希釈された酸素貯蔵成分が入っている酸素貯蔵組成物を用いる。好適な酸素貯蔵組成物はセリアとジルコニアを含む複合体である。その結果として、バルクな酸素貯蔵組成物粒子に白金族金属成分を支持させる場合でも、この第二酸素貯蔵成分と白金族金属成分(即ちロジウムおよび白金成分)の密な接触が最小限になる。この第二層に第二ジルコニウム成分を含めるのが好適である。
【0141】
この第一下流層組成物および第二下流層組成物のそれぞれに第一支持体および第二支持体(これらの支持体成分は同じか或は異なっていてもよい)を含める。このような支持体には、好適には高い表面積を有する耐火性酸化物支持体が含まれる。高い表面積を有する有用な支持体には1種以上の耐火性酸化物が含まれる。このような酸化物には、例えばシリカおよびアルミナが含まれ、そして混合酸化物形態、例えばシリカ−アルミナ、非晶質もしくは結晶性であってもよいアルミノシリケート類、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミア、アルミナ−セリアなどが含まれる。この支持体を実質的にアルミナ(これには、好適には、ガンマまたは過渡的なアルミナ、例えばガンマおよびイータアルミナなどの一員が含まれる)で構成させ、そしてこれに他の耐火性酸化物を存在させる場合、それを少量、例えば約20重量パーセント以下の量で存在させる。望ましくは、この活性化アルミナに60から300m/gの比表面積を持たせる。
【0142】
本発明の好適な触媒には白金族金属成分を含め、これを、炭化水素および一酸化炭素の酸化および窒素酸化物の還元をもたらす触媒活性が有意に向上した組成物が得られるに充分な量で存在させる。この白金族金属成分、特にロジウム成分およびパラジウム成分の位置そして第一層および第二層それぞれに入れる白金成分の相対量によって触媒活性の持久力が影響を受けることを見い出した。加うるに、第二酸素貯蔵成分を希釈して用いてこれを白金成分およびロジウム成分の大部分と密に接触させていないこともまた長期の触媒活性が向上する一因になっている。
【0143】
この触媒の製造では、白金族金属触媒成分、例えばこの白金族金属の適切な化合物および/または錯体のいずれかを用いて支持体、好適には活性化アルミナ支持体粒子への触媒成分の分散を達成することができる。本明細書で用いる如き用語「白金族金属成分」には、列挙した白金、ロジウムおよび白金成分が含まれ、これは、この触媒の焼成時または使用時に分解するか或は他の様式で触媒的に活性な形態、通常、金属または金属酸化物に変化する如何なる白金族金属化合物、錯体なども意味する。アルミナ支持体粒子に触媒金属化合物を含浸または付着させる目的で用いる液体が該触媒金属またはそれの化合物もしくは錯体とか或はこのスラリーに含める他の成分と不利な反応を起こさずそして熱および/または真空をかけた時点で蒸発または分解することでこの触媒から除去され得る限り、1種以上の白金族金属成分の水溶性化合物または水に分散し得る化合物もしくは錯体を用いることができる。ある場合には、この触媒を使用に供してこれが運転中に遭遇する高温を受けるまでは上記液体の完全な除去が起こらない可能性もある。一般的には、経済および
環境両方の面を鑑み、白金族金属の可溶化合物もしくは錯体が入っている水溶液を用いるのが好適である。適切な化合物は、例えばクロロ白金酸、アミンで可溶化した水酸化白金、例えば白金のヘキサヒドロキシモノエタノールアミン錯体、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、ヘキサミン塩化ロジウム、硝酸パラジウムまたは塩化パラジウムなどである。この触媒の焼成段階中か或は少なくともこの触媒を使用する初期段階中に、上記化合物は触媒的に活性な形態の白金族金属またはそれらの化合物、典型的には酸化物に変化する。
【0144】
本発明の触媒に第一下流酸素貯蔵成分を含めてもよく、これはバルク形態であってもよいか、或はこれを上記白金族金属成分、即ちパラジウム成分と密に接触させて第一層に入れてもよい。この酸素貯蔵成分は、本技術分野で知られているそのような材料のいずれかであり、好適には、希土類金属から成る群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物であり、最も好適にはセリウム、プラセオジムまたはネオジム化合物であり、最も好適な酸素貯蔵成分は酸化セリウム(セリア)である。
【0145】
本技術分野で知られる分散方法を用いて、この第一下流層の組成物に上記酸素貯蔵成分を含めることができる。このような方法には第一支持体組成物への含浸が含まれ得る。この酸素貯蔵成分は水溶液の形態であってもよい。その結果として得られる混合物の乾燥および焼成を空気中で行うと、上記白金族金属成分と密に接触した状態で上記酸素貯蔵成分の酸化物を含む第一層が生じる。含浸は、典型的に、含浸を受けさせる材料の孔が液体で実質的に完全に満たされることを意味する。用いることができる水溶解性で分解性の酸素貯蔵成分の例には、これらに限定するものでないが、酢酸セリウム、酢酸プラセオジム、硝酸セリウム、硝酸プラセオジムなどが含まれる。米国特許第4,189,404号にはアルミナを基とする支持体組成物に硝酸セリウムを含浸させることが開示されている。
【0146】
この第二下流層内に、任意におよび好適には、バルク形態の第二酸素貯蔵組成物を存在させる。この第二酸素貯蔵組成物に第二酸素貯蔵成分を含め、この成分は、好適にはセリウム族成分、好適にはセリア、プラセオジミアおよび/またはネオジミア、最も好適にはセリアである。バルク形態は、このセリアおよび/またはプラセオジミアを含む組成物が0.1から15ミクロンまたはそれ以下の如き小さい直径を有していてもよい個々の粒子として存在することを意味し、これは第一層のように溶液の状態で分散させるのとは対照的である。このようなバルクな成分の記述および使用は米国特許第4,714,694号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている。米国特許第4,727,052号(これもまた引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されているように、バルクな形態には、ジルコニアまたはジルコニアで活性化したアルミナの粒子と混和しているセリアで出来ている酸素貯蔵組成物粒子が含まれる。この酸素貯蔵成分を酸素貯蔵組成物の部分として希釈するのが特に好適である。
【0147】
第二下流層に加えて第一下流層で用いる酸素貯蔵組成物に酸素貯蔵成分、好適にはセリアと希釈成分を含めてもよい。この希釈成分は、白金族金属成分の触媒活性に悪影響を与えないように上記成分との相互作用に不活性な如何なる適切な充填材であってもよい。有用な希釈剤材料は耐火性酸化物であり、好適な耐火性酸化物は以下に触媒支持体として用いるに適するとして示す材料と同じ種類のものである。最も好適なものはジルコニウム化合物であり、ジルコニアが最も好適である。従って、好適な酸素貯蔵成分はセリア−ジルコニア複合体である。セリアをセリアとジルコニアを基準にして1から99重量パーセント、好適には1から50重量パーセント、より好適には5から30重量パーセント、最も好適には10から25重量パーセントの量で存在させてもよい。第二層組成物そして任意に第一層組成物内で用いるに好適な酸素貯蔵組成物には、ジルコニアとセリアと少なくとも1種の希土類酸化物から作られた複合体を含めることができる。このような材料は例えば米国特許第4,624,940号および5,057,483号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。特に好適なものは、ジルコニウムを基と
する化合物を50重量%以上、好適にはジルコニアを60から90重量%、セリアを10から30重量%、そして任意に、このジルコニアの安定化に有用なランタナ、ネオジミアおよびイットリアから成る群から選択される非セリア希土類酸化物を10重量%以下の量(これを使用する場合少なくとも0.1重量%の量)で含む粒子である。
【0148】
この第一下流層組成物に、任意におよび好適には、安定化を与える成分を含める。この安定剤はアルカリ土類金属化合物から成る群から選択可能である。好適な化合物にはマグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウムから成る群から選択される金属から誘導される化合物が含まれる。安定剤または安定剤組み合わせを用いて支持体材料、例えば活性化アルミナなどを熱的に安定にすることで、アルミナ相が高温で望ましくなくガンマからアルファに変化するのを遅らせることができることは、米国特許第4,727,052号から公知である。多様な安定剤が開示されているが、本発明の第一層組成物では好適にアルカリ土類金属成分を用いる。このアルカリ土類金属成分は好適にはアルカリ土類金属の酸化物である。特に好適な組成物では、酸化バリウムおよび/または酸化ストロンチウムを第一層組成物に入れる化合物として用いるのが望ましい。このアルカリ土類金属は可溶形態で塗布可能であり、これは焼成時に酸化物になる。亜硝酸バリウムまたは水酸化バリウムとして可溶バリウムを供給しそして硝酸ストロンチウムまたは酢酸ストロンチウムとして可溶ストロンチウムを供給するのが好適であり、これらは全部、焼成時に酸化物になる。
【0149】
本発明の1つの面では、担体基質上で前以て焼成を受けさせておいた活性化アルミナおよび触媒成分の被膜に1種以上の熱安定剤を付着させる。本発明の他の面では、アルミナ粒子を担体基質に付着させて焼成被膜を生じさせる前か後に、この活性化アルミナに1種以上の改質剤を加えてもよい。(本明細書で用いる如き「前駆体」は、熱安定剤、他の改質剤または他の成分の前駆体であるか否かに拘らず、触媒の焼成時または使用時に分解するか或は他の様式でそれぞれ熱安定剤、他の改質剤または他の成分に変化する化合物、錯体などである)。熱安定剤である金属酸化物を1種以上存在させると、典型的に、高い表面積を有するアルミナの相転移、例えばガンマおよびイータアルミナからアルファ−アルミナ(これは小さい表面積のアルミナである)への転移が遅くなる傾向がある。このように相転換が遅くなることで、アルミナによる触媒金属成分の吸蔵(結果として触媒活性の低下を伴う)が防止されるか或は低くなる傾向がある。
【0150】
第一下流層組成物に含めるアルミナと組み合わせる熱安定剤の量は、アルミナと安定剤と触媒金属成分を一緒にした全重量を基準にして約0.05から30重量パーセント、好適には約0.1から25重量パーセントであってもよい。
【0151】
この第一下流層組成物および第二下流層組成物の両方に、ジルコニウムから誘導される化合物、好適には酸化ジルコニウムを含めてもよい。このジルコニウム化合物は、水溶性化合物、例えば酢酸ジルコニウムなどとしてか或は比較的不溶な化合物、例えば水酸化ジルコニウムなどとして供給可能である。個々の組成物の安定化および助触媒性を高めるに充分な量にすべきである。
【0152】
この第一下流層組成物に、好適には、ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一助触媒を含め、好適な成分は酸化ランタン(ランタナ)および酸化ネオジム(ネオジミア)である。特に好適な組成物では、ボトム層内にランタナを存在させそして任意にネオジミアを少量存在させ、そしてトップコート内にネオジミアまたは任意にランタナを存在させる。このような化合物は安定剤として働くことが開示されているが、これらはまた反応助触媒としても働き得る。助触媒は、所望の化学物質が別の物質に変化する変換率を高める材料であると見なす。TWCの場合の助触媒は、触媒による一酸化炭素および炭化水素から水および二酸化炭素への変換率そして窒素
酸化物から窒素および酸素への変換率を高める。
【0153】
好適には、この第一下流層にランタンおよび/またはネオジムを酸化物の形態で含める。好適には、これらの化合物を、最初、可溶形態、例えば酢酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩などの形態で供給して固体状成分に含浸させた後、酸化物に変化させる。この第一層では、この助触媒を該組成物に含める他の成分、特に白金族金属と密に接触させるのが好適である。
【0154】
本発明の第一下流層組成物および/または第二下流層組成物に他の通常添加剤、例えば硫化物抑制剤、例えばニッケルまたは鉄成分などを含めてもよい。酸化ニッケルを使用する場合、引用することによって本明細書に組み入れられる共通所有の連続番号07/787,192に開示するように、第一コートの約1から25重量%の量が有効であり得る。
【0155】
本発明の特に有用な下流の層状触媒複合体は、第一層内にパラジウム成分を約0.025から0.10g/立方インチ;第一白金成分を約0から0.01g/立方インチ;第一支持体、即ちアルミナを約0.15から約1.5g/立方インチ;第一酸素貯蔵成分を少なくとも約0.05g/立方インチ;少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分を約0.025から約0.5g/立方インチ;第一ジルコニウム成分を約0.025から約0.5g/立方インチ;ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一希土類金属成分を約0.0から約0.5g/立方インチ含み、そして第二層内に、第二白金成分を約0.001から0.02g/立方インチおよびロジウム成分を約0.001から0.01g/立方インチ;第二支持体、即ちアルミナを約0.15g/立方インチから約1.0g/立方インチ;第二酸素貯蔵複合体(これはジルコニアとセリアの粒子状複合体を包含)を約0.1g/立方インチから約1.5g/立方インチ;および第二ジルコニウム成分を約0.025から約0.5g/立方インチ含むものである。この第一および/または第二層に更にニッケル成分を約0.025g/立方インチから約0.5g/立方インチ含めてもよい。上記ジルコニアとセリアの粒子状複合体にジルコニアを60から90重量%、セリアを10から30重量%、およびランタナ、ネオジミアおよびそれらの混合物を含む希土類酸化物を0から10重量%含めてもよい。
【0156】
この下流触媒複合体をモノリス型基質上に層の状態で被覆してもよく、これに触媒組成物を、このモノリスの体積当たりの組成物のグラム数を基準にして、一般に約0.50から約6.0、好適には約1.0から約5.0g/立方インチ含めてもよい。本発明の触媒複合体は適切な如何なる方法で製造されてもよい。好適な方法は、少なくとも1種の水溶性第一パラジウム成分と任意に第一白金成分が入っている溶液とこの溶液を本質的に全部吸収するに充分なほど乾燥している高表面積の微細耐火性酸化物から成る第一混合物を混合することを含む。
【0157】
第一下流パラジウムおよび白金成分を水に添加して第一スラリーを生じさせた後、好適にはこれらを第一スラリー内で粉砕する。好適には、このスラリーを酸性にし、7以下のpH、好適には3から7のpHにする。好適には、上記スラリーに酸、好適には酢酸を添加することによってpHを下げる。特に好適な態様では、この第一スラリーを粉砕することで、結果として実質的に全ての固体が平均直径で10ミクロメートル以下の粒子サイズを有するようにする。この第一スラリーから第一層を形成させて乾燥させることができる。この第一層では、その結果として得た第一混合物内の第一パラジウム成分および任意の白金成分を水に不溶な形態に変化させる。化学的にか或は焼成によって上記パラジウム成分と白金成分を不溶形態に変化させることができる。好適には、この第一層の焼成を好適には少なくとも250℃で行う。
【0158】
少なくとも1種の水溶性第二白金成分と少なくとも1種の水溶性ロジウム成分から成る
第二混合物が入っている溶液と、この溶液を本質的に全部吸収するに充分なほど乾燥している高表面積の微細耐火性酸化物を混合する。この第二白金成分と第二ロジウム成分を水に添加することで第二スラリーを生じさせた後、好適にはこれらを第二スラリー内で粉砕する。好適には、この第二スラリーを酸性にし、7以下のpH、好適には3から7のpHにする。好適には、上記スラリーに酸、好適には酢酸を添加することによってpHを下げる。特に好適な態様では、この第二スラリーを粉砕することで、結果として実質的に全ての固体が平均直径で10ミクロメートル以下の粒子サイズを有するようにする。この第二スラリーを用いて第一層上に第二層を形成させて乾燥させることができる。その結果として得た第二混合物内の第二白金族成分および第二ロジウム成分を水に不溶な形態に変化させる。化学的にか或は焼成によって上記白金成分とロジウム成分を不溶形態に変化させることができる。次に、好適には、この第二層の焼成を好適には少なくとも250℃で行う。
【0159】
また、以下に一般的に示すように、米国特許第4,134,860号(引用することによって組み入れられる)に開示されている方法を用いることでも、本複合体の各下流層を調製することができる。
【0160】
高い表面積を有する微細耐火性酸化物支持体を、水溶性の触媒助触媒金属成分、好適には1種以上の白金族金属成分が入っている溶液に接触させることにより、遊離もしくは未吸収の液体が本質的に入っていない混合物を生じさせる。この過程のこの時点において、この混合物が未吸収の液体を本質的に含まないままにしながら、この固体状微細混合物の触媒助触媒白金族金属成分を本質的に水に不溶な形態に変化させることができる。この過程は、上記触媒助触媒金属成分が入っている溶液を本質的に全部吸収するに充分なほど(即ちこの溶液と支持体の量に加えてこの支持体に入っている水分含有量が、上記触媒助触媒金属成分の添加が終了した時点でそれらの混合物に遊離もしくは未吸収の溶液が本質的に存在しないような量であるように)乾燥している耐火性酸化物支持体、例えば安定化アルミナを含むアルミナなどを用いることで達成可能である。この後者の変換、即ち支持体上に位置する触媒助触媒金属成分の固定を行っている間、その複合体は本質的に乾燥したままである、即ち分離しているか或は遊離している液相を実質的に含まない。
【0161】
この固定させた触媒助触媒金属成分が入っている混合物をスラリー(好適には酸性)として粉砕することにより、有利に、主にサイズが約5から15ミクロン以下の固体状粒子を生じさせてもよい。好適には、その結果として生じたスラリーでマクロサイズの担体、好適には低い表面積を有する担体を被覆し、そしてこの複合体を乾燥させた後、焼成を受けさせてもよい。このような触媒では、上記触媒助触媒金属成分と高表面積の支持体から成る複合体は上記担体に対して、この担体が例えば金属担体の場合のように本質的に無孔性であっても、強い接着力を示し、そしてこの触媒は、これを激しい反応条件下で用いた時でも、非常に良好な触媒活性と寿命を示す。第一層および第二層各々の塗布および焼成を行って本発明の複合体を成功裏に生じさせることができる。
【0162】
このような方法を用いると製造系に添加した白金族金属成分の本質的に全部が触媒内に残存しかつこの組成物はその活性を示す単一もしくは複数の触媒助触媒金属成分を本質的に計算量で含むことから、上記触媒助触媒金属の含有量が均一で確かな組成物が得られる。ある場合には、一定の耐火性酸化物支持体上に複数の触媒活性金属成分を同時または逐次的に付着させることができる。本発明の手順を用いて、いろいろな組成を持たせるように個別に調製した触媒助触媒金属成分と耐火性酸化物の複合体を密に混合することにより、多様な触媒を製造することができ、これの金属含有量は、特別な触媒効果が得られるように精密に調節および選択可能である。このように混合した複合体に、望まれるならば、耐火性酸化物支持体粒子の一部の上に位置させた1種以上の触媒助触媒金属成分と、耐火性酸化物支持体粒子の別の一部の上に位置させた異なる1種以上の触媒助触媒金属成分を
含めてもよい。例えば、この複合体に、耐火性酸化物粒子の一部の上に位置させた白金族金属成分と、耐火性酸化物粒子の異なる一部の上に位置させた卑金属成分を含めてもよい。また、一定の複合体内に入れる耐火性酸化物支持体粒子の個別部分の上に異なる白金族金属または異なる卑金属を付着させてもよい。従って、本方法は、組成が容易に変更可能で精密に調節可能な触媒が得られる点で非常に有利であることは明らかである。
【0163】
第一層および第二層のそれぞれで、高い表面積を有する耐火性酸化物上に貴金属群または卑金属群の成分を単独もしくは混合物として生じさせた後、これをマクロサイズの担体に付着させてもよい。これにより、白金金属成分は上記担体の外側表面に付着することから、少量存在させる白金金属成分の利用度が最大になる。この後者の方法を用いることにより、種々の金属成分が入っている実質的に個々別々の層を高い表面積を有する耐火性酸化物に付着させることが可能になることで、高価な触媒成分を最大限に利用することができ、或は特定の触媒的有利さを得ることができ、例えば比較的低い温度で着火または反応開始活性をもたらす成分で入り口部分を被覆することなどが可能になる。この金属成分が担体に選択的に付着してその耐火性酸化物に固定されていないと、これらは1つの触媒層から次の触媒層へと自由に動く可能性がある。
【0164】
本方法に従い、水溶性形態の触媒助触媒金属が入っている水溶液を高い表面積を有する微細支持体と混合して上記溶液を上記支持体内に本質的に完全に吸収させることにより、この触媒助触媒金属成分と耐火性酸化物支持体の混合物を製造することができる。この溶液に水溶性の貴金属化合物もしくは卑金属化合物を1種以上含めてもよい。水溶性白金族金属成分は、水酸化白金またはテトラミン錯体などの如き塩基性化合物か或はクロロ白金酸または硝酸ロジウムなどの如き酸性化合物の形態であるのが好適である。有用な卑金属化合物には水溶性塩類、例えば硝酸塩、蟻酸塩、他の酸素含有化合物などが含まれる。個々別々の触媒助触媒金属化合物を1つ以上の水溶液として支持体に添加することにより、一定の支持体粒子上に2種以上の金属を与えてもよい。
【0165】
この触媒助触媒金属の溶液と高い表面積を有する耐火性酸化物支持体を一緒にした後、この触媒助触媒金属成分を上記支持体上に固定してもよい、即ちこの複合体に遊離もしくは未吸収の水性媒体を本質的に存在させないままにしながら、これらを本質的に水に不溶な形態に変換してもよい。この変換は、硫化水素または水素などの如き気体を用いた処理でか或は酢酸などの如き液体か或は液状形態、特に水溶液の形態であってもよい他の薬剤、例えばヒドラジンなどを用いた処理で、化学的に実施可能である。しかしながら、この使用する液体の量は、該触媒助触媒金属を該支持体上に固定している間に該複合体が遊離もしくは未吸収液体を何らかの有意量または実質的量で含むほどの量でない。この固定化処理は、反応性を示す気体か或は本質的に不活性な気体を用いて実施可能であり、この固定化は、例えば該複合体の焼成を空気中でか或は他の気体(これは該触媒助触媒金属成分と反応し得るか或は本質的に不活性であってもよい)中で行うことで達成可能である。その結果として生じる不溶な、即ち固定された触媒助触媒金属成分は、硫化物、酸化物または元素状金属としてか或は他の形態で存在し得る。1つの支持体に複数の触媒助触媒金属成分を付着させる場合に用いる固定化は、各金属成分を付着させた後か或は複数の上記金属成分を付着させた後であってもよい。
【0166】
高い表面積を有する微細耐火性酸化物支持体の粒子サイズは一般に約10または15ミクロメートル以上である。上述したように、この高い表面積を有する支持体を該触媒助触媒金属が入っている溶液と一緒にする時点で、この支持体は、上記溶液を本質的に全部吸収するに充分なほど乾燥している。
【0167】
本発明による触媒製造では、その固定された、即ち水に不溶になった触媒助触媒金属成分と高い表面積を有する支持体で出来ている触媒活性複合体をマクロサイズの担体、好適
には全表面積が小さい担体と一緒にしてもよい。これは、上記触媒活性複合体または複数の上記複合体を最初に水スラリー(好適には酸性)として粉砕することを通して達成可能である。この処理を、通常、このスラリーに入っている固体状粒子の大部分が約10または15ミクロメートル以下の粒子サイズを有するようになるまで継続する。この粉砕は、ボールミルまたは他の適切な装置を用いて達成可能であり、そしてこのスラリーの固体含有量は例えば約20から50重量パーセント、好適には約35から45重量パーセントであってもよい。このスラリーのpHを好適には約5以下にするが、水溶性の有機もしくは無機酸または他の水溶性酸性化合物を少量用いて酸性度を与えてもよい。従って、使用する酸は塩酸または硝酸であってもよいか、或はより好適には、低級脂肪酸、例えば酢酸(これはトリクロロ酢酸の場合のように例えば塩素などで置換されていてもよい)などであってもよい。脂肪酸の使用は、白金族金属が支持体からいくらか失われる量を最小限にするに役立ち得る。
【0168】
この触媒助触媒群の金属−支持体の複合体をマクロサイズの担体に付着させる場合、粉砕した1つ以上のスラリーを個別にか或は担体と一緒にいずれかの所望様式で一緒にする。このように、この担体上にスラリーが適当量で存在するようになるまで、望まれるならば中間で乾燥を行いながら、この担体を上記スラリーの中に1回以上浸けてもよい。この触媒助触媒金属成分−高表面積支持体の複合体を担体に付着させる時に用いるスラリーに入れる微細固体量を、しばしば約20から50重量パーセント、好適には約35から45重量パーセントにする。
【0169】
この下流の層状触媒複合体は自己支持型構造物、例えばペレットなどの如き形態か、或は適切な担体または基質、例えば金属もしくはセラミック製ハニカムなどの上に位置させて使用可能である。
【0170】
本発明の第一下流層組成物および本発明の第二下流層組成物を調製した後、公知手段でペレットに成形するか、或は適切な基質、好適には金属またはセラミック製のハニカム担体に付着させることができる。この粉砕した触媒助触媒金属成分−高表面積支持体の複合体を所望量で上記担体の上に付着させることができ、例えばその被覆された担体の約2から30重量パーセントを上記複合体で構成させてもよく、この量は好適には約5から20重量パーセントである。この担体に付着させた複合体は、一般に、その接触している担体表面の大部分(全部でなくても)を覆う被膜として生じる。この組み合わせた構造物を乾燥させた後、これの焼成を好適には少なくとも約250℃の温度で行ってもよいが、与えられた状況で望まれないならば、その耐火性酸化物支持体が有する広い面積を過度に壊すほどの高温では行わない。
【0171】
本発明で製造する触媒で用いるに有用な担体は、実際、金属製であってもよく、1種以上の金属または金属合金で作られていてもよい。この金属製担体は多様な形状、例えばペレットまたはモノリス形態などであってもよい。好適な金属製支持体には耐熱性卑金属合金、特に鉄が実質的成分または主要成分である合金が含まれる。このような合金にニッケル、クロムおよびアルミニウムの1種以上を含めてもよく、このような金属の合計は有利に上記合金の少なくとも約15重量パーセントを構成していてもよく、例えばクロムを約10から25重量パーセント、アルミニウムを約3から8重量パーセントおよびニッケルを約20重量パーセント以下の量で存在させてもよい、即ちニッケル(存在させる場合)を少なくとも約1重量パーセントの量か或は痕跡量以上の量で存在させてもよい。好適な合金は、他の金属、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1種以上を少量または痕跡量で含有し得る。この金属担体の表面を極めて高い温度で酸化させてこの担体の表面に酸化物層を生じさせることで、この合金の耐食性を向上させてもよく、この層の厚みおよび表面積は、周囲温度で酸化を起こさせる結果として生じる厚みおよび表面積よりも高い。高温酸化で酸化させたか或は拡張させた表面を上記合金担体に与えると、この担体
に対して上記耐火性酸化物支持体および触媒助触媒金属成分が示す接着力が高くなり得る。
【0172】
適切な如何なる担体も使用可能であり、例えば中を通って流れる流体流れに通路を開放するように担体の入り口または出口面から中を通って伸びる平行で微細な気体流れ通路が多数備わっている種類のモノリス型担体などを使用することができる。流体入り口から流体出口に向かって本質的に真っすぐな通路が壁で限定されていて、その壁に触媒材料を「ウオッシュコート」として被覆すると、結果として、その通路の中を流れる気体はその触媒材料に接触する。このモノリス型担体に備わっている流れ通路は薄壁チャンネルであり、このチャンネルは、適切な如何なる断面形状およびサイズを有していてもよく、例えば台形、長方形、正方形、正弦形、六角形、楕円形、円形などであってもよい。上記構造物に気体流入開口部(「セル」)を断面1平方インチ当たり約60から約600個またはそれ以上持たせてもよい。セラミック製担体は適切な如何なる耐火性材料で作られていてもよく、例えばコージライト、コージライト−アルファアルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルファアルミナおよびアルミノシリケート類などで作られていてもよい。金属製ハニカムは耐火性金属、例えばステンレス鋼または鉄を基とする他の適切な耐食性合金などで作られていてもよい。
【0173】
このような金属製モノリス型担体にフローチャンネル(「セル」)を断面1平方インチ当たり約1200個またはそれ以上に及んで含めてもよいが、それよりもずっと少ない数も使用可能である。例えば、この担体の平方インチ当たりのセル数(「cpsi」)は約60から1200、より通常には200から800、最も通常には約400から600であってもよい。
【0174】
代替態様では、下流ゾーン20の熱質量の方が上流ゾーン18のそれよりも大きくなるようなデザインにする。本発明の目的で、上流ゾーンまたは下流ゾーンの質量に個々のゾーンの熱容量をかけた値として熱質量を定義する。このようなデザインをこの上に示した如き触媒組成物と組み合わせて個々のゾーンで用いるのが特に好適である。上流および下流のハニカムモノリスを同じか或は同様な材料で作成する場合に有用な上流モノリスは、ハニカム30の軸方向の長さが0.5から3.0インチ、0.5から2.5インチ、0.5から2.0インチ、1.0から2.0インチおよび1.0から3.0インチの長さの範囲のものである。好適な上流のセラミック製ハニカムモノリスは、長さが2.0から3.0インチの長さのものであり、長さが2.5インチのモノリスが商業的に入手可能である。上流および下流ゾーンの熱質量に影響を与える有意な要因は、その基質を構成している材料である。有効な態様には、上流のハニカムを金属で作成しそして下流のモノリスをセラミックで作成することを含める。セラミック製のハニカムの方が大きい熱容量を有する傾向がある。熱質量に影響を与える他のパラメーターは、1平方インチ当たりのセル数(cpsi)、触媒充填率、およびハニカムの壁厚(これは0.001から0.014インチに及んで多様である)である。セラミック製モノリスの壁厚は典型的に0.002から0.008インチの範囲であり、そして金属製モノリスの壁厚は典型的に0.0015から0.003インチの範囲である。有用なハニカムフロースルーモノリスは300から600cpsiのものである。壁厚などに応じて、モノリスのcpsiが高くなればなるほど熱質量が高くなる。本発明では、上流モノリスのcpsiの方が下流のモノリスのそれよりも小さいモノリスを用いることができる。上流モノリスを小さくすればするほど、より迅速に温まるであろう。有用および好適なハニカムはこの上に示した如きセラミック材料または金属材料から作成可能である。好適な上流のセラミック製ハニカムをコージライトで作成し、これに300から600cpsiを持たせて、軸方向を2.0から3.0インチにする。好適な下流のセラミック製ハニカムをコージライトで作成し、これに300から600cpsiを持たせて、軸方向を3.0以上から約9.0インチにする。この上
流および下流ハニカムを、この上に記述した如き上流ゾーンおよび下流ゾーンの触媒組成物を支持する基質として働かせる。
【0175】
好適には、より小さい上流ゾーンの組成を、それが下流ゾーンのライトオフ温度より低いライトオフ温度を持つように設計する。それによって、上流ゾーンがより早期に温まって反応を触媒するようになる。また、滞留時間がより長い状態、例えばアイドル運転中の空間速度の方が定常状態運転中よりも遅くなり得るような設計にする。本発明の目的で、用語「ライトオフ」は、触媒が活性を示すようになって排気ガス成分の反応を開始させ得る温度を意味する。別の様式で示すと、滞留時間は空間速度の逆数で示される。本発明の目的で、用語「空間速度」は、触媒モノリスの中を一定時間内に通る気体の体積を触媒モノリスの全体積で割った値を意味し、これを単位時間の逆数、例えば時間の逆数で測定する。本発明の触媒品は、有利に、10から500,000、より典型的には50から350,000時−1の範囲の空間速度で使用可能である。
【0176】
化学反応、例えば還元、メタン化など、特に炭素系材料、例えば一酸化炭素、炭化水素、酸素含有有機化合物などが酸化を受けて一分子当たりの酸素重量パーセントが高い生成物、例えば中間的酸化生成物、二酸化炭素および水(この後者の2つの材料は空気汚染の観点で比較的無害な材料である)が生じる反応の促進などで、本発明で製造する触媒組成物を用いることができる。有利には、この触媒組成物を用いて、気体状の排気流出物から未燃焼もしくは部分燃焼の炭素系燃料成分、例えば一酸化炭素、炭化水素および中間的酸化生成物(これは主に炭素、水素および酸素で出来ている)など、または窒素酸化物を除去することができる。ある種の酸化または還元反応は比較的低い温度でも起こり得るが、この反応はしばしば高温、例えば少なくとも約150℃、好適には約200から900℃の温度で起こり、この場合、原料は一般に気相中に存在する。酸化を受ける材料は一般に炭素を含み、従ってこれらが実際に有機であるか或は無機であるかに拘らず、この材料を炭素系と呼ぶことができる。従って、本触媒は、炭化水素、酸素含有有機成分および一酸化炭素の酸化および窒素酸化物の還元の促進で有用である。この種類の材料は炭素系燃料の燃焼で生じる排気ガス内に存在している可能性があり、本触媒は、上記流出物内に存在する材料の酸化または還元の促進で用いるに有用である。炭化水素燃料で運転される内燃機関で発生する排気に加えて他の廃ガスを本触媒と分子状酸素(これは、上記流出物の一部として気体流れ内に存在し得るか、或は空気としてか或はより高いか或は低い酸素濃度を有する他の所望形態として添加可能である)に接触させることにより、それらを酸化させることができる。この酸化で生じる生成物が含む炭素に対する酸素の重量比は、酸化を受けさせる供給材料内よりも高い。本発明の利点は、図2に示すように本発明の触媒品を自動車の「アンダーフロア」位置で用いることができる点である。このような反応系は本技術分野で数多く知られている。
【0177】
本発明の範囲を限定することを意図しない以下の実施例を用いて本発明のさらなる説明を行う。
【0178】
実施例1:
400cpsiのセル密度および約15.5平方インチの断面積を有する長さが約2.5インチのコージライト製モノリスにパラジウムを200g/立方フィートの濃度で含有するように高い表面積のアルミナのウオッシュコートを含浸させた。このウオッシュコートは、これの配合に安定剤と助触媒を含める点で、通常のウオッシュコートとは異なる。上流の触媒被膜に米国連続番号08/265,076(引用することによって本明細書に組み入れられる)の実施例1に示されている組成と同じ組成を有する2層を含める。この方法ではコーティングスラリーを生じさせる前に貴金属をウオッシュコートの粉末の中に含浸させておくことから、これは、モノリスをウオッシュコートで被覆した後に貴金属を添加する通常の方法とは異なる。追加的に、このウオッシュコートにセリウム安定化ジル
コニウムを含有させて、それを層状被膜として上記コージライト製モノリスに塗布する。例えば、このモノリスに第一層(ボトムコート)として1.9g/立方インチの充填量で被覆しそして第二層(トップコート)として1.3g/立方インチの充填量で被覆する。2番目のハニカムは同じ断面積を有する長さが約6インチのハニカムである。この下流の触媒被膜に米国連続番号08/563,884(引用することによって本明細書に組み入れられる)の実施例1に示されている組成と同じ組成を有する2層を含める。この触媒を層状ウオッシュコートで構成させ、ボトムコートにPd/Ptを位置させそしてトップコートにPt/Rhを位置させる。この貴金属全体の充填率を105g/立方フィートにしてPt/Pd/Rh=1/14/1の比率にする。ボトムコートのウオッシュコート充填率を2g/立方インチにしそしてトップコートのウオッシュコート充填率を1.8g/立方インチにする。
【0179】
両方のブリック(bricks)を全モノリス体積が約132立方インチの単一キャニスターの中に取り付けた。Pdのみのブリックをキャニスターの上流の所に位置させて、2個のブリックの間に0.5”の空間を設ける。このキャニスターにエンジン熟成を800℃の流入ガス温度で50時間受けさせた。熟成後、このキャニスターをHonda Civic 2.2L自動車のアンダーフロア位置に取り付けて、Bag2 FTP−75評価を行った。結果を以下に挙げる:
【0180】
【表1】

【0181】
実施例2:
サイズが26.3立方インチ(直径3.66”x長さ2.5”)の前方ブリックを米国連続番号08/350,297の実施例1に示されているウオッシュコートと同じウオッシュコートで被覆して、Pd充填率を200g/立方フィートおよび全ウオッシュコート充填率を1.9g/立方インチにする。サイズが約47立方インチ(直径3.66”x長さ4.5”)の後方ブリックに実施例1の第二ブリックで用いたのと同じウオッシュコートスラリーを含浸させる。
【0182】
両方のブリックに熟成を実施例1と同様に受けさせた。しかしながら、実施例1に示した800℃で50時間の代わりに、流入温度を820℃にして熟成時間を100時間にした。この触媒系の評価を実施例1と同じHonda Civic 2.2Lを用いて行った。結果を以下に示す:
【0183】
【表2】

【0184】
Pdのみを前方に位置させて二金属または三金属触媒を後方に位置させた配置を用いると、以下に示すように、Pdのみの触媒から成る系に比べて利点が得られる:
【0185】
【表3】

【0186】
両方の系ともブリックのサイズは同じであるが、触媒の組成は前方のブリックのみが同じである。その差は後方のブリックにある。Pdのみの系の場合の後方ブリックは、実施例1に示した系の前方ブリックとして用いた触媒の組成と同じ(Pdの充填率を200g/立方フィートから100g/立方フィートに下げたことを除き)組成を有する触媒で構成させたブリックである。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】上流ハニカムと下流ハニカムを示す図式図であり、ここでは、これらをキャニスター(canister)内に隣接して存在させて、排気ガス流れ内に位置させる。
【図2】自動車のアンダーフロア(underfloor)位置に位置させた図1の品を示す。
【図3】上流ハニカムと下流ハニカムの図式的断面図であり、これは上流触媒層と下流触媒層を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス処理用触媒品であって、
上流触媒ゾーンと少なくとも1つの下流触媒ゾーンを含み、ここで、
該上流触媒ゾーンが第一上流層と第二上流層を含んでいて、
該第一上流層が、
第一上流支持体、および
少なくとも1種の第一上流パラジウム成分、
を含み、
該第二上流層が、
第二上流支持体、
少なくとも1種の第二上流パラジウム成分、
を含み、そして
該下流触媒ゾーンが、
第一下流支持体、
第一下流貴金属成分、
を含む第一下流層、
第二下流支持体、
第二下流貴金属成分、
を含む第二下流層、
を含み、ここで、該第一および第二下流層の1つの層がパラジウム成分を含み、他の層がロジウム成分を含む品。
【請求項2】
更に第一上流層に
第一上流酸素貯蔵成分、および
第二上流層に
任意に第二上流酸素貯蔵成分、
を含む請求項1記載の品。
【請求項3】
該下流触媒ゾーンが
第一層中に第一下流白金成分、
第一層中に第一下流ロジウム下流成分、
第二層中に第二下流白金成分、および
第二層中に第二下流ロジウム下流成分、
から成る群から選択される少なくとも1種の追加的貴金属を含む請求項2記載の品。
【請求項4】
更に、
第一層中に第一下流パラジウム成分、
第一層中に任意に第一下流白金成分、および
第一層中に任意に第一下流ロジウム成分、
を含む請求項2記載の品。
【請求項5】
更に、
第二層中に第二下流白金成分、および
第二層中に第二下流ロジウム成分、
を含む請求項2記載の品。
【請求項6】
該第二下流層が更に
少なくとも1種の第一下流安定剤、
少なくとも1種の第一下流希土類金属成分、
第一下流ジルコニウム化合物;および
希釈第二酸素貯蔵成分を含む第二酸素貯蔵組成物、
の少なくとも1種を含んでなる請求項2記載の品
【請求項7】
第一上流層が、更に
任意に少なくとも1種の第一上流安定剤、
任意に少なくとも1種の第一上流希土類金属成分、および
任意に第一上流ジルコニウム化合物、
を含み、そして
第二上流層が、更に
上流ロジウム成分、白金成分、および
任意に第二上流ジルコニウム成分、
から選択される少なくとも1種の第二上流白金族金属成分、
を含む請求項1記載の品。
【請求項8】
該第一上流層が、更に
任意に少なくとも1種の第一上流安定剤、
任意に少なくとも1種の第一上流希土類金属成分、および
任意に上流ジルコニウム化合物、
を含み、そして
該第二上流層が、更に
任意に、希釈第二酸素貯蔵成分を含む第二上流酸素貯蔵組成物、および
任意にジルコニウム成分、
を含み、そして
該第一下流層が、更に
第一下流パラジウム成分、
任意に第一下流白金族成分、
任意に少なくとも1種の第一下流安定剤、
任意に少なくとも1種の第一下流希土類金属成分、および
任意に第一下流ジルコニウム化合物、
を含み、そして
該第二下流層が、更に
下流白金成分、
下流ロジウム成分、
任意に、希釈酸素貯蔵成分を含む下流酸素貯蔵組成物、および
任意に下流ジルコニウム化合物、
を含む請求項1記載の品。
【請求項9】
該第一または第二層の少なくとも1つが更にニッケルまたは鉄成分を含む請求項1または7記載の品。
【請求項10】
更に少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分と、少なくとも1種の第一もしくは第二上流もしくは下流アルカリ土類金属成分を含んでいて、アルカリ土類金属がマグネシウム、バリウム、カルシウムおよびストロンチウムから成る群から選択される請求項1または7記載の品。
【請求項11】
更に第一もしくは第二上流または下流希土類金属成分および第二希土類金族成分の少なくとも1つを含み、希土類金属がランタンおよびネオジムから選択される請求項1または7記載の品。
【請求項12】
請求項1または7記載の品であって、
第一上流支持体が0.15から1.0g/立方インチ、
該第一上流白金族金属成分と密に接触している酸素貯蔵成分が少なくとも0.2g/立方インチ、
少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分が0.025から0.5g/立方インチ、
第一上流ジルコニウム成分が0.025から0.5g/立方インチ、
ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一上流希土類金属成分が0.025から0.5g/立方インチ、
第二上流支持体が0.15g/立方インチから1.0g/立方インチ、
少なくとも1種の上流第二アルカリ土類金属成分が0.025g/立方インチから0.5g/立方インチ、
ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の上流第二希土類金属成分が0.025g/立方インチから0.5g/立方インチ、および
第二上流ジルコニウム成分が0.025から0.5g/立方インチ、
存在し、そして、第一および第二上流層の少なくとも一つが更に0.025g/立方インチから0.5g/立方インチのニッケル成分を含んでなる品。
【請求項13】
該第一および第二上流層の少なくとも1つが、更に、ジルコニアとセリアを含みそして任意に更にランタナ、ネオジミアおよびそれらの混合物を含んでいてもよい粒子状複合体を0.1g/立方インチから1.0g/立方インチ含む請求項12記載の品。
【請求項14】
第一および第二上流パラジウム成分の各々が少なくとも10.0g/立方フィート存在している請求項1または7記載の品。
【請求項15】
第一および第二上流パラジウム成分の各々が少なくとも5.0g/立方フィート存在している請求項1または7記載の品。
【請求項16】
請求項1または7記載の品であって、
第一下流パラジウム成分が0.0175から0.3g/立方インチ、
第一下流白金成分が0から0.065g/立方インチ、
第一下流支持体が0.15から2.0g/立方インチ、
少なくとも1種の第一アルカリ土類金属成分が0.025から0.5g/立方インチ、
第一下流ジルコニウム成分が0.025から0.5g/立方インチ、
セリウム金属成分、ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第一下流希土類金属成分が0.025から0.5g/立方インチ、
下流ロジウム成分が0.001g/立方インチから0.03g/立方インチ、
第二下流白金が0.001g/立方インチから0.15g/立方インチ、
第二下流支持体が0.15g/立方インチから1.5g/立方インチ、
第二下流酸素貯蔵組成物が0.1から2g/立方インチ、
ランタン金属成分およびネオジム金属成分から成る群から選択される少なくとも1種の第二下流希土類金属成分が0.025g/立方インチから0.5g/立方インチ、および
第二下流ジルコニウム成分が0.025から0.5g/立方インチ、
存在し、第一および第二下流層の少なくとも一つが更にニッケル成分を0.025gから0.5g/立方インチ含んでなる品。
【請求項17】
該第一および第二下流層の少なくとも1つが、更に、ジルコニアおよびセリアを含みそして任意に更にラナタナ、ネオジミアおよびそれらの混合物を含んでいてもよい粒子状複合体を0.1g/立方インチから1.0g/立方インチ含む請求項16記載の品。
【請求項18】
該上流ゾーンが上流基質に支持されておりそして該下流ゾーンが下流基質に支持されて
いる請求項1または7記載の品。
【請求項19】
下流ハニカムが上流ハニカムよりも大きい熱質量を有する請求項18記載の品。
【請求項20】
請求項1または7記載の品であって、第一の上流層が、
少なくとも1種のパラジウム成分を0.003から0.6g/立方インチ、
少なくとも1種の白金及び/又はロジウム成分を0から0.065g/立方インチ、
第一の支持体を0.15から2.0g/立方インチ、
酸素貯蔵成分を0.05から2.0g/立方インチ、
少なくとも1種のアルカリ土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、
ジルコニウム成分を0.0から0.5g/立方インチ、そして
セリア金属成分、ランタン金属成分、およびネオジム金属成分、から成る群から選択される少なくとも1種の希土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、
含んでなる品。
【請求項21】
請求項1または7記載の品であって、第二の上流層が、
少なくとも1種のパラジウム成分を0.003から0.6g/立方インチ、
少なくとも1種の白金及び/又はロジウム成分を0.0から0.065g/立方インチ、
第二の支持体を0.15から2.0g/立方インチ、
ランタン金属成分、およびネオジム金属成分、から成る群から選択される少なくとも1種の希土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、
少なくとも1種のアルカリ土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、そして
ジルコニウム成分を0.0から0.5g/立方インチ、
含んでなる品。
【請求項22】
請求項1または7記載の品であって、第一の上流層が、
少なくとも1種の第一のパラジウム成分を0.003から0.6g/立方インチ、
少なくとも1種の第一の白金及び/又はロジウム成分を0から0.065g/立方インチ、
第一の支持体を0.15から2.0g/立方インチ、
酸素貯蔵成分を0.05から2.0g/立方インチ、
少なくとも1種のアルカリ土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、
第一のジルコニウム成分を0.0から0.5g/立方インチ、そして
セリア金属成分、ランタン金属成分、およびネオジム金属成分、から成る群から選択される少なくとも1種の第一の希土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、
含んでなり、
第二の上流層が
少なくとも1種の第二のパラジウム成分を0.003から0.6g/立方インチ、
少なくとも1種の第二の白金及び/又はロジウム成分を0.0から0.065g/立方インチ、
第二の支持体を0.15から2.0g/立方インチ、
ランタン金属成分、およびネオジム金属成分、から成る群から選択される少なくとも1種の第二の希土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、
少なくとも1種の第二のアルカリ土類金属成分を0.0から0.5g/立方インチ、そして
第二のジルコニウム成分を0.0から0.5g/立方インチ、
含んでなる品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−114227(P2008−114227A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4191(P2008−4191)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【分割の表示】特願平9−540852の分割
【原出願日】平成9年3月12日(1997.3.12)
【出願人】(591044371)バスフ・カタリスツ・エルエルシー (43)
【Fターム(参考)】