説明

上飾り縫いミシン

【課題】上飾り糸による多様な装飾模様(上飾り縫目)の実現化を図り得るうえ、上飾り糸の糸切れや目飛びを防止できるようにした上飾り縫いミシンを提供する。
【解決手段】3本の縫針12a,12b,12cの側方に配設され、第1上飾り糸挿通孔35と第2上飾り糸挿通孔36が設けられた上飾り糸案内部材16と、この上飾り糸案内部材16の第1上飾り糸挿通孔35を通過した第1上飾り糸18と第2上飾り糸挿通孔36を通過した第2上飾り糸19をそれぞれ引掛けさせる第1糸引掛け部37および第2糸引掛け部38を有し、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの上下の動作に合わせて左右方向に往復揺動する上飾りスプレッダー17を備えた上飾り縫いミシンにおいて、上飾り糸案内部材16は、上飾りスプレッダー17と共に往復揺動するように構成するとともに、往復揺動方向に位置調整可能に構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上飾り縫いミシンに係り、特に、上飾り糸挿通孔を形成した上飾り糸案内部材を上飾りスプレッダーと共に往復揺動するように構成して、上飾り糸による多様な装飾模様の実現化を図り得るうえに上飾り糸の糸切れや目飛びを防止できるようにした上飾り縫いミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上飾り縫いミシンとして、例えば、図37に示すように、針棒70により上下駆動される複数の縫針71と、この複数の縫針71の側方に配設され、第1上飾り糸挿通孔72と第2上飾り糸挿通孔73が設けられた上飾り糸案内部材74と、この上飾り糸案内部材74の第1上飾り糸挿通孔72を通過した第1上飾り糸75と第2上飾り糸挿通孔73を通過した第2上飾り糸76をそれぞれ引掛ける第1糸係合部77および第2糸係合部78を有し、縫針70の上下動作に合わせて左右方向に往復揺動される上飾りスプレッダー79を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような上飾り縫いミシンによれば、上飾り糸には2本の第1,2上飾り糸75,76を使用し、複数の縫針71が繰り返し上下動作を継続するとき、上飾りスプレッダー79の左右の揺動で第1上飾り糸75及び第2上飾り糸76を引掛け及び解放する動作を組み合わせることにより、布80の表面に密度の異なる、多色かつレイヤー感がある装飾糸81を形成することができる。また、複数の縫針糸82は種類の異なる色にすることが可能であり、また第1上飾り糸75及び第2上飾り糸76も縫針糸82と異なる色にすることができるため、布80上に形成する装飾糸81は色のバリエーションが多いだけでなく、模様にレイヤー感があり、また縫った位置が2枚の布の継ぎ合わせ箇所である場合も、縫った装飾糸81の接合強度に優れるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3155710号公報(図5〜図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記上飾り縫いミシンでは、第1上飾り糸75と第2上飾り糸76をそれぞれ第1上飾り糸挿通孔72と第2上飾り糸挿通孔73を介して挿通案内する上飾り糸案内部材74は所定の高さ位置に定置固定された状態にあるため、第1上飾り糸75あるいは第2上飾り糸76が第1上飾り糸挿通孔72の孔縁あるいは第2上飾り糸挿通孔73の孔縁に引っ掛かって糸切れを起こしたり、上飾りの目飛びを起こしたりすることがある。また、未だ、第1,2上飾り糸75,76による上飾り縫目の多様性に乏しいという問題もある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、上記のような、複数の縫針と、上飾り糸案内部材と、スプレッダーを備えた上飾り縫いミシンにおいて、上飾り糸案内部材をスプレッダーの往復揺動と共に往復揺動するように構成することにより上飾り糸による多様な装飾模様(上飾り縫目)の実現化を図り得、そのうえ上飾り糸の糸切れや目飛びを防止できるようにした上飾り縫いミシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載のように、その発明の内容を理解しやすくするために図1〜図36に付した符号を参照して説明すると、針棒により上下駆動される第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cと、この複数の縫針の側方に配設され、第1上飾り糸挿通孔35と第2上飾り糸挿通孔36が設けられた上飾り糸案内部材16と、この上飾り糸案内部材16の第1上飾り糸挿通孔35を通過した第1上飾り糸18と第2上飾り糸挿通孔36を通過した第2上飾り糸19をそれぞれ引掛ける第1糸係合部37および第2糸係合部38を有し、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの上下動作に合わせて左右方向に往復揺動する上飾りスプレッダー17を備えた上飾り縫いミシンにおいて、上飾り糸案内部材16は、上飾りスプレッダー17と共に往復揺動するように構成するとともに、往復揺動方向に位置調整可能に構成してあることに特徴を有するものである。
【0008】
上記構成の上飾り縫いミシンによると、前述した従来の上飾り縫いミシンと同様に、複数の縫針12a、12b、12cが繰り返し上下動作を継続するとき、上飾りスプレッダー17の左右の揺動で第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19を引掛け及び解放する動作を組み合わせることにより、布の表面に密度の異なる、多色かつレイヤー感がある装飾模様(上飾り縫目)を形成することができる。また、複数の針糸は種類の異なる色にすることが可能であり、また第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19も針糸と異なる色にすることができるため、布上に形成する上飾り縫目は色のバリエーションが多いだけでなく、模様にレイヤー感がある。
【0009】
特に、本発明の上記構成では、上飾り糸案内部材16が上飾りスプレッダー17と共に往復揺動するように構成されることにより、第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を第1上飾り糸挿通孔35と第2上飾り糸挿通孔36を介して上飾りスプレッダー17の第1糸引掛け部37および第2糸引掛け部38に円滑且つ安定確実に案内移動させることができ、第1,2上飾り糸18,19の糸切れや目飛びを防止できる。
また、上飾り糸案内部材16は往復揺動方向に位置調整可能に構成することにより、第2縫針12bの後ろまたは手前のいずれかの位置に選択的に第1上飾り糸18を通すことができるように上飾り糸案内部材16の揺動開始角を調整できるので、第1,2上飾り糸18,19による装飾模様(上飾り縫目)の多様化をより一層増大することができる。
【0010】
請求項1に記載の上飾り縫いミシンは、請求項2に記載のように、上飾り糸案内部材16は下段の上飾り糸案内部材16Aと、この上に配備するもう一つの同じ上段の上飾り糸案内部材16Bとからなるという構成を採用することができる。これによると、上飾り縫目の更に多くのバリエーションをつけることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上飾り糸による装飾模様(上飾り縫目)の多様化の増大を図り得るうえ、上飾り糸の糸切れや目飛びを防止できて有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の上飾り縫いミシン全体の斜視図である。
【図2】図1の上飾り縫いミシンにおける上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の揺動機構の斜視図である。
【図3】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の揺動機構の側面図である。
【図4】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の揺動機構の平面図である。
【図5】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の揺動機構の正面図である。
【図6】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の平面図である。
【図7】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の正面図である。
【図8】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の左側面図である。
【図9】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の右側面図である。
【図10】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の正面左側方からみた斜視図である。
【図11】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の正面右側方からみた斜視図である。
【図12】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の平面作動図である。
【図13】図2の上飾りスプレッダーおよび上飾り糸案内部材の分解斜視図である。
【図14】本発明の糸通し経路の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明の糸通し経路の他例を示す斜視図である。
【図16】本発明の上飾り縫いミシンで縫った上飾り縫目の一例を示す平面図である。
【図17】図16の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が0度(360度)で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が最も低い位置である下死点の位置にまで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図18】図16の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が60度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が下死点と上死点の中間の位置まで少し上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図19】図16の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が120度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が下死点と上死点の中間の位置まで更に上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図20】図16の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が180度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図21】図16の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が240度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図22】図16の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が300度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図23】本発明の上飾り縫いミシンで縫った上飾り縫目の他例を示す平面図である。
【図24】図23の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が0度(360度)で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が最も低い位置である下死点の位置にまで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図25】図23の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が60度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が下死点と上死点の中間の位置まで少し上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図26】図23の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が120度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が下死点と上死点の中間の位置まで更に上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図27】図23の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が180度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図28】図23の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が240度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図29】図23の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が300度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図30】本発明の上飾り縫いミシンで縫った上飾り縫目の更に他例を示す平面図である。
【図31】図30の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が0度(360度)で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が最も低い位置である下死点の位置にまで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図32】図30の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が60度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が下死点と上死点の中間の位置まで少し上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図33】図30の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が120度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が下死点と上死点の中間の位置まで更に上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図34】図30の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が180度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図35】図30の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が240度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図36】図30の上飾り縫目を形成する過程においてミシン主軸の回転角が300度で第1縫針、第2縫針、及び第3縫針が上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図37】従来の上飾り縫いミシンの3本縫針、上飾り糸案内部材、および上飾りスプレッダーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1において、本発明の上飾り縫いミシンのフレーム1は、ベッド部2と、ベッド部2の一端部から上方に立設する胴部3と、胴部3の上部よりベッド部2に平行に延びるアーム部4とから構成される。
【0015】
フレーム1の胴部3には、図14、図15に示すように、上側から糸調子5,6,7,8が配置されている。上側の3個の糸調子5は、シリコンタンク9、針糸道10 針棒糸道11を経由して3本の縫針12(第1縫針(左針)12a,第2縫針(中針)12b,第3縫針(右針)12c)にそれぞれ通される針糸131,132,133にそれぞれに所定の張力を付与するものである。また、その下の糸調子6,7は、シリコンタンク9の下部に設けた第1の飾り糸道14、第2の飾り糸道15等の飾り糸道、および縫針12の側方に配設された上飾り糸案内部材16(図14では一つだけの上飾り糸案内部材16Aを備え、図15では上下二段の上飾り糸案内部材16A,16Bを備える)を経由して上飾りスプレッダー(上飾りルーパー)17に通される第1上飾り糸18、第2上飾り糸19にそれぞれ所定の張力を与えるものであり、最下段の糸調子8は、ベッド部2の内部に配置される下ルーパー(図示省略)に通される下ルーパー糸20に所定の張力を与えるものである。
【0016】
アーム部4には、図2に示すミシン主軸(上軸)21が内蔵され、このミシン主軸21によって針棒22がミシン主軸21の左端に固定した針棒クランク23等を介して上下に往復駆動される。針棒22の下端部には針抱き24が固着され、この針抱き24に3本の縫針12(第1縫針(左縫針)12a,第2縫針(中縫針)12b,第3縫針(右縫針)12c)が針先端の位置を順次高くする階段状になるように針高をずらして配置固定されている。すなわち、第1縫針12aの先端が最も低く、その隣りの第2縫針12bの先端がそれよりも少し高く、第3縫針12cの先端が最も高くなるような階段状に配置固定されている。
【0017】
針棒22が配置されるアーム部4には、上飾り糸案内部材16と上飾りスプレッダー17が設けられる。
上飾りスプレッダー17を往復揺動する周知の揺動機構25、および上飾りスプレッダー17と共に往復揺動する上飾り糸案内部材16の新規な揺動機構26について、図2〜図13に基づいて説明する。
先ず、上飾りスプレッダー17の揺動機構25について説明すると、図2〜図5に示すように、ミシン主軸21には偏心カム27が固着され、この偏心カム27には連結レバー部28aを有するロッド28が外嵌され、このロッド28の連結レバー部28aが、ミシン主軸21と平行に配設された駆動軸(飾り振り軸)29の突出レバー29aに枢支連結されている。駆動軸29の左端部には揺動レバー30が固着され、この揺動レバー30の先端部30aが鉛直なスプレッダー軸31の上端部に一体に設けたクランク32のクランクピン32aに挿通連結された連結ピン部材33に連結されている。
【0018】
図6〜図13に示すように、スプレッダー軸31の下端部にはスプレッダー駆動アーム34が固着され、この駆動アーム34の先端部に上飾りスプレッダー17の鉛直軸部17aが挿通固定されている。上飾りスプレッダー17には、上飾り糸案内部材16を通過した第1上飾り糸18と第2上飾り糸19をそれぞれ引掛ける第1糸引掛け部37および第2糸引掛け部38を設けている。ミシン主軸21が所定の方向に回転駆動されると、偏心カム27を介してロッド28が揺動するのに伴って駆動軸(飾り振り軸)29と揺動レバー30とが同時に往復揺動し、連結ピン部材33およびクランクピン32a、クランク32によるユニバーサルジョイント的な連結機構を介してスプレッダー軸31が鉛直軸心回りに往復揺動する。上飾りスプレッダー17は第1縫針12a,第2縫針12b,第3縫針12cの上下の動作に合わせて左右方向に往復揺動する。
【0019】
次に、上飾り糸案内部材16の新規な揺動機構26について説明すると、図2〜図13に示すように、スプレッダー軸31の下端部のスプレッダー駆動アーム34の上側には飾り糸案内部材駆動アーム39が固着され、この飾り糸案内部材駆動アーム39に二又ロッド40の一端の二又部40aが枢軸41で連結され、二又ロッド40の他端部に飾り糸案内部材軸42の上端に固着したクランク43のクランクピン43aが挿通結合され、この飾り糸案内部材軸42の下端に上下段二つの上飾り糸案内部材16B,16Aもしくは下段の上飾り糸案内部材16Aのみが挿通固定される。フレーム1のアーム部4には上部取付ブラケット52がビス53で固定され、この上部取付ブラケット52に下部取付ブラケット55がビス54で固定され、この下部取付ブラケット55に設けた軸受筒部55aに飾り糸案内部材軸42が挿通支持される。しかるときは、上飾りスプレッダー17の左右方向の往復揺動と同時に、上飾り糸案内部材16Aのみ又は上飾り糸案内部材16B,16Aが飾り糸案内部材駆動アーム39、二又ロッド40、及び飾り糸案内部材軸42を介して左右方向に往復揺動する。
【0020】
そして、図13に示すように、下段の上飾り糸案内部材16Aには第1上飾り糸挿通孔35と第2上飾り糸挿通孔36が設けられ、上段の上飾り糸案内部材16Bには第2上飾り糸挿通孔44のみが設けられる。図6〜図12に示すように、上飾り糸案内部材16B,16Aは往復揺動方向に位置調整可能に構成する。すなわち、上飾り糸案内部材16B,16Aは飾り糸案内部材軸42の下端にそれぞれ鉛直軸心まわりに往復揺動可能に挿通されてネジ45で固定され、そのネジ45を緩めることで往復揺動方向に位置調整可能とすることができる。この位置調整により、第1上飾り糸18を第2縫針12bの手前(図28(a)参照)または後ろ(図21(a)参照)のいずれかの位置に選択的に通すことができるように上飾り糸案内部材16B,16Aの揺動開始角を調整できる。
【0021】
いま、ミシン主軸21が所定の方向に回転駆動されると、偏心カム27を介してロッド28が揺動するのに伴って駆動軸(飾り振り軸)29と揺動レバー30とが同時に往復揺動し、連結ピン部材33およびクランクピン32a、クランク32によるユニバーサルジョイント的な連結機構を介してスプレッダー軸31が鉛直軸心回りに往復回動するので、上飾りスプレッダー17は一定揺動角の範囲内で左方向(時計回り方向)に揺動され、前記一定揺動角の範囲内で右方向(反時計回り方向)に揺動される。この上飾りスプレッダー17の左右方向の往復揺動と同時に、上飾り糸案内部材16Aのみ又は上飾り糸案内部材16B,16Aが左右方向に往復揺動する(図12参照)。
【0022】
次に、下段の上飾り糸案内部材16Aのみを備えた上記上飾り縫いミシンにより図16に示されるごとき上飾り縫目を形成する過程について図17(a)、(b)〜図22(a)、(b)を参照して説明する。
【0023】
予め、上飾り糸案内部材16Aは、図20(a)、(b)に示すように、ミシン主軸21の回転角が180度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態において、第1上飾り糸18が第2縫針12bの後ろを通るように揺動開始角を調整しておく。
第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cにはそれぞれ針糸131,132,133が通され、第1上飾り糸18は上飾り糸案内部材16Aの第1上飾り糸挿通孔35に対応して通され、第2上飾り糸19は上飾り糸案内部材16Aの第2上飾り糸挿通孔36に対応して通される。第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cのそれぞれの針糸131,132,133は全て同一もしくは類似の色の針糸、またはそれぞれ異なる色の針糸を使用することができる。第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19はそれぞれ異なる色の糸、あるいは共に同一もしくは類似の色の糸を使用し、かつ針糸131,132,133とは異なる色にすることができる。
【0024】
まず、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cにそれぞれ通されている3本の針糸131,132,133と上飾り糸案内部材16A下の第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19とが布46の進行方向へ引っ張られ、図17(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が0度(360度)で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も低い位置である下死点の位置にまで下降した時点の状態図)に示すように縫製開始時は、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが完全に布46を貫通し、かつ下ルーパー糸20(図14参照)の糸ガイド構造体(図示せず)が第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの上下動作に合わせて、下ルーパー糸20と第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの各針糸131,132,133を掛合させて固定する(この技術は周知であるため説明を省略する)。このとき、上飾りスプレッダー17が第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cから最も離れた位置にある。第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cに通された各針糸131,132,133と下ルーパー糸20が固定された後、第1上飾り糸18と第2上飾り糸19も針糸131,132,133により布46の表面上に固定される。
【0025】
次いで、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cは図18(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が60度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下死点と上死点の中間の位置まで少し上昇した時点の状態図)、図19(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が120度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下死点と上死点の中間の位置まで更に上昇した時点の状態図)に示すように上方向に動作し、第1糸引掛け部37と第2糸引掛け部38が設けられた上飾りスプレッダー17が第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの上方向への動作に合わせて左方向に揺動する。このとき、第1糸引掛け部37が第1上飾り糸18を引掛けて行くとともに、第2糸引掛け部38が第2上飾り糸19を引掛けて行く。
【0026】
次いで、布46が送られ、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cは図20(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が180度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態図)に示すように上方向へ動作し、予め定められた上死点の位置に達すると、上飾りスプレッダー17が動作可能な範囲の左方向の限界点まで揺動し、右方向へ戻る揺動の準備が完了する。
【0027】
次に、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図21(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態図)に示すように下方向に動作を開始すると、上飾りスプレッダー17も右方向に向かって揺動を開始する。このとき注目すべきは、第1上飾り糸18は第1縫針12aの手前を、第2縫針12b及び第3縫針12cの後ろを通り、第2上飾り糸19は第2縫針12bの手前を、第3縫針12cの後ろを通る点である。
【0028】
第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図22(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が300度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態図)に示すように下方向に動作すると、上飾りスプレッダー17も右方向に揺動し、第1糸引掛け部37から第1上飾り糸18を解放させるとともに、第2糸引掛け部38から第2上飾り糸19を解放させ、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下方向に動作するため、第1縫針12aの針糸131が第1上飾り糸18を押さえて布46に縫い付ける。また、第2縫針12bの針糸132が第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を同時に押さえて布46に縫い付ける。また、第3縫針12cの針糸133が上飾りスプレッダー17と布46の間に位置する第1上飾り糸18と第2上飾り糸19とを同時に押さえ、また上飾りスプレッダー17と第1上飾り糸挿通孔35の間に位置する第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を重ねて布46に縫い付けて、1回の縫いの動作が完了する。
【0029】
上記のように第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図17(a)、(b)〜図22(a)、(b)に示すように繰り返し上下動作を継続するとき、上飾りスプレッダー17の左右の揺動で第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19を引掛け及び解放する動作を組み合わせることにより、図16に示すように、布46の表面に密度の異なる、多色かつレイヤー感がある上飾り縫目47を形成することができる。
特に、図21(a)、(b)に示すようにミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態において、第1上飾り糸18は第2縫針12bの後ろに通すことにより、図16に示すように、第1上飾り糸18が第1縫針糸ステッチ48とその隣りの第2縫針糸ステッチ49にループ状に組み合わせられるとともに、第2縫針糸ステッチ49と第3縫針糸ステッチ50に平行な筋目(平目)に組み合わせられる上飾り縫目47が形成される。第2上飾り糸19は第2縫針糸ステッチ49と第3縫針糸ステッチ50にループ状に組み合わせられる。
また、上飾り糸案内部材16Aは、上飾りスプレッダー17と共に左右に往復揺動するので、第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を第1上飾り糸挿通孔35と第2上飾り糸挿通孔36を介して上飾りスプレッダー17の第1糸引掛け部37および第2糸引掛け部38に円滑且つ安定確実に案内移動させることができ、第1上飾り糸18、第2上飾り糸19の糸切れや目飛びを防止できる。
【0030】
下段の上飾り糸案内部材16Aのみを備えた上記上飾り縫いミシンは、ミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態(図21(a),(b))において、上記のように第1上飾り糸18が第2縫針12bの後ろを通るようにするに代えて、第2縫針12bの手前に第1上飾り糸18が通るように上飾り糸案内部材16Aの位置調整を変更することができる。これにより、図37に示す従来の上飾り縫いミシンで縫って得られる上飾り縫目(実用新案登録第3155710号公報、図7)と同じ図23に示すごとき上飾り縫目51を形成することもできる。
【0031】
すなわち、図24(a)、(b)〜図29(a)、(b)は、下段の上飾り糸案内部材16Aのみを備えた上記上飾り縫いミシンにより図16に示す上飾り縫目47とは違う図23に示されるごとき上飾り縫目51を形成する過程を示す。図24(a)、(b)は、図17(a)、(b)に対応する図であって、ミシン主軸21の回転角が0度(360度)で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も低い位置である下死点の位置にまで下降した時点の状態図である。図25(a)、(b)は、図18(a)、(b)に対応する図であって、ミシン主軸21の回転角が60度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下死点と上死点の中間の位置まで少し上昇した時点の状態図である。図26(a)、(b)は、図19(a)、(b)に対応する図であって、ミシン主軸21の回転角が120度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下死点と上死点の中間の位置まで更に上昇した時点の状態図である。図27(a)、(b)は、図20(a)、(b)に対応する図であって、ミシン主軸21の回転角が180度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態図である。図28(a)、(b)は、図21(a)、(b)に対応する図であって、ミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態図である。図29(a)、(b)は、図22(a)、(b)に対応する図であって、ミシン主軸21の回転角が300度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態図である。
【0032】
この図24(a)、(b)〜図29(a)、(b)に示す上飾り縫目形成過程では、図28(a)、(b)に示すようにミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態において、第1上飾り糸18が第2縫針12bの手前を通るように上飾り糸案内部材16Aの揺動開始角を位置調整しておくこと、これにより、図16に示す上飾り縫目47の第1上飾り糸18の飾り模様(第1縫針糸ステッチ48と第2縫針糸ステッチ49間にループを形成し、第2縫針糸ステッチ49と第3縫針糸ステッチ50間に平行な筋目(平目)を形成する飾り模様)とは異なって、図23に示すように、第1上飾り糸18が第1縫針糸ステッチ48とその隣りの第2縫針糸ステッチ49に平行な筋目(平目)に組み合わせられるとともに、第2縫針糸ステッチ49と第3縫針糸ステッチ50にループ状に組み合わせられる上飾り縫目51が形成されること以外は、図17(a)、(b)〜図22(a)、(b)に示す上飾り縫目形成過程の場合と同様であるので、同一部材に同一符号を付してその説明を省略する。
【0033】
このようにミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態において、第1上飾り糸18が第2縫針12bの後ろまたは手前を通るように上飾り案内部材16Aの揺動開始角を位置調整するだけの簡単な操作手段で、図23に示す上飾り縫目51以外に図16に示す上飾り縫目47をも形成することができ、上飾り模様の多様化を高めることができる。因みに、図16に示す上飾り縫目47と図23に示す上飾り縫目51とは、第1上飾り糸18によるループと平行な筋目(平目)が左右逆に形成される点で異なる。
【0034】
次に、上下二段の上飾り糸案内部材16B,16Aを備えた上記上飾り縫いミシンにより図30に示されるごとき上飾り縫目を形成する過程について図31(a)、(b)〜図36(a)、(b)を参照して説明する。
【0035】
第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cにはそれぞれ針糸131,132,133が通され、第1上飾り糸18は下段の上飾り糸案内部材16Aの第1上飾り糸挿通孔35に対応して通され、第2上飾り糸19は上段の上飾り糸案内部材16Bの第2上飾り糸挿通孔44に対応して通される。したがって、このときは、下段の上飾り糸案内部材16Aの第2上飾り糸挿通孔36は使用しないし、また上飾りスプレッダー17の第2糸引掛け部38は使用しない。
【0036】
まず、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cにそれぞれ通されている3本の針糸131,132,133と上飾り糸案内部材16A下の第1上飾り糸18及び上飾り糸案内部材16B下の第2上飾り糸19とが布46の進行方向へ引っ張られ、図31(a)、(b)(ミシン主軸の回転角が0度(360度)で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も低い位置である下死点の位置にまで下降した時点の状態図)に示すように縫製開始時は、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが完全に布46を貫通し、かつ下ルーパー糸20の糸ガイド構造体(図示せず)が第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの上下動作に合わせて、下ルーパー糸20と第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの各針糸131,132,133を掛合させて固定する。このとき、上飾りスプレッダー17が第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cから最も離れた位置にある。第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cに通された各針糸131,132,133と下ルーパー糸20が固定された後、第1上飾り糸18と第2上飾り糸19も針糸13により布46の表面上に固定される。
【0037】
次いで、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cは図32(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が60度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下死点と上死点の中間の位置まで少し上昇した時点の状態図)、図33(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が120度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下死点と上死点の中間の位置まで更に上昇した時点の状態図)に示すように上方向に動作し、上飾りスプレッダー17が第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cの上方向への動作に合わせて左方向に揺動する。このとき、上飾りスプレッダー17の第1糸引掛け部37が第1上飾り糸18および第2上飾り糸19を引掛けて行く。
【0038】
次いで、布46が送られ、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図34(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が180度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが最も高い位置である上死点の位置まで上昇した時点の状態図)に示すように上方向へ動作し、あらかじめ定められた上死点の位置に達すると、上飾りスプレッダー17が動作可能な範囲の左方向の限界点まで揺動し、右方向へ戻る揺動の準備が完了する。
【0039】
次に、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図35(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が240度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態図)に示すように下方向に動作を開始すると、上飾りスプレッダー17も右方向に向かって揺動を開始する。このとき注目すべきは、第1上飾り糸18は第1縫針12aの手前を、第2縫針12b及び第3縫針12cの後ろを通り、第2上飾り糸19は第1縫針12b及び第2縫針12cの手前を、第3縫針12cの後ろを通る点である。
【0040】
第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図36(a)、(b)(ミシン主軸21の回転角が300度で第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが上死点と下死点の中間の位置まで下降した時点の状態図)に示すように下方向に動作すると、上飾りスプレッダー17も右方向に揺動し、第1糸引掛け部37から第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19を解放させ、第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが下方向に動作するため、第1縫針12aの針糸131が第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を同時に押さえて布46に縫い付ける。また、第2縫針12bの針糸132が第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を同時に押さえて布46に縫い付ける。また、第3縫針12cの針糸133が上飾りスプレッダー17と布46の間に位置する第1上飾り糸18と第2上飾り糸19とを同時に押さえ、また上飾りスプレッダー17と第1上飾り糸挿通孔35の間に位置する第1上飾り糸18と第2上飾り糸19を重ねて布46に縫い付けて、1回の縫いの動作が完了する。
【0041】
第1縫針12a、第2縫針12b、及び第3縫針12cが図31(a)、(b)〜図36(a)、(b)に示すように繰り返し上下動作を継続するとき、上飾りスプレッダー17の左右の揺動で第1上飾り糸18及び第2上飾り糸19を引掛け及び解放する動作を組み合わせることにより、図30に示すように、第1上飾り糸18が第1縫針糸ステッチとその隣りの第2縫針糸ステッチと第3縫針糸ステッチに組み合わせられ、第2上飾り糸19も第1縫針糸ステッチとその隣りの第2縫針糸ステッチと第3縫針糸ステッチに組み合わせられる上飾り縫目56が形成されるが、このとき、第1上飾り糸18の飾り模様は、図16に示す第1上飾り糸18の飾り模様と同じであり、第2上飾り糸19の飾り模様は、図23に示す第1上飾り糸18の飾り模様と同じである上飾り縫目56が形成される。つまり、図30に示される上飾り縫目56は、図16に示す第1上飾り糸18の飾り模様と図23に示す第1上飾り糸18の飾り模様とを組み合わせた状態の上飾り縫目56を形成することができて上飾り模様の多様化の効果をより高めることができる。
【符号の説明】
【0042】
12a 第1縫針
12b 第2縫針
12c 第3縫針
131 第1縫針の針糸
132 第2縫針の針糸
133 第3縫針の針糸
16 上飾り糸案内部材
16A 下段の上飾り糸案内部材
16B 上段の上飾り糸案内部材
17 上飾りスプレッダー
18 第1飾り糸
19 第2飾り糸
21 ミシン主軸
35 第1上飾り糸挿通孔
36 第2上飾り糸挿通孔
37 第1糸引掛け部
38 第2糸引掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針棒により上下駆動される第1縫針、第2縫針、及び第3縫針と、この複数の縫針の側方に配設され、第1上飾り糸挿通孔と第2上飾り糸挿通孔が設けられた上飾り糸案内部材と、この上飾り糸案内部材の第1上飾り糸挿通孔を通過した第1上飾り糸と第2上飾り糸挿通孔を通過した第2上飾り糸をそれぞれ引掛けさせる第1糸引掛け部および第2糸引掛け部を有し、前記第1縫針、第2縫針、及び第3縫針の上下の動作に合わせて左右方向に往復揺動する上飾りスプレッダーを備えた上飾り縫いミシンにおいて、
前記上飾り糸案内部材は、前記上飾りスプレッダーと共に往復揺動するように構成するとともに、往復揺動方向に位置調整可能に構成してあることを特徴とする上飾り縫いミシン。
【請求項2】
前記上飾り糸案内部材は下段の上飾り糸案内部材と、この上に配備するもう一つの同じ上段の上飾り糸案内部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の上飾り縫いミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−71033(P2012−71033A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219576(P2010−219576)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(391005123)株式会社森本製作所 (26)
【Fターム(参考)】