説明

下地化粧料

【課題】肌へののりがよく、容易にクレンジングすることができ、かつその上に塗布するメークアップ化粧料のヨレを抑制する、新規の下地化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の下地化粧料は、プルラン、ポリビニルピロリドン、単糖および/またはオリゴ糖、多価アルコール、エタノール、および無水ケイ酸を含有し、プルラン1質量部に対してポリビニルピロリドンを1.5〜10質量部含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メークアップ化粧料を使用する前の下地に用いる下地化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
下地化粧料は、メークアップ化粧料の下地として使用され、肌色のコントロール、メークアップ化粧料の化粧効果を持続させる、のりやつきを良くする、化粧くずれを防ぐ等の効果が期待されている。肌色のコントロールのためには、下地化粧料に配合する有色顔料を適宜選択することにより所望の効果を得ることができる。また、化粧くずれを防ぐという観点からは、特許文献1に、有機シリコーン樹脂、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を必須成分とする下地化粧料が開示されている。この下地化粧料は、耐水性、耐油性に優れ、肌へののりがよく、さらには化粧効果の持続性に優れていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−236917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下地化粧料は、メークアップ化粧料の下地として使用されるため、下地化粧料の化粧膜の上にメークアップ化粧料の化粧膜を何層か重ねて塗布することになる。複数層に塗布された化粧膜は、クレンジングにより除去されるが、容易にクレンジングできることが好ましい。この性質は、当然のことながら、下地化粧料にも求められる。また、複数層に塗布された化粧膜は化粧膜同士の性質の違いによりヨレやすいという問題があり、したがってその上に塗布するメークアップ化粧料がヨレないような下地化粧料が求められている。特許文献1に記載の下地化粧料は、化粧効果の持続性や肌へののりの観点から開発されたものであり、容易にクレンジングすることができ、かつその上に塗布するメークアップ化粧料のヨレを抑制するという観点から開発されたものではない。本発明者らは、肌へののりがよく、容易にクレンジングすることができ、かつその上に塗布するメークアップ化粧料のヨレを抑制する、新規の下地化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、プルランとポリビニルピロリドンとを特定の配合量で含有し、さらに特定の他の成分を含有する下地化粧料が、肌へののりがよく、容易にクレンジングすることができかつその上に塗布するメークアップ化粧料のヨレを抑制することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の下地化粧料は、プルラン、ポリビニルピロリドン、単糖および/またはオリゴ糖、多価アルコール、エタノール、および無水ケイ酸を含有し、プルラン1質量部に対してポリビニルピロリドンを1.5〜10質量部含有する。
【0007】
本発明の下地化粧料は、好ましくは、水性ゲル状である。本発明の下地化粧料は、好ましくは、多価アルコールを5質量%以上含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の下地化粧料は、メークアップ化粧料を使用する前の下地に用いるものであり、肌へののりがよく、メークアップ化粧料のヨレを防ぎ、かつ容易にクレンジングすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の下地化粧料は、プルラン、ポリビニルピロリドン、単糖および/またはオリゴ糖、多価アルコール、エタノール、および無水ケイ酸を含有し、プルラン1質量部に対してポリビニルピロリドンを1.5〜10質量部含有する。プルランとポリビニルピロリドンはともに皮膜形成能を有する水溶性高分子であり、肌に塗布することにより肌の表面に皮膜を形成する。この皮膜は汗や皮脂に対しては崩れにくい性質を有するが、上記含有量の範囲内である場合、多量の水で洗い流すことにより、容易にクレンジングすることが可能となる。
【0010】
[プルラン]
プルランはグルコースのみからなる多糖類の一種で、グルコース3分子がα1−4結合したマルトトリオースがα1−6結合で繋がった構造を持つ。本発明では、好ましくは平均分子量が10000〜1000000、さらに好ましくは平均分子量が50000〜500000のプルランを用いる。プルランは市販品を用いてもよく、具体的な市販品としては、たとえば、「化粧水用プルラン」(商品名、分子量200,000、林原生物化学研究所製)が挙げられる。
【0011】
[ポリビニルピロリドン]
ポリビニルピロリドンは、N−ビニル−2−ピロリドンが重合した高分子化合物である。本発明では、好ましくは平均分子量が5000〜2000000、さらに好ましくは平均分子量が20000〜1500000のポリビニルピロリドンを用いる。ポリビニルピロリドンは市販品を用いてもよく、具体的な市販品としては、たとえば、「PVP K−30」(商品名、分子量60,000、ISP社製)が挙げられる。
【0012】
[プルランとポリビニルピロリドンの含有量]
本発明の下地化粧料は、プルラン1質量部に対して、ポリビニルピロリドンを1.5〜10質量部含有する。ポリビニルピロリドンが1.5質量部未満の場合、下地化粧料の後に使用するメークアップ化粧料ののりが均一でなく、テカリ、ヨレが気になる仕上がりとなる場合がある。ポリビニルピロリドンが10質量部を超える場合も、下地化粧料の後に使用するメークアップ化粧料ののりが均一でなく、ヨレが気になる仕上がりとなる場合がある。
【0013】
本発明の下地化粧料は、プルランとポリビニルピロリドンとを合わせて2〜6質量%で含有することが好ましい。プルランとポリビニルピロリドンとを合わせた含有量が6質量%を超える場合、下地化粧料による塗布膜が厚くなりすぎ、後で使用するメークアップ化粧料の使用感に影響を与える場合がある。プルランとポリビニルピロリドンとを合わせた含有量が2質量%未満の場合、下地化粧料としてメークアップ化粧料のつきやのりをよくするという機能を果たさない場合がある。
【0014】
[単糖、オリゴ糖]
本発明の下地化粧料は、単糖および/またはオリゴ糖を含有する。単糖および/またはオリゴ糖を配合することにより、保湿効果を向上させることができる。本発明に用いる単糖としては、D−エリツルロース、D−エリトロース、D−トレオース等のテトロース類、D−アラビノース、L−アラビノース、D−キシロース、D−リキソース、L−リキソース、D−リボース等のアルドペントース類、D−キシルロース、L−キシルロース、D−リブロース、L−リブロース等のケトペントース類、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−グルコース、D−タロース、D−マンノース等のアルドヘキソース類、L−ソボース、D−タガトース、D−プシコース、D−フルクトース等のケトヘキソース類、D−アピオース、D−ハマメロース等の分枝糖類などが挙げられる。
【0015】
本発明に用いるオリゴ糖としては、キシロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース等のキシロオリゴ糖、アガロビオース、カラビオース等のガラクトオリゴ糖類、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、イソマルトース、ソホロース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、トレハロース、ネオトレハロース、イソトレハロース等のグルコオリゴ糖類、マンノオリゴ糖類、イヌロビオース、イヌロトリオース、イヌロテトラオース、イヌロペンタオース等のフルクトオリゴ糖類といったホモオリゴ糖類、ビシアノース、イソプリメベロース、サンブビオース、プリメベロース、リコテトラオース、ソラビオース、メリビオース、マンニノトリオース、ラクトース、リコビオース、リコトリオース、エピセロビオース、スクロース、ツラノース、マルツロース、イソケストース、エルロース、ケストース、ゲンチアノース、ラクツロース、エピゲンチビオース、イソリクノース、ウンベリフェロース、セサモース、ラフィノース、リクノース、ロビノビオース、シラノビオース、ルチノース、カコトリオース、ソラトリオース、グリコシルトレハロース等のヘテロオリゴ糖類が挙げられる。
【0016】
本発明の下地化粧料は、上述の単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される1種または2種以上を含有することができる。特に好ましくは、グリコシルトレハロースを含有する。本発明においては、単糖および/またはオリゴ糖として市販品を用いてもよく、具体的な市販品としては、たとえば、「トルナーレ」(商品名、林原生物化学研究所製)が挙げられる。本発明に係る下地化粧料は、単糖および/またはオリゴ糖を、好ましくは合計で0.1〜10質量%含有する。0.1質量%未満であると、十分な保湿効果が得られない場合がある。10質量%を超えると、べたつきや伸びの重さ等、使用感に負の影響を与える場合がある。
【0017】
[多価アルコール]
本発明の下地化粧料は、多価アルコールを含有する。多価アルコールを配合することにより保湿効果を向上させることができる。本発明に用いる多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、デカグリセリン等のポリグリセリン類、グリセリンモノパルミチルエーテル(キミルアルコール)、グリセリンモノステアリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリンモノオレイルエーテル(セラキルアルコール)等のグリセリンモノエーテル類が挙げられ、これらより1種または2種以上を選択して用いることができる。特に好ましくは、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが用いられる。
【0018】
本発明に係る下地化粧料は、多価アルコールを、好ましくは合計で5質量%以上、より好ましくは合計で5〜20質量%含有する。5質量%未満であると、十分な保湿効果が得られない場合がある。20質量%を超えると仕上がりがべたつき、下地化粧料の後で使用するメークアップ化粧料の使用感に影響を与える場合がある。
【0019】
[エタノール]
本発明の下地化粧料は、エタノールを含有する。エタノールを配合することによりみずみずしい使用感を付与するとともに、べたつきを抑えることができる。本発明の下地化粧料は、エタノールを、好ましくは1〜20質量%含有する。1質量%未満であると、みずみずしい使用感が得られず、またべたつきが生じる場合がある。20質量%を超えると、下地化粧料の乾燥が速くなりすぎ、均一に塗布することが難しくなる。
【0020】
[無水ケイ酸]
本発明の下地化粧料は、無水ケイ酸を含有する。無水ケイ酸を配合することにより、下地化粧料を塗布した際のべたつきを軽減し、肌なじみを改良することができる。また、下地化粧料の後で使用するメークアップ化粧料のテカリ防止効果も有する。本発明に用いる無水ケイ酸としては、四塩化ケイ素を水素・酸素炎中で加水分解等して得られる親水性の無水ケイ酸や、親水性の無水ケイ酸の表面を疎水化処理した疎水性の無水ケイ酸が挙げられる。本発明においては、肌なじみがよく、テカリが無いことから、好ましくは親水性無水ケイ酸を用いる。無水ケイ酸は無孔質の球状粉体で、その一次平均粒子径は、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
【0021】
本発明においては、無水ケイ酸として市販品を用いてもよく、具体的な市販品としては、たとえば、「ゴッドボールB−6C」、「ゴッドボールG−6C」、「ゴッドボールB−25C」、「ゴッドボールD−25C」、「ゴッドボールSF−16C」(以上、商品名、鈴木油脂工業社製)、「アドソリダー101」(商品名、フロイント社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明の下地化粧料は、無水ケイ酸を、好ましくは1.0〜10質量%含有する。1.0質量%未満であると、経時で油光りを生じる場合がある。10質量%を超えると、乾燥感を感じる場合がある。
【0023】
[顔料等]
本発明の下地化粧料は、その目的に応じて肌色を補正するための顔料等の粉体物や、紫外線吸収剤等を配合することができる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に使用される成分、たとえば、精製水、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、、酸化防止剤、香料等を配合することができる。
【0024】
[剤型]
本発明の下地化粧料の剤型としては特に限定されず、クリーム状、軟膏状、乳液状、溶液状、ゲル状等任意に選択することができるが、外相が水相である水性であることが好ましく、クレンジングがしやすく、その後塗布するメークアップ化粧料のメークアップ効果に有効に作用するという観点から、水性ゲル状であることがさらに好ましい。
【0025】
[製法]
本発明の下地化粧料の製法としては特に限定はなく、常法にしたがって製造することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。以下において、「%」とあるのは特に断らない限り「質量%」を示す。
【0027】
[下地化粧料の調製方法]
実施例1〜3および比較例1〜11の水性ゲル状下地化粧料を、それぞれ表1,2に示す組成で調製した。調製は、成分(1)〜(6)と(10)を室温でよく攪拌した。そこに(8)を加えて室温でよく攪拌した。さらに予め調製しておいた(11)の10%水溶液および(12)の10%水溶液を加えて室温で攪拌した。(7)を加え、pHを調製し、(13)、(9)を順次加えて100質量部となるように下地化粧料を調製した。なお、表1,2においては、成分(1)〜(13)の配合量を質量部で示すが、これら各下地化粧料において、各成分の配合量と含有量に相違は生じないとみなすことができる。
【0028】
[下地効果の評価]
<評価方法>
実施例1〜3および比較例1〜11の水性ゲル状下地化粧料を肌に塗布した後に、以下に示す評価用ファンデーションを塗布し、メークアップの仕上がりについて、(B)ヨレのなさ、(C)テカリのなさ、(D)粉浮き(乾燥)のなさ、(E)化粧のり(均一感)、の項目に分けて評価した。その後、クレンジングを行ない、(A)クレンジングのしやすさ、について評価した。評価は専門パネラー3名により合議で評価した。評価基準は以下の通りとした。表1,2に評価結果を示す。
【0029】
<評価基準>
◎:優れる
○:やや優れる
△:やや劣る
×:劣る
<評価用ファンデーション処方>
シリコン処理タルク 54.0%、シリコン処理セリサイト 20.0%、シリコン処理酸化チタン 9.0%、シリコン処理酸化鉄 5.0%、ジメチコン 5.0%、ミリスチン酸イソセチル 5.0%、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 2.0%
[使用感の評価]
<評価方法>
実施例2,3および比較例6〜11の水性ゲル状下地化粧料を塗布した後に、(F)潤い感、(G)潤い感の持続性、(H)ハリ感、(I)表面のべたつきのなさ、(J)肌なじみ、の項目に分けて評価した。評価は専門パネラー3名により合議で評価した。評価基準は以下の通りとした。表2に評価結果を示す。
【0030】
<評価基準>
◎:優れる
○:やや優れる
△:やや劣る
×:劣る
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1,2に示した結果より、プルラン(成分(11))、ポリビニルピロリドン(成分(12))、単糖および/またはオリゴ糖(成分(3))、多価アルコール(成分(1))、エタノール(成分(9))、および無水ケイ酸(成分(8))を含有し、かつプルラン1質量部に対してポリビニルピロリドンを1.5〜10質量部含有する、実施例1〜3の下地化粧料においては、肌へののりがよく、クレンジングしやすく、かつ下地化粧料の後に塗布するメークアップ化粧料のヨレが生じにくく、さらには、テカリのなさ、粉浮き(乾燥)のなさについても優れた結果となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルラン、ポリビニルピロリドン、単糖および/またはオリゴ糖、多価アルコール、エタノール、および無水ケイ酸を含有し、
前記プルラン1質量部に対して前記ポリビニルピロリドンを1.5〜10質量部含有する、下地化粧料。
【請求項2】
水性ゲル状である、請求項1に記載の下地化粧料。
【請求項3】
前記多価アルコールを5質量%以上含有する、請求項1または2に記載の下地化粧料。

【公開番号】特開2012−201656(P2012−201656A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69765(P2011−69765)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】