説明

不正開封防止包装箱

【課題】段ボール片に設けた折り目の折り癖による反発力を利用して、強制的に折れ戻り可能に舌片の構成を工夫したものであって、詰込まれた商品を輸送中に抜き取ったり、すり替えたりする等の偽装工作を不可能にし、もし不正に開封されたときはジッパー切れ目を設けることによって直ちにそれを判別できるようにした不正開封防止包装箱を提供する。
【解決手段】中フラップ142とともにこれを囲む外フラップ141を曲折可能に設け、略三角形状のジッパー片143を剥ぎ取り可能に設け、一方、前記外蓋片14と対面する裏蓋片12の前方辺寄りに舌片221が曲折可能に設けられるとともに、前記中フラップとともにこれを囲む外フラップがスリット溝122に挿着され、一方、前記舌片は前記折れ溝145を挿通するとともに直角に曲折され、かつ、前記中フラップの先端辺が前記舌片の曲折部根元に当接することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一旦商品を梱包して密封した後は箱を破らないと開封できない不正開封防止構造の包装箱に関する。詳しくは、包装箱の中に梱包した例えばプリンターのカートリッジの純正品を移送中に抜き取り、しかる後偽物とすり替えることができないようにした包装箱であって、もしこのようなことが行われた場合には、ジッパー切れ目をもうけることによってそのことを判明するようにした不正開封防止構造の包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装箱を開封して内部の商品に毒物を添加し、或いは傷を付ける等した後、再び密封して正常な商品に混入させて、犯罪などの目的に利用されるのを防ぐために、不正開封防止包装箱が数多く提案されている。例えば、前壁片、右側壁片、後壁片、左壁片を折曲げ線を介して順次折り畳んで筒状体を構成し、前壁片の上下両端部にそれぞれ折畳み自在に連設した蓋板及び底板によって筒状体の上下開口部を閉塞できるように構成してなる公知の箱体において、箱本体の筒状部を構成する後壁片の上下両端部に、後壁片の内側に折込むための閉止用当接板をそれぞれ連設し、この閉止用当接板の折曲げ部には、蓋板及び底板の先端にそれぞれ連続するようにして形成した閉止用舌片を挿入させるための挿入孔を穿設するとともに、閉止用当接板の折込み時における内側(後壁片と接する側の面)に、蓋板及び底板の先端に連設した閉止用舌片の裏面を当接貼着せしめるように構成してなる開封防止機構を備えた包装箱である(特許文献1参照)。
【0003】
他の例として、プリンターのカートリッジ用の不正開封防止包装箱について、従来から図17に示すような包装箱が使用されている。この包装箱は蓋フラップにジッパー式の切れ目を備える切取り部(以下ジッパー片)を設けたもので、開封して内部のカートリッジを取り出す際にジッパー片を剥ぎ取るので純正メーカーの印刷を施した包装箱に傷がついて再使用ができなくなる。ところが、包装箱を開封する際にジッパー片を巧妙に引き出し、或いは稀にジッパー片を剥ぎ取らないでも開封することができ、次に、この剥ぎ取りの破れがない包装箱に偽物のカートリッジを詰め詰め治す流通に出すことができるのでカートリッジの偽物が横行する。以下に、図17を参照しながら不正開封防止構造の包装箱の使用例を説明する。
【0004】
図17(a)では、包装箱の中にカートリッジを収容したあと、蓋を閉じる前の状態を示し、包装箱2000を蓋側から見た斜視図で、箱の底部側は省略した。外蓋片14が半開きの状態で、この裏側に裏蓋片12が対面し、この周りを側壁片22、23が囲む。外蓋片14の手前中央から外方へ略三角形状に開くジッパー片143備え、この左右にジッパー切れ目a、aが刻まれている。ジッパー片143の手前側は外蓋片14の手前の辺と同一線上に折り目Sを備え、更に手前延長上に外フラップ141とこの左右に折り目T、Tを介して突片142、142を備える。一方、裏蓋片12の手前の辺に沿って中央に傾斜片121を備え、この根元に折り目Uと左右に切れ目j、bを備える。また、この傾斜片121と側壁片22の内壁の間に左右方向の細長いスリット溝122を備える。包装箱の不正開封防止は以上のような構成であって、包装箱2000の蓋を閉じる際に、外蓋片14の手前側の外フラップ141を折れ目Sの部位からジッパー片143に対して直角に折り曲げると同時に、外フラップ141の左右の突片142、142を折れ目T、Tの部位から折って裏面に重ねる。この状態を保ったまま、外フラップ141を裏蓋片12のスリット溝122へ目がけて差し込む。この時、傾斜片121の左右は切れ目j、bを備え、根元は折れ目Uを備えるので、傾斜片121は折れ目Uの部位から下方へ折れ傾斜する。従って、外フラップ141は左右の突片142、142を裏面に夫々折り畳んだ状態で、スリット溝122を貫通する。
【0005】
外フラップ141をスリット溝122に挿着した状態を、包装箱2000の内側から見た図17(b)に示す。ここで、蓋部は三重構造になっており、最外の外蓋片14の内側に裏蓋片12が重なり、更にこの内側に左右の内蓋片11、13が重なる。外フラップ141の左右の突片142、142は、スリット溝122を通り抜けると折り癖によって折れ目T、Tの部位から左右に開いて外フラップ141の裏面に対して起立する。この状態では、突片142、142の下辺が夫々左右の内蓋片11、13の面に開脚した状態となる。この結果、左右の突片142、142がストッパーの機能を有するので、外フラップ141は包装箱2000の外側へ抜け出せなくなり、包装箱2000を閉じた状態に保つ。この状態でカートリッジは包装箱の中に梱包され、流通に出回ることになる。
【0006】
次に、顧客が包装箱を受取り、中のカートリッジを取り出す手順を説明する。通常ならこの状態では、裏蓋片12の裏側において外フラップ141の左右の突片142、142が開脚してストッパーの役目をするので蓋が開かない。そこで、蓋部を開けるためには、ジッパー片143を裏蓋片12に差し込んだまま孔144(図17(a)を参照)に指を入れてジッパー切れ目a、aの部位から破って、ジッパー片143を裏蓋片12から切り離し、この状態が図17(c)に示す。次いで、裏蓋片12を手前側に開き、更に内側の左右の内蓋片11、13を観音開きにして開ける。以上の手順によって、包装箱の中からカートリッジを取り出すことができる。
【0007】
以上のように包装箱を開封する際、外蓋片14のジッパー切れ目a、aが破られるので、純正メーカーの印刷を施した包装箱2000が傷ものになる。従って、中のカートリッジを取り出して、偽物或いは粗悪のカートリッジにすり替え、しかる後に純正メーカーの包装箱2000を使用しても包装箱が傷ものなので偽装工作が不可能となる。
【0008】
しかしながら、この従来の包装箱2000ではジッパー片143を破ることなく蓋面部を開封する恐れがあり、純正メーカーの包装箱2000中のカートリッジを偽物或いは粗悪品にすり替えて偽装工作を可能にする。即ち、ジッパー片143の左右の突片142、142の折れ戻り具合は段ボールの持つ特性任せなので、大半は折り癖によって戻り外フラップ141の裏面に対して起立する。しかしながら稀に外フラップ141の裏側に突片142、142が重なったままの状態を保つことがある。この場合に限ると、左右の突片142、142が重なったまま外フラップ141をスリット溝122から外に引き出して蓋を開封することができ、純正メーカーの包装箱2000は傷が生じることがない。従って、純正品のカートリッジを抜き取った後、純正メーカーの印刷を施した包装箱2000の中に偽物或いは粗悪のカートリッジを梱包して流通に流すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公平3−2740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の通りであって、特許文献1に代表されるように、従来の不正開封防止の包装箱には次のような問題点がある。
【0011】
上記の特許文献1の発明は、壁片と糊代との貼付部分に、非常に困難であるが薄い刃物を入れて切離すと、上下端に連設された折込片が単に差込まれただけなので、壁片が開いて不正開封防止にならない欠陥がある。
【0012】
他に、折れ戻り具合は段ボールの有する特性任せなので、カートリッジの例のようにジッパー片を破ることなく、蓋を開けることができる場合が稀に生じる。このように、折れ戻りが段ボールの有する特性任せである従来のカートリッジ用の包装箱では包装箱の不正開封を完全に防止することは不可能である。従って、輸送の途中などで包装箱の蓋を開けて詰込まれた商品を抜き取り、或いは粗悪品と摩り替えて偽装工作をされる恐れがあり、その場合、包装箱に傷が生じないので不正開封が行われたことが判明し難いという問題がある。
【0013】
そこで、本発明の不正開封防止包装箱は、従来のこのような問題点に着目してなされたもので、段ボール片に設けた折り目の折り癖による反発力を利用して、強制的に折れ戻り可能に舌片の構成を工夫したものであって、詰込まれた商品を輸送中に抜き取ったり、すり替えたりする等の偽装工作を不可能にし、もし不正に開封されたときはジッパー切れ目を設けることによって直ちにそれを判別できるようにした不正開封防止包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、蓋部、側壁部及び底部が連設された直方体状の包装箱において、前記蓋部は、上側から外蓋片、裏蓋片及び内蓋片によって三重に構成され、前記外蓋片の前方辺に沿って外側には、中フラップとともにこれを囲む外フラップを曲折可能に設け、かつ、前記外蓋片の前方辺に沿って、中フラップの先端辺に沿って折れ溝が形成され、前記前記外蓋片の前方辺に沿って内側に、略三角形状のジッパー片を剥ぎ取り可能に設け、一方、前記外蓋片と対面する裏蓋片の前方辺寄りに舌片が曲折可能に設けられるとともに、この舌片の内側に沿って細長いスリット溝が形成され、かつ、直角に曲折されて前記中フラップとともにこれを囲む外フラップがスリット溝に挿着され、一方、前記舌片は前記折れ溝を挿通するとともに直角に曲折され、かつ、前記中フラップの先端辺が前記舌片の曲折部根元に当接することを特徴とする不正開封防止包装箱である。請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記中フラップは左右に切れ目を備え、かつ、これらの切れ目の根元に曲折自在に折り目を備えることを特徴とする不正開封防止包装箱である。請求項3の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記外フラップ根元の左右に鍵状に凹んだノッチを設け、一方、前記裏蓋片の前方辺に沿って細長いスリット溝が形成され、前記外フラップのノッチ間の内法長さが前記スリット溝の長さと略同等であり、かつ、前記外フラップの外法長さが前記スリット溝の長さより長いことを特徴とする不正開封防止包装箱である。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかわる包装箱によれば、一旦商品を梱包して密封した後はジッパーを
剥ぎ取らなければ開封できない。従って詰込まれた純正品を抜き取り、偽物或いは粗悪の品物にすり替えたりするには、ジッパー片を剥ぎ取らなければならないので、包装箱に傷が生じ不正開封が行われたことが瞬時に判明する。純正品に交じって偽物が流通するのを未然に防ぐことができ、偽物の流通を無くしたい生産者或いは需要家の要望を充足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の不正開封防止用包装箱200Aの展開図で、段ボール100Aである。
【図2】同上、包装箱200Aの中に商品を収容した後、蓋を閉じる前の状態を示し、蓋側から見た斜視図である。
【図3】同上、外蓋の舌片を裏蓋のスリット溝に挿着した状態を示し、包装箱200Aの内側から見た斜視図及び一部拡大の断面図である。
【図4】同上、ジッパー片を外蓋から剥ぎ取った状態を示し、包装箱200Aの蓋側から見た斜視図である。
【図5】同上、不正開封防止用包装箱200A‘の展開図で、段ボール100A’である。
【図6】実施例2の段ボールケース200Bの展開図で、段ボール100Bである。
【図7】同上、包装箱200Bの中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の状態を示し、蓋側から見た斜視図である。
【図8】同上、外蓋を閉じる前の状態を示し、蓋側から見た斜視図である。
【図9】同上、外蓋の舌片を裏蓋のスリット溝に挿着した状態を示し、包装箱200Bの内側から見た斜視図及び一部拡大の断面図である。
【図10】同上、ジッパー片を外蓋から剥ぎ取った状態を示し、包装箱200Bの蓋側から見た斜視図である。
【図11】実施例3の段ボールケース200Cの展開図で、段ボール100Cである。
【図12】同上、包装箱200Cの中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の状態を示し、蓋側から見た斜視図である。
【図13】同上、外蓋の舌片を裏蓋のスリット溝に挿着した状態を示し、包装箱200Cの内側から見た斜視図である。
【図14】同上、ジッパー片を外蓋から剥ぎ取った状態を示し、包装箱200Cの蓋側から見た斜視図である。
【図15】同上、段ボールケース200C‘の展開図で、段ボール100C’である。
【図16】同上、包装箱200AC‘の中に商品を収容した後、蓋を閉じる前の状態を示し、蓋側から見た斜視図である。
【図17】従来例の不正開封防止用包装箱の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0018】
先ず、本発明の実施例1ついて、図1〜図5を参照しながら説明する。本実施例1の包装箱はボトムロック形式と称し、隣同士の底面片が巴状に互いに絡み合って底が抜けないようにした箱である。図1は包装箱200Aの展開図で、段ボール100Aである。図2は、包装箱200Aの中に商品を収容した後、蓋を閉じる前の状態を示し、蓋側から見た斜視図である。図3は、外蓋の舌片を裏蓋のスリット溝に挿着した状態を示し、包装箱200Aの内側から見た斜視図及び一部拡大の断面図である。図4は、ジッパー片を外蓋から剥ぎ取った状態を示し、包装箱200Aの蓋側から見た斜視図である。図5は包装箱200A‘の展開図で、段ボール100A’である。なお、これらの図において上下を上下方向と称し、左右を左右方向と称し、他の実施例についても同様である。
【0019】
ほぼ矩形状をした段ボール100Aには、所定の箇所に複数の折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。図1に示すように、段ボール100Aは、左右方向の折り目に沿って、上下方向に蓋部10、側壁部20及び底部30に三段に分割される。段ボール100Aの上下及び左右の方向については、上記の通りとし、他の実施例についても同様である。図中の点線は折り目を示し、他の実施例についても同様である。上下方向に蓋部、側壁部及び底部に分割されるように、上段から下段にかけて、上段左右方向に折り目Fを断続的に備え、その下方に左右方向平行に折り目Gを断続的に夫々平行に備える。そして、二段目の側壁部20には上記した折り目に対し直角の上下方向に左方から折り目H、折り目J、折り目Kを夫々平行に備える。一段目の蓋部10は切れ目を介して左右に内蓋片11、13、裏蓋片11及び外蓋片14に分割される。右端の外蓋片14には、上辺中央部に折り目に沿ってジッパー片を設ける。上辺に沿って折り目S、Sを不連続に備え、この内側へ逆三角形状のジッパー片143を備え、この三角形を形成する左右の二辺にジッパー切れ目a、aを刻む。一方、折り目S、Sの外側へ略矩形状の外フラップ141を備え、この内側に左右の切れ目g、gに挟まれるように略矩形状の中フラップ142が設けられる。この中フラップ142の下側は折り目S、Sより僅か上方平行に切れ目hを備え、この切れ目hは中フラップ142の先端辺を構成する。また、切れ目hの左右に折り目Sから直立して短い切れ目q、qを備える。逆三角形状のジッパー片143の先端には孔144が開けられる。この外蓋片14に対面する裏蓋片12には、側壁部20の境界の折り目Fに沿って裏蓋片12側に突き出るように略矩形状の舌片221を備える。この舌片221の底辺は折り目Fの一部であり、この外側を切れ目kが囲い、更にこの外側を狭い間隔を隔てて切れ目jが囲う。また、舌片221の下辺を形成する折り目Fの左側は複雑、微細に切れ目を備える。左方から続く折り目Fから短い切れ目mが直立し、右側へ折り目Fに平行に切れ目nが切れ目jまで延び、そこから切れ目fが傾斜して舌片221の折り目Fと交わる。舌片221の下辺を形成する折り目Fの右側も同様である。二段目の側壁部20については、折り目を介して左右に側壁片21、22、23及び24に分割される。右端は折り目Zを介して貼着片25を設ける。三段目の底部30は切れ目を介して左右に底面片31、32、33及び34に分割され、夫々異形状に形成される。
【0020】
段ボール100Aは以上の構成であり、以下に折り上げる手順について簡単に説明する。
【0021】
先ず、側壁部20から折り上げる。折り目H、J、Kの部位から、側壁面21、22、23、24を四角に囲むように折り曲げ、最後に糊代片25を側壁面21の内側先端部に糊付けすることにより側壁部20の折り上げが完了する。次に、底部30を上にして、隣同士の底面片が巴状に互いに絡み合うように折り上げる。最後に貼着片321、341を夫々糊づけすることによって、隣同士の底面片が巴状に絡み合うことと相俟って合底が抜けないボトムロック形式の底部が完成する。これで、包装箱の折り上げは一先ず終わり、後はカートリッジを中に収容する時に蓋を閉じる。その際、先ず、対向する内蓋片11、13を両側から観音扉を閉じるように閉め、その上から裏蓋片12を閉じ、最後にその上から外蓋片14を閉じるので、蓋面は三重構造となる(後の図4参照)。不正開封防止のための舌片の挿着については後述する。なお、段ボールケース200Aの方向については、蓋部10と底部30との方向を上下方向とし、他の実施例についても同様である。
【0022】
以上のように一枚の段ボールから包装箱へと折り上げられ、次に図2、3及び図4を参照しながら不正開封防止のための舌片、ジッパー片等の作用について説明する。
【0023】
包装箱200Aの中にカートリッジを収容したあと、蓋を閉じる前の状態を図2に示し、包装箱200Aを蓋側から見た斜視図であり、箱の底部側は省略した。外蓋片14は半閉じの状態で、この裏側に裏蓋片12が対面し、この周りを側壁片22他が囲む。外蓋片14の手前中央から後方へ略三角形状のジッパー片143を備え、この左右にジッパー切れ目a、aがギザギザ状に刻まれている。ジッパー片143の三角形の底辺は外蓋片14の手前の辺と同一線上に設けた折り目S、切れ目h、折り目Sからなる。更に手前外側に外フラップ141及びこれに囲まれるように中フラップ142を備え、この中フラップ142の左右に切れ目g、gとジッパー片143側に切れ目hを備える。一方、裏蓋片12の手前の辺に沿って中央に折り目Fを介して舌片221が突出し、この左右に切れ目m、nを左右対称に備える。なお、側壁片22の上方内周面に沿って、切れ目m、nと側壁片22の内周面とによって細長い溝状のスリット溝122が、舌片221の根元左右から中央に形成される。包装箱の不正開封防止については以上のような構成であって、包装箱200Aの蓋を閉じる際に、外蓋片14の手前側の外フラップ141を折れ目S、Sの部位からジッパー片143に対して直角に折り曲げる。次いで、外フラップ141の先端を側壁片22の内周面に沿った細長い溝状のスリット溝122へ目がけて差し込む。同時に、側壁片22の上辺に立設する舌片221はジッパー片143の先端切れ目hと左右の切れ目q、qによって形成される折れ溝145を挿通しながら内側へ押されるように裏蓋片12側へ折れ曲がる。ここで、舌片221が中フラップ142の切れ目hを挿通する時に、先ず中フラップ142が傾斜するので切れ目hと左右の切れ目q、qによって隙間が形成され、この隙間を折れ溝145と称する。続いて、外蓋片14を押し下げ続けることによって、外フラップ141は直角に折れ曲がってスリット溝122を貫通する。この状態で、上側からジッパー片143、その裏側に舌片221が重なり、中フラップ142は外フラップ141とともに直立して側壁片22の裏面に密着する。
【0024】
スリット溝122へ外フラップ141を貫通させた状態を、包装箱200Aの内側から見た斜視図として図3(a)に示す。ここで、蓋部は三重構造になっており、最外の外蓋片14の内側に裏蓋片12が重なり、更にこの内側に左右の内蓋片11、13が重なる。外フラップ141がスリット溝122を貫通すると同時に、舌片221によって中フラップ142が内側へ押されながら、一方、中フラップ142は内蓋片11によって押し付けられて側壁片22の裏面に密着して起立する。図示のように、内側から外側へ向けて左右の内蓋片11、13と舌片221の周りの裏蓋片12、その外側に外蓋片14が重なる。同時に、側壁側へ向けて外フラップ141と一回り小さい中フラップ142が起立し、その外側に側壁片22が重なる。これらの重なり状態を断面図として図3(b)示す。この状態では、中フラップ142は直立しているので、この先端辺の切れ目hが舌片221の折れ目Fの近傍を押さえつける。即ち、舌片221は折れ溝145を挿通するとともに直角に曲折され、かつ、前記中フラップ142の先端辺が舌片221の折り目F近傍の曲折部根元に当接する。更に内蓋片11の先端辺によって中フラップ142は側壁片22側へ押しつけられているので中フラップ142先端辺の切れ目hが舌片221を確実に押さえ込む。この結果、中フラップ142がストッパーの役目をし、中フラップ142とこれを囲む外フラップ141を包装箱200Aの外側へ抜け出せなくなり、包装箱200Aを閉じた状態に保つことができる。この状態でカートリッジは包装箱の中に梱包され、流通に出回ることになる。上述したように、内蓋片11の先端辺によって中フラップ142は側壁片22側へ押さえつけられているので、万が一でも中フラップ142が折り目Fの近傍から箱の内蓋片11、12側へ外れるようなことが生じない。その結果、外フラップ141をスリット溝122の隙間から外へ抜き出すことは不可能となる。
【0025】
次に、顧客が包装箱を受取った後、中のカートリッジを取り出す手順を説明する。通常なら図3(b)の状態では、裏蓋片12の裏側において中フラップ142の先端辺が舌片221を押さえ込んでいるので外蓋片14が外側へ開かない。そこで、蓋部を開けるためには、ジッパー片143を裏蓋片12に差し込んだまま孔144(図2を参照)に指を入れてジッパー切れ目a、aの部位から破って、ジッパー片143を表蓋片14から切り離す他なく、この状態を図4に示す。次いで、裏蓋片12を手前側に開き、更に内側の左右の内蓋片11、13を観音開きにして開ける。以上の手順によって、包装箱の中からカートリッジを取り出すことができる。
【0026】
以上のように包装箱を開封する際、外蓋片14のジッパー切れ目a、aを破るので、純正メーカーの印刷を施した包装箱200Aが傷ものになる。従って、中のカートリッジを取り出して、偽物或いは粗悪のカートリッジにすり替え、しかる後に純正メーカーの包装箱200Aを使用しても包装箱が傷ものなので偽装工作はできない。
【0027】
次に、前述した中フラップ142について若干異なる形式を図5に示す。本形式の前述した形との主たる相違点は中フラップ142であって、特に、折り目を設けたところにある。本形式の中フラップ142の折り目は基本的には前述したように必要としないが、ここでは、中フラップ142の上辺に折り目を設ける形式について以下に説明する。図に示すように、右端の外蓋片14には、上辺の折り目S、Sの外側へ略矩形状の外フラップ141を馬蹄形状に備え、この内側に左右の切れ目g、gに挟まれて略矩形状の中フラップ142が設けられる。この中フラップ142の下側は折り目S、Sより僅か上方で平行に切れ目hが備える。また、切れ目hの左右に折り目Sから直立して短い切れ目q、qを備える。そして、中フラップ142の左右に切れ目g、gを備え、これらの上方根元に本形式特有の折り目Vを設ける。この折り目Vを設けることによって、裏蓋片12手前のスリット溝122(図2参照)に外フラップ141を挿入する動きに連動して、舌片221を中フラップ142の中に押し込む際に、段ボールの曲折抵抗を軽減するために有効である。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明の実施例2ついて、図6〜図10を参照しながら説明する。本実施例2の包装箱は組立箱形式のものである。図6は、本実施例の段ボールケース200Bの展開図で、段ボール100Bである。図7は、包装箱200Bの中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の状態を示し、包装箱200Bの蓋側から見た斜視図である。図8は、外蓋を閉じる前の状態を示し、包装箱200Bの蓋側から見た斜視図である。図9は、外蓋の舌片を裏蓋のスリット溝に挿着した状態を示し、包装箱200Bの内側から見た斜視図及び一部拡大の断面図である。図10は、ジッパー片を外蓋から剥ぎ取った状態を示し、包装箱200Bの蓋側から見た斜視図である。
【0029】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、包装箱の底の形式が異なるところにある。
【0030】
ほぼ矩形状をした段ボール100Bには、所定の箇所に複数の折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。図6に示すように、段ボール100Bは、左右方向の折り目に沿って、上下方向に蓋部40、側壁部50、蓋・底・側壁部60、底部70及び蓋部80に五段に分割される。上下方向に蓋部、側壁部、蓋・底・側壁部、底部及び蓋部に分割されるように、上段から下段へかけて、折り目Cを上段中央左右方向に備え、折り目Lを中央左右方向に備え、その下方に平行に折り目Mを中央左右方向に、そして、折り目Dを夫々平行に備える。そして、上記した折り目に対し直角の上下方向に上下3段を貫通するように左方から折り目P、折り目Qを夫々平行に備える。なお、三段目には、折り目P、折り目Qの左右に夫々折り目N、折り目Rを備える。一段目の蓋部40は折り目Cの上方に台形状の蓋片41を備える。二段目の側壁部50は折れ目を介して左右に内側壁片51、外側壁片52、内側壁片53に分割される。内側壁片51の左上端にはスリット511を備え、内側壁片53の右下端にはスリット531を備える。次に、三段目の蓋・底・側壁部60は折れ目を介して左右に外蓋片61、外側壁片62、底面片63、外側壁片64及び内蓋片65に分割される。左端の外蓋片61には、左辺中央部に折り目に沿ってジッパー片を設ける。左辺に沿って折り目S、Sを不連続に設け、この内側へ略三角形状のジッパー片613を備え、この略三角形を形成する二辺にジッパー切れ目a、aを刻む。一方、折り目S、Sの左側へ略矩形状の外フラップ611を備え、この内側に左右の切れ目g、gに挟まれるように略矩形状の中フラップ612が設けられる。この中フラップ612の下側は折り目S、Sより僅か上方平行に切れ目hを備え、この切れ目hは中フラップ612の先端辺を構成する。また、切れ目hの左右に折り目Sから直立して短い切れ目q、qを備える。略三角形状のジッパー片613の先端には孔614が開けられる。この外蓋片61に対面する裏蓋片65には、折り目Rに沿って裏蓋片65側に突き出るように略矩形状の舌片641を備える。この舌片641の左辺は折り目Rの一部であり、この周囲を切れ目kが囲い、更にこの周囲を狭い間隔を隔てて切れ目jが囲う。また、舌片641の左辺を形成する折り目Rの左側は複雑、微細に切れ目を備える。折り目Rから切れ目mが僅かに直立し、下方へ直角に折れて切れ目nが切れ目jまで延び、そこから切れ目fが傾斜して舌片641の折り目Rと交わる。舌片641の下辺を形成する折り目Fの下側も同様である。四段目の側壁部70は折れ目を介して左右に内側壁片71、外側壁片72、内側壁片73に分割される。内側壁片71の左上端にはスリット711を備え、内側壁片73の右下端にはスリット731を備える。最後に、五段目の蓋部40は折り目Dの下方に台形状の内蓋片81を備える。
【0031】
段ボール100Bは以上の構成であり、以下に折り上げる手順について説明する。
【0032】
先ず、側壁部50及び側壁部70から折り曲げる。側壁部50の外側壁片52を折り目Lの部位から直立させ、次いで左右の内側壁片51、53を夫々折り目P、Qの部位から内側に直角にコの字状に折り曲げる。同様に、側壁部70の外側壁片72を折り目Mの部位から直立させ、次いで左右の内側壁片71、73を夫々折り目P、Qの部位から内側に直角にコの字状に折り曲げる。ここで、側壁部50のコの字状体に側壁部70のコの字状体を対向させ、底面片63を底にした上開きの矩形状体が折り上がる。この時、側壁の左側において内側壁片51のスリット511と内側壁片71のスリット711とが絡み合い、一方、側壁の右側において内側壁片53のスリット531と内側壁片73のスリット731とが絡み合って、底面片63を底にした上開きの矩形状体の側壁を直立状態に保つ。次に、外側壁片52上折り目Cの部位から内蓋片41を内側へ直角に折り曲げ、次いで、外側壁片72下折り目Dの部位から内蓋片81を内側へ直角に折り曲げて、内蓋が完成して庇状に被さる(図7参照)。次に、図7に示すように、外側壁片64は折り目Qの部位から直立し、内側壁片53と内側壁片73を外側から覆う。一方、外側壁片62は折り目Pの部位から直立し、内側壁片51と内側壁片71を外側から覆う。このようにして、側壁部の折り上げが完了する。これで、包装箱の折り上げは一先ず終わり、後はカートリッジを中に収容する際に蓋を閉じる。その際、内蓋片41及び内蓋片81が夫々二方の側壁から内側へ直角に折り曲げられて、先ず左右の側壁沿いに庇状の左右の内蓋片41、81なる不連続の内蓋部が形成されており、この上から裏蓋片65を閉じ、最後にその上から外蓋片61を閉じることによって、三重構造からなる蓋面が形成される。不正開封防止のための舌片の挿着については後述する。
【0033】
以上のように一枚の段ボールから包装箱へと折り上げられ、次に図8、9及び図10を参照しながら不正開封防止のための舌片、ジッパー片等の作用について説明する。
【0034】
図8に、包装箱200Bの中にカートリッジを収容したあと、蓋を閉じる前の状態を示し、包装箱200Bを蓋側から見た斜視図である。外蓋片61は半閉じの状態で、この裏側に裏蓋片65が対面し、この周りを外側壁片64、72他が囲む。外蓋片61の手前中央から外方へ略三角形状に開くジッパー片613を備え、この左右にジッパー切れ目a、aがギザギザ状に刻まれている。ジッパー片613の三角形の底辺は外蓋片61の手前の辺と同一線上に設けた折り目S、切れ目h、折り目Sからなる。更に手前外側に外フラップ611及びこれに囲まれるように中フラップ612を備え、この中フラップ612の左右に切れ目g、gとジッパー片613側に切れ目hを備える。一方、裏蓋片65の手前の辺に沿って中央に舌片641が突出し、この左右に対称に切れ目m、n及び切れ目m、nを備える。なお、左右の切れ目m、n及び側壁片64の内周面とによって細長いスリット溝652が形成される。包装箱の不正開封防止については以上のような構成であって、包装箱200Bの蓋を閉じる際に、外蓋片61の手前側の外フラップ611を折れ目S、Sの部位からジッパー片613に対して直角に折り曲げる。次いで、ジッパー片613先端の外フラップ611を側壁片64の内周面に沿った細長いスリット溝652へ目がけて差し込む。同時に、舌片641はジッパー片613の先端切れ目hと左右の切れ目q、qによって形成される折れ溝145を挿通しながら内側へ押されるように裏蓋片65側へ折れ曲がる。続けて、外蓋片61を押し下げ続けることによって、外フラップ611は直角に折れ曲がってスリット溝652の長穴を貫通する。この状態で、上側からジッパー片613、その裏側に舌片641が重なり、外フラップ611は舌片612とともに直立して側壁片64の裏面に密着する。
【0035】
スリット溝652に外フラップ611を貫通させた状態を、包装箱200Bの内側から見た斜視図として図9(a)に示す。ここで、蓋部は二重構造になっており、最外の外蓋片61の内側に裏蓋片65が重なる。外フラップ611がスリット溝652を貫通すると同時に、舌片612によってフラップ641が内側へ押されながら折れ曲がり、一方、外フラップ611は中フラップ612とともに側壁片64の裏面に密着して起立する。図示のように、上下に内側から外側へ向けて舌片641を囲む裏蓋片65、その外側に外蓋片61が重なる。同時に、側壁側は内側から外側へ向けて外フラップ611と一回り小さい中フラップ612が起立し、その外側に側壁片64が重なる。これらの重なり状態を断面図として図9(b)示す。この状態では、中フラップ612は直立しており、この先端辺の切れ目hが舌片641の折れ目Rの近傍を押さえ付けるので中フラップ612先端辺の切れ目hが舌片641を確実に押さえ込む。この結果、中フラップ612がストッパーの役目をし、舌片612とこれを囲む外フラップ611は包装箱200Bの外側へ抜け出せなくなり、包装箱200Bを閉じた状態に保つことができる。この状態でカートリッジは包装箱の中に梱包され、流通に出回ることになる。上述したように、万が一でもフラップ641が折り目Rの近傍から箱の中央側へ外れるようなことが生じない。その結果、舌片641をスリット溝652の隙間から外へ抜き出すことは不可能となる。
【0036】
次に、顧客が包装箱を受取った後、中のカートリッジを取り出す手順を説明する。通常なら図9(b)の状態では、裏蓋片65の裏側において中フラップ612の先端辺が舌片641を押さえ込んでいるので外蓋片61が外側へ開かない。そこで、蓋部を開けるためには、ジッパー片613を裏蓋片65に差し込んだまま孔614(図8を参照)に指を入れてジッパー切れ目a、aの部位から破って、ジッパー片613を表蓋片61から切り離す他なく、この状態を図10に示す。次いで、裏蓋片65を手前側に開ける。以上の手順によって、包装箱の中からカートリッジを取り出すことができる。
【0037】
以上のように包装箱を開封する際、外蓋片61のジッパー切れ目a、aを破るので、純正メーカーの印刷を施した包装箱200Bが傷ものになる。従って、中のカートリッジを取り出して、偽物或いは粗悪のカートリッジにすり替え、しかる後に純正メーカーの包装箱200Bを使用しても包装箱が傷ものなので偽装工作はできない。
【実施例3】
【0038】
次に、本発明の実施例3ついて、図11〜図16を参照しながら説明する。本実施例2の包装箱は組立箱形式のものである。図11は、本実施例の段ボールケース200Cの展開図で、段ボール100Cである。図12は、包装箱200Cの中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の状態を示し、包装箱200Cの蓋側から見た斜視図である。図13は、外蓋の舌片を裏蓋のスリット溝に挿着した状態を示し、包装箱200Cの内側から見た斜視図である。図14は、ジッパー片を外蓋から剥ぎ取った状態を示し、包装箱200Cの蓋側から見た斜視図である。図15は、本実施例の段ボールケース200C‘の展開図で、段ボール100C’である。図16は、包装箱200C‘の中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の状態を示し、包装箱200C’の蓋側から見た斜視図である。
【0039】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、舌片の折り目近傍に複数の複雑な切れ目を備えるところにあり、かつ、外フラップ141の左右根元に鍵状に凹むノッチ146、146を設けたところにある。以下、主に実施例1と異なる構成について説明する。
【0040】
ほぼ矩形状をした段ボール100Cには、所定の箇所に複数の折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。図11の展開図に示すように、段ボール100Cは、左右方向の折り目に沿って、上下方向に蓋部10、側壁部20及び底部30に三段に分割される。上下方向に蓋部、側壁部及び底部に分割されるように、上段から下段にかけて、上段左右方向に折り目Fを断続的に備え、その下方に左右方向平行に折り目Gを断続的に夫々平行に備える。そして、二段目の側壁部20には上記した折り目に対し直角の上下方向に左方から折り目H、折り目J、折り目Kを夫々平行に備える。一段目の蓋部10は切れ目を介して左右に内蓋片11、12、13及び14に分割される。外蓋片14に対面する裏蓋片12には、側壁部20の境界の折り目Fに沿って裏蓋片12側に突き出るように略矩形状の舌片221を備える。この舌片221の底辺は折り目Fの一部であり、この外側を切れ目kが囲い、更にこの外側を狭い間隔を隔てて切れ目jが囲う。また、舌片221の下辺を形成する折り目Fの左側は複雑、微細に切れ目を備える。舌片221の下辺に折り目Fを備え、この折り目Fの左右延長上に折り目を左右対称に複雑に設ける。折り目Fの左方では短い切れ目fが左斜め上に傾斜して形成され、この左延長上に折り目Fに平行に切れ目nが続き、更にこの延長上に左斜め上に傾斜して切れ目pが続く。舌片221の折り目Fの右側も同様である。そして、外フラップ141の左右根元に外蓋片14に沿って鍵状に凹むノッチ146、146を設ける。
【0041】
段ボール100Cは以上の構成であり、以下に折り上げる手順は実施例1と同様なので、不正開封防止のための舌片の近傍の切れ目の作用について説明する。
【0042】
包装箱200Cの中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の蓋側から見た斜視図を図12に示した。側壁片22の上辺折り目Fに沿って舌片221が上方へ突出し、その左右対称に複雑に構成された切れ目が設けられる。舌片221の左方根元から切れ目fが傾斜して設けられ、裏蓋片12の手前の辺近傍で側壁片22に平行に切れ目n、その延長上に傾斜して切れ目pが、そして切れ目nに垂直に切れ目dが夫々設けられる。そして、ジッパー片143を外蓋片14から剥ぎ取った状態を、包装箱200Cの裏蓋側から見た斜視図として図14に示した。側壁片22の上辺折り目Fに沿って剥ぎ取られたジッパー片143が細長いスリット溝122に挿着された儘であり、その左右対称に複雑に構成された切れ目が設けられる。ジッパー片143の左方根元から、裏蓋片12の手前の辺近傍で側壁片22に平行に切れ目n、その延長上に斜め上に切れ目pが曲がり、そして切れ目nに垂直に手前側に切れ目dが夫々設けられる。図12に示すように、これらの複雑に構成された切れ目はスリット溝122の左右に形成される。ここで、外フラップ141の根元左右に鍵状の凹んだノッチ146、146を設け、一方、外蓋片14の前方辺に沿って細長いスリット溝122が形成され、外フラップ141の左右のノッチ146、146間の内法がスリット溝122の長さと略同等であり、かつ、外フラップ141の幅方向外法が前記スリット溝122の長さより長い。このような外フラップ141の幅方向外法とスリット溝122の長さ寸法との関係において、外フラップ141の先端を側壁片22の内周面に沿った細長い溝状のスリット溝122へ目がけて差し込む。この際、スリット溝122の左右端に切れ目n、p、dを備えるので、スリット溝122の長さより幅方向外法が長い外フラップ141は、切れ目n、p、dの部位を内側へ押し曲げるのでスリット溝122に差し込み、挿着され易い。換言すれば、外フラップ141をスリット溝122に押し込む際、外フラップ141によってスリット溝122の左右端を破るようなことが生じない。一方、外フラップ141がスリット溝122に挿着して外蓋片14を閉じた状態から、外蓋片14を開ける際に、外フラップ141の左右のノッチ146、146間の内法長さがスリット溝122の長さと略同等であり、かつ、外フラップ141の外法長さが前記スリット溝122の長さより長いので、鍵状のノッチ146、146の部位が裏蓋片12の裏面に係止されて外蓋片14が開かない。
【0043】
次に、前述した中フラップ142について若干異なる形式を図15に示す。本形式の前述した図11との主たる相違点は、中フラップ142の上側に折り目Vを設けるところにある。本形式の中フラップ142の折り目は基本的には前述したように必要としないが、ここでは、中フラップ142の上辺に折り目を設ける形式について以下に説明する。図に示すように、右端の外蓋片14には、上辺の折り目S、Sの外側へ略矩形状の外フラップ141を馬蹄形状に備え、この内側に左右の切れ目g、gに挟まれて略矩形状の中フラップ221が設けられる。この中フラップ142の下側は折り目S、Sより僅か上方で平行に切れ目hが備える。そして、中フラップ142の上側に本形式特有の折り目Vを設ける。このことによって、裏蓋片12手前のスリット溝122に外フラップ141を挿入する動きに連動して、舌片221を中フラップ142の中に押し込む際に、段ボールの曲折抵抗を軽減するために有効である。そして、包装箱200C‘の中に商品を収容した後、裏蓋を閉じる前の蓋側から見た斜視図を図16に示した。側壁片22の上辺折り目Fに沿って舌片221が上方へ突出し、その左右対称に複雑に構成された切れ目が設けられる。なお、側壁片22の内周面に沿って、左右の切れ目m、nと切れ目m、n及び側壁片22の内周面とによって細長い溝状のスリット溝122が形成される。この場合においても、スリット溝122の長さより幅方向外法が長い外フラップ141は、切れ目n、p、dの部位を内側へ押し曲げるのでスリット溝122に差し込み、挿着され易い。また、外フラップ141の外法長さが前記スリット溝122の長さより長いので、鍵状のノッチ146、146の部位が裏蓋片12の裏面に係止されて外蓋片14が開かない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
なお、本発明の使途は実施例に示したカートリッジの不正開封防止の他に、食品、薬品等を収容する包装箱に好適である。この場合、内部に収容された食品、薬品に有害物を注入する等の細工を施されるような危険を防止するために有効である。
【符号の説明】
【0045】
100A、100A‘、100B、100C、100C‘ 段ボール
200A、200B、200C、200C‘、2000 包装箱
10 蓋部
11 内蓋片、12 裏蓋片、13 内蓋片、14 外蓋片
122 スリット溝
141 外フラップ、142 中フラップ、 143 ジッパー片、144 孔
145 折れ溝、146 ノッチ
20 側壁部
21、22、23、24 側壁片、25 貼着片
221 舌片
30 底部
31、32、33、34 底面片
321 貼着片、341 貼着片
40 蓋部、41 内蓋片
50 側壁部
51 内側壁片、52 外側壁片、53 内側壁片
60 蓋・底・側壁部
61 外蓋片、62 外側壁片、63 底面片、64 外側壁片、65 裏蓋片
611 外フラップ、612 中フラップ、613 ジッパー片、614 孔
641 舌片
652 スリット溝
70 側壁部
71 内側壁片、72 外側壁片、73 内側壁片
80 蓋部、81 内蓋片
C、D、F、G、H、J、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、U、V 折り目
a ジッパー切れ目
b、c、d、e、f、g、h、j、k、m、n、p、q 切れ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋部、側壁部及び底部が連設された直方体状の包装箱において、
前記蓋部は、上側から外蓋片、裏蓋片及び内蓋片によって三重に構成され、
前記外蓋片の前方辺に沿って外側には、中フラップとともにこれを囲む外フラップを曲折可能に設け、
かつ、前記外蓋片の前方辺に沿って、中フラップの先端辺に沿って折れ溝が形成され、
前記前記外蓋片の前方辺に沿って内側に、
略三角形状のジッパー片を剥ぎ取り可能に設け、
一方、前記外蓋片と対面する裏蓋片の前方辺寄りに舌片が曲折可能に設けられるとともに、
この舌片の内側に沿って細長いスリット溝が形成され、
かつ、直角に曲折されて前記中フラップとともにこれを囲む外フラップがスリット溝に挿着され、
一方、前記舌片は前記折れ溝を挿通するとともに直角に曲折され、
かつ、前記中フラップの先端辺が前記舌片の曲折部根元に当接することを特徴とする不正開封防止包装箱。
【請求項2】
前記中フラップは左右に切れ目を備え、
かつ、これらの切れ目の根元に曲折自在に折り目を備えることを特徴とする請求項1記載の不正開封防止包装箱。
【請求項3】
前記外フラップ根元の左右に鍵状に凹んだノッチを設け、
一方、前記裏蓋片の前方辺に沿って細長いスリット溝が形成され、
前記外フラップのノッチ間の内法長さが前記スリット溝の長さと略同等であり、
かつ、前記外フラップの外法長さが前記スリット溝の長さより長いことを特徴とする請求項1記載の不正開封防止包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−6097(P2011−6097A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150657(P2009−150657)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390019493)中央紙器工業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】