説明

不良シートロールの検出装置並びに検出方法及び不良シートロールの排出装置並びに排出方法

【課題】テールシール不良シートロールを容易に検出しさらに搬送経路外へと排出する。
【解決手段】
一定方向に移動して載置されたシートロール1を移動させる搬送平面10と、この搬送平面10の上に所定の隙間を有して立設された一対のガイド板20,20とで構成された搬送路2と、この搬送路2の途中に形成された、搬送平面10の移動方向に対して一対のガイド板20,20の延在方向が所定角をなしてる転回部2Rと、前記転回部2R又はその直後の搬送路2を構成する一対のガイド板20の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段60と、前記第1の検知手段60の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロール1の有無を検知する第2の検知手段70とを備える不良シートロールの検出装置により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不良シートロールの検出装置並びに検出方法及び不良シートロールの排出装置並びに排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットロール、キッチンロール等に代表される、帯状の連続紙や連続不織布シート等を円筒状に多層巻きしたシートロールの品質検査の一として、テール端部の接着(テールシールと言う)不良の検査がある。
この検査は、周面が接するようにしてベルトコンベア上に寝かせた状態で連続的に搬送されるシートロールのテールシール部分を上方から検査人が目視等にて確認し、不良品があればラインから取り除くという方法が一般的である。
しかし、この方法はテールシール部分が下側に位置していると瞬時の確認ができないため、このような状態のシートロールが搬送されてきた場合に、不良品が検査パスして後段に流れてしまうことがある。特に、テールの一部のみが剥離しているような不良品を確認することは困難であり、このような不良品が、検査工程後の搬送過程でテール剥離が進み、操業トラブルや不良製品の市場流出への原因となることがあった。
このような問題を解決する技術として、例えば、特開平2003−322510に、ロール端面が上下となるようにコンベア上に円筒姿勢で起立させた状態にしたのちに検査する方法もあるが、この方法では、ロールシートをコンベア上に立たせるためにコンベアの速度を極めて低下させる必要があり、生産速度、検査速度が低下する欠点を有する。
【特許文献1】特開2003−322510
【特許文献2】特開2000−355420
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明の課題は、搬送速度の低下なく、自動で精度よく、確実にテールシール不良のシートロールを検出する方法及びそのような不良シートロールを搬送経路外に確実に排出する方法、これらを可能とする装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記の通りである。
<請求項1記載の発明>
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを検出する装置であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段とを備えることを特徴とする不良シートロールの検出装置。
【0005】
<請求項2記載の発明>
前記転回部は、ガイド板の一方の内壁面に向かって上方から気体を吹き付ける気体吹き付け手段が設けられている請求項1記載の不良シートロールの検出装置。
【0006】
<請求項3記載の発明>
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを検出する方法であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段とを備える不良シートロールの検出装置を用い、
前記シートロールを、前記転回部を通過させる過程で、そのテール端縁が上方を向きつつガイド板下方側から上方側に向かうようにして転回させ、
その転回過程で剥離しているテール端部は前記隙間からガイド間外に露出され、
前記第1の検知手段で当該露出したテール端部を含む移動異物を検知し、
第1の検知手段で異物が検知された場合に、第2検知手段でのシートロールの検知と比較して、第2検知手段でのシートロールの検知があれば、第1検知手段における移動異物をテール端部と判断し、第2検知手段でのシートロールの検知がなければ他の異物と判断することで、不良シートロールを検出することを特徴とする不良シートロールの検出方法。
【0007】
<請求項4記載の発明>
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを排出する装置であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
【0008】
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段と、
前記第1及び第2の検知手段の下流で、所定位置を通過するシートロールを検知し、前記第1及び第2検知手段で検知されたシートロールが当該所定位置を通過したことを確認する第3の検知手段と、
第3検知手段の下流に位置し、各検知手段の検知信号に基づいて動作するシートロールを搬送経路外へと排出する排出手段と、を備えることを特徴とする不良シートロールの排出装置。
【0009】
<請求項5記載の発明>
前記転回部は、ガイド板の一方の内壁面に向かって上方から気体を吹き付ける気体吹き付け手段が設けられている請求項1記載の不良シートロールの排出装置。
【0010】
<請求項6記載の発明>
前記排出手段は、シートロール側面に対して高圧エアを吹付けて搬送路外へと吹き飛ばして排出するものである、請求項3又は4記載の不良シートロールの排出装置。
【0011】
<請求項7記載の発明>
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを排出する方法であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段と、
この第2の検知手段の下流で搬送路上を通過するシートロールを検知する第3の検知手段と、
第3の検知手段の下流に位置して、各検知手段の検知信号に基づいて、特定された当該不良シートロールを搬送経路外へと排出する排出手段とを備える不良シートロールの排出装置を用い、
前記シートロールを、前記転回部を通過させる過程で、そのテール端縁が上方を向きつつガイド板下方側から上方側に向かうようにして転回させ、
その転回過程で剥離しているテール端部は前記隙間からガイド間外に露出され、
前記第1の検知手段で当該露出したテール端部を含む移動異物を検知し、
第1の検知手段で異物が検知された場合に、第2検知手段でのシートロール検知とを比較して、第2検知手段でのシートロールの検知があれば、第1検知手段における移動異物をテール端部と判断し、第2検知手段でのシートロールの検知がなければ他の異物と判断することで、不良シートロールを検出し、
この第1及び第2の検知手段により検出された不良シートロールが第3検知手段で検知されたときに、前記排出手段を動作させて不良シートロールを搬送経路外へと排出する、ことを特徴とする不良シートロールの排出方法。
なお、本発明における搬送経路とは搬送路を含むシートロールが流れる経路を意味する。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によれば、搬送速度の低下なく、自動で精度よく、確実にテールシール不良のシートロールを検出する方法及びそのような不良シートロールを搬送経路外に確実に排出する方法、これらを可能とする装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次いで、本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
図1は本発明の不良シートロール排出装置X1の斜視図である。なお、この不良シートロール排出装置X1は、本発明の不良シートロール検出装置X1’を構成として含む装置であるため、不良シートロール検出装置X1’についても図1を参照しながら説明する。
【0014】
<検出装置>
本発明の検出装置X1’は、連続シートを円筒状に多層巻きしたシートロール1をその端面1eを進行方向に向けて搬送する課程で、テール部分が剥離した不良シートロールを検出する装置である。
【0015】
対象となるシートロール1は、帯状の連続シートを円筒状に多層巻きしたものであり、特にその物性、組成は限定されないが、特に適するのは、連続衛生薄葉紙や連続不織布シート等を円筒状に多層巻きしたトイレットロール、キッチンロール等である。
【0016】
この検出装置X1’は、一定方向に移動する搬送平面10と、この搬送平面10の上に立設され、シートロール1の周面1cをガイドする一対のガイド板20,20とで構成される搬送路2を備える。
そして、この搬送路2は、その一部に、搬送平面10の移動方向(図中矢印A)に対して、一対のガイド板20,20の延在方向が所定角をなすように配され、シートロール1が端面1eを進行方向にして進入すると、搬送平面10による強制的な位置移動とこれにともなうガイド板20,20による周面1cのガイドとによって、シートロール1が周方向(図中矢印B)に転回されつつ搬送される転回部2Rを有している。なお、その前後所定区間は、搬送平面10の移動方向Aと一対のガイド板20,20の延在方向とは、同じ方向となっている。
【0017】
前記転回部2Rにおける、搬送平面10の移動方向Aとガイド板延在方向との具体的な角度θは、搬送平面10の移動速度によっても調整されるものであるが、4〜20°、好適には8〜12°とするのがよい。4°未満であるとシートロール1を一回転させるのに要する距離が長くなり設備規模を過度に大きくする必要が生じる。反対に20°を超えると十分な搬送速度で搬送しようとするとシートロール1の変形、搬送路2外への飛び出しの事故が生じやすくなる。
また、本装置における転回部2Rの距離L1は、特に限定されない。搬送平面10の移動速度、前記角度θ及び所望のシートロール1の転回数を考慮して適宜定めればよい。
【0018】
前記移動する搬送平面10は、例えば、ベルトコンベア、ロールコンベア等を用いて構成することができる。好適には、搬送平面10となる搬送対象物積載面の平坦性が高く、搬送時におけるシートロール1の変形がなされ難いベルトコンベアを用いて構成するのがよい。図示例は、搬送平面10を構成するのに、駆動ロールと動可能なロールとの間に無端ベルトを架け渡して構成されたベルトコンベアを採用している。
このようにベルトコンベアを用いる場合、搬送平面となる搬送対象物積載面を構成する無端ベルトはゴム製など樹脂性ものが好適である。
【0019】
搬送平面10を移動させるための駆動源は、例えば、ベルトコンベア、ローラコンベア等であれば駆動モータ等を採用することができ、これらは既知の技術に従って採用できる。本発明においては特に限定されるものではない。
【0020】
搬送平面10の移動速度は、既知のシートロール1の製造ライン等で採用されている搬送速度をそのまま採用できる。具体例を挙げれば、トイレットロールの製造ラインであれば、50〜500m/分、好適には100〜350m/分程度、キッチンロールの製造ラインであれば、50〜500m/分、好適には100〜350m/分程度である。
【0021】
他方、一対のガイド板20,20は、シートロール1が接触した際にシートロール1が破けないようシートロール1の周面が接する側の面(以下、内壁面20iという)が平滑な板であり、その素材としては、樹脂製、金属製、木製など適宜の素材を採用しうる。
【0022】
特に、内壁面の平滑度を高くできる点で樹脂製、金属製が適する。さらに、耐久性を考慮するとアルミ板、鉄板、ステンレス板、銅板等金属製が適し、腐食による内面の平滑性の低下が少ないこととコストを考慮するとアルミ板が最も適する。
【0023】
他方、一対のガイド板20,20間の間隔L2は、シートロール1の直径1dの1.02〜1.25倍、好適には1.10〜1.18倍とするのがよい。1.02倍未満であると前記転回部2Rへの進入性、及びシートロール1の転回性を悪化させる。また、1.25倍を超えるとガイドされ難くなるとともに、転回部内でシートロールの端面側縁がガイド板20,20に対して強く衝突してシートロール1が変形する事故が生じやすくなる。
【0024】
他方、搬送平面10からガイド板20の上端縁までの距離L3は、シートロール1の直径1dの0.5〜1.25倍、好適には0.60倍〜1倍とするのがよい。0.5倍未満であると、搬送時にシートロール1が搬送路外に飛び出すおそれが高まる。特に、転回部2Rの進入時に飛び出しのおそれが高まる。反対に、1.25倍を超えると搬送路内を搬送されているシートロール1の確認がし難くなる。
【0025】
他方、本形態の検出装置X1’は、立設されるガイド板20,20の下縁と搬送平面10との間に、シートロールの直径1dの1/100〜1/2、好適には1/70〜1/10の隙間11が設けられている。これにより所定向きで搬送路2内にシートロール1を供給すると、転回部2Rにおけるシートロール1の転回時に、テール端部が剥離しているもの(図中1K)については、剥離したテール端部が前記隙間11に導かれて搬送路2外に露出される。
なお、図示例では、一対のガイド板20,20の双方の下方に隙間11を設けているが、転回部進入時に搬送平面移動方向側に位置するガイド板20Fの下方のみに設けてもよい。
【0026】
さらに、本形態の検出装置X1’は、特に好適な例として、気体噴射手段50が設けられている。この気体噴射手段50は、転回部2Rの区間の上方に複数の空気の吹き出し部51,51…が並設されている。
【0027】
吹き出し部51…は、図示はしないが搬送路の上方位置で転回部に沿って組まれたフレーム等に取り付けるなどして設置すればよい。
これらの吹き出し部51…には、送気管52が連結されており、吹き出し部に形成された吹き出し口より、圧縮空気などの気体Gが吹き出し可能となっている。
吹き出す気体としては圧縮空気が適するが、その他のガス、特に窒素等の不活性ガスは採用しうる。
【0028】
前記吹き出し口は、転回部2Rの進入側からみて前方に位置するガイド板20Fの内壁面20iに向かっており、前記内壁面20iに上方から圧縮空気を吹き付けることが可能となっている。
吹き出し口の形状及び構成は、特に限定されず、ガイド板の延在方向に沿うようにスリット形状にしたり、複数の孔をライン状に配した構成とするのが好適である。
【0029】
他方、本形態の検出装置は、搬送路の一部に転回部2Rを有することに加えて、特徴的に、第1の検知手段60及び第2の検知手段70を備えている。
【0030】
第1の検知手段60は、本形態では、搬送路2の転回部2R直後部分を構成する一対のガイド板20、20の外側近傍位置、特に、転回部進入方向からみて搬送平面移動方向側に位置するガイド板に連続しているガイド板の外側近傍位置を、上流から下流に向かって移動する異物を検知するものである。この第1の検知手段60によって当該位置を移動するテール端部が異物として検知される。
【0031】
この第1の検知手段60は、例えば、光電管や赤外線センサー、接触針センサー、画像センサー等の既知のセンサーが利用できる。中でも、図示例の光電管が安価でありかつ機構が簡易であるので好ましい。光電管であれば当該位置にセンサー光61を照射してそのセンサー光61の遮断の有無によって異物を検知できる。接触針センサーであれば、当該位置に配置したセンサー針への異物接触により異物を検知することができる。
【0032】
なお、第1の検知手段60による検出位置は、前述のとおり搬送路の転回部直後位置が最も好ましい。本装置では、上述のとおり転回部2Rにおけるシートロール1の転回にともなって不良シートロール1Kについて剥離したテールがガイド板20下の間隙11からガイド板20外へと露出される。
【0033】
従って、転回部2Rの上流側よりも下流側、転回部2Rよりもその直後位置の方が剥離したテールがよりガイド板外へ露出されている確率が高くなる。このため転回部直後位置が最も精度よくテール端部を異物として検出しやすい。なお、転回部2Rより過度に下流にすると、剥離したテール端部を有する不良シートロール1Kが長時間、ライン上を流れることになり搬送トラブルが生じやすくなる。これらのことから、第1の検知手段60による検知位置は、転回部2Rの下流側出口から上下流側に50〜300mm程度の間とするのがよい。
【0034】
他方、第2の検知手段70は、第1の検知手段60の検出位置と流れ方向(搬送路移動方向)同位のガイド板20,20間、又はその直後位置を通過するシートロールの有無を検知するものである。
【0035】
この第2の検知手段70は、例えば、光電管や赤外線センサー、接触針センサー、画像センサー等の既知のセンサーが利用できる。第1の検知手段60と同様に中でも光電管が非接触に検知できるうえに、安価でかつ機構が簡易であるので好ましい。
【0036】
第2の検知手段70は、光電管であれば、搬送平面10から所定高さ位置、例えば、シートロール1の直径の半分程度の高さ位置で、搬送路2上をセンサー光71が横切るように照射する。このセンサー光71を横切る物体、すなわち検知される物体は搬送平面10上をある程度の高さを有して移動している物体であるから、通常はシートロール1以外はなく、従って、シートロール1として判断できる。他のセンサーを用いる場合にも、搬送平面上の所定高さ位置をセンサーによる検知位置とするのがよい。
もちろん、このように水平にセンサー光等を照射すべく、当該照射位置については少なくとも一方のガイド板20を非設置としたり、ガイド板20にセンサー光用の孔や欠損部を設けることができる。
【0037】
なお、ガイド板間上方から搬送平面10に向かってセンサー光等を照射するようにしても、シートロール1を検知することも可能であるが、このようにすると第1検知手段と第2検知手段とにまたがるシート状異物については誤検出されるので、上述のとおり水平方向からの照射とするのが望ましい。
【0038】
以上の構成の本装置X1’は、第1の検知手段60で移動異物が検知されると同時に又は直後に、その第2の検知手段70でシートロールが検知された場合に、前記第1検知手段での異物が剥離したテール部分であることがほぼ裏付けられるとともに、その第2の検知手段で検知された物体がテールシール不良の不良シートロール1Kであるとほぼ特定でき、もって多数の連続的に搬送されてくるシートロール1,1…のなかからテールシール不良の不良シートロール1Kが検出できるのである。
【0039】
なお、搬送速度を考慮すれば第1の検知手段60の検出位置から第2検知手段との検知位置までの搬送方向の距離は、100mm以内とするのがよい。100mmを超えると搬送速度、搬送平面10とシートロール1との摩擦などに起因して第1の検知手段60で検知された異物と第2の検知手段70で検知されたシートロール1との相関が低下し検出精度が低下する。
【0040】
<排出装置>
次いで、本形態の不良シートロールの排出装置X1について説明する。
本装置X1は、前記検出装置X1’に対して、第3の検知手段80と排出手段90とを付加したものである。従って、第3の検知手段80及び排出手段90以外の部分については、前記検出装置X1’と同様であるので説明は省略する。
【0041】
第3の検知手段80は、第2検知手段70の下流、好ましくは直後に位置し第2検知手段70で検知したシートロール1が所定位置に流れてきたことを検知するものである。
従って、検出機構としては、第2の検知手段70と同様の検知機構、すなわち、上述の搬送平面から所定高さ位置、例えば、シートロールの直径の半分程度の高さ位置で、搬送路上をセンサー光が横切るように照射して行う検知機構を採用できる。また、第3の検知手段では、図示例の如く、ガイド板間上方から搬送平面に向かってセンサー光等を照射するようにして、シートロールを検知する機構も好適に採用できる。
【0042】
この第3の検知手段80を設置することで、第1の検知手段60で異物が検知され、第2の検知手段70でシートロール1が検知されて不良シートロール1Kが検出されたのち、その不良シートロール1Kが第3の検知手段80で検知されると、その不良シートロールの位置が検出できるようになる。
【0043】
なお、一般的な搬送速度を考慮すれば、第2の検知手段70の検出位置と第3の検知手段80との検知位置との搬送方向の移動距離は、200mm以内とするのがよい。200mmを超えると搬送速度、搬送平面10とシートロール1との摩擦などに起因して第2検知手段70で検知された不良シートロール1Kと第3の検知手段80で検知されたシートロール1との同一性を確保し難くなり検出精度が低下する。
【0044】
そして、本形態の排出装置X1では、この第3の検知手段80の下流、好ましくは直後に位置に、前記第3の検知手段80で検知された検知信号に基づいて搬送経路上のシートロールを搬送経路外に排出する排出手段90を備える。
【0045】
この排出手段90は、搬送経路から連続して流れてくるシートロールを個別に排出できるものであれば特に限定されない。例えば、側方から搬送経路に臨むように吹き出しノズルを設置した圧縮気体噴射装置が採用できる。前記第3の検知手段80の検知信号に応じて搬送経路上を流れているシートロールに対して、側方から圧縮空気を吹付けて搬送経路外へと吹き飛ばすように構成すればよい。その他、プッシュロッドによる押し出し機構、搬送路上に経路変更板が移動して特定シートロールの搬送方向を変更する機構、板によって搬送路外へと払い出す機構、吸引手段などが採用できる。
【0046】
なお、一般的な搬送速度を考慮すれば、第3の検知手段90の検知位置と排出位置は120mm以内とするのがよい。120mmを超えると、搬送速度、搬送平面とシートロールとの摩擦などに起因して第3検知手段で検知された不良シートロールの位置の正確さが曖昧となり、排出精度が低下する。
【0047】
以上の構成の本装置X1は、第1の検知手段60で移動異物が検知されると同時に又は直後に、その第2の検知手段70でシートロール1が検知された場合に、前記第1の検知手段60での異物が剥離したテール部分であることがほぼ裏付けられるとともに、その第2の検知手段70で検知された物体がテールシール不良の不良シートロール1Kであるとほぼ特定でき、もって多数の連続的に搬送されてくるシートロール1,1…のなかからテールシール不良のシートロール1Kが検出できるのである。
【0048】
そして、その検出されたシートロール1Kが第3の検知手段80によって検知されたときに、それに応じて排出手段90によって搬送経路外へと排出されるので、検査人を要することなく、確実にテールシール不良の不良シートロール1Kを搬送経路から取り除くことができるようになるのである。
【0049】
<検出方法及び排出方法>
次いで、上述の検出装置X1’及び排出装置X1によりなされる不良シートロール1Kの検出方法及び排出方法を説明する。
まず、前記シートロール1の端面1eを進行方向にして搬送路2に供給する。この搬送路2内への供給は、製造ラインの前段から連続的に供給されるようにすることができる。例えば、シートロール1の軸心方向を、搬送平面10の移動方向に合わせて、搬送路の上方から連続的に供給することができる。
ただし、シートロール1を搬送路10へ供給するにあたっては、図示のとおり、転回部2Rにおいてテール端縁1hが上方を向きつつガイド板20の下方側から上方側に向かって転回される向きで供給されるようにする。
なお、本明細書におけるテール端縁1hとは、テールシールが正常な場合におけるシートロールの最後縁をいう。このシート端縁1hは、シートロールを構成する長尺シートの絶対的な端に限られない。例えば、絶対的な連続シート終端縁が折り返されて接着されているテールシールの形態では、その折り返し縁がシート端縁1hである。
【0050】
このシートロール1の向きは、換言すると、テール端縁1hが上方を向くようにシートロールを搬送路内に置いたときに、そのテール端縁1hが、転回部2Rの進入時に前方側に位置するガイド板側又はこれに連続するガイド板側に近い位置となる向きである。
【0051】
搬送路2内に供給されたシートロール1は、搬送平面10の移動によって搬送し、一対のガイド板20,20の延在方向が所定角をなしている区間、すなわち転回部2Rに進入させる。
【0052】
そしてこの転回部2R内において、シートロール2を搬送平面10による強制的な位置移動とこれにともなうガイド板20,20による周面1cのガイドによって、周方向に転回させつつ搬送させる。
なお、この転回時に少なくとも、転回部2Rの通過の間にシートロール1が1.5〜2回転以上するように、前記転回部の距離L1及び角度θを調整するのがよい。
そして、この転回部2Rにおけるシートロール1の転回時に、テール端部が剥離しているもの(図中1K)については、剥離したテール端部が前記隙間11に導かれて搬送路2外に露出される。
【0053】
さらに、特に好適な装置例として説明した、転回部2Rの上方に複数の空気の吹き出し部51,51…を並設した搬送装置X1を用いる場合には、シートロール1が転回部2Rを通過している際に、前記前方側に位置するガイド板20Fの内壁面に向かって、上方から圧縮空気Gを吹き付ける。
このようにすると、転回部2Rにおけるシートロール1の転回時に、テール端部が剥離しているものについては、内壁面に沿って搬送平面10方向に向かう圧縮空気Gが、テール端部の内周面側に入り込むか、その圧縮空気の圧力によってテール端部が搬送平面側に押されて離間されるようになる。
これにより剥離したテール端部が、搬送平面10とガイド板下縁との隙間11により導かれやすく、もって搬送路外と露出されるようになる。
【0054】
さらに、テール端部の一部が剥離しているものについては、そのテール端部が転回にともなって下方から上方に向かう過程で、内壁面20iに沿って搬送平面10方向に向かう圧縮空気Gが、テール端部の内周面側に入り込み、その圧縮空気Gの圧力によってテールシールが全体にわたって強制的に剥離されるとともに、テール端部が巻き部から確実に離間させられる。
これにより搬送路2に供給されたほぼすべてのテールシール不良のシートロール1Kは、そのテール端部が搬送平面10とガイド板下縁との隙間11に導かれてガイド間外へと露出されるようになる。
【0055】
このとき前記第1の検知手段60では、前記転回部直後位置で搬送路2を構成する一対のガイド板20,20の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知しているので、当該露出したテール端部は移動異物として検知される。
【0056】
そして、当該不良シートロール1Kは、テール端部が露出されつつも、巻き部はガイド間内に残る。第2の検知手段70では、前記第1の検知手段60の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の直後で通過するシートロールの有無を検知しているので、前記巻き部は第2の検知手段70で検知される。この両検知によって不良シートロールが特定されて検出される。
【0057】
そして、この第1及び第2の検知手段60,70により検出された不良シートロール1Kがさらに下流の第3検知手段80で検知されると、その直後に位置する圧縮空気噴射手段90から当該不良シートロール1Kに圧縮空気が噴射されて搬送路外へと吹き飛ばされて排出される。
かくして、テールシール不良の不良シートロール1Kの検出と排出が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、帯状の連続シートを円筒状に多層巻きしたシートロールの品質検査に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の不良シートロール検出装置を含む本発明の不良シート排出装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1…シートロール、1K…不良シートロール、1c…シートロール周面、1d…シートロール直径、1e…シートロール端面、1t…テールシール、2…搬送路、2R…転回部、10…搬送平面、11…隙間、20…ガイド板、20i…内壁面、50…気体噴射手段、51…吹き出し部、52…送気管、60…第1の検知手段(光電管)、61…第1の検出手段のセンサー光、70…第2の検知手段(光電管)、71…第2の検出手段のセンサー光、80…第3の検知手段(光電管)、81…第3の検出手段のセンサー光、90…排出手段(圧縮空気噴射装置)、91…噴射ノズル、A…搬送平面移動方向、B…シートロール転回方向(周方向)、L1…転回部の距離、L2…ガイド板間距離、L3…搬送平面からガイド板の上端縁までの距離、θ…転回部における搬送平面の移動方向とガイド板延在方向とがなす角度、R…シートロール、X1…シートロール搬送装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを検出する装置であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段とを備えることを特徴とする不良シートロールの検出装置。
【請求項2】
前記転回部は、ガイド板の一方の内壁面に向かって上方から気体を吹き付ける気体吹き付け手段が設けられている請求項1記載の不良シートロールの検出装置。
【請求項3】
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを検出する方法であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段とを備える不良シートロールの検出装置を用い、
前記シートロールを、前記転回部を通過させる過程で、そのテール端縁が上方を向きつつガイド板下方側から上方側に向かうように転回させ、
その転回過程で剥離しているテール端部は前記隙間からガイド間外に露出され、
前記第1の検知手段で当該露出したテール端部を含む移動異物を検知し、
第1の検知手段で異物が検知された場合に、第2検知手段でのシートロールの検知と比較して、第2検知手段でのシートロールの検知があれば、第1検知手段における移動異物をテール端部と判断し、第2検知手段でのシートロールの検知がなければ他の異物と判断することで、不良シートロールを検出することを特徴とする不良シートロールの検出方法。
【請求項4】
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを排出する装置であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段と、
前記第1及び第2の検知手段の下流で、所定位置を通過するシートロールを検知し、前記第1及び第2検知手段で検知されたシートロールが当該所定位置を通過したことを確認する第3の検知手段と、
第3検知手段の下流に位置し、各検知手段の検知信号に基づいて動作するシートロールを搬送経路外へと排出する排出手段と、を備えることを特徴とする不良シートロールの排出装置。
【請求項5】
前記転回部は、ガイド板の一方の内壁面に向かって上方から気体を吹き付ける気体吹き付け手段が設けられている請求項1記載の不良シートロールの排出装置。
【請求項6】
前記排出手段は、シートロール側面に対して高圧エアを吹付けて搬送路外へと吹き飛ばして排出するものである、請求項3又は4記載の不良シートロールの排出装置。
【請求項7】
多数のシートロールをその端面を進行方向にして連続して搬送する課程で、テールシール不良のシートロールを排出する方法であって、
一定方向に移動して載置されたシートロールを移動させる搬送平面と、この搬送平面の上に所定の隙間を有して立設され、シートロールの周面をガイドする一対のガイド板とで構成された搬送路と、
この搬送路の途中に形成された、搬送平面の移動方向に対して一対のガイド板の延在方向が所定角をなしていて、通過するシートロールが周方向に転回される転回部と、
前記転回部又はその直後の搬送路を構成する一対のガイド板の外側近傍を上流から下流に向かって移動する異物を検知する第1の検知手段と、
前記第1の検知手段の検知位置と搬送方向同位のガイド板間又はその下流の所定位置を通過するシートロールの有無を検知する第2の検知手段と、
この第2の検知手段の下流で搬送路上を通過するシートロールを検知する第3の検知手段と、
第3の検知手段の下流に位置して、各検知手段の検知信号に基づいて、特定された当該不良シートロールを搬送経路外へと排出する排出手段とを備える不良シートロールの排出装置を用い、
前記シートロールを、前記転回部を通過させる過程で、そのテール端縁が上方を向きつつガイド板下方側から上方側に向かうようにして転回させ、
その転回過程で剥離しているテール端部は前記隙間からガイド間外に露出され、
前記第1の検知手段で当該露出したテール端部を含む移動異物を検知し、
第1の検知手段で異物が検知された場合に、第2検知手段でのシートロール検知とを比較して、第2検知手段でのシートロールの検知があれば、第1検知手段における移動異物をテール端部と判断し、第2検知手段でのシートロールの検知がなければ他の異物と判断することで、不良シートロールを検出し、
この第1及び第2の検知手段により検出された不良シートロールが第3検知手段で検知されたときに、前記排出手段を動作させて不良シートロールを搬送経路外へと排出する、ことを特徴とする不良シートロールの排出方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−103622(P2009−103622A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276995(P2007−276995)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】