説明

不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドの製造方法

本発明は、ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとからの反応生成物を一不飽和カルボン酸の無水物と反応させることによる不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドの製造方法、不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミド、並びに、不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドからのポリマーの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドの製造方法、不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミド、並びに、不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドからのポリマーの製造方法に関する。
【0002】
1−アミノ−2−D−グルコノイルアミノエタンの製造方法はH. U. Geyer, Chem. Ber. 1964, 2271に記載されている。
【0003】
US 2,084,626は、グルコン酸からのモノアリルアミドの製造方法を記載する。製造のためにグルコン酸のラクトンをアリルアミンと一緒にエタノール中でグルコン酸アミドへと移行させる。
【0004】
これに類似して、我々は、M. Chiara, M. Cretich, S. Riva, M. Casali, Electrophoesis (2001), 22, 699-706により、ラクトビオン酸のモノアリルアミンの製造及びアクリルアミドとのその共重合を記載する。この場合使用される溶媒は、引き続き手間のかかる蒸留により除去されなくてはならない。
【0005】
DE 1 048 574は、グルコンラクトンをアミノアルキルビニルエーテルと反応させ、相応するアミドとすることを教示する。
【0006】
不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの狙いを定めた化学的合成は、糖基の高い官能性のために困難である。
【0007】
本発明の課題は、先行技術の上述の欠点を少なくとも部分的に回避する、不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドの製造方法を開発することであった。この合成は特に、所望される不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドに関する良好な収率で選択的に、すなわち、多アミド(Mehrfachamid)又は多エステル(Mehrfachester)の形成なしに、そしてこれによって複数のラジカル重合可能な二重結合の形成なしに、コスト有利な方式で実施可能であるべきである。不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ酸ラクトンの結合は高い加水分解安定性を有するべきである。さらに、この製造方法は良好な空時収率を有するべきである。
【0008】
これに応じて、ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとからの反応生成物を、一不飽和カルボン酸の無水物と反応させることによる不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法が見出された。
【0009】
さらに、新規の不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミド並びに重合導入した形でアクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミド基を含有するポリマーが見出された。
【0010】
好ましくは、1又は複数のポリヒドロキシ酸ラクトンを1又は複数の脂肪族ジアミンと水性媒体中で反応させ、この反応生成物を、好ましくは中間単離なしに、一不飽和カルボン酸の無水物と反応させる方法である。
【0011】
模式的にはこの製造は2段階において行われる:相応するアミノアルキルアルドンアミドへの、ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとの反応の第1の段階において、及び、本発明による不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドへの、前記アミノアルキルアルドンアミドと一不飽和カルボン酸の無水物との反応の第2の段階において。場合によって、中間単離が好ましくあることができる。しかし、両方の方法段階は、好ましくは直接的に相次いで、すなわち、中間単離なしに実施される。
【0012】
他の記載がなければ、本出願の範囲においてC1〜C8−アルキルはメチル、エチル、n−又はi−プロピル、n−、sec−又はtert−ブチル、n−又はtert−アミル、並びにn−ヘキシル、n−ヘプチル及びn−オクチル並びにこれらの1回又は複数回分枝した類似体である。C2〜C10−アルキルは好ましくはエチレン、プロピレン又は1−又は2−ブチレンである。
【0013】
ポリヒドロキシ酸ラクトンとは以下、天然及び合成の供給源由来の、アノマーの炭素だけで酸化したサッカリドのラクトンを理解すべきである。この種のポリヒドロキシ酸ラクトンは、アルドン酸のラクトンと呼ばれることもできる。ポリヒドロキシ酸ラクトンは、単独で又はその混合物において使用されることができる。
【0014】
サッカリドはアノマー中心だけで選択的に酸化される。選択的酸化のための方法は一般的に知られており、かつ、例えばJ. Loennegren, I. J. Goldstein, Methods Enzymology, 242 (1994) 116に記載されている。そして、この酸化はヨウ素を用いてアルカリ性媒質中で又は銅(II)塩を用いて実施できる。
【0015】
ポリヒドロキシ酸ラクトンの製造に使用されるサッカリドは、天然又は合成の供給源からの開鎖の及び環式のモノ−又はオリゴサッカリドであり、これはその開鎖の形においてアルデヒド基を有する。特にこのサッカリドは、光学的に純粋な形にあるモノ−及びオリゴサッカリドから選択されている。これは、ステレオアイソマー混合物としても適している。
【0016】
モノサッカリドは、アルドース、特にアルド−ペントース、好ましくはアルド−ヘキソースから選択されている。適したモノサッカリドは例えばアラビノース、リボース、キシロース、マンノース、ガラクトース、特にグルコースである。モノサッカリドは水溶液中で反応させられるので、これは変旋光に基づき環状の半アセタールの形にも、所定のパーセンテージで開鎖のアルデヒドの形にも存在する。
【0017】
オリゴサッカリドとは、2〜20個の繰り返し単位を有する化合物が理解される。好ましいオリゴサッカリドは、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−及びヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−及びデカサッカリド、好ましくは2〜9個の繰り返し単位を有するサッカリドから選択されている。この鎖内の連結は1,4−グリコシドにより、及び任意に1,6−グリコシドにより行われる。
【0018】
好ましくはサッカリドとして一般式(I)
【化1】

[式中、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8の数である]の化合物が使用される。この場合に生じるラクトンは、以下の式(II)
【化2】

[式中、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8の数である]
を有する。
【0019】
nが1〜8の整数であるオリゴサッカリドは特に好ましい。この場合に、繰り返し単位に関して定義された数を有するオリゴサッカリドを使用することが可能である。例示的にオリゴサッカリドとして、ラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース及びマルトペンタオースが挙げられる。
【0020】
好ましくは、異なる数の繰り返し単位を有するオリゴサッカリドからの混合物が選択される。この種の混合物は、ポリサッカリドの加水分解により、例えばセルロース又はデンプンの酵素による加水分解により、或いは、セルロース又はデンプンの酸性触媒作用した加水分解により得られる。植物性デンプンは、デンプンの主成分としてのアミロース及びアミロペクチンからなる。アミロースは主として、1,4−グリコシドにより相互に連結しているグルコース分子の非分枝鎖からなる。アミロペクチンは、1,4−グリコシド連結の他に更に、分枝を生ずる1,6−グリコシド連結が存在する分枝鎖からなる。本発明により、出発化合物としてアミロペクチンの加水分解生成物も本発明の方法に適し、かつ、オリゴサッカリドの定義により包含される。
【0021】
本発明により適した脂肪族ジアミンは、直鎖状、環式又は分枝鎖状であってよい。脂肪族ジアミンは本発明の意味合いにおいては、2つの第1又は第2アミノ基を有する、好ましくは1つの第1及び1つの更なる第1又は第2アミノ基を有するジアミンであり、これは脂肪族の、好ましくは飽和した二価の基により相互に連結している。この二価の基は通常は、好ましくは2〜10個のC原子を有するアルキレン基であり、これはO原子により中断されていてよく、かつ、任意に1又は2つのカルボキシル基、ヒドロキシル基及び又はカルボキサミド基を有してよい。さらに、脂肪族ジアミンとは、脂環式ジアミンも理解される。
【0022】
本発明により適した、ヒドロキシ、カルボキシル又はカルボキサミドにより置換されている脂肪族ジアミンとしては、例示的にN−(2−アミノエチル)−エタノールアミン、2,4−ジ−アミノ酪酸又はリシンが挙げられる。
【0023】
本発明により適した、そのアルキレン基が酸素で中断されている脂肪族ジアミンは、好ましくは、両方のアミノ基がこのポリエーテルの鎖末端にあるα,ω−ポリエーテルジアミンである。ポリエーテルジアミンは好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びテトラヒドロフランのポリエーテルである。ポリエーテルジアミンの分子量は200〜3000g/mol、好ましくは230〜2000g/molの範囲内にある。
【0024】
好ましくは脂肪族C2〜C8−ジアミン及び脂環式ジアミン、例えば1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,2−ジアミノエタン、2,2−ジメチル−プロパン−1,3−ジアミン、ジアミノ−シクロヘキサン、イソホロンジアミン及び4,4′−ジアミノジシクロヘキシル−メタンが使用される。
【0025】
本発明により使用される、一不飽和カルボン酸の無水物は、好ましくは、C1〜C6−アルキル−置換したアクリル酸無水物、特にアクリル酸の無水物、メタクリル酸無水物、イタコン酸無水物並びにマレイン酸無水物から選択されている。
【0026】
ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとの反応は、通常は、有機溶媒中又は溶媒混合物中又は少なくとも1の有機溶媒と水との混合物中で行われる。適した有機溶媒は、水と少なくとも境界をなし、特に20℃で完全に混合可能である有機溶媒である。ここでは、20℃で水中に少なくとも10Vol%溶媒、特に少なくとも50Vol%溶媒の混合性が理解される。例示的に、C1〜C3−アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、モノ−、オリゴ−又はポリアルキレングリコール又は−チオグリコール、C2〜C6−アルキレン単位を有するもの、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、多価アルコールのC1〜C4−アルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル−又は−モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル−又は−モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)又はトリエチレングリコールモノメチル−又は−モノエチルエーテル、多価アルコールのC1〜C4−アルキルエステル、γ−ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド又はテトラヒドロフランが挙げられる。好ましくは前記有機溶媒と水との混合物であり、その際、この水含有量は95質量%までであってよい。好ましくは水含有量5〜60質量%である。
【0027】
ジアミンとラクトンとの反応はH. U. Geyer, Chem. Ber. 1964, 2271に記載されている。この場合に、脂肪族ジアミン対ポリヒドロキシ酸ラクトンのモル比は広い範囲で変動でき、例えば比5:1〜0.3:1、特に3:1〜0.4:1でゆらぐ。好ましくは脂肪族ジアミン対ポリヒドロキシ酸ラクトンはモル比約2:1〜0.5:1で与えられる。
【0028】
ジアミンのラクトンとの本発明による反応は、温度範囲−5℃〜50℃で、好ましくは温度範囲0℃〜25℃で行われる。この反応期間は2〜30時間の範囲、好ましくは5〜25時間の範囲にある。
【0029】
ジアミンとラクトンとの反応の際に任意に過剰ジアミンが適した方式で反応後にこの反応混合物から除去されることができる。このためには好ましくはモレキュラーシーブ(孔径例えば約3〜10オングストロームの範囲にある)又は蒸留による分離又は溶媒を用いた抽出による分離又は適した半透膜を用いた分離が適する。
【0030】
本発明により無水物対アミノアルキルアルドンアミドのモル比は例えば比1:0.8〜1:1.2で変動できる。好ましくは、無水物はアミノアルキルアルドンアミドに対しておおよそ等モルで使用される。
【0031】
アミノアルキルアルドンアミドと一不飽和カルボン酸の無水物との本発明の反応は、上述した有機溶媒又は有機溶媒混合物又は少なくとも1の有機溶媒と水との混合物中で行われる。好ましくは両方の反応段階が1つの同じ溶媒/混合物又は溶媒と水との混合物中で実施され、特に反応生成物の中間単離はない。
【0032】
アミノアルキルアルドンアミドと一不飽和カルボン酸の無水物との本発明の反応は、温度範囲−5℃〜50℃、好ましくは温度範囲5℃〜25℃で行われる。この反応期間は2〜10時間の範囲、好ましくは3〜5時間の範囲にある。
【0033】
本発明の反応の実施の際には反応混合物にはいずれにせよ無水物化合物中に含有される貯蔵安定剤の他に更なる添加剤が添加されることができ、これは例えばヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、フェノール、例えば2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジメチル−フェノール又はN−オキシル、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル又はBASF AktiengesellschaftのUvinul(R) 4040P又はアミン、例えばBASF AktiengesellschaftのKerobit(R) BPD(N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン)であり、例えば50〜2000ppmの量にある。
【0034】
好ましくは、この反応は酸素含有ガス、好ましくは空気又は空気−窒素−混合物の存在下で実施される。
【0035】
好ましくは1種又は複数種の安定化剤(混合物)は水溶液として使用される。
【0036】
この場合によってアミド形成の際にこの酸無水物から発生する酸、例えばアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物の場合にはアクリル酸又はメタクリル酸は、好適にこの反応後に反応混合物から取り除かれることができる。このために好ましくはモレキュラーシーブ(孔径例えば約3〜10オングストロームの範囲内にある)、又は蒸留による若しくは適した半透膜を用いた分離が適する。しかし、これは好ましくは直接的にコモノマーとして重合のために共に使用される。
【0037】
本発明による方法は、簡易かつコスト有利な反応の実施により優れている。このようにして、手間のかかる単離方法は更なる反応の前に回避されることができる。それどころか、得られる反応混合物を直接的に更なる重合のために使用することができる。
【0038】
本発明の更なる主題は、ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとからの反応生成物を一不飽和カルボン酸の無水物と反応させることにより得られる、新規の不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドである。
【0039】
この新規の不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドは、一般式III
【化3】

[式中、
Zは、アノマー炭素で酸に対して酸化されたサッカリドの基であり、その結合はカルボニル官能性を介して行われ、
1及びR2は、相互に無関係に水素又はC1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ヒドロキシアルキル、特に水素又はメチルであり、
3は、C1〜C6−アルキル又はカルボキシルで置換されていてよいビニル基、又は、カルボキシル基で置換されていてよいアリル基であり、特にビニル又は2−プロペン−2−イルであり、かつ
Yは、酸素によってエーテル官能性中で中断されていてよく、かつ/又は、1又は2のカルボキシル、ヒドロキシル及び/又はカルボキサミド基で置換されていてよいC2〜C10−アルキレン、又は脂環式基である]
に従う。
【0040】
好ましくはZは、一般式IV
【化4】

[式中、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8である]
の基である。
【0041】
特にZは、アルド−ヘキソース、好ましくはアラビノース、リボース、キシロース、マンノース、ガラクトース、特にグルコースから誘導された基である。
【0042】
特にZは、オリゴサッカリド、例えばラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース及びマルトペンタオースから誘導された基である。
【0043】
特にZは、ポリサッカリドの加水分解、例えばセルロース又はデンプンの加水分解により得られるサッカリド混合物から誘導された基である。
【0044】
本発明の更なる主題は、本発明の方法により製造された不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミドを準備し、かつ、この不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドを、任意にこれと共重合可能なモノマーと一緒に、引き続きラジカル重合することを含む、アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミド基を重合導入して含有するポリマーの製造方法に関する。アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミド基を含有するポリマーの製造方法に応じて、ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとからの少なくとも1の反応生成物を一不飽和カルボン酸の無水物と反応させ、任意にこの不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドを分離し、そして、この反応生成物を、任意にコモノマーの添加後に、ラジカルにより重合する。好ましくは重合のために、任意にこれと共重合可能なモノマーの添加後に、直接的にアミノアルキルアルドンアミドと一不飽和カルボン酸との反応からの反応生成物を使用する。
【0045】
適した更なるコモノマーは次のものである:本発明により製造した他の不飽和アクリルアミドアルキルポリヒドロキシ酸アミド又は重合可能な糖でないモノマー(Nicht-Zucker-Monomer)、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、そのアルカリ−又はアンモニウム塩及びそのエステル、C1〜C25−カルボン酸のO−ビニルエステル、C1〜C25−カルボン酸のN−ビニルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルイミダゾール、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、スチレンである。適したC1〜C25−カルボン酸の例は、飽和酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、n−及びi−酪酸、n−及びi−吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸及びメリシン酸である。
【0046】
このようなポリマーの製造は例えば"Ullmann's Enzyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000, Electronic Release, 見出語: Polymerisation Process"に一般的に記載の方法に類似して行われる。好ましくはこの(共)重合はラジカル重合として溶液−、懸濁−、沈殿−又はエマルション重合の形で、又は塊状重合によって、すなわち、溶媒なしに行われる。
【0047】
本発明を以下の実施例に基づき詳説する。
【0048】
実施例1
メタクリルアミドエチルグルコンアミド
1−アミノ−2−D−グルコノイルアミノエタン150.1g(0.630mol)(H. U. Geyer, Chem. Ber. 1964, 2271により製造)及びヒドロキノン−モノメチルエーテル1.45gを、メタノール1080g及び水120gの混合物中に溶解した。この混合物を5℃に冷却し、ゆっくりとメタクリル酸無水物97.15g(0.630mol)を添加した。この添加終了後、1hの間にこの混合物を20℃の温度に温め、20℃で2時間更に撹拌した。この生成物を着色のない懸濁物の形で得た。
この生成物の化学構造を1 H−NMR及び13 C−NMR分光により算出した。これは、モル比1:1のメタクリルアミドエチルグルコンアミド及びメタクリル酸の混合物であった。
【0049】
実施例2
N−グルコノイル−アミノエチル−マレイン酸アミド
1−アミノ−2−D−グルコノイルアミノエタン400.0g(1.69mol)(H. U. Geyer, Chem. Ber. 1964, 2271により製造)を水404g中に溶解させ、硫酸の添加によりpH6.5に調整した。マレイン酸無水物164.7g(1.68mol)をアセトン384.4g中に溶解させ、次いでゆっくりと1−アミノ−2−D−グルコノイルアミノエタンの水溶液に滴加した。苛性ソーダの添加によりこの場合にpHを6.5に維持した。添加終了後に2時間20℃で後撹拌した。2つの液相が形成された。この下相を分離した。真空中で40〜45℃でアセトン及び水を留去した。高粘性液体の形で生成物764gを獲得した。
この生成物の化学構造を1 H−NMR及び13 C−NMR分光により算出した。
【0050】
実施例3
N−グルコノイル−3−(N−メチル)アミノプロピル−メタクリルアミド
3−メチルアミノプロピルアミン73.95g(0.839mol)をメタノール1440g及び水160gの混合物中に溶解させた。この混合物を0℃に冷却し、ゆっくりと撹拌下で滴加により0℃でグルコン酸ラクトン149.46g(0.839mol)を添加した。添加終了後に0℃〜5℃で5h撹拌した。引き続き20℃で17h撹拌した。次いで、ヒドロキノン−モノメチルエーテル1.45gを添加し、5℃に冷却した。引き続き撹拌下で5℃でゆっくりとメタクリル酸無水物129.40g(0.90mol)を添加した。この添加終了後、1hの間にこの混合物を20℃の温度に温め、20℃で3時間更に撹拌した。水及びメタノールを真空中で40℃で留去した。残留物中に所望の生成物を獲得し、これはさらに少量のメタクリル酸を含有した。
この生成物の化学構造を1 H−NMR及び13 C−NMR分光により算出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヒドロキシ酸シラクトンと脂肪族ジアミンとからの反応生成物を一不飽和カルボン酸の無水物と反応させることを特徴とする不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項2】
ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンを水性媒体中で反応させ、この反応生成物を一不飽和カルボン酸の無水物と反応させることによる、不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項3】
ポリヒドロキシ酸ラクトンが、アノマー中心だけで酸化されたサッカリドのラクトンであることを特徴とする請求項1又は2記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項4】
ポリヒドロキシ酸ラクトンが、グルコン酸のラクトンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項5】
サッカリドが、オリゴサッカリドであることを特徴とする請求項3記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項6】
ポリヒドロキシ酸ラクトンが、式II
【化1】

[式中、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8の数である]
の化合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項7】
サッカリドが、ポリサッカリドの加水分解及びこの加水分解生成物の引き続く酸化により得られたことを特徴とする請求項3記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項8】
サッカリドが、セルロース又はデンプンの加水分解及びこの加水分解生成物の引き続く酸化により得られたことを特徴とする請求項3記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項9】
一不飽和カルボン酸の無水物が、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、イタコン酸無水物又はマレイン酸無水物から選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドの製造方法。
【請求項10】
ポリヒドロキシ酸ラクトンと脂肪族ジアミンとからの反応生成物を一不飽和カルボン酸の無水物と反応させることにより得られる不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミド。
【請求項11】
一般式III
【化2】

[式中、
Zは、アノマー炭素で酸に対して酸化されたサッカリドの基であり、その結合はカルボニル官能性を介して行われ、
1及びR2は、相互に無関係に水素又はC1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ヒドロキシアルキルであり、
3は、C1〜C6−アルキル又はカルボキシルで置換されていてよいビニル基、又は、カルボキシル基で置換されていてよいアリル基であり、かつ
Yは、酸素によってエーテル官能性中で中断されていてよく、かつ/又は、1又は2のカルボキシル、ヒドロキシル及び/又はカルボキサミド基で置換されていてよいC2〜C10−アルキレン、又は脂環式基である]
に従う不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミド。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項記載の方法により不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドを準備し、かつ、この不飽和アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミドを、任意にこれと共重合可能なモノマーと一緒に、引き続きラジカル重合することを含む、アクリルアミドアルキル−ポリヒドロキシ酸アミド基を重合導入して含有するポリマーの製造方法。

【公表番号】特表2012−524041(P2012−524041A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505112(P2012−505112)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054208
【国際公開番号】WO2010/118950
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】