説明

不飽和ジピロメテン−ボロンホウ素炭素

本発明は、式(I)の不飽和ジピロメテンボロンホウ素炭素及び蛍光又は蛍光若しくはエレクトロルミネセント解析のためのその使用、に関する。蛍光特性は配列−N−B−N−を含んで成る6個の炭素原子の中心にある環によって供され、R1〜R7は化合物の特性(蛍光発光波長、蛍光量子収率)の変更を可能にし、置換基S1及びS2の少なくとも一方は発色団の末端基を有しており、これが、発色置換基Aと近い波長で分子が励起するのを可能にし、これは、好ましくは、紫外線のものに近い波長を有する発色置換基であって、ストークスシフトを強力に増大させるもの、から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和ジピロメテン−ボロンホウ素炭素、及び蛍光又はエレクトロルミネセント解析のためのその使用、に関する。
【0002】
蛍光標識は、免疫学、分子生物学、医療診断の分野において定性的又は定量的な測定を行うのに、又はDNAチップに現在しばしば使用されている。
【0003】
蛍光標識として使用されうる化合物に要求される特性の1つに、化合物の励起と発光の間のエネルギー差であるストークスシフトの増大がある。低ストークスシフトの標識を用いると、残留励起光を排除するための特定のフィルターを使用することが必要となり、これは測定感度を低下させる。
【0004】
蛍光標識として使用することができる、従来技術における多数の化合物の例として、特に、二フッ化ジピロメテンボロン(以後、BODIPYと称する)があり、US4,774,339は、色素特性を有し、且つ自身の吸収及び蛍光特性によって検出され得る生体分子又はポリマーの官能基と安定な蛍光生成物を形成することができる官能基を含むBODIPY化合物を説明している。US5,187,288は、約525nm超の波長にて最大の吸収ピークを有し、電気的に中性で、光安定性があり、そして多くの場合、高度に蛍光性があるBODIPY化合物を説明している。US5,248,782は、色素特性を有し、且つヘテロアリール置換基を有するBODIPY化合物を説明している。US5,274,113は、約525nm超の波長にて最大の吸収ピークを有し、且つ核酸、タンパク質、炭水化物、及び他の生体化合物に対し化学的に反応性があるBODIPY化合物を説明している。US5,338,854は、二フッ化ジピロメテンボロン由来の蛍光性脂肪酸類似体であり、且つ約480nm超の波長にて最大の吸収ピークを有する化合物を記載している。US5,451,663は、約525nm超の波長にて最大の吸収ピークを有し、且つ核酸、タンパク質、炭水化物、及び他の生体化合物に対し化学的に反応性がある蛍光色素化合物を記載している。US4,916,711は、BODIPY化合物を用いてレーザー光を作り出すための方法を記載している。US5,189,029は、3つの特定のBODIPY化合物を用いて癌を処置する方法を記載している。US5,446,157は、BODIPY化合物ファミリーについて言及している。US5,852,191は、高い蛍光性があり、そして光吸収性の青色の蛍光色素であり、且つ種々の生物学的利用及び非生物学的利用において使用されうる二ハロゲン化ジピロメテンボロンを記載している。US5,446,157は、別のBODIPY化合物ファミリーについて言及している。
【0005】
前文で言及した化合物の多くは、蛍光特性を有している。しかしながら、それらは全て比較的低いストークスシフト(Δv≒500〜600cm-1)を有しており、これは、それらを標識として使用すると、それらの感度は使用するフィルターによっては最適でないことを意味している。
【0006】
本発明者は、ジピロメテンボロンの二フッ化型化合物のボロン上のフッ素原子の少なくとも1つを適当な置換基で置換することで、同等の重フッ化化合物と比較して実質的により高いストークスシフトを有する化合物であって、蛍光又はエレクトロルミネセント解析のための標識として使用する場合に顕著に向上した感度をその結果有する化合物が得られることを見出した。
【0007】
本発明の目的は、高ストークスシフト、高蛍光量子収率、及び高モル吸光係数の化合物であって、励起波長及び発光波長をモニタリングすることができる化合物、を提供することである。前記化合物は、蛍光標識又はエレクトロルミネセンスとして使用するのに特に適している。
【0008】
本発明の化合物は、一般式(I)
【化1】

(・置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7それぞれが、その他の置換基から独立して、H、−L−H遊離基、−G遊離基及び−L−G遊離基から成る群から選択され、
又は2つの置換基R3及びR4が一緒に二価の遊離基Z34を形成し、そして/あるいは2つの置換基R6及びR7が一緒に二価の遊離基Z67を形成し、前記二価の遊離基が、それらが結合する炭素原子と一緒に、単環又は二環式の縮合環から成る群から選択される構造であって、各環が5又は6個の原子を有し、且つ炭素原子と、N、O及びSから選択される多くとも2つのヘテロ原子とを含んで成る、構造を形成するようなものであり;
・Lが、単結合から成るか、あるいはアルキレン基及び直鎖又は分枝鎖アルケニレン基であって、任意にそれらの鎖に1又は複数の酸素原子を含んで成り、エーテル遊離基を形成するもの、単環又は多数の縮合若しくは非縮合環を含んで成るアルキニレン及びアリーレンから選択される1又は複数のセグメントから成る結合基、であり;
・Gが官能基であり;
・置換基S1及びS2がそれぞれ独立してF;置換基R1〜R7について定義された群から選択される遊離基;あるいは式−C≡C−L’−A、を表し、ここで、L’は単結合又はLについて定義した群から選択される遊離基であり、そしてAは発色団あるいは、生体分子、無機化合物、高分子有機化合物又は非高分子有機化合物、と結合することができる官能基、であり;S1及びS2のうちの少なくとも一方が−C≡C−L’−A遊離基である)
に相当する。
【0009】
蛍光特性は、基本的に、配列−N−B−N−を含んで成る6個の炭素原子の中心にある環によって、本発明の分子に対し与えられる。
【0010】
置換基R1〜R7(必要に応じ、以後Riと集合的に称される)を選択することで、化合物の特性、例えば蛍光発光波長、蛍光量子収率、可溶性及び双極子モーメントを、結合基L又は末端基H若しくはGの選択により変更することが可能となる。
【0011】
結合基Lは、好ましくは、単結合、1〜10個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を有するアルキレンセグメント、及び/又はフェニレンセグメント、及び/又は2〜4個の炭素原子を有するアルキニレンセグメント、及び/又は2〜4個の炭素原子を有するアルケニレンセグメント、及び/又は1〜12個の酸素原子を有するポリエーテルセグメント[例えば、ポリ(エチレンオキシド)セグメント]、から成る。
【0012】
末端の官能基Gは、前記化合物に対し、必要な特性を賦与することが意図されている。これは:
・化合物の水溶性を増大させる極性基(例えば、アミド、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、第四級アンモニウム、ヒドロキシル、ホスホン酸塩、ポリオキシエチレン基);
・蛍光分子の吸収波長及び発光波長をシフトさせる電子供与基及び電子吸引基(例えば、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アミド、ニトロフェニル、置換トリアジノ、スルホンアミド、アルケニル及びアルキニル基)。この場合、結合基Lは、2〜4個の炭素原子を有するアルケニレン又はアルキニレンセグメントから選択されると解される;
・本発明の化合物が生体分子にグラフトするのを可能にして、媒体中に存在する化合物が検出されて定量されるのを可能にする標識化合物を形成させる、反応性官能基(例えば、本発明の化合物を抗体にグラフトすることで得られる化合物は、相当の抗原が検出されるのを可能にする);
・媒体中で検出されるべき有機又は無機化合物と反応することができ、検出されるべき前記化合物と強い結合(共有結合又はイオン結合)又は弱い結合(水素結合)を形成する官能基、
から選択されうる。
【0013】
置換基S1及びS2は、必要に応じて、以後集合的にSiと称される。
【0014】
末端基Aが発色団である置換基Siは、分子が、発色置換基Aと近い波長で励起するのを可能にし、これは、好ましくは、紫外線のものに近い波長を有する発色置換基であって、ストークスシフトを強力に増大させるもの、から選択される。この効果は、2つの置換基Siが発色性の末端基を有する場合に強調される。
【0015】
1つの態様において、置換基Siのうち少なくとも1つは−C≡C−L’−A基であり、ここで、L’は単結合又は1〜10個の炭素原子を有するアルキレンセグメント又は1〜12個の炭素原子を有するポリエーテルセグメントであり、そしてAは:
・任意に置換基を持つ芳香環を有するアリール遊離基(例えば、p−トルイル、スチレニル、ピリジニル、オリゴピリジニル(特に、ビピリジニル及びテルピリジニル)、チエニル、又はピロリル)、
・少なくとも2つの縮合環を有するアリール遊離基(例えば、ナフチル、ピレニル、アントラセニル、フェナントレニル、キノリル、フェナントロニル、ペリレニル、フルオレニル、カルバゾリル及びアクリジニル)であって、(例えば、スルホナート(sulphonato)、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、エーテル及びハロゲン遊離基から選択される)少なくとも1つの置換基を任意に持つ遊離基;
・色素特性を有する遊離基、例えばクマリニル、ヒドロキシクマリニル、アルコキシクマリニル、トリスルホナートピレニル、シアニン、スチリルピリジニウム、ナフタルイミジニル又はフェニルフェンアントリジウム(phenylphenanthridium)遊離基、
から選択される。
【0016】
本発明の化合物が、別の化合物と結合することが意図される場合、置換基Siのうち少なくとも1つは−C≡C−L’−A基であり、あるいは置換基Riの少なくとも1つは−L−G基であり、A又はGは、本発明の化合物が前記の他の化合物と結合するのを可能にする遊離基である。好ましい態様において、L’又はLは単結合又は1〜10個の炭素原子を有するアルキレン又は1〜12個の炭素原子を有するポリエーテルセグメントである。
【0017】
1つのSi遊離基だけが−C≡C−L’−A型のものである場合、第二の遊離基Siは有利にはF、任意に置換基を持つ単環のアリール遊離基及び少なくとも二環式の縮合環を含んで成るアリール遊離基、から選択される。
【0018】
本発明の化合物が、高分子化合物と結合することが意図されている場合、遊離基A又は遊離基Gは、好ましくはH、トリアルキルシリル、又は架橋基、例えばメタクリラート、ビニル、スチリル、アニリノ、ピロリル、チオフェニル、フリル、イソシアネート又はエポキシド基から選択される。高分子は、例えばポリスチレン、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルクロリド)、又は天然の高分子、例えばセルロース、ラテックス又は天然の織物繊維であってもよい。
【0019】
本発明の化合物が生体分子と結合することが意図されている場合、遊離基A又は遊離基Gは、好ましくは、スクシニミジルエステル、スルホスクシニミジルエステル、イソチオシアネート、イソシアネート、ヨードアセトアミド、マレイミド、ハロスルホニル、ホスホラミダイト、アルキルイミダート、アリールイミダート、ハロゲン酸(halogenoacid)、置換ヒドラジン、置換ヒドロキシルアミン及びカルボジイミド、から成る群から選択される。生体分子は、例えばタンパク質、ヌクレオチド又は抗体であってもよい。
【0020】
媒体中の存在及び量が検出され、そして決定されるべきである有機化合物又は金属塩と相互作用することができる官能基A又はGは、検出されるべき当該化合物と強い結合(共有結合又はイオン結合)又は弱い結合(水素結合)を形成することができる官能基である。この型の遊離基の例には、アミノ、ウレイド、ヒドロキシル、スルフヒドリル、カルボキシル、カルボニル又はクラウンエーテル基がある。特に、クラウンエーテル遊離基は、アルカリイオンの検出を可能にする。
【0021】
本発明の化合物は無機化合物と結合することができ、これは、具体的には光学又は光電子デバイス(例えば、発光ダイオード又は光起電デバイス)の製造のためである。無機化合物は、例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライト、金属、シリコン又は酸化チタン、であってもよい。この場合、遊離基A又は基Gは、無機材料と強力な結合を形成することができる官能基から選択される。例えば、カルボキシラート基は、前記化合物が、酸化チタン、ゼオライト又はアルミナ上にグラフトすることを可能にし;チオール又はチオエーテル基は前記化合物が金属(例えばAu又はAg)に結合するのを可能にし;シロキサン基は前記化合物がシリカ及びシリコンの酸化表面と結合するのを可能にする。
【0022】
本発明の化合物がその蛍光又はルミネセンス特性を理由に使用されることが意図される場合、発色性末端基Aを持つ少なくとも1つの置換基Si及びグラフト基を持つ少なくとも1つの置換基Si又はグラフト基を持つ少なくとも1つの置換基Riを含んで成る化合物が最も好ましくは使用される。
【0023】
本発明の化合物の特定のファミリーは、対称化合物、すなわち、R2とR5が同一で、R3とR6が同一で、R4とR7が同一でS1とS2が同一な、式(I)に相当する化合物を含んで成る。それらは以下の式(II)で表すことができる:
【化2】

【0024】
別の特定の化合物ファミリーは、各五環の2つの置換が一緒にビラジカルを形成している一般式(I)に相当する。これらの化合物は、以下の式(III)で表すことができる:
【化3】

(ここで、置換基R8i及びR9jは、置換基R1〜R7について定義された群から互いに独立して選択される)。
【0025】
このタイプの化合物は、多数のインドール基から得ることができ、これらは当業者に知られており、市販されている。
【0026】
本発明の化合物(I)は、通常、相当の二フッ化ジピロメテンボロンから得られ、これは、S1とS2がそれぞれFを表す、式(I)と同一の式(I’)に相当する。所望の置換基R1〜R8がジピロメテンボロン(I’)から直接得ることができない場合、化合物(I)は、当業者に知られている適当な反応で修飾される。
【0027】
不斉化合物(I)は、相当の二フッ化ジピロメテンボロン(I’)から得られる。この場合、(I’)は、ケトピロールとピロールとを、酸(例えば、HBr又はトリフルオロ酢酸(TFA))の存在下で、以下の反応パターンに従い反応させることで得ることができ、この詳細なオペレーションモードについては、前述したUS4,774,339に具体的に記載されている。
【0028】
【化4】

【0029】
(I’)は、続いて、原子Fを所望の置換基で置換する適当な試薬の作用にかけられる。当該試薬は、−20℃〜40℃の間の適温にある、有機金属化合物(例えば、有機マグネシウム又は有機リチウム化合物)/無水溶媒(THF等)から選択されうる。Xはハロゲン原子である。2つの同一のSiを有する化合物(I)を調製するために、2当量のSの有機金属化合物、Si−MXが使用される。2つの異なるSiを有する化合物(I)を調製するために、2つの有機金属化合物S1−MX及びS2−MXの1/1混合物が使用され、そして所望の生成物がクロマトグラフィーで分離される。
【0030】
対称化合物(II)は、相当の二フッ化ジピロメテンボロン(II’)から得ることができ、これ自体は、以下の反応パターンに従い、適切なピロールから得られる:
【化5】

【0031】
同様の方法がUS5,189,029及びUS5,446,157に記載されている。当該方法は、ピロールとR1COClとを適当な溶媒(例えば、ジクロロエタン又はトルエン)中で反応させ、続いて、得られた塩酸ピロロメテンを、同一の溶媒中で三フッ化ホウ素エーテル(trifluoroboron etherate)と塩基の存在下反応させて二フッ化ジピロロメテンボロン(II’)を得ることに存する。(II’)は、続いて、適当な試薬の作用にかけられて、F原子が所望の置換基で置換される。当該試薬は、対称化合物(I)を調製する方法の相当の段階で使用するものと同一のタイプのものであり、そして反応条件は同様のものである。
【0032】
対称であるか不斉のものであるかによって、化合物(III)は、ピロール又は2つの適切なピロールから得られ、ここで、一方のものの上にある置換基R3及びR4、そして他方のものの上にあるR6及びR7は、一緒に、適切なビラジカルZ34、そしてZ67をそれぞれ形成する。原子Fは、続いて、(II)型化合物を生成するものと類似の方法で置換される。
【0033】
市販されており、そして出発生成物として使用されうるピロール上の置換基Riは、非常に変化に富む。置換基の型の例には、アルキル、フェニル又はエステルが含まれる。それらを修飾することで、所望の置換基Riを得ることができる。例えば:
−エステル末端基は、加水分解することで、相当の酸を生成することができ、これは続いて、スクシンイミドの形態で、例えば、タンパク質上にグラフトするための調製において活性化してもよく;
−ニトロフェニル基を還元することで(例えば、適当な触媒の存在下水素による)、相当の芳香族アミンを生成することができ、これは、続いて、チオホスゲンで活性化することでイソチオシアネートが得られ、このタイプの遊離基は、OH基を持つ化合物をグラフト化させる;
−既知の方法によって予め保護されている活性末端基は、保護されなくてもよい。例えば、ピロール上のBocで保護されたアミンは、所望の化合物(I)上で保護されない。
【0034】
本発明を以下の実施例で説明するが、それらに限定されない。
【0035】
実施例1〜20において調製される化合物は、R1、R2、R4、R5及びR7がそれぞれメチルを表し、R3とR6がそれぞれエチル(実施例1〜17及び20)又は水素(実施例18及び19)を表す一般式(I)に相当する。使用する二フッ化化合物、式I’又はII’の一方に相当し、そして文献に記載されている化合物である。調製した19個の化合物の置換基S1、S2及びR1の具体的な選択については以下の表1に列記する。前記化合物は、それぞれ蛍光発光波長、ローダミン6G(実施例1〜17及び20の化合物)及びフルオレセイン(実施例18及び19の化合物)の点で類似体である。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
実施例1
化合物1の調製
化合物1は、以下の反応パターンに従い調製される:
【化6】

【0040】
ジフルオロボラジピロメテンとして使用する出発材料4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンを、以下のオペレーションモードに従い調製した。1g(12.7ミリモル)の塩化アセチル及び0.67gの3−エチル−2,4−ジメチルピロールを無水ジクロロメタン中に導入し、そして周囲温度で1日攪拌した。続いて、無水石油エーテルを添加し、そして一晩攪拌した後に得られた沈殿を濾過し、続いてこれをトルエンに溶解させた。1.6mlのトリエチルアミン(1.6ml)をその後添加し、続いて2mlのBF3Et2O(2ml)を更に添加し、そして溶液を80℃に15分間加熱した。有機相を洗浄し(3×20mlの水)、そしてこれをシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけた後(ヘキサン/ジクロロメタン、6:4)、0.5gの化合物1’が得られた。
【0041】
n−ブチルリチウム(1.55M/ヘキサン。0.44ml)をアルゴン下でp−エチニルトルエン(80μL、0.63ミリモル)の無水THF液に−78℃で添加した。混合物を1時間−78℃で攪拌し、続いて周囲温度で30分間攪拌した。このようにして得られた浅黄色の溶液をカニューレでジフルオロボラジピロメテン1’(100mg、0.31ミリモル)の無水THF溶液内に移した。当該溶液を周囲温度で5分間攪拌し、続いて水を添加した。この溶液をジクロロメタンで抽出した。エバポレーション跡、有機性の残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーによって精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)、そして化合物1が橙色粉末の形態で得られた(110mg、69%)。
【0042】
化合物1のキャラクタリゼーション
【化7】

【0043】
C36H39BN2について算出した元素分析: C, 84.70 ; H, 7.70 ; N, 5.49. 実測値: C, 84.64 ; H, 7.62 ; N, 5.32
【0044】
図1は、単結晶X線回折で得られた化合物1の構造を示す。
【0045】
図2は、US5,446,157に記載の、出発化合物である4,4−ジフルオロ1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンの、吸収スペクトル(実線で示したもの。Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=515nm)を示す。
【0046】
実施例2
化合物2の調製
化合物2は、以下の反応パターンに従い調製される:
【化8】

【0047】
出発材料として使用するジフルオロボラジピロメテン1’は、実施例1のものと同一である。
【0048】
n−ブチルリチウム(n−ヘキサン中1.4M、0.94ml)をアルゴン下トリメチルシリルアセチレン(0.174ml、1.26ミリモル)/無水THF(10ml)に−78℃で添加した。混合物を続いて−78℃で1時間攪拌し、次に、周囲温度で30分間攪拌した。浅黄色の溶液をカニューレでジフルオロボラジピロメテン(0.2g、0.33ミリモル)の無水THF(40ml)溶液に移した。当該溶液をその後出発材料が完全に消失するまで(TLCでモニタリング)周囲温度で15分間攪拌した。水を添加し(10ml)、そして溶液をCH2Cl2で抽出した。エバポレーション後、有機性の残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)、そしてその後CH2Cl2/ヘキサン混合物中で再結晶化して純粋な化合物3が得られた(0.21g、70%)。
【0049】
化合物2のキャラクタリゼーション
【化9】

【0050】
【化10】

【0051】
実施例3
化合物3の調製
化合物3は、以下の反応パターン3に従い調製した。
【化11】

【0052】
水酸化ナトリウム溶液(345mg、5mlのエタノール中20当量)を化合物2(210mg、0.43ミリモル)の5mlCH2Cl2溶液に添加した。個の混合物を2日間周囲温度で攪拌して出発材料を完全に消失させた。水(10ml)を続いて添加し、そして溶液をCH2Cl2で抽出した(50ml)。エバポレーション後、有機性の材料をシリカカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、30:70)、そして次にCH2Cl2/ヘキサン中で再結晶化した。純粋な化合物4が橙色の結晶形態で得られた(92mg、60%);
【化12】

【0053】
図3は、単結晶X線回折により得られた、化合物4の構造を示す。
【0054】
実施例4
化合物4の調製
化合物4は、以下の反応パターンに従い調製する。
【化13】

【0055】
n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.55M、0.44ml)を1−エチニルピレン(142mg、0.63ミリモル)の無水THF液に対しアルゴン下78℃で添加した。混合物を1時間−78℃で攪拌し、続いて30分間周囲温度で攪拌した。このようにして得られた溶液をカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(100mg、0.31ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。当該溶液を30分間周囲温度で攪拌して、出発材料が消失した後(TLCでモニタリング)、水を添加した。前記の溶液をジクロロメタンで抽出した。エバポレーション後、有機性残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーによって精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)、そして化合物5が橙色粉末の形態で得られた(76g、30%)。
【0056】
化合物4のキャラクタリゼーション
【化14】

【0057】
【化15】

【0058】
C54H43BN2について算出した元素分析:C, 88.76, H, 5.93, N, 3.83. 実測値:C, 88.57,; H, 5.77,; N, 3.65.
【0059】
図4は、単結晶X線回折により得られた、化合物4の構造を示す。
【0060】
図5は、化合物4の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=515nm)を示す。
【0061】
図6は、370nmにλexcを、そして94%の量子収率を有する化合物の発光スペクトルを示す。
【0062】
実施例5
化合物5の調製
【化16】

【0063】
4,4−ジフルオロ−8−((1−ピレニルエチニル)−4−フェニル)−1,3,5,7−テトラメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンは、1−エチニル−ピレンと4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(p−ヨードフェニル)−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン2’との間での園頭カップリングにより、以下のオペレーションモードに従い調製した。2g(7.5ミリモル)のp−ヨード−ベンゾイルクロリド及び2.24ml(16.5ミリモル)の3−エチル−2,4−ジメチル−ピロールを40℃で1日攪拌した。続いて、6.9mlのトリエチルアミン及び7.6mlのBF3Et2Oを添加した。混合物を一晩攪拌し。そして有機相を続いて水で洗浄した。1.2gの化合物2’がアルミナ上でのクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン、7:3)及びヘキサン/ジクロロメタン混合物中での再結晶により得られた。
【0064】
n−ブチルリチウム(n−ヘキサン中で1.55M、0.11ml)を、1−エチニルピレン(37mg、0.17ミリモル)の無水THF溶液(10ml)に対し、アルゴン下78℃で添加した。混合物を−78℃で1時間、続いて周囲温度で30分間攪拌した。暗緑色の溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−8−((1−ピレニルエチニル)−4−フェニル)−1,3,5,7−テトラメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(50mg、0.085ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。当該溶液を30分間周囲温度で攪拌して、出発材料が完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水(5ml)を添加し、そして当該溶液をCH2Cl2で抽出した。エバポレーション後、有機性残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーによって精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、30:70)、そして次にCH2Cl2/ヘキサン中で再結晶化することで化合物5が得られた(43mg、20%)。
【0065】
化合物5のキャラクタリゼーション
【化17】

【0066】
C77H53BN2について算出した元素分析:C, 90.9; H, 5.2; N, 2.75. 実測値:C, 90.6; H, 4.9; N, 2.48.
【0067】
実施例6
化合物6の調製
化合物6は以下の反応パターンに従い調製される。
【化18】

【0068】
4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(p−ヨードフェニル)−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン2’は、以下のオペレーションモードに従い調製した。
【0069】
n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.55M、0.26ml)を、1−エチニルピレン(89mg、0.39ミリモルの無水THF(10ml)溶液に対し、アルゴン下78℃で添加した。この混合物を1時間−78℃で攪拌し、続いて周囲温度で30分間攪拌した。
このようにして得られた暗緑色の溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(p−ヨードフェニル)−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン2’(100mg、0.19ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。当該溶液を15分間周囲温度で攪拌して、出発材料が完全に消失させた後(TLCでモニタリング)、水(10ml)を添加した。前記溶液をジクロロメタン(20ml)で抽出した。エバポレーション跡、有機性の残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーによって精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、90:10〜70:30のグラジエントを用いる)、そしてCH2Cl2/ヘキサン混合物中で再結晶化することで、化合物6が橙色の結晶形態で得られた(132mg、76%)。
【0070】
化合物6のキャラクタリゼーション
【化19】

【0071】
【化20】

【0072】
C59H44BIN2について算出した元素分析:C, 77.13; H, 4.83; M, 3.05. 実測値:C, 76.81; H, 4.51; N, 2.75.
【0073】
実施例8
化合物7の調製
化合物7は、以下の反応パターンに従い調製した:
【化21】

【0074】
化合物6(0.1g、0.110ミリモル)及びヘプチン酸エステル(0.025g、0.165ミリモル)の溶液を30分間THF/iPr2NH(10/1.5ml)混合物中で脱気した。Pd(II)Cl2(PPh32(4mg、6モル%)及びCuI(2mg、10モル%)をその後添加し、そして混合物を周囲温度で16時間攪拌した。反応が完了した後、50mlの水を添加し、そして有機相をCH2Cl2(30ml)で抽出し、そしてMgSO4で脱水した。エステルは、アルミナカラム上でのクロマトグラフィーでの精製(溶出剤:シクロヘキサン/CH2Cl2 80:30)、続くCH2Cl2/ヘキサン中での再結晶化後に得られた(得られた量:0.09g、91%)。当該エステルは、続いてEtOH/THF溶液(10/10ml)中60℃で12時間過剰量の1M NaOH溶液(9.7ml、1ミリモル)の存在下で加熱した。希塩酸溶液を添加してpHを4に低下させ、これにより所望の酸の沈殿がもたらされた。続いて生成物をCH2Cl2(50ml)で抽出し、そして2回水(50ml)で洗浄し、続いてMgSO4で脱水した。純粋な酸がCH2Cl2/ヘキサン中での生成物の再結晶化後に得られた(79mg、87%の収率)。
【0075】
化合物7のキャラクタリゼーション
【化22】

【0076】
C67Ha7BN2O2について算出した元素分析:HCl: C, 83.01; H, 6.03; N, 2.89. 実測値: C, 83.08; H, 5.95; N, 2.88
【0077】
実施例8
化合物9は、活性化した酸性基を有しており、これにより、化合物はタンパク質又はアミノ残基を含む別の生体分子上にグラフトされるようになる。
【0078】
化合物8の調製
化合物8は、以下の反応パターンに従い調製した:
【化23】

【0079】
酸7(30mg、0.033ミリモル)/10mlのCH2Cl2をジメチルアミノピリジンをジメチルアミノピリジン(8.4mg、0.066ミリモル)、EDCI(12mg、0.066ミリモル)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(7.2mg、0.066ミリモル)の存在下添加した。この混合物を周囲温度で攪拌し、そして反応をTLCプレートでモニタリングした。化合物8が完全に消失した後(1時間)、混合物を水(10ml)で洗浄し、そして次にMgSO4上で脱水した。純粋な生成物は、シリカカラム上でのクロマトグラフィーによる精製(溶出液:CH2Cl2)、続くCH2Cl2/ヘキサン中での再結晶化の後に得られた(得られた量:0.018g、54%)。
【0080】
化合物8のキャラクタリゼーション
【化24】

【0081】
【化25】

【0082】
C70H56BN3O4.CH2Cl2について算出した元素分析:C, 77.60; H, 5.32; N, 3.82. 実測値:C 77.54; H, 5.28; N, 3.72.
【0083】
図7は、化合物9の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=515nm)を示す。
【0084】
図8は、372nmにλexcを、そして98%の量子収率を有する化合物8の発光スペクトルを示す。
【0085】
実施例9
化合物9の調製
化合物9の調製方法は、本発明の化合物にとって特定の官能基Gと、タンパク質のもの(リジン等)か、又は本発明の化合物を用いて標識されうる修飾オリゴヌクレオチドのものでありうるアミノ基との反応を示す。例えば、本発明の化合物に対する特定のタンパク質の結合は、当該タンパク質に特異的な生体の受容体が検出されるのを可能にする。
【0086】
化合物9は、以下の反応パターンに従い調製した:
【化26】

【0087】
化合物8(10mg、0.0099ミリモル)を1時間10mlのn−プロピルアミン中で攪拌した;溶媒を続いて蒸発させ、そして生じた固体をCH2Cl2(20ml)で抽出し、続いて、水(20ml)で2回洗浄した。純粋な生成物が、シリカカラム上でのクロマトグラフィー(溶出液のグラジエント:CH2Cl2/MeOHを100/0〜95/5)による精製後に得られた(7mg、74%)。
【0088】
化合物9のキャラクタリゼーション
【化27】

【0089】
FAB+ (ピークの性質、相対強度):958.2 ([M]+, 100) ;
【0090】
C69H60BN3O.CH2Cl2について算出した元素分析: C, 80.61 ; H, 5.99 ; N, 4.03. 実測値: C, 80,44 ; H, 5,87 ; N, 3,85.
【0091】
実施例10
化合物10の調製
化合物10は、以下の反応に従い調製した。
【化28】

【0092】
1−エチニルピレン(71mg、0.31ミリモル、1当量)及びトリメチルシリルアセチレン(87μL、0.32ミリモル、1当量)を、それぞれ5mlの無水THFを含む2つの異なるシュレンク管内に据え、そして次にn−ブチルリチウム(1.34M、0.23ml)を各管に−78℃で添加した。2つの溶液を続いて−78℃で1時間、そして周囲温度で30分間維持した。2つの溶液を同時に、カニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン1’(100mg、0.31ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。この溶液を続いて周囲温度で10分間攪拌して出発材料を完全に消失させた。水を続いて添加し(5ml)、そして溶液をCH2Cl2(20ml)を用いて抽出した。溶媒のエバポレーション後、有機性残渣をシリカカラム上でのクロマトグラフィーで精製した(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)。CH2Cl2/ヘキサン中での再結晶化後、化合物10(47mg、25%)が得られた。
【0093】
化合物10のキャラクタリゼーション
【化29】

【0094】
実施例11
化合物11は、パラジウムとの園頭カップリングにより芳香族ハロゲン化物とカップリングすることができる真のアセチレン基Siを有する化合物である。
【0095】
化合物11の調製
化合物11は、以下の反応パターンに従い調製した。
【化30】

【0096】
5mlのMeOH中のNaOH(28mg、5当量)を10mlのCH2Cl2中の化合物10(85mg、0.14ミリモル)の溶液に添加した。当該溶液を周囲温度で4日間攪拌して出発材料を完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水を添加し(10ml)、そしてこの溶液をジクロロメタン(50ml)で抽出した。エバポレーション後、有機性残渣をシリカカラム上でのクロマトグラフィー(CH2Cl2/シクロヘキサン、30:70)で精製し、そしてCH2Cl2/ヘキサン混合物中での再結晶化することで化合物11(49mg、67%)が得られた。
【0097】
化合物11のキャラクタリゼーション
【化31】

【0098】
【化32】

【0099】
実施例12
化合物12の調製
化合物12は、以下の反応パターンに従い調製した。
【化33】

【0100】
n−ブチルリチウム(1.74M、0.18ml)を2−エチニルフルオレン(95mg、0.31ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に対し、アルゴン下78℃で添加した。この混合物を−78℃で1時間、続いて周囲温度で30分間攪拌した。この溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン1’(50mg、0.16ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に移した。この溶液を続いて周囲温度で30分間攪拌して出発材料を完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水を続いて添加し(5ml)、そしてこの混合物をCH2Cl2(20ml)を用いて抽出した。エバポレーション後、有機性材料をシリカカラム上でのクロマトグラフィーで精製した(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)。CH2Cl2/ヘキサン混合物中での再結晶化後、化合物12(50mg、38%)が得られた。
【0101】
化合物12のキャラクタリゼーション
【化34】

【0102】
【化35】

【0103】
実施例13
化合物13の調製
化合物13は、以下の反応パターンに従い調製した。
【化36】

【0104】
n−ブチルリチウム(1.74M、93μL)を、1−エチニルペリレン(45mg、0.16ミリモル)の無水THF(5ml)溶液に対し、アルゴン下78℃で添加した。この混合物を−78℃で1時間、続いて周囲温度で30分間攪拌した。この溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(100mg、0.082ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に移した。この溶液を続いて周囲温度で30分間攪拌して出発材料を完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水を続いて添加し(5ml)、そしてこの混合物をCH2Cl2(20ml)を用いて抽出した。エバポレーション後、有機性材料をシリカカラム上でのクロマトグラフィーで精製した(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)。CH2Cl2/ヘキサン混合物中での再結晶化後、所望の生成物が得られた(20mg、15%)。
【0105】
化合物13のキャラクタリゼーション
【化37】

【0106】
図9は、化合物13の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=526nm)を示す。
【0107】
図10は、462nmにλexcを、そして94%の量子収率を有する化合物13の発光スペクトルを示す。
【0108】
実施例14
化合物14の調製
化合物14は、以下の反応パターンに従い調製した。
【化38】

【0109】
n−ブチルリチウム(1.55M、0.44ml)を2−エチニルナフタレン(96mg、0.62ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に対し、アルゴン下78℃で添加した。この混合物を−78℃で1時間、続いて周囲温度で30分間攪拌した。この溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン1’(100mg、0.31ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。この溶液を続いて20℃で5分間攪拌した。水を添加し(5ml)、そしてこの混合物をCH2Cl2(50ml)を用いて抽出した。エバポレーション後、有機性残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーで精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、10:90)、そしてCH2Cl2/ヘキサン混合物中で再結晶することで純粋な化合物15(130mg、72%)が生成した。
【0110】
化合物14のキャラクタリゼーション
【化39】

【0111】
FAB+ m/z (ピークの性質、相対強度): 583,1 ([M+H]+, 100), 431.2 ( [M-naphta-≡-]+, 15) ;
【0112】
C42H39BN2について算出した元素分析: C, 86.59 ; H, 6.75 ; N, 4,81. 実測値: C, 86.32 ; H, 6.52 ; N, 4.62.
【0113】
実施例15
化合物15の調製
化合物15は、以下の反応パターンに従い調製した。
【化40】

【0114】
4,4−ジフルオロ−8−(2,2’:6’,2”−テルピリジン−4’−イル)−1,3,5,7−テトラメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンは、以下のオペレーションモードに従い調製した。0.5g(1.91ミリモル)の4’−(ホルミル−2,2’:6’,2”−テルピリジン)及び0.57ml(4.2ミリモル)の3−エチル−2,4−ジメチル−ピロールをトリフルオロ酢酸中1週間周囲温度で攪拌し、続いて0.42g(1.9ミリモル)のジシアノジクロロキノンを添加し、そして混合物を更に4時間攪拌した。0.5mlのトリエチルアミン及び0.35mlのBF3.Et2Oを続いて添加し、そしてこの溶液を更に1日攪拌した。最後に、この混合物を飽和NaHCO3溶液で洗浄し、有機相を乾燥させ、続いてアルミナ上でのクロマトグラフィーにかけることで(ヘキサン/ジクロロメタン、7:3)、0.73gの化合物3’が生成した。
【0115】
n−ブチルリチウム(1.55M、0.15ml)を無水THF(5ml)中の1−エチニルピレン(41mg、0.179ミリモル)に対し、アルゴン下78℃で添加した。この混合物を1時間−78℃で攪拌し、続いて周囲温度で30分間攪拌した。暗緑色の溶液を、カニューレで4,4−ジフルオロ−8−(2,2’:6’,2”−テルピリジン−4’−イル)−1,3,5,7−テトラメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン3’(48mg、0.089ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に移した。当該溶液を周囲温度で10分間攪拌して、出発材料を完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水を続いて添加し(5ml)、そしてこの混合物をジクロロメタンCH2Cl2(20ml)を用いて抽出した。エバポレーション後、有機性画分をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーで精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)、そしてCH2Cl2/ヘキサン中で再結晶化することで、所望の生成物15が生成した(25mg、30%)。
【0116】
化合物15のキャラクタリゼーション
【化41】

【0117】
FAB+ m/z (ピークの性質、相対強度): 948,2 ( [M+H]+, 100) , 722,2 ( [M-pyr-≡-]+, 20) ;
【0118】
C68H50BN5について算出した元素分析: C, 86.16 ; H, 5.32 ; N, 7.39, 実測値: C, 85.95 ; H, 5.12 ; N, 7.27.
【0119】
実施例16
この化合物は、オキサゾリンの形態で保護されており、且つ、当業者に知られている方法で保護され得ない酸性基を有する。
【0120】
化合物16の調製
化合物16は、以下の反応パターンに従い調製した。
【化42】

【0121】
6−オキサゾリン−ヘキサ−1−イン(47mg、0.31ミリモル)及びp−エチニルトルエン(40μL、0.31ミリモル)を、2つの異なるシュレンク管においてアルゴン下無水THF(5ml)に溶解した。n−ブチルリチウム(n−ヘキサン中1.34M、0.23ml)を各シュレンク管に−78℃で添加し、そして2つの溶液を−78℃で1時間、続いて周囲温度で30分間攪拌した。この溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン1’(100mg、0.31ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。この溶液を続いて20℃で5分間攪拌して、出発材料を完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水を添加し(5ml)、そしてこの溶液をCH2Cl2(20ml)を用いて抽出した。エバポレーション後、有機性材料をシリカカラム上でのクロマトグラフィーで精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)、そしてCH2Cl2/ヘキサン混合物中で再結晶することで純粋な化合物16が得られた(22mg、13%)。
【0122】
化合物16のキャラクタリゼーション
【化43】

【0123】
【化44】

【0124】
実施例17
化合物17は以下の反応パターンに従い調製した。
【化45】

【0125】
フェニル−1−エチニル−4−オキサゾリン(35mg、0.20ミリモル)及び1−エチニルピレン(45mg、0.2ミリモル)を、2つの異なるシュレンク管においてアルゴン下無水THF(5ml)に溶解した。臭化エチルマグネシウム(THF中1.0M、0.2ml)を各シュレンク管に−78℃で添加し、そして2つの溶液を周囲温度で3時間攪拌した。2つの陰イオン性の溶液を同時に、カニューレで4,4−ジフルオロ−8−(4−ヨードフェニル)−1,3,5,7−テトラメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン2’(100mg、0.2ミリモル)の無水THF(20ml)溶液に移した。この溶液を加熱して一晩還流させ、二フッ化型の出発生成物を完全に消失させた(TLCでモニタリング)。水(5ml)を続いて添加し、そしてこの溶液をCH2Cl2(20ml)を用いて抽出した。エバポレーション後、有機性材料をシリカカラム上でのクロマトグラフィーで精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、20:80)、そしてCH2Cl2/ヘキサン混合物中で再結晶することで化合物17が生成した(35mg、26%)。
【0126】
化合物17のキャラクタリゼーション
【化46】

【0127】
図11は、化合物17の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=516nm)を示す。
【0128】
図12は、380nmにλexcを、そして53%の量子収率を有する化合物17の発光スペクトルを示す。
【0129】
化合物18の調製
化合物18は、以下の反応パターンに従い調製する。
【化47】

【0130】
4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(p−ヨードフェニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン4’は、以下のオペレーションモードに従い調製した。1.17gのp−ヨードベンゾイルクロリド及び1mlの2,4−ジメチル−ピロールを1日周囲温度で攪拌した。3.7mlのトリエチルアミン及び4.5mlのBF3Et2Oを続いて添加した。この混合物を一晩攪拌し、そして有機相を続いて水で洗浄した。アルミナ上でのクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン、7:3)及びヘキサン/ジクロロメタン混合物中での再結晶化により、0.9mgの化合物4’が生成した。
【0131】
n−ブチルリチウムの1.27Mヘキサン溶液(0.304ml)を、1−エチニルピレン(100mg、0.44ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に対し、アルゴン下78℃で添加した。混合物をを−78℃で1時間、続いて周囲温度で30分間攪拌した。このようにして得られた溶液を続いてカニューレで4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−(p−ヨードフェニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(80mg、0.176ミリモル)の無水THF(10ml)溶液に移した。この溶液を続いて15分間周囲温度で攪拌して、出発材料を完全に消失させ(TLCでモニタリング)、続いて水を添加した(10ml)。前記溶液をジクロロメタン(20ml)で抽出した。エバポレーション後、有機性残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーで精製し(CH2Cl2/シクロヘキサン、90:10〜70:30のグラジエント)、そしてCH2Cl2/ヘキサン混合物中で再結晶することで橙色の結晶形態の化合物7が得られた(76mg、50%)。
【0132】
化合物20のキャラクタリゼーション
【化48】

【0133】
【化49】

【0134】
実施例19
実施例19の化合物の調製
化合物19は、以下の反応パターンに従い調製する。
【化50】

【0135】
化合物18(0.07g、0.081ミリモル)及びヘプチン酸エステル(0.025g、0.162ミリモル)の溶液を30分間THF/iPr2NH混合物(10/1.5ml)中で脱気した。Pd(II)Cl2(PPh32(4mg、6モル%)及びCuI(2mg、10モル%)を続いて添加し、そしてこの混合物を周囲温度で16時間攪拌した。反応完了後、50mlの水を添加し、そして有機相をCH2Cl2(30ml)で抽出し、そしてMgSO4で脱水した。エステルは、アルミナカラム上でのクロマトグラフィー(溶出液:シクロヘキサン/CH2Cl2 80/30)により精製し、CH2Cl2/ヘキサン中で再結晶した後に得られた(得られた量:0.06g、83%)。
【0136】
化合物19のキャラクタリゼーション
【化51】

【0137】
図13は、化合物19の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=501nm)を示す。
【0138】
図10は、369nmにλexcを、そして40%の量子収率を有する化合物19の発光スペクトルを示す。
【0139】
実施例20
化合物20の調製
化合物20は、化合物3及びハロゲン化アリールから以下の反応パターンに従い調製される。この反応は、置換基S1及びS2を修飾することを意図した、化合物3に対する園頭カップリングの一例である。
【化52】

【0140】
57mg(0.18ミリモル)の化合物3及び92mg(0.36ミリモル)の9−ブロモアントラセンを含むベンゼン/iPr2NH溶液(50:50)を20分間シュレンク管内で脱気した。12.5mg(6モル%)の[Pd(PPh34]を続いて添加し、そして混合物を窒素雰囲気のもと16時間60℃で加熱した。溶媒を蒸発させた後、残渣を支持体上のクロマトグラフィーにかけ(CH2Cl2/シクロヘキサン、10:90)、続いてCH2Cl2/ヘキサン中で再結晶化することで、純粋な化合物20が生成した(31mg、25%)。
【0141】
化合物20のキャラクタリゼーション
【化53】

FAB+ m/z (ピークの性質、相対強度):683.2 ([M+H]+, 100) ;
【0142】
C50H43BN2について算出した元素分析: C, 87.96/ H, 6.35; N, 4,10. 実測値: C, 87.63; H, 5.97; N, 3.81.
【0143】
化合物1〜20の蛍光特性を決定した。以下の表は、吸収波長λabs、発光波長λem、式ΔS=(1/λabs)−(1/λem)に従うストークスシフトΔS、及びジクロロメタン中20℃で測定したモル吸光係数ε、及び相対量子収率Φ、を示す。相対粒子収率Φは、ローダミン6Gを用い水中で(Φ=76%、λexc=488nm)参照として測定する。熱量測定によるこの量子収率の正確な測定方法はJ. Phys. Chem, 93, 1979, 2581に記載されている。紫外/青の領域に発色団を有さない化合物1,2,3,及び16の化合物を除き、実施例に記載の全ての化合物が、それらを320〜460nmで励起させた場合に3,000〜12,300cm-1のストークスシフトを有し、そして最高の蛍光量子収率を有している。
【0144】
化合物1’、2’及び3’のΔSを比較のために示す。
・化合物1’は、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンを指しており、これは実施例1,4及び10〜13で得られた化合物と比較するためのものである。
【0145】
・化合物2’は、化合物4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(p−ヨードフェニル)−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンを指しており、これは実施例7,8及び17で得られた化合物と比較するためのものである。
【0146】
・化合物3’は、化合物4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(2,2’:6’,2”−テルピリジン−4’−イル)−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンを指しており、これは実施例14で得られた化合物と比較するためのものである。
【0147】
・化合物4’は、化合物4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−8−(p−ヨードフェニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンを指しており、これは実施例18及び19で得られた化合物と比較するためのものである。
【0148】
【表4】

【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
化合物1’、2’、3’及び4’と本発明の化合物の特性を比較すると、原子Fを−C≡C−L’−A置換基で置換した結果、通常ΔSが少なくとも10倍増大することが示されている。更に、化合物6と18を比較すると、370nmでの単一励起のもと化合物それぞれについて2つの異なる発光が示されている。この特性が、本発明の分子を多色標識に使用するのに非常に適したものとならしめている。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】図1は、単結晶X線回折で得られた化合物1の構造を示す。
【図2】図2は、US5,446,157に記載の、出発化合物である4,4−ジフルオロ1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンの、吸収スペクトル(実線で示したもの。Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=515nm)を示す。
【図3】図3は、単結晶X線回折により得られた、化合物4の構造を示す。
【図4】図4は、単結晶X線回折により得られた、化合物4の構造を示す。
【図5】図5は、化合物4の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=515nm)を示す。
【図6】図6は、370nmにλexcを、そして94%の量子収率を有する化合物の発光スペクトルを示す。
【図7】図7は、化合物9の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=515nm)を示す。
【図8】図8は、372nmにλexcを、そして98%の量子収率を有する化合物8の発光スペクトルを示す。
【図9】図9は、化合物13の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=526nm)を示す。
【図10】図10は、462nmにλexcを、そして94%の量子収率を有する化合物13の発光スペクトルを示す。
【図11】図11は、化合物17の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=516nm)を示す。
【図12】図12は、380nmにλexcを、そして53%の量子収率を有する化合物17の発光スペクトルを示す。
【図13】図13は、化合物19の吸収スペクトル(実線、Aで表す)及び発光スペクトル(破線、Eで表す)(λexc=501nm)を示す。
【図14】図14は、369nmにλexcを、そして40%の量子収率を有する化合物19の発光スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)に相当する化合物
【化1】

(ここで、
・置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7それぞれが、その他の置換基から独立して、H、−L−H遊離基、−G遊離基及び−L−G遊離基から成る群から選択され、
あるいは、2つの置換基R3及びR4が一緒に二価の遊離基Z34を形成し、そして/あるいは2つの置換基R6及びR7が一緒に二価の遊離基Z67を形成し、前記二価の遊離基が、それらが結合する炭素原子と一緒に、単環又は二環式の縮合環から成る群から選択される構造であって、各環が5又は6個の原子を有し、且つ炭素原子と、N、O及びSから選択される多くとも2つのヘテロ原子とを含んで成る、構造を形成するようなものであり;
・Lが、単結合から成るか、あるいはアルキレン基及び直鎖又は分枝鎖アルケニレン基であって、任意にそれらの鎖に1又は複数の酸素原子を含んで成り、エーテル遊離基を形成するもの、単環又は多数の縮合若しくは非縮合環を含んで成るアルキニレン及びアリーレンから選択される1又は複数のセグメントから成る結合基、であり;
・Gが官能基であり;
・置換基S1及びS2がそれぞれ独立してF;置換基R1〜R7について定義された群から選択される遊離基;あるいは式−C≡C−L’−A、を表し、ここで、L’は単結合又はLについて定義した群から選択される遊離基であり、そしてAは発色団あるいは、生体分子、無機化合物、高分子有機化合物又は非高分子有機化合物、と結合することができる官能基、であり;S1及びS2のうちの少なくとも一方が−C≡C−L’−A遊離基であると解される)。
【請求項2】
結合基Lが、単結合、1〜10個の炭素原子を有するアルキレンセグメント、フェニレンセグメント、2〜4個の炭素原子を有するアルキニレンセグメント、2〜4個の炭素原子を有するアルケニレンセグメント、及び1〜12個の酸素原子を有するポリエーテルセグメント、から選択される少なくとも1つのセグメントから成ることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
遊離基Gが極性基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
極性基が、アミド、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、第四級アンモニウム、ヒドロキシル、ホスホン酸塩の基及びポリオキシエチレンセグメントから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
基Gが電子供与基又は電子吸引基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
基Gが、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アミド、ニトロフェニル、置換トリアジノ、スルホンアミド、アルケニル及びアルキニル基から選択され、そして結合基Lが2〜4個の炭素原子を有するアルケニレン又はアルキニレンセグメントから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
遊離基Gが、前記化合物を生体分子上にグラフト化させる反応性官能基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
遊離基Gが、有機化合物又は無機化合物と反応して、前記化合物と強い結合(共有結合又はイオン結合)又は弱い結合(水素結合)を形成することができる官能基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
置換基S1及びS2のうち少なくとも1つが−C≡C−L’−A基(ここで、Aは発色団である)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
置換基S1及びS2のそれぞれが−C≡C−L’−A基(ここで、Aは発色団である)であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
L’が単結合又は1〜10個の炭素原子を有するアルキレンセグメント又は1〜12個の炭素原子を有するポリエーテルセグメントであり、そしてAが:
・任意に置換基を持つ芳香環を有するアリール遊離基、
・少なくとも2つの縮合環を有し、任意に少なくとも1つの置換基を持つアリール遊離基;
・色素特性を有する遊離基、
から選択される発色性の遊離基を表すことを特徴とする、請求項9又は10に記載の化合物。
【請求項12】
任意に置換基を持つ芳香環を有するアリール遊離基が、p−トルイル、スチレニル、ピリジニル、オリゴピリジニル、チエニル、及びピロリル、から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
少なくとも2つの縮合環を有するアリール遊離基が、ナフチル、ピレニル、アントラセニル、フェナントレニル、キノリル、フェナントロニル、ペリレニル、フルオレニル、カルバゾリル及びアクリジニルから選択され、少なくとも1つの置換基を任意に持つことを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
色素特性を有する遊離基が、クマリニル、ヒドロキシクマリニル、アルコキシクマリニル、トリスルホナートピレニル、シアニン、スチリルピリジニウム、ナフタルイミジニル及びフェニルフェンアントリジウム(phenylphenanthridium)遊離基、から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
置換基S1及びS2のうちの少なくとも一方が−C≡C−L’−A基であり、あるいは置換基R1〜R7の少なくとも1つが−L−G基であり、ここで、A又はGが、前記化合物を別の化合物と結合させる遊離基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
L’又はLが単結合又は1〜10個の炭素原子を有するアルキレン又は1〜12個の炭素原子を有するポリエーテルセグメントであることを特徴とする、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
遊離基A又は遊離基Gが、H、トリアルキルシリル、又は架橋基から選択されることを特徴とする、高分子と結合することができる、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
架橋基がメタクリラート、ビニル、スチリル、アニリノ、ピロリル、チオフェニル、フリル、イソシアネート及びエポキシド基から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
遊離基A又は遊離基Gがスクシニミジルエステル、スルホスクシニミジルエステル、イソチオシアネート、イソシアネート、ヨードアセトアミド、マレイミド、ハロスルホニル、ホスホラミダイト、アルキルイミダート、アリールイミダート、ハロゲン酸(halogenoacid)、置換ヒドラジン、置換ヒドロキシルアミン、カルボジイミド、から成る群から選択される、生体分子と結合することができる、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
官能基A又はGが、検出されるべき当該化合物と強い結合(共有結合又はイオン結合)又は弱い結合(水素結合)を形成することができる官能基であることを特徴とする、有機化合物と結合することができる、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
官能基A又はGが、アミノ、ウレイド、ヒドロキシル、スルフヒドリル、カルボキシル、カルボニル又はクラウンエーテル遊離基から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
遊離基A又は遊離基Gが、無機材料と強力な結合を形成することができる官能基から選択されることを特徴とする、無機化合物と結合することができる、請求項15に記載の化合物。
【請求項23】
基A又はGがカルボキシラート基であることを特徴とする、酸化チタン、ゼオライト又はアルミナと結合することができる、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
A又はGがチオール基又はチオエーテル基であることを特徴とする、金属と結合することができる、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
基A又はGがシロキサン基であることを特徴とする、シリカ及びシリコンの酸化表面と結合することができる、請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
置換基S1及びS2の一方が−C≡C−L’−A遊離基であり、他方の置換基がF、任意に置換基を持つ単環のアリール遊離基及び少なくとも二環式の縮合環を含んで成るアリール遊離基、から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
対称であり、且つ式(II)
【化2】

に相当することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
置換基R3とR4が一緒にそれらを持つ五員環と環を形成し、そして置換基R5とR7が一緒にそれらを持つ五員環と環を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
式(III)
【化3】

(ここで、置換基R8i及びR9jは、置換基R1〜R7について定義された群から互いに独立して選択される)
に相当することを特徴とする、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
蛍光標識としての、請求項1〜29のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
エレクトロルミネセント材料としての、請求項1〜29のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−530063(P2008−530063A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554605(P2007−554605)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000333
【国際公開番号】WO2006/087459
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(507274696)ユニベルシテ ルイ パストゥール ドゥ ストラスブール (1)
【Fターム(参考)】