説明

不飽和ポリマー組成物

【課題】優れた特性を有するフリーラジカル発生剤を使用することによってポリマー組成物を修飾するための、従来のものに代わる方法や物を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリマー組成物を修飾する方法に、修飾されたポリマー組成物に、当該修飾されたポリマー組成物を含んでいる物品、好ましくはワイヤまたはケーブルに、物品を、好ましくはワイヤまたはケーブルを調製する方法に、当該修飾されたポリマーをワイヤまたはケーブルの1以上の層に使用する方法に、ならびにポリマー組成物を修飾するためのフリーラジカル発生剤として使用するための化合物に、関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーラジカル発生剤を含んでいる不飽和ポリマー組成物に、このような不飽和ポリマー組成物を修飾する(たとえば、それを架橋する)方法に、修飾されたポリマー組成物、好ましくは架橋されたポリマー組成物に、当該ポリマー組成物、たとえば修飾されたポリマー組成物を含んでいる物品、好ましくはワイヤまたはケーブルに、物品を、好ましくはワイヤまたはケーブルを製造する方法に、および当該ポリマー組成物をワイヤまたはケーブルの1以上の層に使用する方法に、関する。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル発生剤を使用して、ラジカル反応によって、製品、たとえばポリマー組成物を修飾することは公知である。
【0003】
フリーラジカル剤は、たとえば(a)ラジカル反応によってポリマー中に架橋、とりわけ主としてポリマー間の交差結合(架橋)の形成、(b)ラジカル反応によってポリマー中にグラフト形成、とりわけポリマー鎖への(骨格および/または側鎖への)化合物の導入、ならびに(c)ラジカル反応によってポリマー中にビスブレーキング、とりわけポリマーのメルトフローレート(MFR)の修飾、を開始するために使用される。これらのポリマー修飾は従来技術で周知である。
【0004】
ポリマー組成物に添加されると、フリーラジカル発生剤は、ラジカル生成を可能にする条件下にラジカルを発生する、典型的にはラジカルに分解する作用をする。分解されたラジカルは、ポリマー組成物内でさらなるラジカル反応を開始する。フリーラジカル発生剤から得られる分解生成物は、典型的には最初のラジカル生成反応の分解生成物のいくつかの反応の結果物である。当該得られた分解生成物は、典型的には修飾されたポリマー中に留まり、有害な望まれていない分解生成物を含むことがあり得る。
【0005】
過酸化物は、とりわけ当該ポリマー修飾のためにポリマー業界において使用されているごく普通のフリーラジカル発生剤である。過酸化物から得られた分解生成物は、揮発性副生成物を含むことがあり得る。たとえば、ジクミルパーオキシドはポリマー分野で普通に使用される過酸化物であり、ラジカル生成段階の間に、たとえば架橋段階の間に、とりわけメタン、アセトフェノンおよびクミルアルコールに分解する。生成されたガス状メタン(CH)は可燃性、爆発性および揮発性であり、したがって作業環境における危険要素となる。
【0006】
ワイヤおよびケーブルの用途では、典型的なケーブルはポリマー物質の1以上の層によって囲まれた少なくとも1の導体を含んでいる。いくつかの電力ケ−ブル、たとえば中電圧(MV)、高電圧(HV)および超高電圧(EHV)ケ−ブルでは、当該導体はいくつかの層、たとえば内側半導電層、絶縁層および外側半導電層によってこの順番で囲まれている。ケーブルは普通、導体上にこれらの層を押出すことによって製造される。当該層の1以上は、次に典型的には架橋されて、ケ−ブルのこれらの層の、とりわけ、高められた温度における変形抵抗、ならびに機械強度および/または耐薬品性が改良される。フリーラジカル発生剤、たとえば過酸化物は、典型的には導体上にこれらの層が押出される前に該層物質中に導入される。層状ケ−ブルの形成後、ケ−ブルは次に架橋段階に付されて、ラジカルの生成およびそれによる架橋反応が開始される。
【0007】
フリーラジカル発生剤からの分解生成物は、架橋後にケ−ブル層内にほとんど捕捉されたままである。これは、ケ−ブル製造プロセスの観点からならびに最終ケ−ブルの品質の点で問題を引き起こす。
【0008】
したがって、架橋後にケ−ブルは十分に注意して冷却されて、メタンのようなガス状揮発性分解生成物がポリマー層内にボイド(空隙)を形成するのを防がなければならない。これらのボイドは、典型的には10〜100μmの平均直径を有する。電界の影響下にあるケ−ブル内で部分放電がこのようなボイド中で起こり、それによってケ−ブルの耐電圧性を低減することがある。
【0009】
MV、HVおよびEHV電力ケーブルは、架設の間の安全性の点でおよびその最終使用において高い層品質を有さなければならない。使用中に、架橋段階からもたらされたケ−ブル中の揮発性分解生成物はガス圧力を生起し、このようにしてシールド中におよび継手中に欠陥を生じることがある。たとえば、ケ−ブルが金属バリアを備えていると、ガス状生成物は、とりわけ継手および端末に圧力を加え、それによって系の故障が生じることがある。
【0010】
上記の理由から、たとえばジクミルパーオキシドが使用される場合のメタンのような揮発性分解生成物は従来、架橋および冷却段階後に最小限にまで低減されまたは除去される。このような除去段階は一般に脱ガス段階として知られている。
【0011】
脱ガス段階は時間がかかりエネルギーを消費する段階であり、したがってケ−ブル製造プロセスにおいてコストのかかる作業である。脱ガスは大きい加熱された室を必要とし、これは、たとえば可燃性メタンおよびエタンの蓄積を避けるために十分に換気されなければならない。ケ−ブルは、典型的にはケ−ブルドラムに巻かれ、通常、50〜80℃、たとえば60〜70℃の範囲にある高められた温度で長時間脱ガスされる。しかし、これらの温度では絶縁物の熱膨張および軟化が生じ、そして形成されたケ−ブル層の過度の変形をもたらし、これはケ−ブルの故障を直ちに生じることがある。したがって、大きいケーブル重量を持つMV、HVおよびEHVケーブルの脱ガスは、しばしば温度を下げて実施される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、従来技術の問題を克服する新規な解決策を発見する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
当業者は、優れた架橋をする架橋剤を目標としてもいる。本発明は不飽和ポリマー(以下でさらに定義される。)に関し、このようなポリマーの架橋を成功させることは、不飽和基が、とりわけポリマー側鎖中に存在することによってより複雑化されている。本発明者らは、揮発性分解生成物の生成を最小化するのみならず、本発明の主題である不飽和ポリマーのための優れた架橋剤でもある過酸化物を発見した。
【0014】
本発明の目的の1は、優れた特性を有するフリーラジカル発生剤を使用することによってポリマー組成物を修飾するための、従来のものに代わる方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、ポリマーの多くの最終用途、とりわけワイヤおよびケーブルの用途に有用な優れた特性、たとえば高い品質を示すポリマー組成物を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、当該ポリマー組成物から製造された物品、たとえば当該ポリマー組成物を含んでいる1以上の層を含んでいるケーブルを提供することであり、当該物品は極めて有利な特性、たとえば高い品質および優れた加工特性を有する。
【0017】
本発明のさらなる目的は、当該ポリマー組成物を使用して物品、好ましくは上記のケーブルを製造する方法を提供することであり、当該方法はより短い製造時間および/またはより低いエネルギー消費量で高品質の製品を調製することを可能にする。
【0018】
本発明およびそのさらなる目的は、以下に詳細に記載され、明確にされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の目的は、以下の明細書および特許請求の範囲に定義されたポリマー組成物、修飾されたポリマー組成物、最終製品および方法によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のポリマー組成物
【0021】
1の態様から見ると、本発明は
A)不飽和ポリマー、および
B)フリーラジカル発生剤
を含んでいるポリマー組成物を提供し、
−該ポリマー組成物において、該フリーラジカル発生剤は、式(I)

の化合物であって、
式(I)において、
−RおよびR1'はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または置換もしくは非置換の芳香族ヒドロカルビルであり、
−RおよびR1'において、当該置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルまたは芳香族ヒドロカルビルのそれぞれは、任意的に1以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
−RおよびR1'において、当該置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルは、(i)直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、(ii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルを有する、直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、および(iii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビル、を含み、好ましくはこれらから選択され、
−RおよびR1'において、当該芳香族ヒドロカルビルおよび当該飽和もしくは部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルのそれぞれは、独立に単環式または多環式の環系であり、かつ
−RおよびR1'において、当該飽和もしくは部分的に不飽和の置換ヒドロカルビルまたは置換芳香族ヒドロカルビルは、官能基、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビル、から選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、
−R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または置換もしくは非置換の芳香族ヒドロカルビルであり、
−R、R'、RおよびR'において、当該置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルまたは芳香族ヒドロカルビルのそれぞれは、任意的に1以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
−R、R'、RおよびR'において、当該置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルは、(i)直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、(ii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルを有する、直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、および(iii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビル、を含み、
−R、R'、RおよびR'において、当該芳香族ヒドロカルビルおよび当該飽和もしくは部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルのそれぞれは、独立に単環式または多環式の環系であり、かつ
−R、R'、RおよびR'において、当該飽和もしくは部分的に不飽和の置換ヒドロカルビルまたは置換芳香族ヒドロカルビルは、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビル、から選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、
または、
−RおよびRは、これらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分;または任意的に1〜4のヘテロ原子を含んでいてもよい、非置換もしくは置換の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の芳香族環部分、を形成し、
−RおよびRにおいて、当該炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系は、4〜14の環原子を有する任意的に置換されていてもよい他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
−RおよびRにおいて、当該置換された、炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系は、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビル、から独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、または
−R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分;または任意的に1〜4のヘテロ原子を含んでいてもよい、非置換もしくは置換の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の芳香族環部分、を形成し、
−R'およびR'において、当該炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系は、4〜14の環原子を有する任意的に置換されていてもよい他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
−R'およびR'において、当該置換された、炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系は、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビル、から独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、または
−RおよびR'は、任意的に1〜4のヘテロ原子を有していてもよい、二価の置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルを一緒に形成し、RおよびR'において、RはCに、R'はC'にそれぞれ結合されており、−C−O−O−C'−と一緒に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分を形成し、当該環部分は当該少なくとも2のO原子に加えて任意的に1〜4のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく;RおよびR'において、当該炭素環またはヘテロ環の系は4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよい、
化合物、およびその官能性誘導体であり、
−但し、条件として、R、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、Hおよびメチル以外のものである。
【0022】
本発明の好まれる実施態様では、ポリマー組成物は、
A)不飽和ポリマー、および
B)フリーラジカル発生剤
を含んでおり、
−該ポリマー組成物は、少なくとも0.05以上、たとえば0.1以上、より好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.37超の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子の量において炭素−炭素二重結合を有し、かつ
−フリーラジカル発生剤(B)は上記の式(I)の化合物である。
【0023】
さらに好まれる実施態様では、本発明は、
A)不飽和ポリマー、および
B)フリーラジカル発生剤
を含んでいるポリマー組成物を提供し、
−該不飽和ポリマー(A)は、0.05以上、たとえば0.1以上、より好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.37超の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子の量において炭素−炭素二重結合を有し、かつ
−該フリーラジカル発生剤は上記の式(I)の化合物である。
【0024】
本発明のポリマー組成物は、少なくとも1の式(I)の化合物を含んでおり、したがって任意的に2以上の異なる式(I)の化合物を含んでいてもよい。これは、1以上の他のフリーラジカル発生剤を含んでいることもできる。
【0025】
他の態様から見ると、本発明は修飾されたポリマー組成物を提供し、その場合にポリマー組成物中でラジカル反応を開始することによって、上記のポリマー組成物は架橋される。
【0026】
本発明のポリマー組成物の好ましい実施態様および下位群、これらの成分ならびにその修飾方法、とりわけ少なくとも架橋方法は、本発明について一般的に以下に記載され、また任意の組み合わせで組み合わされることができる。
【0027】
ポリマー組成物
【0028】
本発明のポリマー組成物は、不飽和ポリマー(A)を含んでいる。「ポリマー組成物」の表現が本明細書では使用されて、本発明のポリマー組成物を意味する。第一の実施態様では、炭素−炭素(C−Cと略記される。)二重結合の量は、「ポリマー組成物」全体の中に存在するC−C二重結合の総量に基づいて測定される。少なくとも不飽和ポリマーは、C−C二重結合の総量に寄与する当該C−C二重結合を有することは明らかである。「ポリマー組成物」は、当該C−C二重結合を有するさらなる1または複数の成分を任意的に含んでいてもよく、これもまた当該C−C二重結合の総量に寄与する。したがって、第一の実施態様では、C−C二重結合含有量は、このように該組成物の全体に基づいて測定され、その中の不飽和ポリマー成分(A)だけに基づいてではない。
【0029】
「ポリマー組成物」の炭素−炭素二重結合は好ましくは、当該「ポリマー組成物」中に存在するビニル基、ビニリデン基もしくはトランスビニリデン基から、またはこれらの混合から生じる。「ポリマー組成物」は、必ずしも上記の二重結合のすべてのタイプを有しているわけではない。しかし、有しているならば、以上および以下で定義される「炭素−炭素二重結合の総量」に、これらはすべて寄与する。以上および以下の定義における炭素−炭素結合の量を計算するための測定方法は、「測定方法」の下に記載される。
【0030】
以下に定義される好ましい下位群、さらなる特徴、たとえばこれらのさらなる特性または範囲、および好ましい実施態様は、一般に当該「ポリマー組成物」に、最終用途におよびこれらの任意の製造方法に適用され、また任意の組み合わせで組み合わされることができる。
【0031】
「ポリマー組成物」は、好ましくは炭素−炭素二重結合を少なくとも0.05以上、たとえば0.1以上、より好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.37超の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子、たとえば少なくとも0.6/1000炭素原子、または好ましくは少なくとも0.8/1000炭素原子の量において有することができる。「ポリマー組成物」中に存在する炭素−炭素二重結合の量の上限は限定されないで、好ましくは5.0/1000炭素原子未満、好ましくは3.0/1000炭素原子未満、またはより好ましくは2.5/1000炭素原子未満、または2.0/1000炭素原子までであることができる。
【0032】
「ポリマー組成物」は、当該炭素−炭素二重結合として好ましくは少なくともビニル基を含んでおり、当該ビニル基は好ましくは
i)多不飽和コモノマー、
ii)連鎖移動剤、
iii)たとえば、架橋促進剤または焼け防止剤として知られた化合物である不飽和低分子量化合物、または
iv)これらの任意の混合物
から生じる。
【0033】
一般に、「ビニル基」とは、本明細書では上記のi)〜iv)のいずれか中に存在することができるCH=CH−部分を意味する。
【0034】
i)多不飽和コモノマーおよびii)連鎖移動剤は、「ポリマー組成物」の不飽和ポリマーに関連して以下に記載される。iii)不飽和低分子量化合物は「ポリマー組成物」中に添加されることができる。iii)不飽和低分子量化合物は、好ましくは架橋促進剤であり、これは少なくとも1、好ましくは少なくとも2の不飽和基を有する化合物、たとえば脂肪族もしくは芳香族化合物、少なくとも1、好ましくは少なくとも2の不飽和基を有するエステル、エーテル、もしくはケトン、たとえばシアヌレート、イソシアヌレート、ホスフェート、オルトフォーメート、脂肪族もしくは芳香族エーテル、またはベンゼントリカルボン酸のアリルエステルである。エステル、エーテル、およびケトンの例は、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラ−オキサスピロ[5,5]−ウンデカン(DVS)もしくはトリアリルトリメリテート(TATM)またはこれらの任意の混合物の一般的な群から選択された化合物である。架橋促進剤は、ポリマー組成物の重量当たり2.0重量%未満、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1.0重量%未満の量で添加されることができ、またその下限は典型的には少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%である。
【0035】
当該iii)不飽和低分子量成分としての焼け防止剤(SR)(以下でさらに記載される。)も、ポリマー組成物中のC−C二重結合の総量に寄与することができる。好適な焼け防止剤は、たとえば芳香族アルファ−メチルアルケニルモノマーの不飽和二量体、たとえば2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、置換もしくは非置換のジフェニルエチレン、キノン誘導体、ヒドロキノン誘導体、単官能ビニル含有エステルおよびエーテル、またはこれらの混合物を含む。より好ましくは、焼け防止剤は2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、置換もしくは非置換のジフェニルエチレン、またはこれらの混合物から選択される。好ましくは、焼け防止剤の量は「ポリマー組成物」の重量当たり0.005〜2.0重量%の範囲内、より好ましくは0.005〜1.5重量%の範囲内である。さらなる好まれる範囲は「ポリマー組成物」の重量当たり、たとえば0.01〜0.8重量%、0.03〜0.75重量%、0.05〜0.70重量%、または0.05〜0.60重量%である。
【0036】
1の好まれる実施態様では、「ポリマー組成物」中に存在するC−C二重結合はビニル基を含み、当該ビニル基の総量は所与の優先順位で、少なくとも0.05以上、たとえば0.1/1000炭素原子、好ましくは0.2/1000炭素原子、0.3/1000炭素原子、少なくとも0.4/1000炭素原子である。より高いビニル含有量が望まれる実施態様では、所与の優先順位で以下の範囲、すなわち少なくとも0.5/1000炭素原子、少なくとも0.6/1000炭素原子、または少なくとも0.7/1000炭素原子が好ましい。当該ビニル基の上限は、炭素炭素二重結合について上で定義された通りである。したがって、ビニル基が存在するならばその総量は、「ポリマー組成物」中に存在するC−C二重結合の総量に寄与する。「ポリマー組成物」が上記のi)〜iv)の源の1以上からのビニル基を有するときは、ビニル基の総量は、「ポリマー組成物」中に存在するi)〜iv)の源の1以上のそれぞれから足し合わされるビニル基の合計である。
【0037】
好ましくは、本発明の「ポリマー組成物」の不飽和ポリマーはコポリマーであり、多不飽和コモノマーから生じるビニル基を少なくとも含んでいる。
【0038】
さらに好ましい実施態様では、「ポリマー組成物」のMFRは0.01〜50g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分、最も好ましくは0.2〜10g/10分である。
【0039】
「ポリマー組成物」は好ましくは架橋性であり、架橋性物品、好ましくはケーブルの1以上の架橋性層を製造するのに極めて適しており、これはその後架橋される。
【0040】
「架橋性」とは周知の表現であり、「ポリオレフィン組成物」が、たとえばラジカル生成によって架橋されて、架橋を、とりわけポリマー鎖間に形成することができることを意味する。
【0041】
式(I)のフリーラジカル発生剤は、好ましくは架橋剤として使用され、架橋反応を開始することができるラジカルを発生する能力がある。
【0042】
「ポリマー組成物」は、さらなる1または複数の添加剤を含有することもできる。このような1または複数の添加剤は以下のものを含む。すなわち、
−上述の1または複数の架橋促進剤、たとえば所与の特定の1または複数の化合物。これは、架橋効率および/またはC−C二重結合の総量に寄与することができる。
−好ましくは1以上の焼け防止剤(SR)。これは本明細書では、ポリマー組成物の押出の間に、使用される典型的な押出温度において、当該化合物なしに押出された同じポリマー組成物と比較すると、焼けの生成を低減する化合物であると定義される。上述のように焼け防止剤は、ポリマー組成物中のC−C二重結合の総量に寄与することもできる。好まれるSRおよびSRの使用可能な量は上で示された通りである。および
−さらなる1または複数の添加剤、たとえば1もしくは複数の酸化防止剤、1もしくは複数の安定剤および/または1もしくは複数の加工助剤。
【0043】
酸化防止剤として、1もしくは複数の立体障害または半立体障害フェノール、1または複数の芳香族アミン、1または複数の脂肪族立体障害アミン、1または複数の有機ホスフェート、1または複数のチオ化合物、およびこれらの混合物が挙げられることができる。さらなる1または複数の添加剤として、1または複数の難燃化添加剤、1または複数の水トリー防止剤、1または複数の酸捕捉剤、1または複数の無機フィラー、および1または複数の電圧安定剤が挙げられることができる。
【0044】
「ポリマー組成物」は、追加的にさらなる1または複数のポリマー成分を含んでいることができ、これらはたとえば、少なくとも1の不飽和ポリマー(成分A)とは異なる、さらなる1または複数の不飽和ポリマー、および不飽和ではない1または複数のポリマーである。
【0045】
好まれる実施態様では、「ポリマー組成物」はさらなるポリマー成分を含有していない、すなわちこれは、唯一のポリマー成分として少なくとも1の不飽和ポリマーから成る。しかし、本明細書では「ポリマー組成物」は、さらなる成分、たとえば上記の添加剤を含んでいることができることは理解されるべきであり、該上記の添加剤は担体ポリマーとの混合物中に、たとえばいわゆるマスターバッチ中に添加されることができる。
【0046】
「ポリマー組成物」は、顆粒を包含する任意の形状およびサイズをした粉体またはペレットの形態で用意されることができる。ペレットは、たとえば不飽和ポリマーの重合後に、慣用のペレット化装置、たとえばペレット化押出機を使用して周知の様式で製造されることができる。好ましくは、「ポリマー組成物」はペレットの形態で用意されることができる。
【0047】
好ましくは、「ポリマー組成物」は、A)不飽和ポリマーおよびB)式(I)の化合物を、任意的に1または複数のさらなる添加剤と一緒に含んでおり、より好ましくはこれらから成り、かつペレットの形態をしている。
【0048】
フリーラジカル発生剤(B)としての式(I)の化合物
【0049】
好まれる実施態様では、式(I)の化合物はジフェニルシクロヘキシルパーオキシドではない。
【0050】
さらに好まれる実施態様では、本発明の化合物は、RおよびRがこれらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、上で定義された3〜14のC原子の炭素環部分を形成し、かつR'およびR'がこれらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、上で定義された3〜14のC原子の炭素環部分を形成するときは、RまたはR'は定義された芳香族ヒドロカルビルであることができないという条件に服する。
【0051】
式(I)の化合物を使用すると、従来技術と比較して、何らかの架橋反応の間に生成される揮発性分解生成物の量が低減されることを確実にする。式(I)の化合物はまた、不飽和ポリマーの架橋に理想的であると考えられる。
【0052】
好ましくは、上記の式(I)の化合物は、フリーラジカルを発生する工業プロセスの間に、たとえばポリマー組成物の修飾段階の間に、それからの分解生成物として300(重量)ppm未満、好ましくは200(重量)ppm未満、好ましくは100(重量)ppm未満のCH含有量をもたらし、より好ましくはCHをもたらさない。
【0053】
一般に、以上および以下の定義においてメタンおよび/または他の揮発性含有物を表すppm単位で示された値は、以下の「GC分析手順」の下に記載された方法に従って、定義に応じて、架橋され得られたポリマー組成物自体からまたは架橋されたケーブル層からガスクロマトグラフィーによって測定される。したがって、それぞれ本発明の組成物から成る、架橋されたポリマー組成物自体から、または所望により、架橋され製造されたその物品から、生成されたメタンまたは他の揮発性含有物は同等に測定されることができる。50%のゲル含有量、好ましくは少なくとも50%のゲル含有量として表される架橋度をもたらすような量で試験用フリーラジカル発生剤を使用して、試験に付されるサンプルは架橋される。(サンプルの性質に応じて)ASTM D2765−01方法AまたはBに従って、ゲル含有量(%)は測定される。このような架橋されたサンプルは、次にGC分析手順の揮発性含有量測定のためのサンプルを調製するために使用される。
【0054】
何らかの理論に限定することなく、以上および以下で使用される「それからの1または複数の分解生成物」または「フリーラジカル発生段階の分解生成物」等の語句は本明細書では、従来技術で周知のようにフリーラジカル発生剤の始動によってフリーラジカル発生段階、たとえば架橋段階の間に、およびまた可能性があるものとして冷却段階の間に生成された1または複数の副生成物を意味する。例として、メタンは1の分解生成物であることができ、これは本発明の望まれていない分解生成物である。さらなる分解生成物は以下に特定され、これらは本発明の様々な実施態様において望まれていないものであることができる。
【0055】
式(I)の化合物は、好ましくはそれからの分解生成物としてCHを有していない。メタンの不存在は、以下の「GC分析手順」の下に記載された方法に従って測定されることができる。本発明の化合物は、当該化合物を用いて修飾された製品の高品質が望まれる実施態様に適している。
【0056】
「それからの分解生成物としてCHをもたらすことのない」の語句は、本発明の式(I)の化合物がメタンを生成しない、言い換えれば工業プロセスにおけるラジカル生成段階の間に、望まれていない揮発性CH副生成物に分解しないことを意味する。
【0057】
本発明の解決策は、驚くべきかつ自明でない新規な本質を提供する。というのは、従来技術では工業プロセスにおけるフリーラジカル生成段階の間に分解生成物としてCHが生成するのを避けるためにフリーラジカル発生剤を修飾するという、何らの教示もまたはいかなる示唆もないからである。たとえば、架橋への適用において、従来技術は、フリーラジカル発生剤の量と必要な架橋度との間のバランスをとることに関する解決策のみを提案しているだけである。
【0058】
1の実施態様では、本発明の式(I)の当該化合物は、たとえば工業への適用においてフリーラジカルを発生するときに、(C1〜C3の)アルカンから選択された低分子量化合物の量の低減をもたらし、または好ましくはこれらへと分解することがない。
【0059】
本発明の他の実施態様では、たとえば工業への適用においてフリーラジカルを発生するときに、フリーラジカル発生剤としての当該式(I)の化合物がそれからの分解生成物として(C1〜C4の)アルカンの量の低減をもたらし、または好ましくはこれらを有さないことが有利である。
【0060】
フリーラジカル剤を使用することによって修飾された製品について非常に高い品質が要求される実施態様では、たとえば工業プロセスにおけるフリーラジカル生成段階の間に当該式(I)の化合物がそれからの分解生成物として(C1〜C6の)アルカンの量の低減をもたらし、または好ましくはこれらを有さないことが好ましい。
【0061】
「フリーラジカル発生剤」の語は、本明細書の以上および以下では、たとえば工業への適用において、ラジカルを発生する能力のある任意の式(I)の化合物であると定義され、たとえばこれはポリマー中に修飾反応、たとえばポリマー中に架橋、グラフトまたはビスブレーキング反応を開始することができる。
【0062】
好ましくは、式(I)の化合物は、大気圧における50℃未満、好ましくは80℃未満の沸点(または一部の実施態様ではさらに100℃未満の沸点が望まれることがある。)を有する分解生成物、好ましくは炭化水素分解生成物をもたらさない(すなわち、有さない)。「炭化水素」とは、「ヒドロカルビル」について以下に示されるのと同じ意味を有し、「ヒドロカルビル」とは一価置換基としての炭化水素を表す。
【0063】
式(I)の化合物を定義するために用いられる語は有機化学において周知である。
【0064】
本明細書で置換基が「ヒドロカルビル」、「芳香族ヒドロカルビル」、「アルキル」等と定義されるときは、これらが「ヒドロカルビル基」、「アルキル基」等を意味することは明らかである。疑念を避けるために言えば、本明細書で使用される「ヒドロカルビル」の語は、本明細書で使用された定義から明らかであるように、芳香族基を包含しない。置換基は本明細書では当該分野で知られているように「基(radical)」または「基(group)」と互換的に言及される。
【0065】
本発明の任意のヒドロカルビル基は、好ましくは40までのC原子、好ましくは30までのC原子、たとえば20までのC原子、とりわけ12までの炭素原子を有する。いくつかの極めて好まれるヒドロカルビルは1〜6の炭素原子を有することができる。
【0066】
式(I)および(V)でおよび好ましい実施態様で定義されたアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基、ならびに以上、以下および特許請求の範囲で定義されたこれらの下位群は、好ましくは40までのC原子、好ましくは30までのC原子、たとえば20までのC原子を有する。いくつかの極めて好まれるアルキル基は1〜12の炭素原子を有することができ、より好ましくはメチルであることまたは6〜12の炭素原子を有することができる。
【0067】
環式アルキルまたは環式アルケニル基は、好ましくは20までのC原子、とりわけ12までの炭素原子を有する。いくつかの極めて好まれる環式アルキル基は3〜8の炭素原子を有することができる。好まれる環式アルケニル基は5〜8の炭素原子を有することができる。
【0068】
芳香族ヒドロカルビル基は40までのC原子、好ましくは30までのC原子、たとえば20までのC原子、とりわけ12までの炭素原子を有することができる。いくつかの極めて好まれる芳香族ヒドロカルビルは6〜12の炭素原子を有することができる。
【0069】
「部分的に不飽和」の表現は、化合物の部分が1以上の二重または三重結合を含んでいること、ならびに少なくとも1の二重結合を含んでいるアルケニル基および少なくとも1の三重結合を含んでいるアルキニル基を包含することができることを意味する。「部分的に不飽和の環式ヒドロカルビル」の場合には、1以上の二重結合が環系中に存在することができ、このことは該環が非芳香族であって、当該「部分的に不飽和」の環部分が「芳香族環」、たとえばフェニルまたはピリジル基とは区別されることを意味する。
【0070】
本発明の化合物の部分中に存在する「ヘテロ原子」はN、O、P、SまたはSiから選択される。このような部分は、たとえば以上および以下で定義される1以上のヘテロ原子を有するヒドロカルビルまたは環式ヒドロカルビルの部分を包含し、さらに以上および以下で定義されるヘテロ環またはヘテロ環式の環の部分に及び、これらはヘテロ原子に加えてC原子も有していると理解される。
【0071】
「単環式」の表現は、単環式の環系、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはフェニルを包含する。
【0072】
これに対して「多環式」の表現は、本明細書では縮合環系、たとえばナフチルを意味する。
【0073】
他様に定義されない限り本明細書では、「炭素環式」の語は置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の環式のヒドロカルビル環系、または置換もしくは非置換の芳香族ヒドロカルビル環系を意味する。
【0074】
「官能基」の語は置換基として周知の表現であり、とりわけ−OH、−NR(ここで各Rは独立にHまたは(C1〜C12の)アルキルである。);COR''(ここでR''は、とりわけH、(C1〜C12の)アルキルまたは−NRであり、ここで各Rは−NRについて上で定義された通りである。);COOR''(ここでR''は−COR''について定義された通りである。)を含む。さらなる官能基はハロゲン、たとえば−F、−Clまたは−Iである。
【0075】
他の好まれる官能基は、アルコキシ、たとえばOC1〜12アルキル、ニトロ、チオール、チオC1〜12アルキルおよびCNを含む。
【0076】
「任意的」の語は「存在してもしなくてもよい」ことを意味し、たとえば「任意的に置換された」とは、置換基が存在するまたは存在しない可能性に及ぶ。「非置換の」の語は、いうまでもなく置換基が存在しないことを意味する。
【0077】
およびRが、これらが結合されているCと一緒に上で定義された環系を形成するとき、またはこれとは別に、R'およびR'が、これらが結合されているC'と一緒に上で定義された環系を形成するときは、C/C'は原子価がすべて満たされているので、本明細書では何らかの任意的な置換基または以上および以下で使用される1もしくは複数の置換基Zが、それぞれCおよびC'以外の1もしくは複数の環原子に結合された置換基を意味することであると理解される。
【0078】
化合物(I)において、RおよびRがCと一緒に上記の芳香族環を形成するときは、Rは存在せず、ならびにこれとは別にR'およびR'がC'と一緒に上記の芳香族環を形成するときは、R'は存在しない。しかし好ましくは、RおよびRはCと一緒に、ならびにR'およびR'はC'と一緒に、芳香族環を形成しない。
【0079】
式(I)の化合物の官能性誘導体とは、R、R、R、R'、R'、R'のうちの少なくとも1が官能性誘導体の形をしていることを意味する。「官能性誘導体」の語は、とりわけ式(I)の化合物のエステルおよび塩、特に置換基R、R、R、R'、R'、R'のエステルおよび塩を包含する。好まれる化合物(I)は、R、R、R、R'、R'、R'が以上または以下で定義される通りである場合には、これらの官能性誘導体でないものである。
【0080】
式(I)の化合物のさらに好まれる下位群は、式(V)

の化合物であり、該化合物は下記の選択肢(i)〜(iii)のいずれかから選択される。
【0081】
(i) −RおよびR'はそれぞれ独立に、H、置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルであり、
−ここで、当該置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルのそれぞれは、任意的に1以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
−ここで、当該置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルは、(i)直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、(ii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルを有する直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、および(iii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビル、を包含し、
−ここで、当該飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルのそれぞれは独立に単環式または多環式の環系であり、かつ
−ここで、当該置換された、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルは、官能基、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビル、から選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、かつ
−R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立に、RおよびR'について上で定義された通りであり、
または
(ii) −RおよびR'はそれぞれ独立に、任意的に置換されていてもよい、好ましくは非置換単環式の(C5〜C7の)アリール、好ましくはフェニルであり、
−ここで、当該置換された単環式の(C5〜C7の)アリールは、官能基、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビル、から選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、かつ
およびR'は同じであり、双方ともメチルであり、かつ
およびR'はそれぞれ独立に、H、RおよびR'について上記の(i)の下に定義された置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルであり、または
(iii)
およびR'はそれぞれ独立に、H、RおよびR'について上記の(i)の下に定義された置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルであり、かつ
−RおよびRは、これらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分;またはO、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分、を形成し、
−ここで、当該炭素環またはヘテロ環は、4〜14の環原子を有する任意的に置換されていてもよい他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
−ここで、当該置換された、炭素環またはヘテロ環の系は、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、から独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、かつ
−R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の、3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分、を形成し、
−ここで、当該炭素環またはヘテロ環の系は、4〜14の環原子を有する任意的に置換されていてもよい他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
−ここで、当該置換された、炭素環またはヘテロ環の系は、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、から独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、
−但し、選択肢(i)〜(iii)についての条件として、R、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、Hおよびメチル以外のものである。
【0082】
式(V)の化合物は、好ましくは選択肢(ii)または(iii)から、より好ましくは選択肢(iii)から選択される。
【0083】
式(I)または(V)の化合物の置換基R、R、R、R'、R'およびR'は、それぞれ独立に、上記の1〜4の置換基を任意的に有していてもよい。当該任意的な置換基は好ましくは、上記の官能基;任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または上記の、任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから、好ましくはC1〜12のヒドロカルビル(たとえば、C1〜6のアルキル)から、または上記の官能基から、それぞれ独立に選択されることができる。置換基が存在するならば、好ましくは1の置換基が存在する。
【0084】
式(I)に関連して以上および以下で検討される好まれる態様は、式(V)の化合物についても当てはまることができる。
【0085】
本発明の式(I)の化合物の以下の下位群は、本発明のいくつかの好まれる実施態様および変形物を表す。また、当該以下の下位群は上の式(I)に示された置換基をさらに特定するものであることも理解される。各下位群の定義は、任意の他の下位群と組み合わされて、本発明の式(I)の化合物の最も広い範囲内のさらに好まれる下位群を定義することができる。
【0086】
その上、当該上記の一般的に定義された第一、第二および第三の群の化合物、およびこれらの当該下位群、および式(I)の化合物を表す一般的定義、ならびにこれらの当該下位群は、ポリマーを修飾するためのこれらの使用において、修飾方法に、修飾されたポリマーに、および当該修飾されたポリマーを含んでいる物品に、ならびにこれらの調製方法に任意の組み合わせで組み合わされることができ、本発明のこれらのすべての態様は以下で検討される。
【0087】
本発明の好まれる実施態様では、式(I)の化合物は対称である。
【0088】
第一の好ましい実施態様(A)は、上記の式(I)の化合物の下位群(1)を含んでおり、該下位群(1)において、RおよびRは、これらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、任意的に置換されていてもよい3〜12の環C原子の炭素環部分、またはO、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を有する、任意的に置換されていてもよい3〜12の環原子のヘテロ環部分、を形成し、かつ、当該炭素環式またはヘテロ環式の環系は、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよい。この任意的に縮合されていてもよい環系は置換基、たとえば本明細書で定義される1〜4の基Zを有していてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0089】
好ましくは、RおよびRは炭素原子(C)と一緒に(C3〜C12の)炭素環部分を形成する。該(C3〜C12の)炭素環部分は、後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基で任意的に置換されていてもよい。
【0090】
上記の式(I)の化合物の下位群(2)では、R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい3〜12の環C原子の炭素環部分、またはO、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を有する、任意的に置換されていてもよい3〜12の環原子のヘテロ環部分、を形成し、かつ、当該炭素環式またはヘテロ環式の環系は、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよい。この任意的に縮合されていてもよい環系は置換基、たとえば本明細書で定義される1〜4の基Zを有していてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0091】
好ましくは、R'およびR'は炭素原子(C')と一緒に(C3〜C12の)炭素環部分を形成する。当該(C3〜C12の)炭素環部分は、後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基で任意的に置換されていてもよい。
【0092】
上記の式(I)の化合物の下位群(3)では、RおよびRは、これらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは非置換飽和単環式の(C5〜C8の)炭素環、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、好ましくはシクロヘキシルまたはシクロペンチルを形成する。同様に好ましくは、当該下位群(3)において、RおよびRは、これらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、飽和単環式の(C5〜C8の)炭素環、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、好ましくはシクロヘキシルまたはシクロペンチルを形成し、該環は後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基で置換されている。
【0093】
上記の式(I)の化合物の下位群(4)では、R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは非置換飽和単環式の(C5〜C8の)炭素環、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、好ましくはシクロヘキシルまたはシクロペンチルを形成する。同様に好ましくは、当該下位群(4)において、R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、飽和単環式の(C5〜C8の)炭素環、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル、好ましくはシクロヘキシルまたはシクロペンチルを形成し、該環は後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基、たとえば1の置換基Zで置換されている。
【0094】
より好ましくは、化合物(I)の下位群(5a)では、RおよびR、ならびにこれらとは別にR'およびR'は、式(I)で定義された炭素環を形成し、より好ましくはそれぞれ下位群(1)および(2)で定義された炭素環を形成し、さらにより好ましくはそれぞれ下位群(3)および(4)で定義された炭素環を形成し、これらは後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基、たとえば1の置換基Zで置換されていてもよい。
【0095】
上記の式(I)の化合物のさらに好ましい下位群(5b)では、RおよびRは、これらが結合されている炭素原子(C)と一緒に、下位群(3)で定義された環系を形成し、かつ、R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、下位群(4)で定義された環系を形成し、そうであることによって、R'およびR'ならびに炭素原子(C')によって形成された環系は、RおよびRならびに炭素原子(C)によって形成された環系と同一である。
【0096】
下位群1〜5bは、とりわけ置換基RおよびR'が上記の式(I)で定義された通りである場合に本発明の実施態様(A)の一部を構成する。これらの下位群は、任意の置換基RおよびR'と組み合わされることができる。
【0097】
実施態様(A)の極めて好まれる下位群は下位群(5a)であり、さらにより好ましくは下位群(5b)である。
【0098】
第二の好ましい実施態様(B)は、上記の式(I)の化合物の下位群(6)を含んでおり、該下位群(6)ではR、R、R、R'、R'およびR'はそれぞれ独立に、任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)アリール;任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)ヘテロアリール;任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C4〜C14の)シクロアルキル;任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C4〜C14の)ヘテロシクリル;任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の(C1〜C50の)アルキル、好ましくは直鎖の(C1〜C30の)アルキル;任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の、好ましくは直鎖の(C2〜C50の)アルケニル、好ましくは直鎖の(C2〜C30の)アルケニル;または任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の、好ましくは直鎖の(C2〜C50の)アルキニル、好ましくは直鎖の(C2〜C30の)アルキニル;またはN、O、SもしくはSiから選択された1〜4のヘテロ原子を含んでいる、任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の(C1〜C50の)ヘテロアルキルである。上記の任意的に置換されていてもよい部分は好ましくは、後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基を有する。
【0099】
化合物(I)の好ましい実施態様(B)は、下位群(7)〜(11)のいずれかであり、任意的にこれらの任意の組み合わせでもよい。
【0100】
上記の式(I)の化合物の下位群(7)では、R、R'、RおよびR'はそれぞれ独立に、非置換直鎖の(C1〜C50の)アルキル、好ましくは(C1〜C30の)アルキル、より好ましくは(C1〜C20の)アルキル、たとえばヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、好ましくはデシルから選択される。
【0101】
上記の式(I)の化合物の下位群(8)では、RおよびR'はそれぞれ同じ基を表し、これらとは別にRおよびR'はそれぞれ同じ基を表す。
【0102】
上記の式(I)の化合物の下位群(9)では、RおよびR'は同じであり、それぞれメチルを表す。
【0103】
上記の式(I)の化合物の下位群(10)では、RおよびR'は同じであり、それぞれ(C6〜C30の)アルキルを表す。
【0104】
上記の式(I)の化合物の下位群(11)では、RおよびR'は同じであり、それぞれ(C6〜C30の)アルキルを表す。
【0105】
化合物(I)の第三の好ましい実施態様(C)は下位群(12)である。上記の式(I)の化合物の下位群(12)では、RおよびR'は同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、N、O、P、SもしくはSiから選択された1〜4のヘテロ環原子を有する、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の5〜14の環原子の環式ヒドロカルビル、または任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)アリール、好ましくは非置換単環式の(C5〜C7の)アリールを表す。当該下位群(12)において同様に好ましくは、RおよびR'は同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、置換された単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)アリール、好ましくは単環式の(C5〜C7の)アリールを表し、これは後で以下で定義される置換基(Z)から好ましくは選択された1〜4の置換基で置換されている。
【0106】
化合物(I)の第四の好ましい実施態様(D)は下位群(13)である。上記の式(I)の化合物の下位群(13)では、RおよびR'は同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、任意的に置換されていてもよい分枝鎖もしくは直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキルまたはメチルを表す。この実施態様は、RおよびR'が同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、任意的に置換されていてもよい分枝鎖または直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C2〜C5の)アルキルを表す選択肢も包含する。
【0107】
疑義を避けるために、下位群12および13で示されたRおよびR'の好まれる定義は、下位群1〜11の好まれる置換基の定義のいずれとも組み合わされて、さらにより好まれる化合物を形成することができることが強調される。
【0108】
式(I)のさらに好まれる化合物は下位群(14)のものであり、但しさらなる条件としてR、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、H、メチル、イソブチルまたは3級ブチル以外のものである。
【0109】
式(I)のさらに好まれる化合物は下位群(15)のものであり、但しさらなる条件としてR、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、H、メチル、エチル、1−プロピル、イソプロピル、1−ブチル、イソブチルまたは3級ブチル以外のものである。
【0110】
式(I)のさらに好まれる化合物は下位群(16)のものであり、但しさらなる条件としてR、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、CH以外の、好ましくは直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和の(C1〜C3の)ヒドロカルビル以外の、より好ましくは直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和の(C1〜C4の)ヒドロカルビル以外のものである。
【0111】
式(I)のさらに好まれる化合物は下位群(17)のものであり、但しさらなる条件としてR、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、好ましくは直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和の(C2〜C3の)ヒドロカルビル以外の、より好ましくは直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和の(C2〜C4の)ヒドロカルビル以外のものである。
【0112】
下位群(14)、(15)、(16)および(17)のそれぞれは、化合物(I)を用いる修飾段階後に非常に高純度の製品、たとえばポリマーが望ましい実施態様に有用である。
【0113】
上記の式(I)のさらに好ましい化合物は下位群(1a)を構成する。この下位群では、RおよびR'は同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C2〜C30の)アルキルを表し、これは好ましくは(C6〜C30の)アルキル;またはメチルであり、より好ましくはメチルであり、かつ
およびRは、これらが結合されているC原子と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは任意的に置換されていてもよく、より好ましくは非置換飽和の単環式の(C5〜C8の)炭素環を形成し、
かつ、R'およびR'は、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは任意的に置換されていてもよく、より好ましくは非置換飽和の単環式の(C5〜C8の)炭素環を形成し、そうであることによって、RおよびRならびにCによって形成された環系は、R'およびR'ならびにC'によって形成された環系と好ましくは同一である。
【0114】
任意の置換された部分は好ましくは、後で以下で定義される1〜4の置換基(Z)、たとえば1の置換基Zを有する。
【0115】
とりわけ好まれる環式基は、この下位群中のシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0116】
この、より好ましい下位群(Ia)の好まれる化合物のうちの1は、式(Ia)の化合物であるジ−(1−メチルシクロヘキシル)パーオキシド(式Ia)である。

【0117】
他の好まれる化合物は(Ia')、ジ(1−メチルシクロペンチル)パーオキシドである。

【0118】
化合物(I)の第二の好まれる下位群(Ib)は上記の実施態様(B)であり、該実施態様(B)においてR、R'、RおよびR'は上記の下位群(6)で定義された通りであり、好ましくは下位群(7)〜(11)で定義された通りであり、かつ、RおよびR'は好ましい実施態様(C)に従う。
【0119】
上記の式(I)の化合物の好ましい下位群(Ib)では、RおよびR'は双方とも同じであり、任意的に置換されていてもよい、好ましくは非置換単環式の(C5〜C7の)アリールを表し、
およびR'は同じであり、双方ともメチルであり、かつ
およびR'は同じであり、双方とも、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の(C6〜C50の)アルキル、より好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキル、たとえば(C6〜C20の)アルキルである。
【0120】
任意の置換された部分は好ましくは、後で以下で定義される1〜4の置換基(Z)、たとえば1の置換基Zを有する。
【0121】
この好ましい下位群(Ib)の好まれる式(I)の化合物のうちの1は、式(Ib)の化合物であるジ−(1−メチル−1−フェニルウンデシル)パーオキシド(式Ib)である。

【0122】
下位群(Ib)の他の好まれる化合物はジ−(1−メチル−1−フェニルヘプチル)パーオキシドを包含する。

【0123】
化合物(I)の第三の好まれる下位群(Ic)は上記の実施態様(B)であり、該実施態様(B)においてR、R'、RおよびR'は下位群(7)、(8)、(10)または(11)で定義された通りであり、かつ、RおよびR'は好ましい実施態様(C)または(D)に従う。
【0124】
上記の式(I)の化合物の1の好ましい下位群(Ic)では、RおよびR'は双方とも同じであり、任意的に置換されていてもよい、好ましくは非置換単環式の(C5〜C7の)アリールを表し、
およびR'は同じであり、双方とも任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C50の)アルキル、より好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキル、たとえば(C6〜C20の)アルキルであり、かつ
およびR'は同じであり、双方とも任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C50の)アルキル、より好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキル、たとえば(C6〜C20の)アルキルである。
【0125】
化合物(I)のさらに好ましい下位群(Id)では、RおよびR'は実施態様(D)に従い、好ましくはRおよびR'は同じであり、双方ともメチルであり;かつRおよびR'は同じであり、双方とも任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C50の)アルキル、より好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30)アルキル、たとえば(C6〜C20)アルキルであり;かつRおよびR'は同じであり、双方とも任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C50の)アルキル、より好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキル、たとえば(C6〜C20の)アルキルである。
【0126】
本発明の他の好まれる実施態様では、R〜RまたはR'〜R'のいずれも芳香族基を表さない。
【0127】
〜RまたはR'〜R'のうちの1以上が芳香族基を表す場合には、これはとりわけ好ましくは、1〜3の、たとえば1の上で定義された基Zによって任意的に置換されていてもよいフェニル基である。
【0128】
〜RまたはR'〜R'のうちの1以上がシクロアルキル基を表す場合には、これはとりわけ好ましくは、1〜3の、たとえば1の上で定義された基Zによって任意的に置換されていてもよいシクロヘキシルまたはシクロペンチル基である。
【0129】
式(I)の化合物中には、好ましくは2以下のシクロアルキル基がある。さらに好まれる化合物では、式(I)の化合物中には2以下の環式基(たとえば、炭素環式、ヘテロ環式または芳香族の基)がある。本発明の最も好まれる実施態様では、2の環式基があり、これらはそれぞれ、RおよびRならびにCによって、またR'およびR'ならびにC'によって形成される。
【0130】
これらの好まれる実施態様は、式(I)の任意の化合物、特に上記の下位群の一部を構成する任意の化合物に当てはまる。
【0131】
実施態様(A)、(B)、(C)、(D)、(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)の任意的な置換基(および本発明の化合物中に存在するいずれかの任意的な置換基)は好ましくは、飽和もしくは部分的に不飽和の(C1〜C30の)ヒドロカルビル、官能基、任意的に上記の官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和の(C1〜C30の)ヒドロカルビルから、または任意的に官能基を有意していてもよい芳香族ヒドロカルビルから選択された1〜4の置換基(Z)である。好まれる置換基(Z)は分枝鎖もしくは直鎖の(C1〜C20の)ヒドロカルビルまたは上記の官能基である。好ましくは、置換された基は2以上の置換基Zを有してはならない。
【0132】
本発明の化合物の、いずれかの任意的に置換されていてもよい部分上に存在することができる極めて好まれる置換基(Z)は、C1〜6のアルキル、とりわけメチル、エチル、プロピルもしくは3級ブチル;C5〜8のシクロアルキル;またはフェニルを包含する。メチル置換基がフェニル側基を有する場合には、形成された基は、もちろんベンジルである。アルキル置換基がシクロアルキル側基を有する場合には、形成された基は、もちろんアルキルシクロアルキルである、等々である。
【0133】
フェニル基が1の置換基を有する場合には、これは好ましくは炭素原子C/C'への結合に対してパラ位にある。シクロヘキシル基が1の置換基を有する場合には、これは好ましくはC/C'炭素原子に対してベータ位にある。
【0134】
最も好まれる式Iの化合物は、下位群(Ia)、(Ia')、(Ib)、および(Ib')に従う化合物である。
【0135】
式(Ia)、(Ib)、(Ia')および(Ib')の当該特定の化合物はこれら自体新規である。本発明はさらに上記の式(Ia)の化合物に関する。上記のように、本発明は上記の式(Ib)の化合物に関する。本発明はさらに上記の式(Ia')の化合物に関する。本発明はさらに上記の式(Ib')の化合物に関する。
【0136】
式(I)のおよび式(V)の最も好まれる下位群は、下位群IaおよびIb、さらに好ましくは下位群(Ia)、たとえば化合物(Ia)および(Ia')である。
【0137】
本発明の極めて好まれる化合物は、したがって式(II)のものであり、

該式で、nは0〜3、好ましくは0または1であり、それぞれシクロペンチルまたはシクロヘキシル基を形成し、RおよびR'はそれぞれ独立に、1〜30の炭素原子を有する直鎖アルキル基、好ましくはメチルまたは6〜20、好ましくは6〜12の炭素原子を有する直鎖アルキル基、より好ましくはメチルを表し、かつ、
該式で、1のまたは好ましくは双方の環系は独立に、非置換でありもしくは上記の1〜4の置換基Zによって任意的に置換されていてもよい。これらの環系は非置換であることが最も好まれる。
【0138】
本発明のさらに極めて好まれる化合物はまた、式(III)のものであり、

該式で、ArおよびAr'は独立に、上記の1〜4の置換基Zによって任意的に置換されていてもよいフェニル、ベンジルまたはナフチル基を表し、
およびR'はそれぞれメチルであり、かつ、
およびR'はそれぞれ独立に、C6〜30の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12の炭素原子を有する直鎖アルキル基を表す。
【0139】
最も好まれるのは、上記の式(II)の化合物である。
【0140】
「ポリマー組成物」中にフリーラジカル発生剤として使用される式(I)の化合物の量は決定的に重要ではなく、所望の架橋度および架橋性ポリマーのタイプに応じて様々であることができる。例としてのみ挙げれば、式(I)の化合物の量はポリマー組成物の重量当たり10.0重量%未満、6.0重量%未満、5.0重量%未満、3.5重量%未満、たとえば0.1〜3.0重量%、たとえば0.2〜2.6重量%であることができる。「ポリマー組成物」中のフリーラジカル発生剤(B)の量に影響を与える因子は、式(I)の「化合物」の分子量および所望の架橋度を含む。
【0141】
式(I)の化合物の調製
【0142】
本発明の化合物は、新規および公知の化合物を包含する。フリーラジカル発生剤として公知の化合物を、好ましくはポリマー組成物を修飾するために使用することは新規である。したがって、当該公知の化合物は商業的に入手可能であることができる。あるいは、本発明の化合物は、化学文献に記載された公知の方法に従ってまたはそれに類似して調製されることができる。
【0143】
例として、上記の化合物(I)は、文献に記載されかつ当業者に周知である公知の手順を用いて、以下の反応式1に従って調製されることができる。
【0144】
上記の式(I)の過酸化物は、いくつかの公知の様式で調製されることができ、より具体的には3級過酸化物が対応する3級アルコールから酸性条件下に調製されて、化合物(I)を与えることができる。該アルコールは商業的に入手可能であるか、あるいは適当なケトンを有機金属試薬、より具体的にはグリニャール試薬(RMgX、ここでXはハロゲンである。)または有機リチウム(RLi)試薬と化合させることにより調製されることができる。
【0145】

【0146】
合成方法の参照文献は以下の通りである。
1)Milas,N.A.、Surgenor,D.M.、J.Am.Chem.Soc.、1946年、643〜644ページ
2)Hey,D.H.、Stirling,C.J.M.、Williams,G.H.、J.Chem.Soc.、1957年、1054〜1058ページ
3)Organic Synthesis、Smith,M.B.、2002年、The McGraw−Hill社
【0147】
調製手順は常法である。生成された3級アルコールおよび対応する過酸化物は、真空中で溶媒を除き、そして当業者に知られた方法のいずれか、たとえば晶析によって残留物を精製することによって精製されることができる。
【0148】
式(I)の化合物は、3級アルコールからヒドロペルオキシド−OOHタイプの化合物への転化を経由して調製されることもできる。この方法は非対称過酸化物の調製を可能にする。かくしてたとえば、3級アルコールは3級ハロゲン化物に転化され、そして過酸化水素と、おそらくは促進剤、たとえばトリフルオロ酢酸銀および非求核性塩基、たとえば炭酸水素ナトリウムの存在下に反応されて、3級ヒドロペルオキシドを生成することができる。3級ヒドロペルオキシドは次に3級臭素化物(おそらくは前の反応で使用されたのと同じもの、または任意的に別の3級臭素化物)と反応されて、最終の式(I)の二過酸化物物質を生成することができる。ここでも、トリフルオロ酢酸銀/NaHCOのような促進剤が使用されてもよい。これらの反応は以下の反応式にまとめられる。

【0149】
本発明の過酸化水素の活性化の間に生成される揮発性分解生成物の低いレベルを考慮すると、本発明は、フリーラジカル発生剤の使用によって引き起こされる作業環境における火事、爆発および健康の危険を、従来技術と比較して低減しまたは最小限に抑える。
【0150】
本発明の化合物の第一の群および第二の群は、これらからの1または複数の分解生成物の観点から上記および特許請求の範囲の請求項1〜3で定義され、本発明の式(I)の化合物の第三の群は、一般式を用いておよび好ましい下位群によって任意の組み合わせで上記でならびに以下の請求項4〜15で定義され、これらは本明細書では以下、便宜のためのみに「本発明の化合物」と略記される。「本発明の化合物」の好まれる下位群は、上記でおよび特許請求の範囲で定義される式(I)の化合物である。
【0151】
「ポリマー組成物」の不飽和ポリマー成分(A)
【0152】
「ポリマー組成物」の好まれる実施態様では、少なくとも1の不飽和ポリマー(A)は、少なくとも0.05、たとえば0.1以上、より好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.37超の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子、たとえば少なくとも0.40の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子の量において炭素−炭素二重結合を有する。
【0153】
少なくとも1の不飽和ポリマー(A)は、ホモポリマーであることができ、この場合不飽和は連鎖移動剤によってもたらされ、またはコポリマーであることができ、この場合不飽和はモノマーを少なくとも多不飽和コモノマーの存在下におよび任意的に連鎖移動剤の存在下に重合することによってもたらされる。
【0154】
不飽和ポリマー(A)は好ましくは、少なくとも0.6/1000炭素原子、好ましくは少なくとも0.8/1000炭素原子の量において炭素−炭素二重結合を有する。不飽和ポリマー(A)中に存在する当該炭素−炭素二重結合の量の上限は限定されないで、好ましくは5.0/1000炭素原子未満、好ましくは3.0/1000炭素原子未満、より好ましくは2.5/1000炭素原子未満、とりわけ1.8/1000炭素原子未満であることができる。
【0155】
好ましくは、不飽和ポリマー(A)中に存在する当該炭素−炭素二重結合はビニル基を含み、該ビニル基は好ましくはi)多不飽和コモノマーから、ii)連鎖移動剤から、またはiii)これらの任意の混合物から生じる。
【0156】
より好ましくは、不飽和ポリマー中に存在する当該C−C二重結合は、所与の優先順位で、少なくとも0.05以上、たとえば0.1/1000炭素原子、少なくとも0.2/1000炭素原子、0.3/1000炭素原子、少なくとも0.4/1000炭素原子の総量において当該ビニル基を有する。これより高いビニル含有量が望まれる実施態様では、以下の範囲、すなわち所与の優先順位で、少なくとも0.5/1000炭素原子、少なくとも0.6/1000炭素原子、または少なくとも0.7/1000炭素原子が好ましい。不飽和ポリマー(A)中に存在する当該ビニル基の総量の上限は、典型的にはC−C二重結合について上で示された通りである。
【0157】
1の好まれる実施態様では、不飽和ポリマー(A)は、少なくとも1以上の不飽和コモノマーを有する不飽和コポリマーである。より好ましくは、不飽和コポリマー中に存在する当該C−C二重結合は、当該1以上の多不飽和コモノマーから生じるビニル基を含む。好ましくは、多不飽和コモノマーから生じる当該ビニル基の総量は、所与の優先順位で、少なくとも0.02/1000炭素原子、0.05/1000炭素原子、0.10/1000炭素原子である。多不飽和コモノマーから生じる、これより高いビニル含有量が望まれる実施態様では、以下の範囲、すなわち所与の優先順位で、0.15/1000炭素原子、0.20/1000炭素原子、少なくとも0.25/1000炭素原子、少なくとも0.30/1000炭素原子、少なくとも0.35/1000炭素原子が好まれる。多不飽和コモノマーから生じ、かつ不飽和コポリマー中に存在する当該C−C二重結合の総量に寄与する当該ビニル基の量の上限は限定されないで、所与の優先順位で、3.0/1000炭素原子未満、2.5/1000炭素原子未満、2.0/1000炭素原子未満、1.5/1000炭素原子未満であることができる。
【0158】
「ポリマー組成物」の不飽和ポリマー(A)が不飽和コポリマーであるときは、1または複数の多不飽和コモノマーは好ましくは、少なくとも8の炭素原子を有し、かつ非共役二重結合間に少なくとも4の炭素原子を有する炭素直鎖を有し、該非共役二重結合の少なくとも一方は末端にある。
【0159】
「ポリマー組成物」に適した不飽和ポリマー物質に関しては、当該不飽和ポリマー(A)は任意の不飽和ポリマーであることができ、好ましい「ポリマー組成物」の不飽和ポリマー(A)として上で定義された二重結合含有量を有する任意の不飽和ポリマーであることが好ましい。不飽和ポリマー(A)は好ましくはポリオレフィンであり、これはオレフィンのホモポリマーまたはオレフィンと1以上のコモノマーとのコポリマーを意味する。当該不飽和ポリオレフィンは、好ましくは不飽和のポリエチレンまたはポリプロピレンである。不飽和ポリオレフィンは、分子量分布および/またはコモノマー分布に関して単峰性または多峰性であることができ、該単峰性または多峰性の表現は周知の意味を有する。
【0160】
「ポリマー組成物」の好まれる実施態様では、当該不飽和ポリオレフィン(A)は、オレフィンと少なくとも1の多不飽和コモノマーと任意的なさらなるコモノマーとの不飽和コポリマーである。周知のように「コモノマー」とは共重合可能なコモノマー単位をいう。
【0161】
オレフィンの不飽和コポリマーは、好ましくはエチレンの不飽和コポリマーまたはプロピレンの不飽和コポリマーである。
【0162】
オレフィンの不飽和コポリマーが少なくとも1の多不飽和コモノマーと任意的なさらなる1または複数のコモノマーとのポリプロピレン(PP)コポリマーであるときは、これは、従来技術で知られた様式で不飽和を有する、プロピレンのランダムコポリマーまたは異相プロピレンコポリマーである。不飽和プロピレンコポリマーは好ましくは、ポリマー文献に十分に文書化され記載されている慣用の低圧重合によって製造される。
【0163】
最も好ましい実施態様では、不飽和コポリマーはエチレンのコポリマーである。
【0164】
エチレンのコポリマーは、高圧重合プロセスで製造された低密度ポリエチレン(LDPE)コポリマーであることができ、該高圧重合プロセスではエチレンが少なくとも1の多不飽和コモノマーと任意的なさらなる1もしくは複数のコモノマーと任意的に連鎖移動剤の存在下に共重合され、またはエチレンのコポリマーは低圧プロセスで製造された直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることができ、該低圧プロセスではエチレンが少なくとも多不飽和コモノマーと任意的なさらなるコモノマーと配位触媒、たとえばクロム、チーグラー・ナッタもしくはシングルサイト触媒の存在下に共重合される。LDPEコポリマーおよびLLDPEコポリマーの双方ならびにこれらの重合プロセスは周知である。
【0165】
不飽和コポリマー、好ましくはエチレンのコポリマー中に存在する任意的なさらなる1または複数のコモノマーは、「骨格」のモノマーとは異なり、エチレンおよび1もしくは複数の高級アルファ−オレフィン、好ましくは1もしくは複数のC〜C20のアルファ−オレフィン、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ノネンまたは1−オクテンから、ならびに1もしくは複数の極性コモノマーから選択されることができる。主モノマーがエチレンである場合にはコモノマーはエチレン以外でなければならず、また主モノマーがプロピレンである場合にはコモノマーはプロピレン以外、たとえばエチレンまたはC〜C20のアルファ−オレフィンであることは理解されるだろう。
【0166】
たとえば、プロピレンはコモノマーとしてもしくは連鎖移動剤(CTA)としてまたはこれらの双方として使用されることができ、そうであることによってC−C二重結合の総量に、好ましくはビニル基の総量に寄与することができることは周知である。本明細書では、共重合性CTA、たとえばプロピレンが使用されたときは、共重合されたCTAはコモノマー含有量には算入されない。
【0167】
「ポリマー組成物」の好まれる実施態様では、不飽和ポリマー(A)は、多不飽和コモノマーである少なくとも1のコモノマーを含有する不飽和LDPEコポリマーである(以下、LDPEコポリマーと呼ばれる。)。
【0168】
より好ましくは、当該多不飽和コモノマーはジエン、好ましくは少なくとも8の炭素原子を含んでいるジエンであって、第一の炭素−炭素二重結合が末端にありかつ第二の炭素−炭素二重結合が該第一のものと非共役であるジエンである(第一ジエン群)。好まれるジエンは、C〜C14の非共役ジエンまたはこれらの混合物から選択され、より好ましくは1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、9−メチル−1,8−デカジエンまたはこれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、ジエンは1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエンまたはこれらの任意の混合物から選択される。
【0169】
上に列挙されたジエンに追加してまたはこれらの代わりとして、ジエンは以下の式を有する1以上のシロキサン化合物から選択されることもできる(第二ジエン群)。
CH=CH−[SiR−O]−SiR−CH=CH
この式で、z=1〜200であり、かつ
およびRは同じまたは異なっていることができ、C〜Cのアルキル基および/もしくはC〜Cのアルコキシ基から選択される。
【0170】
好ましくは、Rおよび/またはRはメチル、メトキシもしくはエトキシである。好ましくはz=1〜100、より好ましくは1〜50である。例として、ジビニルシロキサン、たとえばα,ω−ジビニルシロキサンが挙げられることができる。
【0171】
上に列挙された第一および第二ジエン群に追加してまたはこれらの代わりとして、ジエンは以下の式を有する1以上のエーテル化合物から選択されることもできる。
CH=CH−O−R−CH=CH
この式で、
は−(CH−O−、−(CHCHO)−、または−CH−C10−CH−O−であり、mは2〜10であり、およびpは1〜5である(第三ジエン群)。
【0172】
当該不飽和コポリマーのための好まれる多不飽和コモノマーは、上記の第一群からのジエンである。当該不飽和コポリマーが上述の不飽和LDPEコポリマーであることも好まれる。これはさらなるコモノマー、たとえば1もしくは複数の極性コモノマー、1もしくは複数のアルファ−オレフィンコモノマーまたはこれらの任意の混合物を含有することができる。
【0173】
極性コモノマーとして、1もしくは複数のヒドロキシル基、1もしくは複数のアルコキシ基、1もしくは複数のカルボニル基、1もしくは複数のカルボキシル基、1もしくは複数のエーテル基、もしくは1もしくは複数のエステル基、もしくはこれらの混合物を有する1または複数の化合物が使用されることができる。より好ましくは、1もしくは複数のカルボキシル基および/またはエステル基を有する化合物が使用され、さらにより好ましくは該化合物は1もしくは複数のアクリレート、1もしくは複数のメタクリレート、1もしくは複数のアセテート、またはこれらの任意の混合物の群から選択される。
【0174】
不飽和LDPEコポリマー中に存在するならば、極性コモノマーは、好ましくはアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートもしくはビニルアセテート、またはこれらの混合物の群から選択される。さらに好ましくは、当該極性コモノマーはC〜Cアルキルアクリレート、C〜Cアルキルメタクリレートまたはビニルアセテートから選択される。さらにより好ましくは、当該極性コポリマーはエチレンと、C〜Cアルキルアクリレート、たとえばメチル、エチル、プロピルもしくはブチルアクリレート、もしくはビニルアセテート、またはこれらの任意の混合物とのコポリマーを含んでいる。
【0175】
「ポリマー組成物」の不飽和LDPE、好ましくは不飽和LDPEコポリマーは、好ましくはラジカル重合によって高圧で製造される。高圧重合は管状反応器またはオートクレーブ反応器中で実施されることができる。好ましくは、これは管状反応器である。高圧プロセスで不飽和LDPEコポリマーを調製するときは、重合は一般に100〜400MPaの圧力および150℃〜350℃の温度で実施される。重合の間に、たとえば連鎖移動剤を使用して、または反応温度もしくは圧力を調整することによって、MFRは調整されることができる。エチレンを、たとえば多不飽和コモノマー、連鎖移動剤またはこれらの双方と一緒に重合することによって、重合条件によって、不飽和度、好ましくはC−C二重結合含有量は調整されることができる。C2と多不飽和コモノマーおよび/または連鎖移動剤との供給比は、不飽和LDPEコポリマー中に存在するC−C二重結合の量を微調整するために使用されることができる。不飽和結合、好ましくはC−C二重結合を用意するために、好ましくは少なくとも多不飽和コモノマーが使用される。所望のMFRおよび不飽和度、好ましくはC−C二重結合含有量を用意するための高圧重合およびプロセス条件の調整は、公知であり文献に記載されている。
【0176】
本発明の「ポリマー組成物」の不飽和ポリマー(A)は、プロセス条件を制御し調整して、重合されたポリマーの所望の不飽和度、好ましくはC−C二重結合含有量を達成するために、とりわけ任意の慣用の重合プロセスおよび装置、不飽和を用意するための上記の慣用の手段を使用して調製されることができる。二重結合含有量は、所望の実施態様に応じてさらに目的に適うようにされることができる。「ポリマー組成物」の上記の不飽和LDPEポリマー、好ましくは不飽和LDPEコポリマーは、好ましくはフリーラジカル開始重合によって高圧で製造される(高圧ラジカル重合と呼ばれる。)。使用可能な高圧重合(HP)およびプロセス条件の調整は周知であり、また文献に記載され、当業者によって容易に使用されて、上記の発明のバランスをもたらすことができる。高圧重合は、管状反応器またはオートクレーブ反応器中で、好ましくは管状反応器中で実施されることができる。管状反応器中でエチレンを任意的に1以上のコモノマーと、好ましくは多不飽和コモノマーと一緒に重合して、上記のLDPEホモポリマーまたはコポリマーを得るための1の好ましいHPプロセスが以下に記載される。該プロセスは他のポリマーにも同様に適合されることができる。すなわち、
圧縮:
エチレンは圧縮機に供給されて、主として、制御された温度において大量のエチレンを取り扱うことが可能になる。圧縮機は普通、ピストン圧縮機またはダイアフラム圧縮機である。圧縮機は普通、直列でまたは並列で作動することができる一連の圧縮機である。最も普通なのは2〜5の圧縮段である。再循環されたエチレンおよびコモノマーは、圧力に応じて適した点で添加されることができる。温度は典型的には低く、普通200℃未満または100℃未満の範囲にある。
管状反応器:
混合物は管状反応器に供給される。該管の第一の部分は供給エチレンの温度を調整するためのものであり、通常の温度は150〜170℃である。次にラジカル開始剤が添加される。ラジカル開始剤として、高められた温度でラジカルに分解する任意の化合物またはその混合物が使用されることができる。使用可能なラジカル開始剤は商業的に入手可能である。重合反応は発熱反応である。数個、たとえば1〜5点以上のラジカル開始剤注入点があることができ、普通、別々の注入ポンプを備えている。また、追加のモノマーおよび/またはコモノマー注入点、たとえば別々の圧縮機を備えた1〜5点以上があることができる。反応器は連続的に、たとえば水またはスチームによって冷却される。最高温度はピーク温度と呼ばれ、また最低温度はラジカル開始剤温度と呼ばれる。
【0177】
好適な温度は80〜350℃の範囲、および好適な圧力は100〜400MPaの範囲である。圧力は、少なくとも圧縮段でおよび管の後で測定されることができる。温度は、すべての段の間のいくつかの点で測定されることができる。当業者によって選択された様々な温度変化(プロファイル)を使用することは、ポリマー鎖の構造、すなわち「長鎖分枝」および「短鎖分枝」、密度、分枝指数、コモノマー分布、MFR、粘度、「分子量分布」等の制御を可能にする。たとえば、不飽和LDPEポリマー(A)、好ましくは不飽和LDPEコポリマーのMFRは、たとえば重合の間に連鎖移動剤を使用することによって、または反応温度もしくは圧力を調整することによって調整されることができる。反応器は慣用的には弁で終わる。該弁は反応圧力を調節し、反応混合物を反応圧力から分離圧力まで減圧する。
【0178】
分離:
圧力は典型的には約35MPa(40MPa)バール以下まで下げられる。ポリマーは、ガス状生成物、たとえば未反応モノマーおよび未反応の1または複数の任意的なコモノマーから分離され、そして未反応ガス状生成物のほとんどは回収される。通常、低分子化合物、すなわちワックスがガスから除かれる。圧力はさらに下げられて、使用されなかったガス状生成物、たとえばエチレンを回収し再循環することができる。該ガスは普通、再循環前に冷却され清浄にされる。
【0179】
次に、得られたポリマー溶融物は通常、加圧混合されペレット化される。好ましくは、添加剤が混合機中に添加されることができる。高圧ラジカル重合によるエチレン(コ)ポリマーの製造のさらなる詳細は、国際公開第93/08222号、国際公開第9635732号およびEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、第6巻、1986年、383〜410ページに見出されることができる。
【0180】
本発明の不飽和LDPEコポリマーが調製されるときは、周知のように、不飽和LDPEコポリマーに望まれるC−C二重結合の性質および量に応じて、C2と多不飽和コモノマーおよび/または連鎖移動剤との所望の供給比を使用して、エチレンを、たとえば1以上の不飽和コモノマー、1もしくは複数の連鎖移動剤、またはこれらの双方の存在下に重合することによって、不飽和度、好ましくはC−C二重結合含有量は調整されることができる。とりわけ、国際公開第9308222号は、エチレンと多不飽和モノマー、たとえばα,ω−アルカジエンとを高圧ラジカル重合して、エチレンコポリマーの不飽和度を上げることを記載している。反応しなかった1または複数の二重結合は、したがってペンダントのビニル基を、形成されたポリマー鎖に、不飽和コモノマーが重合によって取り込まれた場所で与える。その結果、ランダム共重合の様式でポリマー鎖に沿って均一に、不飽和結合は分配されることができる。また、たとえば国際公開第9635732号は、エチレンと特定のタイプの多不飽和α,ω−ジビニルシロキサンとの高圧ラジカル重合を記載している。その上、公知のように、プロピレンが連鎖移動剤として使用されて、当該二重結合を用意することができ、その場合にプロピレンは部分的にエチレンと共重合されることもできる。
【0181】
代替的な不飽和LDPEホモポリマーが、エチレンが連鎖移動剤のみの存在下に重合されることを除いて、不飽和LDPEコポリマーについてのプロセス条件を類似的に使用して製造されることができる。
【0182】
さらなる好まれる実施態様では、不飽和ポリマー(A)、好ましくはLDPEコポリマーのMFRは、好ましくは0.01〜50g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分、最も好ましくは0.2〜10g/10分である。
【0183】
本発明の好ましい不飽和ポリマー(A)、好ましくはLDPEコポリマーは、所与の優先順位で0.860超、0.880超、0.900超、0.910超、または0.915g/cm超の密度を有することができる。
【0184】
本発明のさらに好ましい不飽和ポリマー(A)、好ましくはLDPEコポリマーは0.960g/cmまで、たとえば0.955未満、たとえば0.950未満、たとえば0.945未満、たとえば0.940未満、たとえば0.935未満、または0.930g/cm未満の密度を有することができる。
【0185】
さらに好ましくは、「ポリマー組成物」の不飽和コポリマー、好ましくはLDPEコポリマーは、不飽和ポリマー成分(A)の量当たり30重量%まで、たとえば0.05〜25重量%、またはより好ましくは0.1〜15重量%の総量において1または複数のコモノマーを有することができる。
【0186】
本発明の最終使用および最終用途
【0187】
I.ポリマーの架橋
【0188】
「ポリマー組成物」の不飽和ポリマー(A)は架橋性である。
【0189】
本発明はさらに、ラジカル生成によって不飽和ポリマー(A)を修飾するために、とりわけ少なくとも架橋するためにフリーラジカル発生剤(B)として本発明の式(I)の化合物を使用する方法に関する。また、フリーラジカル発生剤を使用するラジカル反応によって不飽和ポリマー(A)を修飾する方法が提供され、この場合に当該フリーラジカル発生剤は式(I)の化合物である。
【0190】
したがって、ポリマー組成物の修飾は、1以上のフリーラジカル発生剤を使用するラジカル反応によって不飽和ポリマー(A)を架橋することを含み、この場合に少なくとも1の当該フリーラジカル発生剤は上記の式(I)の化合物である。
【0191】
「架橋」の語はポリマー分野において周知でありかつ普通に使用され、ラジカル反応によって主としてポリマー間の交差結合(架橋)を形成することを意味する。
【0192】
架橋のためのフリーラジカル発生剤として使用される式(I)の化合物の量は、好ましくはフリーラジカル発生剤(B)としての「式(I)の化合物」の記載において上記された通りである。
【0193】
架橋は公知の様式で、典型的には高められた温度、たとえば140℃以上、好ましくは150℃以上で実施されることができる。また、当該段階は、大気圧下にまたは典型的にはわずかに加圧された条件、たとえば20バールまで、たとえば約13バールまでの圧力下に実施されることができる。
【0194】
III.最終用途
【0195】
1.物品
【0196】
本発明の新規な原理は、ポリマーの多種多様な最終用途において大いに実施可能である。
【0197】
したがって、本発明はさらに、以上および以下で、好ましくは上記の「II.ポリマー組成物」の下で、または特許請求の範囲で定義された本発明のポリマー組成物を含んでいる物品を提供し、該ポリマー組成物は本明細書では以下、「本発明のポリマー組成物」と呼ばれる。
【0198】
1.1ケーブル
【0199】
1の好ましい実施態様では、本発明の当該物品は、1以上の層で囲まれた導体を含んでいるケーブルであって、少なくとも1の層が当該本発明のポリマー組成物または本発明の修飾されたポリマー組成物を含んでいるケーブルである。
【0200】
「導体」の語は、以上および以下の本明細書では導体が1以上のワイヤを含んでいることを意味する。その上、ケーブルは1以上のこのような導体を含んでいることができる。好ましくは、該導体は電気伝導体である。
【0201】
本発明のケーブルの1の実施態様では、少なくとも1の層が、当該本発明のポリマー組成物または本発明の修飾されたポリマー組成物を含んでいる絶縁層である。
【0202】
本発明のケーブルの他の実施態様では、少なくとも1の層が、当該本発明のポリマー組成物または本発明の修飾されたポリマー組成物を含んでいる半導電層である。「半導電層」とは、本明細書では当該層がカーボンブラックを含んでおり、かつ23℃もしくは90℃で測定されたときに100000Ω・cm以下の体積抵抗率を有し、または小板を使用するISO 3915に従って測定されたときに23℃で100Ω・cm以下、もしくは90℃で1000Ω・cm以下の体積抵抗率を有することを意味する。
【0203】
さらなる実施態様では、本発明のケーブルは被覆層と、絶縁層、および当該被覆層によって囲まれた半導電層から選択された任意的な1以上の層と、を含んでおり、この場合に当該被覆層は当該本発明のポリマー組成物または本発明の修飾されたポリマー組成物を含んでいる。
【0204】
本発明のケーブルの1のさらなる実施態様として、絶縁層および任意的な被覆層を含んでいる低電圧ケーブルが提供され、この場合に当該絶縁層は当該本発明のポリマー組成物を含んでいる。
【0205】
本発明のケーブルのさらなる実施態様として、内側半導電層、絶縁層および外側半導電層をこの順番で少なくとも含んでおり、任意的に絶縁層によって囲まれた電力ケーブルが提供され、この場合に当該層のうちの少なくとも1は、好ましくは少なくとも内側半導電層および絶縁層は、当該本発明のポリマー組成物を含んでいる。
【0206】
本発明の文脈では、低電圧ケーブルとは1kV以下の電圧で電力を輸送するケーブルである。電力ケーブルとは、任意の電圧で電力を輸送する、典型的には1kV超の電圧で用いられる、エネルギーを輸送するケーブルであると定義される。電力ケーブルにかけられる電圧は、交流(AC)、直流(DC)、または過渡(インパルス)であることができる。好まれる実施態様では、本発明に従って調製された電力ケーブルは6kV超の電圧で電力を輸送し、とりわけ中電圧(MV)、高電圧(HV)および超高電圧(EHV)電力ケーブルとして知られ、これらの語は周知の意味を有し、このようなケーブルの電力輸送レベルを表す。
【0207】
本発明の当該電力ケーブルの当該外側半導電層は、非可剥性、すなわち接合性かつ非剥離性、または可剥性、すなわち非接合性かつ剥離性であることができる。当該語はワイヤおよびケーブルの分野において周知の意味を有する。
【0208】
2.物品の調製方法
【0209】
本発明は、さらに当該本発明のポリマー組成物を使用することによって物品を製造する方法を提供する。
【0210】
2.2.ケーブルの調製方法
【0211】
本発明の物品を調製する方法の好ましい実施態様は、1以上の層を導体上に、好ましくは(共)押出によって施与する段階を含むケーブルを製造する方法であり、該層はポリマー組成物を含んでおり、この場合に少なくとも1の層が当該本発明のポリマー組成物を含んでいる。
【0212】
「(共)押出」の語は、本明細書では、従来技術で周知のように、2以上の層の場合に、当該層が別々の段階で押出されることができ、または当該層のうちの少なくとも2またはすべてが同じ押出段階で共押出されることができることを意味する。
【0213】
本発明の当該方法では、層物質の成分は、別の混合機中で混合されそしてその後に当該層を製造するための押出機に導入され、または押出機に直接添加されその中で混合されそしてその後に層が形成される。添加剤およびさらなる成分が混合段階の間に添加されることができる。押出機中の混合物は、高められた温度に、典型的にはポリマー成分の融点超に付され、そして次に当該分野において極めて周知の様式で導体上に(共)押出される。たとえば、慣用の押出機および混合機が本発明の方法に使用されることができる。
【0214】
当該本発明のポリマー組成物を含んでいるポリマー粉体、ポリマーペレットまたは溶融物は、ケーブルを調製する当該方法にそれぞれ同等に使用されることができ、またこれらはこれらがケーブル調製段階で使用される前に調製されることができ、またはこれらはケーブル製造プロセスの間にケーブル製造ラインにおいて直接、調製されることができる。したがって、1)本発明のポリマー組成物の予備形成された粉体もしくはペレットが、ケーブル製造ラインに付されることができ、または2)当該式(I)の化合物は、1もしくは複数のケーブル層を形成する前に不飽和ポリマーのペレットもしくは粉体と一緒に混合段階に添加されることができる。このような混合段階は、ケーブル製造ライン中に配置された別の混合装置における別の混合段階であって、ケーブル層形成段階、たとえば押出段階に先行することができる。あるいは、式(I)の化合物は、層形成段階の間に、たとえば押出機中に添加されることができ、そうすることによってポリマー粉体またはポリマーペレットの添加とともに、またはその後に押出機に導入されることができる。押出機への添加点は限定されておらず、そうであることによって式(I)の化合物は、押出機の入口でまたは押出機に沿って配置された下流の供給点で添加されることができる。したがって、式(I)の化合物の添加は、ポリマー物質が固形の非溶融状態、部分的に溶融された状態、または溶融状態、すなわち溶融混合物にある時点で行われることができる。層物質の得られた溶融混合物は、次に導体上へと(共)押出されて、ケーブル層を形成する。本発明の好まれるケーブル調製方法では、低電圧ケーブル、またはより好ましくは上記の1.1.ケーブルの下に定義された本発明の電力ケーブルが製造される。得られたケーブルは最終使用への適用のためにさらに加工されることができる。
【0215】
典型的には、本発明のケーブルはケーブル層の形成の後に架橋される。本発明はさらに、式(I)の化合物を使用するラジカル反応によってケーブルを架橋する方法(C1)であって、
(i)本発明のポリマー組成物を含んでいる少なくとも1の層を導体上に施与する段階、
(ii)当該少なくとも1の層をラジカル反応によって架橋する段階、および
(iii)架橋されたケーブルをその後の使用のために慣用の様式で回収する段階
を含む方法を提供し、
好ましくは当該架橋は、当該架橋段階の分解生成物として、以下の「GC分析手順」の下に記載された方法に従って測定されたときに300(重量)ppm未満の量においてメタンを生成することによって実施される。好ましくは当該架橋段階(C1)は、当該架橋段階の分解生成物としてメタンを生成することなく実施される。
【0216】
本発明の上記の架橋方法では、架橋条件は、とりわけ使用された物質およびケーブルのサイズに応じて様々であることができる。本発明の架橋は、たとえば公知の様式で、好ましくは高められた温度で実施される。好ましくは、架橋段階の間のケーブル層中の最低温度は140℃超、より好ましくは150℃超、たとえば160〜210℃である。架橋は液状またはガス状媒体中で、たとえば不活性ガス雰囲気中、たとえばN雰囲気中で実施されることができる。本発明の架橋段階の間の圧力は、不活性雰囲気中で典型的には20バールまで、好ましくは13バールまで、たとえば10〜15バールである。
【0217】
本発明の架橋方法のさらに好ましい実施態様は、架橋されたケーブルを冷却媒体中、たとえばガスまたは液体中、たとえばN、油もしくは水中で、好ましくは加圧条件下に冷却するさらなる段階を含む。冷却は冷却帯域中で実施され、該冷却帯域は任意的に先行する架橋帯域と一体化されていてもよく、たとえば公知の加硫管中で冷却は実施される。例としてのみのために、カテナリー式連続加硫(CCV)管が挙げられることができる。導体に最も近い層の温度は冷却帯域/段階の始まりにおいて、典型的には200℃未満、たとえば160〜190℃である。本発明の冷却段階の間の圧力は、典型的には大気圧より上、たとえば20バールまで、好ましくは13バールまで、たとえば10〜12バールに保たれる。ケーブル層の温度がそのポリマー層物質の融点よりも明らかに下であるときに、ケーブルは加圧冷却段階から取り出される。したがって、本発明の架橋されたケーブルは、加圧冷却帯域の出口において、たとえば当該ケーブルの導体の温度が層ポリマー物質に応じて110℃未満、好ましくは70〜90℃であるときに、本発明の加圧冷却段階を出て行くことができる。
【0218】
架橋および冷却段階は普通、加圧条件下に実施されて、たとえば過酸化物からの揮発性分解生成物によるボイドの形成を防ぐ。本発明の架橋方法の好ましい実施態様は、このようにして架橋されそして冷却されたケーブルを加圧冷却帯域から、導体において測定されたときに従来技術におけるよりも高い温度で取り出すことを可能にする。また好ましくは、冷却は、従来技術と比較してより低い圧力で実施されることができる。
【0219】
任意的に、所望により、本発明の架橋されたケーブルは、ケーブルのさらなる冷却のために当該加圧冷却段階の後で、追加的な非加圧冷却段階に付されることができる。
【0220】
本発明のケーブル調製方法は、任意的に、冷却段階から来るケーブルのさらなる回収段階を含む。ケーブルを公知の様式でケーブルドラム上に巻くことによって、回収は実施されることができる。
【0221】
本発明の方法のさらなる実施態様では、冷却段階から得られ、そして任意的に回収され、たとえばケーブルドラムに巻かれたケーブルは、特定の用途に必要であれば、とりわけ本発明の当該架橋段階からひょっとしたらもたらされるかもしれない何らかの揮発性分解生成物を除きまたは低減するために、任意的に後続の脱ガス段階に付されてもよい。当該脱ガス段階では、本発明のケーブルは、好ましくはある時間、環境温度か、あるいは高められた温度中に曝露される。例としてのみ挙げれば、当該脱ガス温度は、1〜4週間の期間、たとえば50〜80℃であることができる。架橋方法の1の実施態様では、当該揮発性副生成物のレベルが下げられている故に、当該脱ガス段階はかなり短縮され、または回避さえもされることができる。
【0222】
本発明の上記方法によって製造された本発明のケーブルは、最後にさらに加工され、たとえば公知の様式で後続の仕上げ段階において保護層で保護され、および/または任意的に被覆層によって覆われ、そしてその最終使用のために回収されることができる。
【0223】
本発明はこのようにして、上記の架橋されたポリマー組成物を含んでいる架橋されたケーブル、好ましくは架橋された低電圧ケーブルまたは電力ケーブル、より好ましくは上記の架橋された電力ケーブルも提供する。好ましくは、当該架橋されたケーブルは上記の架橋方法のいずれによっても得られることができる。
【0224】
本発明の架橋方法の1の実施態様では、その中の1もしくは複数のケーブル層中の最小の架橋度がIEC 60502に規定された要件を満たすところの架橋されたMVケーブル、またはその中の1もしくは複数のケーブル層中の最小の架橋度がIEC 60840に規定された要件を満たすところの架橋されたHVケーブル、から選択される架橋された電力ケーブルが製造され、これらの規格はワイヤおよびケーブルの分野において周知である。
【0225】
本発明の有利な組成物はフリーラジカル発生剤を有し、これは、たとえばケーブル製造プロセスにおいて製品の品質を改良するために使用されることができる。本発明のおかげでポリマー製品、たとえばケーブル層の中のボイドの量は低減されまたは回避さえされることができる。というのは、より少ない揮発性分解生成物が生成され、または全く生成されないからである。その上、本発明はケーブルの加工性を、とりわけより安全およびより迅速な加工の点において改良することをも可能にする。たとえば、本発明の架橋方法はより迅速および/またはより経済的であることができる。というのは、所望であれば、冷却および/または脱ガス段階の双方が、短縮された時間でおよび/またはより省エネルギーの様式で実施されることができるからである。
【0226】
測定方法
【0227】
他様に述べられない限り、以下の測定方法が使用されて、発明の詳細な説明の部および特許請求の範囲においてならびに実験の部において一般的に規定された特性が測定された。
【0228】
メルトフローレート
【0229】
メルトフローレート(MFR)はISO 1133に従って測定され、g/10分単位で表される。MFRはポリマーの流れ性、したがってその加工性の指標である。メルトフローレートが高ければ高いほど、ポリマーの粘度はそれだけ低くなる。MFRはポリエチレンの場合190℃で測定され、および様々な荷重、たとえば2.16kg(MFR)または21.6kg(MFR21)で測定されることができる。MFRはポリプロピレンの場合230℃で測定される。
【0230】
密度
【0231】
密度はISO 1183Dに従って測定された。サンプル調製はISO 1872−2に従って実施された。
【0232】
「ポリマー組成物」中または不飽和ポリマー中の二重結合の量
【0233】
この方法は、「ポリマー組成物」および不飽和ポリマー(A)の双方について適用される。これらの双方は、以下、それぞれ「組成物」またはポリマーと呼ばれる。二重結合/1000C原子の量の測定手順は、ASTM D3124−72法に基づく。この方法では、ビニリデン基/1000C原子の測定についての詳細な記載は、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンに基づいて示される。該記載されたサンプル調製手順は、本発明においてビニル基/1000C原子、ビニリデン基/1000C原子およびトランスビニレン基/1000C原子の測定にも適用された。しかし、これらの3のタイプの二重結合の吸光係数の測定については、以下の3の化合物、すなわちビニルについて1−デセン、ビニリデンについて2−メチル−1−ヘプテンおよびトランスビニレンについてトランス−4−デセンが使用され、またASTM D3124第9節中に記載された手順が追行された。
【0234】
二重結合の総量は、IR分光分析法によって分析され、1000炭素原子当たりのビニル結合、ビニリデン結合およびトランスビニレン結合の量として示された。
【0235】
分析されるべき組成物またはポリマーは、0.5〜1.0mmの厚さを有する薄膜にプレスされた。実際の厚さが測定された。FT−IR分析がPerkin Elmer 2000で実施された。4回の走査が4cm−1の分解能で記録された。
【0236】
980cm−1から約840cm−1まで、ベースラインが引かれた。ピーク高さは、ビニリデンについて約888cm−1、ビニルについて約910cm−1およびトランスビニレンについて約965cm−1で測定された。二重結合/1000炭素原子の量は以下の式を用いて計算された。
ビニリデン/1000C原子=(14×A)/(18.24×L×D)
ビニル/1000C原子=(14×A)/(13.13×L×D)
トランスビニレン/1000C原子=(14×A)/(15.14×L×D)
これらの式で、
A:吸光度(ピーク高さ)
L:mm単位での膜厚さ
D:物質の密度(g/cm
【0237】
多不飽和コモノマーから生じる、1000炭素原子当たりのビニル基の量は、以下のように測定され計算された。すなわち、
分析されるべきポリマーおよび参照ポリマーが、基本的に同じ条件、すなわち同じようなピーク温度、圧力および製造速度を用いて同じ反応器で製造されたが、唯一の違いとして分析されるべきポリマーには多不飽和コモノマーが添加され、参照ポリマーには添加されなかった。各ポリマーのビニル基の総量は、上記のようにFT−IR測定によって測定された。そのときに、ビニル基のベースレベル、すなわちプロセスによって生成されたものおよびビニル基をもたらす連鎖移動剤からのもの(存在する場合)は、参照ポリマーおよび分析されるべきポリマーについて同じであると仮定されるが、唯一の例外として分析されるべきポリマー中には多不飽和コモノマーも反応器に添加されることが挙げられる。このベースレベルは次に、分析されるべきポリマー中のビニル基の測定された量から差し引かれ、これによって多不飽和コモノマーからもたらされるビニル基/1000C原子の量が与えられる。
【0238】
不飽和低分子量化合物(iii)(以下、「化合物」と呼ばれる。)が存在する場合のその二重結合含有量を測定するための較正手順
【0239】
「化合物」(たとえば、発明の詳細な説明の部に例示された架橋促進剤化合物または焼け防止剤化合物)のモル吸光度は、ASTM D6248−98に従って測定されることができる。CS(二硫化炭素)中の「化合物」の少なくとも3の溶液が調製される。該溶液の使用された濃度は0.18モル/lに近い。該溶液がFTIRで分析され、0.1mmの路程を有する液体セル中において4cm−1の分解能で走査される。1または複数の「化合物」の不飽和部分(存在する炭素−炭素二重結合の各タイプ)にかかわる吸光度ピークの最大強度が測定される。
【0240】
各溶液および二重結合のタイプについてのリットル/モル×mm単位のモル吸光度Bが、以下の等式を用いて計算される。
B=(1/CL)×A
C=測定されるべき炭素−炭素二重結合の各タイプの濃度、モル/l
L=セル厚さ、mm
A=測定されるべき炭素−炭素二重結合の各タイプのピークの最大吸光度(ピーク高さ)、モル/l。
【0241】
二重結合の各タイプについてのモル吸光度Bの平均が計算される。炭素−炭素二重結合の各タイプの平均モル吸光度Bは、次に参照ポリマーおよび分析されるべきポリマーサンプル中の二重結合の濃度を計算するために使用される。
【0242】
ゲル含有量
【0243】
試験に付されるポリマー組成物から成り以下の「サンプルの調製、架橋」に従って調製された、架橋されたサンプルを使用して、ASTM D 2765−01、方法Aに従ってゲル含有量が測定された。
【0244】
ケーブル上のゲル含有量は、ASTM D 2765−01方法Bを使用して実施される。
【0245】
該方法AおよびBは同等の結果を示す。
【0246】
GC分析手順
【0247】
上でおよび以下の特許請求の範囲で定義された、「化合物」、「ポリマー組成物」、ケーブルならびにその調製方法および修飾方法の定義では、(重量)ppm単位でまたは「存在せず」として示された揮発分の、たとえばCHの含有量は、修飾された、たとえば架橋されたサンプルからガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される。
【0248】
該試験は、フリーラジカル発生剤から生成された揮発分の、たとえばメタンの含有量を測定するために使用される。試験用フリーラジカル発生剤は、50%のゲル含有量、好ましくは少なくとも50%のゲル含有量として表された架橋度が達成されるような量で使用される。該サンプルの架橋条件は決定的に重要ではなく、たとえば以下の「サンプルの調製、架橋」の下に記載されたように実施されることができる。
【0249】
修飾された、たとえば架橋された組成物、たとえば小板またはケーブルから、1.5mmの厚さを有する1gのサンプル試料を取ることによって、揮発分は測定される。1または複数の架橋された層を含んでいるケーブルの場合、当業者に知られた様式で、架橋/冷却帯域の出口で、たとえば加圧冷却段階後の加硫管の出口で取られた、架橋され冷却されたケーブルサンプルの層物質から、サンプル試料は取られる。
【0250】
当該サンプル試料からの揮発分の(ヘッドスペースボトル(以下を参照せよ。)への)収集は、修飾段階が停止された後1時間以内に開始され、または架橋され冷却されたケーブルの場合、架橋/冷却帯域の出口でケーブルサンプルが取られた後1時間以内に開始される。
【0251】
1.5mmの厚さおよび1gの重量のサンプル試料が、幅100mmおよび長さ100mmである小板の中央から切り出される。得られたサンプル(試料)は、アルミニウムクリンプカップ入りの密閉された120mlのヘッドスペースボトル中に入れられ、そして当該サンプル中に存在する何らかのガス状揮発分を収集するために60℃で1.5時間熱処理される。次にサンプルボトル中に捕集されたガスの0.3〜0.5mlがガスクロマトグラフ中に注入され、そこで揮発分、たとえばメタンの存在および含有量が測定され、これは公知の様式で測定されるのが望ましい。正副のサンプルが分析され、およびフリーラジカル発生剤/修飾のない「ゼロサンプル」が参照物として使用される。ここで使用された機器はVarian 3400、Chrompack社によって納入された0.53mm×50mのAl/NaSOカラム付きであった。
【0252】
ケーブルからの試料
【0253】
1.5mmの厚さおよび1gの重量のサンプル試料が、当該ケーブルサンプルの導体を囲む1または複数のポリマー層の環の(半径方向において)中央の距離から(すなわち、当該ケーブル層の環の1/2の半径の距離において)、当該ケーブルサンプルから長手方向に切り出される。揮発分の収集および測定は上記のように実施された。
【0254】
小板からの試料
【0255】
(重量)ppm単位で、または「存在せず」として示される揮発性の、たとえばCHの含有量は、上記の「サンプルの調製、架橋」と表題された節に記載された手順に従って修飾された、たとえば架橋されたサンプル小板からガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される。試験用組成物は、2部の試験用過酸化物および100部の試験用ポリマー(すなわち、50%以上の架橋度を生じるのに十分なもの)を含有している。
【0256】
1.5mmの厚さおよび1gの重量のサンプル試料が、幅100mmおよび長さ100mmである小板の中央から切り出される。揮発分の収集および測定は上記のように実施された。
【0257】
物質
【0258】
参照物についておよびこの適用の実施例についての各試験では、参照ポリマー、すなわち何らかの添加剤、たとえば有機過酸化物が添加されていないポリマーについての、および試験される組成物、すなわち有機過酸化物を含有する参照ポリマーについての試験の段取りは同じであった。
【0259】
不飽和ポリマー:該ポリマーはポリ(エチレン−コ−1,7−オクタジエン)である。
【0260】
ポリ(エチレン−コ−1,7−オクタジエン)の製造
【0261】
5段プレ圧縮機および中間冷却器付き2段超圧縮機中でエチレンが圧縮されて、約2950バールの初期反応圧力に達した。圧縮機の総吐出量は約30トン/時であった。圧縮機領域にプロピレン約120kg/時が連鎖移動剤として添加されて、3.2g/10分のMFRを維持した。ここで1,7−オクタジエンも約50kg/時の量で反応器に添加された。約40mmの内径および約1200メートルの全長を有するフロントフィード3ゾーン型管状反応器の予熱区画中で、圧縮された混合物が約165℃まで加熱された。商業的に入手可能な、イソドデカン中に溶解された過酸化物ラジカル開始剤の混合物が、発熱重合反応に十分な量で予熱器の直後に注入されて、約280℃のピーク温度に達し、その後約250℃まで冷却された。後続の第二および第三のピーク反応温度はそれぞれ約280℃および約270℃であり、中間の冷却によって約250℃まで下がった。反応混合物はキック式弁によって減圧され、冷却され、そしてポリマーが未反応ガスから分離された。
【0262】
得られたポリマーは、1.286/1000CのC−C炭素二重結合の総数を有しており、ビニル基の数はビニル基0.994/1000Cであった。該物質の密度は920kg/m、およびMFR(2.16kg)=3.2g/10分であった。
【0263】
架橋剤として本発明の化合物(I)を含有する本発明の実施例、架橋剤としてジクミルパーオキシドを有する比較例および架橋剤を含有していない参照例を試験するのに、上記の不飽和ポリマーが使用された。
【0264】
商用の参照有機過酸化物であるジクミルパーオキシドは、AkzoNobel社によって供給された。
【0265】
サンプルの調製、含浸
【0266】
試験用ポリエチレンペレットが、1.5mmの篩を備えたRetsch磨砕機中で微粉へと磨砕された。得られた粉体は、ペンタン中に溶解された試験用過酸化物溶液を含浸されて、最後にペンタンが蒸発し終わって、試験用過酸化物と試験用ポリマーとの乾燥粉体を与えた。架橋された試験用組成物のゲル含有量が下記のように試験されたときに、試験用組成物の内容は3部の試験用過酸化物および100部の試験ポリマーであった。揮発分含有量がGC分析手順に記載されたように測定されたときに、該試験用組成物の内容は2部の試験用過酸化物および100部の試験用ポリマーであった。
【0267】
サンプルの調製、架橋
【0268】
試験用小板は以下の大きさおよび架橋サイクルを有していた。すなわち、下記のゲル含有量の測定に使用されたときに、小板は長さ100mm、幅100mm、および厚さ0.1mmであり、また揮発分含有量が以下のGC分析手順に記載されたように測定されたときに、該小板は長さ100mm、幅100mm、および厚さ1.5mmであった。架橋はSpecacプレス中で実施され、その場合組成物は5バールで120℃に1分間保たれ、次に温度が60℃/分で1分間上げられて、5バールで180℃に達し、そして5バールで180℃に12分間保たれ、引き続いて5バールで30分間にわたって環境温度まで冷却された。
【実施例1】
【0269】

【0270】
A.1−メチル−1−フェニルウンデシルアルコール
【0271】
10mlのジエチルエーテル中2.43g(0.1モル)のマグネシウム削りくずの懸濁物に、0.1mlの1,2−ジブロモエタンが添加され、そして混合物が撹拌された。20mlのジエチルエーテル中22.17g(0.1モル)の1−ブロモデカンが滴下され、混合物が15分間還流され、それから冷却された。20mlのジエチルエーテル中9.61g(0.08モル)のアセトフェノンが、該混合物を氷浴上で冷却しながら添加された。氷浴が取り除かれ、そして反応混合物が室温で30分間撹拌された。次に150mlの水および100gの氷中30gの塩化アンモニウムのスラリーを激しく撹拌しながら、その中に上記の混合物が注がれた。混合物がろ過され、エーテル層が分離され、そして水性層が50mlのエーテルで2回抽出された。有機層は一緒にされ、水、10%NaHSO、塩水で洗われ、乾燥され、そして蒸発されて、22.48gの清澄な油を与えた。該油は、ペンタンを使用する乾燥カラムクロマトグラフィーで精製された。溶離液が蒸発されて、17.22g(82%)の1−メチル−1−フェニルウンデシルアルコールを粘稠無色の油として与えた。
【0272】
B.1−メチル−1−フェニルウンデシルヒドロペルオキシド
【0273】
10.50g(0.04モル)の1−メチル−1−フェニルウンデシルアルコールが50mlのジクロロメタン中に溶解され、氷浴中で冷却され、10.6ml(12.29g、0.08モル)の臭化トリメチルシリルが添加され、そして混合物が湿分から保護されながら1時間撹拌された。この溶液が100mlのエーテルで希釈され、50mlの水で4回および塩水で洗われ、乾燥され、そして蒸発されて、粗2−フェニル−2−ブロモドデカンを与えた。THF中2.3モル濃度の過酸化水素35ml(0.08モル)がこの臭化2−フェニル−2−ドデシルに添加され、混合物が氷浴上で冷却された。8.84g(0.04モル)のトリフルオロ酢酸銀が添加された。70mlの濃NaHCOが添加され、そして混合物がろ過された。反応フラスコおよびフィルターケーキがジエチルエーテルですすがれた。水性相が分離され、そして有機相が濃NaHCO、50mlの水、塩水で洗われ、乾燥され、そして蒸発されて、油を与えた。該油は2:8のエーテル:ペンタンを溶離液として使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製された。1−メチル−1−フェニルウンデシルヒドロペルオキシドの収率は30%であった。
【0274】
C.ジ−(1−メチル−1−フェニルウンデシル)パーオキシド
【0275】
0.942g(3.6ミリモル)の1−メチル−1−フェニルウンデシルアルコールが5mlのジクロロメタン中に溶解され、1mlの臭化トリメチルシリル(7.2ミリモル)が添加され、そして混合物が湿分から保護されながら1時間撹拌された。この溶液が15mlのジエチルエーテルで希釈され、水(3×10ml)、15mlの塩水で洗われ、乾燥され、そして蒸発されて、1.18gの粗2−フェニル−2−ブロモドデカンを与えた。795mgのトリフルオロ酢酸銀(3.6ミリモル)が5mlのTHF中に溶解された。該粗臭化物に10mlのTHF中に溶解された500mgの1−メチル−1−フェニルウンデシルヒドロペルオキシド(1.8ミリモル)が添加された。この混合物が氷塩浴中で−15℃まで冷却され、そして該トリフルオロ酢酸銀溶液がピペットで添加された。2mlの塩水が次に添加され、引き続いて10mlの濃NaHCOが添加された。反応混合物が撹拌され、そしてろ過された。反応フラスコおよびフィルターケーキが15mlのジエチルエーテルですすがれた。水性相が分離され、そして有機相が濃NaHCO、15mlの水、15mlの塩水で洗われ、乾燥され、そして蒸発されて、1.40gの黄色がかった油を与えた。1:9のエーテル:ペンタン混合物を溶離液として使用して、精製が行われた。収量は409mg(43%)であった。13C−NMR(CDCl)δ 14.33、22.91、23.96、24.06、24.19、29.55、29.72、29.82、30.24、32.13、40.68、40.97、84.18、126.16、126.69、127.86、145.59、145.71。
【実施例2】
【0276】

【0277】
A.ジ(1−メチル−シクロヘキシル)パーオキシド
【0278】
1−メチルシクロヘキサノール(30g、0.26モル)が100mLの三口丸底フラスコ中に入れられ、撹拌された。フラスコは塩水/氷浴中で冷却され、滴下ロートが取り付けられ、一定流量のN供給が取り付けられた。滴下ロートに98%硫酸(16.14ml)および水(6.45ml)が仕込まれて、70%硫酸溶液となった。これが該1−メチルシクロヘキサノールに滴下され、撹拌が続けられて、粘稠な茶色の混合物を与えた。浴に塩水/氷が再投入され、滴下ロートが水ですすがれ、35%過酸化水素(6.98mL、0.125モル)が新たに仕込まれ、そして滴下された。この溶液は2相に分離した。シクロヘキサノール(150mL)が添加され、混合物が分液ロートに移された。水性画分がシクロヘキサンのもう一つの小分け分(150ml)で抽出され、合体された有機画分が1モル濃度のNaOH(2×100mL)、水(2×150mL)で洗われ、乾燥され、そして蒸発されて、粘稠な無色の油(12.98g)を与えた。該油はシリカゲル上で吸着され、次にシリカゲルカラム上に置かれ、シクロヘキサンで溶離された。減圧で蒸発後、ジ(1−メチル−シクロヘキシル)パーオキシドの無色の油0.7gが得られた。13C−NMR(CDCl)δ22.45、25.01、25.95、35.39、78.58。
【実施例3】
【0279】
ジ(1−メチル−シクロペンチル)パーオキシドの調製
(R=メチル;R+RはCと一緒にシクロペンチル環を形成し、およびR1'=メチル;R2'+R3'はC1'と一緒にシクロペンチル環を形成する。)

【0280】
A.ジ(1−メチル−シクロペンチル)パーオキシド
【0281】
250mlの三口丸底フラスコに50mlの滴下ロートが取り付けられ、フラスコが<0℃に冷却された。30gの1−メチルシクロペンタノール(0.3モル、1等量)が該フラスコに添加された。70%HSO溶液が調製され、氷浴中で冷却された。該HSO(12.71ml、0.91モル、3等量)が15分間にわたって滴下され、そしてすべての1−メチルシクロペンタノールが溶解するのを許すために、反応混合物が約2.5時間撹拌された。反応系を撹拌しながら、8.11mlの35重量%H(0.24モル、0.8等量)が15分間にわたって滴下された。反応系は一晩放置撹拌された。反応混合物が分液ロートに移され、各回50mlのペンタンで3回抽出された。有機層が集められ、水性層が取り除けられた。有機層は各回50mlの1規定NaOHで3回抽出されて、過剰の酸が除かれた。有機層が集められ、乾燥され、そして濃縮された。ペンタンを移動相として使用するシリカカラム上のクロマトグラフィーによって、残留物が精製された。生成物の画分が濃縮されて、973mgのジ(1−メチル−シクロペンチル)パーオキシドが無色の油として得られた。13C−NMR(CDCl)δ24.43、24.75、37.13、89.23。
【0282】
ゲル含有量
【0283】
上記のように調製されたLDPEコポリマーのゲル含有量が、上記の方法に従って測定され、結果が下に示される(表1)。
【表1】

【0284】
GC分析
【0285】
生成されたCHの量を求めるために、GC分析が実施された。実施例が、ジクミルパーオキシドを使用するサンプルと比較される。ジクミルパーオキシドは今日使用されている慣用溶液を代表する。結果が下に提示される(表2)。
【表2】

【0286】
本発明の架橋されたケーブルの調製例
【0287】
内側半導電層、絶縁層および外側半導電層を含んでいる、実験的な試験のための電力ケーブルが、慣用の押出機ラインおよび慣用の押出条件を使用して当該層を所与の順番で導体上に共押出することによって調製される。
【0288】
層物質は慣用のポリマーグレードであり、各層は架橋剤として本発明の過酸化物化合物を含んでいる。
【0289】
ケーブル中に使用された半導電性物質は、内側および外側半導電性物質の双方として、40重量%のファーネスブラックを含有する(17重量%のブチルアクリレート含有量を有する)ポリ(エチレン−コ−ブチルアクリレート)ポリマーである。該組成物は、ポリキノリンタイプの酸化防止剤で安定化され、かつ、架橋剤として1重量%の本発明の過酸化物を含有している。
【0290】
中間絶縁層は、2重量%の本発明の過酸化物および0.2重量%の4,4'−チオビス(2−3級ブチル−5−メチルフェノール)を含有する低密度ポリエチレンLDPE(MFR=2g/10分)から構成される。
【0291】
得られたケーブルは、押出直後に慣用の加硫管に付され、周知の架橋条件を用いる公知の様式で架橋される。架橋後、次にケーブルは所望の圧力および温度で当該加硫管の冷却帯域中で冷却される。導体で測定されて所望の温度に到達したときに、冷却段階は停止される。典型的には、同じゲル含有量までであるが、架橋剤としてジクミルパーオキシドを使用して架橋された対応するケーブルと比較して、冷却段階はより低い圧力で実施されることができ、および/または冷却段階は導体におけるより高い温度で停止されることができる。架橋され冷却された層はケーブルドラムに巻かれ、そして脱ガス段階に移送されて、1または複数の揮発物含有分がもし在れば除かれる。この段階は典型的には、同じゲル含有量までであるが、架橋剤としてジクミルパーオキシドを使用して架橋された対応するケーブルと比較して、より低い温度でおよび/またはより短い期間で行われることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)不飽和ポリマー、および
B)フリーラジカル発生剤
を含んでいるポリマー組成物において、
該フリーラジカル発生剤が、式(I)

の化合物であって、
式(I)において、
およびR1'がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または置換もしくは非置換の芳香族ヒドロカルビルであり、
およびR1'において、当該置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルまたは芳香族ヒドロカルビルのそれぞれが、任意的に1以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、
かつ
およびR1'において、当該飽和もしくは部分的に不飽和の置換ヒドロカルビルまたは置換芳香族ヒドロカルビルが、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、
、R'、RおよびR'がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または置換もしくは非置換の芳香族ヒドロカルビルであり、
、R'、RおよびR'において、当該置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルまたは芳香族ヒドロカルビルのそれぞれが、任意的に1以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、かつ
、R'、RおよびR'において、当該飽和もしくは部分的に不飽和の置換ヒドロカルビルまたは置換芳香族ヒドロカルビルが、官能基、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、または
およびRが、該RおよびRが結合されている炭素原子(C)と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子の炭素環部分;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分;または任意的に1〜4のヘテロ原子を含んでいてもよい、非置換もしくは置換の3〜14のC原子の芳香族環部分を形成し、
およびRにおいて、当該炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系が、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
およびRにおいて、当該置換された、炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系が、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、または
'およびR'が、これらが結合されている炭素原子(C')と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子の炭素環部分;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分;または任意的に1〜4のヘテロ原子を含んでいてもよい、非置換もしくは置換の3〜14のC原子の芳香族環部分を形成し、
'およびR'において、当該炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系が、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
'およびR'において、当該置換された、炭素環、ヘテロ環または芳香族環の系が、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル;または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、または
およびR'が一緒に、任意的に1〜4のヘテロ原子を有していてもよい、二価の置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルを形成し、ここでRはCに、R'はC'にそれぞれ結合されて、−C−O−O−C'−と一緒に、置換もしくは非置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子の炭素環部分を形成し、当該環部分は当該少なくとも2のO原子に加えて任意的に1〜4のさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく;ここで当該炭素環またはヘテロ環の系は4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよい、
化合物、または該化合物の官能性誘導体であり、
但し、R、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2はそれぞれ、Hおよびメチル以外のものであるところの、
上記のポリマー組成物。
【請求項2】
A)不飽和ポリマー、および
B)フリーラジカル発生剤
を含んでいるポリマー組成物であって、
該ポリマー組成物が少なくとも0.05、たとえば0.1以上、より好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.37超の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子の量において炭素−炭素二重結合を有し、かつ
該フリーラジカル発生剤が請求項1に従う式(I)の化合物である、
請求項1に従うポリマー組成物。
【請求項3】
A)不飽和ポリマー、および
B)フリーラジカル発生剤
を含んでいるポリマー組成物であって、
該不飽和ポリマーが少なくとも0.05、たとえば0.1以上、より好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.37超の炭素−炭素二重結合/1000炭素原子の量において炭素−炭素二重結合を有し、かつ
該フリーラジカル発生剤が請求項1に従う式(I)の化合物である、
請求項1または2に従うポリマー組成物。
【請求項4】
およびRが、該RおよびRが結合されている炭素原子(C)と一緒に、任意的に置換されていてもよい3〜12の環C原子の炭素環部分、またはO、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を有する、任意的に置換されていてもよい3〜12の環原子のヘテロ環部分を形成し、かつ、当該炭素環式またはヘテロ環式の環系が、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよく、好ましくはRおよびRが炭素原子(C)と一緒に(C3〜C12の)炭素環部分を形成している、
請求項1〜3のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項5】
'およびR'が、該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい3〜12の環C原子の炭素環部分、またはO、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を有する、任意的に置換されていてもよい3〜12の環原子のヘテロ環部分を形成し、かつ、当該炭素環式またはヘテロ環式の環系が、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよく、好ましくはR'およびR'が炭素原子(C')と一緒に(C3〜C12の)炭素環部分を形成している、
請求項1〜4のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項6】
およびRが、該RおよびRが結合されている炭素原子(C)と一緒に、ならびに/またはR'およびR'が、該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の単環式もしくは二環式の(C4〜C14の)炭素環、より好ましくは、任意的に置換されていてもよい、飽和単環式の(C5〜C8の)炭素環、を形成している、
請求項1〜5のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項7】
'およびR'ならびに該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')によって形成された環系が、RおよびRならびに該RおよびRが結合されている炭素原子(C)によって形成された環系と同じであり、かつ
およびR'がそれぞれ、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖もしくは直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキルまたはメチルを表し、好ましくはRおよびR'が同一である、
請求項1〜6のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項8】
およびRが、該RおよびRが結合されている炭素原子(C)と一緒に、任意的に置換されていてもよい、3〜12の環C原子の炭素環部分であって、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよいものを形成し、かつ
'およびR'が、該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい、3〜12の環C原子の炭素環部分であって、4〜14の環原子を有する他の環系と任意的に縮合されていてもよいものを形成し、かつ
'およびR'ならびに該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')によって形成された環系が、RおよびRならびに該RおよびRが結合されている炭素原子(C)によって形成された環系と同じであり、かつ
およびR'がそれぞれ、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖もしくは直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキルまたはメチルを表す、
請求項1〜7のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項9】
およびR'が同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖もしくは直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C2〜C30の)アルキルを表し、該アルキルが好ましくは(C6〜C30の)アルキル;またはメチルであり、より好ましくはメチルであり、かつ
およびRが、該RおよびRが結合されているC原子と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の単環式または二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは非置換飽和の単環式の(C5〜C8の)炭素環を形成し、
かつ、R'およびR'が、該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の単環式または二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは非置換飽和の単環式の(C5〜C8の)炭素環を形成し、それによって、RおよびRならびにCによって形成された環系が、R'およびR'ならびにC'によって形成された環系と好ましくは同一である、
請求項1〜8のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項10】
、R、R、R'、R'およびR'がそれぞれ独立に、任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)アリール;任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)ヘテロアリール;任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C4〜C14の)シクロアルキル;任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C4〜C14の)ヘテロシクリル;任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の(C1〜C50の)アルキル、好ましくは任意的に置換されていてもよい直鎖の(C1〜C30の)アルキル;任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の(C1〜C50の)アルケニル、または任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の(C1〜C50の)アルキニル、好ましくは直鎖の(C1〜C30の)アルケニルまたは直鎖の(C1〜C30の)アルキニル;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜4のヘテロ原子を含んでいる、任意的に置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖の(C1〜C50の)ヘテロアルキルである、
請求項1〜3のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項11】
、R'、RおよびR'が独立に、非置換直鎖の(C1〜C50の)アルキル、好ましくは(C1〜C30の)アルキル、より好ましくは(C1〜C20の)アルキル、より好ましくはC1〜C12のアルキルから、より好ましくはメチルまたは(C6〜C12の)アルキルから選択されたものである、
請求項10に従う式(I)の化合物。
【請求項12】
およびR'が同じ基であり、かつRおよびR'が同じ基である、
請求項1〜11のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項13】
およびR'が同じであり、それぞれメチルを表し、または
およびR'が同じであり、それぞれ(C6〜C30の)アルキルを表す、
請求項9〜11のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項14】
およびR'が同じであり、それぞれ(C6〜C30の)アルキルを表す、
請求項10〜13のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項15】
およびR'が同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、任意的にN、O、P、SもしくはSiから選択された1〜4のヘテロ環原子を有していてもよい、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の5〜14の環原子の環式ヒドロカルビル;もしくは任意的に置換されていてもよい単環式もしくは多環式の(C5〜C14の)アリール、好ましくは非置換単環式の(C5〜C7の)アリールを表す、または
およびR'が同じまたは異なっており、好ましくは同じであり、それぞれ、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖もしくは直鎖の、好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキルもしくはメチルを表す、
請求項1〜14のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項16】
およびR'が同じであり、それぞれメチルを表し、かつ
およびRが、該RおよびRが結合されているC原子と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の単環式もしくは二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは非置換飽和の単環式の(C5〜C8の)炭素環を形成し、
かつ、R'およびR'が、該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')と一緒に、任意的に置換されていてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和の単環式もしくは二環式の(C4〜C14の)炭素環、好ましくは非置換飽和の単環式の(C5〜C8の)炭素環を形成し、それによって、RおよびRならびにCによって形成された環系が、R'およびR'ならびにC'によって形成された環系と好ましくは同一である、
請求項1〜9、12または15のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項17】
式(II)

(該式で、nは0〜3であり、RおよびR'はそれぞれ独立に、1〜30の炭素原子を有する直鎖アルキル基、好ましくはメチルまたは6〜20、好ましくは6〜12の炭素原子を有する直鎖アルキル基、より好ましくはメチルを表し、かつ該式で、1のまたは双方の環系は独立に、非置換もしくは1〜4の置換基によって任意的に置換されていてもよい。)
の、請求項16に従う化合物。
【請求項18】
およびR'が同じであり、任意的に置換されていてもよい、好ましくは非置換の単環式の(C5〜C7の)アリールを表し、
およびR'が同じであり、双方ともメチルであり、かつ
およびR'が同じであり、双方とも、任意的に置換されていてもよい、分枝鎖または直鎖の(C6〜C50の)アルキル、より好ましくは非置換直鎖の(C6〜C30の)アルキル、たとえば(C6〜C20の)アルキルである、
請求項10〜15のいずれか1項に従う化合物。
【請求項19】
式(III)

(該式で、ArおよびAr'が独立に、1〜4の置換基によって任意的に置換されていてもよい、フェニル、ベンジルまたはナフチル基を表し、
およびR'のそれぞれがメチルであり、かつ、
およびR'のそれぞれが独立に、C6〜30の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12の炭素原子を有する直鎖アルキル基を表す。)
の、請求項18に従う化合物。
【請求項20】
当該任意的な置換基が、−OH、−NR(該式で各Rは独立に、Hまたは(C1〜C12の)アルキルである。)、COR''(該式でR''はとりわけ、H、(C1〜C12の)アルキルまたは−NRであり、該−NRの式で各Rは上記の−NRについて定義された通りである。)、COOR''(該式でRは−COR''について定義された通りである。)、ハロゲン、たとえば−F、−Clもしくは−I、もしくはアルコキシ、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルからそれぞれ独立に選択された、請求項1〜19のいずれか1項に従う式(I)の化合物。
【請求項21】
式(V)

(該式において、
(i) RおよびR'がそれぞれ独立に、H、置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルであり、
およびR'において、当該置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルのそれぞれが、1以上のヘテロ原子を任意的に含んでいてもよく、
およびR'において、当該置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルが、(i)直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、(ii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルを有する、直鎖または分枝鎖の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビル、および(iii)飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルを含み、
およびR'において、当該飽和または部分的に不飽和の環式ヒドロカルビルのそれぞれが独立に、単環式または多環式の環系であり、かつ
およびR'において、当該置換された、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルが、官能基、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、かつ
、R'、RおよびR'がそれぞれ独立に、RおよびR'について上で定義された通りであり、
または
(ii) RおよびR'がそれぞれ独立に、任意的に置換されていてもよい、好ましくは非置換の単環式の(C5〜C7の)アリール、好ましくはフェニルであり、
およびR'において、当該置換された単環式の(C5〜C7の)アリールが、官能基、任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビル、または任意的に官能基を有していてもよい芳香族ヒドロカルビルから選択された1〜4の置換基を独立に含んでおり、かつ
およびR'が同じであり、双方ともメチルであり、かつ
およびR'がそれぞれ独立に、H、RおよびR'について上記の(i)の下に定義された、置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルであり、または
(iii)
およびR'がそれぞれ独立に、H、RおよびR'について上記の(i)の下で定義された、置換または非置換の、飽和または部分的に不飽和のヒドロカルビルであり、かつ
およびRが、該RおよびRが結合されている炭素原子(C)と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分;またはO、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分を形成し、
およびRにおいて、当該炭素環またはヘテロ環が、4〜14の環原子を有する任意的に置換されていてもよい他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
およびRにおいて、当該置換された、炭素環またはヘテロ環の系が、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい、飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルから独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、かつ
'およびR'が、該R'およびR'が結合されている炭素原子(C')と一緒に、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14のC原子、好ましくは5〜12のC原子の炭素環部分;O、N、P、SもしくはSiから選択された1〜6の、好ましくは1〜4のヘテロ原子を含んでいる、非置換もしくは置換の、飽和もしくは部分的に不飽和の3〜14の環原子のヘテロ環部分、を形成し、
'およびR'において、当該炭素環またはヘテロ環の系が、4〜14の環原子を有する任意的に置換されていてもよい他の環系と任意的に縮合されていてもよく、かつ
'およびR'において、当該置換された、炭素環またはヘテロ環の系が、官能基、または任意的に官能基を有していてもよい飽和もしくは部分的に不飽和のヒドロカルビルから独立に選択された1〜4の置換基を含んでおり、
但し、選択肢(i)〜(iii)についての条件として、R、RおよびRのうちの少なくとも2、ならびにR'、R'およびR'のうちの少なくとも2がそれぞれ、Hおよびメチル以外のものである。)
の請求項1に従う化合物。
【請求項22】
選択肢(i)〜(iii)中の置換基R、R、R、R'、R'およびR'が、請求項3〜19のいずれか1項中で当該選択肢(i)〜(iii)にそれぞれ定義された通りである、請求項21に従う、式(V)の化合物。
【請求項23】
ジ(1−メチルシクロペンチル)パーオキシド、
ジ−(1−メチル−1−フェニルウンデシル)パーオキシド、
ジ−(1−メチル−1−フェニルヘプチル)パーオキシド、または
ジ(1−メチル−シクロヘキシル)パーオキシド
のいずれかから選択されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に従う化合物。
【請求項24】
フリーラジカル発生段階において分解生成物へと分解可能である1以上の部分を構造中に有するところのフリーラジカル発生剤として使用される化合物であって、
当該1以上の分解可能な部分が、本明細書中の「GC分析手順」に記載された方法に従って測定されたときに300(重量)ppm未満、好ましくは200(重量)ppm未満、好ましくは100(重量)ppm未満、より好ましくは0〜50(重量)ppmのCH含有量をもたらす化合物、もしくは
当該分解生成物としてのCHへと分解可能である何らかの前記部分を有していない化合物、またはその任意の混合物
のうちの1以上から選択されたものであることを特徴とする化合物。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか1項に従う化合物である、請求項24に従う化合物。
【請求項26】
不飽和ポリマーが、不飽和LDPEホモポリマー、または1以上の多不飽和コモノマー、好ましくは1以上のジエンとのLDPEコポリマーである、請求項1〜25のいずれか1項に従う組成物。
【請求項27】
(1)ポリマー粉体、(2)ポリマーペレット、または(3)ポリマー溶融物の混合物、の形態をしており、当該(1)ポリマー粉体、または好ましくは(2)ポリマーペレットが任意的に容器に納められている、請求項1〜26のいずれか1項に従うポリマー組成物。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に従うポリマー組成物が、該ポリマー組成物中でラジカル反応を開始することによって架橋されているところの、変性されたポリマー組成物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物中でラジカル反応を開始することを含む、ポリマー組成物を架橋する方法。
【請求項30】
請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる1以上の層によって囲まれている導体を含んでいる、架橋性ケーブル。
【請求項31】
請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる絶縁層を少なくとも含んでいる、請求項30に従う架橋性ケーブル。
【請求項32】
絶縁層および任意的な被覆層によって囲まれた導体を含んでいる低電圧ケーブルであって、当該絶縁層が請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる低電圧ケーブル、または
少なくとも内側半導電層、絶縁層および外側半導電層を該順番で含んでいる1以上の層によって囲まれ、さらに任意的な被覆層によって囲まれた電気伝導体を含んでいる電力ケーブルであって、当該層のうちの少なくとも1が請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる電力ケーブル
のいずれかから選択された、請求項30または31に従う架橋性ケーブル。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる少なくとも1の半導電層を含んでいる、請求項30〜32のいずれか1項に従う架橋性ケーブル。
【請求項34】
被覆層と、絶縁層、および当該被覆層によって囲まれた半導電層から選択された任意的な1以上の層と、を含んでおり、当該被覆層が請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる、請求項30〜33のいずれか1項に従う架橋性ケーブル。
【請求項35】
ポリマー組成物を含んでいる1以上の層を導体上に施与する段階を含む架橋性ケーブルを製造する方法であって、当該少なくとも1の層中に請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物が使用されることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項1〜28のいずれか1項に従うポリマー組成物を含んでいる1以上の層を導体上に施与する段階、および
当該少なくとも1の層をラジカル反応によって架橋する段階
を含む、ラジカル反応によってケーブルを架橋する方法。
【請求項37】
請求項36に従う方法によって得られた架橋されたケーブルがさらなる冷却段階に付され、該冷却段階において当該架橋されたケーブルが加圧条件下に冷却され、
そして、任意的に、当該冷却段階後に該架橋され冷却されたケーブルが、
該架橋され冷却されたケーブルが冷却媒体中でさらに冷却される、非加圧の冷却段階、
該架橋されたケーブルが冷却段階後に収集される、好ましくはケーブルドラムに巻かれる、回収段階、
当該冷却および任意的な回収段階から得られた当該架橋されたケーブルから、1もしくは複数の揮発性分解生成物の含有量が、任意的に環境温度もしくは高められた温度で、低減されもしくは除かれる、脱ガス段階、および/または
該架橋され得られたケーブルがさらなる使用のために慣用の様式で仕上げられる、仕上げ段階
から選択された1以上の追加的段階に付される、請求項36に従う方法。
【請求項38】
請求項35または36に従う方法によって得られることができる架橋されているケーブル、好ましくは架橋されている低電圧ケーブル、または架橋されている電力ケーブル。

【公表番号】特表2010−532804(P2010−532804A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515416(P2010−515416)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005641
【国際公開番号】WO2009/007118
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(500224380)ボレアリス テクノロジー オイ (39)
【Fターム(参考)】