説明

両面印刷用塗工紙およびその製造方法

【課題】、両面枚葉印刷機、特にダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機に対応し、印刷ダブりのない両面塗工紙およびその製造方法を提供する。
【解決手段】原料パルプをカナディアンフリーネス500mlCSF以下に叩解し、抄紙速度600m/分以上で抄紙された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工組成物を塗工、乾燥した後、表面仕上げしてなる両面印刷用塗工紙において、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦目/横目)が1.0〜1.6で、J−TAPPI−27(B)に準拠して測定される両面塗工紙の紙流れ方向に対して、横目方向の水浸漬後5分後の伸び率が2.0〜4.0%の範囲にある両面印刷用塗工紙である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面枚葉印刷機、特にダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機に対応し、印刷ダブりのない両面印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷業界は小ロット化、短納期化など厳しい市場環境にあり、その環境に対応すべく生産性、効率性に優れた一度に表裏同時に印刷出来る両面枚葉印刷機の導入が大半を占めるようになった。
両面枚葉印刷機には(1)反転タイプ、(2)タンデムタイプ、(3)ダブルデッキタイプの3種があり、片面ずつ印刷する(1)、(2)タイプの両面枚葉印刷機では、今迄使用していた両面塗工紙(原紙巾方向の中央部と端面部が混載/端面部が紙伸びし易い)で問題なく印刷可能であったが、両面塗工紙の表、裏と交互に印刷する(3)ダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機では湿し水量が(1)、(2)タイプの両面枚葉印刷機より多く、又、表、裏と両面塗工紙の両面に湿し水が付加されるため、湿し水による紙伸びにバラツキが生じ、印刷後の次の印刷胴のブランケットへ転移する位置が異なり印刷ダブリという印刷網点がずれて重なる網点ダブリ(網点太り)問題が発生している。
【0003】
これまでに、原紙または基紙上にポリビニルアルコール塗被層を設けることで得られる塗被紙の乾燥収縮力や透気度、透湿度を調整することで印刷ダブりを抑える方法(特許文献1、2)が開示されているが、塗布されたポリビニルアルコールは乾燥し難く、その上に塗布された塗布液も原紙層への浸透が抑えられるため乾燥し難い課題がある。その結果、塗被する速度を遅くすることで対応することが多く、生産性を大幅に悪化させる原因となっている。本処方は音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率と水浸漬後の伸び率を一定の範囲内に調整すること得られるもので、生産性を悪化させずに生産することができる。
【0004】
また、印刷ダブりの対策として、湿し水付与による紙伸びのバラツキをなくすため、原紙抄造巾の同じ位置で断裁された列判断裁品で対応しているが、取巾の関係ですべて同じ位置で断裁することは操業上困難であり、どの位置でも紙伸びが同じである両面塗工紙の開発が要望されていた。
【特許文献1】特開2000−45199号公報
【特許文献2】特開2003−155692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両面枚葉印刷機、特にダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機に対応し、印刷ダブりのない両面印刷用塗工紙およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の如き事情から、本発明者等は原紙巾方向に均一な紙伸びを持たせることが出来ないか鋭意検討、研究を行った結果、塗工紙のベースとなる原紙の抄造時にワイヤーシェーキング装置を使用、シェーキング強度が1800〜12000で抄造し、原紙の超音波伝播速度比が1.0〜1.6(以下、繊維配向強度と記載)であり、J−TAPPI−27(B)に準拠して測定される両面塗工紙横目方向の水浸漬後5分後の伸び率(以後水中伸度と記載9を2.0〜4.0%に規定することにより、ダブルデッキ両面枚葉印刷機に適した両面塗工紙が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は以下の構成を包含する。
(1)原料パルプをカナディアンフリーネス500mlCSF以下に叩解し、抄紙速度600m/分以上で抄紙された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工組成物を塗工、乾燥した後、表面仕上げしてなる両面印刷用塗工紙において、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦目/横目)が1.0〜1.6で、J−TAPPI−27(B)に準拠して測定される両面塗工紙の紙流れ方向に対して、横目方向の水浸漬後5分後の伸び率が2.0〜4.0%の範囲にある両面印刷用塗工紙。
【0008】
(2)シェーキング強度を1,800〜12,000の範囲で調節するワイヤーシェーキング装置を用いて、ワイヤーを振動させ、抄紙速度600m/分以上で抄紙し、原紙を得る工程と、該原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工し、乾燥して、塗工層を得る工程と、該塗工層の表面を平滑化処理する工程とを有する両面印刷用塗工紙の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、湿し水量が多いダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機でも両面塗工紙の伸びが均一で印刷ダブリが発生しない両面印刷用塗工紙を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機対応両面印刷用塗工紙は抄速600m/分以上の高速抄紙機で原紙を抄造し、該原紙の上へ顔料と接着剤を主成分とする塗工組成物を塗工、乾燥後に表面仕上げを施し、製造することを特徴としており、該抄紙機には従来のワイヤーシェーキング装置とは異なり、振動数や振幅を自在に変更できるワイヤーシェーキング装置(Duo−shake/フォイト社製など)を備え、シェーキング強度1800以上、好ましくは3000以上、より好ましくは3500以上に調節するものである。ここでいうシェーキング強度とは、下記数式1で表されるシェーキングのエネルギーを表す指数であり、値が大きくなるほどシェーキングエネルギーが大きい。シェーキングを行うと抄紙機上でパルプ繊維が再分散され、地合が改善されるだけでなく、抄紙方向に配向されたパルプ繊維をランダム化する。シェーキング強度を1800以上に調節すると、抄速600m/分以上の抄紙機でもダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機対応両面印刷用塗工紙に適した原紙を抄造することができる。因みにシェ−キング強度が1800未満ではダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機に適する繊維配向強度、水中伸度が得ることができない。また、シェーキング強度の上限は特に定めるものでなく、主として抄速などの製造条件やブレストロール重量などの設備で制約されるものであるが、シェーキング強度6000程度が上限と考えている。

I = f × s / V ・・・・(数式1)
I: シェーキング強度
f: 振動周波数 (回/分)
s: 振幅 (mm)
V: 抄造速度 (m/分)
【0011】
また、本発明者らはシェーキング条件を種々検討した結果、ダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機用両面印刷用塗工紙としては同一のシェーキング強度のときでも振幅を大きくするほうが振動周波数を大きくするよりも適しており、振幅を10mm以上、好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上に調節すると繊維配向強度、水中伸度に優れることを見出した。
振動周波数は設備能力によってシェーキング強度の上限が決まっており、振幅を決めるとおのずと振動周波数の最大値も決まるものであるが、300〜500回/分の範囲で調節されるのが望ましい。
【0012】
ダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機用両面印刷用塗工紙に適した特性を鋭意検討した結果、原紙の繊維配向強度を1.6以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0〜1.4に、両面塗工紙製品の水中伸度が4.0%以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0〜2.5なるよう調節するとダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機の網点ダブリ対策に優れることを見出した。水中伸度が4.0%を超えると、紙の伸びが大きくなり印刷時にダブリが発生する。また、紙の特性として水中伸度を2.0%以下とすることは困難である。繊維配向強度や水中伸度を調節する方法としては、シェーキング装置だけでなく、紙料のワイヤーへの流出速度とワイヤー速度の比(俗称として、J/W比=ジェット/ワイヤー比と呼んでいる)やヘッドボックスL/b値なども抄紙機の最適条件に調整することで得られるものである。
【0013】
原紙を形成するセルロース繊維原料としては、例えば、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、あるいは、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これら単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0014】
本発明では前記パルプの単独ものも又は混合したものをカナディアンフリーネス500mlCSF以下に叩解して用いる。強度向上のためには叩解を進めることが好ましいが、伸縮性が大きくなり、印刷ダブりが起こりやすくなる、本発明のワイヤーシーキング装置を用いることにより叩解を進めたパルプであっても繊維の配向が調整され、伸縮性が抑えられる。
【0015】
本発明の原紙には、填料として必要に応じて、一般に紙に用いられる各種の填料、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、無定形シリケート、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、スチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂並びにそれらの微小中空粒子等の有機系填料を添加してもよい。
【0016】
本発明の原紙の内添サイズとしては、ロジンエマルジョン等のロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、無水ステアリン酸系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、ワックス系サイズ剤、あるいはカチオン性合成サイズ剤等がある。また、表面サイズ剤としては、例えば各種の澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、アクリル酸エステル、ラテックスやα−オレフィン無水マレイン酸共重合体、スチレンアクリル系共重合体、あるいは高級脂肪酸系等の合成サイズ剤やカチオン性合成サイズ剤等が例示できる。紙料中には、必要に応じて、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の各種抄紙用内添助剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を適宜添加できる。抄紙pH条件についても、特に限定されるものでなく、酸性、アルカリ性抄紙のいずれであってもよい。本発明ではワイヤーシェーキングを行うことに特徴を有していることから、長網式抄紙機やオントップフォーマーなどの抄紙機を用い、原紙米坪30〜200g/m程度の原紙が製造され、通常、オンマシンの状態で表面サイジングが施される。
【0017】
なお、表面サイズ剤を原紙の表面にサイジングする方法については特に限定されるものではなく、例えばツーロールまたはロッドメタリング式のサイズプレス、ゲートロール、ビルブレード、ショートドウェルコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーターやスプレー等の各種装置を適宜使用できる。
【0018】
本発明におけるダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機対応両面印刷用塗工紙は、特に高級な印刷仕上がりを目的とすることから、印刷適性を有する顔料塗工層を設け、塗工層表面の光沢度および平滑性を上げることが重要である。塗工層を構成する顔料としては、例えばクレ−、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、プラスチックピグメント等の塗工紙用として一般に使用されている顔料が使用される。
【0019】
また、上記顔料と共に塗被層に用いられる接着剤としては、例えばカゼイン、大豆蛋白等の蛋白質;スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリルレ−ト・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル系重合体ラテックス;あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ溶解性或いはアルカリ非溶解性の重合体ラテックス;ポリビニルアルコ−ル、オレフィン・無水マレイン酸樹脂、メラニン樹脂等の合成樹脂系接着剤;酵素変性澱粉や酸化変性澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体等の如き通常の塗工紙用接着剤の一種以上が適宜選択して使用される。一般に接着剤総量としては、顔料100重量部に対して5〜40重量部程度であり、通常は10〜35重量部の範囲で調節される。
【0020】
また、上記の如き、顔料と接着剤を主成分とする塗工組成物中には、必要に応じて消泡剤、着色剤、流動変性剤等の各種助剤が適宜添加されるが、塗工層の固化を促進する助剤として、例えばアミン、アミド、ポリアクリルアミン等や亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の多価金属の塩を顔料100重量部に対して0.1〜10重量部程度添加することもできる。
【0021】
上記組成からなる塗工組成物は、一般の塗工紙製造に用いられる、例えばブレ−ドコ−タ−、エア−ナイフコ−タ−、ロ−ルコ−タ−、ブラシコ−タ−、カ−テンコ−タ−、チャンプレックスコ−タ−、バ−コ−タ−、グラビアコ−タ−、サイズプレスコ−タ−、等の塗工装置を設けたオンマシンあるいはオフマシンコ−タ−によって原紙上に一層或いは多層に分けて塗工される。その際の塗工組成物の固形分濃度は、一般に40〜75重量%程度であるが、操業性等を考慮すると45〜70重量%の範囲が好ましい。塗工層の塗工量としては片面当り5〜30g/m、品質や操業性等を考慮すると8〜25g/mの範囲が好ましい。
【0022】
また、湿潤塗被層を乾燥する方法としては、従来から知られている蒸気加熱、熱風加熱、ガスヒ−タ−加熱、電気ヒ−タ−加熱、赤外線ヒ−タ−加熱、高周波加熱、レ−ザ−加熱、電子線加熱等各種の方式が適宜採用できる。
【0023】
かくして、上記の如く原紙上に塗工層を塗工されたダブルデッキタイプの両面枚葉印刷機対応両面印刷用塗工紙は、塗工層が乾燥した後で、平滑化処理などの表面仕上げを施すのが好ましく、平滑化装置として、例えばス−パ−キャレンダ−、グロスキャレンダ−等の金属ロ−ルやドラムと弾性ロ−ルよりなる各種キャレンダ−がオンマシンやオフマシンの仕様で適宜用いられる。キャレンダ−のニップに入る前の塗被紙の水分は、3〜10%程度が好ましく、キャレンダ−の仕上げ速度は、紙の米坪、品種等によって大きく異なるが、一般に100〜1300m/分程度の範囲で調節される。また、表面仕上げの方法としては、ウェットキャスト法やリウェットキャスト法、ゲル化キャスト法などの塗工層が湿潤状態にある間にキャストドラムに圧接して光沢仕上げを施してもよい。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」のことである。
【0025】
実施例1
パルプとしてNBKP10%(フリーネス/CSF=480ml)、LBKP90%(CSF=460ml)を用い、この混合パルプにアルケニル無水コハク酸系サイズ剤0.02%(ファイブラン81K/荒川化学工業製)、硫酸バンド0.5%、填料として自製炭酸カルシウム10%を添加してパルプスラリーを調製し、オントップフォーマーを用いて中性抄紙により抄速650m/分で原紙を抄造した。なお、このときの条件としてはJ/W比を0.990とし、ワイヤーシェーキングを振幅24mm、振動周波数 350回/分(シェーキング強度 4,523)に設定した。他方、このときの原紙にオンマシン仕様の2ロールサイズプレス装置で表面サイズ処理を行った。即ち、酵素変性澱粉5%およびスチレン・メタクリル酸共重合体系表面サイズ剤(ポリマロン1308S/荒川化学工業製)0.02%よりなるサイズプレス液を固形分で2.2g/mとなるように塗布し、米坪65g/mの原紙を得た。なお、この原紙の繊維配向強度は1.29、横目の5分後の水中伸度は2.45であった。
【0026】
次いで、重質炭酸カルシウム(商品名;FMT−90/ファイマテック社製)100部、酸化変性澱粉(商品名;エースA/王子コンス社製)10部(固形分)、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名;T−2581A/JSR社製)5部からなる固形分濃度が65%の下塗り塗工組成物液を調製し、上塗り塗工組成物としてカオリン(商品名;UW−90/エンゲルハード社製)60部、重質炭酸カルシウム(商品名;FMT−90/ファイマテック社製)40部、酸化変性澱粉(商品名;エースA/王子コンス社製)3部(固形分)、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名;T−2581A/JSR社製)12部からなる固形分濃度が65%の塗工組成物液を調製した。この塗工組成物液を上記で得た原紙の片面に乾燥後の塗工量(下塗り/上塗り)が10/10g/mとなるようにブレードコ−タ−を用いて両面塗工、乾燥した後、スーパーキャレンダーにより平滑化処理をして米坪104.7g/mの両面印刷用塗工紙を得た。
【0027】
実施例2
抄速800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅24mm、振動周波数 350回/分(シェーキング強度3,675)とした以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0028】
実施例3
抄速800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅17mm、振動周波数 350回/分(シェーキング強度2,603)とした以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0029】
実施例4
抄速800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅12mm、振動周波数 400回/分(シェーキング強度2,400)とした以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0030】
実施例5
抄速を800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅9mm、振動周波数 550回/分(シェーキング強度3,403)とした以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0031】
比較例1
抄速を800m/分とし、ワイヤーシェーキングを行わなかった以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0032】
比較例2
抄速を800m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅 9mm、振動周波数 185回/分(シェーキング強度385)とした以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0033】
比較例3
抄速を650m/分とし、ワイヤーシェーキング条件を振幅9mm、振動周波数 250回/分(シェーキング強度865)とした以外は実施例1と同様の方法で両面印刷用塗工紙を得た。
【0034】
実施例1〜5および比較例1〜3で得られた両面塗工紙について、以下のように評価し、その評価結果を表1に示した。
【0035】
・超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率
野村商事製SST−3000(Sonic Sheet Tester)で原紙の超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率を測定した。
【0036】
・紙の水中伸度
熊谷理機工業製フェンチェル伸縮度試験機を使用し、J−TAPPI−27(B)に準拠して、5分後の紙の伸び率を測定した。
伸び率の少ない方が、紙伸びが少ない。
【0037】
・網点ダブリ評価
1)菊判 縦目両面塗工紙 104.7g/mをダブルデッキ型の両面枚葉印刷機 1,000枚/時で印刷した後、印刷終わり部(咥え尻部)の墨部の網点の大きさをMHIソリューションテクノロジー社製印刷ダブリ測定装置を用いて測定した。
網点大きさが大きいほど、網点ダブリが大きい。
【0038】
2)上記印刷物を15倍ルーペにより官能評価を実施した。
〇:網点ダブリが全くない。
△:網点ダブリが若干観られる。
×:網点ダブリほとんど観られる。
【0039】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料パルプをカナディアンフリーネスで500mlCSFml以下に叩解し、抄紙速度600m/分以上で抄紙された原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工組成物を塗工、乾燥した後、表面仕上げしてなる両面印刷用塗工紙において、音速法によって測定される超音波伝播速度の縦方向と横方向の比率(縦目/横目)が1.0〜1.6で、J-TAPPI−27(B)に準拠して測定される両面塗工紙の紙流れ方向に対して、横目方向の水浸漬後5分後の伸び率が2.0〜4.0%の範囲にあることを特徴とする両面印刷用塗工紙。
【請求項2】
シェーキング強度を1,800〜12,000の範囲で調節するワイヤーシェーキング装置を用いて、ワイヤーを振動させ、抄紙速度600m/分以上で抄紙し、原紙を得る工程と、該原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工し、乾燥して、塗工層を得る工程と、該塗工層の表面を平滑化処理する工程とを有することを特徴とする両面印刷用塗工紙の製造方法。

【公開番号】特開2008−261066(P2008−261066A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103367(P2007−103367)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】