説明

両面粘着テープ及び両面粘着テープを用いた接着方法

【課題】接着面に凹凸や屈曲部等が存在していても十分な接着強度を得て必要な水密性を確保できるようにし、さらに、分別が必要な場合に両面粘着テープがちぎれるのを防止して剥がし易くする。
【解決手段】両面粘着テープ1は、基材2の両面に粘着剤組成物からなる粘着層3,4が設けられている。粘着剤組成物は、熱可塑性エラストマー系粘着剤又はアクリル系粘着剤である。粘着層3,4の厚みは、70μm以上に設定されている。基材2は、ソリッドフィルムである。基材2の引張破断強度は、80MPa以上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種部材の接着を行う際に使用される両面粘着テープ及び両面粘着テープを用いた接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、フラットパネルディスプレイや家電製品、工業用電気製品等を構成する部材の接着(以下、仮に接着しておく場合の仮接着も含む)、住宅設備機器を構成する部材の接着、文具製品を構成する部材の接着にあたっては両面粘着テープが用いられることがある。
【0003】
この種の両面粘着テープは、例えば特許文献1、2に開示されているように、基材の両面に粘着剤組成物が積層されている。これら特許文献の両面粘着テープの基材は発泡体で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−18229号公報
【特許文献2】特開2010−260880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被着部材の接着面には、凹凸が存在している場合がある。このような接着面に両面粘着テープを貼り付けたとしても、有効に接着できる部分の面積を十分に確保できず、接着強度が低くなることがあるとともに、高い水密性が必要な場合に水の浸入や水漏れが起こることがある。
【0006】
また、被着部材の廃棄時や再利用時には分別する必要があるが、特許文献1、2の両面粘着テープのように発泡体からなる基材を用いていると、両面粘着テープを剥がそうとして引っ張った際に基材が破断して両面粘着テープが途中でちぎれてしまい、剥がしにくいという問題もある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接着面に凹凸が存在していても十分な接着強度を得て必要な水密性を確保できるようにし、さらに、分別が必要な場合に両面粘着テープがちぎれるのを防止して剥がし易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、粘着剤組成物からなる粘着層の厚みを厚くして接着面に追従して変形可能にするとともに、力が加わった際に粘着層に発生する応力を低減できるようにし、さらに、基材をソリッドフィルムからなるものとして引張破断強度を向上させた。
【0009】
第1の発明は、基材の両面に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられた両面粘着テープにおいて、上記粘着剤組成物は、熱可塑性エラストマー系粘着剤又はアクリル系粘着剤であり、上記粘着層の厚みは、70μm以上に設定され、上記基材は、ソリッドフィルムであり、上記基材の引張破断強度は、80MPa以上に設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
この構成によれば、粘着層の厚みが70μm以上あるので、被着部材の接着面に多少の凹凸が存在していても、その接着面の形状に沿うように粘着層が変形して追従する。これにより、有効に接着できる部分の面積が十分に確保されて、接着強度が向上する。また、高い水密性が必要な場合に水の浸入や水漏れが抑制される。
【0011】
そして、被着部材を接着した後、両面粘着テープに力が加わった際には、粘着層の厚みが70μm以上あるので、粘着層の厚みが70μmよりも薄い場合に比べて粘着層の内部に発生する応力が分散し易く、緩和されることになる。これにより、高い接着強度が維持される。
【0012】
さらに、基材の引張強度が80MPa以上であるため、被着部材を分別する際に両面粘着テープを引っ張って剥がす際に両面粘着テープが途中でちぎれることはない。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、粘着層と基材との少なくとも一方にはレーザー吸収剤が混合され、上記粘着層は加熱により軟化又は溶融するように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
この構成によれば、粘着層にレーザー吸収剤が混合されている場合に両面粘着テープにレーザー光を照射すると、レーザー光が粘着層のレーザー吸収剤に吸収されて粘着層が加熱されることになる。これにより、粘着層が軟化又は溶融するので、接着面への密着性が高まり、接着強度がより一層向上する。
【0015】
また、基材にレーザー吸収剤が混合されている場合に両面粘着テープにレーザー光を照射すると、レーザー光が基材のレーザー吸収剤に吸収されて基材が発熱する。基材の熱は粘着層に伝達し、粘着層が加熱されることになる。これにより、接着強度がより一層向上する。
【0016】
さらに、基材をソリッドフィルムからなるものとしているので、従来の発泡体の場合に比べて基材の熱伝導性が高くなり、レーザー光による発熱が両方の粘着層に伝わりやすくなる。
【0017】
第3の発明は、基材の両面に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられた両面粘着テープを用いて第1部材と第2部材とを接着する接着方法において、上記粘着剤組成物を熱可塑性エラストマー系粘着剤又はアクリル系粘着剤とし、上記粘着層の厚みを70μm以上に設定し、上記基材をソリッドフィルムとし、該基材の引張破断強度を80MPa以上に設定しておき、上記両面粘着テープの一方の粘着層を上記第1部材の接着面に貼り付け、他方の粘着層を上記第2部材の接着面に貼り付けることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、粘着層の厚みが70μm以上あるので、第1部材や第2部材の接着面に多少の凹凸が存在していても、その接着面の形状に沿うように粘着層が変形して追従する。これにより、有効に接着できる部分の面積を十分に確保して、接着強度が向上する。また、第1部材と第2部材との間に高い水密性が必要な場合に水の浸入や水漏れが抑制される。
【0019】
そして、第1部材と第2部材との接着後、両面粘着テープに力が加わった際には、粘着層の厚みが70μm以上あるので、粘着層の内部に発生する応力は分散し、緩和される。これにより、高い接着強度が維持される。
【0020】
さらに、基材の引張強度が80MPa以上であるため、第1部材と第2部材とを分別する際に両面粘着テープが途中でちぎれることはない。
【0021】
第4の発明は、第3の発明において、粘着層と基材との少なくとも一方にはレーザー吸収剤を混合し、該粘着層は加熱により軟化又は溶融するように構成し、両面粘着テープにレーザー光を照射して粘着層を軟化又は溶融させて第1部材と第2部材とを接着することを特徴とするものである。
【0022】
この構成によれば、レーザー光により粘着層を軟化又は溶融させて接着強度をより一層向上させることが可能になる。さらに、基材をソリッドフィルムからなるものとして基材の熱伝導性を高くしたので、レーザー光による発熱が両方の粘着層に伝わりやすくなる。
【0023】
第5の発明は、第4の発明において、第1部材はレーザー光を透過するレーザー光透過性を有し、レーザー光を第1部材側から両面粘着テープに向けて照射することを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、レーザー光は第1部材を透過して両面粘着テープに達し、両面粘着テープのレーザー光吸収剤に吸収される。これにより、粘着層を確実に軟化又は溶融させることが可能になる。
【0025】
第6の発明は、第3の発明において、第2部材はレーザー光を透過させないレーザー光非透過性を有し、レーザー光を第2部材側から両面粘着テープに向けて照射することを特徴とするものである。
【0026】
この構成によれば、第2部材がレーザー光により加熱される。第2部材には両面粘着テープが貼り付けられているので、第2部材の熱は両面粘着テープに伝達する。そして、両面粘着テープの粘着層が加熱され、軟化または溶融する。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、粘着層の厚みを70μm以上としたので、接着面に凹凸が存在していても十分な接着強度を得て必要な水密性を確保できる。さらに、基材がソリッドフィルムからなり、その引張破断強度を80MPa以上としたので、分別が必要な場合に両面粘着テープが途中でちぎれるのを防止して剥がし易くできる。
【0028】
第2の発明によれば、粘着層と基材との少なくとも一方にレーザー吸収剤を混合し、粘着層を加熱により軟化又は溶融させるようにしたので、接着強度をより一層向上できる。また、基材をソリッドフィルムとしていることで基材の熱伝導性が高くなり、レーザー光による発熱が両方の粘着層に伝わりやすくなり、よって、レーザー光のエネルギを粘着層の軟化又は溶融のために効果的に利用できる。
【0029】
第3の発明によれば、第1の発明と同様に、接着面に凹凸が存在していても十分な接着強度を得て必要な水密性を確保でき、また、分別が必要な場合に両面粘着テープが途中でちぎれるのを防止して剥がし易くできる。
【0030】
第4の発明によれば、第2の発明と同様に、接着強度をより一層向上できるとともに、レーザー光のエネルギを粘着層の軟化又は溶融のために効果的に利用できる。
【0031】
第5の発明によれば、被着部材である第1部材がレーザー光透過性を有するものであり、レーザー光を第1部材側から照射するようにしたので、両面粘着テープの粘着層を確実に軟化又は溶融させることができ、接着強度をより一層向上できる。
【0032】
第6の発明によれば、レーザー光非透過性を有する第2部材側からレーザー光を照射するようにしたので、両面粘着テープにレーザー吸収剤を混合していなくても、粘着層を軟化又は溶融させることができ、接着強度をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態にかかる両面粘着テープの拡大断面図である。
【図2】2つの部材を両面粘着テープで接着する前の状態を示す分解図である。
【図3】2つの部材を接着した状態を示す図2相当図である。
【図4】実施例にかかる図2相当図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】実施例にかかる両面粘着テープの平面図である。
【図7】接着強度試験の方法を説明する図である。
【図8】接着強度試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
図1は、本発明にかかる両面粘着テープ1の断面を拡大して示すものである。この両面粘着テープ1は、例えば、フラットパネルディスプレイや家電製品、工業用電気製品等を構成する部材の接着、住宅設備機器を構成する部材の接着、文具製品を構成する部材の接着、自動車部品を構成する部材の接着等に用いることができるものである。これら部材を接着する場合、両面粘着テープ1のみで接着することや、両面粘着テープ1で仮に接着しておくこと(仮接着)も可能であり、これら両方の場合に本両面粘着テープ1を用いることができる。
【0036】
尚、両面粘着テープ1は、上記した部材以外にも、各種部材を接着又は仮接着することができるものであり、その用途は広い。
【0037】
両面粘着テープ1は、ソリッドフィルムからなる基材2と、基材2の一方側の面に積層された粘着剤組成物からなる第1粘着層3と、基材2の他方側の面に積層された粘着剤組成物からなる第2粘着層4とを備えている。そして、図2及び図3に示すように、両面粘着テープ1は、第1部材10と第2部材20とを接着する際に用いられ、詳細は後述するが、接着する際には、レーザー光Lを照射して第1粘着層3及び第2粘着層4を軟化又は溶融させる。
【0038】
基材2は、引き裂き強度、即ち引張破断強度の高い材料で構成されている。ソリッドフィルムとは、内部に気泡が無いフィルムのことである。
【0039】
基材2を構成する材料として、例えば、PVC(塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PA(ポリアミド)、TAC(トリアセタール)等が挙げられる。
【0040】
基材2の厚みは、5μm以上100μm以下が好ましく、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0041】
基材2の厚みを上記のように設定している理由について説明する。本発明者らが、基材2の厚みを様々に変化させて両面粘着テープ1を試作して実験した結果によれば、基材2の厚みが5μmよりも薄いと、5μm以上の場合に比べて基材2の引張破断強度が十分でなくなり、例えば第1部材10に貼り付けた両面粘着テープ1を剥離しようとした時に基材2が破断して両面粘着テープ1が途中でちぎれてしまい、両面粘着テープ1を剥離し難くなるからである。これは、主に第1部材10等の廃棄時や再利用時に問題となる。
【0042】
また、基材2の厚みが100μmよりも厚いと、両面粘着テープ1が全体として厚くなり過ぎて実用上使用し難くなるからである。また、基材2の厚みが100μmよりも厚いと、100μm以下の場合に比べて、両面粘着テープ1に対し第1粘着層3側(又は第2粘着層4側)からレーザー光Lを照射した時に、基材2が断熱効果を持ってしまい、照射側とは反対側の第2粘着層4(又は第1粘着層3)まで熱が伝わり難くなり、溶融や軟化が不十分になるからである。また、基材2が70μmよりも厚いと、接着面の形状に追従し難くなる。
【0043】
基材2における第1粘着層3側の面及び第2粘着層4側の面には、粘着剤組成物との接着性を向上させるための接着性向上処理を施してもよい。接着性向上処理の種類としては、例えば、各種易接着処理、コロナ放電処理、フレーム処理、UV処理等が挙げられる。
【0044】
基材2の引張破断強度は、80MPa以上に設定されている。基材2の引張破断強度は、好ましくは100MPa以上である。
【0045】
引張破断強度は、JIS K6251−1993に基づいて行った試験結果から得られた値である。すなわち、基材2をダンベル状3号形に抜き、引張速度500mm/分で引っ張ったときの破断強度を基材2の断面積で除した値を引張破断強度としている(次式参照)。
【0046】
引張破断強度(MPa)=破断強度(N)/基材2の断面積(mm
ここで、基材2の断面積(mm)=基材2の厚さ(μm×10−3)×基材2の幅(5mm)である。
【0047】
基材2の引張破断強度が80MPaよりも低いと、80MPa以上の場合に比べて、例えば第1部材10に貼り付けた両面粘着テープ1を剥離する場合に引張強度が不足して破断し、両面粘着テープ1が途中でちぎれてしまうからである。基材2に80MPa以上の引張破断強度があれば、第1粘着層3及び第2粘着層4の粘着力を高めて両面粘着テープ1の用途を広げても、両面粘着テープ1を剥離する場合に基材2の破断を防止できる。
【0048】
基材2の密度は、0.9g・m3以上が好ましい。基材2の密度としてさらに好ましいのは1.0g・m3以上である。基材2の密度の上限としては、例えば、3.0g・m3以下である。
【0049】
基材2の密度が0.9g・m3よりも小さいと、0.9g・m3以上の場合に比べて熱伝導率が低くなり、例えば両面粘着テープ1に対し第1粘着層3側からレーザー光を照射した時に、照射側とは反対側の第2粘着層4まで熱が伝わり難くなる。第2粘着層4側からレーザー光Lを照射した場合も同様である。
【0050】
また、基材2の密度が0.9g・m3以上であれば、0.9g・m3よりも小さい場合に比べて耐水性の高い基材2となる。従って、例えば従来のように比重の低い発泡体を基材とした場合や不織布を基材とした場合に比べて、水が浸透し難くなり、十分な水密性が長期間に亘って安定して得られるようになる。
【0051】
また、基材2の熱伝導率は、1×10−2W/Mk以上が好ましい。基材2の熱伝導率が1×10−2W/Mkよりも低いと、例えば両面粘着テープ1に対し第1粘着層3側からレーザー光Lを照射した時に、照射側とは反対側の第2粘着層4まで熱が伝わり難くなるからである。第2粘着層4側からレーザー光Lを照射した場合も同様である。
【0052】
また、基材2は、上記のように密度が高く強度も十分なので腰が強く形状維持性の高いものとなる。従って、両面粘着テープ1を任意の形状に加工する場合、例えば打ち抜き加工を行った際にきれいに打ち抜くことができる。つまり、打ち抜き加工性に優れる。さらに、所定形状に打ち抜き加工された両面粘着テープ1も腰が強く形状維持性が高いので、第1部材10や第2部材20への貼り付けが容易で貼り付け作業性が良好になる。このため、両面粘着テープ1を機械で自動的に貼り付けていく、いわゆる貼り付け作業の機械化も容易である。
【0053】
第1粘着層3及び第2粘着層4の粘着剤組成物は、互いに同じであっても異なっていてもよく、熱可塑性エラストマー系粘着剤又はアクリル系粘着剤で構成されている。従って、第1粘着層3及び第2粘着層4を加熱すると、粘着剤組成物は軟化し、さらに温度を上げると溶融する。
【0054】
熱可塑性エラストマーとしては、SIS(スチレン・イソプレンブロックポリマー)、SBS(スチレン・ブタジェンブロックポリマー)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレンブロックポリマー)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、イソプレン系エラストマー、フッ素系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アクリル系のエラストマーや非晶性PE系エラストマーなどが挙げられる。
【0055】
また、アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを必須の単量体成分(単量体主成分)とし、必要に応じて、これと共重合可能な共重合性単量体(極性基含有単量体や多官能性単量体など)を重合(または共重合)したアクリル系ポリマーをベースポリマー(主剤)とする粘着剤を用いることができる。重合方法としては、特に限定されず、UV重合法、溶液重合法またはエマルジョン重合法などの当業者にとって公知の手法を用いることができる。
【0056】
上記アクリル系ポリマーの単量体主成分として用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2-10アルキルエステルなどが挙げられる。使用する架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリン系架橋剤、多官能アクリレート系等が挙げられる。その中でも、(メタ)アクリル系共重合体との反応性に富むイソシアネート系架橋剤、または、光照射で架橋可能な多官能アクリレート系架橋剤が好ましい。
【0057】
粘着剤組成物の分子量を好適な範囲に調整する手段として、各種添加剤を添加する方法が挙げられる。
【0058】
上記粘着剤組成物に粘着性を付与する粘着付与添加剤としては、水添ロジンエステル、水添テルペンフェノール、極性脂肪族飽和炭化水素樹脂、アクリル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、無色透明な極性脂肪族飽和炭化水素樹脂や水添テルペンフェノールが好ましい。
【0059】
上記粘着剤組成物には、レーザー光Lを吸収するレーザー吸収剤が混合されている。レーザー光吸収剤としては、例えば、有機染料や有機顔料、市販のレーザー光吸収材やカーボンブラック等が挙げられる。レーザー光吸収性(吸収率)は、レーザー光吸収剤の種類や配合量によって任意に設定することができる。
【0060】
上記粘着剤組成物には、必要に応じて性能を阻害しない範囲で酸化防止剤、充填剤、増粘剤等を添加してもよい。
【0061】
第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みは同じであるか、下記に示すように両粘着層3,4とも70μm以上に設定されている。具体的には、70μm以上200μm以下の範囲で設定するのが好ましく、より好ましくは90μm以上150μm以下の範囲である。
【0062】
第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いと、70μm以上の場合に比べて、レーザー光Lを照射して第1粘着層3及び第2粘着層4を溶融又は軟化させても、第1部材10や第2部材20の接着面10a,20aに存在する凹凸に十分に追従するように変形しにくいためである。第1粘着層3及び第2粘着層4が接着面10a,20aに追従しないと、接着強度、水密性とも得られ難くなる。
【0063】
また、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いと、接着後に第1及び第2部材10,20を落とした場合のような衝撃を受けた際に凝集破壊が起こりやすくなるからである。すなわち、第1及び第2部材10,20が衝撃を受けると、その接合部分に位置する両面粘着テープ1の第1粘着層3及び第2粘着層4に応力が発生する。第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いと、第1粘着層3及び第2粘着層4に応力が発生した際に分散、緩和され難く、凝集破壊が起こりやすく、一方、70μm以上であれば、応力が厚み方向に分散されて緩和され易く凝集破壊が起こりにくい。
【0064】
第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが200μmよりも厚いと、両面粘着テープ1が厚くなり過ぎて、例えば両面粘着テープ1に対し第1粘着層3側からレーザー光を照射した時に、照射側とは反対側の第2粘着層4の全体に熱が伝わり難くなる。また、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが200μmよりも厚いと、両面粘着テープ1が厚くなり過ぎて、実用上使用し難くなるとともに、屈曲面に沿わせて貼り付けるのが難しくなる。
【0065】
次に、両面粘着テープ1の製造要領について説明する。基材2を用意しておき、この基材2の両面に上記粘着剤組成物を塗布する。粘着剤組成物を基材2に塗布する方法としては、コンマコータ、ロールコータ、ダイコータ、フローコータ、ホットメルトコータ等を用いることができる。本実施形態では、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μm以上であるので、上記したコータを用いる方法が好ましいが、この厚みを確保できる方法であれば、上記以外の方法を用いてよい。また、これら方法に限られるものではなく、例えば、離型フィルムの上に粘着剤組成物を塗布し、これを基材2に転写して第1粘着層3及び第2粘着層4とすることもできる。
【0066】
また、溶剤に粘着組成物を溶解したものや紫外線硬化型粘着組成物を基材2に塗布し、乾燥させて第1粘着層3及び第2粘着層4とすることもできる。乾燥は、例えば、熱風乾燥炉を用いることや、紫外線照射による場合には紫外線照射機を用いることができる。
【0067】
次に、第1部材10及び第2部材20について説明する。第1部材10及び第2部材20の形状や大きさは特に限定されるものではなく、材質は、樹脂であってもよいし、金属であってもよい。
【0068】
第1部材10及び第2部材20を樹脂で構成する場合には、透明なPMMA、PC、塩化ビニル、PET、PS(ポリスチレン)や、結晶性が高く白濁しているPP、POM(ポリアセタール)、PA、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、ABS(アクリルニトリル・スチレン・ブタジェン共重合)等が挙げられる。第1部材10及び第2部材20を樹脂で構成する場合には、熱硬化性インキや紫外線硬化性インキを塗布してもよいし、各種コーティングを施してもよい。また、金属や金属酸化物の蒸着面を形成したり、メッキ面等を形成してもよい。
【0069】
第1部材10及び第2部材20を金属で構成する場合には、スチール、亜鉛、AL(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、SUS(ステンレス)等がある。第1部材10及び第2部材20は、ガラスや、セラミック等で構成してもよい。
【0070】
また、第1部材10及び第2部材20は互いに異なる材料で構成してもよいし、同じ材料で構成してもよい。
【0071】
次に、両面粘着テープ1を用いて第1部材10と第2部材20とを接着する要領について説明する。この実施形態では、第1部材10を、レーザー光Lの透過性を有するレーザー光透過性の材料で構成している。具体的には、無色透明であり、レーザー光透過性とは、加熱源としてのレーザー光Lを殆ど反射も吸収もせずに透過させるか、レーザー光Lを一部透過及び/又は反射しても溶融することなく、残りのレーザー光Lを透過させることのできる性質をいい、レーザー光Lの全てを透過させるものも含む。
【0072】
また、第2部材20は、この実施形態ではレーザー光非透過性を有するものとするが、レーザー光透過性を有していてもよい。レーザー光非透過性とは、レーザー光Lを吸収するレーザー光吸収性のことであり、加熱源としてのレーザー光Lを一部透過及び/又は反射しても残りを吸収する性質をいい、レーザー光Lの全てを吸収するものも含む。
【0073】
まず、両面粘着テープ1の第1粘着層3を第1部材10の接着面10aに貼り付けた後、第2粘着層4を第2部材20の接着面20aに貼り付ける。尚、両面粘着テープ1の第1粘着層3を第2部材20の接着面20aに貼り付けた後、第2粘着層4を第1部材10の接着面10aに貼り付けるようにしてもよい。
【0074】
その後、第1部材10側からレーザー光Lを照射する。レーザー光Lは第1部材10を透過して両面粘着テープ1に達して一部が第1粘着層3に吸収され、残りは基材2や第2粘着層4に吸収される。
【0075】
レーザー光Lを吸収した第1粘着層3は発熱して軟化又は溶融する。第1粘着層3を軟化させるか溶融させるかは、レーザー光Lの出力や走査速度等によって選択できる。軟化又は溶融した第1粘着層3は、第1部材10の接着面10aに沿うように変形する。このとき、第1粘着層3の厚みが70μm以上に設定されているので、第1部材10の接着面10aに凹凸が存在していてもその形状に追従するように変形して接着面積が十分に確保される。
【0076】
また、第1粘着層3の熱は、基材2に伝達した後、第2粘着層4に伝達する。このとき、基材2がソリッドフィルムで、その熱伝導率が1×10−2W/Mk以上であるので、第1粘着層3の熱は第2粘着層4にまで達しやすくなる。これにより第2粘着層4も軟化又は溶融して、第2部材20の接着面20aに沿うように変形する。尚、基材2は、第1粘着層3が溶融する温度では溶融しないように溶融点が設定されている。
【0077】
レーザー光Lの照射後、両面粘着テープ1を常温近傍まで冷却することで所期の接着強度が得られる。
【0078】
第1部材10と第2部材20とを接着した状態で、例えば落下させて衝撃を受けた場合には、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μm以上であるため、応力が厚み方向に分散されて緩和される。さらに、基材2の引張破断強度が80MPa以上であるため、基材2の破断が抑制される。これらのことにより、第1部材10や第2部材20の離脱が防止される。
【0079】
また、廃棄時や再利用のために第1部材10と第2部材20と分別する必要がある場合には、強い力を加えることで第1部材10と第2部材20とが分離する。そして、第1部材10と第2部材20との一方の部材に付着した両面粘着テープ1を持って剥離方向に力を加えていくことで、基材2が破断することなく、両面粘着テープ1を容易に剥がすことができる。
【0080】
以上説明したように、この実施形態によれば、第1及び第2粘着層3,4の厚みを70μm以上としたので、接着面10a,20aに凹凸が存在していても十分な接着強度を得て必要な水密性を確保できる。さらに、基材2がソリッドフィルムからなり、その引張破断強度を80MPa以上としたので、分別が必要な場合に両面粘着テープ1が途中でちぎれるのを防止して剥がし易くできる。
【0081】
また、第1及び第2粘着層3,4にレーザー吸収剤を混合し、粘着層3,4を加熱により軟化又は溶融させるようにしたので、接着強度をより一層向上できる。また、基材2をソリッドフィルムとしていることで基材2の熱伝導性が高くなり、レーザー光Lによる発熱が両方の粘着層3,4に伝わりやすくなり、よって、レーザー光Lのエネルギを粘着層の軟化又は溶融のために効果的に利用できる。
【0082】
また、レーザー光Lを、レーザー光透過性を有する第1部材10側から照射するようにしたので、両面粘着テープ1の第1及び第2粘着層3,4を確実に軟化又は溶融させることができ、接着強度をより一層向上できる。
【0083】
また、上記実施形態では、第1及び第2粘着層3,4にレーザー光吸収剤を混合させているが、第1及び第2粘着層3,4にレーザー光吸収剤を混合させずに、基材2を構成する材料にレーザー光吸収剤を混合させてもよい。これにより、レーザー光Lの照射によって基材2が発熱し、この基材2の熱が第1及び第2粘着層3,4に伝達することになる。
【0084】
また、レーザー光非透過性を有する第2部材20側からレーザー光Lを照射するようにしてもよい。この場合、レーザー光Lの照射によって第2部材20が発熱し、第2部材20の熱が第1及び第2粘着層3,4に伝達し、第1及び第2粘着層3,4が軟化又は溶融する。これにより、両面粘着テープ1にレーザー吸収剤を混合していなくても、第1及び第2粘着層3,4を軟化又は溶融させることができる。また、レーザー光吸収剤や熱伝導性の高い物質、例えばカーボンブラックや金属粉・金属酸化物粉を適宜分散させることにより、粘着層3,4自体の熱伝導性をさらに向上させ、粘着層3,4を効率よく軟化または溶融することが可能になる。
【0085】
尚、上記実施形態では、第1粘着層3と第2粘着層4とを同じ粘着剤組成物で構成しているが、互いに変えてもよい。また、第1粘着層3と第2粘着層4との厚みを互いに変えてもよい。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0087】
<両面粘着テープの調整>
基材2は、PETフィルム(東洋紡績株式会社製 コスモシャイン A4300)である。基材2の厚みは38μmである。また、基材2には、両面易接着処理が施されている。易接着処理を施す方法としては、例えば、2軸延伸前に接着性の高い熱可塑性樹脂を基材2にコーティングし、その後、延伸する方法や、延伸した基材2に接着性の高い熱可塑性樹脂を直接コーティングする方法がある。基材2の引張破断強度を測定したところ、170MPaであった。
【0088】
第1粘着層3及び第2粘着層4は、同じ粘着剤組成物からなる。粘着剤組成物は、熱可塑性エラストマー系粘着剤であり、次のようにして得た。まず、粘着剤組成物を塗料の形で得る。すなわち、SIS(JSC株式会社製 TR−5002)100gと、粘着剤付与剤としてのクリアロン(ヤスハラケミカル株式会社製 P−105)100gと、レーザー光吸収剤としてのカーボンブラック0.1gとを、トルエン300gに分散、溶解させる。得られた塗料の固定分は約40%である。
【0089】
この塗料を、離型処理したPETフィルム(リンテック株式会社製 PET38GS)上にアプリケータを使用して塗布した。このPETフィルムの厚みは38μmである。塗料を乾燥させることで、PETフィルム上に剥離可能な状態で粘着層が形成される。PETフィルム上の粘着層の厚みは、塗料の塗布厚で任意に設定できる。
【0090】
PETフィルム上に形成された粘着層を基材2の両面に転写して第1粘着層3及び第2粘着層4を得た。
【0091】
両面粘着テープは、表1に示すように、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが異なる合計6種類を用意した。
【0092】
【表1】

【0093】
比較例1、2は、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いものであり、比較例3は、第1粘着層3の厚みが70μmよりも厚いが、第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いものである。
【0094】
実施例1〜3は、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μm以上のものである。
【0095】
<第1部材及び第2部材>
第1部材10は、図4に示すように透明なアクリル板であり、レーザー透過性を有している。第2部材20は、図4及び図5に示すように、ナイロン66製の直方体型容器であり、レーザー非透過性を有している。第2部材20の一面は開放されており、この開放部分を覆うように第1部材10が形成されている。
【0096】
詳しくは、第1部材10は50mm四方の正方形板で構成されており、厚みは2mmである。第2部材20の各壁部の厚みは2mmである。第2部材20をその開放側から見たときに、外寸は50mm×50mmであり、第1部材10の外寸と一致している。第2部材20の深さは3mmである。また、第2部材20の中央部には、直径15mmの貫通孔21を形成している。
【0097】
両面粘着テープ1は、第1部材10の接着面10a(第2部材20側の面)の周縁部に環状に貼り付けられる。すなわち、第2部材20の接着面20aである周壁部の先端面に全周に亘って貼り付けられる。
【0098】
<接着工程>
両面粘着テープ1は、図6に示すように打ち抜き加工によって環状に形成しておく。この両面粘着テープ1の第1粘着層3を第1部材10の接着面10aに貼り付け、第1部材10を第2部材20の開放部分を覆うように配置し、第2粘着層4を第2部材20の接着面20aに貼り付ける。
【0099】
その後、第1部材10及び第2部材20をクランプ装置(図示せず)を用いて接着方向(第1部材10の厚み方向)にクランプした。クランプ圧は0.4MPaである。
【0100】
しかる後、第1部材10側から第1部材10の周縁部に、両面粘着テープ1の貼り付け範囲の全周に亘ってレーザー光Lを照射した。レーザー光Lは、出力波長940nmの半導体レーザーである。レーザー光Lの出力は3Wで、走査速度は1.2m/minである。レーザー光Lの照射後、両面粘着テープ1が常温となるまで放置した。
【0101】
<接着強度試験>
接着強度試験は、図7に示すように、第2部材20を固定しておき、第2部材20の貫通孔21に押し棒を挿入して第1部材10を第2部材20から離脱させる方向(図7の下側)に押した。押し棒は直径12mmであり、先端面を第1部材10の中央部に当てた。押し棒は、第1部材10を第2部材20から離脱させる方向に、5mm/分の速度で移動させ、第1部材10を第2部材20から離脱させるのに要する力を測定した。結果を図8に示す。
【0102】
比較例1、2は、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いので、接着強度が120N未満の小さな値となった。また、比較例3は、第1粘着層3の厚みが70μmよりも厚いが、第2粘着層4の厚みが70μmよりも薄いので、第2粘着層4側で凝集破壊が起こり、130N未満の低い値となった。つまり、第1粘着層3及び第2粘着層4の一方が70μmよりも薄いと、接着強度が低下してしまう。
【0103】
一方、実施例1〜3は、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μm以上であるため、全てが150N以上の高い値となった。特に、実施例2では、170N以上の極めて高い値となっている。尚、実施例2と実施例3との接着強度の差は、実施例1と実施例2との接着強度の差ほど大きくないので、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みを110μmより厚くしても、接着強度の向上度合いは低い。従って、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みは110μm程度を上限とするのが好ましい。
【0104】
<水密性試験>
水密性試験は、上記接着強度試験で使用した第1部材10を用い、第2部材20としては、貫通孔21を形成しないものを用い、第1部材10及び第2部材20を接着し、水深1mに24時間沈めて水が第2部材20の内部に浸入するか否かを観察した。
【0105】
両面粘着テープ1は、実施例2のものを用いている。そして、第1部材10及び第2部材20を接着する際にレーザー光Lを照射した場合には、上述したように第1粘着層3及び第2粘着層4が第1部材10の接着面10a及び第2部材20の接着面20aに追従するように変形しているので、10個のサンプルを観察した結果、水が浸入したものは1つもなかった。
【0106】
<剥離容易性>
第2部材20の接着面20aに両面粘着テープ1の第2粘着層4を貼り付ける。この両面粘着テープ1の第1粘着層3には離型フィルムを貼っておき、離型フィルムに第1部材10を押し付けて接着工程で説明したようにクランプし、レーザー光Lを照射した。
【0107】
常温となるまで冷却した後、第2部材20を外して離型フィルムを剥がし、両面粘着テープ1の端を摘んで第2部材20から剥離する方向に強く引っ張ったところ、両面粘着テープ1が途中でちぎれることなく剥離させることができた。これは、基材2の引張破断強度を80MPa以上に設定しているからである。
【0108】
<別実施例>
粘着剤組成物の構成を上記とは異なるアクリル系粘着剤として上記各試験を行った。すなわち、ブチルアクリレート70gと、メチルアクリレート25gと、アクリル酸5gとをトルエン150gに溶解し、この溶液100gに対してトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート1.2gを添加して混合し、塗料を得た。この塗料を離型処理したPETフィルムに塗布してアクリル系粘着剤を得た。
【0109】
上記アクリル系粘着剤を用いて上記比較例1、2、実施例1〜3と同様な厚みの第1粘着層3及び第2粘着層4を形成した。この場合も、第1粘着層3及び第2粘着層4の厚みが70μm以上であれば、接着強度試験における数値が150N以上となるとともに、水密性も確保できた。
【0110】
<別比較例>
市販の両面粘着テープ(住友3M株式会社製 VHB アクリルフォーム構造用粘着テープ Y−4914)を使用して上記各試験を行った。この両面粘着テープの基材は発泡材であり、引張破断強度は20MPaであった。接着時には、クランプ装置によるクランプは行ったが、レーザー光Lの照射は行わなかった。
【0111】
接着強度試験の結果は80Nであり、上記実施例1〜3に比べて大幅に低い値であった。また、水密性試験では、10個のサンプル全てで水の浸入が見られた。これは、接着面の凹凸に粘着層が追従していないためである。
【0112】
また、剥離容易性については、両面粘着テープの端を持って剥がそうとしたところ、両面粘着テープが伸びて途中で破れてしまい、指で剥がすことは困難であった。これは、引張破断強度が低い発泡材を基材として使用しているためである。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本発明は、例えば、フラットパネルディスプレイや家電製品、工業用電気製品等を構成する部材の接着、住宅設備機器を構成する部材の接着、文具製品を構成する部材の接着に適用できる。
【符号の説明】
【0114】
1 両面粘着テープ
2 基材
3 第1粘着層
4 第2粘着層
10 第1部材
10a 接着面
20 第2部材
20a 接着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の両面に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられた両面粘着テープにおいて、
上記粘着剤組成物は、熱可塑性エラストマー系粘着剤又はアクリル系粘着剤であり、
上記粘着層の厚みは、70μm以上に設定され、
上記基材は、ソリッドフィルムであり、
上記基材の引張破断強度は、80MPa以上に設定されていることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
粘着層と基材との少なくとも一方にはレーザー吸収剤が混合され、
上記粘着層は加熱により軟化又は溶融するように構成されていることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項3】
基材の両面に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられた両面粘着テープを用いて第1部材と第2部材とを接着する接着方法において、
上記粘着剤組成物を熱可塑性エラストマー系粘着剤又はアクリル系粘着剤とし、上記粘着層の厚みを70μm以上に設定し、上記基材をソリッドフィルムとし、該基材の引張破断強度を80MPa以上に設定しておき、
上記両面粘着テープの一方の粘着層を上記第1部材の接着面に貼り付け、他方の粘着層を上記第2部材の接着面に貼り付けることを特徴とする両面粘着テープを用いた接着方法。
【請求項4】
請求項3に記載の両面粘着テープを用いた接着方法において、
粘着層と基材との少なくとも一方にはレーザー吸収剤を混合し、該粘着層は加熱により軟化又は溶融するように構成し、
両面粘着テープにレーザー光を照射して粘着層を軟化又は溶融させて第1部材と第2部材とを接着することを特徴とする両面粘着テープを用いた接着方法。
【請求項5】
請求項4に記載の両面粘着テープを用いた接着方法において、
第1部材はレーザー光を透過するレーザー光透過性を有し、
レーザー光を第1部材側から両面粘着テープに向けて照射することを特徴とする両面粘着テープを用いた接着方法。
【請求項6】
請求項3に記載の両面粘着テープを用いた接着方法において、
第2部材はレーザー光を透過させないレーザー光非透過性を有し、
レーザー光を第2部材側から両面粘着テープに向けて照射することを特徴とする両面粘着テープを用いた接着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−184322(P2012−184322A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48102(P2011−48102)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(591000506)早川ゴム株式会社 (110)
【Fターム(参考)】