説明

中和装置、並びに、熱源機

【課題】本発明は、貯留容器を小型にしても強度を低下させることなく十分な容積を確保でき、十分に中和してからドレンを排水できる中和装置を提供することを目的とした。
【解決手段】熱源機1は、一次熱交換器20と二次熱交換器25と中和装置11を備えたドレン排水系統7を有する。中和装置11は、ドレンが貯留される貯留容器12を有し、貯留容器12に仕切壁16が一体的に接合されている。これにより、貯留容器12の高い堅牢性を確保することができる。また、仕切壁16の少なくとも1つには、隣接する空間同士を連通させる連通孔28,66が設けられている。連通孔28,66は、その開口の下端部が貯留容器12の底面から一定距離離反した位置に配され、連通孔28,66を通過して隣接する空間に流れる。これにより、貯留容器12の底面に沈殿物が蓄積してもドレンが確実に連通孔28,66を通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを中和する中和装置に関するものである。また、その中和装置を備えた熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーナを燃焼させた際に発生する燃焼ガスを利用する熱源機として、燃焼ガスの潜熱までも回収する潜熱回収型の熱交換器を備えたものが知られている。即ち、この種の熱源機は、燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器に加え、潜熱を回収する二次熱交換器(潜熱回収型の熱交換器)が具備されており熱効率が高い。
【0003】
即ち、バーナで燃焼させる燃料として、主成分がメタン(CH4)やプロパン(C38)のガスが使用されているため、燃焼ガス中には水蒸気が含まれる。そのため、この水蒸気が有する潜熱が二次熱交換器で回収されると、燃焼ガス中の水蒸気が液化してドレンを発生させる。さらに、燃焼によって、空気中の窒素と酸素とが反応して、窒素酸化物(NOx)が生成されるため、燃焼ガスに晒されたドレンはその窒素酸化物により酸性となる。
【0004】
この酸性のドレンは、具体的には強酸を呈する硝酸であるため、処理を行うことなくそのまま外部に排水すると、環境に対しても悪影響を及ぼす懸念がある。そのため、この種の熱源機では、二次熱交換器で発生したドレンを中和してから外部に排出する構成とされている。即ち、二次熱交換器にはドレン排水系統が接続されており、その流路の中途に中和剤が充填された中和装置が設けられている。
なお、中和装置に使用される中和剤は、炭酸カルシウム等の弱アルカリ性のものが一般的である。そのため、中和装置で強酸のドレンを中和する場合は、十分に時間を掛ける必要がある。
【0005】
そこで、通常、中和装置は、貯留容器内に導入されたドレンを時間を掛けて十分に中和できる構成とされている。
例えば、特許文献1に記載の発明は、ブロー成形により形成された複数の容器部が接合されて形成された貯留容器を備えた構成である。具体的には、貯留容器は、接合された複数の容器部が1つの流路を形成するように直列に配置され、隣接する容器部同士を細い管状の接合部で一体的に接合された構成である。
また、特許文献2に記載の発明は、貯留容器内にドレンの流路を形成するため、別体の仕切板で複数の空間に仕切った構成とされている。
即ち、特許文献1,2に記載の発明は、双方とも、貯留容器内にドレンが導入されてから排出されるまでの実質的な長さを延長して、十分に中和できるための工夫がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−34588号公報
【特許文献2】特開2001−96283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、熱源機の設置場所は省スペース化の傾向があり、それに伴い小型化された熱源機が開発されている。即ち、熱源機が小型化されることで、熱源機の内部空間が実質的に狭くなるため、中和装置もなるべく小型化にすることが望まれていた。
【0008】
しかしながら、従来技術を用いて中和装置を小型にすると、貯留容器の容積が極端に減縮されて、ドレンの実質的な流路の長さが短縮されるため、ドレンを十分に(pH5〜6程度)中和できない懸念がある。
この理由には、中和装置を小型化した際に貯留容器の部材厚を薄肉化できないことに関係する。即ち、小型化すると貯留容器の容積が減縮するため、その容積を補うために貯留容器等の部材厚を薄くする必要があるが、特許文献1及び2では、貯留容器の部材厚を薄肉化すると強度が低下される。これは、貯留容器が、筐体を形成する部材のみで成形されているためである。そのため、貯留容器等の部材厚を薄くすると、ドレンが貯留された際に貯留容器の底面が撓み、貯留容器が破壊されてしまう問題が考えられる。
【0009】
そこで、例えば、特許文献2の中和装置において、貯留容器と仕切板を一体的に成形して、容器の堅牢性を向上させることが勘案される。これにより、容器の堅牢性を向上させた範囲内で、貯留容器等の部材厚を薄肉化することができる。しかしながら、特許文献2は、仕切板を貯留容器の底面から離反して流路を形成する構成であるため、仕切板と貯留容器とを一体化したとしても、貯留容器の底面は十分に強度を確保することができない。また、特許文献2では、貯留容器の底面と仕切板とが離反した構成であるため、ドレンと反応して流動体と化した中和剤が貯留容器の底面に経時的に蓄積されると、ドレンの流れが阻止される。これにより、ドレンが十分に中和されずに中和装置から溢れてしまう不具合が発生する。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、貯留容器を小型にしても強度を低下させることなく十分な容積を確保でき、十分に中和してからドレンを排水できる中和装置を提供することを目的とする。同時に、その中和装置を備えた熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生するドレンが熱源機内から排出されるドレン排水系統の一部を形成する中和装置であって、中和装置は、ドレンが貯留される貯留容器を有し、貯留容器は、貯留容器と一体的に成形された複数の仕切壁を有し、当該仕切壁により複数の空間に分割され、少なくともいずれか1つの前記空間にはドレンを中和する中和剤が配されるものであって、仕切壁の少なくとも一つには、隣接する空間同士を連通させる連通孔が設けられ、当該仕切壁の1つの側端部と底端部が、中和装置を熱源機に装着した状態で、貯留容器の1つの側面壁と底面壁に接合されると共に、当該仕切壁の他の1つの側端部が、貯留容器の他の1つの側面壁又は他の仕切壁の側面に接合され、連通孔は、その開口の下端部が貯留容器の底面壁から一定距離離反した位置にあり、貯留容器に導入されたドレンは、連通孔を通過して隣接する空間に流れることを特徴とする中和装置である。
【0012】
本発明の中和装置は、ドレンが貯留される貯留容器に仕切壁が一体的に成形されているため、この貯留容器は、部材厚を薄肉化しても従来技術のものと同等又はそれ以上の強度を確保できる。また、仕切壁に設けられた連通孔は、開口の下端部が貯留容器の底面から一定距離離反した位置にあるため、連通孔により貯留容器と仕切壁との一体性が弱くなることがなく、貯留容器の堅牢性を維持できる。
即ち、本発明によれば、中和装置を小型化にした際の容積低下を、貯留容器の部材厚を薄肉化して補うことができるため、ドレンが十分中和できる程度の流路長さを維持できる。これにより、小型化された熱源機に適応できる中和装置を提供できる。
また、連通孔の開口は貯留容器の底面と一定距離離反しているため、中和剤がドレンとの反応により流動体と化して貯留容器の底に蓄積しても、蓄積した中和剤がドレンの流れの妨げとならない。即ち、本発明によれば、貯留容器の底に蓄積された中和剤によって、ドレンが滞留して溢れる心配がない。
【0013】
連通孔は、開口形状が円と、楕円と、曲線及び直線からなる形状のいずれかとされていることが望ましい。(請求項2)
【0014】
請求項3に記載の発明は、少なくとも1つの仕切壁は、中和装置を熱源機に装着した状態で、貯留容器の1対の側面壁及び底面壁に接合された主仕切壁であって、主仕切壁により分割された空間のうちの1つは、ドレンが導入され一時的に滞留可能な導入部と、導入部よりドレンの流れ方向下流側に位置し中和剤が配される導入側中和部が設けられ、主仕切壁により分割されたもう一つの空間には、ドレンが排出される排水部と、排水部よりドレンの流れ方向上流側に位置し中和剤が配される排水側中和部が設けられ、排水部は、主仕切壁と他の仕切部材により囲繞されており、当該他の仕切部材は、上端側に排水口に至る流入部が設けられ、貯留容器に導入されたドレンは、排水側中和部から流入部に至ることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和装置である。
【0015】
本発明の中和装置は、貯留容器が、1対の側面壁及び底面壁に接合された主仕切壁により空間が分割されている。即ち、本発明の中和装置は、仕切壁の両側端部が貯留容器の側面壁に接合されているため、貯留容器の底面壁がドレンの重みで撓まないような補強がされている。これにより、貯留容器の底面壁がドレンの重みで撓んで底面壁が破壊される心配がない。
また、2つに分割された空間の双方に、中和剤が配される中和部がある。そして、排水部は、主仕切壁と仕切部材により囲繞され、その仕切部材に、排水側中和部に流れたドレンが排水口に至ることができる流入部が設けられているため、中和装置に導入されたドレンは導入側中和部で中和され、さらに排水側中和部でも確実に中和されて排水される。さらに、流入部は、仕切部材の上端側に設けられているため、排水側中和部に底面側から流れ込んだドレンは、仕切部材の上端側に押し上げられるまで排水されることがなくなり、実質的に排水されるまでの時間が延長される。即ち、貯留容器が小型化されても、ドレンが排水されるまでの実質的な流路を延長することができる。
【0016】
ところで、熱源機をできる限り小型化にしようとした場合、熱源機内部における各機器の配置の取り合いにより、各機器は大きさだけでなく、形状に制限を受ける場合がある。しかしながら、熱交換器や電磁弁は、熱容量や熱効率、又は規格の観点から、同じ能力を発揮させるためには大きさや形状を殆ど変更できないため、これらの形状を変更することを考えるのは無意味である。一方、それらに比べると、中和装置は形状や大きさを変更し易いが、貯留容器を制限された熱源機内部に適応するような形状や大きさにして、ドレンが十分に中和できる程度の流路の長さを確保することは困難であった。
そこで請求項4に記載の発明では、貯留容器は、中和装置を熱源機に装着した状態で、底面の位置が鉛直方向に異なる複数段構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中和装置とした。
【0017】
かかる構成によれば、貯留容器が深さが異なる複数段構造で構成されている。即ち、小型化された熱源機に配置される場合で、中和装置に機器(電磁弁等)が密接するような配置であっても、貯留容器と密接する機器等を問題なく配置させることができる。そのため、本発明の中和装置によれば、熱源機内部の制限に適応させることができる。
具体的な配置方法として、例えば、中和装置における他の底面壁より鉛直方向に高い位置にある底面壁の下部側に、中和装置に密接し得る機器等を配置させるようにすれば、部材間の配置の取り合い解消される。そして、前記機器が存在しないところから底面壁をできる限り鉛直方向に深い位置に配置させるような構成とすれば、貯留容器の容積を増加でき、ドレンが十分中和できるほどの流路長さを確保することが可能となる。
【0018】
貯留装置は、底面壁が浅底面壁と深底面壁の2段構造であって、導入部と排水部の双方が浅底面壁側に配されていることが望ましい。(請求項5)
【0019】
請求項6に記載の発明は、少なくとも1つの仕切壁は、中和装置を熱源機に装着した状態で、貯留容器の1対の側面壁及び底面壁に接合された主仕切壁であって、深底室は、主仕切壁を交差するように配された深底仕切壁により空間が分割されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中和装置である。
【0020】
かかる構成によれば、深底室の空間を深底仕切壁を主仕切壁に対して交差するように配置して分割しているため、貯留容器に導入されたドレンは、排水されるまでに立体的に流れる。即ち、限られた領域内で、ドレンが十分に中和される流路の長さを確保することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、深底仕切壁には、連通孔に加えて、上端にスリットが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の中和装置である。
【0022】
かかる構成によれば、深底仕切壁に連通孔の他、上端側にスリットを設けているため、万一、深底仕切壁の連通孔側で凍結や詰まりが発生した場合であっても、水位が上昇したドレンは深底仕切壁の上端側のスリットから隣接する空間に流すことができる。即ち、深底仕切壁の連通孔からドレンが流通不可能となっても、貯留容器から溢れ得るドレンをドレン排水系統を通じて確実に排水することができる。
【0023】
貯留容器と仕切壁は、射出成型により成形されていることが望ましい。(請求項8)
【0024】
請求項9に記載の発明は、貯留容器には、ドレンが一定水位となったことを検知する水位検知手段が配されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の中和装置である。
【0025】
かかる構成によれば、万一、ドレンが貯留容器から溢れてしまう状況に陥った場合であっても、水位検知手段により貯留されたドレンの水位異常が検知されるため、ドレンが貯留容器からオーバーフローしてしまう状況が放置されない。
【0026】
請求項10に記載の発明は、燃料を燃焼する燃焼装置と、燃焼装置が作動して生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、前記二次熱交換器で発生したドレンを中和する請求項1乃至9のいずれかに記載の中和装置を有し外部に排出するドレン排水系統を備えていることを特徴とする熱源機である。
【0027】
本発明の熱源機は、ドレンが貯留される貯留容器に仕切壁を一体的に成形された中和装置を備えており、その中和装置は部材厚を薄肉化しても従来技術のものと同等又は従来のもの以上の強度を確保できる。これにより、中和装置は小型化しても強度を低下させることなく十分な容積を確保できるため、小型化された熱源機に設置すればドレンを十分に中和して外部に排水できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の中和装置では、貯留容器に仕切壁を一体的に成形したため、薄肉化でき、小型にしても強度を低下させることなく十分な容積を確保できる。また、その中和装置を熱源機に備えることで、熱源機自体も小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る熱源機を示す構成図であり、(a)は筐体内部の正面図で、(b)は筐体内部の側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る中和装置を示す斜視図である。
【図3】図2の中和装置の分解斜視図である。
【図4】蓋部を示す図3のB方向矢視図である。
【図5】中和装置を示す図2のA方向矢視図である。
【図6】図2の中和装置の本体部を一部破断して内部構造を示す斜視図である。
【図7】本体部を示す図2のC方向矢視図である。
【図8】中和装置の本体部を一部破断して内部構造を示す図3のD方向矢視図である。
【図9】中和装置の本体部の内部を示す図3のE方向矢視図である。
【図10】中和装置の本体部の変形例を示す斜視図である。
【図11】中和装置の本体部の変形例を示す斜視図である。
【図12】連通孔の変形例を示す正面図で、(a)楕円形状で、(b)曲線と直線を組み合わせた形状である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態に係る熱源機1、並びに、中和装置11について説明する。なお、以下の説明において、上下左右の位置関係については、特に断りのない限り通常の設置状態を基準として説明する。
【0031】
熱源機1は、所謂潜熱回収型の熱源機であり、図1に示すように、筐体3に燃焼部2と、主に顕熱を回収する一次熱交換器20と、主に潜熱を回収する二次熱交換器25と、二次熱交換器25で発生したドレンが外部に排出されるドレン排水系統7の一部が内蔵されている。
【0032】
熱源機1は、筐体3のほぼ中央に直方体状の燃焼ケース5を配置しており、その燃焼ケース5に燃焼部2と、一次熱交換器20と、二次熱交換器25が内蔵されている。具体的には、燃焼ケース5の下部側に燃焼部2を配置し、燃焼ケース5の上部側には、下から順番に一次熱交換器20、二次熱交換器25を配置している。即ち、燃焼ケース5は、燃焼部2における燃焼動作に伴って発生する高温の燃焼ガスが流れる部分である。また、二次熱交換器25は、一次熱交換器20に対して、燃焼ガスの流れ方向下流側に位置している。これらにより、燃焼部2で発生する燃焼ガスは、燃焼ケース5内において、一次熱交換器20を通過して二次熱交換器25に至る。そして、燃焼ケース5の上部側正面には、排気口10が装着され、二次熱交換器25を通過した燃焼ガスが排気口10を通じて排気される。
【0033】
燃焼部2は、バーナ9と、送風機6を備えており、燃焼ケース5の内部下方にバーナ9が収容され、燃焼ケース5の外側でその下方に送風機6が取り付けられている。即ち、燃焼部2は、送風機6を作動させてバーナ9に空気を供給し、さらに図示しない燃料供給源からバーナ9に燃料ガスが供給されて、バーナ9で燃焼させる構成とされている。そして、その際に発生する燃焼ガスは、燃焼ケース5の上方に向かって流れる。
【0034】
一次熱交換器20は、公知の気・液熱交換器であり、燃焼部2より燃焼ガスの流れ方向下流側に配置されている。一次熱交換器20は、湯水が流れる図示しない銅製の受熱管と、図示しないフィンを備えている。即ち、燃焼ケース5を流れる燃焼ガスは、受熱管に加えてフィンとも接して熱交換することができるため、受熱管を流れる湯水が効率的に熱交換される。
【0035】
二次熱交換器25は、公知の気・液熱交換器で、前記したように、一次熱交換器20より燃焼ガスの流れ方向下流側に配置されている。二次熱交換器25は、湯水が流れる図示しない受熱管により構成されている。
ここで、前記したように、二次熱交換器25は、燃焼ガスの主に潜熱を回収するため、二次熱交換器25においては、燃焼ガスの温度が一定値以下に低下して、燃焼ガスに含まれる水蒸気が液化してドレンが発生する。そして、そのドレンは、燃焼ガスに晒されることで、燃焼により生成された窒素酸化物が溶け込んで酸性を呈する。即ち、本実施形態では、二次熱交換器25の受熱管に耐腐食性が高いステンレス鋼が採用されている。
【0036】
また、二次熱交換器25と一次熱交換器20は、接続管35により接続され、二次熱交換器25が一次熱交換器20より湯水の流れ方向上流側に位置するように配されている。
即ち、一次熱交換器20の入水口21と、二次熱交換器25の出水口26との間は接続管35によって接続されている。そして、一次熱交換器20の出水口22には、カランや浴槽といったような湯水の供給先に繋がる配管に接続されている。
【0037】
また、二次熱交換器25の入水口27には、外部から加熱対象となる湯水を供給するための入水配管34が接続されている。そのため、給湯先において、給湯要求があり、外部の給水源から入水配管34に湯水が供給されると、この湯水は二次熱交換器25の入水口27に供給される。そして、入水口27に供給された湯水は、二次熱交換器25を流れた後、一次熱交換器20内を流れることによって、順次熱交換加熱され、その後、一次熱交換器20の出水口22から給湯先に向けて供給される。
【0038】
また、燃焼ケース5の内部であって、一次熱交換器20と二次熱交換器25との間には、二次熱交換器25における潜熱回収により発生したドレンを回収する回収部(図示しない)が設けられ、当該回収部にドレン排水系統7が接続されている。即ち、ドレン排水系統7は、ドレンの流れ方向上流側から順番に、前記回収部に設けられた図示しないドレン排水口と、上流側ドレン配管部材37と、中和装置11と、下流側ドレン配管部材38によって構成されている。
【0039】
ドレン排水系統7は、図示しないドレン排水口から下方に向かって延びており、図示しないドレン排水口を通じて上流側ドレン配管部材37に導入されたドレンは、中和装置11に流入して中和され、下流側ドレン配管部材38から外部に排水される。本実施形態では、中和装置11は、筐体3内部における左側下方(図1(a))に配置されている。なお、中和装置11に接続される前後の配管部材は、ゴム製のチューブである。
【0040】
次に、特徴的構成を備えた中和装置11について、図面を用いて詳細に説明する。なお、理解を容易にするために、図2〜9に示したx、y、zの方向を定義する。
【0041】
中和装置11は、図2に示すように、二次熱交換器25側から流れてくるドレンを貯留する貯留容器12により構成されている。貯留容器12は、図1(b)に示すように、熱源機1に装着された状態において、熱源機1の左側面方向から見た外観が「L」字を180度回転させた本体部13と、本体部13の上部に着脱可能に設けられた蓋部15を有している。
【0042】
蓋部15は、天面壁40と、天面壁40の縁端を囲むように一体的に接合し、z方向に突出した側面壁41で形成されている。天面壁40は、平面視(z方向)した形状がほぼ長方形である。詳細には、天面壁40は、1つの頂点(図2の左手前の頂点)がxy方向に一部切り取られており、切取部15aが形成されている。切取部15aは、中和装置11を熱源機1に設置した際に、中和装置11に密接する配管を沿わせる部位である。なお、後述する本体部13にも、同様の位置に切取部13aが形成されている。
【0043】
また、天面壁40は、図2,3に示すように、z方向に突出し上流側ドレン配管部材37からのドレンを貯留容器12内に誘導する蓋側導入部(導入部)45と、z方向に突出しドレンが貯留容器12内で過度に水位が上昇したことを検知できる図示しない電極部材(水位検知手段)が配される電極配置部52,53が設けられている。
【0044】
蓋側導入部45は、z方向に貫通した管状部材であり、内径が約1.0cm程度の一定の大きさとされている。また、蓋側導入部45の外側は、z方向中途の外径が拡径された段部45aが設けられている。そして、蓋側導入部45は、段部45aから先端にかけて外径が次第に狭径となるテーパ部45bが設けられている。即ち、蓋側導入部45は、テーパ部45bにより上流側ドレン配管部材37を装着させやすく、段部45aにより上流側ドレン配管部材37が外れにくい。
【0045】
電極配置部52,53は、外径が9mm程度の筒状体で、中心にz方向に貫通した内径が約2mm程度の貫通孔52a,53aが設けられている。即ち、この貫通孔52a,53aに図示しない電極部材が挿通されて、貯留容器12内に導入されるドレンの異常水位が検知される。
【0046】
また、図4に示すように、側面壁41の突出側には、側面壁41に囲まれた装着空間42が形成されている。装着空間42は、後述する本体部13の一部が配置する場所である。そして、装着空間42側の天面板40には、y方向中間あたりに、後述する本体部13の仕切壁16が嵌り込むx方向に延びる溝44が設けられている。また、側面壁41には、内側に突出した係合爪43が設けられている。換言すると、係合爪43は、装着空間42側に突出している。なお、係合爪43は、本体部13と係合するもので、本実施形態では合計14個設けられている。
【0047】
一方、本体部13は、図3に示すように、上部が開放された容器であり、図5に示すように、2つの底面壁48,49と、その2つの底面壁48,49を繋ぎつつ、底面壁48,49の縁端を囲むように一体的に接合した側面壁50により構成されている。具体的には、本体部13の底面は、鉛直方向(z方向)に2段構造とされている。即ち、図1に示すように、中和装置11を熱源機1に装着した状態において、正面側に浅底面壁48が配され、背面側に深底面壁49が配される。
【0048】
また、図3に示すように、本体部13は、容器内を複数の空間に分割するように、仕切壁16が本体部13に一体的に接合されている。本実施形態では、本体部13と仕切壁16を一体的に成形するために、射出成形による製作が採用されている。また、仕切壁16は、底面壁48,49から蓋部15が配置される本体部13の開放側まで延長された高さに設計されている。即ち、本体部13に蓋部15が装着されると、仕切壁16の上端からドレンが流れることはない。
本実施形態では、仕切壁16として、xz方向に延びる平面に平行な主仕切壁46と、yz方向に延びる平面に平行な深底仕切壁47が設けられている。
【0049】
主仕切壁46は、容器内をy方向に2分割するもので、底端部が浅底面壁48上に接合され、側端部が側面壁50の内側面に接合されている。即ち、中和装置11を熱源機1に装着した状態で、本体部13の手前側(図3)に浅底室17、奥側(図3)に深底室18が形成されている。そして、主仕切壁46には、浅底室17と深底室18とを連通する連通孔28が設けられている(図6)。連通孔28は、円状の開口で、その開口の下端部が浅底面壁48からz方向(上方)に一定距離離れた位置になるように設けられている。具体的には、連通孔28の開口の下端部は、浅底面壁48から約1.0cm程度離反している。また、連通孔28は、主仕切壁46のx方向中央より手前側(図6)に位置している。換言すると、連通孔28は、切取部13aがある側面側に配されている。
【0050】
なお、図7,8に示すように、主仕切壁46は、浅底面壁48と深底面壁49の境界より浅底面壁48側に配されているため、浅底室17は、主仕切壁46と浅底面壁48と側面壁50で形成され、深底室18は、主仕切壁46と浅底面壁48及び深底面壁49と側面壁50で形成されている。
【0051】
浅底室17は、図3に示すように、本体側導入部(導入部)51と、センサー配置部55,56と、導入側中和部23を有する。
本体側導入部51は、蓋部15の蓋側導入部45と同じ位置にあり、蓋側導入部45を通過したドレンが導入される空間である。本体側導入部51は、図6に示すように、円弧部材70により形成されており、本体部13の側面壁50に一体的に接合されている。また、本体側導入部51は、円弧の一部を切り込んだスリット71(図7)を有している。スリット71は、z方向に延びた長方形状の開口であり、本体側導入部51に導入されたドレンは、このスリット71から導入側中和部23に流れる。
【0052】
なお、本体側導入部51の底面には、図7に示すように、外部と連通した貫通孔51aが設けられている。この貫通孔51aは、メンテナンス用の孔で、通常は常時閉状態の弁を設けた図示しない配管部材を接続させている。そのため、中和装置11のメンテナンスや凍結防止の為の排水以外で、本体側導入部51に導入されたドレンが貫通孔51aから外部に排出されることはない。
【0053】
センサー配置部55,56は、図3に示すように、蓋部15の電極配置部52,53と同じ位置にあり、電極配置部52,53の貫通孔52a,53aから挿通された図示しない電極部材のセンサー側が位置する空間である。センサー配置部55,56は、図6,7に示すように、側面壁50を内側に円柱状に変形させた変形部72と円弧部材73により構成されており、本体部13の底面側に変形部72が位置し、その上部に一体的に接合されるように円弧部材73が位置して形成されている。即ち、変形部72の上端から円弧部材73の上端までが、センサー配置部55,56である。
【0054】
また、円弧部材73の側端部は本体部13の側面壁50から離れている。即ち、円弧部材73と側面壁50との間は、間隔があり、ドレンが入り込むことができるスリットである。なお、センサー配置部55,56は、y方向に連なって設けられており、両者の空間が連通している。
【0055】
導入側中和部23は、本体側導入部51とセンサー配置部55,56以外の浅底室17内における空間であり、炭酸カルシウム等の弱アルカリ性を呈する中和剤Cが充填され、導入されたドレンが中和される。なお、本実施形態では、本体側導入部51とセンサー配置部55,56には、中和剤Cが充填されない。
【0056】
深底室18は、図3に示すように、空間がさらに2つに分割されている。即ち、深底室18の空間をx方向にほぼ等分割するように深底仕切壁47が配されている(図7)。深底仕切壁47は、図7に示すように、主仕切壁46の側面に直交するように接合されており、主仕切壁46のx方向のほぼ中央に位置している。また、深底仕切壁47は、主仕切壁46と対向する深底室18における側面壁50に対しても、直交するように接合されている。即ち、深底仕切壁47は、側端部が主仕切壁46と側面壁50に接合され、底端部が浅底面壁48及び深底面壁49に接合されている。
【0057】
また、図6に示すように、深底仕切壁47には、分割された空間を連通する連通孔66と、切り欠き部67が設けられている。連通孔66は、主仕切壁46の連通孔28とほぼ同じ形状の開口で、その開口の下端部が深底部49からz方向(上方)に離反した位置に設けられている(図8)。また、連通孔66は、図8に示すように、y方向には深底面壁49のほぼ中央である。切り欠き部67は、長方形状で、深底仕切壁47の上端部に設けられている。また、切り欠き部67は、深底仕切壁47のy方向中央より若干左側に位置している。なお、通常、切り欠き部67をドレンが通過することはなく、主仕切壁46の連通孔28を通過してきたドレンが溢れた場合に、臨時的にドレンが流れる流路である。
【0058】
深底仕切壁47によって分割された空間は、主仕切壁46に設けられた連通孔28を介して浅底室17側と連通する第一深底部57と、深底仕切壁47の連通孔66と切り欠き部67を介して第一深底部57と連通する第二深底部58である。
【0059】
第一深底部57は、図6〜9に示すように、浅底面壁48上であって、浅底面壁48と深底面壁49の境目近傍に堰形成板74が配されている。また、堰形成板74と深底仕切壁47の切り欠き部67との位置関係は、堰形成板74の方が主仕切壁46に近く、両者がy方向に重なることがない。
そして、堰形成板74は、本体部13の側面壁50と浅底面48と深底仕切壁47の側面に接合されており、第一排水側中和部76と、連通空間83に空間を分割している。
第一排水側中和部76は、中和剤Cが充填され、導入側中和部23を通過したドレンをさらに中和する機能を有する。
【0060】
また、連通空間83は、堰形成板74の高さまでドレンを溜めることができる空間である。そして、連通空間83に貯留されたドレンにより、本体側導入部51から流入する燃焼ガスが、連通空間83より下流側へ通過することが防止される。即ち、連通空間83は、燃焼ガスの流通をドレンで堰き止める水封機能を有する。
そのため、堰形成板74のz方向長さは、主仕切壁46に設けられた連通孔28の水平投影領域を覆う程度である。本実施形態では、堰形成板74のz方向長さは、主仕切壁46のz方向長さの3分の1以下としている。
また、連通空間83は、主仕切壁46における連通孔28の吐出側の空間を確保することができる。即ち、連通空間83は、連通孔28の吐出側が中和剤Cで閉鎖されることを防止する閉鎖防止機能が兼ね備えられている。
【0061】
また、深底室18における浅底面壁48と深底面壁49とを繋ぐ側面壁50は、急勾配の傾斜部75を有している。そのため、深底面壁49に向かうドレンは、傾斜に沿って流れるため、ドレンの中和時間を若干延長できる。
【0062】
第二深底部58は、図3,7,9に示すように、第一深底部57の堰形成板74のy方向と同じ位置に排水仕切板(仕切部材)54が設けられている。排水仕切板54は、側端部が本体部13の側面壁50と深底仕切壁47の側面に接合され、底端部が浅底面壁48に接合されており、第二排水側中和部77と、排水部59に空間を分割している。また、排水仕切板54には、上端にドレンが通過する流入部60が設けられている。流入部60は、図9に示すように、スリット状の2つの開口である。
【0063】
第二排水中和部77は、中和剤Cが充填され、第一排水側中和部76を通過したドレンをさらに中和する機能を有する。
排水部59は、排水仕切壁54と本体部13の側面壁50と主仕切壁46に囲繞された空間で、排水仕切壁54に設けられた流入部60からのみ流れ込むことができる。また、排水部59には、底面に排水口59aが設けられており、排水口59aを介して、下流側ドレン配管部材38から排水される。
なお、排水口59aは、図5に示すように、本体部13の外部に突出した排水管部61に連通している。排水管部61は、上記した蓋側導入部45とほぼ同じ形状であり、段部61aとテーパ部61bを有している。即ち、排水管部61は、テーパ部61bにより下流側ドレン配管部材38を装着させやすく、段部61aにより下流側ドレン配管部材38が外れにくい
【0064】
続いて、熱源機1の動作について説明する。
熱源機1は、例えば、図示しないカラン等が開かれて給湯の要求があると、入水配管34に湯水が流れ、入水配管34の中途に設けられた図示しない流量センサが流量を検知することにより、燃焼部2が燃焼作動を開始する。そして、その燃焼作動に伴って発生した燃焼ガスは、燃焼ケース5を上方に向けて流れる。そして、その燃焼ガスは、一次熱交換器20が配置された領域に流入し、さらに下流の二次熱交換器25が配置された領域に導入される。そして、二次熱交換器25で熱交換された燃焼ガスは、排気口10から外部に排気される。
【0065】
一方、入水管34を介して外部から供給されてきた湯水は、二次熱交換器25の入水口27を介して二次熱交換器25に導入される。二次熱交換器25に導入された湯水は、燃焼ガス中の主に潜熱を回収し、これにより加熱される。これに伴い、燃焼ガス中に含まれている水蒸気が凝縮し、二次熱交換器25の表面などにおいてドレンが発生する。
【0066】
二次熱交換器25で加熱された湯水は、二次熱交換器25の出水口26から吐出し、一次熱交換器20の入水口21から一次熱交換器20に導入される。一次熱交換器20に導入された湯水は、燃焼部2で生成された燃焼ガスとの熱交換により加熱される。一次熱交換器20では、燃焼ガス中の主に顕熱を回収し、これにより加熱される。このようにして、一次熱交換器20において加熱された湯水は、一次熱交換器20の出水口22から流出し、給湯先となるカランや浴槽等に向けて供給される。
【0067】
上記したように、熱源機1では、二次熱交換器25における熱交換に伴ってドレンが発生する。ここで発生したドレンは、二次熱交換器25と一次熱交換器20との間の図示しないドレン回収部に集まり、ドレン排水系統7を通じて外部に排水される。
【0068】
具体的に説明すると、前記ドレン回収部に回収されたドレンは、図示しないドレン排水口を通過して、上流側ドレン配管部材37から中和装置11に導入される。即ち、上流側ドレン配管部材37を通過したドレンは、蓋部15の蓋側導入部45から本体部13の本体側導入部51に流入する。本体側導入部51には、スリット71が設けられており、ドレンはそのスリット71から導入側中和部23に流出する。このドレンは、導入側中和部23内に充填された中和剤Cと反応して中和される。
【0069】
導入側中和部23のドレンの水位が、主仕切壁46における連通孔28の開口下端部を越える程度(浅底面壁48からz方向に1.0cmを超える程度)となると、導入側中和部23のドレンが、連通孔28を介して浅底室17側から深底室18側に流動する。なお、連通孔28を通過するときのドレンの流れ方向は、中和装置11を熱源機1に装着した状態において、熱源機1の背面側から正面側である。
【0070】
一方、連通孔28におけるドレンの流れ方向前後でドレンの凍結やゴミなどの詰まりが発生した場合は、導入側中和部23からドレンが排出されなくなり、導入側中和部23の水位が過度に上昇する場合がある。しかしながら、本実施形態では、浅底室17に図示しない電極部材が配置される電極配置部52,53及びセンサー配置部55,56が設けられているため、導入側中和部23においてドレンの水位が過度に上昇しても、貯留容器12から溢れる前に検知することができる。そして、その電極部材の検知信号に基づいて、燃焼部2の燃焼作動を停止させることができる。即ち、本実施形態では、貯留容器12内におけるドレンの異常水位が確認された場合に、燃焼部2の動作が強制的に停止されるため、貯留容器12内からドレンが溢れてしまうことがない。
【0071】
導入側中和部23から深底室18にドレンが導入されると、そのドレンは第一深底部57の連通空間83に貯留される。連通空間83は、堰形成板74により区切られており、連通空間83に貯留されたドレンの水位が、堰形成板74の上端を超える程度(主仕切壁46の高さの3分の1を超える程度)となると、ドレンは堰形成板74の上端を越えて、連通空間83に隣接する第一排水側中和部76に流入する。
【0072】
第一排水側中和部76に流入されたドレンは、本体部13の深底面壁49に繋がる傾斜部75に沿って流れると共に、第一排水側中和部76に充填された中和剤Cと反応して中和される。そして、深底面壁49側に流れたドレンの水位が、深底仕切壁47に設けられた連通孔66の開口下端部を越える程度となれば、そのドレンは連通孔66を介して第二深底部58側に流動する。なお、連通孔66を通過するときのドレンの流れ方向は、中和装置11を熱源機1に装着した状態において、熱源機1の側面側から内部側である。
【0073】
また、連通孔66におけるドレンの流れ方向前後でドレンの凍結やゴミなどの詰まりが発生した場合は、第一排水側中和部76内のドレンの水位が過度に上昇したり、第一排水側中和部76内のドレンが主仕切壁46の連通孔28から導入側中和部23に逆流して、導入側中和部23内の水位が過度に上昇する場合がある。しかしながら、本実施形態では、深底仕切壁47の上端に切り欠き部67が設けられているため、第一排水側中和部76内でドレンの水位が過度に上昇しても、切り欠き部67から第二深底部58側に流入させることができる。これにより、ドレンの凍結などの一時的原因により、貯留容器12内のドレンの水位が過度に上昇して、燃焼部2の動作が停止してしまうことを防止できる。これに伴い、給湯されない等の不便が使用者に及ぶことがない。
【0074】
そして、第一排水側中和部76から第二深底部58にドレンが導入されると、そのドレンは第二排水側中和部77に貯留される。そして、連通孔66を通過したドレンは、第二排水側中和部77に充填された中和剤Cと反応して中和される。第二排水側中和部77は、排水仕切板54により区切られており、第二排水側中和部77に導入されたドレンの水位が、排水仕切板54に設けられたスリット状の入水部60の下端部を越える程度となると、ドレンは入水部60から排水部59に流入する。そして、排水部59に流入したドレンは、底部の排水口59aを通過し、下流側ドレン配管部材38に導入されて外部に排水される。
【0075】
上記説明は、中和装置11が設置されて、貯留容器12内がドレンで満たされる最中(初期)のドレンの流れである。
一方、初期状態から一定期間が経過すると、貯留容器12内がドレンで満たされる状態となる。即ち、常に一定水位までドレンが貯留された状態となる。本実施形態では、この状態においても、貯留容器12内にドレンが導入されると、上記したドレンの流れが発生し、流入部60に到達したドレンから順番に排水される。
【0076】
本実施形態では、貯留容器12に導入されたドレンは、ドレン凍結などの不具合などがない通常の状態において、導入側中和部23と第一排水側中和部76と第二排水側中和部77に充填された中和剤Cによって中和されて排水される。
また、本実施形態では、貯留容器12に導入されたドレンを、水平方向の移動に加えて、上下方向に移動させている。
即ち、貯留容器12に導入されたドレンは、導入側中和部23においては主仕切壁46の連通孔28に向かって水平方向に流れ、第一排水側中和部76においては深底面壁49側に向かって下方向に流れて、第二排水側中和部77においては深底仕切壁54の上端側の流入部60に向かって水位を上昇させて、流入部60に到達した分から排水部59から排水されるため、貯留容器12に導入されたドレンは十分時間を掛けて中和される。これらにより、中和装置11を小型化した場合であっても、限られた容積内でドレンを中和させる流路長を確保できる。換言すると、本実施形態によれば、小型化した中和装置11から排水されるドレンは、十分に中和されて排水される。
特に、第二排水側中和部77においては、深底面壁49側から導入されるドレンが水位を上昇させて排水部59に至らせる構成とされているため、ドレンを下方に向けて流すより滞留時間を延長することができる。
【0077】
また、本実施形態では、貯留容器12内の空間を分割する仕切壁16が、本体部13の側面壁50と底面壁48,49と一体的に接合されているため、貯留容器12の堅牢性を高めることができる。即ち、貯留容器12の部材厚を薄肉化して、結果的に強度を弱めてしまう加工を施しても、堅牢性を高めた範囲内であれば、従来技術の中和装置の強度より低くなることはない。これにより、中和装置11を小型化した場合であっても、貯留容器12内の容積の低下を抑制することができ、ドレンを中和させる流路長が短くなることがない。
【0078】
上記実施形態では、本体部13が浅底面壁48と深底面壁49の2段構造とした構成を示したが、本発明はこれに限定されず、底面壁を1段又は3段以上の構成とした貯留容器であっても構わない。
例えば、図10に示すように、底面壁を1段構造とし、第二排水側中和部77をさらに複数の空間に分割した本体部91を採用しても構わない。
また、図11に示すように、底面壁を3段構造とした本体部101を採用しても構わない。
【0079】
上記実施形態では、仕切壁16に設けた連通孔28,66の開口形状を円形としたものを示したが、本発明はこれに限定されず、図12に示すように、楕円状や直線及び曲線からなる形状であっても構わない。この場合であっても、開口の下端部を容器の底面から一定距離離して配置させる必要がある。
【符号の説明】
【0080】
1 熱源機
7 ドレン排水系統
11 中和装置
12 貯留容器
16 仕切壁
17 浅底室
18 深底室
20 一次熱交換器
23 導入側中和部
25 二次熱交換器
28、66 連通孔
45 蓋側導入部(導入部)
46 主仕切壁(16に含まれる)
47 深底仕切壁(16に含まれる)
48 浅底面壁
49 深底面壁
50 側面壁
51 本体側導入部(導入部)
54 排水仕切壁(仕切部材)
59 排水部
60 流入部
67 切り欠き部
76 第一排水側中和部
77 第二排水側中和部
C 中和剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生するドレンが熱源機内から排出されるドレン排水系統の一部を形成する中和装置であって、
中和装置は、ドレンが貯留される貯留容器を有し、
貯留容器は、貯留容器と一体的に成形された複数の仕切壁を有し、当該仕切壁により複数の空間に分割され、少なくともいずれか1つの前記空間にはドレンを中和する中和剤が配されるものであって、
仕切壁の少なくとも一つには、隣接する空間同士を連通させる連通孔が設けられ、当該仕切壁の1つの側端部と底端部が、中和装置を熱源機に装着した状態で、貯留容器の1つの側面壁と底面壁に接合されると共に、当該仕切壁の他の1つの側端部が、貯留容器の他の1つの側面壁又は他の仕切壁の側面に接合され、
連通孔は、その開口の下端部が貯留容器の底面壁から一定距離離反した位置にあり、
貯留容器に導入されたドレンは、連通孔を通過して隣接する空間に流れることを特徴とする中和装置。
【請求項2】
連通孔は、開口形状が円と、楕円と、曲線及び直線からなる形状のいずれかとされていることを特徴とする請求項1に記載の中和装置。
【請求項3】
少なくとも1つの仕切壁は、中和装置を熱源機に装着した状態で、貯留容器の1対の側面壁及び底面壁に接合された主仕切壁であって、
主仕切壁により分割された空間のうちの1つは、ドレンが導入され一時的に滞留可能な導入部と、導入部よりドレンの流れ方向下流側に位置し中和剤が配される導入側中和部が設けられ、
主仕切壁により分割されたもう一つの空間には、ドレンが排出される排水部と、排水部よりドレンの流れ方向上流側に位置し中和剤が配される排水側中和部が設けられ、
排水部は、主仕切壁と他の仕切部材により囲繞されており、当該他の仕切部材は、上端側に排水部に至る流入部が設けられ、
貯留容器に導入されたドレンは、排水側中和部から流入部に至ることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和装置。
【請求項4】
貯留容器は、中和装置を熱源機に装着した状態で、底面の位置が鉛直方向に異なる複数段構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中和装置。
【請求項5】
貯留装置は、底面壁が浅底面壁と深底面壁の2段構造であって、
導入部と排水部の双方が浅底面壁側に配されていることを特徴とする請求項4に記載の中和装置。
【請求項6】
少なくとも1つの仕切壁は、中和装置を熱源機に装着した状態で、貯留容器の1対の側面壁及び底面壁に接合された主仕切壁であって、
深底室は、主仕切壁を交差するように配された深底仕切壁により空間が分割されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中和装置。
【請求項7】
深底仕切壁には、連通孔に加えて、上端にスリットが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の中和装置。
【請求項8】
貯留容器と仕切壁は、射出成型により成形されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の中和装置。
【請求項9】
貯留容器には、ドレンが一定水位となったことを検知する水位検知手段が配されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の中和装置。
【請求項10】
燃料を燃焼する燃焼装置と、燃焼装置が作動して生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、前記二次熱交換器で発生したドレンを中和する請求項1乃至9のいずれかに記載の中和装置を有し外部に排出するドレン排水系統を備えていることを特徴とする熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−206632(P2011−206632A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74424(P2010−74424)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】