説明

中空部材の接合構造及び治具

【課題】
中空部材、主に角鋼管と円鋼管、又は角鋼管同士をT字型に接合する際に、溶接も締結部材も一切不要で、部材の事前加工も最小限で済む、簡易でローコストな接合構造、並びに、該接合構造により、非熟練の作業者でも容易かつ確実な接合作業を行える治具を提供する。
【解決手段】
中空部材から成る第1部材と第2部材の軸線を交差させてT字型に接合する構造であって、第1部材の状面には、第2部材の断面形状に対応する形状で、その縁部に二つ一組の切欠を複数組有する貫通孔を設け、前記一組の切欠に挟まれた縁部を第1部材内部側に垂れ下がる下垂部となし、第2部材を前記貫通孔に貫入させると、前記下垂部が第2部材の外側部に噛合する。また、第1部材下面内側には、前記貫通孔の軸線上に第2部材の内側面の形状に対応する形状の凸部又は周壁を有する孔を設け、貫入後の第2部材の端部を該凸部又は該周壁に嵌合させることにより両部材を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部材、主に角鋼管と円鋼管、又は角鋼管同士を、相互にそれぞれの軸線を交差させて接合する接合構造に関し、また、該接合構造により中空部材を接合する作業の際に使用する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や構造物、仮設物、あるいは各種の什器等の骨格や支持構造においては、軽量化と強度確保のために中空部材、特に角鋼管や円鋼管からなる部材を接合する構造が多用されている。かかる接合構造の形態としては、主に二つの部材の軸線を交差させ、部材の端部同士をL字型に接合する形態、又は、一方の部材の側面に他方の部材の端部をT字型に接合する形態とがあり、必要に応じてそれらの形態が組み合わされる。特にT字型は、幅広い接合箇所において用いられるため、簡易で確実なT字型接合構造を採用することは、コストダウンの上で有益である。
【0003】
かかるT字型接合の構造として、部材となる中空部材が鋼管である場合は、主に溶接、又はボルトナット等による締結、あるいはそれらが併用されてきた。しかし、溶接作業は機材や技能工を必要とし、時間もかかるためコスト増の要因となり、またボルトナット等による締結も、接合方法にもよるが必然的に部品点数を増加させ、やはりコスト増となる。
【0004】
一方、建築物や構造物の躯体など大きな荷重や応力に対する強度を要求される場合はともかく、床面や天井材、内装材の支承や仮設物・什器等の骨格等の接合部など、余り大きな強度が求められない接合箇所においては、二つの部材を直接嵌合させる構造も多用されている。
【0005】
かかる二つの部材を直接嵌合させる接合構造としては、一方の部材の側面に貫通孔を設け、他方の部材の端部を該貫通孔に挿入して接合する構造が一般的であるが、この場合、そのままでは、挿入した部材の端部が貫通孔から抜けて脱落する可能性がある。特に、部材が中空部材、取り分け鋼管である場合は、管の肉厚は軽量化のために必要強度を満たす範囲で薄いものが用いられるが、接合時の両部材は前記貫通孔の肉厚断面のみで接触・支持される形となり、両部材間の摩擦も最小限となるため、外力を受けて接合部のズレや脱落が生じやすくなる。そのため、かかる嵌合構造を採用した場合であっても、最終的には接合部を溶接やボルトナット等を用いて締結する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、溶接やボルトナット等の別途の締結手段を用いずに、単に嵌合するだけで両部材の接合を固定できる簡易な構造を採用できれば、部品点数の削減や部材接合作業を簡素化できるため、作業性や生産性が高まり、大きなコストダウンの効果が期待できる。
【0007】
かかる中空部材の簡易な接合構造の例として、たとえば特許文献1(特開平7−197544号公報)に、溶接やボルトナット等を用いずに部材を接続する構造が開示されている。本先行技術は、一方の部材の側壁に複数の長孔を環状に形成し、他方の部材の端部に長孔に対応する係止部を先端に向けて広がる形に形成し、該係止部の先端には内向きの係合爪を設けて、長孔に係止部を挿入後、他方の部材に嵌め被せた筒状部材で係止部を緊縛することにより各係止部を内方へ押圧し、各係合爪が各長孔の内縁部にそれぞれ係止されることで両部材を固定するものである。
【特許文献1】特開2008−214927号公報
【0008】
しかし、本先行技術でも、最終的な部材の固定にはやはり筒状部材という別途の部材を必要とし、他方の部材の全体形状によっては、かかる筒状部材を予め嵌め被せておくことが困難であって適用が制限される場合も考えられる。また、本先行技術によると、他方の部材は一方の部材の側壁の一部にのみ接合されるため、一方の部材に肉厚の薄い鋼管等を用いた場合に、他方の部材に曲げや捻じれの力が加わると、前記側壁が容易に歪み易く、ひいては両部材の接合構造自体にも歪みが生じるという強度上の問題が予想される。
【0009】
ところで、本願出願人は、本願出願以前の出願(特願2010-216250号)にて、一方の部材(第1部材)に設けたホゾ孔に他方の部材(第2部材)のホゾ部を嵌合させ、両部材を貫通するボルトナットで締結することにより、溶接工程を不要とする中空角材の接合構造を提示し、特に、第2部材のホゾ部の形成に関して、効率的かつ効果的な構造を示した。当該接合構造は、簡易な構造の部材で強度の高い接合を実現するものであるが、それでも第2部材の端部にホゾ部を形成する加工工程とボルトナットという別個の部材を要するものであった。また、接合部に複雑な外力が加わる可能性が小さい接合箇所においては、かかる接合構造ほどの強度は必要とされないため、さらに簡易でコストダウン可能な接合構造が求められていた。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、かかる要求に応え、溶接工程も別個の締結部材等も一切必要とせず、接合前における部材の事前加工も最小限に抑えられる、簡易でローコストな中空部材の接合構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、中空部材から成る第1部材と第2部材がその軸線を交差させて接合された構造であって、第1部材の上面には第2部材の断面形状に対応する形状の貫通孔を有し、前記貫通孔はその縁部に二つ一組の切欠を複数組有し、前記貫通孔の縁部のうち前記二つ一組の切欠に挟まれた部分が前記貫通孔中心方向に突出しつつ第1部材内部側に垂れ下がる下垂部を成し、残余の縁部は前記第2部材の外側面に接する形状を有し、前記第1部材上面の貫通孔に前記第2部材の端部を貫入させた後は、前記下垂部の先端が前記第2部材の外側面に噛合することにより両部材が固定されることを特徴とする中空部材の接合構造である。
【0012】
前述の通り、中空部材同士を直接嵌合させ、溶接工程も別個の締結部材も一切使用せずに部材の接合状態を固定するためには、両部材が直接接触する箇所に、部材が容易に脱落分離しないよう係止する係止構造を設ける必要がある。請求項1に記載の発明は、かかる係止構造として、第1部材の上面に設けた第2部材を貫通させる貫通孔の縁部に二つ一組で複数組の切欠を設けて下垂部を形成する。該下垂部は前記貫通孔の縁部において残余の縁部よりも貫通孔の中心向きに突出し、かつ、下垂部の先端において形成される貫通孔の内径は第2部材の外径を僅かに下回るため、貫通孔に挿入された第2部材の端部は、前記残余の縁部とは抵触しないものの下垂部の先端とは抵触し、さらに挿入されることにより下垂部の先端と摩擦を生じつつそれらを押し拡げながら第1部材の内部に貫入する。この際、下垂部はその素材の弾性による反発力により第1部材の外側面を周囲から押圧し、第2部材を第1部材から引き抜こうとする外力に対しては、下垂部の先端が第2部材の外側面に食い込む、いわゆる「返し」の作用を生じる。そのため、第2部材が一旦第1部材内部の所定の位置まで進入した後は、前記押圧による緊縛作用と前記「返し」の作用により、当該位置で固定されるのである。
【0013】
なお、例えば後述の請求項6乃至請求項7に記載した治具を用いることにより、第2部材を第1部材に対して正確に垂直に位置決めした上で前記貫通孔に挿入することができるならば、前記下垂部は必ずしも事前に第1部材内部側に垂れ下がらせておく必要はない。前述の通り、前記貫通孔の縁部のうち前記二つ一組の切欠に挟まれた部分は前記貫通孔中心方向に突出しているため、第2部材を第1部材の貫通孔に当てがって挿入することにより、突出部分のみが第2部材の端部に押されて第1部材内部側に均等に垂れ下がるように変形し、下垂部が必然的に形成されるからである。この場合は、第1部材上面に貫通孔を形成した後に前記突出した縁部を折り曲げて下垂部を形成する工程が省略できる。
【0014】
次に、請求項2に記載した発明は、前記第1部材の下面内側の前記貫通孔の軸線上に、前記第2部材の内側面の形状に対応する形状の凸部を有し、前記貫通孔に貫入した前記第2部材の端部が該凸部に嵌合することにより両部材が固定されることを特徴とする請求項1に記載の中空部材の接合構造である。
【0015】
前述の請求項1の発明によれば、第1部材に貫入した第2部材は、前記貫通孔において、その外側面を前記下垂部に押圧、緊縛され、両部材の接合状態が一応は固定される。この状態でも、前記下垂部が発揮する「返し」の作用により、第1部材から第2部材を引き抜こうとする外力に対しては十分な結合強度を有するものの、第2部材の軸線に対して横方向の外力が加わった場合には、下垂部の先端と第2部材の外側部との接触点を支点として、第2部材がスリコギ状の揺動を生じる可能性があり、その場合、両部材の結合構造全体が歪みや撓み等の変形を起こすおそれがある。
【0016】
これを防ぐためには、結合状態において、第2部材の端部も第1部材に固定されている必要がある。そこで、請求項2の発明では、第1部材の下面内側の、前記貫通孔の軸線上に、第2部材の内側面の形状に対応する形状の凸部を設け、貫通孔に貫入した第2部材の端部を該凸部に嵌合させる。これにより、第2部材の端部は該凸部に固定されるため、第2部材に軸線に対して横方向の外力が加わった場合でも、前記スリコギ状の揺動を生じることが防がれ、両部材の結合構造にも変形を生じない。なお、かかる凸部の形成方法としては、第1部材の下面を外部から所定の金型でプレス加工する方法が最も簡易である。
【0017】
次に、請求項3に記載した発明は、前記第1部材下面内側の前記貫通孔の軸線上に、前記第2部材の内側面の形状に対応する形状の孔を有し、該孔の縁部が前記貫通孔方向に垂直に立ち上がる周壁を有して成り、前記第2部材の端部の内側面が該周壁の外側面に嵌合することにより両部材が固定されることを特徴とする請求項1に記載の中空部材の接合構造である。
【0018】
前述の請求項2の発明によれば、第1部材内部において第2部材の貫入端部を固定する凸部をプレス加工で形成できるが、この場合、該凸部は、プレス加工の性質上どうしても頂部に丸みを生じざるを得ず、第2部材の端部の断面内側部との固定箇所において滑りを生じ易く、第2部材に大きな外力が加わった場合に固定が外れる可能性がある。特に、第1部材壁面の肉厚が厚過ぎる場合には、凸部の頂部の丸みが大きくなって前記滑りを起こし易くなり、一方、逆に肉厚が薄過ぎる場合には、第2部材端部の固定に必要十分な凸部の高さを確保しにくいという問題が生ずる。
【0019】
そこで、請求項3の発明では、第1部材下面の前記貫通孔の軸線上に、第2部材の断面内側の形状に対応する形状の別途の孔を穿つと同時に、該孔の縁部を第1部材の内部に向けて第2部材の軸線方向に沿って前記貫通孔に向けて立ち上がる周壁を形成している。これにより、第1部材に貫入した第2部材の端部は、その内側面が該周壁の外側面にぴったり嵌合するため、より確実かつ強固に第2部材の端部を第1部材の内部で固定することができる。この場合、固定箇所において滑りが生じにくくなるだけでなく、第1部材壁面の肉厚の大小に関わらず、必要に応じて任意の高さの周壁を形成できるため、本発明の適用範囲が拡がる。
【0020】
なお、第2部材の端部の固定方法としては、第1部材下面に、第2部材端部の外側面の形状に一致する単純な第二の貫通孔を設け、前記第1部材上面の貫通孔(記載の便宜上、ここではこれを第一の貫通孔と記す。)から貫入した第2部材の端部を、そのまま第二の貫通孔をも通過させて第1部材の下面外側まで突出させて固定する方法も考えられる。この場合、第2部材は、第一の貫通孔と第二の貫通孔の2箇所で第1部材に嵌合して支持され、さらに、第二の貫通孔にも第一の貫通孔と同様の下垂部を設ければ、前記の「返し」の効果による固定力も倍増するから、極めて強固かつ確実な接合構造とすることができる。
【0021】
しかし、かかる接合構造自体は従来から公知の技術に過ぎず、また、この場合、第1部材の下面外側には多少とも第2部材の端部が突出することになる。そのため、たとえば、本発明を、第1部材を床面や設備機器を支える水平横桁とし、第2部材を該横桁を支える垂直支持柱とする支持構造体等の形成に適用する場合には、支持柱である第2部材の端部が横桁である第1部材の上面に突出することにより、横桁上に設置する床材や設備の下面と干渉するおそれを生じる点で不利である。その点、請求項3の発明によれば、第1部材の下面に孔を穿つと同時に周壁を立ち上げることは従来のプレス加工により容易に実現できるから、最小限の工程で確実に第2部材端部を固定する凸部を形成できるだけでなく、発明の適用範囲を狭める第2部材端部の突出も不要となる点において、より優位な接合構造といえる。
【0022】
次に、請求項4に記載した発明は、第2部材の側面外周上の、両部材が固定された時点において前記下垂部の先端が接触する位置に、第2部材の軸線に対して垂直方向の固定用溝を設けて成り、該下垂部の先端が該固定用溝に噛合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の中空部材の接合構造である。
【0023】
請求項1乃至請求項3の発明においては、第1部材上面の貫通孔の縁部が形成する下垂部の先端が、第2部材の外側面に噛合することにより、押圧による緊縛作用と「返し」の作用により、両部材を固定する。請求項4の発明は、これらの発明に対し、さらに両部材が固定された時点において前記下垂部の先端が接触する位置に、第2部材の軸線に対して垂直方向の固定用溝を設けているため、第2部材が第1部材の内部の所定の位置まで貫入したところで、該下垂部の先端が該固定用溝に噛合するから、さらに緊密かつ確実な固定が行われる。また、両部材が鋼管等の不透明素材である場合、作業者にとっては第2部材が第1部材にどの程度の深さまで貫入しているかは外部から視認できないが、かかる固定用溝を設けることにより、該固定用溝と前記下垂部が噛み合った時点で所定の深さまで貫入が完了したことが容易に確認できる。これにより、第2部材の貫入が不足して固定が不十分となることや、逆に必要以上に深く貫入させ過ぎて第1部材の下面を変形させてしまうという作業上の失敗を防ぐことができ、非熟練の作業員でも的確に接合作業が行える。
【0024】
次に、請求項5に記載した発明は、第2部材の外側面に、その軸線方向に沿って直線状のガイド溝を少なくとも一つ設けるとともに、前記下垂部の先端に該ガイド溝に対応する突起を設け、該ガイド溝に該突起を沿わせつつ第2部材を前記貫通孔に貫入させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の中空部材の接合構造である。
【0025】
第2部材が中空角材、例えば角鋼管とした場合では、第1部材へ貫入させる際の第2部材の断面の向きはおのずと固定されるが、中空の円筒、例えば円鋼管とした場合は、断面の向きは任意となる。ここで、第2部材の側面に、接合後にさらに他の部材を取り付けるための孔等を設ける必要がある場合には、該孔等が所定の向きとなるよう、第2部材の貫入断面の向きを正確に設定する必要が生じるが、円鋼管である第2部材の向き正確に設定することは作業上難しく、一旦両部材を接合してしまった後で、第2部材を回転させて微修正を行うことも困難である。
【0026】
そこで、予め第2部材の表面に、その軸線方向に沿って少なくとも一つの直線状のガイド溝を設けるとともに、前記下垂部の先端に該ガイド溝に対応する突起を、該ガイド溝に該突起が嵌った状態において第2部材の貫入断面の向きが所望の方向となるよう設けておく。そうすれば、両部材の結合作業に当たり、該ガイド溝に該突起を沿わせてから第2部材を貫入することで、第2部材の貫入断面の向きがズレる失敗を防ぐことができる。
【0027】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明に係る接合構造を適用して中空部材を接合するために用いる治具であって、第1部材を固定する固定部材と、挿入前の第2部材をその軸線が前記貫通孔の軸線と合致する位置に固定する位置決め部材とを有することを特徴とする。
【0028】
前記の請求項1乃至請求項5に記載の発明の適用に当たっては、いずれも第2部材の外側面と下垂部の先端とが接した状態下で、摩擦を生じつつ第2部材を第1部材に貫入させていく作業となる。具体的には、ハンマー等で第2部材の他端を叩く、あるいは動力機器を用いて強制的に圧入する等の方法があるが、その際には、第2部材が傾かないように挿入する必要がある。たとえば鋼管等の金属部材を用いた場合に第2部材を傾いたまま貫入させると、下垂部に不均等な摩擦が生じ、ひいては貫入孔自体を変形させてしまうおそれがある。また、請求項2又は請求項3の発明においては、第2部材が傾いたままだと、当然、その端部が第1部材の凸部(あるいは周壁)に正確に嵌合せず、固定が不十分となる。しかも、本発明による接合構造は、一旦接合を完了した後は第2部材を容易には抜去し難い不可逆的な接合となるため、接合が不完全となった場合であっても、事後的に修正を施すことは難しい。そのため、本発明による接合作業に当たっては、第2部材を垂直に貫通孔に貫入させる作業を正確かつ容易に行うための治具が必要とされる。
【0029】
請求項6の発明に係る治具は、上記の必要に応えるものであり、第1部材を固定する固定部材として、たとえば平面板状の架台上に、水平に寝かせた第1部材の側面を両側から挟みこんで固定する二本のレールを設置し、一方、貫入前の第2部材を正確に垂直を維持しつつ支承する位置決め部材として、垂直に立てた第2部材の外側面を挟みこんで固定するブロック部材を、第1部材を跨ぐ形で前記レール上の所定の位置に設置する。作業者は、第1部材を架台上のレールの間に寝かせて固定した上で、垂直に立てた第2部材を前記ブロック部材に当てがい、その状態でハンマー等を用いて第2部材の他端を上方から叩きこむことで、第2部材の端部を第1部材の貫通孔に正確かつ容易に貫入させることができるのである。
【0030】
次に、請求項7の発明は、請求項3に記載の構造により中空部材を接合するために用いる治具であって、架台上に第2部材の内側面に対応する外側面を有する垂直突起を設けて成り、該垂直突起の先端を絞り込み形状としたことを特徴とする治具である。
【0031】
本発明によれば、請求項3の発明に係る中空部材の接合構造による接合作業を行う場合、前記垂直突起が該孔に挿入されるよう第1部材を本治具に載せるだけで、第1部材が水平に固定される。一方、該垂直突起は第1部材の内側面に対応する外側面を有しているため、固定された第1部材の貫通孔に上方から第2部材の端部を挿入すると、該端部は前記垂直突起の先端に嵌め被さる形となり、さらに挿入を進めると第2部材は該垂直突起の外側部に沿って垂直下方に誘導され、最終的に前記周壁に嵌め被さることにより第1部材に固定される。
【0032】
本治具は、請求項6に記載の治具に比べ構造が簡易であり、単に第1部材を本治具に載せるだけで直ちに第2部材の挿入準備が完了するだけでなく、挿入時に第2部材を厳密に垂直に保たなくても、第1部材への貫入が進む過程で垂直突起に沿って必然的に垂直が保たれ、周壁に嵌め被さる形に誘導される。また、垂直突起の先端を絞り込み形状としているため、たとえ貫入開始時点で第2部材が若干傾いて挿入されたとしても、その端部は前記絞り込み形状に沿って傾きが修正されて誘導されるため、作業者が非熟練の場合であっても失敗を少なくできる。
【0033】
以上のように、請求項3の接合構造を適用する場合に限っては、本発明に係るより簡易な構造の治具を用いることで接合作業を容易化できるため、さらなるコストダウンが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る中空部材の接合方法及び治具によれば、中空部材、特に角鋼管と円鋼管、又は角鋼管同士を、相互にそれぞれの軸線を交差させて接合する場合において、溶接工程も別個の締結部材等も一切必要とせず、接合前における部材の事前加工も最小限に抑えられるため、建築物や構造物、仮設物、あるいは各種の什器・設備等の骨格や支持構造を製作する工程において大幅にコストを削減できるという効果を奏する。また、簡易な構造の治具を用いて、非熟練の作業者でも容易かつ確実に接合作業を行えるため、従来の接合構造に比べて作業効率の向上と人件費抑制によるコスト削減の効果も奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下では、本発明に係る中空部材の接合構造及び治具の実施の形態について、図1乃至図13に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1及び図2は、本発明に係る接合構造の概略を示す斜視図である。図1は、第1部材10として角鋼管を、第2部材20として円鋼管を用いた場合であって、左図が接合前、右図が接合後の状態を示している。図2は、第2部材20にも角鋼管を用いた場合を示している。
第1部材の上面には貫通孔30が設けられ、下面の内部側には凸部40が設けられており、第2部材20は第1部材10に対して軸線が直交する形に、上方から垂直にその端部を貫通孔30に挿入し、最終的に端部が凸部40に嵌め被さる形で固定される。
【0037】
図3は、前記貫通孔30の、下垂部32を形成する前の段階として貫通孔30を穿った直後の状態の拡大平面図である。貫通孔30の外周には、二つ一組の切欠31を、互いに向かい合う位置に二組づつ、合計四組設けている。また、貫通孔30の円形縁部は内側円と外側円の二つの同心円から成るが、外側円の直径は第2部材20の外側直径に一致し、内側円の直径は該外側直径より小さくなるよう設定する。また、前記一組の切欠31に挟まれた縁部33aは前記内側円に、残余の縁部33bは前記外側円に沿って形成する。そのため、縁部33aは縁部33bに比べ貫通孔30の中心方向に突出する形となり、本実施例では、これら縁部33aを下方に均一の角度で折り曲げることにより下垂部32を形成する。下垂部32の先端が形成する下垂後の内側円の直径は、第2部材20の外側直径よりも小さくなるため、第2部材20を貫通孔30に挿入した際に、その該第2部材の外側部は、縁部33bには干渉しないが、下垂部32の先端には干渉して、摩擦を生じながら第1部材10の内部へと貫入するのである。なお、前述の通り、第2部材20を貫通孔30に対して正確に垂直に挿入することができる場合には、必ずしも前記の縁部33aを事前に下方に折り曲げておく必要はなく、挿入する第2部材20の端部に押されて均等に下垂することにより、必然的に下垂部32が形成される。
【0038】
なお、切欠31の組数やその配置、一組における二つの切欠31の形状や間隔、外側円と内側円のそれぞれの直径、及び縁部33aを下垂部32に形成するための折り曲げ角度等の諸元は、第1部材の素材や肉厚、第2部材の外側直径に応じて適宜設定するものとし、本実施例の構成に限定されるものではない。また、図2に示す如く、第2部材20を角鋼管とした場合は、貫通孔30もその断面形状に合わせ正方形又は長方形とするが、第2部材20の断面形状に関わらず、切欠31の配置、すなわち下垂部32の配置については、貫通孔30の縁部において偏りを生じると、第2部材20が貫入の際に傾きを生じ易くなるため、可能な限り等間隔かつ互いに対面するように設定することが望ましい。
【0039】
図4A、図4B、図4Cは、第1部材の軸線方向の断面拡大図である。これらのうち図4Aは、請求項1に記載の接合構造に係るものであるが、第1部材10の上面に貫通孔30を設け、縁部33aを下方に折り曲げて下垂部32を形成し、残余は外側円に沿って縁部33bを形成させ、第1部材の下面には凸部を設けていない。また、図4Bは、請求項2に記載の接合構造における第1部材の一例を示すものであるが、第1部材の下面内側にはプレス加工により貫通孔30の軸線上に中心が一致するよう形成した凸部40を設けており、該凸部40の形状は、第2部材の端部が丁度嵌め被さる形とする。さらに、図4Cは、請求項3に記載の接合構造における第1部材の一例を示すものであるが、第1部材10の下面には貫通孔30の軸線上に中心が一致するよう孔41を設け、該孔41の縁部は貫通孔30の軸線に沿って上方に立ち上がる周壁42を有して成る。該周壁42の形状は、やはり第2部材の挿入端部が丁度嵌め被さる形とする。
【0040】
これら第1部材の3つの形状の選択は任意であるが、接合後の第2部材20に、その軸線に対して垂直方向の外力が加わる可能性が小さい場合、言い換えれば、その軸線方向の外力のみを考慮すれば良い場合には、図4Aに示した凸部の無い形状を採用しても事足りる。一方、前記軸線に対する垂直方向の外力が想定される場合には、図4B乃至図4Cに示した凸部40又は周壁42を有する形状を採用することが望ましい。特に、第1部材10の肉厚が薄過ぎて、プレス加工によっても凸部40の突出高さを十分に確保できないような場合や、逆に肉厚が厚過ぎて、凸部40の頂部の丸みが大きくなるため第2部材20との間で滑りを起こし易いような場合には、図4Cに示す周壁42を有する形状を採用することがより望ましい。
【0041】
図5は、図1の接合前、接合後の状態を側面方向から示す断面図であるが、本図における第1部材10は、前記図4Cに示す形状を採用している。第1部材10の上面に設けられた貫通孔30の断面は、その縁部の一部が第1部材内部側に垂れ下がる下垂部32を成しており、第2部材20は、貫通孔30に貫入した後、右図に示す如く、その端部が周壁42に嵌め被さって固定される。また、第2部材20の外側面には下垂部32の先端が噛合している。接合後の状態にあっては、第2部材20は貫通孔30と周壁42の二箇所で第1部材10に固定されるため、第2部材20にその軸線に垂直方向に外力が加わった場合でも揺動せず、接合構造に歪みや撓みを生じさせない。また、第2部材20は下垂部32を押し下げながら貫通孔30に貫入するため、下垂部32は素材の弾性による反発力により第2部材の外側部を周囲から押圧して緊縛するとともに、第2部材を第1部材から引き抜こうとする外力に対しては、下垂部32の先端が第2部材の外側面に食い込む「返し」の作用を生じて抵抗するため、容易に抜脱することはない。
【0042】
図6は、請求項4に記載の接合構造における、第2部材20の拡大斜視図である。第2部材20の側面外周上には、その軸線に対して垂直方向に固定用溝21が設けられており、該固定用溝21の位置は、第2部材20が第1部材10に貫入して完全に接合した時点において、前記下垂部32の先端が丁度噛合する位置とする。これにより、下垂部32の先端による第2部材20の外側面への「返し」の作用がより強化されて、接合をさらに緊密化する効果を奏する。また、接合作業の際、作業者は、該固定用溝21の第1部材10に対する位置を目安としながら第2部材20の挿入作業を進めることができ、さらに、固定用溝21に下垂部32が噛合した瞬間に音が発生するから、接合の完了を容易に確認できる。これにより、非熟練の作業員でも容易かつ確実に接合作業を行うことが可能となる。
【0043】
図7は、請求項5に記載の接合構造における、第2部材20の拡大斜視図である。第2部材20の外側面には、その軸線方向に挿入端部から少なくとも貫通孔30に至る長さの直線状のガイド溝22を設けている。また、図8は、前記図3に示した貫通孔30において、縁部33bの一つの縁部に突起34を設けた状態を示す平面図である。前記突起34の形状は、前記ガイド溝22に合致するものとし、突起34を形成する位置は、第2部材20の第1部材10に対する所定の向きに対応して設定する。作業者が、前記突起34を前記第2部材のガイド溝22に合致させた上で挿入作業を行うことにより、挿入作業の間、第2部材20はガイド溝22と噛合した突起34に回転を規制され続ける。
【0044】
これにより、第2部材20が円鋼管である場合であっても、作業者は、その断面方向の向きを所定の方向に向けて確実に位置決めした上で挿入を開始できるし、作業中に第2部材20が回転を起こして断面方向の向きがズレることを防げるため、非熟練の作業者であっても失敗なく確実に接合作業を完了できる。なお、かかるガイド溝22と突起34の組の数は任意であり、第2部材の断面直径方向に互いに向き合うように二組以上設ければ作業の確実性をより高められるが、一組でも最低限、所定の目的は達せられる。
【0045】
図9は、請求項6に記載の、本発明に係る接合構造を適用して中空部材を接合するために用いる治具(以下「ブロック型治具60」と記す。)の一実施例を示す斜視図である。本ブロック型治具60は、第1部材の固定部材として、平面板状の架台61の上に二本のガイドレール62とストッパー63を設置してあり、該ガイドレール62の間に第1部材10を水平に寝かせ、ストッパー63に端部を当てがうことにより固定する。また、該ガイドレール62上には、第1部材10に密着して跨ぐブロック形状の位置決め部材64を設置している。該位置決め部材64は、第2部材20を正確に垂直に保持する形状の凹部65を有し、第2部材20を該凹部65に当てがった際に、第2部材の軸線が第1部材の貫通孔30の軸線と正確に一致する位置で前記ガイドレール62に取り付けられている。なお、挿入作業中に前記凹部65に当てがった第2部材20が凹部65から離れないように、位置決め部材64には第2部材20を固定する留め具(図示せず)を設けてもよい。
【0046】
本ブロック型治具治具60を用いれば、第1部材10と第2部材20を本治具に固定するだけで両部材の位置決めが完了するから、後は第2部材20の他端を垂直方向にハンマー等あるいは動力機器を用いて下方に挿入するだけで良いので、非熟練の作業者であっても極めて容易かつ確実に接合作業を完了することができる。
【0047】
図10は、請求項3の接合方法に係る第1部材10を用いる場合にのみ使用する、請求項7に記載の治具(以下「突起型治具70」と記す。)の一実施例を示す斜視図である。また、図11は、本突起型治具70を用いて第1部材10を固定し、第2部材20を接合を完了させた状態を側面から観た断面図である。本突起型治具70は、架台となる平面板状の固定板71の上面中心部に略円筒型の垂直突起72を設けている。該垂直突起72は、第2部材20の内側面に対応する外側面を有し、また、その先端部は絞り込み形状としている。そして、第1部材10を本突起型治具70上に水平に載せた場合に、その下面の孔41を通して第1部材10の中に貫入し、それを固定する。その後、第2部材20の端部を前記貫通孔30の上方から第1部材10の内部に垂直に貫入させると、該端部は、絞り込んだ先端部から垂直突起72の外側部に沿って下方に進み、最終的に前記孔41の縁に立ち上がるよう形成された周壁42に嵌め被さることで第1部材10の下面内側に固定される。この際、第2部材20の挿入軸線が多少垂直からズレたとしても、前記絞り込み形状の垂直突起72の先端部に接触した時点でこのズレは自動的に修正される。そのため、本治具は、前述のブロック型治具60のように第1部材10を固定するガイドレール62やストッパー63、垂直保持のための凹部65を有する位置決め部材64を必要とせず、極めて簡易な構造とすることができる。
【0048】
ただ、上記の構成では、垂直突起72の形状を略円筒型としているため、その外径を前記第1部材10の下面の孔41にぴったりと嵌合する大きさとした場合、第2部材20の内側側面との間には前記周壁42の肉厚分の隙間が生じざるを得ず、貫通孔30から挿入された第2部材20の軸線の垂直がブレるおそれがないとはいえない。
【0049】
図12は、かかる問題を解決する突起型治具70の別形態の一実施例を示す斜視図である。また、図13は、当該別形態の突出型治具70に適応する孔41及び周壁42の拡大平面図である。本別形態の突起型治具70は、前記略円筒型の垂直突起72に代えて、略長方形の板材を上方から見て十字型に交差する形状に組み合わせて構成した垂直突起73を平面板状の固定板71の中心部に設置している。該垂直突起73は、前記板材の外側辺がいずれも第2部材20の内側面に一致するようその幅が設定されており、その頂部はやはり全体として絞り込み形状となるよう曲線状にカットしてある。このため、垂直突起73は、嵌め被さる第2部材20の内側面に前記板材の外側辺断面でのみ接触する形となるものの、略円筒型の垂直突起72と同様に貫入してくる第2部材20を垂直下方に誘導する機能を有する。一方、図14に示す通り、本別形態の突起型治具70に対応する孔41は、前記垂直突起73を構成する板材の外側辺に対応する縁部切欠43を有し、さらに前記周壁42にも前記縁部切欠43に対応する位置に新たに周壁切欠44を設けている。そのため、垂直突起73の最大水平幅を第2部材20の内側面に一致する幅としても、周壁42の肉厚に干渉されることなく孔41を通過して第1部材10に嵌合することができる。これにより、図15、図16に示す通り、上方から挿入された第2部材20の端部の内側面は、垂直突起73の外側辺に密着しつつ下方に貫入し、最終的に正確に周壁42に嵌め被さって第1部材10の下面内側に固定されるのである。
【0050】
以上、本発明に係る中空部材の接合構造及び治具の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において改良又は変更が可能であり、それらは本発明の技術的範囲に属するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る中空部材の接合構造は、建築物や構造物、仮設物、あるいは各種の什器等の骨格や支持構造など幅広い分野に適用可能であり、溶接やボルトナット等の別個の締結部材を一切用いることなく、しかも部材の事前加工も最小限とできるため、部材の製作工場内・施工現場のいずれにおいても大幅なコストダウンの効果を奏する。また、本発明に係る治具を用いれば、非熟練の作業者でも容易かつ効率的に部材の正確な接合が可能となるので、人件費の面でもコストダウンに資する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1部材10を角鋼管、第2部材20を円鋼管とした場合の、本発明に係る中空部材の接合構造の概略を示す斜視図である。
【図2】第1部材10、第2部材20とも角鋼管とした場合の、本発明に係る中空部材の接合構造の概略を示す斜視図である。
【図3】第1部材10に設ける貫通孔30の、下垂部32を形成する前の段階として単に貫通孔を穿った状態の拡大平面図である。
【図4A】凸部40を設けない場合の、第1部材10の軸線方向の断面拡大図である。
【図4B】凸部40を設けた場合の、第1部材10の軸線方向の断面拡大図である。
【図4C】凸部40に代えて、孔41とその縁部に周壁42を形成した場合の、第1部材10の軸線方向の断面拡大図である。
【図5】図1に示す中空部材の接合構造の、接合前・接合後のそれぞれの状態を側面方向から示す断面図である。
【図6】請求項4に記載の接合構造における、第2部材20の拡大斜視図である。
【図7】請求項5に記載の接合構造における、第2部材20の拡大斜視図である。
【図8】図3に示す貫通孔30において、縁部33bの一つの外縁部に突起34を設けた状態を示す拡大平面図である。
【図9】請求項6に記載の本発明に係る接合構造を適用して中空部材を接合するために用いるブロック型治具60の一実施例を示す斜視図である。
【図10】請求項3に記載の接合方法に係る第1部材10を用いる場合にのみ使用する、請求項7に記載の突出型治具70の一実施例を示す斜視図である。
【図11】図10に示す突出型治具を用いて第1部材10を固定し第2部材20を接合させた状態を側面から観た断面図である。
【図12】突出型治具70の別形態の一実施例を示す斜視図である。
【図13】図12に示す別形態の突出型治具70に適応する孔41及び周壁42の拡大平面図である。
【図14】別形態の突出型治具70に適応する孔41及び収益42の拡大斜視図である。
【図15】別形態の突出型治具70を適用して第1部材10と第2部材20を接合させた状態を示す斜視図である。
【図16】別形態の突出型治具70を適用して第1部材10と第2部材20を接合させた状態を側面から観た断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 第1部材(角鋼管)
20 第2部材(円鋼管)
21 固定用溝
22 ガイド溝
30 貫通孔
31 切欠
32 下垂部
33a 縁部(内側円側)
33b 縁部(外側円側)
34 突起
40 凸部
41 孔
42 周壁
43 縁部切欠
44 周壁切欠
50 第2部材(角鋼管)
60 ブロック型治具
61 架台
62 ガイドレール
63 ストッパー
64 位置決め部材
65 凹部
70 突起型治具
71 固定板
72 垂直突起(円筒型)
73 垂直突起(板材型)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部材から成る第1部材と第2部材がその軸線を交差させて接合された構造であって、第1部材の上面には第2部材の断面形状に対応する形状の貫通孔を有し、前記貫通孔はその縁部に二つ一組の切欠を複数組有し、前記貫通孔の縁部のうち前記二つ一組の切欠に挟まれた部分が前記貫通孔中心方向に突出しつつ第1部材内部側に垂れ下がる下垂部を成し、残余の縁部は前記第2部材の外側面に接する形状を有し、前記第1部材上面の貫通孔に前記第2部材の端部を貫入させた後は、前記下垂部の先端が前記第2部材の外側面に噛合することにより両部材が固定されることを特徴とする中空部材の接合構造。
【請求項2】
前記第1部材の下面内側の前記貫通孔の軸線上に、前記第2部材の内側面の形状に対応する形状の凸部を有し、前記貫通孔に貫入した前記第2部材の端部が該凸部に嵌合することにより両部材が固定されることを特徴とする請求項1に記載の中空部材の接合構造。
【請求項3】
前記第1部材下面内側の前記貫通孔の軸線上に、前記第2部材の内側面の形状に対応する形状の孔を有し、該孔の縁部が前記貫通孔方向に垂直に立ち上がる周壁を有して成り、前記第2部材の端部の内側面が該周壁の外側面に嵌合することにより両部材が固定されることを特徴とする請求項に記載の中空部材の接合構造。
【請求項4】
前記第2部材の側面外周上には、両部材が固定された時点において前記下垂部の先端が接触する位置に前記第2部材の軸線に対して垂直方向の固定用溝を設けて成り、該下垂部の先端が該固定用溝に噛合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の中空部材の接合構造。
【請求項5】
前記第2部材の外側面に、その軸線方向に沿って直線状のガイド溝を少なくとも一つ設けるとともに、前記下垂部の先端に該ガイド溝に対応する突起を設け、該ガイド溝に該突起を沿わせつつ第2部材を前記貫通孔に貫入させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の中空部材の接合構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の構造により中空部材を接合するために用いる治具であって、前記第1部材を固定する固定部材と、貫入前の前記第2部材をその軸線が前記貫通孔の軸線と合致する位置に固定する位置決め部材とを有することを特徴とする治具。
【請求項7】
請求項3に記載の構造により中空部材を接合するために用いる治具であって、架台上に前記第2部材の内側面に対応する外側面を有する垂直突起を設けて成り、該垂直突起の先端を絞り込み形状としたことを特徴とする治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−162899(P2012−162899A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23371(P2011−23371)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【特許番号】特許第4726266号(P4726266)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(310020286)葛城工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】