中継装置、中継方法および通信システム
【課題】通信品質の信頼性を向上させること。
【解決手段】中継装置12は、転送部12aと、受信部12bと、切替部12cと、を備えている。転送部12aは、前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する。受信部12bは、転送部12aによって転送されたデータの異常を示す異常情報を後段の通信装置から受信する。切替部12cは、受信部12bによって受信された異常情報に基づいて転送部12aによるデータの転送先を切り替える。
【解決手段】中継装置12は、転送部12aと、受信部12bと、切替部12cと、を備えている。転送部12aは、前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する。受信部12bは、転送部12aによって転送されたデータの異常を示す異常情報を後段の通信装置から受信する。切替部12cは、受信部12bによって受信された異常情報に基づいて転送部12aによるデータの転送先を切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを中継する中継装置、中継方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
RTP(Real−time Transport Protocol)およびRTCP(RTP Control Protocol)を終端するVoIP(Voice over Internet Protocol)処理に通話断監視タイマがある。通話断監視タイマは、通話中にRTPおよびRTCPの転送を監視し、双方のパケットが受信できなかった場合は呼を終了する。たとえば、終話処理としては、たとえばSIP(Session Initiation Protocol)で「BYE」を発生させる。
【0003】
固定電話網と同等の音声品質が要求されるネットワークの通信経路は、たとえばRSVP(Resource reSerVation Protocol)を実装したルータなどの機器で構築される。このようなネットワークの通信経路は、機器の故障が発生したときに通信経路がダウンしない網構成(冗長構成)になっている。
【0004】
RSVPのリフレッシュメッセージに異常が発生した場合は、中継ルータの資源帯域予約は削除され、ゲートウェイは通信経路の品質が保てないと判断して通話呼を終話する。通話断監視により異常を検出した場合は、ゲートウェイは通話呼を終話し、RSVPの切断メッセージで中継ルータの資源帯域予約を削除する。
【0005】
この場合は、通話呼送信元のゲートウェイが故障した可能性もあるため、一概に中継ルータが故障したとは判断できない。しかし、中継ルータが故障した場合は、新たな通話呼が故障した中継ルータを経由すると再び通話断が発生することになり通信の信頼性が保てず、何処で故障が発生しているのか探索に時間を要することになる。
【0006】
通話品質を監視する方法として、RTP/RTCPをモニタすることにより通話の異常を検出する方法がある。ゲートウェイだけでRTP/RTCPをモニタする場合は、ネットワークを構成する中継ルータの何処かで異常が発生していたときに、異常を発見するまでの故障探索に時間を要する。
【0007】
そこで、ネットワークの異常を検出するため、ネットワークを構成する中継ルータにもRTP/RTCPモニタを実装する方法が考えられる。たとえば、中継ルータで検出した異常を品質レポートとして、中継ルータを監視するサーバや保守者等に通知する方法が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−73211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では、通信品質の信頼性を向上させることができないという問題がある。たとえば、中継ルータで検出した異常を、各中継ルータを一元管理するサーバや保守者などに品質レポートとして通知する場合は、サーバや保守者などによって異常箇所が特定されるため、異常箇所の切り離しや新たな通信経路の確立をサーバや保守者が集中管理によって行うことになる。このため、異常箇所の切り離しや新たな通信経路の確立に時間がかかり、通信品質の信頼性を向上させることができない。
【0010】
開示の中継装置、中継方法および通信システムは、上述した問題点を解消するものであり、通信品質の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送し、転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信し、受信された異常情報に基づいて前記データの転送先を切り替えることを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
開示の中継装置、中継方法および通信システムによれば、通信品質の信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図2】RSVPメッセージの転送を示す図である。
【図3−1】中継装置による異常検出時の動作を示す図(その1)である。
【図3−2】中継装置による異常検出時の動作を示す図(その2)である。
【図4】パスメッセージの転送を示す図である。
【図5】リソース予約メッセージの転送を示す図である。
【図6】異常の発生箇所の特定およびリソースの消去を示す図である。
【図7】異常の発生箇所を迂回する迂回経路の確立を示す図である。
【図8】中継装置の機能的な構成例を示す図である。
【図9】リソース予約メッセージの具体例を示す図である。
【図10】パスエラーメッセージの具体例を示す図である。
【図11】リソース予約エラーメッセージの具体例を示す図である。
【図12】パスメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図13】リソース予約メッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図14】パスエラーメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図15】データフローの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図16】図6に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。
【図17】図7に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、開示の中継装置、中継方法および通信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。開示の中継装置、中継方法および通信システムは、転送したデータフローの異常情報を後段の通信装置から受信し、異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替える。これにより、データフローの転送経路を中継装置が自律的に切り替え、通信品質の信頼性を向上させる。
【0015】
(実施の形態)
(通信システムの構成)
図1は、実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる通信システム10は、中継装置11〜15を含んでいる。通信システム10は、たとえば、中継装置11の前段の通信装置(不図示)から送信されたデータフロー(データ)を中継装置11〜15により転送し、中継装置15の後段の通信装置(不図示)へ送信する通信システムである。
【0016】
中継装置11〜15は、データフローを転送するための冗長な経路を構成している。たとえば、データフローは、中継装置11、中継装置12、中継装置13、中継装置15の順に経由する経路によって転送可能である。また、データフローは、中継装置11、中継装置12、中継装置14、中継装置15の順に経由する経路によっても転送可能である。
【0017】
ここで、中継装置11〜15のそれぞれにおいて、自装置へデータフローを送信する送信元の通信装置を前段の通信装置と称し、自装置からデータフローを送信する送信先の通信装置を後段の通信装置と称する。たとえば、中継装置12においては、中継装置11が前段の通信装置であり、中継装置13および中継装置14が後段の通信装置である。
【0018】
中継装置11〜15のそれぞれは、前段の通信装置からのデータフローを後段の通信装置へ転送する。たとえば、中継装置11は、前段の通信装置(不図示)からのデータフローを後段の中継装置12へ転送する。中継装置12は、前段の中継装置11からのデータフローを後段の中継装置13または中継装置14へ転送する。
【0019】
中継装置13は、前段の中継装置12からのデータフローを後段の中継装置15へ転送する。中継装置14は、前段の中継装置12からのデータフローを後段の中継装置15へ転送する。中継装置15は、前段の中継装置13または中継装置14からのデータフローを後段の通信装置(不図示)へ転送する。
【0020】
これにより、中継装置11の前段の通信装置(不図示)から送信されたデータフローを中継装置11〜15により転送し、中継装置15の後段の通信装置へ送信することができる。つぎに、中継装置12の具体的な構成を説明する。中継装置12は、転送部12aと、受信部12bと、切替部12cと、送信部12dと、を備えている。
【0021】
転送部12aは、前段の通信装置(中継装置11)からのデータフローを後段の通信装置(中継装置13または中継装置14)へ転送する。初期状態において、転送部12aは、中継装置11からのデータフローを中継装置13へ転送するものとする。また、転送部12aによるデータフローの転送先は、切替部12cによって切り替えられる。
【0022】
受信部12bは、転送部12aによって転送されたデータフローの異常を示す異常情報を後段の通信装置(中継装置13)から受信する。転送部12aによって転送されたデータフローの異常には、たとえば、中継装置12から中継装置13へ転送される間に発生した異常や、中継装置13から中継装置15へ転送される間に発生した異常などが含まれる。異常情報は、たとえば、異常が検出された通信装置を示す情報や、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路の有無を示す情報などを含む。受信部12bは、受信した異常情報を切替部12cおよび送信部12dへ出力する。
【0023】
切替部12cは、受信部12bから出力された異常情報に基づいて、転送部12aによるデータフローの転送先を中継装置13とは異なる通信装置に切り替える。たとえば、切替部12cは、異常情報に基づいて、中継装置13を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がある場合はデータフローの転送先を切り替えず、迂回経路がない場合はデータフローの転送先を中継装置13から中継装置14へ切り替える。
【0024】
送信部12dは、受信部12bから出力された異常情報を前段の通信装置(中継装置11)へ送信する。また、送信部12dは、検出部12eから出力された異常情報を前段の通信装置(中継装置11)へ送信する。たとえば、送信部12dは、自装置を経由して後段の通信装置(中継装置13)を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を送信する。
【0025】
検出部12eは、前段の通信装置(中継装置11)からのデータフローの異常を検出する。検出部12eは、検出した異常を示す異常情報を送信部12dへ出力する。検出部12eが出力する異常情報は、たとえば、異常が検出された通信装置(中継装置12)を示す情報(IPアドレスなど)である。
【0026】
また、中継装置11,13〜15も中継装置12と同様の構成を備えているとする。ここで、中継装置13と中継装置15との間においてデータフローの異常19が発生したとする。この場合は、中継装置15の検出部12eによって異常19が検出される。そして、異常19が検出された中継装置15を示す異常情報が中継装置13へ送信される。
【0027】
中継装置13は、中継装置15からの異常情報に基づいて、異常19が検出された中継装置15が後段の通信装置であるため、自装置が異常19の発生箇所(中継装置13と中継装置15の間)に含まれていることを認識することができる。この場合は、中継装置13は、中継装置13を経由して異常19の発生箇所を迂回する迂回経路の有無を判断し、判断結果を示す異常情報を中継装置12へ送信する。ここでは、中継装置13を経由して異常19の発生箇所を迂回する迂回経路はないため、「中継装置13からの迂回経路なし」を示す異常情報が中継装置13から中継装置12へ送信される。
【0028】
中継装置12は、中継装置13からの異常情報に基づいて、異常19が検出された中継装置15が後段の通信装置でないため、自装置が異常19の発生箇所に含まれていないことを認識することができる。また、転送部12aは、中継装置13からの異常情報が「中継装置13からの迂回経路なし」を示しているため、データフローの転送先を中継装置13から中継装置14へ切り替える。これにより、データフローが中継装置12から中継装置14へ転送され、中継装置14から中継装置15へ転送されるようになる。また、転送部12aは、異常19を示す異常情報を中継装置11へ送信する。
【0029】
このように、中継装置11〜15は、転送されたデータフローの異常を示す異常情報を後段の通信装置から受信し、受信された異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替える。これにより、データフローの転送先においてエラーが発生した場合に、データフローの転送経路を自律的に切り替えることができる。このため、データフローの異常の救済を短時間で行うことができる。
【0030】
たとえば、中継装置11〜15は、受信した異常情報に基づいて、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がない場合にデータフローの転送先を切り替え、迂回経路がある場合はデータフローの転送先を切り替えない。これにより、最小限の経路変更により、異常の発生箇所を迂回する新たな転送経路を確立することができる。
【0031】
また、受信された異常情報を前段の通信装置へ送信して異常の発生を前段の通信装置へ通知することで、前段の通信装置においてデータフローの転送経路の自律的な切り替えが可能になる。また、前段の通信装置からのデータフローの異常を検出することで、データフローの異常を中継装置において自律的に検出することができる。また、検出した異常を示す異常情報を前段の通信装置へ送信することで、前段の通信装置においてデータフローの転送経路の自律的な切り替えが可能になる。
【0032】
また、中継装置11〜15は、異常が検出された通信装置が後段の通信装置である場合に、自装置を経由して後段の通信装置を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を前段の通信装置へ送信する。これにより、自装置が異常の発生箇所に含まれている場合に、自装置を経由する迂回経路があるか否かを前段の通信装置へ通知し、前段の通信装置において、データフローの転送先を切り替えるか否かを自律的に判断することが可能になる。
【0033】
図1に示した通信システム10は、たとえばRSVPを備えたネットワークに適用することができる。この場合は、中継装置11〜15のそれぞれは、パスメッセージやリソース予約メッセージを含むRSVPメッセージ(制御メッセージ)を送受信し、RSVPメッセージを用いてデータフローの通信路の品質確保を行う処理部を備える。
【0034】
また、受信部12bは、中継装置13から送信されたRSVPメッセージに格納された異常情報を受信する。また、送信部12dは、異常情報をRSVPメッセージに格納して中継装置11へ送信する。このように、データフローの異常を示す異常情報をRSVPメッセージに格納して送受信することで、新たな規格を追加しなくてもデータフローの異常を示す異常情報を送受信することができる。
【0035】
また、中継装置11〜15のそれぞれは、受信部12bによって受信された異常情報に基づく通知部を備えていてもよい。ユーザ(たとえば保守者)へ通知する異常19の情報は、たとえば、異常19が発生したことを示す情報でもよいし、異常19の発生箇所(中継装置13と中継装置15との間)を示す情報などであってもよい。これにより、データフローの転送経路を自律的に切り替えて異常の救済を短時間で行いつつ、異常19の情報を保守者へ通知して故障箇所の検査や交換を促すことができる。
【0036】
なお、通信システム10が中継装置11〜15を含む構成について説明したが、通信システム10はこのような構成に限らない。たとえば、中継装置11に代えて、データフローを生成して送信するゲートウェイなどの通信装置を設けてもよい。また、中継装置15に代えて、データフローを受信するゲートウェイなどの通信装置を設けてもよい。
【0037】
(RSVPメッセージを利用した異常の通知)
図2は、RSVPメッセージの転送を示す図である。図2に示すように、通信システム20は、ゲートウェイGW1,GW2およびルータR1,R2を含んでいる。矢印21に示すように、通信システム20においては、ゲートウェイGW2からのデータフローをルータR2、ルータR1の順に転送してゲートウェイGW1へ送信する。ルータR1,R2のそれぞれには、たとえば図1に示した中継装置12を適用することができる。
【0038】
また、通信システム20においては、RSVPを用いてデータフローの通信路の品質確保を行う。具体的には、ゲートウェイGW2は、データフローの送信中に、リフレッシュメッセージとしてパスメッセージ(Path Msg)を定期的に送信する。ゲートウェイGW2によって送信されたパスメッセージは、ルータR2、ルータR1の順に転送されてゲートウェイGW1へ送信される。
【0039】
ルータR1,R2は、パスメッセージを転送する際に、パスメッセージに対するゲートウェイGW1からのリソース予約メッセージをゲートウェイGW2へ転送するためのパスを確保する。リソース予約メッセージをゲートウェイGW2へ転送するためのパスは、パスメッセージのパスのリバースパスである。
【0040】
ゲートウェイGW2からのパスメッセージを受信したゲートウェイGW1は、パスメッセージに対するリソース予約メッセージ(Resv Msg)を送信する。ゲートウェイGW1によって送信されたリソース予約メッセージは、ルータR1、ルータR2の順に転送されてゲートウェイGW2へ送信される。ルータR1,R2は、リソース予約メッセージを転送する際に、ゲートウェイGW2からのデータフローをゲートウェイGW1へ転送するためのリソースを確保する。
【0041】
これにより、パスメッセージによって確保されたパスとリソース予約メッセージによって確保されたリソースによって、ゲートウェイGW2からのデータフローが通信路の品質を確保された状態でゲートウェイGW1へ転送される。ここでは、リフレッシュメッセージとして送信されるRSVPメッセージについて説明したが、データフローの送信前の初期設定のために送信されるRSVPメッセージについても同様である。
【0042】
図2に示した状態において、ルータR1の検出部12eが、ルータR2から転送されたデータフローの異常を検出(たとえば断検出)したとする。つぎに、ルータR1による異常検出時の動作について説明する(図3−1,図3−2参照)。
【0043】
図3−1は、中継装置による異常検出時の動作を示す図(その1)である。データフローの異常を検出したルータR1は、ルータR2からのパスメッセージを受信すると、検出したデータフローの異常を示す異常情報をルータR2へ送信する。具体的には、ルータR1は、図3−1に示すように、受信したパスメッセージに対するパスエラーメッセージ(Err Msg)に異常情報を格納してルータR2へ返送する。さらに、ルータR1は、データフローの異常を示す異常情報をルータR1の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ルータR1の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0044】
ルータR2は、ルータR1から返送されたパスエラーメッセージに格納された異常情報によって、ルータR2とルータR1との間においてデータフローの異常が発生したことを認識することができる。ルータR2は、ルータR1から返送されたパスエラーメッセージをゲートウェイGW2へ転送する。さらに、ルータR2は、データフローの異常を示す異常情報をルータR2の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ルータR2の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0045】
ゲートウェイGW2は、ルータR2から返送されたパスエラーメッセージに格納された異常情報によって、ルータR2とルータR1との間においてデータフローの異常が発生したことを認識することができる。ゲートウェイGW2は、データフローの異常を示す異常情報をゲートウェイGW2の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ゲートウェイGW2の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0046】
図3−2は、中継装置による異常検出時の動作を示す図(その2)である。データフローの異常を検出したルータR1は、ゲートウェイGW1からのリソース予約メッセージを受信すると異常情報をゲートウェイGW1へ送信する。具体的には、ルータR1は、図3−2に示すように、受信したリソース予約メッセージに対するリソース予約エラーメッセージ(Err Msg)に異常情報を格納してゲートウェイGW1へ返送する。
【0047】
ゲートウェイGW1は、ルータR1から返送されたリソース予約エラーメッセージに格納された異常情報によって、ルータR2とルータR1との間においてデータフローの異常が発生したことを認識することができる。ゲートウェイGW1は、データフローの異常を示す異常情報をゲートウェイGW1の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ゲートウェイGW1の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0048】
図3−1および図3−2に示したように、データフローの異常を検出した場合に、検出した異常を示す異常情報をRSVPのエラーメッセージに格納して送信することで、前段および後段の通信装置にデータフローの異常を通知することができる。これにより、データフローの異常を通知するための新たな信号を送受信しなくても、各通信装置においてデータフローの異常を認識することができる。このため、新たな転送経路を各中継装置により自律的に確立したり、各中継装置にデータフローの異常を通知することが可能になる。
【0049】
(自律的な経路切替)
図4は、パスメッセージの転送を示す図である。図4に示すように、通信システム40は、ゲートウェイGW1,GW2およびルータR1〜R4を含んでいる。ルータR1〜R4のそれぞれには、たとえば図1に示した中継装置12が適用される。矢印41に示すように、通信システム40においては、ゲートウェイGW1からゲートウェイGW2へデータフローが転送される。また、ゲートウェイGW1、ルータR1、ルータR2、ルータR4、ゲートウェイGW2の順に経由する経路でRSVPリソースが予約されている。
【0050】
ゲートウェイGW1は、ゲートウェイGW2を宛先とするデータフローを送信する。また、ゲートウェイGW1は、ゲートウェイGW2を宛先とするパスメッセージ(Path Msg)をリフレッシュメッセージとして定期的に送信する。ルータR1,R2,R4のそれぞれは、ゲートウェイGW1からのデータフローを前段の通信装置から受信すると、受信したデータフローを後段の通信装置へ転送する。
【0051】
そして、ルータR1,R2,R4のそれぞれは、データフローを送信したパスに沿って、ゲートウェイGW1からのパスメッセージ(Path Msg)を転送する。データフローを送信したパスは、たとえば、ルーティングによって得たユニキャスト/マルチキャストのルートである。ゲートウェイGW2は、ゲートウェイGW1から送信されてルータR1,R2,R4により転送されたパスメッセージを受信する。これにより、データフローを受信するゲートウェイGW2が、正しいパス(パスメッセージのリバースパス)に沿ってリソース予約メッセージ(Resv Msg)を送信することができる。
【0052】
パスメッセージを受信したルータR1,R2,R4は、パス情報のテーブルを内部に作成して保持する。パス情報には、たとえば、パスメッセージのリバースパスに沿ってリソース予約メッセージを転送するためのネクストホップ/プリビアスホップ(最後に通過したノード)のIPアドレスが含まれる。そして、パスメッセージがホップして中継されるたびに、ネクストホップ/プリビアスホップのIPアドレスが変更される。
【0053】
パスメッセージに含まれる情報は、たとえば、セッション情報、ネクストホップ/プリビアスホップ情報、リフレッシュ間隔情報、送信元ホスト情報、送信元ホストのトラフィック仕様情報、ポリシー情報などである。パスメッセージが送信されるパス上に存在するルータR1,R2,R4は、受信したパスメッセージに従って一時的にパス情報を記憶する。ルータR1,R2,R4がパス情報を維持するために、ゲートウェイGW1は定期的にパスメッセージを送信する。
【0054】
ルータR1,R2,R4のそれぞれは、パスメッセージを受信した際の処理でエラーが発生した場合は、パスエラーメッセージのエラー通知情報にエラー内容を格納してパスメッセージの送信元へ送信する。エラー内容が格納されたパスエラーメッセージは、各ルータのホップバイホップでゲートウェイGW1へ転送される。
【0055】
図5は、リソース予約メッセージの転送を示す図である。パスメッセージを受信したゲートウェイGW2は、パスメッセージが経由したパスのリバースパスに沿ってリソース予約メッセージ(Resv Msg)を送信する。したがって、ゲートウェイGW2からのリソース予約メッセージは、ルータR4,R2,R1を経由してゲートウェイGW1へ送信される。ルータR4,R2,R1のそれぞれは、通過するリソース予約メッセージに基づいて、内部でリソース予約情報用のテーブルを作成して保持する。
【0056】
パスメッセージと同様に、リソース予約メッセージには、リソース予約メッセージをリバースパスに沿って転送するためのネクストホップ/プリビアスホップ(最後に通過したノード)のIPアドレスが含まれている。そして、リソース予約メッセージがホップして中継されるたびに、ネクストホップ/プリビアスホップのIPアドレスが変更される。
【0057】
リソース予約メッセージに含まれる情報は、セッション情報、ネクストホップ/プリビアスホップ情報、リフレッシュ間隔情報、リソース予約方式情報、フロー仕様情報、フィルタ仕様情報などである。リソース予約メッセージが送信されたパス上に存在するルータR4,R2,R1は、受信したリソース予約メッセージに従って一時的にリソース予約情報を維持する。ルータR4,R2,R1がリソース予約情報を維持するために、ゲートウェイGW2は定期的にリソース予約メッセージを送信する。
【0058】
RSVPを実装したルータR1〜R4は、QoS(Quality of Service)機能を提供するために、クラシファイ、ポリシー制御、スケジューラといったトラフィック制御を実行する。ルータR1〜R4のそれぞれは、リソース予約メッセージを受信すると、要求されたQoSに対して十分なリソースを提供できるかをチェックする。その結果、有効と判断された場合には、クラシファイやスケジューラの処理へ移行し、有効と判断されなかった場合には、リソース予約を要求した送信元に対してリソース予約エラーメッセージを返送する。
【0059】
図6は、異常の発生箇所の特定およびリソースの消去を示す図である。図4および図5に示した通信システム40において、ルータR2とルータR4との間でデータフローに異常61が発生したとする。この場合はルータR4によって異常61が検出される。
【0060】
ルータR4は、異常61を検出すると、ゲートウェイGW2から受信するリソース予約メッセージ(Resv Msg)に対するリソース予約エラーメッセージに、異常61を示す異常情報を格納する。そして、ルータR4は、異常情報を格納したリソースエラー予約メッセージ(Err Msg)をゲートウェイGW2へ返送する。
【0061】
また、ルータR4は、異常61を検出すると、ルータR2から受信するパスメッセージ(Path Msg)に対するパスエラーメッセージに、異常61を示す異常情報を格納する。そして、ルータR4は、異常情報を格納したパスエラーメッセージ(Err Msg)をルータR2へ返送する。
【0062】
ルータR2は、ルータR4からのパスエラーメッセージに格納された異常情報に基づいて異常61を認識する。また、ルータR2は、異常情報に基づいて、自装置が異常61の発生箇所に含まれていると判断する。また、ルータR2は、ルータR2を経由して異常61の発生箇所(ルータR2とルータR4の間)を迂回する迂回経路がないため、「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報をパスエラーメッセージに格納する。そして、ルータR2は、異常情報を格納したパスエラーメッセージをルータR1へ転送する。
【0063】
ルータR1は、ルータR2からのパスエラーメッセージに格納された異常情報に基づいて異常61を認識するとともに、「ルータR2からの迂回経路なし」の情報を取得する。これに対して、ルータR1は、データフローの転送先の候補からルータR4を除外する。ルータR1は、パスエラーメッセージをゲートウェイGW1へ転送する。これにより、ルータR1、ルータR2、ルータR4の順に経由する経路のリソースは消去される。
【0064】
図7は、異常の発生箇所を迂回する迂回経路の確立を示す図である。ルータR1には、後段の通信装置としてルータR2,R3が接続されている。このため、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのデータフローを受信すると、ルータR2,R3のいずれかをデータフローの転送先として選択する。ここでは、ルータR2がルータR1の転送先から除外されているため、ルータR1はルータR3をデータフローの転送先として選択する。そして、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのデータフローをルータR3へ転送する。
【0065】
これにより、ルータR1、ルータR3、ルータR4の順に経由する新たな経路が確立される。新たに確立された経路は、異常61の発生箇所(ルータR2とルータR4との間)を迂回する迂回経路である。また、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのパスメッセージもルータR3へ転送する。これにより、ゲートウェイGW1からのパスメッセージも新たに確立された迂回経路によってゲートウェイGW2へ転送される。このため、ゲートウェイGW2は、新たに確立された迂回経路のリバースパス(ルータR4,R3,R1、ゲートウェイGW1の順)によってリソース予約メッセージを送信することができる。
【0066】
(中継装置の機能的な構成例)
図8は、中継装置の機能的な構成例を示す図である。図8に示す中継装置80は、たとえば図4〜図7に示したルータR1〜R4に適用することができる。中継装置80は、RSVPプロセス部81と、ポリシー制御部82と、アドミッション制御部83と、ルーティングプロトコルプロセス部84と、パケット分類部85と、アラーム記憶部86と、パケットスケジューラ部87と、を備えている。
【0067】
RSVPプロセス部81は、前段の通信装置および後段の通信装置との間で制御メッセージを送受信し(RSVP送信通知)、送受信する制御メッセージを用いてデータフローの通信路の品質確保を行う処理部である。制御メッセージは、RSVPの制御メッセージであり、具体的にはパスメッセージ、リソース予約メッセージ、パスエラーメッセージおよびリソース予約エラーメッセージなどである。
【0068】
RSVPプロセス部81においてリソース予約メッセージが受信されると、パケット分類部85、アドミッション制御部83、ポリシー制御部82、パケットスケジューラ部87によって、QoS機能を提供するためのトラフィック制御が行われる。ポリシー制御部82は、RSVPプロセス部81におけるRSVPプロセスに関するポリシー制御を行う。アドミッション制御部83は、RSVPプロセス部81におけるRSVPプロセスに関するアドミッション制御を行う。
【0069】
ルーティングプロトコルプロセス部84は、RSVPプロセス部81によるRSVPプロセスに基づいて、パケット分類部85におけるデータパケットのルーティングを制御する。たとえば、ルーティングプロトコルプロセス部84は、RSVPプロセス部81によって送受信されるリソース予約メッセージから、RSVPの対象パケットの抽出条件を取得し、取得した抽出条件をパケット分類部85へ出力する。
【0070】
パケット分類部85は、前段の通信装置からのパケットデータを受信する。そして、パケット分類部85は、受信するパケットデータのヘッダ(IPアドレス、ポート番号など)を取得し、取得したヘッダに基づいてパケットデータを分類する。たとえば、パケット分類部85は、ルーティングプロトコルプロセス部84から出力されるRSVPの対象パケットの抽出条件を用いてRSVPの対象パケット(データフロー)を抽出する。パケット分類部85は、分類したパケットデータをパケットスケジューラ部87へ出力する。
【0071】
パケットスケジューラ部87は、パケット分類部85から出力されたパケットデータのスケジューリングを行い、スケジューリング結果に基づいてパケットデータを後段の通信装置へ送信する。パケットスケジューラ部87は、たとえば、パケット分類部85によってRSVPの対象パケットとして分類されたパケットデータについて、RSVPプロセス部81によるRSVPプロセスに従ってスケジューリングを行う。
【0072】
<転送部の実装例>
図1に示した転送部12aは、たとえばパケット分類部85およびパケットスケジューラ部87によって実現される。パケット分類部85およびパケットスケジューラ部87は、前段の通信装置からのパケットデータのうちの、RSVPの対象パケットの抽出条件を用いて抽出したパケットデータをデータフローとして後段の通信装置へ転送する。
【0073】
<検出部の実装例>
図1に示した検出部12eは、たとえばパケット分類部85によって実現される。たとえば、パケット分類部85にRTP/RTCPモニタの機能を設ける。具体的には、パケット分類部85は、RSVPの対象パケットに分類したパケットデータの異常を検出する。たとえば、パケット分類部85は、RSVPの対象パケットを前回受信してからの時間をモニタするタイマを備え、タイマによってモニタされた時間が所定時間以上になると対象パケットに異常が発生したと判断する。
【0074】
パケット分類部85は、パケットデータの異常を検出するとアラーム記憶部86へアラーム情報を記憶する。タイマによってモニタする所定時間は、利用するネットワークによって異なるため設定を可変とする。また、パケット分類部85によってアラーム記憶部86に記憶されたアラーム情報は、一定時間後にクリアされるようにしてもよいし、中継装置80の保守者の操作によってクリアされるようにしてもよい。
【0075】
<受信部および送信部の実装例>
図1に示した受信部12bおよび送信部12dは、たとえばRSVPプロセス部81によって実現される。RSVPプロセス部81により、パスエラーメッセージやリソース予約エラーメッセージに異常情報を格納して送信することができる。また、RSVPプロセス部81により、パスエラーメッセージやリソース予約エラーメッセージに格納された異常情報を受信することができる。
【0076】
また、RSVPプロセス部81は、異常情報に基づいて、自装置が異常の発生箇所に含まれているか否かを判断する。具体的には、RSVPプロセス部81は、異常情報が示す異常が検出された通信装置のIPアドレスと、異常情報を格納したエラーメッセージの送信元IPアドレスと、を比較する。
【0077】
RSVPプロセス部81は、比較したIPアドレスが同じである場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断する。また、RSVPプロセス部81は、比較したIPアドレスが異なる場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていないと判断する。たとえば、ルータR2においては、自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断される。また、ルータR1においては、自装置が異常の発生箇所に含まれていないと判断される。
【0078】
RSVPプロセス部81は、自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断した場合は、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路があるか否かを判断する。迂回経路がないと判断した場合は、RSVPプロセス部81は、自装置からの迂回経路がないことを示す異常情報をエラーメッセージに格納する。
【0079】
<切替部の実装例>
図1に示した切替部12cは、たとえばルーティングプロトコルプロセス部84によって実現される。ルーティングプロトコルプロセス部84は、RSVPプロセス部81によって送受信されるパスエラーメッセージから、所定の通信装置からの迂回経路がないことを示す異常情報を取得して記憶しておく。そして、ルーティングプロトコルプロセス部84は、中継装置80によってデータフローを転送する際に、記憶しておいた異常情報に基づいてデータフローの転送先を選択する。
【0080】
たとえば、ルータR1のルーティングプロトコルプロセス部84は、ルータR2から送信された「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報を記憶しておく。そして、ルータR1のルーティングプロトコルプロセス部84は、ルータR1によってデータフローを転送する際に、記憶した「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報に基づいて転送先からルータR2を除外する。ルーティングプロトコルプロセス部84は、除外されていないルータR3を転送先として選択するようにパケット分類部85を制御する。
【0081】
(RSVPメッセージの具体例)
図9は、リソース予約メッセージの具体例を示す図である。図9に示すリソース予約メッセージ90は、RSVPプロセス部81によって送受信されるリソース予約メッセージの一例である。リソース予約メッセージ90には、RSVPの対象パケットの抽出条件となるフィルタ仕様情報91やセッション情報92などが含まれている。
【0082】
パケット分類部85は、たとえば、フィルタ仕様情報91やセッション情報92などを抽出条件としてルーティングプロトコルプロセス部84から取得し、取得した抽出条件によって受信するパケットデータからRSVPの対象パケットを抽出する。ただし、RSVPの対象パケットの抽出条件はユーザによって任意に設定可能にしてもよい。
【0083】
図10は、パスエラーメッセージの具体例を示す図である。図10に示すパスエラーメッセージ100は、RSVPプロセス部81によって送受信されるパスエラーメッセージの一例である。パスエラーメッセージ100には、パスメッセージの送受信において発生したエラーの内容が格納されるエラー通知情報101が含まれている。
【0084】
エラー通知情報101にはエラーコード102が含まれている。ここでは、エラーコード102の未定義の値を利用して、パケット分類部85において検出されたデータフローの異常を示す「データフロー異常」を定義する。エラーコード102は、たとえば8bitで管理されており、現在、23(0x17)まで定義済みある。そこで、たとえば、「エラーコード=32(0x20)」を「データフロー異常」として定義する。また、たとえば、エラーコード102に代えて、エラーコード102に付随するエラーバリュー103を利用して「データフロー異常」を定義してもよい。
【0085】
RSVPプロセス部81は、パスメッセージを受信するとアラーム記憶部86を参照する。そして、RSVPプロセス部81は、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、符号104に示す「エラーの発生したノードのIPアドレス」に自装置のIPアドレスを格納し、エラーコード102に「エラーコード=32」を格納する。そして、自装置のIPアドレスおよび「エラーコード=32」を格納したパスエラーメッセージ100をパスメッセージの送信元へ返送する。
【0086】
たとえば、ルータR4は、ルータR2からのパスメッセージを受信し、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、ルータR4のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納したパスエラーメッセージ100をルータR2へ返送する。これにより、ルータR2,R1およびゲートウェイGW1は、ルータR4からのパスエラーメッセージ100に格納された「エラーコード=32」により異常発生を認識することができる。また、ルータR2,R1およびゲートウェイGW1は、パスエラーメッセージ100に格納されたルータR4のIPアドレスにより異常の発生箇所を特定することができる。
【0087】
また、エラーコード102の未定義の値を利用して、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す「迂回経路なし」を定義する。たとえば、「エラーコード=33(0x21)」を「迂回経路なし」として定義する。また、たとえば、エラーコード102に代えて、エラーコード102に付随するエラーバリュー103を利用して「迂回経路なし」を定義してもよい。
【0088】
たとえば、ルータR2は、ルータR2を経由して異常の発生箇所(ルータR2とルータR4の間)を迂回する迂回経路はないため、エラーコード102に「エラーコード=33」を格納したパスエラーメッセージ100をルータR1へ送信する。ルータR1は、ルータR2から受信したパスエラーメッセージ100に「エラーコード=33」が格納されているため、ルータR2を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路はないことを認識することができる。これに対して、ルータR1は、ルータR2を除外して(あるいは優先度を下げて)データフローの転送先を選択する。
【0089】
図11は、リソース予約エラーメッセージの具体例を示す図である。図11に示すリソース予約エラーメッセージ110は、RSVPプロセス部81によって送受信されるリソース予約エラーメッセージの一例である。リソース予約エラーメッセージ110には、リソース予約エラーメッセージ110の送受信において発生したエラーの内容が格納されるエラー通知情報111が含まれている。
【0090】
エラー通知情報111にはエラーコード112が含まれている。リソース予約エラーメッセージ110においても、パスエラーメッセージ100と同様に、「エラーコード=32(0x20)」を「データフロー異常」として定義してエラーコード112に格納する。また、エラーバリュー113に「データフロー異常」を定義してもよい。
【0091】
RSVPプロセス部81は、リソース予約メッセージ90を受信するとアラーム記憶部86を参照する。そして、RSVPプロセス部81は、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、符号114に示す「エラーの発生したノードのIPアドレス」に自装置のIPアドレスを格納し、エラーコード112に「エラーコード=32」を格納する。そして、自装置のIPアドレスおよび「エラーコード=32」を格納したリソース予約エラーメッセージ110をリソース予約メッセージ90の送信元へ返送する。
【0092】
たとえば、ルータR4は、ゲートウェイGW2からのリソース予約メッセージ90を受信し、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、ルータR4のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納した異常情報をゲートウェイGW2へ返送する。これにより、ゲートウェイGW2は、ルータR4からのリソース予約エラーメッセージ110に格納された「エラーコード=32」により異常発生を認識することができる。また、ゲートウェイGW2は、リソース予約エラーメッセージ110に格納されたルータR4のIPアドレスにより異常の発生箇所を特定することができる。
【0093】
また、エラーコード112の未定義の値を利用して、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す「迂回経路なし」を定義する。たとえば、「エラーコード=33(0x21)」を「迂回経路なし」として定義する。また、たとえば、エラーコード112に代えて、エラーコード112に付随するエラーバリュー113を利用して「迂回経路なし」を定義してもよい。
【0094】
(中継装置の動作例)
図12は、パスメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、前段の通信装置からパスメッセージを受信したか否かを判断し(ステップS1201)、パスメッセージを受信するまで待つ(ステップS1201:Noのループ)。パスメッセージを受信すると(ステップS1201:Yes)、アラーム記憶部86を参照してデータフローの異常を検出したか否かを判断する(ステップS1202)。
【0095】
ステップS1202において、データフローの異常を検出していない場合(ステップS1202:No)は、ステップS1201によって受信されたパスメッセージのエラーがあるか否かを判断する(ステップS1203)。パスメッセージのエラーは、たとえばパスメッセージのヘッダ情報の不整合などである。パスメッセージのエラーがない場合(ステップS1203:No)は、ステップS1201によって受信されたパスメッセージに基づいてデータフローのためのパスを確保する(ステップS1204)。
【0096】
つぎに、ステップS1201によって受信されたパスメッセージを後段の通信装置へ転送し(ステップS1205)、一連の動作を終了する。ステップS1203において、パスメッセージのエラーがある場合(ステップS1203:Yes)は、パスメッセージのエラーの内容を格納したパスエラーメッセージ100をパスメッセージの送信元へ返送し(ステップS1206)、一連の動作を終了する。
【0097】
ステップS1202において、データフローの異常を検出した場合(ステップS1202:Yes)は、パスエラーメッセージ100にデータフローの異常を示す異常情報を格納する(ステップS1207)。具体的には、パスエラーメッセージ100のエラー通知情報101に自装置のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納する。
【0098】
つぎに、ステップS1207によって異常情報を格納したパスエラーメッセージ100をパスメッセージの送信元へ返送し(ステップS1208)、一連の動作を終了する。以上の各ステップにより、データフローの異常を検出した場合にパスエラーメッセージ100を利用して異常情報を前段の通信装置へ送信することができる。
【0099】
図13は、リソース予約メッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、後段の通信装置からリソース予約メッセージ90を受信したか否かを判断し(ステップS1301)、リソース予約メッセージ90を受信するまで待つ(ステップS1301:Noのループ)。リソース予約メッセージ90を受信すると(ステップS1301:Yes)、アラーム記憶部86を参照してデータフローの異常を検出したか否かを判断する(ステップS1302)。
【0100】
ステップS1302において、データフローの異常を検出していない場合(ステップS1302:No)は、ステップS1301によって受信されたリソース予約メッセージ90のエラーがあるか否かを判断する(ステップS1303)。リソース予約メッセージ90のエラーは、たとえばリソース予約メッセージ90のヘッダ情報の不整合などである。
【0101】
ステップS1303において、リソース予約メッセージ90のエラーがない場合(ステップS1303:No)は、ステップS1301によって受信されたリソース予約メッセージ90に基づいてデータフローのためのリソースを確保する(ステップS1304)。つぎに、ステップS1301によって受信されたリソース予約メッセージ90を前段の通信装置へ転送し(ステップS1305)、一連の動作を終了する。
【0102】
ステップS1303において、リソース予約メッセージ90のエラーがある場合(ステップS1303:Yes)は、リソース予約エラーメッセージ110をリソース予約メッセージ90の送信元へ返送し(ステップS1306)、一連の動作を終了する。ステップS1306によって送信するリソース予約エラーメッセージ110は、リソース予約メッセージ90のエラーの内容を格納したリソース予約エラーメッセージ110である。
【0103】
ステップS1302において、データフローの異常を検出した場合(ステップS1302:Yes)は、リソース予約エラーメッセージ110に異常情報を格納する(ステップS1307)。具体的には、リソース予約エラーメッセージ110のエラー通知情報111に自装置のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納する。
【0104】
つぎに、ステップS1307によって異常情報を格納したリソース予約エラーメッセージ110をリソース予約メッセージ90の送信元へ返送し(ステップS1308)、一連の動作を終了する。以上の各ステップにより、データフローの異常を検出した場合に、検出したデータフローの異常を示す異常情報をリソース予約エラーメッセージ110を利用して後段の通信装置へ送信することができる。
【0105】
図14は、パスエラーメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、後段の通信装置からパスエラーメッセージ100を受信したか否かを判断し(ステップS1401)、パスエラーメッセージ100を受信するまで待つ(ステップS1401:Noのループ)。
【0106】
ステップS1401において、パスエラーメッセージ100を受信すると(ステップS1401:Yes)、受信したパスエラーメッセージ100に異常情報が格納されているか否かを判断する(ステップS1402)。異常情報は、たとえば、異常を検出した通信装置のIPアドレスと、「エラーコード=32」または「エラーコード=33」である。
【0107】
ステップS1402において、パスエラーメッセージ100に異常情報が格納されている場合(ステップS1402:Yes)は、自装置が異常の発生箇所に含まれているか否かを判断する(ステップS1403)。たとえば、異常を検出した通信装置のIPアドレスを異常情報から取得し、取得したIPアドレスとパスエラーメッセージ100の送信元IPアドレスとを比較する。そして、各IPアドレスが一致した場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断し、各IPアドレスが一致しなかった場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていないと判断する。
【0108】
ステップS1403において、自装置が異常の発生箇所に含まれていない場合(ステップS1403:No)は、ステップS1406へ移行する。自装置が異常の発生箇所に含まれている場合(ステップS1403:Yes)は、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路があるか否かを判断する(ステップS1404)。迂回経路がある場合(ステップS1404:Yes)は、ステップS1406へ移行する。
【0109】
ステップS1404において、迂回経路がない場合(ステップS1404:No)は、パスエラーメッセージ100の異常情報を更新する(ステップS1405)。具体的には、パスエラーメッセージ100のエラー通知情報101のエラーコード102に「エラーコード=33」を格納する。
【0110】
つぎに、異常情報を記憶し(ステップS1406)、ステップS1407へ移行する。ステップS1406において記憶する異常情報は、たとえば、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す情報である。ステップS1402において、異常情報が格納されていない場合(ステップS1402:No)は、ステップS1401において受信されたパスエラーメッセージ100を前段の通信装置へ転送し(ステップS1407)、一連の動作を終了する。
【0111】
以上の各ステップにより、異常が検出された通信装置が後段の通信装置である場合に、自装置を経由して後段の通信装置を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を前段の通信装置へ送信することができる。また、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す異常情報を後段の通信装置から受信した場合は、この異常情報を記憶しておくことができる。
【0112】
図15は、データフローの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、前段の通信装置からデータフローを受信したか否かを判断し(ステップS1501)、データフローを受信するまで待つ(ステップS1501:Noのループ)。データフローを受信すると(ステップS1501:Yes)、図14のステップS1406によって異常情報が記憶されているか否かを判断する(ステップS1502)。ステップS1502における異常情報は、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す異常情報である。
【0113】
ステップS1502において、異常情報が記憶されていない場合(ステップS1502:No)は、データフローを転送し(ステップS1503)、一連の動作を終了する。ステップS1503においては、図12のステップS1204によって確保されたパスおよび図13のステップS1304によって確保されたリソースによってデータフローを転送する。ステップS1502において、異常情報が記憶されている場合(ステップS1502:Yes)は、異常情報が示すIPアドレス(異常が発生した箇所)を迂回する迂回経路によってデータフローを転送し(ステップS1504)、一連の動作を終了する。
【0114】
たとえば、ルーティングプロトコルプロセス部84は、通常のルーティングテーブルをコピーした迂回経路用のルーティングテーブルを記憶する。また、ルーティングプロトコルプロセス部84は、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す異常情報を受信した場合は、迂回経路用のルーティングテーブルにおける転送先から後段の通信装置を除外する。そして、ステップS1503においては通常のルーティングテーブルを用いてデータフローを転送し、ステップS1504においては迂回経路用のルーティングテーブルを用いてデータフローを転送する。
【0115】
(各中継装置の管理情報)
図16は、図6に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。図16に示すテーブル160は、図6に示した状態においてルータR1〜R4によって保持される情報の一例を示している。テーブル160に示すように、ルータR1〜R4のそれぞれは、「DestIP」、「O inf」、「NextHop」、「Mon」、「ErrST」および「RP」を保持している。
【0116】
「DestIP」は、データフローの宛先IPアドレスを示している。ここでは、ルータR1〜R4のそれぞれにおいて、「DestIP」がゲートウェイGW2のIPアドレス「GW2」に設定されている。
【0117】
「O inf(Output Interface)」は、データフローの出力先(転送先)として選択可能な出力インタフェースを示している。ここでは、ルータR1の出力インタフェースとして、ルータR2を示す「R1〜R2」とルータR3を示す「R1〜R3」の2つが登録されている。また、ルータR2の出力インタフェースとして、ルータR4を示す「R2〜R4」が登録されている。また、ルータR3の出力インタフェースとして、ルータR4を示す「R3〜R4」が登録されている。また、ルータR4の出力インタフェースとして、ゲートウェイGW2を示す「R4〜GW2」が登録されている。
【0118】
「NextHop」は、出力インタフェースに対応するネクストホップIPアドレスを示している。ここでは、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R2」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR2のIPアドレス「R2」が登録されている。また、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R3」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR3のIPアドレス「R3」が登録されている。
【0119】
また、ルータR2の出力インタフェース「R2〜R4」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR4のIPアドレス「R4」が登録されている。また、ルータR3の出力インタフェース「R3〜R4」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR4のIPアドレス「R4」が登録されている。また、ルータR4の出力インタフェース「R4〜GW2」に対応するネクストホップIPアドレスは「DestIP」と同じであるため登録されていない。
【0120】
「Mon(Monitor)」は、RTP/RTCPモニタ状態を示している。図6に示した状態においては、いずれの経路にも異常が発生していない。このため、ルータR1〜R4のそれぞれのRTP/RTCPモニタ状態が、異常が発生していないことを示す「Normal」に設定されている。
【0121】
「ErrST(Error Status)」は、異常情報確認ステータスを示している。図6に示した状態においては、いずれの経路にも異常が発生していないため、ルータR1〜R4のそれぞれの異常情報確認ステータスが、異常が発生していないことを示す「Normal」に設定されている。
【0122】
「RP(Routing Policy)」は、各出力インタフェースの優先順位を示すルーティングポリシー(値が小さい方が優先)を示している。ここでは、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R2」に対応するルーティングポリシーとして「1」が設定されている。また、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R3」に対応するルーティングポリシーとして「2」が設定されている。また、ルータR2〜R4の各出力インタフェースに対応するルーティングポリシーとして「1」が設定されている。
【0123】
図17は、図7に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。図17に示すテーブル170は、図7に示した状態においてルータR1〜R4によって保持される情報の一例を示している。テーブル170に示すように、ルータR4において異常61が検出されると、ルータR4のRTP/RTCPモニタ状態が、異常が発生したことを示す「Error」に設定される。そして、ルータR4から送信された異常情報がルータR2によって受信される。
【0124】
ルータR2は、ルータR4からの異常情報を受信すると、自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断し、ルータR2の異常情報確認ステータスを、自装置が異常の発生箇所に含まれていることを示す「Error」に設定する。また、ルータR2は、出力インタフェース「R2〜R4」に対応するルーティングポリシーを「Unused」に設定する。「Unused」は、選択不可を示す情報である。また、ルータR2は、出力インタフェース「R2〜R4」以外の出力インタフェースを有していないため、「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報をルータR1へ送信する。
【0125】
ルータR1は、ルータR2からの異常情報を受信すると、異常情報が「ルータR2からの迂回経路なし」を示しているため、出力インタフェース「R1〜R2」に対応するルーティングポリシーを「Unused」に設定する。これにより、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのデータフローを受信すると、出力インタフェース「R1〜R2」を除外して出力インタフェースを選択する。
【0126】
したがって、この場合は、ルータR1は出力インタフェース「R1〜R3」を選択する。ルータR1は、選択した出力インタフェース「R1〜R3」に対応するネクストホップIPアドレス「R3」へデータフローを転送する。これにより、ルータR1からルータR3へデータフローが転送される。
【0127】
ルータR3は、ルータR1からのデータフローを受信すると、出力インタフェースが「R3〜R4」だけであるため、出力インタフェース「R3〜R4」を選択する。そして、ルータR3は、選択した出力インタフェース「R3〜R4」に対応するネクストホップIPアドレス「R4」へデータフローを転送する。これにより、ルータR3からルータR4へデータフローが転送される。ルータR4は、ルータR3からのデータフローを受信すると、ゲートウェイGW2へデータフローを転送する。
【0128】
このように、実施の形態にかかる通信システムにおいては、各中継装置が、転送したデータフローの異常情報を後段の通信装置から受信し、異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替える。これにより、データフローの異常が発生した場合にデータフローの転送経路を中継装置が自律的に切り替え、データフローの異常の救済を短時間で行うことができる。このため、通信品質の信頼性を向上させることができる。
【0129】
また、データフローの異常の救済を集中管理によって行うサーバなどを設けなくてもデータフローの異常の救済を行うことができるため、通信システムのコストを抑えることができる。また、実施の形態にかかる通信システムにおいては、ノード間で発生するサイレント故障(データフロー異常)の救済を、ネットワークのQoS機能を動的に制御する技術であるRSVPを利用して実現することができる。これにより、たとえばデータフローの異常を通知するための新たな信号を送受信しなくても救済を行うことができる。
【0130】
以上説明したように、中継装置、中継方法および通信システムによれば、転送したデータフローの異常情報を後段の通信装置から受信し、異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替えることで通信品質の信頼性を向上させることができる。上述した実施の形態に関しさらに以下の付記を開示する。
【0131】
(付記1)前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【0132】
(付記2)前記異常情報は、前記後段の通信装置を経由して前記異常の発生箇所を迂回する迂回経路の有無を示す情報を含み、
前記切替部は、前記迂回経路がない場合は前記転送先を切り替え、前記迂回経路がある場合は前記転送先を切り替えないことを特徴とする付記1に記載の中継装置。
【0133】
(付記3)前記受信部によって受信された異常情報を前記前段の通信装置へ送信する送信部を備えることを特徴とする付記1または2に記載の中継装置。
【0134】
(付記4)前記前段の通信装置からのデータの異常を検出する検出部を備え、
前記送信部は、前記検出部によって検出された異常を示す異常情報を前記前段の通信装置へ送信することを特徴とする付記3に記載の中継装置。
【0135】
(付記5)前記異常情報は、前記異常が検出された通信装置を示す情報を含み、
前記送信部は、前記異常が検出された通信装置が前記後段の通信装置である場合に、自装置を経由して前記後段の通信装置を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を送信することを特徴とする付記4に記載の中継装置。
【0136】
(付記6)前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記受信部は、前記制御メッセージに格納された前記異常情報を受信することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の中継装置。
【0137】
(付記7)前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記送信部は、前記異常情報を前記制御メッセージに格納して送信することを特徴とする付記3〜5のいずれか一つに記載の中継装置。
【0138】
(付記8)前記処理部はRSVP(Resource reSerVation Protocol)による前記品質確保を行い、
前記制御メッセージはRSVPメッセージであることを特徴とする付記6または7に記載の中継装置。
【0139】
(付記9)前記受信部によって受信された異常情報に基づく前記異常の情報をユーザへ通知する通知部を備えることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の中継装置。
【0140】
(付記10)前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送工程と、
前記転送工程によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された異常情報に基づいて前記転送工程による前記データの転送先を切り替える切替工程と、
を含むことを特徴とする中継方法。
【0141】
(付記11)データを転送するための経路を構成する複数の中継装置を含む通信システムにおいて、前記複数の中継装置のそれぞれは、
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【符号の説明】
【0142】
GW1,GW2 ゲートウェイ
R1〜R4 ルータ
10,20,40 通信システム
19,61 異常
90 リソース予約メッセージ
100 パスエラーメッセージ
110 リソース予約エラーメッセージ
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを中継する中継装置、中継方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
RTP(Real−time Transport Protocol)およびRTCP(RTP Control Protocol)を終端するVoIP(Voice over Internet Protocol)処理に通話断監視タイマがある。通話断監視タイマは、通話中にRTPおよびRTCPの転送を監視し、双方のパケットが受信できなかった場合は呼を終了する。たとえば、終話処理としては、たとえばSIP(Session Initiation Protocol)で「BYE」を発生させる。
【0003】
固定電話網と同等の音声品質が要求されるネットワークの通信経路は、たとえばRSVP(Resource reSerVation Protocol)を実装したルータなどの機器で構築される。このようなネットワークの通信経路は、機器の故障が発生したときに通信経路がダウンしない網構成(冗長構成)になっている。
【0004】
RSVPのリフレッシュメッセージに異常が発生した場合は、中継ルータの資源帯域予約は削除され、ゲートウェイは通信経路の品質が保てないと判断して通話呼を終話する。通話断監視により異常を検出した場合は、ゲートウェイは通話呼を終話し、RSVPの切断メッセージで中継ルータの資源帯域予約を削除する。
【0005】
この場合は、通話呼送信元のゲートウェイが故障した可能性もあるため、一概に中継ルータが故障したとは判断できない。しかし、中継ルータが故障した場合は、新たな通話呼が故障した中継ルータを経由すると再び通話断が発生することになり通信の信頼性が保てず、何処で故障が発生しているのか探索に時間を要することになる。
【0006】
通話品質を監視する方法として、RTP/RTCPをモニタすることにより通話の異常を検出する方法がある。ゲートウェイだけでRTP/RTCPをモニタする場合は、ネットワークを構成する中継ルータの何処かで異常が発生していたときに、異常を発見するまでの故障探索に時間を要する。
【0007】
そこで、ネットワークの異常を検出するため、ネットワークを構成する中継ルータにもRTP/RTCPモニタを実装する方法が考えられる。たとえば、中継ルータで検出した異常を品質レポートとして、中継ルータを監視するサーバや保守者等に通知する方法が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−73211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では、通信品質の信頼性を向上させることができないという問題がある。たとえば、中継ルータで検出した異常を、各中継ルータを一元管理するサーバや保守者などに品質レポートとして通知する場合は、サーバや保守者などによって異常箇所が特定されるため、異常箇所の切り離しや新たな通信経路の確立をサーバや保守者が集中管理によって行うことになる。このため、異常箇所の切り離しや新たな通信経路の確立に時間がかかり、通信品質の信頼性を向上させることができない。
【0010】
開示の中継装置、中継方法および通信システムは、上述した問題点を解消するものであり、通信品質の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送し、転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信し、受信された異常情報に基づいて前記データの転送先を切り替えることを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
開示の中継装置、中継方法および通信システムによれば、通信品質の信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。
【図2】RSVPメッセージの転送を示す図である。
【図3−1】中継装置による異常検出時の動作を示す図(その1)である。
【図3−2】中継装置による異常検出時の動作を示す図(その2)である。
【図4】パスメッセージの転送を示す図である。
【図5】リソース予約メッセージの転送を示す図である。
【図6】異常の発生箇所の特定およびリソースの消去を示す図である。
【図7】異常の発生箇所を迂回する迂回経路の確立を示す図である。
【図8】中継装置の機能的な構成例を示す図である。
【図9】リソース予約メッセージの具体例を示す図である。
【図10】パスエラーメッセージの具体例を示す図である。
【図11】リソース予約エラーメッセージの具体例を示す図である。
【図12】パスメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図13】リソース予約メッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図14】パスエラーメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図15】データフローの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。
【図16】図6に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。
【図17】図7に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、開示の中継装置、中継方法および通信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。開示の中継装置、中継方法および通信システムは、転送したデータフローの異常情報を後段の通信装置から受信し、異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替える。これにより、データフローの転送経路を中継装置が自律的に切り替え、通信品質の信頼性を向上させる。
【0015】
(実施の形態)
(通信システムの構成)
図1は、実施の形態にかかる通信システムの構成を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる通信システム10は、中継装置11〜15を含んでいる。通信システム10は、たとえば、中継装置11の前段の通信装置(不図示)から送信されたデータフロー(データ)を中継装置11〜15により転送し、中継装置15の後段の通信装置(不図示)へ送信する通信システムである。
【0016】
中継装置11〜15は、データフローを転送するための冗長な経路を構成している。たとえば、データフローは、中継装置11、中継装置12、中継装置13、中継装置15の順に経由する経路によって転送可能である。また、データフローは、中継装置11、中継装置12、中継装置14、中継装置15の順に経由する経路によっても転送可能である。
【0017】
ここで、中継装置11〜15のそれぞれにおいて、自装置へデータフローを送信する送信元の通信装置を前段の通信装置と称し、自装置からデータフローを送信する送信先の通信装置を後段の通信装置と称する。たとえば、中継装置12においては、中継装置11が前段の通信装置であり、中継装置13および中継装置14が後段の通信装置である。
【0018】
中継装置11〜15のそれぞれは、前段の通信装置からのデータフローを後段の通信装置へ転送する。たとえば、中継装置11は、前段の通信装置(不図示)からのデータフローを後段の中継装置12へ転送する。中継装置12は、前段の中継装置11からのデータフローを後段の中継装置13または中継装置14へ転送する。
【0019】
中継装置13は、前段の中継装置12からのデータフローを後段の中継装置15へ転送する。中継装置14は、前段の中継装置12からのデータフローを後段の中継装置15へ転送する。中継装置15は、前段の中継装置13または中継装置14からのデータフローを後段の通信装置(不図示)へ転送する。
【0020】
これにより、中継装置11の前段の通信装置(不図示)から送信されたデータフローを中継装置11〜15により転送し、中継装置15の後段の通信装置へ送信することができる。つぎに、中継装置12の具体的な構成を説明する。中継装置12は、転送部12aと、受信部12bと、切替部12cと、送信部12dと、を備えている。
【0021】
転送部12aは、前段の通信装置(中継装置11)からのデータフローを後段の通信装置(中継装置13または中継装置14)へ転送する。初期状態において、転送部12aは、中継装置11からのデータフローを中継装置13へ転送するものとする。また、転送部12aによるデータフローの転送先は、切替部12cによって切り替えられる。
【0022】
受信部12bは、転送部12aによって転送されたデータフローの異常を示す異常情報を後段の通信装置(中継装置13)から受信する。転送部12aによって転送されたデータフローの異常には、たとえば、中継装置12から中継装置13へ転送される間に発生した異常や、中継装置13から中継装置15へ転送される間に発生した異常などが含まれる。異常情報は、たとえば、異常が検出された通信装置を示す情報や、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路の有無を示す情報などを含む。受信部12bは、受信した異常情報を切替部12cおよび送信部12dへ出力する。
【0023】
切替部12cは、受信部12bから出力された異常情報に基づいて、転送部12aによるデータフローの転送先を中継装置13とは異なる通信装置に切り替える。たとえば、切替部12cは、異常情報に基づいて、中継装置13を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がある場合はデータフローの転送先を切り替えず、迂回経路がない場合はデータフローの転送先を中継装置13から中継装置14へ切り替える。
【0024】
送信部12dは、受信部12bから出力された異常情報を前段の通信装置(中継装置11)へ送信する。また、送信部12dは、検出部12eから出力された異常情報を前段の通信装置(中継装置11)へ送信する。たとえば、送信部12dは、自装置を経由して後段の通信装置(中継装置13)を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を送信する。
【0025】
検出部12eは、前段の通信装置(中継装置11)からのデータフローの異常を検出する。検出部12eは、検出した異常を示す異常情報を送信部12dへ出力する。検出部12eが出力する異常情報は、たとえば、異常が検出された通信装置(中継装置12)を示す情報(IPアドレスなど)である。
【0026】
また、中継装置11,13〜15も中継装置12と同様の構成を備えているとする。ここで、中継装置13と中継装置15との間においてデータフローの異常19が発生したとする。この場合は、中継装置15の検出部12eによって異常19が検出される。そして、異常19が検出された中継装置15を示す異常情報が中継装置13へ送信される。
【0027】
中継装置13は、中継装置15からの異常情報に基づいて、異常19が検出された中継装置15が後段の通信装置であるため、自装置が異常19の発生箇所(中継装置13と中継装置15の間)に含まれていることを認識することができる。この場合は、中継装置13は、中継装置13を経由して異常19の発生箇所を迂回する迂回経路の有無を判断し、判断結果を示す異常情報を中継装置12へ送信する。ここでは、中継装置13を経由して異常19の発生箇所を迂回する迂回経路はないため、「中継装置13からの迂回経路なし」を示す異常情報が中継装置13から中継装置12へ送信される。
【0028】
中継装置12は、中継装置13からの異常情報に基づいて、異常19が検出された中継装置15が後段の通信装置でないため、自装置が異常19の発生箇所に含まれていないことを認識することができる。また、転送部12aは、中継装置13からの異常情報が「中継装置13からの迂回経路なし」を示しているため、データフローの転送先を中継装置13から中継装置14へ切り替える。これにより、データフローが中継装置12から中継装置14へ転送され、中継装置14から中継装置15へ転送されるようになる。また、転送部12aは、異常19を示す異常情報を中継装置11へ送信する。
【0029】
このように、中継装置11〜15は、転送されたデータフローの異常を示す異常情報を後段の通信装置から受信し、受信された異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替える。これにより、データフローの転送先においてエラーが発生した場合に、データフローの転送経路を自律的に切り替えることができる。このため、データフローの異常の救済を短時間で行うことができる。
【0030】
たとえば、中継装置11〜15は、受信した異常情報に基づいて、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がない場合にデータフローの転送先を切り替え、迂回経路がある場合はデータフローの転送先を切り替えない。これにより、最小限の経路変更により、異常の発生箇所を迂回する新たな転送経路を確立することができる。
【0031】
また、受信された異常情報を前段の通信装置へ送信して異常の発生を前段の通信装置へ通知することで、前段の通信装置においてデータフローの転送経路の自律的な切り替えが可能になる。また、前段の通信装置からのデータフローの異常を検出することで、データフローの異常を中継装置において自律的に検出することができる。また、検出した異常を示す異常情報を前段の通信装置へ送信することで、前段の通信装置においてデータフローの転送経路の自律的な切り替えが可能になる。
【0032】
また、中継装置11〜15は、異常が検出された通信装置が後段の通信装置である場合に、自装置を経由して後段の通信装置を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を前段の通信装置へ送信する。これにより、自装置が異常の発生箇所に含まれている場合に、自装置を経由する迂回経路があるか否かを前段の通信装置へ通知し、前段の通信装置において、データフローの転送先を切り替えるか否かを自律的に判断することが可能になる。
【0033】
図1に示した通信システム10は、たとえばRSVPを備えたネットワークに適用することができる。この場合は、中継装置11〜15のそれぞれは、パスメッセージやリソース予約メッセージを含むRSVPメッセージ(制御メッセージ)を送受信し、RSVPメッセージを用いてデータフローの通信路の品質確保を行う処理部を備える。
【0034】
また、受信部12bは、中継装置13から送信されたRSVPメッセージに格納された異常情報を受信する。また、送信部12dは、異常情報をRSVPメッセージに格納して中継装置11へ送信する。このように、データフローの異常を示す異常情報をRSVPメッセージに格納して送受信することで、新たな規格を追加しなくてもデータフローの異常を示す異常情報を送受信することができる。
【0035】
また、中継装置11〜15のそれぞれは、受信部12bによって受信された異常情報に基づく通知部を備えていてもよい。ユーザ(たとえば保守者)へ通知する異常19の情報は、たとえば、異常19が発生したことを示す情報でもよいし、異常19の発生箇所(中継装置13と中継装置15との間)を示す情報などであってもよい。これにより、データフローの転送経路を自律的に切り替えて異常の救済を短時間で行いつつ、異常19の情報を保守者へ通知して故障箇所の検査や交換を促すことができる。
【0036】
なお、通信システム10が中継装置11〜15を含む構成について説明したが、通信システム10はこのような構成に限らない。たとえば、中継装置11に代えて、データフローを生成して送信するゲートウェイなどの通信装置を設けてもよい。また、中継装置15に代えて、データフローを受信するゲートウェイなどの通信装置を設けてもよい。
【0037】
(RSVPメッセージを利用した異常の通知)
図2は、RSVPメッセージの転送を示す図である。図2に示すように、通信システム20は、ゲートウェイGW1,GW2およびルータR1,R2を含んでいる。矢印21に示すように、通信システム20においては、ゲートウェイGW2からのデータフローをルータR2、ルータR1の順に転送してゲートウェイGW1へ送信する。ルータR1,R2のそれぞれには、たとえば図1に示した中継装置12を適用することができる。
【0038】
また、通信システム20においては、RSVPを用いてデータフローの通信路の品質確保を行う。具体的には、ゲートウェイGW2は、データフローの送信中に、リフレッシュメッセージとしてパスメッセージ(Path Msg)を定期的に送信する。ゲートウェイGW2によって送信されたパスメッセージは、ルータR2、ルータR1の順に転送されてゲートウェイGW1へ送信される。
【0039】
ルータR1,R2は、パスメッセージを転送する際に、パスメッセージに対するゲートウェイGW1からのリソース予約メッセージをゲートウェイGW2へ転送するためのパスを確保する。リソース予約メッセージをゲートウェイGW2へ転送するためのパスは、パスメッセージのパスのリバースパスである。
【0040】
ゲートウェイGW2からのパスメッセージを受信したゲートウェイGW1は、パスメッセージに対するリソース予約メッセージ(Resv Msg)を送信する。ゲートウェイGW1によって送信されたリソース予約メッセージは、ルータR1、ルータR2の順に転送されてゲートウェイGW2へ送信される。ルータR1,R2は、リソース予約メッセージを転送する際に、ゲートウェイGW2からのデータフローをゲートウェイGW1へ転送するためのリソースを確保する。
【0041】
これにより、パスメッセージによって確保されたパスとリソース予約メッセージによって確保されたリソースによって、ゲートウェイGW2からのデータフローが通信路の品質を確保された状態でゲートウェイGW1へ転送される。ここでは、リフレッシュメッセージとして送信されるRSVPメッセージについて説明したが、データフローの送信前の初期設定のために送信されるRSVPメッセージについても同様である。
【0042】
図2に示した状態において、ルータR1の検出部12eが、ルータR2から転送されたデータフローの異常を検出(たとえば断検出)したとする。つぎに、ルータR1による異常検出時の動作について説明する(図3−1,図3−2参照)。
【0043】
図3−1は、中継装置による異常検出時の動作を示す図(その1)である。データフローの異常を検出したルータR1は、ルータR2からのパスメッセージを受信すると、検出したデータフローの異常を示す異常情報をルータR2へ送信する。具体的には、ルータR1は、図3−1に示すように、受信したパスメッセージに対するパスエラーメッセージ(Err Msg)に異常情報を格納してルータR2へ返送する。さらに、ルータR1は、データフローの異常を示す異常情報をルータR1の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ルータR1の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0044】
ルータR2は、ルータR1から返送されたパスエラーメッセージに格納された異常情報によって、ルータR2とルータR1との間においてデータフローの異常が発生したことを認識することができる。ルータR2は、ルータR1から返送されたパスエラーメッセージをゲートウェイGW2へ転送する。さらに、ルータR2は、データフローの異常を示す異常情報をルータR2の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ルータR2の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0045】
ゲートウェイGW2は、ルータR2から返送されたパスエラーメッセージに格納された異常情報によって、ルータR2とルータR1との間においてデータフローの異常が発生したことを認識することができる。ゲートウェイGW2は、データフローの異常を示す異常情報をゲートウェイGW2の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ゲートウェイGW2の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0046】
図3−2は、中継装置による異常検出時の動作を示す図(その2)である。データフローの異常を検出したルータR1は、ゲートウェイGW1からのリソース予約メッセージを受信すると異常情報をゲートウェイGW1へ送信する。具体的には、ルータR1は、図3−2に示すように、受信したリソース予約メッセージに対するリソース予約エラーメッセージ(Err Msg)に異常情報を格納してゲートウェイGW1へ返送する。
【0047】
ゲートウェイGW1は、ルータR1から返送されたリソース予約エラーメッセージに格納された異常情報によって、ルータR2とルータR1との間においてデータフローの異常が発生したことを認識することができる。ゲートウェイGW1は、データフローの異常を示す異常情報をゲートウェイGW1の保守者へ通知するようにしてもよい。これにより、ゲートウェイGW1の保守者がデータフローの異常発生を知ることができる。
【0048】
図3−1および図3−2に示したように、データフローの異常を検出した場合に、検出した異常を示す異常情報をRSVPのエラーメッセージに格納して送信することで、前段および後段の通信装置にデータフローの異常を通知することができる。これにより、データフローの異常を通知するための新たな信号を送受信しなくても、各通信装置においてデータフローの異常を認識することができる。このため、新たな転送経路を各中継装置により自律的に確立したり、各中継装置にデータフローの異常を通知することが可能になる。
【0049】
(自律的な経路切替)
図4は、パスメッセージの転送を示す図である。図4に示すように、通信システム40は、ゲートウェイGW1,GW2およびルータR1〜R4を含んでいる。ルータR1〜R4のそれぞれには、たとえば図1に示した中継装置12が適用される。矢印41に示すように、通信システム40においては、ゲートウェイGW1からゲートウェイGW2へデータフローが転送される。また、ゲートウェイGW1、ルータR1、ルータR2、ルータR4、ゲートウェイGW2の順に経由する経路でRSVPリソースが予約されている。
【0050】
ゲートウェイGW1は、ゲートウェイGW2を宛先とするデータフローを送信する。また、ゲートウェイGW1は、ゲートウェイGW2を宛先とするパスメッセージ(Path Msg)をリフレッシュメッセージとして定期的に送信する。ルータR1,R2,R4のそれぞれは、ゲートウェイGW1からのデータフローを前段の通信装置から受信すると、受信したデータフローを後段の通信装置へ転送する。
【0051】
そして、ルータR1,R2,R4のそれぞれは、データフローを送信したパスに沿って、ゲートウェイGW1からのパスメッセージ(Path Msg)を転送する。データフローを送信したパスは、たとえば、ルーティングによって得たユニキャスト/マルチキャストのルートである。ゲートウェイGW2は、ゲートウェイGW1から送信されてルータR1,R2,R4により転送されたパスメッセージを受信する。これにより、データフローを受信するゲートウェイGW2が、正しいパス(パスメッセージのリバースパス)に沿ってリソース予約メッセージ(Resv Msg)を送信することができる。
【0052】
パスメッセージを受信したルータR1,R2,R4は、パス情報のテーブルを内部に作成して保持する。パス情報には、たとえば、パスメッセージのリバースパスに沿ってリソース予約メッセージを転送するためのネクストホップ/プリビアスホップ(最後に通過したノード)のIPアドレスが含まれる。そして、パスメッセージがホップして中継されるたびに、ネクストホップ/プリビアスホップのIPアドレスが変更される。
【0053】
パスメッセージに含まれる情報は、たとえば、セッション情報、ネクストホップ/プリビアスホップ情報、リフレッシュ間隔情報、送信元ホスト情報、送信元ホストのトラフィック仕様情報、ポリシー情報などである。パスメッセージが送信されるパス上に存在するルータR1,R2,R4は、受信したパスメッセージに従って一時的にパス情報を記憶する。ルータR1,R2,R4がパス情報を維持するために、ゲートウェイGW1は定期的にパスメッセージを送信する。
【0054】
ルータR1,R2,R4のそれぞれは、パスメッセージを受信した際の処理でエラーが発生した場合は、パスエラーメッセージのエラー通知情報にエラー内容を格納してパスメッセージの送信元へ送信する。エラー内容が格納されたパスエラーメッセージは、各ルータのホップバイホップでゲートウェイGW1へ転送される。
【0055】
図5は、リソース予約メッセージの転送を示す図である。パスメッセージを受信したゲートウェイGW2は、パスメッセージが経由したパスのリバースパスに沿ってリソース予約メッセージ(Resv Msg)を送信する。したがって、ゲートウェイGW2からのリソース予約メッセージは、ルータR4,R2,R1を経由してゲートウェイGW1へ送信される。ルータR4,R2,R1のそれぞれは、通過するリソース予約メッセージに基づいて、内部でリソース予約情報用のテーブルを作成して保持する。
【0056】
パスメッセージと同様に、リソース予約メッセージには、リソース予約メッセージをリバースパスに沿って転送するためのネクストホップ/プリビアスホップ(最後に通過したノード)のIPアドレスが含まれている。そして、リソース予約メッセージがホップして中継されるたびに、ネクストホップ/プリビアスホップのIPアドレスが変更される。
【0057】
リソース予約メッセージに含まれる情報は、セッション情報、ネクストホップ/プリビアスホップ情報、リフレッシュ間隔情報、リソース予約方式情報、フロー仕様情報、フィルタ仕様情報などである。リソース予約メッセージが送信されたパス上に存在するルータR4,R2,R1は、受信したリソース予約メッセージに従って一時的にリソース予約情報を維持する。ルータR4,R2,R1がリソース予約情報を維持するために、ゲートウェイGW2は定期的にリソース予約メッセージを送信する。
【0058】
RSVPを実装したルータR1〜R4は、QoS(Quality of Service)機能を提供するために、クラシファイ、ポリシー制御、スケジューラといったトラフィック制御を実行する。ルータR1〜R4のそれぞれは、リソース予約メッセージを受信すると、要求されたQoSに対して十分なリソースを提供できるかをチェックする。その結果、有効と判断された場合には、クラシファイやスケジューラの処理へ移行し、有効と判断されなかった場合には、リソース予約を要求した送信元に対してリソース予約エラーメッセージを返送する。
【0059】
図6は、異常の発生箇所の特定およびリソースの消去を示す図である。図4および図5に示した通信システム40において、ルータR2とルータR4との間でデータフローに異常61が発生したとする。この場合はルータR4によって異常61が検出される。
【0060】
ルータR4は、異常61を検出すると、ゲートウェイGW2から受信するリソース予約メッセージ(Resv Msg)に対するリソース予約エラーメッセージに、異常61を示す異常情報を格納する。そして、ルータR4は、異常情報を格納したリソースエラー予約メッセージ(Err Msg)をゲートウェイGW2へ返送する。
【0061】
また、ルータR4は、異常61を検出すると、ルータR2から受信するパスメッセージ(Path Msg)に対するパスエラーメッセージに、異常61を示す異常情報を格納する。そして、ルータR4は、異常情報を格納したパスエラーメッセージ(Err Msg)をルータR2へ返送する。
【0062】
ルータR2は、ルータR4からのパスエラーメッセージに格納された異常情報に基づいて異常61を認識する。また、ルータR2は、異常情報に基づいて、自装置が異常61の発生箇所に含まれていると判断する。また、ルータR2は、ルータR2を経由して異常61の発生箇所(ルータR2とルータR4の間)を迂回する迂回経路がないため、「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報をパスエラーメッセージに格納する。そして、ルータR2は、異常情報を格納したパスエラーメッセージをルータR1へ転送する。
【0063】
ルータR1は、ルータR2からのパスエラーメッセージに格納された異常情報に基づいて異常61を認識するとともに、「ルータR2からの迂回経路なし」の情報を取得する。これに対して、ルータR1は、データフローの転送先の候補からルータR4を除外する。ルータR1は、パスエラーメッセージをゲートウェイGW1へ転送する。これにより、ルータR1、ルータR2、ルータR4の順に経由する経路のリソースは消去される。
【0064】
図7は、異常の発生箇所を迂回する迂回経路の確立を示す図である。ルータR1には、後段の通信装置としてルータR2,R3が接続されている。このため、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのデータフローを受信すると、ルータR2,R3のいずれかをデータフローの転送先として選択する。ここでは、ルータR2がルータR1の転送先から除外されているため、ルータR1はルータR3をデータフローの転送先として選択する。そして、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのデータフローをルータR3へ転送する。
【0065】
これにより、ルータR1、ルータR3、ルータR4の順に経由する新たな経路が確立される。新たに確立された経路は、異常61の発生箇所(ルータR2とルータR4との間)を迂回する迂回経路である。また、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのパスメッセージもルータR3へ転送する。これにより、ゲートウェイGW1からのパスメッセージも新たに確立された迂回経路によってゲートウェイGW2へ転送される。このため、ゲートウェイGW2は、新たに確立された迂回経路のリバースパス(ルータR4,R3,R1、ゲートウェイGW1の順)によってリソース予約メッセージを送信することができる。
【0066】
(中継装置の機能的な構成例)
図8は、中継装置の機能的な構成例を示す図である。図8に示す中継装置80は、たとえば図4〜図7に示したルータR1〜R4に適用することができる。中継装置80は、RSVPプロセス部81と、ポリシー制御部82と、アドミッション制御部83と、ルーティングプロトコルプロセス部84と、パケット分類部85と、アラーム記憶部86と、パケットスケジューラ部87と、を備えている。
【0067】
RSVPプロセス部81は、前段の通信装置および後段の通信装置との間で制御メッセージを送受信し(RSVP送信通知)、送受信する制御メッセージを用いてデータフローの通信路の品質確保を行う処理部である。制御メッセージは、RSVPの制御メッセージであり、具体的にはパスメッセージ、リソース予約メッセージ、パスエラーメッセージおよびリソース予約エラーメッセージなどである。
【0068】
RSVPプロセス部81においてリソース予約メッセージが受信されると、パケット分類部85、アドミッション制御部83、ポリシー制御部82、パケットスケジューラ部87によって、QoS機能を提供するためのトラフィック制御が行われる。ポリシー制御部82は、RSVPプロセス部81におけるRSVPプロセスに関するポリシー制御を行う。アドミッション制御部83は、RSVPプロセス部81におけるRSVPプロセスに関するアドミッション制御を行う。
【0069】
ルーティングプロトコルプロセス部84は、RSVPプロセス部81によるRSVPプロセスに基づいて、パケット分類部85におけるデータパケットのルーティングを制御する。たとえば、ルーティングプロトコルプロセス部84は、RSVPプロセス部81によって送受信されるリソース予約メッセージから、RSVPの対象パケットの抽出条件を取得し、取得した抽出条件をパケット分類部85へ出力する。
【0070】
パケット分類部85は、前段の通信装置からのパケットデータを受信する。そして、パケット分類部85は、受信するパケットデータのヘッダ(IPアドレス、ポート番号など)を取得し、取得したヘッダに基づいてパケットデータを分類する。たとえば、パケット分類部85は、ルーティングプロトコルプロセス部84から出力されるRSVPの対象パケットの抽出条件を用いてRSVPの対象パケット(データフロー)を抽出する。パケット分類部85は、分類したパケットデータをパケットスケジューラ部87へ出力する。
【0071】
パケットスケジューラ部87は、パケット分類部85から出力されたパケットデータのスケジューリングを行い、スケジューリング結果に基づいてパケットデータを後段の通信装置へ送信する。パケットスケジューラ部87は、たとえば、パケット分類部85によってRSVPの対象パケットとして分類されたパケットデータについて、RSVPプロセス部81によるRSVPプロセスに従ってスケジューリングを行う。
【0072】
<転送部の実装例>
図1に示した転送部12aは、たとえばパケット分類部85およびパケットスケジューラ部87によって実現される。パケット分類部85およびパケットスケジューラ部87は、前段の通信装置からのパケットデータのうちの、RSVPの対象パケットの抽出条件を用いて抽出したパケットデータをデータフローとして後段の通信装置へ転送する。
【0073】
<検出部の実装例>
図1に示した検出部12eは、たとえばパケット分類部85によって実現される。たとえば、パケット分類部85にRTP/RTCPモニタの機能を設ける。具体的には、パケット分類部85は、RSVPの対象パケットに分類したパケットデータの異常を検出する。たとえば、パケット分類部85は、RSVPの対象パケットを前回受信してからの時間をモニタするタイマを備え、タイマによってモニタされた時間が所定時間以上になると対象パケットに異常が発生したと判断する。
【0074】
パケット分類部85は、パケットデータの異常を検出するとアラーム記憶部86へアラーム情報を記憶する。タイマによってモニタする所定時間は、利用するネットワークによって異なるため設定を可変とする。また、パケット分類部85によってアラーム記憶部86に記憶されたアラーム情報は、一定時間後にクリアされるようにしてもよいし、中継装置80の保守者の操作によってクリアされるようにしてもよい。
【0075】
<受信部および送信部の実装例>
図1に示した受信部12bおよび送信部12dは、たとえばRSVPプロセス部81によって実現される。RSVPプロセス部81により、パスエラーメッセージやリソース予約エラーメッセージに異常情報を格納して送信することができる。また、RSVPプロセス部81により、パスエラーメッセージやリソース予約エラーメッセージに格納された異常情報を受信することができる。
【0076】
また、RSVPプロセス部81は、異常情報に基づいて、自装置が異常の発生箇所に含まれているか否かを判断する。具体的には、RSVPプロセス部81は、異常情報が示す異常が検出された通信装置のIPアドレスと、異常情報を格納したエラーメッセージの送信元IPアドレスと、を比較する。
【0077】
RSVPプロセス部81は、比較したIPアドレスが同じである場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断する。また、RSVPプロセス部81は、比較したIPアドレスが異なる場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていないと判断する。たとえば、ルータR2においては、自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断される。また、ルータR1においては、自装置が異常の発生箇所に含まれていないと判断される。
【0078】
RSVPプロセス部81は、自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断した場合は、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路があるか否かを判断する。迂回経路がないと判断した場合は、RSVPプロセス部81は、自装置からの迂回経路がないことを示す異常情報をエラーメッセージに格納する。
【0079】
<切替部の実装例>
図1に示した切替部12cは、たとえばルーティングプロトコルプロセス部84によって実現される。ルーティングプロトコルプロセス部84は、RSVPプロセス部81によって送受信されるパスエラーメッセージから、所定の通信装置からの迂回経路がないことを示す異常情報を取得して記憶しておく。そして、ルーティングプロトコルプロセス部84は、中継装置80によってデータフローを転送する際に、記憶しておいた異常情報に基づいてデータフローの転送先を選択する。
【0080】
たとえば、ルータR1のルーティングプロトコルプロセス部84は、ルータR2から送信された「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報を記憶しておく。そして、ルータR1のルーティングプロトコルプロセス部84は、ルータR1によってデータフローを転送する際に、記憶した「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報に基づいて転送先からルータR2を除外する。ルーティングプロトコルプロセス部84は、除外されていないルータR3を転送先として選択するようにパケット分類部85を制御する。
【0081】
(RSVPメッセージの具体例)
図9は、リソース予約メッセージの具体例を示す図である。図9に示すリソース予約メッセージ90は、RSVPプロセス部81によって送受信されるリソース予約メッセージの一例である。リソース予約メッセージ90には、RSVPの対象パケットの抽出条件となるフィルタ仕様情報91やセッション情報92などが含まれている。
【0082】
パケット分類部85は、たとえば、フィルタ仕様情報91やセッション情報92などを抽出条件としてルーティングプロトコルプロセス部84から取得し、取得した抽出条件によって受信するパケットデータからRSVPの対象パケットを抽出する。ただし、RSVPの対象パケットの抽出条件はユーザによって任意に設定可能にしてもよい。
【0083】
図10は、パスエラーメッセージの具体例を示す図である。図10に示すパスエラーメッセージ100は、RSVPプロセス部81によって送受信されるパスエラーメッセージの一例である。パスエラーメッセージ100には、パスメッセージの送受信において発生したエラーの内容が格納されるエラー通知情報101が含まれている。
【0084】
エラー通知情報101にはエラーコード102が含まれている。ここでは、エラーコード102の未定義の値を利用して、パケット分類部85において検出されたデータフローの異常を示す「データフロー異常」を定義する。エラーコード102は、たとえば8bitで管理されており、現在、23(0x17)まで定義済みある。そこで、たとえば、「エラーコード=32(0x20)」を「データフロー異常」として定義する。また、たとえば、エラーコード102に代えて、エラーコード102に付随するエラーバリュー103を利用して「データフロー異常」を定義してもよい。
【0085】
RSVPプロセス部81は、パスメッセージを受信するとアラーム記憶部86を参照する。そして、RSVPプロセス部81は、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、符号104に示す「エラーの発生したノードのIPアドレス」に自装置のIPアドレスを格納し、エラーコード102に「エラーコード=32」を格納する。そして、自装置のIPアドレスおよび「エラーコード=32」を格納したパスエラーメッセージ100をパスメッセージの送信元へ返送する。
【0086】
たとえば、ルータR4は、ルータR2からのパスメッセージを受信し、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、ルータR4のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納したパスエラーメッセージ100をルータR2へ返送する。これにより、ルータR2,R1およびゲートウェイGW1は、ルータR4からのパスエラーメッセージ100に格納された「エラーコード=32」により異常発生を認識することができる。また、ルータR2,R1およびゲートウェイGW1は、パスエラーメッセージ100に格納されたルータR4のIPアドレスにより異常の発生箇所を特定することができる。
【0087】
また、エラーコード102の未定義の値を利用して、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す「迂回経路なし」を定義する。たとえば、「エラーコード=33(0x21)」を「迂回経路なし」として定義する。また、たとえば、エラーコード102に代えて、エラーコード102に付随するエラーバリュー103を利用して「迂回経路なし」を定義してもよい。
【0088】
たとえば、ルータR2は、ルータR2を経由して異常の発生箇所(ルータR2とルータR4の間)を迂回する迂回経路はないため、エラーコード102に「エラーコード=33」を格納したパスエラーメッセージ100をルータR1へ送信する。ルータR1は、ルータR2から受信したパスエラーメッセージ100に「エラーコード=33」が格納されているため、ルータR2を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路はないことを認識することができる。これに対して、ルータR1は、ルータR2を除外して(あるいは優先度を下げて)データフローの転送先を選択する。
【0089】
図11は、リソース予約エラーメッセージの具体例を示す図である。図11に示すリソース予約エラーメッセージ110は、RSVPプロセス部81によって送受信されるリソース予約エラーメッセージの一例である。リソース予約エラーメッセージ110には、リソース予約エラーメッセージ110の送受信において発生したエラーの内容が格納されるエラー通知情報111が含まれている。
【0090】
エラー通知情報111にはエラーコード112が含まれている。リソース予約エラーメッセージ110においても、パスエラーメッセージ100と同様に、「エラーコード=32(0x20)」を「データフロー異常」として定義してエラーコード112に格納する。また、エラーバリュー113に「データフロー異常」を定義してもよい。
【0091】
RSVPプロセス部81は、リソース予約メッセージ90を受信するとアラーム記憶部86を参照する。そして、RSVPプロセス部81は、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、符号114に示す「エラーの発生したノードのIPアドレス」に自装置のIPアドレスを格納し、エラーコード112に「エラーコード=32」を格納する。そして、自装置のIPアドレスおよび「エラーコード=32」を格納したリソース予約エラーメッセージ110をリソース予約メッセージ90の送信元へ返送する。
【0092】
たとえば、ルータR4は、ゲートウェイGW2からのリソース予約メッセージ90を受信し、アラーム記憶部86にアラーム情報が記憶されていた場合は、ルータR4のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納した異常情報をゲートウェイGW2へ返送する。これにより、ゲートウェイGW2は、ルータR4からのリソース予約エラーメッセージ110に格納された「エラーコード=32」により異常発生を認識することができる。また、ゲートウェイGW2は、リソース予約エラーメッセージ110に格納されたルータR4のIPアドレスにより異常の発生箇所を特定することができる。
【0093】
また、エラーコード112の未定義の値を利用して、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す「迂回経路なし」を定義する。たとえば、「エラーコード=33(0x21)」を「迂回経路なし」として定義する。また、たとえば、エラーコード112に代えて、エラーコード112に付随するエラーバリュー113を利用して「迂回経路なし」を定義してもよい。
【0094】
(中継装置の動作例)
図12は、パスメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、前段の通信装置からパスメッセージを受信したか否かを判断し(ステップS1201)、パスメッセージを受信するまで待つ(ステップS1201:Noのループ)。パスメッセージを受信すると(ステップS1201:Yes)、アラーム記憶部86を参照してデータフローの異常を検出したか否かを判断する(ステップS1202)。
【0095】
ステップS1202において、データフローの異常を検出していない場合(ステップS1202:No)は、ステップS1201によって受信されたパスメッセージのエラーがあるか否かを判断する(ステップS1203)。パスメッセージのエラーは、たとえばパスメッセージのヘッダ情報の不整合などである。パスメッセージのエラーがない場合(ステップS1203:No)は、ステップS1201によって受信されたパスメッセージに基づいてデータフローのためのパスを確保する(ステップS1204)。
【0096】
つぎに、ステップS1201によって受信されたパスメッセージを後段の通信装置へ転送し(ステップS1205)、一連の動作を終了する。ステップS1203において、パスメッセージのエラーがある場合(ステップS1203:Yes)は、パスメッセージのエラーの内容を格納したパスエラーメッセージ100をパスメッセージの送信元へ返送し(ステップS1206)、一連の動作を終了する。
【0097】
ステップS1202において、データフローの異常を検出した場合(ステップS1202:Yes)は、パスエラーメッセージ100にデータフローの異常を示す異常情報を格納する(ステップS1207)。具体的には、パスエラーメッセージ100のエラー通知情報101に自装置のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納する。
【0098】
つぎに、ステップS1207によって異常情報を格納したパスエラーメッセージ100をパスメッセージの送信元へ返送し(ステップS1208)、一連の動作を終了する。以上の各ステップにより、データフローの異常を検出した場合にパスエラーメッセージ100を利用して異常情報を前段の通信装置へ送信することができる。
【0099】
図13は、リソース予約メッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、後段の通信装置からリソース予約メッセージ90を受信したか否かを判断し(ステップS1301)、リソース予約メッセージ90を受信するまで待つ(ステップS1301:Noのループ)。リソース予約メッセージ90を受信すると(ステップS1301:Yes)、アラーム記憶部86を参照してデータフローの異常を検出したか否かを判断する(ステップS1302)。
【0100】
ステップS1302において、データフローの異常を検出していない場合(ステップS1302:No)は、ステップS1301によって受信されたリソース予約メッセージ90のエラーがあるか否かを判断する(ステップS1303)。リソース予約メッセージ90のエラーは、たとえばリソース予約メッセージ90のヘッダ情報の不整合などである。
【0101】
ステップS1303において、リソース予約メッセージ90のエラーがない場合(ステップS1303:No)は、ステップS1301によって受信されたリソース予約メッセージ90に基づいてデータフローのためのリソースを確保する(ステップS1304)。つぎに、ステップS1301によって受信されたリソース予約メッセージ90を前段の通信装置へ転送し(ステップS1305)、一連の動作を終了する。
【0102】
ステップS1303において、リソース予約メッセージ90のエラーがある場合(ステップS1303:Yes)は、リソース予約エラーメッセージ110をリソース予約メッセージ90の送信元へ返送し(ステップS1306)、一連の動作を終了する。ステップS1306によって送信するリソース予約エラーメッセージ110は、リソース予約メッセージ90のエラーの内容を格納したリソース予約エラーメッセージ110である。
【0103】
ステップS1302において、データフローの異常を検出した場合(ステップS1302:Yes)は、リソース予約エラーメッセージ110に異常情報を格納する(ステップS1307)。具体的には、リソース予約エラーメッセージ110のエラー通知情報111に自装置のIPアドレスと「エラーコード=32」を格納する。
【0104】
つぎに、ステップS1307によって異常情報を格納したリソース予約エラーメッセージ110をリソース予約メッセージ90の送信元へ返送し(ステップS1308)、一連の動作を終了する。以上の各ステップにより、データフローの異常を検出した場合に、検出したデータフローの異常を示す異常情報をリソース予約エラーメッセージ110を利用して後段の通信装置へ送信することができる。
【0105】
図14は、パスエラーメッセージの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、後段の通信装置からパスエラーメッセージ100を受信したか否かを判断し(ステップS1401)、パスエラーメッセージ100を受信するまで待つ(ステップS1401:Noのループ)。
【0106】
ステップS1401において、パスエラーメッセージ100を受信すると(ステップS1401:Yes)、受信したパスエラーメッセージ100に異常情報が格納されているか否かを判断する(ステップS1402)。異常情報は、たとえば、異常を検出した通信装置のIPアドレスと、「エラーコード=32」または「エラーコード=33」である。
【0107】
ステップS1402において、パスエラーメッセージ100に異常情報が格納されている場合(ステップS1402:Yes)は、自装置が異常の発生箇所に含まれているか否かを判断する(ステップS1403)。たとえば、異常を検出した通信装置のIPアドレスを異常情報から取得し、取得したIPアドレスとパスエラーメッセージ100の送信元IPアドレスとを比較する。そして、各IPアドレスが一致した場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断し、各IPアドレスが一致しなかった場合は自装置が異常の発生箇所に含まれていないと判断する。
【0108】
ステップS1403において、自装置が異常の発生箇所に含まれていない場合(ステップS1403:No)は、ステップS1406へ移行する。自装置が異常の発生箇所に含まれている場合(ステップS1403:Yes)は、自装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路があるか否かを判断する(ステップS1404)。迂回経路がある場合(ステップS1404:Yes)は、ステップS1406へ移行する。
【0109】
ステップS1404において、迂回経路がない場合(ステップS1404:No)は、パスエラーメッセージ100の異常情報を更新する(ステップS1405)。具体的には、パスエラーメッセージ100のエラー通知情報101のエラーコード102に「エラーコード=33」を格納する。
【0110】
つぎに、異常情報を記憶し(ステップS1406)、ステップS1407へ移行する。ステップS1406において記憶する異常情報は、たとえば、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す情報である。ステップS1402において、異常情報が格納されていない場合(ステップS1402:No)は、ステップS1401において受信されたパスエラーメッセージ100を前段の通信装置へ転送し(ステップS1407)、一連の動作を終了する。
【0111】
以上の各ステップにより、異常が検出された通信装置が後段の通信装置である場合に、自装置を経由して後段の通信装置を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を前段の通信装置へ送信することができる。また、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す異常情報を後段の通信装置から受信した場合は、この異常情報を記憶しておくことができる。
【0112】
図15は、データフローの受信時における中継装置の動作例を示すフローチャートである。ルータR1〜R4のそれぞれは、まず、前段の通信装置からデータフローを受信したか否かを判断し(ステップS1501)、データフローを受信するまで待つ(ステップS1501:Noのループ)。データフローを受信すると(ステップS1501:Yes)、図14のステップS1406によって異常情報が記憶されているか否かを判断する(ステップS1502)。ステップS1502における異常情報は、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す異常情報である。
【0113】
ステップS1502において、異常情報が記憶されていない場合(ステップS1502:No)は、データフローを転送し(ステップS1503)、一連の動作を終了する。ステップS1503においては、図12のステップS1204によって確保されたパスおよび図13のステップS1304によって確保されたリソースによってデータフローを転送する。ステップS1502において、異常情報が記憶されている場合(ステップS1502:Yes)は、異常情報が示すIPアドレス(異常が発生した箇所)を迂回する迂回経路によってデータフローを転送し(ステップS1504)、一連の動作を終了する。
【0114】
たとえば、ルーティングプロトコルプロセス部84は、通常のルーティングテーブルをコピーした迂回経路用のルーティングテーブルを記憶する。また、ルーティングプロトコルプロセス部84は、後段の通信装置を経由して異常の発生箇所を迂回する迂回経路がないことを示す異常情報を受信した場合は、迂回経路用のルーティングテーブルにおける転送先から後段の通信装置を除外する。そして、ステップS1503においては通常のルーティングテーブルを用いてデータフローを転送し、ステップS1504においては迂回経路用のルーティングテーブルを用いてデータフローを転送する。
【0115】
(各中継装置の管理情報)
図16は、図6に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。図16に示すテーブル160は、図6に示した状態においてルータR1〜R4によって保持される情報の一例を示している。テーブル160に示すように、ルータR1〜R4のそれぞれは、「DestIP」、「O inf」、「NextHop」、「Mon」、「ErrST」および「RP」を保持している。
【0116】
「DestIP」は、データフローの宛先IPアドレスを示している。ここでは、ルータR1〜R4のそれぞれにおいて、「DestIP」がゲートウェイGW2のIPアドレス「GW2」に設定されている。
【0117】
「O inf(Output Interface)」は、データフローの出力先(転送先)として選択可能な出力インタフェースを示している。ここでは、ルータR1の出力インタフェースとして、ルータR2を示す「R1〜R2」とルータR3を示す「R1〜R3」の2つが登録されている。また、ルータR2の出力インタフェースとして、ルータR4を示す「R2〜R4」が登録されている。また、ルータR3の出力インタフェースとして、ルータR4を示す「R3〜R4」が登録されている。また、ルータR4の出力インタフェースとして、ゲートウェイGW2を示す「R4〜GW2」が登録されている。
【0118】
「NextHop」は、出力インタフェースに対応するネクストホップIPアドレスを示している。ここでは、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R2」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR2のIPアドレス「R2」が登録されている。また、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R3」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR3のIPアドレス「R3」が登録されている。
【0119】
また、ルータR2の出力インタフェース「R2〜R4」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR4のIPアドレス「R4」が登録されている。また、ルータR3の出力インタフェース「R3〜R4」に対応するネクストホップIPアドレスとしてルータR4のIPアドレス「R4」が登録されている。また、ルータR4の出力インタフェース「R4〜GW2」に対応するネクストホップIPアドレスは「DestIP」と同じであるため登録されていない。
【0120】
「Mon(Monitor)」は、RTP/RTCPモニタ状態を示している。図6に示した状態においては、いずれの経路にも異常が発生していない。このため、ルータR1〜R4のそれぞれのRTP/RTCPモニタ状態が、異常が発生していないことを示す「Normal」に設定されている。
【0121】
「ErrST(Error Status)」は、異常情報確認ステータスを示している。図6に示した状態においては、いずれの経路にも異常が発生していないため、ルータR1〜R4のそれぞれの異常情報確認ステータスが、異常が発生していないことを示す「Normal」に設定されている。
【0122】
「RP(Routing Policy)」は、各出力インタフェースの優先順位を示すルーティングポリシー(値が小さい方が優先)を示している。ここでは、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R2」に対応するルーティングポリシーとして「1」が設定されている。また、ルータR1の出力インタフェース「R1〜R3」に対応するルーティングポリシーとして「2」が設定されている。また、ルータR2〜R4の各出力インタフェースに対応するルーティングポリシーとして「1」が設定されている。
【0123】
図17は、図7に示した状態において各中継装置により保持される情報の一例を示す図である。図17に示すテーブル170は、図7に示した状態においてルータR1〜R4によって保持される情報の一例を示している。テーブル170に示すように、ルータR4において異常61が検出されると、ルータR4のRTP/RTCPモニタ状態が、異常が発生したことを示す「Error」に設定される。そして、ルータR4から送信された異常情報がルータR2によって受信される。
【0124】
ルータR2は、ルータR4からの異常情報を受信すると、自装置が異常の発生箇所に含まれていると判断し、ルータR2の異常情報確認ステータスを、自装置が異常の発生箇所に含まれていることを示す「Error」に設定する。また、ルータR2は、出力インタフェース「R2〜R4」に対応するルーティングポリシーを「Unused」に設定する。「Unused」は、選択不可を示す情報である。また、ルータR2は、出力インタフェース「R2〜R4」以外の出力インタフェースを有していないため、「ルータR2からの迂回経路なし」を示す異常情報をルータR1へ送信する。
【0125】
ルータR1は、ルータR2からの異常情報を受信すると、異常情報が「ルータR2からの迂回経路なし」を示しているため、出力インタフェース「R1〜R2」に対応するルーティングポリシーを「Unused」に設定する。これにより、ルータR1は、ゲートウェイGW1からのデータフローを受信すると、出力インタフェース「R1〜R2」を除外して出力インタフェースを選択する。
【0126】
したがって、この場合は、ルータR1は出力インタフェース「R1〜R3」を選択する。ルータR1は、選択した出力インタフェース「R1〜R3」に対応するネクストホップIPアドレス「R3」へデータフローを転送する。これにより、ルータR1からルータR3へデータフローが転送される。
【0127】
ルータR3は、ルータR1からのデータフローを受信すると、出力インタフェースが「R3〜R4」だけであるため、出力インタフェース「R3〜R4」を選択する。そして、ルータR3は、選択した出力インタフェース「R3〜R4」に対応するネクストホップIPアドレス「R4」へデータフローを転送する。これにより、ルータR3からルータR4へデータフローが転送される。ルータR4は、ルータR3からのデータフローを受信すると、ゲートウェイGW2へデータフローを転送する。
【0128】
このように、実施の形態にかかる通信システムにおいては、各中継装置が、転送したデータフローの異常情報を後段の通信装置から受信し、異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替える。これにより、データフローの異常が発生した場合にデータフローの転送経路を中継装置が自律的に切り替え、データフローの異常の救済を短時間で行うことができる。このため、通信品質の信頼性を向上させることができる。
【0129】
また、データフローの異常の救済を集中管理によって行うサーバなどを設けなくてもデータフローの異常の救済を行うことができるため、通信システムのコストを抑えることができる。また、実施の形態にかかる通信システムにおいては、ノード間で発生するサイレント故障(データフロー異常)の救済を、ネットワークのQoS機能を動的に制御する技術であるRSVPを利用して実現することができる。これにより、たとえばデータフローの異常を通知するための新たな信号を送受信しなくても救済を行うことができる。
【0130】
以上説明したように、中継装置、中継方法および通信システムによれば、転送したデータフローの異常情報を後段の通信装置から受信し、異常情報に基づいてデータフローの転送先を切り替えることで通信品質の信頼性を向上させることができる。上述した実施の形態に関しさらに以下の付記を開示する。
【0131】
(付記1)前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【0132】
(付記2)前記異常情報は、前記後段の通信装置を経由して前記異常の発生箇所を迂回する迂回経路の有無を示す情報を含み、
前記切替部は、前記迂回経路がない場合は前記転送先を切り替え、前記迂回経路がある場合は前記転送先を切り替えないことを特徴とする付記1に記載の中継装置。
【0133】
(付記3)前記受信部によって受信された異常情報を前記前段の通信装置へ送信する送信部を備えることを特徴とする付記1または2に記載の中継装置。
【0134】
(付記4)前記前段の通信装置からのデータの異常を検出する検出部を備え、
前記送信部は、前記検出部によって検出された異常を示す異常情報を前記前段の通信装置へ送信することを特徴とする付記3に記載の中継装置。
【0135】
(付記5)前記異常情報は、前記異常が検出された通信装置を示す情報を含み、
前記送信部は、前記異常が検出された通信装置が前記後段の通信装置である場合に、自装置を経由して前記後段の通信装置を迂回する迂回経路の有無を示す異常情報を送信することを特徴とする付記4に記載の中継装置。
【0136】
(付記6)前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記受信部は、前記制御メッセージに格納された前記異常情報を受信することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の中継装置。
【0137】
(付記7)前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記送信部は、前記異常情報を前記制御メッセージに格納して送信することを特徴とする付記3〜5のいずれか一つに記載の中継装置。
【0138】
(付記8)前記処理部はRSVP(Resource reSerVation Protocol)による前記品質確保を行い、
前記制御メッセージはRSVPメッセージであることを特徴とする付記6または7に記載の中継装置。
【0139】
(付記9)前記受信部によって受信された異常情報に基づく前記異常の情報をユーザへ通知する通知部を備えることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の中継装置。
【0140】
(付記10)前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送工程と、
前記転送工程によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された異常情報に基づいて前記転送工程による前記データの転送先を切り替える切替工程と、
を含むことを特徴とする中継方法。
【0141】
(付記11)データを転送するための経路を構成する複数の中継装置を含む通信システムにおいて、前記複数の中継装置のそれぞれは、
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【符号の説明】
【0142】
GW1,GW2 ゲートウェイ
R1〜R4 ルータ
10,20,40 通信システム
19,61 異常
90 リソース予約メッセージ
100 パスエラーメッセージ
110 リソース予約エラーメッセージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記受信部によって受信された異常情報を前記前段の通信装置へ送信する送信部を備えることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記受信部は、前記制御メッセージに格納された前記異常情報を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記送信部は、前記異常情報を前記制御メッセージに格納して送信することを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項5】
前記処理部はRSVP(Resource reSerVation Protocol)による前記品質確保を行い、
前記制御メッセージはRSVPメッセージであることを特徴とする請求項3または4に記載の中継装置。
【請求項6】
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送工程と、
前記転送工程によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された異常情報に基づいて前記転送工程による前記データの転送先を切り替える切替工程と、
を含むことを特徴とする中継方法。
【請求項7】
データを転送するための経路を構成する複数の中継装置を含む通信システムにおいて、前記複数の中継装置のそれぞれは、
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記受信部によって受信された異常情報を前記前段の通信装置へ送信する送信部を備えることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記受信部は、前記制御メッセージに格納された前記異常情報を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記前段の通信装置および前記後段の通信装置との間で送受信する制御メッセージを用いて前記データの通信路の品質確保を行う処理部を備え、
前記送信部は、前記異常情報を前記制御メッセージに格納して送信することを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項5】
前記処理部はRSVP(Resource reSerVation Protocol)による前記品質確保を行い、
前記制御メッセージはRSVPメッセージであることを特徴とする請求項3または4に記載の中継装置。
【請求項6】
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送工程と、
前記転送工程によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された異常情報に基づいて前記転送工程による前記データの転送先を切り替える切替工程と、
を含むことを特徴とする中継方法。
【請求項7】
データを転送するための経路を構成する複数の中継装置を含む通信システムにおいて、前記複数の中継装置のそれぞれは、
前段の通信装置からのデータを後段の通信装置へ転送する転送部と、
前記転送部によって転送されたデータの異常を示す異常情報を前記後段の通信装置から受信する受信部と、
前記受信部によって受信された異常情報に基づいて前記転送部による前記データの転送先を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3−1】
【図3−2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3−1】
【図3−2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−124889(P2011−124889A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282251(P2009−282251)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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