説明

中継装置および中継方法

【課題】障害発生時におけるEnd−to−Endでの通信断時間を短縮することができる中継装置を得ること。
【解決手段】ERPに基づく処理を実行するERPモジュール15と、OSPF経路計算処理により宛先ごとの経路情報を生成するOSPFモジュール11と、ERPモジュール15が検出した障害の障害箇所を検出する障害箇所特定モジュール14と、障害箇所を次転送先としかつECMPが存在する宛先への経路を、宛先への他のECMP経路に切替えるよう経路テーブルを更新し、OSPFモジュール11へ障害箇所を通知するECMP切替部と、を備え、OSPFモジュール11は、障害箇所に基づいて経路テーブルを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置および中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ERP(Ethernet(登録商標) Ring Protection)は、Ether(登録商標) OAM(Operation Administration and Maintenance)を使用したレイヤ2の冗長化/ループ防止プロトコルである(下記非特許文献1、2参照)。ERPはRPR(Resilient Packet Ring)やSDH(Synchronous Digital Hierarchy)と同等の障害時切替時間50ミリ秒以下を実現しており、電力・交通分野やメトロポリタンエリアネットワーク等の広域ネットワークの分野での利用が期待されている。
【0003】
また、ERP網を他のサブネット(サブネットワーク)と接続することは一般に広く行われており、その際にはレイヤ3ルーチングプロトコルが使用される。レイヤ3のルーチングプロトコルとして広く用いられているものにはOSPF(Open Shortest Path First)などが存在する(下記非特許文献3参照)。
【0004】
OSPFにおいてはECMP(Equal Cost Multi Path)機能(ある宛先までの最短経路が複数存在している場合、その全部もしくは2以上のパスを現用パスとして負荷分散を行う機能)を有しており、多くの場合ECMP機能は有効化されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“G.8032/Y.1344 Ethernet Ring Protection Switching”,ITU−T,Jun. 2008
【非特許文献2】“Y.1731 OAM functions and mechanisms for Ethernet based networks”,ITU−T,Feb. 2008
【非特許文献3】“OSPF Version 2”,IETF RFC2328,Apr. 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ERP上でOSPFなどのレイヤ3ルーチングプロトコルを動作させた場合、リンクダウンによる検出ではなくタイマベースによる障害検出を行う必要がある。例えば、OSPFの場合、経路切換までに必要な時間は、少なくとも40秒(Helloパケットのインターバル)+OSPFによる経路計算時間となる。このため、ERPによるレイヤ2の経路切換は高速に実現しているにも関わらず、レイヤ3ルーチングプロトコルによるレイヤ3の経路切換が低速であることが要因となりEnd−to−Endでの障害復旧に時間がかかる、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レイヤ3ルーチングプロトコルによる経路切換時間を短縮することにより障害発生時におけるEnd−to−Endでの通信断時間を短縮することができる中継装置および中継方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、障害検出機能を有するレイヤ2ルーチングプロトコルに基づく処理を実行するレイヤ2処理部と、所定の経路計算処理により宛先ごとの経路情報を生成し、ECMP機能を有するレイヤ3ルーチングプロトコルに基づく処理を実行するレイヤ3処理部と、前記レイヤ2処理部が検出した障害の障害箇所を検出する障害箇所特定部と、前記障害箇所を次転送先としかつECMPが存在する宛先への経路を、前記宛先への他のECMP経路に切替えるよう前記経路情報を更新し、前記レイヤ3処理部へ前記障害箇所を通知するECMP切替部と、を備え、前記ECMP切替部は前記ECMPに基づく前記経路情報更新処理がおわった後に、前記レイヤ3処理部に障害の発生を通知し、この通知を受けた前記レイヤ3処理部は、前記障害箇所に基づいて前記所定の経路計算処理を実施して前記経路情報を更新する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、障害発生時におけるEnd−to−Endでの通信断時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態1のノードの機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1の通信システムの構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1のノードにおける障害検出後のレイヤ3経路切換手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、他のサブネットと多重化された構成例を示す図である。
【図5】図5は、他のL2リングと複数個所で接続された構成例示す図である。
【図6】図6は、実施の形態2のノードの機能構成例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態2のノードのRPRモジュールが障害発生ノードを特定する場合の機能構成例を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態3のノードの機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる中継装置および中継方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる中継装置(ノード)1の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態のノード1は、OSPFモジュール(レイヤ3処理部)11と、経路テーブルを記憶する記憶部12と、ECMP切替モジュール13と、障害箇所特定モジュール14と、ERPモジュール(レイヤ2処理部)15と、トポロジ情報テーブルを記憶する記憶部16と、トポロジ情報収集モジュール17と、物理ポート18と、を備える。
【0013】
なお、ここでは、レイヤ3ルーチングプロトコルとしてOSPFを、レイヤ2ルーチングプロトコルとしてERPをそれぞれ用いる例について説明するが、レイヤ3ルーチングプロトコル、レイヤ2ルーチングプロトコルは、それぞれこれらに限定されない。
【0014】
経路テーブルはレイヤ3におけるルーチング情報(経路情報)を格納したテーブルであり、宛先となるサブネットアドレスと、Next Hop、ECMPの有無(ECMPとして当該宛先への複数のパスが存在するか否か)を示すフラグ等の情報を保持する。経路情報は、OSPFモジュール11によるOSPFの経路計算により生成される。なお、経路テーブルに格納されるNext Hopには、宛先となるサブネットアドレスへの経路上の次ノードの識別情報が格納されるとする。なお、ルーチング情報は、これらに限らず、機器の構成等に応じてその他の情報も含んでいてもよい。
【0015】
物理ポート18は他ノードとの通信を実現するためのインターフェースを提供しており、他ノードとのパケット送受信を制御するほか、他ノードから受信したERPの制御通信パケットをERPモジュール15に転送し、またERPモジュール15からの制御通信パケットを他ノードに送信する。また、物理ポート18は、自ノードのリンク状態を監視し、リンク状態(リンクアップ/リンクダウン)が変化した場合にERPモジュール15にその変化を通知する機能を有する。
【0016】
ERPモジュール15は、上記非特許文献1に記載のERP機能、及び非特許文献2に記載のEther(登録商標) OAM機能を有するモジュールである。また、本実施の形態では、ERPモジュール15は、非特許文献1および2に記載の機能に加えて、自ブリッジの障害情報と、制御通信により他ノードから通知された障害情報と、を障害箇所特定モジュール14に通知する機能を有する。
【0017】
トポロジ情報収集モジュール17は、自身が属するERPネットワークを構成する他ノードとの間で情報交換を行い、ERPネットワークを構成するノードの並び順とノード識別情報(あわせてトポロジ情報と呼ぶ)を取得する機能を有する。他ブリッジとの情報交換処理は例えば「“イーサネット(登録商標)リングにおけるレイヤ3障害切替高速化の検討”,小川他,IEICE 2010総合大会,B−8−45,Mar. 2010」(以下、参考文献という)に記載されているERP制御フレームを用いる方式により実施することができるが、他の方式を用いても良い。トポロジ情報収集モジュール17は、取得したトポロジ情報を記憶部16にトポロジ情報テーブルとして格納する。
【0018】
障害箇所特定モジュール14はERPモジュール15から入手した障害情報と、トポロジ情報テーブルとして格納されているトポロジ情報と、に基づいて障害が発生したノードを特定し、障害発生ノードの識別情報を障害情報としてECMP切替モジュール13に提供する(図1(1))。各ノードの識別情報は例えばMAC(Media Access Control)アドレスを用いることができるが、ノードを一意に識別できればMACアドレス以外の情報を用いても差し支えない。
【0019】
ECMP切替モジュール13は、障害発生ノードの識別情報(障害箇所特定モジュール14から提供される)をキーとして記憶部12の経路テーブルを検索し、障害発生ノードがNext HopとなっておりかつECMPが有る宛先への経路情報を抽出する(図1(2))。そして、障害発生ノードがNext HopとなっておりかつECMPが有る宛先が経路テーブルに存在した場合は、当該宛先の経路情報を更新する(図1(3))。この経路情報の更新は、ECMP経路が経路テーブルに格納されている場合には、障害発生ノードがNext Hopになっている経路情報を削除する操作となる。なお、一般的にはECMP経路は経路テーブルに格納されている。例えば、ECMP経路が経路テーブルとは別に管理されており、同一宛先についてECMP経路のうちの1つが経路テーブルに格納され他のECMP経路の経路情報が別のテーブル等で管理されている場合は、更新処理として、障害発生ノードがNext Hopになっている経路情報を削除し別のテーブルに格納されているECMP経路に対応する経路情報を追加するようにしてもよい。ECMP切替モジュール13は、経路情報の更新が完了した後、障害情報をOSPFモジュール11に提供する(図1(4))。
【0020】
ただし、OSPFモジュール11が実施するOSPF経路計算とECMP切替モジュール13が実施する経路テーブルの更新とを並行して実施できるようなハードウェア構成を有し、かつこれらの処理を並行して実施したとしても処理時間への影響が無い場合には、経路テーブルの更新を行う前にOSPFモジュール11へ障害情報を提供してもよい。
【0021】
OSPFモジュール11は上記非特許文献3に記載されているOSPF経路計算等の機能を実装したモジュールである。ただし、本実施の形態においては、OSPFモジュール11は、非特許文献3に記載の機能に加えて、ECMP切替モジュール13から障害情報の提供を受けたことを契機として経路の再計算を行う。OSPFモジュール11は経路の再計算を行い、経路テーブルのうち更新が必要な経路情報を更新する(ECMP切替えモジュール13により更新されている経路情報は更新不要)。
【0022】
図2は、本実施の形態の通信システムの構成例を示す図である。図2に示す通信システムは、本実施の形態のノード1としての機能を有するノード1−1,1−2,1−3,1−4を備える。ノード1−1,1−2,1−3,1−4は、同一サブネットに属し、ERP網(ERP)21を構成する。ERP網(ERP)21は、ノード1−2およびノード1−3を介して、他のサブネットであるサブネット22に接続されている。
【0023】
サブネット22ではOSPFが動作していることが必要であるが、サブネット22を構成するノードの台数・種別や、サブネット22の構成などに制約は無い。
【0024】
ノード1−1〜1−4は、事前にお互いに識別情報を交換し、他ノードの識別情報と並び順情報(トポロジ情報)を取得しておく(ステップS1)。取得した情報は自ブリッジ内のトポロジ情報テーブルに格納する。ここでは、トポロジ情報の取得方法としては、上述の参考文献に記載されている、自ノード及び隣接ノードの情報を格納したERP制御フレームであるトポロジ情報フレームをERPノード間で交換してトポロジ情報を生成する方法などを用いることとするが、他の方法を用いても良い。図2の2重矢印は、隣接ノードへのトポロジ情報フレームの送信を示している。
【0025】
ERPには隣接ノードの状態を監視し、障害発生時にはERP網内の他ノードに対して障害情報を通知する機能がある。本実施の形態では、障害検知方法として、ERPが有する障害検知/通知機能をそのまま利用する。例として、図2に示すようにノード1−2で障害が発生したとする(ステップS2)。隣接ノード監視機能によりノード1−1及び1−3では、ERPモジュール15が障害を検出して(ステップS3)、Ether OAMのフレームの一つとして定義された制御フレーム(R−APS(Ring Automatic Protection Switching)フレーム)を用いてERP内の他ノードに障害を通知する(ステップS4)。各ノードは、R−APSフレームの受信により障害の発生を認識する。
【0026】
障害の発生を認識した(障害を検知した)ノード1−1,1−3,1−4(自ノードのERPモジュール15が物理ポート18からのリンクダウン通知による障害検出、または他ノードからR−APSフレームを受信することにより認識)では、障害箇所特定モジュール14が、障害発生前に取得したトポロジ情報を参照し、障害が発生したノードの識別情報を取得する。
【0027】
次に、障害検出後のレイヤ3経路切換手順について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態のノード1における障害検出後のレイヤ3経路切換手順の一例を示すフローチャートである。ノード1(図2の例では、1−1,1−3,1−4)では、上述のように障害を検知する(ステップS11)と、障害箇所特定モジュール14がトポロジ情報テーブルを参照して障害発生ノードを特定し、障害発生ノードのノード識別情報(ID:Identifier)を取得しECMP切替モジュール13へ通知する(ステップS12)。
【0028】
次に、ECMP切替モジュール13は、障害発生ノードのノード識別情報と経路テーブルとに基づいて、障害発生ノードをNext Hopとする宛先についてのECMPの有無をチェックする(ステップS13)。なお、図1では、ECMPの経路情報を経路テーブルから取得するとしているが、ECMPの経路情報はOSPFモジュール11が同一の情報を保持しているため、どちらから取得しても良い。一般には、より高速に処理できる方から取得することが望ましい(多くの場合は、経路テーブルから取得する方が高速である)。
【0029】
ECMPの有無をチェックによりECMPがある場合(ステップS13 あり)、当該宛先のECMP経路について経路テーブルの更新を行う(ステップS14)。具体的には、例えばこの更新内容は、障害ノードをNext Hopとする経路の削除と当該宛先に対応する他のECMP経路の経路テーブルへの登録である。すなわち、ECMP切替モジュール13は、障害発生ノードをNext Hopとする宛先について、ECMPが存在する場合、障害発生ノードをNext Hopとする経路から同一宛先の他のECMPへ切替える。ただし、ECMPの最も一般的な実装では、ECMP経路は障害発生前に経路テーブルへの登録がされ、有効化されているため、このような実装の場合には障害ノードをNext Hopとする経路の削除のみを実施する。
【0030】
経路テーブルの更新が完了すると、OSPFモジュール11に対して障害情報(障害ノードの識別情報)を通知する(ステップS15)。そして、OSPFモジュール11は、OSPFによる経路計算を実施し(ステップS16)、その結果を反映して経路テーブルを更新し(ステップS17)、処理を終了する。なお、ステップS14で更新された経路情報はOSPFによる経路計算実施後の経路情報と一致するため、ステップS17で更新を行う必要はない。
【0031】
OSPFでは、タイマを用いて障害検出を行うため、従来の技術では、障害発生から経路切換の完了まで、40秒(障害検出)+OSPF経路計算時間、が必要となっていた。本実施の形態では、ERPにより障害が検出された場合、ECMP切替モジュール13が、ECMPが存在する経路については経路テーブルを更新することにより経路切替えを実施する。したがって、本実施の形態では、ECMPが存在する経路については、障害発生から経路切換の完了までを、50ミリ秒(障害検出)+経路テーブル更新時間、に短縮することができる。なお、ECMPが存在しない経路の通信断時間については50m秒(障害検出)+OSPF経路計算時間となり、やはり従来に比べ短縮されている。
【0032】
OSPF経路計算時間はネットワーク規模やノードのハードウェア性能に依存するが、一般に、数百ミリ秒以上の処理時間が必要である。一方、経路テーブルの更新は数ミリ秒で実現することができる。したがって、本実施の形態の効果は、より多くのECMP経路が存在するネットワーク構成に適用した場合に、より大きな効果を得ることができる。
【0033】
図4および図5は、ECMP経路が存在するネットワーク構成の一例を示す図である。図4の例では、本実施の形態のノード1−1〜1−4で構成されるERPリング21が、ノード1−2,1−3を介して多重化接続23により、他のサブネット(ノード2−1〜2−4により構成される)に属するノード2−1に接続している。この場合、例えば、ノード1−1からノード2−1〜2−4へ宛てた送信を行う場合、ノード1−2がノード2−1に接続するリンクと、ノード1−3がノード2−1に接続するリンクと、の2つの経路を用いることができる。
【0034】
図5の例では、ERPやRPR等が動作している他のL2リング24(ノード2−1〜2−5で構成される)に複数個所(ノード1−2とノード2−2、ノード1−3とノード2−3)で接続(複数経路接続25)されている。
【0035】
本実施の形態は、図4や図5の例のように、他のサブネットと多重化により接続されたり複数箇所で接続されたりすることにより、全てまたは大多数のノードペアにおいてECMP経路が存在する場合に、特に障害発生から経路切換の完了までの短縮効果が大きい。
【0036】
実施の形態2.
図6は、本発明にかかる中継装置(ノード)3の実施の形態2の機能構成例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態のノード3は、実施の形態1のノード1のERPモジュール15、記憶部16およびトポロジ情報収集モジュール17の代わりに、RPRモジュール31を備える以外は、実施の形態1のノード1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
実施の形態1ではレイヤ2プロトコルにとしてERPを用いる例を示したが、レイヤ2にとしてRPRを用いても同様の機能を実現することができる。RPRも、障害検出機能を有し、本実施の形態では、RPRモジュール31が、RPRの障害検出機能により、障害検出を実施する。RPRはERPと異なり、トポロジ情報に相当する情報を取得・保持する機能をはじめから備えている。このため、本実施の形態では、トポロジ情報テーブルはRPRモジュール31が保持しており、トポロジ情報収集モジュール17等を別途備える必要は無い。
【0038】
障害箇所特定モジュール14は、RPRモジュール31から障害検出を通知されると、RPRモジュール31が保持しているトポロジ情報テーブルを参照することにより、障害発生ノードを特定して障害情報としてECMP切替モジュール13に通知する(図6(1))。以降ECMP切替モジュール13は、実施の形態1と同様にECMPの有無のチェックや経路テーブルの更新を行い(図6(2)、(3))、障害情報をOSPFモジュール11へ通知する(図6(4))。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
【0039】
また、図7に示すようにRPRモジュールが障害発生ノードを特定する(RPRモジュールが障害箇所特定モジュール14としての機能を有する)ように構成しても良い。図7は、RPRモジュール32が障害発生ノードを特定する場合のノード3aの構成例を示す図である。ノード3aでは、RPRモジュール32が、障害検出情報とトポロジ情報に基づいて障害発生ノードの識別情報を求める。そして、その識別情報を障害情報としてECMP切替モジュール13へ通知する(図7(1))。この場合、障害箇所特定モジュール14自体が不要となる。以降ECMP切替モジュール13は、図6の例と同様にECMPの有無のチェックや経路テーブルの更新を行い(図7(2)、(3))、障害情報をOSPFモジュール11へ通知する(図7(4))。
【0040】
以上のように、本実施の形態では、レイヤ2プロトコルとしてRPRを用い、RPRにより障害が検出された場合、ECMP切替モジュール13が、ECMPが存在する経路については経路テーブルを更新することにより経路切替えを実施する。このため、レイヤ2プロトコルとしてRPRを用いる場合に、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態3.
図8は、本発明にかかる中継装置(ノード)4の実施の形態3の機能構成例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態のノード4は、実施の形態1のノード1のERPモジュール15、障害箇所特定モジュール14、記憶部16およびトポロジ情報収集モジュール17の代わりに、BFD(Bidirectional Forwarding Detection)モジュール41を備える以外は、実施の形態1のノード1と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
実施の形態1ではレイヤ2プロトコルにとしてERPを用いる例を示したが、レイヤ2にとしてBFDを用いても同様の機能を実現することができる。BFDでは、BFDフレームを送信し、BFDフレームの不着により高速に障害を検出する。BFDフレームの送信間隔は、一般にOSPFのHelloメッセージ等の送信間隔より短く、OSPFに比べ高速に障害を検出することができる。本実施の形態では、高速に障害検出を行うために、同一のサブネット内に存在する全てのノード4が全隣接ノードについてBFDによる隣接監視を行う。
【0043】
ただし、ECMPが存在しないノード間についてはBFDの相互監視を行わなくても良い。ECMPが存在しないノード間におけるBFDの相互監視を行わない場合、OSPFモジュール11からBFDモジュール41にECMP情報(ECMPを求めた結果)を通知し、BFDによる監視を実施しないノードを決定する。
【0044】
また、高速な障害切替を必要とするノードが、同一サブネットを構成するノードの一部だけであった場合、高速な障害切替を必要とするノード間でのみBFDの相互監視を行うようにしてもよい。このようにすることにより同一サブネット(セグメント)内を流れるBFDフレームの総数を減らしつつ、高速な障害切替を必要とするノードに対しては全ノード間でBFD相互監視を行った場合と同等の高速障害切替性能を実現することができる。
【0045】
BFDフレーム内にはノードの識別情報が含まれているため、本実施の形態では、実施の形態1と異なり、障害箇所特定モジュール14、トポロジ情報収集モジュール17及びトポロジ情報テーブルは不要である。本実施の形態では、BFDモジュール41が、BFDによる隣接監視により障害検出した場合、監視対象に送信していたBFDフレームの宛先として使用していた識別情報を障害発生ノードの識別情報(障害情報)としてECMP切替モジュール13に通知する(図8(1))。以降ECMP切替モジュール13は、実施の形態1と同様にECMPの有無のチェックや経路テーブルの更新を行い(図8(2)、(3))、障害情報をOSPFモジュール11へ通知する(図8(4))。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。上記以外の構成・各処理については実施の形態1と同じである。
【0046】
以上のように、本実施の形態では、レイヤ2プロトコルとしてBFDを用い、BFDにより障害が検出された場合、ECMP切替モジュール13が、ECMPが存在する経路については経路テーブルを更新することにより経路切替えを実施する。このため、レイヤ2プロトコルとしてRPRを用いる場合に、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1,1−1〜1−4,2−1〜2−6,3,3a,4 ノード
11 OSPFモジュール
12,16 記憶部
13 ECMP切替モジュール
14 障害箇所特定モジュール
15 ERPモジュール
17 トポロジ情報収集モジュール
21 ERP
22 サブネット
23 多重化接続
24 L2リング
25 複数経路接続
31 RPRモジュール
41 BFDモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害検出機能を有するレイヤ2ルーチングプロトコルに基づく処理を実行するレイヤ2処理部と、
所定の経路計算処理により宛先ごとの経路情報を生成し、ECMP機能を有するレイヤ3ルーチングプロトコルに基づく処理を実行するレイヤ3処理部と、
前記レイヤ2処理部が検出した障害の障害箇所を検出する障害箇所特定部と、
前記障害箇所を次転送先としかつECMPが存在する宛先への経路を、前記宛先への他のECMP経路に切替えるよう前記経路情報を更新し、前記レイヤ3処理部へ前記障害箇所を通知するECMP切替部と、
を備え、
前記ECMP切替部は前記ECMPに基づく前記経路情報更新処理がおわった後に、前記レイヤ3処理部に障害の発生を通知し、
この通知を受けた前記レイヤ3処理部は、前記障害箇所に基づいて前記所定の経路計算処理を実施して前記経路情報を更新する、ことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記ECMP切替部が前記経路情報を更新する処理と、前記障害箇所に基づいた前記所定の経路計算処理と、を並行して実施する、ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記レイヤ2ルーチングプロトコルをERPとし、
ERP制御フレームを用いて自装置が接続するERP網内のトポロジ情報を収集するトポロジ情報収集部、
をさらに備え、
前記障害箇所特定部は、前記トポロジ情報に基づいて障害箇所を検出する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記レイヤ2ルーチングプロトコルをRPRとし、
前記レイヤ2処理部は、RPRプロトコルの処理としてトポロジ情報を取得し、
前記障害箇所特定部は、前記トポロジ情報に基づいて障害箇所を検出する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の中継装置。
【請求項5】
前記レイヤ2ルーチングプロトコルをBFDとし、
前記レイヤ2処理部は、BFDフレームを用いて同一のセグメントに属する隣接する中継機器の監視を行い、BFDフレームの不着により隣接する中継機器の障害を検出し、障害を検出した中継機器へ送信したBFDフレーム内に格納された宛先の識別情報を前記障害箇所とする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の中継装置。
【請求項6】
前記レイヤ2処理部は、同一のセグメントに属する中継装置のうち、ECMPを有しない中継装置との間では、BFDフレームを用いた監視を行わない、ことを特徴とする請求項5に記載の中継装置。
【請求項7】
前記レイヤ2処理部は、自装置が高速な経路切換を要求する中継機器である場合に、同一のセグメントに属する隣接する高速な経路切替を要求する中継機器との間で相互に監視を行い、自装置が高速な経路切換を要求しない中継機器である場合は、同一のセグメントに属する隣接する中継機器の監視を行わない、ことを特徴とする請求項5または6に記載の中継装置。
【請求項8】
障害検出機能を有するレイヤ2ルーチングプロトコルに基づく処理を実行するレイヤ2処理ステップと、
所定の経路計算処理により宛先ごとの経路情報を生成し、ECMP機能を有するレイヤ3ルーチングプロトコルに基づく処理を実行するレイヤ3処理ステップと、
前記レイヤ2処理ステップで検出した障害の障害箇所を検出する障害箇所特定ステップと、
前記障害箇所を次転送先としかつECMPが存在する宛先への経路を、前記宛先への他のECMP経路に切替えるよう前記経路情報を更新し、前記更新が完了した後に前記障害箇所をレイヤ3ルーチングプロトコルに通知するECMP切替ステップと、
前記ECMP切替ステップで通知された前記障害箇所に基づいて前記所定の経路計算処理を実施して前記経路情報を更新する経路更新ステップと、
を含むことを特徴とする中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−175425(P2012−175425A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35870(P2011−35870)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】