説明

主に食品有機廃棄物を利用した畜産・養鶏飼料

【課題】有機性廃棄物を環境に又は家畜に負荷を与えずに効率良く再資源化し、健全に食品有機性廃棄物資源の循環を促す。
【解決手段】食品原材料の農業生産から食品加工までの段階での廃棄有機物、及びスーパー・コンビニ等からの製品の期限切れ食品廃棄物・レストラン食堂等および学校給食・家庭等から排出される食品残渣等を中心に腐敗発酵菌、及び、米ぬか・フスマ等を混入ブレンドし発酵させることにより、主に牛・豚・鶏の飼料として利用可能となる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は我々が生きていく上で避けて通れない食品・有機廃棄物等を環境に負荷を与えず循環資源として効率良く有効に活用する事を目的として開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
わが国では山から海に至る多様な領域で林産・農産・畜産・水産における多種多様な有機性生産物が生み出されている。また同時にわが国には世界各国から多種多様多量の有機性生産物が輸入されている。しかしこれらの生産物は100%消費にまわる事は無く、残された有機性廃棄物の処理が現代社会の大きな課題となっている。
その有効利用方法としてバイオマスエネルギーへの転換や発電利用など多様に考案されてきている。また土から得られたものを土へ帰していくことがベストと考えられてきている。いわゆるコンポスト化が主流になっているようであるが、ここ最近コンビニ・スーパー等から排出される食品残渣等はプラント処理してペレット状の畜産飼料としてリサイクルされてきている。直接コンポスト化よりもその前段で飼料として利用し、畜産糞・養鶏糞となった状態で土に返すべきが自然の流れであろうし、当然にエネルギー効率は良いと思われる。
また、これら諸問題を考慮しながら再資源化を推進していく事がわれわれに与えられたこれからの課題であり有効活用を行えるノウハウを確立する必要があると考えられる。
わが国での食品原材料の農業生産から食品加工までの段階での廃棄有機物の量、及び製品としての食品の期限切れ廃棄物・レストラン食堂等および学校給食・家庭等から排出される食品残渣の量は一日当り全国で数百万トンいや数千万トンとも試算されている。
これらの大半がこれまで焼却処理・コンポスト化が盛んに行われてきた経緯がある。最近になって飼料の高騰を見ながら畜産飼料用としてのリサイクルも始まり各地にリサイクルプラントが立ち上がってきているところである。
現在、家畜である牛・豚及び養鶏の鶏は共に飼料用穀物によって飼育生産されている。
飼料の内容物は大半がとうもろこし・大豆・魚粕等が主体である。そこに多少各社の特徴ある原材料を配合して出荷しているのが通常の状態であろう。
各家畜共、一種類の穀物のみでの飼育では当然のように飽きてしまうのと、栄養分の偏りに繋がり無理がある。そのために開発されたのが配合飼料ということなのであろう。
ただし、今現在の養豚養鶏等は配合飼料に依存しすぎているため、家畜の体調に変化が現れている事に気づいているはずである。今現在の配合飼料は、成長促進を大前提としているため、高脂肪・高蛋白・無繊維質である。鶏などは消化吸収率が平均約70%位しか無いため当然の様に消化不良的な排便を引き起こしている。
【0003】
【特許文献1】 特願2007−132201号公報
【特許文献2】 特願2007−133322号公報
【特許文献3】 特願2007−13408号公報
【特許文献2】 特願2005−197310号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を中心に有機性廃棄物を環境に又は家畜に負荷を与えずに効率良く再資源化し、健全に有機性資源の循環を促す事を課題として、研究をすすめた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
われわれ人間も最古より菌糸類の代表であるきのこ類をご馳走として美味しく頂いている。極めつけはトリュフであろうが、ここでは触れないでおく。
また、日本人ならではの味噌・醤油等も今回の当該発明に関係が有るものであろう。
特定はしないが鶏に近い雉などの生態は、共に雑食性が強く自然界での餌の無くなる冬季にかけては枯れ草・腐葉土・昆虫の死骸等まで口に入るもの全てが彼らにとって餌である。注目点はその中で腐葉土を食して厳寒の冬を生き長らえている点である。植物の枯葉等の堆積し腐敗発酵した腐葉土をも餌とし、エネルギー・肉として換えている点である。
人間が食し得ない食品残渣を中心として、生のまま餌として利用できるもの出来ないものを分別利用も可であり、好気性発酵させ餌として与えるのも可であることが理解される。
また、畜産での飼料対肉の平均変換率をみると、鶏が2.5:1・豚が5:1・牛が10:1であり、この数値も平均である為、当該技術を含めて変換率の改善も可能となる。
請求項1の穀物全般の少なくとも一種類以上を選択し、脱穀を終えた状態の穀物に腐敗発酵菌と一定の水分を入れて混ぜ合わせ発酵させる。通常三日くらい有れば温度が上がり、5・6日で発酵熱が収まる。また、腐敗発酵菌は特定はしないが、好気性発酵菌を使用するのが望ましい。穀物は熱を通さず、特定はしないが硬い玄米状でも、白米状でもよく、麦・粟・稗等の穀物全般から選定された少なくとも一種類以上の対象表面が腐敗発酵していれば足りるものである。
請求項2は上記”従来の技術”でも触れたが、既存の配合飼料のみでは繊維質分が欠如している。現在の牛・豚・鶏共に繊維質分をあまり補給されていないため、消化不良気味の下痢状排便になってしまっている。対応策として穀物の他に、樹木の木質部・枝葉・抜根・端材・牧草・雑草等の粉砕物としてのおが屑・破砕材等自体をも腐敗発酵させて発酵菌を増殖させ、また一部繊維質のセルロースをも分解し消化吸収が可能となる。
請求項3は食品原材料の農業生産から食品加工までの段階での廃棄有機物の量、及び製品としての食品の期限切れ廃棄物・レストラン食堂等および学校給食・家庭等から排出される食品残渣等から選択された一種類以上の対象に腐敗発酵菌、特定はしないが好気性発酵菌が良く混入ブレンドし発酵させたものを主に牛・豚・鶏の飼料として利用できるものである。
食物残渣の中には含水比の高い対象も含まれてくるが、それらも栄養分として捨てることなく、請求項4に引き継がれる米ぬか・フスマ等を混入ブレンドする事で含水比調整ができ、効率良く利用可能な方法である。また、おが屑も併用発酵する事で水分調整と繊維質の補充となり効果的である。
請求項4は上記記載の請求項1・請求項2又は請求項3へ米ぬか・フスマ・おから・果汁粕・油粕・コーヒー豆粕・等のうち一種類以上を選択し、適量混入させることで発酵が安定し、促進されるものである。
請求項5は請求項1から請求項4までの方法で得られた発酵した飼料を特定はしないが、ペレット状に造粒又は粉砕加工し乾燥させて製品形状とする。粉砕加工の場合は乾燥後の粉砕の方がより効率的である。
食品残渣・穀物等は当該発酵については完熟発酵させずに穀物表面の発酵でよく、発酵熱で水分がとんだ状態で乾燥保存し、利用するものである。食品残渣に水分が多い場合は米糠・ふすま等を利用した水分調整により、スムーズな発酵が可能となるものである。
【実施例】
【0009】
杉のおが屑と米ぬかを使い約一週間発酵させた玄米と発酵させない玄米を並べて二組、名古屋コーチンとウコッケイ各三羽に三回朝昼晩同じ量、同じ条件で与えてみた。尚、通常の給餌は配合飼料1:米ぬか1の比率で配合しなおした餌を、朝昼二回与えている平飼いであり、通常の給餌を与えながらの実施である。発酵玄米にはいづれも発酵したおが屑と米ぬかも量で三割くらい混ざった状態である
発酵玄米と生の玄米を並べると、結果はいづれの鶏種も生の玄米には寄り付かず、三度とも発酵玄米の方へ無くなるまでむさぼり食べているのが確認できた。また、発酵玄米に混ざっていた発酵おが屑・米ぬかは、約三割消費されただけで、生の玄米と共に残った状態であった。
【発明の効果】
【0010】
穀物全般の少なくとも一種類以上を選択し発酵させる。通常三日くらい有れば温度が上がり、5・6日で発酵熱が収まる。穀物は熱を通さず、特定はしないが硬い玄米状でも、白米状でもよく、麦・粟・稗等の穀物全般から選定された少なくとも一種類以上の対象表面が腐敗発酵していれば足りるものである。季節によっては気温の関係で発酵日数が遅れる場合もある。
発酵を促進させるため米ぬか・フスマ等をがさ比で二割程度配合して水分も調整して手で握って崩れない程度で適量として判断できる。
発酵した玄米・白米・青米等はでんぷん質が分解され、消化吸収が良くなるだけでなく、発酵菌の増殖によってそれら発酵菌体自体がたんばく質であり、生きた栄養源として補給できるものである。元来牛・豚・鶏等は野生の原種、又はそれらに近い水牛・猪・雉等は、穀物類から緑の葉等、及び冬季間など特に腐葉土まで口に入るもの総て餌として食してきた経緯がある。その様に考えると発酵餌は畜産・養鶏にとっては必要不可欠の飼料として利用されるべきものであろうと考えられる。
また、最近コンビニ・スーパー等から排出される食品残渣等はプラント処理してペレット状の畜産飼料としてリサイクルされてきている。直接コンポスト化よりもその前に飼料として利用し、畜産糞・養鶏糞となった段階で肥料として土に返すべきが自然の流れであろうし、当然リサイクル効率・エネルギー効率も格段に有効となるものと判断できる。
また、上記の様に飼育された鶏は、個々の鶏糞が球に近い固形の状態で確認でき、ケイジで飼育管理されている養鶏場のあのきつい鼻に付く臭いはなく、かすかに窒素独特の臭いが感じられる程度であり、自然に近い健全な状態で飼育され、病気にも強く健康に育つ事が可能となるものである。また、畜産の中で鶏は特に砂肝を持っている生き物であるが、現在流通している配合飼料には砂粒等は入って無く、ミネラル分の補給もままならない現状である。我々人間には食べれない生餌(発酵菌・昆虫等)・小砂利・蛎ガラ等をも消化吸収する力を持つ元来兼ね備えた畜産動物の特徴を生かすべき時代に入っているのではないでしょうか。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物全般を生のまま腐敗発酵菌で発酵させた畜産又は養鶏用飼料。
【請求項2】
林業の樹木木質部又は・枝葉・抜根・端材・牧草・雑草等全般を粉砕加工したものに穀物及び腐敗醗酵菌を混入ブレンドし発酵させた畜産又は養鶏飼料。
【請求項3】
農作物・食品等からの有機廃棄物に腐敗発酵菌を混入ブレンドし発酵させた畜産又は養鶏用飼料。
【請求項4】
米ぬか・フスマ・おから・果汁粕・油粕・コーヒー豆粕・等各種粕のうち一種類以上を選択混入し発酵させた請求項1・請求項2または請求項3の畜産又は養鶏用飼料。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの方法で得られた発酵飼料をペレット状又は粉砕加工した畜産又は養鶏用飼料。

【公開番号】特開2010−142218(P2010−142218A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336183(P2008−336183)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(509023872)株式会社恵陽理研 (1)
【出願人】(508115370)株式会社環境開発 (5)
【Fターム(参考)】