説明

乗物用シート

【課題】表皮の位置等を調整可能な乗物用シートのシートクッション部あるいはシートバック部において、表皮巻き取り装置を必要とすることなく、乗員の体格等に応じて乗員を支持する面の高さ等を容易に調整することができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】シートクッション部の乗員支持面Mに沿って前後または左右に並列配置された第1及び第2リンク部材32A、32Bが設けられて、それらを覆うようにシート状の表皮35が掛け渡され、第1及び第2リンク部材の回転手段と固定手段を備え、第1及び第2リンク部材を回転させると、表皮の乗員支持面の厚さ方向の位置が回転角度に応じて変化するように、第1及び第2リンク部材の形状、あるいは第1及び第2回転軸ZA、ZBの位置、の少なくとも一方が設定され、表皮が環状に形成されている、あるいは表皮端部のそれぞれが第1及び第2リンク部材に対して乗員支持面と反対側に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の体格等に応じて、乗員を支える面の高さ等を調整可能な乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗物用シートにおいて、乗員を支える面である乗員支持面の高さ等を調整可能とする構造を備えた種々の乗物用シートが開示されている。
例えば図8(A)〜(C)の例に示す従来技術には、前後方向に延びる棒状の表皮支持フレーム132B、132Cにて、乗員支持面M(この場合、座面)の表皮135を支持し(図8(A)及び(B)参照)、乗員の乗降時にはドア側の表皮支持フレーム(この例では表皮支持フレーム132C)を支える支柱133Lを座席の中央側に傾斜するように折り曲げて表皮135の高さをドア側に傾斜させる(図8(C)参照)車両用シートが開示されている。
なお、図8(A)は従来の車両用シートの全体の斜視図を示し、図8(B)及び(C)は図8(A)の車両用シートをC方向から見たシートクッション部130の概略図を示している。そして図8(C)は乗員の乗降時の状態(支柱133Lを座席の中央側に傾斜させて座面をドア側に傾斜させた状態)を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−149166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来技術では、図8に示すように表皮における乗員支持面M等を支持する棒状の表皮支持フレーム132A、132B、132C、132Dを必要としており、特に表皮支持フレーム132Cを支持する支柱133Lは、直立状態と、座席の中央側に折れ曲がった状態とを有するように構成され、構造が比較的複雑である。また、乗員支持面M(座面)の高さや傾斜を変更した際の表皮135の張力を保つために、表皮135の端部を巻き取る表皮巻き取り装置135W(牽引機構)も必要としており、更に構造が複雑化している。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、表皮の位置等を調整可能な乗物用シートのシートクッション部あるいはシートバック部において、表皮巻き取り装置を必要とすることなく、乗員の体格等に応じて乗員を支持する面の高さ等を容易に調整することができる乗物用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る乗物用シートは次の構成を有する。
まず、本発明の第1の発明は、乗物用シートにおける乗員が腰を下ろすシートクッション部あるいは乗員が背中を凭せ掛けるシートバック部の少なくとも一方において、前記シートクッション部の場合は乗員を支える面である乗員支持面に沿って前後または左右に並列配置された第1リンク部材と第2リンク部材、前記シートバック部の場合は前記乗員支持面に沿って上下または左右に並列配置された第1リンク部材と第2リンク部材、が設けられて当該第1リンク部材と第2リンク部材を覆うようにシート状の表皮が掛け渡されている。
なお、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートクッション部且つ前後に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は左右方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートクッション部且つ左右に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は前後方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートバック部且つ上下に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は左右方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートバック部且つ左右に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は上下方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能である。
更に、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを所望する回転角度となるように回転させる回転手段と、前記回転手段にて所望する回転角度に回転させた前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを固定する固定手段と、を備え、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを回転させると、前記表皮における前記乗員支持面の厚さ方向の位置が回転角度に応じて変化するように、前記第1リンク部材の形状と前記第2リンク部材の形状、あるいは前記第1リンク部材に対する前記第1回転軸の位置と前記第2リンク部材に対する前記第2回転軸の位置、の少なくとも一方が設定されている。
そして、前記第1回転軸及び前記第2回転軸に直交する方向における前記表皮の端部である表皮端部のそれぞれが前記第1リンク部材と前記第2リンク部材に対して前記乗員支持面と反対側にて互いに接続されて前記表皮が環状に形成されている、あるいは前記表皮端部のそれぞれが前記第1リンク部材と前記第2リンク部材に対して前記乗員支持面と反対側に固定されている。
【0006】
この第1の発明によれば、第1リンク部材と第2リンク部材とが、シートクッション部またはシートバック部のいずれに設けられていても、また第1リンク部材と第2リンク部材の回転軸(第1回転軸と第2回転軸)が前後方向または左右方向(シートクッション部の場合)、あるいは上下方向または左右方向(シートバック部の場合)のいずれであっても、表皮端部のそれぞれを接続して表皮を環状に形成、あるいは表皮端部のそれぞれを乗員支持面の反対側に固定することで、表皮巻き取り装置を必要とせず、シートクッション部またはシートバック部の表皮における乗員支持面の厚さ方向の位置を容易に調整することが可能である。
【0007】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る乗物用シートであって、前記表皮は、前記乗員支持面の厚さ方向の位置が前記第1リンク部材と前記第2リンク部材の回転角度に応じて変化するとともに、前記厚さ方向の位置が薄くなる方向に向かうに従って、前記乗員支持面における前記第1回転軸及び第2回転軸に直交する方向の長さが長くなるように、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材の形状、あるいは前記第1リンク部材に対する前記第1回転軸の位置と前記第2リンク部材に対する前記第2回転軸の位置、の少なくとも一方が設定されている。
【0008】
この第2の発明によれば、第1リンク部材と第2リンク部材の回転角度を調整するだけで、表皮巻き取り装置を必要とすることなく、シートクッション部またはシートバック部の表皮における乗員支持面の厚さ方向の位置と、乗員支持面の長さ(すなわち広さ)とを、同時に且つ容易に調整することが可能である。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る乗物用シートであって、前記表皮における前記乗員支持面の厚さ方向の位置が最も厚くなる位置である第1調整位置よりも、前記乗員支持面の厚さ方向の位置が最も薄くなる位置である第2調整位置のほうが、前記表皮の張力が大きくなるように、前記第1調整位置における前記第1回転軸方向から見た前記表皮に囲まれた第1調整範囲に対して前記第1リンク部材または前記第2リンク部材の少なくとも一方の可動範囲が突出している、あるいは、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材の少なくとも一方と、前記表皮との間には、カバー部材が設けられており、前記第2調整位置において前記カバー部材は前記第1調整範囲から突出している。
【0010】
この第3の発明によれば、第1リンク部材と第2リンク部材の回転角度を調整するだけで、表皮巻き取り装置を必要とすることなく、シートクッション部またはシートバック部の表皮における乗員支持面の厚さ方向の位置と、乗員支持面の長さ(すなわち広さ)と、更に乗員支持面における表皮の張力とを、同時に且つ容易に調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態であり、シートクッション部の前後に第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを並列配置した乗物用シート10の構造を説明する図である。
【図2】第1の実施の形態において、表皮35の端部の固定方法等を説明する図である。
【図3】第1の実施の形態において、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの形状、第1回転軸ZAと第2回転軸ZBの位置、の例を説明する図である。
【図4】第1の実施の形態において、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの回転角度を変更した状態を説明する図である。
【図5】第2の実施の形態であり、シートクッション部の左右に第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを並列配置した乗物用シート10の構造を説明する図である。
【図6】第2の実施の形態において、表皮35の端部の固定方法等を説明する図である。
【図7】第2の実施の形態において、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの形状、第1回転軸ZRと第2回転軸ZLの位置、の例を説明する図である。
【図8】従来の乗物用シートの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1(A)及び(B)は、本発明の乗物用シート10の第1の実施の形態における外観と構造の例を示している。
なお、本発明の乗物用シート10は、種々の乗物のシートに適用することが可能であるが、以下では、自動車の座席に適用した例を説明する。
まず図1〜図4を用いて、本発明の乗物用シート10における第1の実施の形態について説明する。
【0013】
次に図1〜図4を用いて乗物用シート10の第1の実施の形態について説明する。
●●[第1の実施の形態(図1〜図4)]
●[乗物用シート10の全体構造(図1)]
図1(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態における乗物用シート10は、乗員が腰を下ろすシートクッション部30、乗員が背中を凭せ掛けるシートバック部20、乗員の頭部を支持するヘッドレスト部40等を有している。またシートクッション部30には、左右からサイドサポート部材50R、50Lが取り付けられている。
第1の実施の形態における乗物用シート10は、シートクッション部30に、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを備え、且つ第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bとが、乗員を支える面である乗員支持面M(この場合、シートクッション部30の座面)に沿って前後方向に並列配置されている。
そして第1リンク部材32Aは、左右方向に延びる第1回転軸ZA回りに回転可能であり、第2リンク部材32Bは、第1回転軸ZAに対して平行に設定された第2回転軸ZB回りに回転可能である。
【0014】
シートクッション部30は、ベース31、リンクフレーム32、カバー34、表皮35、リンク操作ユニット33、サイドサポート部材50R、50L等にて構成されている。
なおリンクフレーム32の前後方向の端部には、表皮35の引っ張り方向を滑らかに変換する回転体32C、32Dが設けられている。
そして、ベース31の台座31A、31Bにリンクフレーム32が固定され、リンクフレーム32に取り付けられた第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの回転角度を所望する回転角度まで変更することと、当該回転角度にて第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを固定することが可能なリンク操作ユニット33(回転手段と固定手段に相当)がリンクフレーム32に固定される。
そして、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bにカバー34が取り付けられ、表皮35が、リンクフレーム32(すなわち第1リンク部材と第2リンク部材)及びカバー34を覆うように被せられている。
また、第1回転軸ZA及び第2回転軸ZBに直交する方向における表皮35の端部である表皮端部のそれぞれは、種々の方法でリンクフレーム32の裏側で固定され、表皮35を巻き取る表皮巻き取り装置を必要としない。
【0015】
●[表皮35の両端部の固定方法(図2)]
次に図2を用いて、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bに掛け渡された表皮35の表皮端部の固定方法について3通りの例を説明する。なお図2の例では、説明のためにリンク操作ユニット33とサイドサポート部材50R、50L、シートバック部20等の記載を省略している。
1つ目の例は図2(A)に示すように、表皮35の表皮端部35X(第1回転軸ZAと第2回転軸ZBに直交する方向における表皮35の端部)のそれぞれをリンクフレーム32及び台座31A、31Bの裏側(第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bに対して乗員支持面Mと反対側)で連結(接続)し、表皮35を環状に形成する方法である。
2つ目の例は図2(B)に示すように、表皮35の表皮端部35Yのそれぞれをリンクフレーム32の裏側または台座31A、31Bの裏側(第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bに対して乗員支持面Mと反対側)に固定する方法である。
3つ目の例は図2(C)に示すように、表皮35の表皮端部35Zのそれぞれをベース31(第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bに対して乗員支持面Mと反対側)に固定する方法である。
図2(B)及び(C)に示す例では、表皮35の表皮端部は、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bに対して乗員支持面M(この場合、座面)と反対側で固定され、リンクフレーム32の裏側に相当する位置、且つリンクフレーム32の回転体32Cと32Dの間に相当する位置で固定されている。
なお以下の説明では、表皮35を、図2(A)に示すように環状に形成した場合の例で説明する。
【0016】
●[第1リンク部材32Aの形状と第2リンク部材32Bの形状、第1回転軸ZAの位置と第2回転軸ZBの位置(図3)]
次に図3を用いて、第1リンク部材32Aの形状と第2リンク部材32Bの形状の例、及び第1回転軸ZAの位置と第2回転軸ZBの位置の例について説明する。
なお図3(A)〜(E)のそれぞれの左図及び中図は、図1(A)に示す第1の実施の形態の乗物用シート10をE方向から見た図であり、且つ表皮35に囲まれた部分(及びリンクフレーム32)を示している(リンク操作ユニット33、サイドサポート部材50R、50Lは省略)。
また図3(A)〜(E)のそれぞれにおいて、左図はシートクッションが(最も)厚くなる乗員支持面Mの位置である第1調整位置を示しており、中図はシートクッションが(最も)薄くなる乗員支持面Mの位置である第2調整位置を示しており、右図は第1リンク部材32Aの概略形状を示す斜視図である。
以下の例に示すように、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの回転角度に応じて、乗員支持面Mにおける厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)、乗員支持面Mにおける第1回転軸ZAに直交する方向の長さ(距離La、Lb)、表皮35の張力、が変化するように、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの形状、あるいは第1リンク部材32Aに対する第1回転軸ZAの位置と第2リンク部材32Bに対する第2回転軸ZBの位置、の少なくとも一方が適切に設定されている。
【0017】
図3(A)の例では、第1リンク部材32Aにおける第1回転軸ZAに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Bにおける第2回転軸ZBに直交する面の形状)が円である。また、第1回転軸ZAが第1リンク部材32Aの中心ではなく偏心した位置にあり、第2回転軸ZBが第2リンク部材32Bの中心ではなく偏心した位置にある。なお、この例では、カバー34は、第1リンク部材32A及び第2リンク部材32Bに接続されていない。
この例では、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。しかし、第1回転軸ZA(及び第2回転軸ZB)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離La、Lb)を調整することは困難である。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(中図)における第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの位置はそれほど突出しておらず、距離Hbが距離Haよりも充分小さくなっており、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることが困難である。
【0018】
図3(B)の例では、第1リンク部材32Aにおける第1回転軸ZAに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Bにおける第2回転軸ZBに直交する面の形状)が矩形、あるいは楕円、あるいは図3(B)右図に示すように2個の円柱を連結した形状である。また、第1回転軸ZAの位置が第1リンク部材32Aの中心にあり、第2回転軸ZBの位置が第2リンク部材32Bの中心にある。なお、この例では、カバー34は、第1リンク部材32A及び第2リンク部材32Bに接続されている。
この例では、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZA(及び第2回転軸ZB)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離La、Lb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(中図)における第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの位置はそれほど突出しておらず、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることは困難である。
【0019】
図3(C)の例では、第1リンク部材32Aにおける第1回転軸ZAに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Bにおける第2回転軸ZBに直交する面の形状)が略「く」の字形、あるいは図3(C)右図に示すように3個の円柱を連結して「く」の字形にした形状である。また、第1回転軸ZAの位置が第1リンク部材32Aの中心にあり、第2回転軸ZBの位置が第2リンク部材32Bの中心にある。なお、この例では、カバー34は、第1リンク部材32A及び第2リンク部材32Bに接続されている。
この例では、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZA(及び第2回転軸ZB)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離La、Lb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(中図)における第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの位置は大きく(下側に)突出しており(すなわち、可動範囲が大きく突出しており)、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることができる。
【0020】
図3(D)の例では、第1リンク部材32Aにおける第1回転軸ZAに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Bにおける第2回転軸ZBに直交する面の形状)が矩形、あるいは楕円、あるいは図3(D)右図に示すように2個の円柱を連結した形状である。また、第1回転軸ZAの位置が第1リンク部材32Aの中心ではなく偏心した位置にあり、第2回転軸ZBの位置が第2リンク部材32Bの中心ではなく偏心した位置にある。なお、この例では、カバー34は、第1リンク部材32A及び第2リンク部材32Bに接続されている。
この例では、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZA(及び第2回転軸ZB)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離La、Lb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、カバー34が大きく(左側及び下側に)突出しており、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることができる。
【0021】
図3(E)の例では、第1リンク部材32Aにおける第1回転軸ZAに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Bにおける第2回転軸ZBに直交する面の形状)が略「L」字形、あるいは図3(E)右図に示すように3個の円柱を連結して「L」字形にした形状である。また、第1回転軸ZAの位置が第1リンク部材32Aの中心ではなく偏心した位置にあり、第2回転軸ZBの位置が第2リンク部材32Bの中心ではなく偏心した位置にある。なお、この例では、カバー34は設けられていない。また図3(A)〜(D)では第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの回転方向が同一であるが、図3(E)では回転方向が互いに逆方向である。
この例では、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZA(及び第2回転軸ZB)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離La、Lb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(中図)における第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの位置は大きく(左側及び右側に)突出しており(すなわち、可動範囲が大きく突出しており)、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることができる。
【0022】
●[表皮35の乗員支持面Mの調整状態(図4)]
次に図4を用いて表皮35の乗員支持面M(この場合、シートクッション部30の座面)の調整状態について説明する。(図4の例では、説明のためにリンク操作ユニット33とサイドサポート部材50R、50Lの記載を省略している。)
なお、図4(A)は比較的小柄な体格の乗員(例えば小学生未満の乗員)に合わせた第1調整位置の例を示しており、図4(B)は標準的及び比較的大柄な体格の乗員(例えば中学生以上の乗員)に合わせた第2調整位置の例を示している。また図4(A)及び(B)は、図3(D)の例にて説明した第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bの形状、及び第1回転軸ZAと第2回転軸ZBの位置を用いている。
【0023】
図4(A)の例に示す第1調整位置では、図示省略したリンク操作ユニット33を操作して、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bにおける鉛直方向に対する角度(回転角度)が、ほぼゼロとなるように調整した状態を示している。
この場合、乗員支持面Mの厚さ方向の位置(距離(高さ)Ha)が、図4(B)に示す第2調整位置の厚さ方向の位置(距離(高さ)Hb)よりも高い位置となるので(距離Ha>距離Hb)、ヘッドレスト部40の位置の調整や、肩のシートベルトの位置の調整を行う必要がない。また、比較的小柄な乗員の目線の位置を、標準的な大人の目線の位置により近づけるため、乗員が外の景色を楽しむことができる。
また、この場合、乗員支持面Mにおける第1回転軸ZAと第2回転軸ZBに直交する方向の長さ(この場合、座面の前後方向の距離(長さ、広さ)La)が、図4(B)に示す第2調整位置における長さよりも短くなり(距離La<距離Lb)、比較的小柄な乗員が膝を曲げた状態で乗車するのに適しており、乗員は、より楽な姿勢で乗物用シート10に体を預けることができる。
更に、この場合、乗員支持面Mにおける張力が、図4(B)に示す第2調整位置の張力よりも小さくなり、比較的小柄な乗員を支持するのに適した張力となる。なお、例えばカバー34の先端部34Aがやや下方に長く延設されており、図4(B)に示す第2調整位置から第1調整位置に遷移すると、この先端部34Aによる表皮35の突出部がなくなり、表皮35の全周の長さが第2調整位置よりも第1調整位置のほうが短くなり、張力が低減する。
【0024】
図4(B)の例に示す第2調整位置では、図示省略したリンク操作ユニットを操作して、第1リンク部材32Aと第2リンク部材32Bにおける水平方向に対する角度(回転角度)が、鉛直方向に対してほぼ90度の状態(ほぼ水平方向)となるように調整した状態を示している。
この場合、乗員支持面Mの厚さ方向の位置(距離(高さ)Hb)が、図4(A)に示す第1調整位置の厚さ方向の位置(距離(高さ)Hb)よりも低い位置となり(距離Hb<距離Ha)、標準的及び比較的大柄な乗員の目線の位置を適切な高さにする。
また、この場合、乗員支持面Mにおける第1回転軸ZAと第2回転軸ZBに直交する方向の長さ(この場合、座面の前後方向の距離(長さ、広さ)Lb)が、図4(A)に示す第1調整位置における長さよりも長くなり(距離Lb>距離La)、標準的及び比較的大柄な乗員を、より楽な姿勢でホールドすることができる。
更に、この場合、乗員支持面Mにおける張力が、図4(A)に示す第1調整位置の張力よりも大きくなり、標準的及び比較的大柄な乗員を支持するのに適した張力となる。なお、張力の調整は、例えばカバー34の先端部34Aをやや下方に長く延設することで、図4(B)に示す第2調整位置では、この先端部34Aで表皮35を左側及び下側に突出させて(図4(A)に示す第1調整位置における表皮35に囲まれた第1調整範囲よりも、図4(B)に示す第2調整位置におけるカバー34を左側及び下側に突出させて)張力を増加させる。
【0025】
次に図5〜図7を用いて乗物用シート10の第2の実施の形態について説明する。
●●[第2の実施の形態(図5〜図7)]
●[乗物用シート10の全体構造(図5(A))]
図5(A)に示すように、第2の実施の形態における乗物用シート10は、第1の実施の形態に対して、シートクッション部30において第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lが、前後方向でなく、左右方向に並列配置されている点が異なる。
以下、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
第2の実施の形態における乗物用シート10は、シートクッション部30に、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを備えており、且つ第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lとが左右方向に並列配置されている。そして第1リンク部材32Rは、前後方向に延びる第1回転軸ZR回りに回転可能であり、第2リンク部材32Lは、第1回転軸ZRに対して平行に設定された第2回転軸ZL回りに回転可能である。
【0026】
第2の実施の形態におけるシートクッション部30は、第1の実施の形態に対して、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの配置方向と形状が異なり、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lに表皮35が接しており、カバー34、サイドサポート部材50R、50Lを有していない。なお、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの回転角度の調整と固定を行うリンク操作ユニット33については図示省略している。
また、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lとは互いに逆方向に回転する。
図4(A)の例に示す第2の実施の形態における乗物用シート10では、ベース31にリンクフレーム32Eが固定され、リンクフレーム32Eに取り付けられている第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの回転角度を所望する回転角度まで変更することと、当該回転角度にて第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを固定することが可能なリンク操作ユニット33(図示省略)がリンクフレーム32Eに固定される。そして表皮35が、リンクフレーム32E(すなわち第1リンク部材と第2リンク部材)を覆うように被せられ、更に表皮35の両端部は種々の方法で、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lに対して乗員支持面Mと反対側(裏側)で固定され、表皮35を巻き取る表皮巻き取り装置を必要としない。
【0027】
●[表皮35の両端部の固定方法(図6)]
表皮35の端部のそれぞれの固定方法は、図6(A)の例に示すように表皮35の表皮端部35Z(第1回転軸ZRと第2回転軸ZLに直交する方向における表皮35の端部)のそれぞれを第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの裏側(第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lに対して乗員支持面Mと反対側)で連結して表皮35を環状に形成する方法と、図6(B)の例に示すように表皮端部35Yのそれぞれを第1リンク部材32Rの裏側(乗員支持面Mと反対側)及び第2リンク部材32Lの裏側(乗員支持面Mと反対側)に固定する方法と、図6(C)に示すように表皮端部35Zのそれぞれをベース31(第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lに対して乗員支持面Mと反対側)に固定する方法がある。
図6(B)及び(C)に示す例では、表皮35の表皮端部は、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの裏側(乗員支持面Mに対して反対側)に相当する位置、且つ第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの間に相当する位置で固定されている。
【0028】
●[第1リンク部材32Rの形状と第2リンク部材32Lの形状、第1回転軸ZRの位置と第2回転軸ZLの位置(図7)]
次に図7を用いて、第1リンク部材32Rの形状と第2リンク部材32Lの形状の例、及び第1回転軸ZRの位置と第2回転軸ZLの位置の例について説明する。
なお図7(A)〜(D)のそれぞれの左図及び右上図は、図5(A)に示す第2の実施の形態の乗物用シート10をF方向から見た図であり、且つ表皮35に囲まれた部分とリンクフレーム32Eを示している。
また図7(A)〜(D)のそれぞれにおいて、左図はシートクッションが(最も)厚くなる乗員支持面Mの位置である第1調整位置を示しており、右上図はシートクッションが(最も)薄くなる乗員支持面Mの位置である第2調整位置を示しており、右下図は第1リンク部材32Rの概略形状を示す斜視図である。
以下の例に示すように、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの回転角度に応じて、乗員支持面Mにおける厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)、乗員支持面Mにおける第1回転軸ZRに直交する方向の長さ(距離Wa、Wb)、表皮35の張力、が変化するように、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの形状、あるいは第1リンク部材32Rに対する第1回転軸ZRの位置と第2リンク部材32Lに対する第2回転軸ZLの位置、の少なくとも一方が適切に設定されている。
【0029】
図7(A)の例では、第1リンク部材32Rにおける第1回転軸ZRに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Lにおける第2回転軸ZLに直交する面の形状)が円である。また、第1回転軸ZRの位置が第1リンク部材32Rの中心ではなく偏心した位置にあり、第2回転軸ZLの位置が第2リンク部材32Lの中心ではなく偏心した位置にある。
この例では、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZR(及び第2回転軸ZL)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離Wa、Wb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(右上図)における第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの位置は突出しており、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることができる。
【0030】
図7(B)の例では、第1リンク部材32Rにおける第1回転軸ZRに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Lにおける第2回転軸ZLに直交する面の形状)が矩形、あるいは図7(B)右下図に示すように楕円である。また、第1回転軸ZRの位置が第1リンク部材32Rの中心にあり、第2回転軸ZLの位置が第2リンク部材32Lの中心にある。
この例では、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZR(及び第2回転軸ZL)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離Wa、Wb)を調整することもできる。
なお、第1回転軸ZRと第2回転軸ZLがそれぞれ中心に設定されているので、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることは困難である。
【0031】
図7(C)の例では、第1リンク部材32Rにおける第1回転軸ZRに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Lにおける第2回転軸ZLに直交する面の形状)が矩形、あるいは図7(C)右下図に示すように楕円である。また、第1回転軸ZRの位置が第1リンク部材32Rの中心ではなく偏心した位置にあり、第2回転軸ZLの位置が第2リンク部材32Lの中心ではなく偏心した位置にある。
この例では、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZR(及び第2回転軸ZL)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離Wa、Wb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(右上図)における第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの位置は突出しており、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることができる。
【0032】
図7(D)の例では、第1リンク部材32Rにおける第1回転軸ZRに直交する面の形状(及び第2リンク部材32Lにおける第2回転軸ZLに直交する面の形状)が略「L」字形、あるいは図7(D)右下図に示すように3個の円柱を連結して「L」字形にした形状である。また、第1回転軸ZRの位置が第1リンク部材32Rの中心ではなく偏心した位置にあり、第2回転軸ZLの位置が第2リンク部材32Lの中心ではなく偏心した位置にある。
この例では、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lを回転させることで、乗員支持面M(この場合、座面)の厚さ方向の位置(距離Ha、Hb)を調整することができる。また、第1回転軸ZR(及び第2回転軸ZL)に直交する方向における乗員支持面Mの長さ(距離Wa、Wb)を調整することもできる。
また、第1調整位置(左図)における表皮35に囲まれた範囲である第1調整範囲に対して、第2調整位置(右上図)における第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの位置は突出しており、第1調整位置における表皮35の張力よりも、第2調整位置における表皮35の張力を大きくすることができる。
【0033】
●[表皮35の乗員支持面Mの調整状態(図5(B)及び(C))]
次に図5(B)及び(C)を用いて表皮35の乗員支持面M(この場合、シートクッション部30の座面)の調整状態について説明する。(図5(B)及び(C)の例では、説明のためにリンク操作ユニット33とシートバック部20等の記載を省略している。)
なお、図5(B)は乗員が例えば小学生未満のように、比較的小柄な体格の乗員に合わせた第1調整位置の例を示しており、図5(C)は乗員が例えば中学生以上のように、標準的及び比較的大柄な体格の乗員に合わせた第2調整位置の例を示している。また図5(B)及び(C)は、図7(C)の例にて説明した第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lの形状、及び第1回転軸ZRと第2回転軸ZLの位置を用いている。
【0034】
図5(B)の例に示す第1調整位置では、図示省略したリンク操作ユニットを操作して、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lにおける鉛直方向に対する角度(回転角度θa)が、ほぼゼロとなるように調整した状態を示している。
なお、効果等については第1の実施の形態の第1調整位置と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
図5(C)の例に示す第2調整位置では、図示省略したリンク操作ユニットを操作して、第1リンク部材32Rと第2リンク部材32Lにおける鉛直方向に対する角度(回転角度θb)が、90度により近い状態(水平状態に近い状態)となるように調整した状態を示している。
なお、効果等については第1の実施の形態の第2調整位置と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
●●[他の実施の形態]
以上の説明ではシートクッション部30に第1リンク部材と第2リンク部材を設けた例を説明したが、第1及び第2の実施の形態にて説明した第1リンク部材と第2リンク部材をシートバック部20に適用しても良い。
シートバック部20に第1の実施の形態を適用する場合は、第1リンク部材と第2リンク部材をシートバック部20の乗員支持面に沿って上下に並列配置し、第1リンク部材を左右方向に延びる第1回転軸回りに回転可能に構成し、第2リンク部材を第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能に構成すれば良く、図示は省略する。
また、シートバック部20に第2の実施の形態を適用する場合は、第1リンク部材と第2リンク部材をシートバック部20の乗員支持面にそって左右に並列配置し、第1リンク部材を上下方向に延びる第1回転軸回りに回転可能に構成し、第2リンク部材を第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能に構成すれば良く、図示は省略する。
【0037】
本発明の乗物用シート10は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、形状等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態にて説明した乗物用シート10は、車両用シートへの適用を含め、種々の乗物に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 乗物用シート
20 シートバック部
30 シートクッション部
31 ベース
31A、31B 台座
32、32E リンクフレーム
32A、32R 第1リンク部材
32B、32L 第2リンク部材
33 リンク操作ユニット
34 カバー
35 表皮
35X、35Y、35Z 表皮端部
40 ヘッドレスト部
M 乗員支持面
ZA、ZR 第1回転軸
ZB、ZL 第2回転軸



【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートにおける乗員が腰を下ろすシートクッション部あるいは乗員が背中を凭せ掛けるシートバック部の少なくとも一方において、前記シートクッション部の場合は乗員を支える面である乗員支持面に沿って前後または左右に並列配置された第1リンク部材と第2リンク部材、前記シートバック部の場合は前記乗員支持面に沿って上下または左右に並列配置された第1リンク部材と第2リンク部材、が設けられて当該第1リンク部材と第2リンク部材を覆うようにシート状の表皮が掛け渡されており、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートクッション部且つ前後に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は左右方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートクッション部且つ左右に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は前後方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートバック部且つ上下に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は左右方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材が前記シートバック部且つ左右に並列配置されている場合は、前記第1リンク部材は上下方向に延びる第1回転軸回りに回転可能であり、前記第2リンク部材は前記第1回転軸に対して平行に設定された第2回転軸回りに回転可能であり、
更に、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを所望する回転角度となるように回転させる回転手段と、
前記回転手段にて所望する回転角度に回転させた前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを固定する固定手段と、を備え、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とを回転させると、前記表皮における前記乗員支持面の厚さ方向の位置が回転角度に応じて変化するように、前記第1リンク部材の形状と前記第2リンク部材の形状、あるいは前記第1リンク部材に対する前記第1回転軸の位置と前記第2リンク部材に対する前記第2回転軸の位置、の少なくとも一方が設定されており、
前記第1回転軸及び前記第2回転軸に直交する方向における前記表皮の端部である表皮端部のそれぞれが前記第1リンク部材と前記第2リンク部材に対して前記乗員支持面と反対側にて互いに接続されて前記表皮が環状に形成されている、あるいは前記表皮端部のそれぞれが前記第1リンク部材と前記第2リンク部材に対して前記乗員支持面と反対側に固定されている、
乗物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記表皮は、前記乗員支持面の厚さ方向の位置が前記第1リンク部材と前記第2リンク部材の回転角度に応じて変化するとともに、前記厚さ方向の位置が薄くなる方向に向かうに従って、前記乗員支持面における前記第1回転軸及び第2回転軸に直交する方向の長さが長くなるように、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材の形状、あるいは前記第1リンク部材に対する前記第1回転軸の位置と前記第2リンク部材に対する前記第2回転軸の位置、の少なくとも一方が設定されている、
乗物用シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗物用シートであって、
前記表皮における前記乗員支持面の厚さ方向の位置が最も厚くなる位置である第1調整位置よりも、前記乗員支持面の厚さ方向の位置が最も薄くなる位置である第2調整位置のほうが、前記表皮の張力が大きくなるように、
前記第1調整位置における前記第1回転軸方向から見た前記表皮に囲まれた第1調整範囲に対して前記第1リンク部材または前記第2リンク部材の少なくとも一方の可動範囲が突出している、
あるいは、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材の少なくとも一方と、前記表皮との間には、カバー部材が設けられており、前記第2調整位置において前記カバー部材は前記第1調整範囲から突出している、
乗物用シート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−116390(P2012−116390A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269271(P2010−269271)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】