説明

乗物用補強及び外装パネル

【課題】強度の高いパネルを提供。
【解決手段】乗物用補強及び外装パネルは一対の金属シート3を包含し、これらの金属シート間には金属フォーム又はセラミックフォームから作られている犠牲材料から作られている層4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用補強及び外装パネルに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、主構体を損傷させることなしに可塑的に変形する材料の層(犠牲層)が設けられている多層パネルから作られている種類の乗物用補強及び外装パネルに関する。
【背景技術】
【0003】
十分な可塑性を有する材料を、隣接して重ね合わせた金属セルと金属フォーム又はセラミックフォームとから作られた層により形成することができることは知られている。
【0004】
図1は非犠牲構体2と複数の犠牲層とにより形成されている補強及び外装パネルの一例を示し、各犠牲層はベースシート21により形成され、各ベースシート21には種々の形状(例えば、ハニカム構体を形成する)の層22が設けられ、これらの層22はこれらの層が設けられているベースシート21を次のベースシート21に接続して、上述したセルを形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、セラミックフォーム又は金属フォームを用いて乗物用補強及び外装パネルを提供することを考えた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本出願人はセラミックフォームの少なくともひとつの層により分離されている複数のアルミニウムシートにより形成されている乗物用補強及び外装パネルであって、前記セラミックフォームの層がセラミックフォーム材料の多数のキューブから作られ、これらのキューブが前記層を形成するようにモザイク構造で組み立てられている乗物用補強及び外装パネルを作った。
【0007】
更に、本出願人はこのような補強パネルを製造する方法を開発した。
【0008】
本発明の一態様によれば、請求項1に記載されている特徴を有する乗物用補強及び外装パネルが提供される。
【0009】
上記パネルの他の特徴は、請求項1に従属する請求項2〜7に記載されている。
【0010】
本発明の他の態様によれば、請求項8に記載されている特徴を有する、上記パネルの製造方法が提供される。
【0011】
本発明の他の目的及び利点は、明らかに例示的及び非限定的な目的のために与えられている下記の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図2及び図3a−3eを参照するに、本発明によるパネルは、乗物(ビークル)のための補強及び外装パネルとして用いることができ、例えば乗物の側部及び底部などの区域のために配置することができる。
【0013】
本発明によるパネルは例えばアルミニウムで作られている複数の金属シート3を包含し、2つの金属シート間にはそれぞれ金属フォーム又はセラミックフォーム層4が配置されている。好適には、フォーム層4は複数のフォーム要素、例えば、2つの隣接する金属シート3間に挿入されて実質的に平らな表面を形成するように配列されている複数のキューブ41から成る。
【0014】
本発明のために適当な金属フォームは、アルミナ(Al203)をベースとした、1mmと4mmとの間の細孔を多数有している開放セルフォームである。
【0015】
本発明のために適当なセラミックフォームは、炭化ケイ素(SiC)をベースとした、2mmから4mmまでの細孔を多数有している開放セルフォームである。
【0016】
アルミニウムシートの適当な厚さは約1〜5mmであると共に、フォーム層の適当な厚さは約30〜50mmである。
【0017】
以上述べたパネル(図3a〜3eに示されているパネル)を製造する方法は、複数の等辺等角の形状の要素、好適には同じ大きさの要素41を使用するようにしており、これらの要素41は実質的に平らな表面を形成するように互いに組み合わせ可能となっている。このような目的のために適当な形状は、例えば、平行六面体又は正六面体の形状である。
【0018】
第1の段階において、これらの要素41は予め設定した形状及び大きさの特別のフレーム又はモールド22の中に並んで配置されて、所望する大きさの実質的に平らなフォーム層4を形成するようにされている(図3a)。
【0019】
それから、このフォーム層4と同じ大きさに作られている第1の金属シート31の表面上に樹脂(例えば、プロトミックス樹脂(a protomix resin))が塗布され、その後、この樹脂が塗布された第1の金属シート31の表面がフォーム層の全面上に重ね合わされて(図3b)、第1の金属シートがフォーム層に張り付けられ、これにより第1の製造品が得られる。
【0020】
それから、この第1の製造品(金属シートとフォーム層との組み合わせ体)がひっくり返されて、モールド42が取り除かれる(図3c)。
【0021】
それから、第2の金属シート32の表面に樹脂が塗布され、その後、この樹脂を塗布された第2の金属シート32の表面が上述した第1の製造品の全面上に重ね合わされて、第2の金属シートが上述した第1の製造品に張り付けられる(図3d)。
【0022】
それから、この第2の金属シートの被覆されていない上側の表面に、また、樹脂が塗布され、その後、この樹脂が塗布された第2の金属シートの上側の表面の全面上に他の製造品(金属シートとフォーム層との組み合わせ体)が重ね合わされ、このようにして得られたパネルが予め設定した時間の間圧力にさらされ、塗布した樹脂を乾燥せしめる。
【0023】
図3eに示されているように、最終的には、3つの金属シートと2つのフォーム層とから作られているパネルが得られる。樹脂を用いて、追加の製造品(ひとつの金属シートとひとつのフォーム層との組み合わせ体)をすでに作ったパネルに張り付けることにより、追加のフォーム層及び追加の金属シートを有するパネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ハムカム構造体が設けられている多層パネルを概略的に示す分解図である。
【図2】本発明による多層パネルを概略的に示す分解図である。
【図3a】−
【図3e】本発明による多層パネルを製造する方法の種々の段階を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の金属シート(3)を包含し、各一対の金属シート間には犠牲材料から作られている少なくともひとつの層(4)が設けられている乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記犠牲材料から作られている少なくともひとつの層(4)が金属フォーム又はセラミックフォームから作られていると共に、前記少なくとも一対の金属シート(3)がアルミニウムから作られていることを特徴とする乗物補強及び外装パネル。
【請求項2】
請求項1記載の乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記金属フォーム又は前記セラミックフォームが開放セルフォームであることを特徴とする乗物用補強及び外装パネル。
【請求項3】
請求項1記載の乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記金属フォームがアルミナをベースとした開放セルフォームであることを特徴とする乗物用補強及び外装パネル。
【請求項4】
請求項1記載の乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記セラミックフォームが炭化ケイ素をベースとした開放セルフォームであることを特徴とする乗物用補強及び外装パネル。
【請求項5】
請求項1記載の乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記アルミニウムから作られている金属シート(3)の厚さが約1〜5mmであると共に、前記金属フォーム又は前記セラミックフォームから作られている層(4)の厚さが約30〜50mmであることを特徴とする乗物用補強及び外装パネル。
【請求項6】
請求項1記載の乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記金属フォーム又は前記セラミックフォームから作られている層(4)が複数の等辺等角の形状の要素(41)から作られ、これらの要素(41)が実質的に平らな表面を形成するように並んで配列されていることを特徴とする乗物用補強及び外装パネル。
【請求項7】
請求項6記載の乗物用補強及び外装パネルにおいて、前記要素(41)が平行六面体又は正六面体の形状とされていることを特徴とする乗物用補強及び外装パネル。
【請求項8】
乗物用補強及び外装パネルを製造する方法において、
a)予め設定した形状及び大きさのモールド(42)の中に複数の等辺等角の形状のフォーム要素(41)を、実質的に平らなフォーム層(4)を形成するように整列せしめる段階と、
b)第1の金属シート(31)の表面上に樹脂を塗布し、この塗布した表面を前記フォーム要素(41)の全面上に重ね合わせて第1の製造品を得る段階と、
c)前記第1の製造品をひっくり返して、前記モールド(42)を取り除く段階と、
d)第2の金属シート(32)の表面上に樹脂を塗布する段階と、
e)前記第2の金属シート(32)の樹脂塗布側の表面を前記第1の製造品の表面上に重ね合わせ、前記第2の金属シートを前記第1の製造品に張り付ける段階と、
f)前記第2の金属シートの被覆されていない上側の表面に樹脂を塗布する段階と、
g)前記第2の金属シートの被覆されていない上側の樹脂塗布表面に、前記段階a)〜f)にしたがって作った他の追加の製造品を重ね合わせる段階と、
h)このようにして得たパネルを予め設定した時間の間圧力にさらして、前記樹脂を乾燥せしめる段階と、
を包含することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、更に、前記段階a)〜f)にしたがって作った更に他の追加の製造品を前記段階a)〜h)にしたがってすでに形成しているパネルに重ね合わせる段階を包含することを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図3e】
image rotate


【公開番号】特開2009−18579(P2009−18579A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−155251(P2008−155251)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(508178397)オト メラーラ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】OTO MELARA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】VIA VALDILOCCHI 15,LA SPEZIA,ITALY
【Fターム(参考)】