説明

乱用防止系を含む経口剤形

1種または複数の鎮痛作用を有する活性成分を含む経口固形剤形であって、前記剤形の組成は、剤形中に含有される活性成分を、一般に入手可能な溶媒の使用によって液体抽出することによる前記剤形の乱用を防止する。前記経口固形剤形は、少なくとも1種類の鎮痛活性成分の少なくとも1種類の塩と、少なくとも1種類の失活剤を含む乱用防止系とを含有し、前記失活剤は、特に薬物乱用者によって、前記経口固形剤形から鎮痛活性成分の塩がin vitroで溶液中に不適切に抽出されたときに、前記鎮痛活性成分の塩の錯化を起こすのに好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または複数の鎮痛作用を有する活性成分を含む経口固形剤形に関し、前記剤形の組成は、剤形中に含有される活性成分を、一般に入手可能な溶媒の使用によって液体抽出することによる前記剤形の意図的または非意図的な乱用を防止する。
【0002】
更に具体的には、経口固形剤形中にある鎮痛活性成分(AAP)は、医薬として許容される塩である。本開示において、鎮痛活性成分についての言及は、鎮痛活性成分の医薬として許容される塩を意味する。
【背景技術】
【0003】
鎮痛剤、より詳細にはオピオイドまたはモルヒネ誘導体は、乱用されることが多い。このような乱用においては、管轄の保健機関により公的に認められた以外の目的で、鎮痛活性成分を含有する固形経口薬物を意図的または非意図的に摂取する場合がある。これは解決が非常に複雑で困難な問題である。その理由は、薬物乱用者および残念ながら今やティーンエイジャーでさえも非常に容易に錠剤から薬物を回収する方法を見出してきたことである。
【0004】
例えば、今日ではティーンエイジャーは、土曜日のパーティーのために、水またはアルコールで錠剤から容易に抽出したオキシコドン入りウォッカカクテルを調製する。この方法は、錠剤を粉砕し、その粉末をウォッカまたは水のコップに注ぎ、次いでモルヒネ誘導物がほぼ完全に抽出されるのに十分な時間待つことにある。彼らは、薬物を摂取する前に、薬物の調製を行うために用いる。このような行為は、アメリカ合衆国だけでなくヨーロッパにも広まっている。これは、社会福祉機関だけでなく米国食品医薬品局およびヨーロッパの当局が対処する実際の社会的問題となっており、これらの機関は乱用を防止する剤形の開発を望んでいる。
【0005】
前述のように薬物を抽出し静脈内注射剤を作る、または吸入できる粉末を得るために薬物を乾燥させるなどのオピオイドの類を乱用する他の方法がある。
【0006】
送達系に含有されるオピオイドの乱用を避けるための異なる解決法を説明した従来技術がある。
【0007】
米国特許出願第2003/0224051号にはオキシコドンの調節放出のための浸透性放出剤形が記載されていると本発明者らは理解している。この剤形は、オキシコドンコアまたは許容できるその塩、少なくとも部分的にこのコアを囲む半透膜、この膜を通してオキシコドンの放出を可能とする出口を含む。この種類の錠剤は、例えば12時間以上経過後の水による容易な抽出を可能にし、その結果としてとりわけ乱用に対する満足のいく解決法を提供していない。
【0008】
オピオイドの乱用を防ぐ他の方法は、オピオイドをナルトレキソンなどのそのアンタゴニストと混合することである。国際特許出願第03/013479号特許には、オピオイド鎮痛剤の治療有効量、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソン)、および苦味剤を含む経口剤形が記載されていると本発明者らは理解している。薬物乱用者が錠剤を粉砕するときに、オピオイドおよびそのアンタゴニストが放出され、オピオイドの作用が中和される。
【0009】
ナルトレキソンとは反対に、この系は粉砕することなくオピオイドを抽出することができるため、とりわけ水による抽出を防止しない。
【0010】
欧州特許出願第1293209号には、薬物乱用の可能性が減少した固形経口医薬剤形が記載されていると本発明者らは理解している。この発明の経口剤形は、オピオイド誘導体を含有するイオン交換樹脂を主成分とした持続放出剤形である。しかし、この剤形は、通常の薬物の放出時間より長い抽出時間では溶媒抽出を防止しない。前記経口剤形を水の入ったコップに24時間放置した場合、薬物の大部分は抽出されるであろう。
【0011】
従来技術についての前述の説明から見て分かる通り、調節放出固形剤形において医薬品オピオイドの乱用を防止するための様々な解決法が提供されている。
【0012】
しかし、このような解決法のどれもが、とりわけ水、アルコールまたは任意の他の種類の飲用に適する溶媒による抽出を防止することができないと本発明者らは理解している。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0224051号
【特許文献2】国際特許出願第03/013479号
【特許文献3】欧州特許出願第1293209号
【特許文献4】欧州特許第O709087号
【特許文献5】国際特許出願第2004/010983号
【特許文献6】国際特許出願第2004/010984号
【特許文献7】国際特許出願第FR03/030878号
【非特許文献1】Remington: The science and practice of pharmacy, 19eme edition, Mack publishing Co. Pennsylvania, USA
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような状況において、本発明の主たる目的の1つは、従来技術の代わりを務めることである。
【0014】
したがって、本発明の一態様によれば、本発明の目的は、一態様では鎮痛活性成分のアンタゴニストを用いずに、鎮痛活性成分の「長時間」液体抽出などの液体抽出後に経口乱用を防止することを可能にする新規な固形経口鎮痛薬/剤形を提供することである。
【0015】
「長時間液体抽出」とは、薬物乱用者によって液体抽出を10分超続けることが計画されていることを意味する。
【0016】
本発明の更なる態様によれば、本発明の目的は、鎮痛活性成分を含有する固形経口剤形を提供することであり、前記剤形は下記の特徴を有する。
-投与の通常の処方条件下では、剤形は例えば12時間または24時間は所望の治療効果を有するべきである。
-乱用者によって不適切な鎮痛剤の抽出の何らかの試みがあった場合、この経口剤形では、鎮痛剤が血液循環に急速に吸収されることは実現できないであろう。
【0017】
本発明の他の目的は、長時間液体抽出および短時間液体抽出による、ならびに/または粉砕による乱用を防止する新規な固形経口剤形を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、
-幼児、子供および高齢者を含む、大きい錠剤を嚥下するのが困難な患者に容易に投与でき、
-前記活性成分が互いに相容性でない場合、および/または前記活性成分が特異な放出動態を有する場合でさえも、いくつかの鎮痛活性成分、または他の非鎮痛活性成分でさえ、単一の剤形中で結合することを可能にし、
-1日1回または1日数回投与される、鎮痛活性成分または更には他の非鎮痛活性成分の経口医薬剤形の提供を可能にし、容易に、独立して前記活性成分の放出速度および放出時間の調整を可能にする、
新規な固形経口鎮痛剤形を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、鎮痛活性成分の経口医薬剤形を提供することである、そのin vitroの溶解プロファイルは、鎮痛活性成分の用量と無関係である。
【0020】
本発明の他の目的は、例えば1日1回投与することができ、前記活性成分の局所への一極集中による組織損傷の危険を制限する鎮痛活性成分の経口医薬剤形を提供することである。
【0021】
更に、本発明の他の目的は、錠剤、散剤、サシェ剤、カプセル剤などの様々なガレヌス形態に剤形することができる鎮痛活性成分の経口医薬剤形を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、特に活性成分の投与に関する患者の必要性に関して、通常の治療法に従う患者の治療を損なわずに乱用を防止する新規な固形経口薬物を提供することである。
【0023】
更に、本発明の目的は、容易に調製され、その調製方法が製造価格を過度に増加させない、乱用を防止する新規な固形経口薬物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらの目的を達成するために、本発明者らは、乱用目的に剤形から抽出されるときに、オピオイドなどの鎮痛活性成分を失活させるのに適切な手段を発見した。
【0025】
本発明の一態様によれば、この剤形は下記の特徴を有する。
・投与の通常の処方条件下では、剤形は例えば12時間または24時間は所望の治療効果を有する。
・粉砕を伴ってまたは伴わずに鎮痛剤を抽出しようとする任意の試みの下で、鎮痛剤が血液循環に急速に吸収されることを防止し、したがって薬物の急速な作用を中和するために、鎮痛剤は、安全な物質および更には一般に安全な物質と認められる物質(GRASS)によってin vitroで失活される。
・失活剤は、胃から結腸までの任意の生理的pHにおいて水に難溶性の錯体を形成する。
【0026】
この態様によれば、本発明は、少なくとも1種類の失活剤を含有する固形経口剤形を提供し、この失活剤は、鎮痛剤の塩が固形経口剤形から溶液中に放出されるときに、鎮痛活性成分の錯化を起こすのに好適である。
【0027】
本発明の意味の範囲内で、「失活剤」は、遊離型、すなわち非錯体形態で剤形中に存在する薬剤であり、「非錯体」は、失活剤と鎮痛活性成分との錯体または化学的相互作用が剤形内に存在しないことを意味する。鎮痛活性剤および失活剤が溶媒中で混合したときのみ、例えば不正な抽出の試みの場合に、失活剤は、本明細書に記載する通常の溶媒中で鎮痛活性成分と錯化または化学的相互作用を起こすのに好適である。水-エタノール混合物、アルコール、アルコール飲料、炭酸飲料、酢、および/または過酸化水素、ならびにこれらの混合物などの、水ならびに水性溶媒系の群から選択される少なくとも1種類の通常の溶媒中で、失活剤が、(鎮痛活性成分の)前記錯化を起こすのに好適であるときは、失活剤は、本発明の意味の範囲内で鎮痛活性成分の「錯化を起こすのに好適」であると考えられる。有利なことには、失活剤は、複数のこのような通常の溶媒中で(鎮痛活性成分の塩の)前記錯化を起こすのに好適である。
【0028】
本発明の更なる態様は、前記失活剤を系から除去できない固形経口剤形を提供することである。
【0029】
すなわち一態様では、本発明は、少なくとも1種類の鎮痛活性成分の少なくとも1種類の塩と、少なくとも1種類の失活剤を含む乱用防止系とを含有する経口固形剤形に関し、前記失活剤は、特に薬物乱用者によって、鎮痛活性成分の塩が前記経口固形剤形から溶液中にin vitroで不適切に抽出されるときに、前記鎮痛活性成分の塩の錯化を起こすのに好適である。
【0030】
薬物乱用者が薬物の抽出を意図する場合、効果的で、しかし安全で、一般に安全な物質であると認識されている物質失活添加剤を定義する必要があったため、この溶液は自明でなかった。同時にこの系は、目標とする薬物動態プロファイルに従った体内への薬物の放出を可能にするべきである。すなわち、前記鎮痛活性成分の所望の薬理効果は、剤形が乱用されないときに失活剤によって損なわれない。この新規な系は、今後「トリガーロック」系と呼ぶ。
【0031】
本発明は、塩の形態のカプセル化された鎮痛活性成分と、例えばカプセル化された失活剤などの少なくとも1種類の失活剤とを含む固形剤形を提供する。カプセル化された失活剤の場合、前記失活剤は、それ自体が経口固形剤形からの抽出によって放出されるときに、鎮痛活性剤成分を錯化できる速度で放出される。失活剤と鎮痛剤(例えば、例えばオピオイド)がin vitroで溶媒によって抽出され、胃の媒体中で難溶性である錯体を形成するときに失活が起こる。したがって、溶液中に残留する鎮痛活性成分の濃度は、抽出後は低い、すなわち溶液中に残留する活性成分の量は、薬物乱用者が所望する効果を実現するには不十分である。
【0032】
あるいは、失活剤はイオン交換樹脂の場合があり、この場合適切に使用されるときは、鎮痛活性成分はイオン交換樹脂と錯体を形成しない。例えば、失活剤はアニオン交換樹脂の塩の場合があり、そのカチオンはH+、金属カチオンおよび/またはNH4+である。更に正確には、本発明のこの態様によれば、前記イオン交換樹脂は、第2相と分離した第1相に含まれ、前記第2相は前記鎮痛活性成分を含む。
【0033】
一態様によれば、剤形は、鎮痛活性成分の微粒子と、イオン交換樹脂の微粒子などの失活剤の微粒子とを含み、前記微粒子は同じ粒度分布、同じ濃度を有し、ふるい分けされない、すなわち容易に分離しない。
【0034】
トリガーロック系のこのような最後の特徴は、薬物乱用者によってひとたび摂取されれば、錯体を摂取してもいかなる鎮痛活性成分の急速な再生および/または急速な抽出をもたらさないことが確実となる。したがって、薬物乱用者が所望するような鎮痛剤の大量吸収、およびそれに続く鎮痛剤の高い血中濃度が避けられる。
【0035】
本発明の他の態様によれば、鎮痛活性成分および失活剤の両方は、調節放出形態である。例えば鎮痛剤および失活剤の両方は、持続放出動態に従って放出されることができる。したがって、in vitroで鎮痛活性成分および失活剤を別々に抽出することは、不可能または少なくとも非常に困難である。すなわち、鎮痛活性成分および失活剤は、必然的に共に抽出され、したがって難溶性の錯体を形成する。
【0036】
本発明による剤形が、保健機関の処方に従って経口で投与されるときは、前記剤形は、胃液中に鎮痛活性成分および失活剤の両方をゆっくりと放出し、そこで両方は希釈され、錯化は起こらない。次いで、鎮痛活性成分は適切に生体吸収される。
【0037】
本発明の一態様によれば、剤形は複数の微粒子を含有する。
【0038】
本発明者らはまた、薬物を有する第1の微粒子集団と、失活剤を有する第2の微粒子集団とを含む微粒子系を設計した。両方の微粒子集団は、1,000個超の微粒子などの複数の微粒子を含む。これにより全ての微粒子が急速に分散することが可能となり、したがって体内でのクエンチャーおよび鎮痛活性成分の相互作用を防止すると考えられている。
【0039】
これに限定されないが、本発明によれば、被覆されたPAの微粒子は、1000μm未満または1000μmと等しい平均粒径を有することが好ましく、好ましくは50〜800μmを含み、更に好ましくは100〜600μmを含み、更により好ましくは100〜300μmを含む。
【0040】
本発明の一態様によれば、クエンチャーが鎮痛活性成分を中和する前に、体内に微粒子が分散するのに十分な時間を有するために、クエンチャーの遅延放出を提案することも、本発明の一要素である。
【0041】
本発明の更なる態様によれば、保健機関の処方に従った剤形の投与後に、鎮痛剤がゆっくりと放出されるが、クエンチャーの放出は通常0.25から3時間のラグ時間後に初めて開始する。このラグ時間の間、鎮痛剤の微粒子およびクエンチャーを含有する微粒子は、消化管内に広範に分散し、クエンチャーはもはや鎮痛剤を中和できない。
【0042】
場合により調節されたラグ時間後の、このような胃内へのクエンチャーの調節放出は、好都合なことには、失活剤を含有する微粒子をフィルムコーティングで被覆することにより得られるが、その組成を下記に詳しく述べる。
【0043】
本発明のより更なる態様によれば、微粒子剤形は、粉砕または咀嚼するのが容易ではない。
【0044】
失活剤および鎮痛剤の錯体は、水-エタノール混合物などの通常の溶媒中で難溶性であることが好ましい。すなわち、溶液中に残留する鎮痛活性成分の濃度は低い、すなわち溶液中の鎮痛活性成分の量は、薬物乱用者が所望する効果を生じるのに不十分である。
【0045】
本発明の新規な経口固形剤形は、鎮痛活性成分のアンタゴニストを含有しないことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の根底にある概念は、固形経口剤形中に失活剤(クエンチャー)、すなわち塩を含むことである。この塩は、溶液中で鎮痛活性成分の極性と反対の極性を有するイオンを含む。これはイオン交換樹脂などの有機イオンであることが好ましい。金属イオンであってもよい。
【0047】
溶液中にある場合、前記イオンは、鎮痛活性成分の最初の対イオンを置換し、それにより実質的に不溶性の錯体とする。結果として、鎮痛活性成分はもはや溶液中で遊離しない。「溶液中で遊離しない」または「低濃度」とは、溶液中に残留する鎮痛活性成分の濃度が薬物乱用者によって所望される濃度より低い、または薬物乱用者が所望する作用を生じるのに不十分であることを意味する。
【0048】
これに反して、保健機関により処方された投与計画に従って経口剤形が投与されるときは、消化管液中の失活剤の希釈度は、失活剤の鎮痛活性成分との反応を防止するのに十分である。したがって、鎮痛活性成分の治療効果は達成される。
【0049】
本開示において考慮した活性成分は鎮痛活性成分であることが好ましい。非鎮痛活性成分も含むことができる。本明細書において、「活性成分」または「その活性成分」という言及には、単数および複数の両方、ならびに異なる活性成分の混合物が含まれる。
【0050】
同じことが「失活剤」または「その失活剤」という言及にもあてはまる。両方とも、単数、複数および異なる失活剤の混合物を含む。
【0051】
本開示において「経口剤形」とは、活性成分が錠剤(モノリシック剤形)または微粒子(多微粒子剤形)に含まれている任意の剤形を意味する。このような剤形は、即時放出剤形または調節放出剤形でもよい。後者の場合は、活性成分を含有する錠剤または微粒子のコアは、経口投与後に活性成分の放出速度を制御するポリマーコーティングで被覆されてもよい。
【0052】
「即時放出剤形」とは、剤形から活性成分用量の大部分が短時間で放出されることを意味し、in vitro溶解試験中に、例えば、1.4〜6.8の任意のpHで、活性成分の70%が1時間以内、好ましくは30分以内に放出される。
【0053】
「調節放出剤形」とは、活性成分の少なくとも一部分が即時放出剤形より遅い速度で放出される任意の剤形を意味する。この一部分とは、1〜100%、好ましくは、10〜100%、更に好ましくは30〜100%を含むことができる。調節放出剤形は、即時放出相および持続または遅延放出相を含むことができる。調節放出剤形は、当分野で周知であり、例えば、Remington: The science and practice of pharmacy, 19eme edition, Mack publishing Co. Pennsylvania, USAを参照されたい。調節放出は、特に、持続放出、遅延放出、およびパルス放出を含む。
【0054】
「長時間液体抽出」とは、薬物乱用者によって液体抽出を10分超続けることが計画されていることを意味する。
【0055】
「家庭の溶媒」または「通常の溶媒」とは、家庭で通常見ることができ、抽出溶媒として使用できる液体を意味する。それは、例えば、水-エタノール混合物、アルコール、アルコール飲料、炭酸飲料、酢、および/または過酸化水素、これらの混合物などの水および水性溶媒系を意味する。水-エタノール混合物も包含される。
【0056】
他の定義は、本開示において示す。
【0057】
鎮痛活性成分を捕捉するために使用する失活剤は、通常の使用者には無害である。このような失活剤は、薬物の市場認可を管理する薬局方および保健機関により承認された薬理学的に不活性なものである。失活剤は、活性成分を水溶液またはアルコール水溶液中に抽出する試みの間に、前記失活剤が溶液中で活性成分と難溶解性の錯体を形成するように選択される。
【0058】
好ましくは、失活剤は塩を含み、前記塩は、溶液中で前記鎮痛活性成分と錯体を形成するイオンを含有する。前記イオンは、溶液中で前記鎮痛活性成分の塩の極性と反対の極性を有する有機イオンであることが好ましい。鎮痛活性成分の塩が、溶液中でアニオンの形態であるとき、失活剤は有機カチオン、金属カチオンまたはこれらの混合物を含有する。同様に、鎮痛活性成分の塩が溶液中でカチオンの形態であるとき、失活剤は有機アニオンを含む。
【0059】
例えば、有機アニオンを含有する下記の塩を挙げることができる。
・ドデシル硫酸ナトリウム、ナトリウムドキュセートなどの有機アニオン塩
・(メタ)アクリルコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)SおよびL)、架橋アクリルポリ酸(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、架橋カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体ならびに他の多糖類(例えば、アルギン酸、キサンタンまたはアラビアゴム)、アルギン酸(スルホン酸)プロピレングリコールなどのアニオン性ポリマー
・グルクロン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、乳酸塩、三ケイ酸塩、フマル酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホンアミド、アセスルファムなどの、一価または多価の塩
・酢酸、コハク酸、クエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、自己乳化性グリセリルモノオレエートの塩などの、けん化脂肪酸
・アルブミン、カゼイン、グロブリン、酵素などの、ポリアミノ酸、タンパク質またはペプチド
・ならびにこれらの混合物
【0060】
他の実施形態では、溶液中で前記鎮痛活性成分の塩の極性と反対の極性を有する前記イオンは、金属カチオン、有機カチオン、またはこれらの混合物である。例えば、有機カチオンまたは金属カチオンを含有する下記の塩が挙げられる。
・アセスルファム、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、フッ化物、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、水酸化物、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、酸化物、リン酸塩、三ケイ酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、スルホンアミド、酒石酸塩の形態の、例えば、Ca、Fe、Mg、Znの金属カチオン塩
・4級アンモニウム塩、特に臭化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンゼトニウムなどの有機カチオン塩
・キトサン、(メタ)アクリルコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)RS、RLまたはE)などのカチオン性ポリマー
・ポリアミノ酸、タンパク質またはペプチド
・ならびにこれらの混合物
【0061】
失活剤は、アニオン交換樹脂でもよく、この場合、鎮痛活性成分はイオン交換樹脂と錯体を形成しない。例えば、失活剤はアニオン交換樹脂の塩でもよく、そのカチオンは、H+、金属カチオンおよび/またはNH4+である。更に正確には、前記イオン交換樹脂は、第2相から分離した第1相に含まれ、前記第2相は前記鎮痛活性成分を含む。
【0062】
失活剤Qは、イオン交換樹脂でもよく、APがカチオンの場合は強酸性カチオン交換樹脂であり、またはAPがアニオンの場合は強アルカリ性アニオン交換樹脂であることが好ましい。このようなイオン交換樹脂は、第2相から分離した第1相に含まれ、前記第2相はAPを含むことが好ましい。
【0063】
本発明の一実施形態では、失活剤は、例えばスチレンおよびジビニルベンゼンのスルホン化コポリマーから誘導された、Rohm & Haas社製のAmberlite(登録商標)IRP69、Amberlite(登録商標)IR69F、Amberlite(登録商標)200、Amberlite(登録商標)200C、またはDow社製のDowex(登録商標)88などの、強酸性カチオン交換樹脂である。
【0064】
本発明の更なる実施形態では、失活剤は、例えばスチレンおよびジビニルベンゼンと4級アンモニウム官能性とのコポリマーから誘導された、Rohm & Hass社製のDuolite(登録商標)AP143、Amberlite(登録商標)IRA958、Amberlite(登録商標)IRP67、またはDow社製のDowex(登録商標)22などの、強アルカリ性アニオン交換樹脂である。
【0065】
一実施形態によれば、失活剤はイオン交換樹脂であり、失活剤は、少なくとも第2相から分離した第1相中にあり、少なくとも前記第2相はPA塩を含む。例えば、第1相は、PA塩を含む微粒子を含む第2相から分離して、失活剤を含む微粒子を含む。PA塩を含む微粒子および失活剤を含む微粒子は、同様の粒度分布、同様の濃度を有し、ふるい分けされない形態であってもよい。
【0066】
一実施形態によれば、失活剤はイオン交換樹脂であり、失活剤は、少なくとも第2相から分離した第1相中にあり、少なくとも前記第2相はPA塩を含む。例えば、第1相は、PA塩を含む微粒子を含む第2相から分離して、失活剤を含む微粒子を含む。PA塩を含む微粒子および失活剤を含む微粒子は、同じ粒度分布、同じ濃度を有し、ふるい分けされない形態であってもよい。
【0067】
本発明の一実施形態では、失活剤Qは、
-ドデシル硫酸ナトリウム、ナトリウムドキュセートなどのアニオン性有機塩、
-4級アンモニウム塩、特に臭化トリメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンゼトニウムなどのカチオン性有機塩、
-AP極性により、強酸性カチオン交換樹脂、または強アルカリ性アニオン交換樹脂
からなる群から選択される。
【0068】
本発明の他の実施形態では、失活剤Qは、
-APがカチオンの場合、Rohm & Haas社製のAmberlite(登録商標)IRP69、Amberlite(登録商標)IR69F、Amberlite(登録商標)200、Amberlite(登録商標)200C、またはDow社製のDowex(登録商標)88など、ならびにこれらの混合物などの強酸性カチオン交換樹脂、
-APがアニオンの場合、Rohm & Hass社製のDuolite(登録商標)AP143、Amberlite(登録商標)IRA958、Amberlite(登録商標)IRP67、またはDow社製のDowex(登録商標)22、ならびにこれらの混合物などの強アルカリ性アニオン交換樹脂
からなる群から選択される。
【0069】
失活剤の量は、当業者が、イオン電荷に関して、剤形中に含有される活性成分の用量の全てまたは一部を捕捉するのに必要な理論量を算出することにより適応させる。その量は、不正な抽出の試みの場合は、乱用者が溶液中に残存する活性成分で所望の興奮した状態を達成しない程度に、活性成分を錯化するのに少なくとも十分でなくてはならない。その量は、剤形中に含有される活性剤PAの全てを錯化するのに少なくとも十分であることが好ましい。
【0070】
失活剤は、それが目指す活性成分の化学的性質、特に溶液中のそのイオンの形態を考慮して選択される。
【0071】
鎮痛活性成分の液体抽出のために、活性成分を含有する剤形は、一般に10分を超える時間の間、家庭の液体(水、有機溶媒、炭酸飲料、アルコール飲料)などの抽出溶媒中に置かれる。
【0072】
本発明による剤形は、特にオピオイドアゴニストの場合、鎮痛活性成分に対するアンタゴニストである活性成分を含有しないことが好ましい。
【0073】
本発明による剤形は、前記鎮痛活性成分の調節放出ユニットおよび前記失活剤の調節放出ユニットを含むことが好ましい。例えば、前記調節放出ユニットは、持続放出微粒子、遅延放出微粒子、パルス放出微粒子、およびこれらの混合物を含む群から選択される微粒子を含む。
【0074】
好ましい一実施形態は、多微粒子剤形である。剤形が鎮痛活性成分の微粒子および失活剤の微粒子を含むときは、前記微粒子は同じ粒度分布、同じ濃度を有し、ふるい分けされないことが好ましい。
【0075】
前記剤形は、モノリシック剤形でもよい。
【0076】
好ましい一実施形態では、本発明の経口固形剤形に含有されるクエンチャーは、調節放出動態に従って放出される。クエンチャーは、フィルムコーティングされた微粒子中に含有されることが好ましく、鎮痛活性成分を含有する微粒子を被覆するために使用されるのと同じフィルムコーティングで被覆された微粒子中にあることが最も好ましい。
【0077】
好ましい一実施形態では、剤形は、更なる乱用防止剤を含む。前記更なる乱用防止剤は、起こりうる粉砕および液体抽出の後の、注射による薬物乱用の防止を目的とする。更なる実施形態では、前記更なる乱用防止剤は、起こりうる粉砕および液体抽出の後の、吸入による薬物乱用を防止するために提供される。したがって、前記更なる乱用防止剤は、粉砕防止剤(a)および/または増粘剤(b)を含む。
【0078】
前記粉砕防止剤(a)は、
・下記の特長の少なくとも1つを有する、前記微粒子上の保護用オーバーコーティング、
-粉砕の間に放散されるエネルギーを吸収するための粘弾性
-粉砕の間に微粒子の破壊よりもオーバーコーティングの破壊を助長する低粘着性
-粉砕の間に微粒子が互いに滑ることを助長する低い表面エネルギー
-高剪断下でペーストを形成する能力
・および/あるいは遊離添加剤、すなわち微粒子中に含有されずもしくは微粒子上に載っておらず、前記鎮痛活性成分を含有する医薬剤形の粉砕を損ない、または完全に防止するのに好適である添加剤
を含むことが好ましい。
【0079】
オーバーコーティングが微粒子などの剤形を保護するために提供される場合は、このオーバーコーティングは、剤形が粉砕された後でさえも鎮痛活性成分の即時放出が起こらないように調製される。
【0080】
更に正確には、剤形のオーバーコーティングは、
・(i)オーバーコーティングの粘着を確実にする少なくとも1種類の皮膜形成ポリマーと、
・下記の化合物の少なくとも1種類と
-(ii)潤滑/凝塊剤
-(iii)粘弾性化合物
-(iv)可塑剤
を含む。
【0081】
実際には、前記皮膜形成ポリマー(i)は、セルロース誘導体、アクリルポリマー、およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0082】
前記潤滑/凝塊剤(ii)は、
・ステアリン酸、ステアリン酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸マグネシウム、
・酸化マグネシウム、
・ポロキサマー、
・安息香酸ナトリウム、
・アニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤、
・デンプン、好ましくはコーンスターチ、
・タルク、
・コロイダルシリカ、
・ワックス、好ましくは水素化植物油、更に好ましくは綿実水素化油、ダイズ水素化油、パーム水素化油、ベヘン酸グリセロール、ヒマシ水素化油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄ろう、白ろう、ハードファット、無水乳脂肪、ラノリン、パルミトステアリン酸グリセロール、ステアリン酸グリセロール、ラウリン酸マクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノステアリン酸エチレン、オメガ3脂肪酸、およびこれらの混合物、
・グリセリン、トリグリセリド、カカオ脂、カカオバター、およびこれらの混合物を含む坐薬脂肪ベース、
・これらの混合物
を含む群から選択される。
【0083】
前記粘弾性化合物(iii)は、
・ポリ-N-ビニルアミド、
・ゴム、
・脂肪アルコール、
・ポリ-N-ビニル-ラクタム、
・ポリビニルアルコール、
・ポリオキシエチレン、
・ポリエチレングリコール、
・ポリデキストロース、
・水素化単糖類、二糖類および多糖類、
・ポリビニルピロリドン(これが好ましい)、
・ならびにこれらの混合物
を含む群から選択される。
【0084】
前記可塑剤(iv)は、
・グリセロール、グリセロールエステル、好ましくはアセチル化グリセリド、モノステアリン酸グリセロール、三酢酸グリセロール、三酪酸グリセロール、
・フタル酸エステル、好ましくはフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、
・クエン酸エステル、好ましくはアセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、
・セバシン酸エステル、好ましくはセバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、
・アジピン酸エステル、
・アゼライン酸エステル、
・安息香酸エステル、
・植物油、好ましくは綿実油、ダイズ油、パーム油、ヒマシ油、およびこれらの混合物、
・フマル酸エステル、好ましくはフマル酸ジエチル、
・リンゴ酸エステル、好ましくはリンゴ酸ジエチル、
・シュウ酸エステル、好ましくはシュウ酸ジエチル、
・コハク酸エステル、好ましくはコハク酸ジブチル、
・酪酸エステル、
・セチルアルコールエステル、
・トリアセチン、
・マロン酸エステル、好ましくはマロン酸ジエチル、
・ならびにこれらの混合物
を含む群から選択される。
【0085】
場合により粉砕防止剤(a)に含まれる添加剤は、圧縮剤、および/または不活性なマイクロビーズ、および/またはゴム、および/または上記で定義した粘弾性化合物を含む群から選択されることが好ましい。
【0086】
起こりうる液体抽出の後の鎮痛活性成分の乱用を防止することを意図した増粘剤は、特に注射による乱用を損なうために抽出した液体の粘度を増すことを目的とする。
【0087】
増粘剤は、前記増粘剤を含有するマイクロカプセル中に、および/または活性成分を含有するマイクロカプセル上に、および/または前記剤形の部分または全体オーバーコーティング中に、および/または前記剤形から離れて存在することが好ましい。
【0088】
前記増粘剤は、
・アクリルポリ酸およびその誘導体、ならびに/または
・ポリオキシエチレン、ならびに/または
・ポリビニルアルコール、ならびに/または
・ポリビニルピロリドン、ならびに/または
・ゼラチン、
・セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびに/または
・多糖類、好ましくはアルギン酸ナトリウム、ペクチン、グアール、キサンタン、カラギナン、ジェランを含む群からの多糖類、ならびに/または
・これらの混合物
を含む群から選択されることが好ましい。
【0089】
本発明の経口剤形は、下記の顕著な特徴の少なくとも1つを示す。
・乾燥した吸入可能な形態に変えることができない、または困難である。
・液体の注射可能な形態に変えることができない、または困難である。
・咀嚼による鎮痛活性成分の抽出が有効でない。
・更に、鎮痛活性成分の液体抽出によって前記活性成分が錯化し、したがって経口経路では無用となる。
【0090】
本発明の剤形は、調節放出鎮痛活性成分のマイクロカプセルでできたマイクロユニットに加えて、マイクロカプセル以外の鎮痛活性成分のマイクロユニットを含んでもよく、これには即時放出微粒剤が含まれる。有利なことには、前記微粒剤は、被覆されておらず、本発明のマイクロカプセルを調製するために使用するものと同じ種類である。
【0091】
有利なことには、前記鎮痛活性成分は、塩の形態のオピオイド活性成分、好ましくはオピオイドアゴニストである。好ましくは、前記オピオイド活性成分は、アニレリジン、アセトルフィン、アセチルアルファメチルフェンタニル、アセチルジヒドロコデイン、アセチルメタドール、アルフェンタニル、アリルプロジン、α-アセチルメタドール、α-メプロジン、α-プロジン、α-メタドール、α-メチルフェンタニル、α-メチルチオ-フェンタニル、α-プロジン、アニレリジン、アトロピン、ブトルファノール、ベンゼチジン、ベンジルモルヒネ、β-ヒドロキシフェンタニル、β-ヒドロキシ-メチル-3-フェンタニル、β-セチルメタドール、β-メプロジン、β-メタドール、β-プロジン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ジオキサフェチルブチラート、クロニタゼン、シクラゾシン、カンナビス、セトベミドン(cetobemidone)、クロニタゼン、コデイン、コカ、コカイン、コドキシム、デゾシン、ジメノキサドール、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、ジアンプロミド、ジエチル-チアムブテン、ジフェノキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジフェノキシレート、ジピパノン、ドロテバノール、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エクゴニン、エフェドリン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、エトキセリジン、フェンタニル、フレチジン、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルヒノール、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、ロフェンタニル、レボメソルファン(levomethorphane)、レボモラミド、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、メプタジノール、メペリジン、メタゾシン、メタドン、メチルデソルフィン、メチルジヒドロ-モルヒネ、メチルフェニデート、メチル-3-チオフェンタニル、メチル-3-フェンタニル、メトポン、モラミド、モルフェリジン、モルヒネ、mppp、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ニココジン、ニコジコジン(nicodicodine)、ニコモルヒネ、ノルアシメサドール、ノルコデイン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、フェナドキソン、フェノペリジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェンパラ-フルオロフェンタニル、pepap、ペンタゾシン、ペチジン、フェナンプロミド、フェナゾシン、フェノモルファン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロパノロール、プロペリジン、プロピラム、ラセメソルファン(racemethorphane)、ラセモラミド、ラセモルファン、レミフェンタニル、スフェンタニル、セバコン(thebacone)、テバイン、チオフェンタニル、チリジン、トリメペリジン、トラモドール、薬理学的に許容できるこれらの塩、およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0092】
本発明の経口剤形は、鎮痛活性成分と異なる少なくとも1種類の更なる活性成分を含んでもよい。この非鎮痛活性成分は、抗うつ剤、アンフェタミン、食欲抑制薬、鎮痛剤、抗てんかん剤、抗片頭痛薬、抗パーキンソン病薬、鎮咳薬、抗不安薬、バルビツール剤、ベンゾジアゼピン、催眠剤、緩下剤、神経弛緩剤、覚醒剤、向精神薬、鎮静剤、興奮剤、抗炎症剤、薬理学的に許容できるこれらの塩、およびこれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい。
【0093】
抗炎症性活性成分に関しては、下記を挙げることができる。イブプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカムまたはイソキシカム、薬理学的に許容できるこれらの塩、およびこれらの混合物。
【0094】
剤形は、調節放出剤形、または調節放出形態と即時放出形態との組合せでもよい。活性成分は、調節放出微粒子中、および場合により即時放出微粒子中に含まれることができる。
【0095】
本発明による経口鎮痛活性成分組成物の調節放出多粒子形態は、
・貯留型形態、
・および/またはマトリックス型形態
であってもよい。
【0096】
本開示において「貯留型形態」とは、活性成分を含む物質量が、活性成分を含まない連続皮膜(または膜)を通して活性成分の拡散放出速度を制御する少なくとも1枚の皮膜によって完全に被膜された形態を意味することを意図する。系と消化管の液体との接触の結果としてこの放出が起こる。活性成分を含む物質は、例えば、活性成分それ自体、医薬品添加剤の混合物、または医薬品添加剤と活性成分との混合物である。貯留形態は、例えば、複数の個々の被覆されたマイクロカプセル、または被覆された錠剤、錠剤、複数の被覆されたマイクロカプセルを含有する任意の他の医薬品の形態などのモノリシック系を含む。
【0097】
本開示において「マトリックス型形態」とは、鎮痛活性成分が、活性成分の拡散放出速度を制御する固形連続(ポリマー)相(マトリックス)中に分散した形態を意味することを意図する。前記マトリックスは、侵食可能でも可能でなくてもよい。前記マトリックスは、例えば当業者に公知の医薬として許容される添加剤からなる。マトリックス型形態は、例えば活性成分を含有する複数のマトリックス微粒剤(マトリックス要素)を含む。このようなマトリックス要素は、被覆されていないか、または部分的に被覆されている。マトリックス型形態は、例えばいかなる貯留形態も含有しない、少なくとも1枚の連続皮膜によって完全には被覆されない錠剤などのモノリシック系(マトリックス要素)でもよい。したがって、マトリックス型形態は、例えば複数の活性成分即時放出顆粒剤または活性成分持続放出顆粒剤を含有する錠剤でもよく、前記顆粒剤は、ポリマーマトリックス中に分散している。
【0098】
本発明の一実施形態では、剤形は、前記鎮痛活性成分の調節放出のために複数の微粒子を含み、各微粒子は各々、コアおよび前記コア上のコーティングを含む。コアは、少なくとも1種類の鎮痛活性成分と、前記活性成分の調節放出を制御するコーティングとを含む。前記微粒子は、1,000μm未満、または1,000μmと等しい平均粒径を(大量に)有することが好ましい。
【0099】
本発明の剤形の第1の実施形態では、鎮痛活性成分の調節放出形態は、活性成分の70%が、1〜24時間に亘り、好ましくは2〜12時間に亘り、更に好ましくは2〜8時間に亘り放出されるようなin vitroの放出プロファイルを有する持続放出形態である。
【0100】
有利なことには、第1の実施形態による各々の微粒子のコーティングまたは微粒子のマトリックスの組成は、下記の2つのA群およびB群の一方に対応する。
A群
・-A1-コーティング組成物の全質量に対して乾燥量基準で50〜90重量%、好ましくは50〜80重量%の比率で存在し、セルロースの少なくとも1種類の水不溶性セルロース誘導体からなる、消化管液中で不溶性の少なくとも1種類の皮膜形成ポリマー(Pl)
・-A2-コーティング組成物の全質量に対して乾燥量基準で2〜25重量%、好ましくは5〜15重量%の比率で存在し、少なくとも1種類のポリアクリルアミドおよび/または1種類のポリ-N-ビニルアミドおよび/または1種類のポリ-N-ビニルラクタムからなる、少なくとも1種類の窒素含有ポリマー(P2)
・-A3-コーティング組成物の全質量に対して乾燥量基準で2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%の比率で存在し、下記の化合物(グリセロールエステル、フタル酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、セチルアルコールのエステル、ヒマシ油、およびサリチル酸)の少なくとも1つからなる、少なくとも1種類の可塑剤
・-A4-コーティング組成物の全質量に対して乾燥量基準で2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%の比率で存在し、陰イオン性界面活性剤、および/または非イオン性界面活性剤、および/または潤滑剤から選択され、前述の製品の1種類のみまたは混合物を含むことが可能である、少なくとも1種類の表面活性剤および/または潤滑剤
【0101】
A群は、下記のように例示することができる。
・-A1-エチルセルロースおよび/または酢酸セルロース
・-A2-ポリアクリルアミドおよび/またはポリビニルピロリドン
・-A3-ヒマシ油
・-A4-脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩;ポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;ステアリン酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムまたはステアリン酸亜鉛
【0102】
B群
・-Bl-消化管液中で不溶性の少なくとも1種類の皮膜形成ポリマー
・-B2-少なくとも1種類の水溶性ポリマー
・-B3-少なくとも1種類の可塑剤
・-B4-好ましくは少なくとも1種類の陰イオン性界面活性剤および/または少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤を含む、任意選択の少なくとも1種類の界面活性剤/潤滑
【0103】
B群は、下記のように例示することができる。
・-Bl-
-水不溶性セルロース誘導体、特に好ましくはエチルセルロースおよび/または酢酸セルロース
-アクリル誘導体
-ポリ酢酸ビニル
-ならびにこれらの混合物
・-B2-
-水溶性セルロース誘導体
-ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルアミド
-ポリ-N-ビニルラクタム
-ポリビニルアルコール
-ポリオキシエチレン
-ポリビニルピロリドン(後者が好ましい)、ならびにこれらの混合物
・-B3-
-下記の部分群(アセチル化グリセリド、モノステアリン酸グリセロール、三酢酸グリセロールおよび三酪酸グリセロール)からであることが好ましい、グリセロールおよびそのエステル
-下記の部分群(フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチルおよびフタル酸ジオクチル)からであることが好ましい、フタル酸エステル、
-下記の部分群(クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチルおよびクエン酸トリエチル)からであることが好ましい、クエン酸エステル、
-(セバシン酸ジエチルおよびセバシン酸ジブチル)下記の部分群からであることが好ましい、セバシン酸エステル、
-アジピン酸エステル
-アゼライン酸エステル
-安息香酸エステル
-植物油
-フマル酸エステル、好ましくはフマル酸ジエチル
-リンゴ酸エステル、好ましくはリンゴ酸ジエチル
-シュウ酸エステル、好ましくはシュウ酸ジエチル
-コハク酸エステル、好ましくはコハク酸ジブチル
-酪酸エステル
-セチルアルコールエステル
-サリチル酸
-トリアセチン
-マロン酸エステル、好ましくはマロン酸ジエチル
-ヒマシ油(これが特に好ましい)
-ならびにこれらの混合物
・-B4-
-脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩
-ポリエトキシル化油、好ましくはポリオキシエチレン水素化ヒマシ油
-ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー
-ポリオキシエチレンソルビタンエステル
-ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体
-ステアリン酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムまたはステアリン酸亜鉛
-フマル酸ステアリル、好ましくはフマル酸ステアリルナトリウム
-ベヘン酸グリセロール
-ならびにこれらの混合物
【0104】
コーティングには、重量が前記微粒子の総重量に対して1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である単層を含むことが好ましい。
【0105】
このコーティング組成物の成分の少なくとも数種類に関する更なる詳細、特に質的および量的な詳細のために、例えば、その内容が参照により本開示に組み込まれている欧州特許第O709087号または国際特許出願第2004/010983号および国際特許出願第2004/010984号を参照する。
【0106】
本発明の固形経口剤形の第2の実施形態では、鎮痛剤の調節放出固形経口剤形は、in vitroで下記のような溶解挙動を有する持続放出形態である。
・鎮痛剤の放出は、2種類の別個のトリガーメカニズムによって制御され、その1種類はpHの変化に基づき、もう1種類は胃内での所定の滞留時間後に活性成分の放出を可能にする。
・一定のpH1.4で、溶解プロファイルは、7時間以下、好ましくは5時間以下、更に好ましくは0.25〜5時間のラグ相を含む。
・および、pH1.4からpH7.0への変化によって、放出相はラグ時間なしに開始する。
【0107】
更に好ましくは、この第2の実施形態による調節放出固形経口剤形は、in vitro溶解試験で測定した、下記のようなin vitroの溶解挙動を有する。
・鎮痛剤の20%未満が、pH1.4で2時間後に放出される。
・鎮痛剤の少なくとも50重量%が、pH1.4で16時間後に放出される。
【0108】
本発明の第2の実施形態では、鎮痛活性成分は、前記活性成分を含有する微粒子から2重トリガーメカニズムによってin vitroで放出される。活性成分の調節放出のためのコーティングまたはマトリックスは、
・中性pHでイオン化する群を有する少なくとも1種類の親水性ポリマー(I)と、
・少なくとも1種類の疎水性化合物(II)と
を含み、前記微粒子の平均粒径は、2000μm未満、好ましくは50〜800μm、更に好ましくは100〜600μmである。
【0109】
他の有利な特徴によると、難溶解性の活性成分を調節放出するためのコーティングのための複合材料I〜IIは、
・II/I重量比が、0.2〜1.5、好ましくは0.5〜1.0であり、
・疎水性化合物IIは、固形状態で結晶性であり、MpB≧40℃、好ましくはMpB≧50℃、更に好ましくは40℃≦MpB≦90℃の融点を有する製品から選択される。
【0110】
好ましい種類によれば、親水性ポリマー(I)は、
・I.a (メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキルエステルのコポリマー、ならびにこれらの混合物、
・I.b セルロース誘導体、好ましくは酢酸セルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロース、およびこれらの混合物、ならびに更に好ましくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物、
・ならびにこれらの混合物
から選択される。
【0111】
更に好ましいポリマー(I)は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、C1〜C6アルキル)エステルとのコポリマーである。このようなコポリマーは、例えばEUDRAGIT(登録商標)、LおよびSシリーズ(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L100、S100、L30D-55およびL100-55など)の登録商標でRohm Pharma Polymers社から販売されているものなどの種類である。このようなコポリマーは、胃内において水性媒体中で遭遇するpHを超えたpHで溶解性のアニオン性の腸溶性コポリマーである。
【0112】
更に好ましい実施形態によると、化合物(II)は、下記の製品群から選択される。
・II.a 単独のまたは互いの混合物としての植物ワックス
・II.b 単独のまたは互いの混合物としての水素化植物油
・II.c グリセロールおよび少なくとも1種類の脂肪酸の、モノ-ならびに/またはジ-ならびに/またはトリエステル
・II.d グリセロールおよび少なくとも1種類の脂肪酸の、モノエステル、ジエステルならびにトリエステルの混合物
・ならびにこれらの混合物
【0113】
更に好ましくは、化合物(II)は、下記の製品の群から選択される。水素化綿実油、水素化ダイズ種油、水素化パーム油、ベヘン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄ろう、坐薬ベースとして有用なハードファットまたは脂肪、無水乳脂肪、ラノリン、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ラウリルマクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、オメガ3および任意のこれらの混合物。好ましくは下記の製品の部分群から選択される。水素化綿実油、水素化ダイズ種油、水素化パーム油、ベヘン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチンおよび任意のこれらの混合物。
【0114】
実際には、これらには限定されないが、化合物(II)は、
・下記の商標で販売されている製品の群:Dynasan(登録商標)、Cutina(登録商標)、Hydrobase(登録商標)、Dub(登録商標)、Castorwax(登録商標)、Croduret(登録商標)、Compritol(登録商標)、Sterotex(登録商標)、Lubritab(登録商標)、Apifil(登録商標)、Akofine(登録商標)、Softtisan(登録商標)、Hydrocote(登録商標)、Livopol(登録商標)、Super Hartolan(登録商標)、MGLA(登録商標)、Corona(登録商標)、Protalan(登録商標)、Akosoft(登録商標)、Akosol(登録商標)、Cremao(登録商標)、Massupol(登録商標)、Novata(登録商標)、Suppocire(登録商標)、Wecobee(登録商標)、Witepsol(登録商標)、Lanolin(登録商標)、Incromega(登録商標)、Estaram(登録商標)、Suppoweiss(登録商標)、Gelucire(登録商標)、Precirol(登録商標)、Emulcire(登録商標)、Plurol diisostearique(登録商標)、Geleol(登録商標)、Hydrine(登録商標)およびMonthyle(登録商標)、およびこれらの混合物、
・ならびに、また、コードが下記の通りである添加剤の群:E901、E907、E903、およびこれらの混合物、
・ならびに、好ましくは、下記の商標で販売されている製品の群:Dynasan(登録商標)P60、Dynasan(登録商標)114、Dynasan(登録商標)116、Dynasan(登録商標)118、Cutina(登録商標)HR、Hydrobase(登録商標)66-68、Dub(登録商標)HPH、Compritol(登録商標)888、Sterotex(登録商標)NF、Sterotex(登録商標)K、Lubritab(登録商標)、およびこれらの混合物
から選択されることが好ましい。
【0115】
この実施形態の他の有利な特徴によれば、活性成分の調節放出のためのコーティングは、タルクを含まない。
【0116】
この実施形態、特に、活性成分を含む少なくとも1つの活性層と、活性成分の調節放出のための少なくとも1つの外側コーティングとで被覆された中性コアを伴うこのような実施形態において、このような微粒子の調製に関する更なる詳細のために、その内容が参照により本開示に組み込まれている国際特許出願第FR03/030878号の内容を参照する。
【0117】
本発明の第3の実施形態では、剤形は、少なくとも2種類の異なる微粒子の集団を含む。調節放出微粒子の各集団は、上記で開示したように第1の実施形態、または第2の実施形態に対応してもよい。
【0118】
本発明の第4の実施形態では、剤形は即時放出微粒子集団と、少なくとも1種類の調節放出微粒子集団とを含む。
【0119】
前述の被覆された微粒子は、異なる構造を有してもよい。第1の構造では、微粒子のいくつかは活性成分を含有するコアとそのコア上のコーティングとを含み、前記コーティングは、活性成分の調節放出を可能にする。
【0120】
第2の構造では、微粒子のいくつかは、中性コアを含有するコアと、活性成分を含有し中性コアを被覆する少なくとも1種類の層とを含み、前記微粒子は更にコアの上にコーティングを含有し、前記コーティングは活性成分の調節放出を可能にする。
【0121】
本発明の剤形中に、乱用防止剤が、
・前記乱用防止剤を含有する微粒子中に、および/または
・前記鎮痛活性成分を含有するマトリックス中に、および/または
・前記鎮痛活性成分を含有する微粒子のコーティング中に、および/または
・前記剤形の部分または全体オーバーコーティング中に、および/または
・前記剤形から離れて
存在していることが好ましい。
【0122】
失活剤を含有する微粒子に関して、それらはフィルムコーティングで被覆されてもよく、その組成物は、上記で開示したようにA群およびB群から選択される(鎮痛活性成分を含む剤形の第1の実施形態)。
【0123】
失活剤を含有するこのような微粒子は、例えば、失活剤の70%が1〜24時間に亘り、好ましくは2〜12時間に亘り、更に好ましくは2〜8時間に亘り放出されるように、失活剤をin vitroの放出プロファイルで放出する。
【0124】
失活剤を含有する微粒子は、前述の第2の実施形態で開示したようにコーティングで被覆されてもよい。失活剤は、例えば、下記のようなin vitroの溶解挙動を伴うin vitroの放出プロファイルで放出される。
・鎮痛剤の放出は、2種類の別個のトリガーメカニズムによって制御され、その1種類はpHの変化に基づき、もう1種類は胃内での所定の滞留時間後に活性成分の放出を可能にする。
・溶解プロファイルは、一定のpH1.4で7時間以下、好ましくは5時間以下、更に好ましくは0.25〜5時間のラグ相を含む。
・および、pH1.4からpH7.0への変化によって、放出相はラグ時間なしに開始する。
【0125】
この第2の実施形態による調節放出固形経口剤形は、例えば、下記のようなin vitro溶解試験で測定した、in vitroの溶解挙動を有することが更に好ましい。
・鎮痛剤の20%未満が、pH1.4で2時間後に放出される。
・鎮痛剤の少なくとも50重量%が、pH1.4で16時間後に放出される。
【0126】
有利なことには、構造、提供および組成が新規なこのような剤形は、錠剤、散剤のサシェ剤、多回用量懸濁液を再構成するための散剤のサシェ剤、錠剤またはゼラチンカプセル剤の形態で提供される。
【実施例】
【0127】
(実施例1)オキシコドン乱用抵抗性カプセル
ステップ1
オキシコドンHCl600gおよびKlucel EF(登録商標)(ヒドロキシプロピルセルロース/Aqualon社)60gを、水5000g中で溶解する。この溶液を、GPCG1 Glattスプレーコーター内で中性ミクロスフィア(Asahi-Kasei社)300gにスプレーする。エチルセルロース(Ethocel20Premium/Dow社)35g、Plasdone K29/32(登録商標)(ポビドン/ISP社)5g、Cremophor RH40(ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール/BASF社)2.5gおよびヒマシ油7.5gを、60%イソプロパノールおよび40%アセトン混合物中に分散させる。この溶液を、事前に調製したオキシコドン顆粒剤350gにスプレーする。
【0128】
ステップ2
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)550gおよびKlucel EF(登録商標)(ヒドロキシプロピルセルロース/Aqualon社)50gを、エタノール3000g中に分散させる。この溶液を、GPCGl Glattスプレーコーター内で中性ミクロスフィア(Asahi-Kasei社)250gにスプレーする。HPMC(Hypromellose K15MP/Dow社)30g、Plasdone K29/32(登録商標)(ポビドン/ISP社)10g、Cremophor RH40(ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール/BASF社)2.5gおよびヒマシ油7.5gを、60%イソプロパノールおよび40%アセトン混合物中に分散させる。この溶液を、事前に調製したSDS顆粒剤450gにスプレーする。
【0129】
ステップ3
ステップ1で得た微粒子146mgを、ステップ2で得た微粒子105mgと混合し、サイズ1のゼラチンハードカプセル内に入れる。
【0130】
カプセルが割れて、水の入ったコップに開けられると、オキシコドンを含有する沈殿物が得られる。
【0131】
(実施例2)水中でのドデシル硫酸ナトリウムによるオキシコドン塩酸塩の失活
実施例2において、2種類の溶液を調製した。溶液Aは、水道水中で5g/Lのオキシコドン塩酸塩である。溶液Bは、水道水中で5g/LのSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)である。
【0132】
溶液Aを溶液Bに加える。得られた溶液A+Bは混濁状である。数分後、オキシコドンを含有する錯体が沈殿する。この錯体は、(2倍を超える)大量の水道水中で希釈しても安定している。
【0133】
したがって、オキシコドンは、経口投与によっても、または濃厚溶液の注射によっても乱用することができない。
【0134】
(実施例3)オキシコドン乱用抵抗性カプセル
ステップ1 顆粒剤
オキシコドン1615gおよびポビドン(Plasdone(登録商標)K29-32/ISP社)85gを、60:40v/v水/エタノール中で分散させた。この溶液を、流動層コーター(Glatt GPCG1)内でセルロース球(Asahi-Kasei社)300gにスプレーした。
【0135】
ステップ2 粉砕防止微粒子
エチルセルロース(Ethocel20Premium/Dow社)315g、ポビドン(Plasdone K29-32/ISP社)81g、ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール(Cremophor RH40/BASF社)18gおよびヒマシ油(Garbit Huilerie社)36gを、60:40v/vアセトン/イソプロパノール中に分散させる。この溶液を、ステップ1から得た顆粒剤450gにスプレーする。
【0136】
その質量が被覆された微粒子の全質量の50重量%であるコーティングは、図2の溶解プロファイルとなる。溶解試験を参照溶解試験に従って行う。
【0137】
(実施例4)オキシコドン乱用抵抗性カプセル
実施例3のステップ2から得た微粒子230mg、粉砕してふるいにかけたAmberlite IR69F(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)100mg、ふるいにかけたPolyox WSR303Sentry(ポリエチレンオキシド)70mg、ステアリン酸マグネシウム3.8mgおよびAerosil200(コロイダルシリカ)1.9mgを、サイズ0のゼラチンカプセル内に詰める。
【0138】
このオキシコドンカプセルは、乱用を防ぐ。
【0139】
図3A(肉眼)および3B(光学顕微鏡)に示すように、AP微粒子および増粘剤微粒子は、識別することができず、ふるいにかけられない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】実施例2を図示する。これは下記のように得た溶液の写真である。・A:溶液Aは、水中で5g/LのオキシコドンHClである。・B:溶液Bは、水中で5g/LのSDSである。・A+B:溶液AおよびBの混合であって、オキシコドンを捕捉する沈殿物が形成される。
【図2】参照試験における実施例3の微粒子のin vitro溶解プロファイルを図示する(溶解したAP%対時間)。
【図3】肉眼(A)および光学顕微鏡(B)による実施例4のカプセルの内容物の写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の鎮痛活性成分の少なくとも1種類の塩と、少なくとも1種類の失活剤を含む乱用防止系とを含有する経口固形剤形であって、前記鎮痛活性成分の塩が、特に薬物乱用者によって前記経口固形剤形からin vitroで溶液に不適切に抽出されるときに、前記失活剤が前記鎮痛活性成分の塩の錯化を起こすのに好適である経口固形剤形。
【請求項2】
剤形が乱用されないときに、前記鎮痛活性成分の所望の薬理効果が、前記失活剤によって損なわれない、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
溶液中に残留する鎮痛活性成分の濃度が抽出後において低い、請求項1または2に記載の剤形。
【請求項4】
前記失活剤が塩を含み、前記塩が溶液中に抽出された前記鎮痛活性成分の塩と錯体を形成するイオンを含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項5】
前記失活剤が塩を含み、前記塩が溶液中で前記鎮痛活性成分の塩の極性と反対の極性を有するイオン、好ましくは有機イオンを含有し、前記イオンが溶液中に抽出された前記鎮痛活性成分の塩と錯体を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項6】
溶液中で前記鎮痛活性成分の塩の極性と反対の極性を有する前記イオンが有機アニオンである、請求項5に記載の剤形。
【請求項7】
前記失活剤が、
・ドデシル硫酸ナトリウムまたはナトリウムドキュセートなどの有機アニオン塩、
・(メタ)アクリルコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)SおよびL)、架橋アクリルポリ酸(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、架橋カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体ならびに他の多糖類(例えば、アルギン酸、キサンタンまたはアラビアゴム)、アルギン酸(スルホン酸)プロピレングリコールなどのアニオン性ポリマー、
・グルクロン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、乳酸塩、三ケイ酸塩、フマル酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホンアミド、アセスルファムなどの、一価または多価の塩、
・酢酸、コハク酸、クエン酸、ステアリン酸、パルミチン酸および自己乳化性グリセリルモノオレエートの塩などの、けん化脂肪酸、
・アルブミン、カゼイン、グロブリンおよび酵素などの、ポリアミノ酸、タンパク質またはペプチド、
・ならびにこれらの混合物
を含む群から選択される塩を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項8】
溶液中で前記鎮痛活性成分の塩の極性と反対の極性を有する前記イオンが、金属カチオン、有機カチオンまたはこれらの混合物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項9】
前記失活剤が、
・アセスルファム、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、フッ化物、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、水酸化物、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、酸化物、リン酸塩、三ケイ酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、スルホンアミド、酒石酸塩の形態の、例えば、Ca、Fe、Mg、Znの金属カチオン塩、
・4級アンモニウム塩、特に臭化トリメチルテトラデシルアンモニウムまたは塩化ベンゼトニウムなどの有機カチオン塩、
・キトサンおよび(メタ)アクリルコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)RS、RLまたはE)などのカチオン性ポリマー、
・ポリアミノ酸、タンパク質またはペプチド、
・ならびにこれらの混合物
を含む群から選択される塩を含む、請求項8に記載の剤形。
【請求項10】
前記失活剤がアニオン交換樹脂の塩であり、そのカチオンがH+、金属カチオンおよび/またはNH4+である、請求項1から7のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項11】
前記失活剤がイオン交換樹脂の塩である、請求項1から10のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項12】
前記失活剤が、
-ドデシル硫酸ナトリウムまたはナトリウムドキュセートなどのアニオン性有機塩、
-4級アンモニウム塩、特に臭化トリメチルテトラデシルアンモニウムまたは塩化ベンゼトニウムなどのカチオン性有機塩、
-AP極性により、強酸性カチオン交換樹脂または強アルカリ性アニオン交換樹脂
からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項13】
前記イオン交換樹脂が、APがカチオン性の場合は強酸性カチオン交換樹脂であり、またはAPがアニオン性の場合は強アルカリ性アニオン交換樹脂である、請求項11または12に記載の剤形。
【請求項14】
前記樹脂が、スルホン化スチレン-ジビニルベンゼンコポリマーから誘導される、請求項11から13のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項15】
前記樹脂が、4級アンモニウム部分を有するスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーまたはその塩から誘導される、請求項11から13のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項16】
前記鎮痛活性成分と前記失活剤との調節放出ユニットを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項17】
前記調節放出ユニットが持続放出微粒子、遅延放出微粒子、パルス放出微粒子、およびこれらの混合物を含む群から選択される微粒子を含む、請求項16に記載の剤形。
【請求項18】
前記剤形が多微粒子剤形である、請求項1から17のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項19】
前記剤形がモノリシック剤形である、請求項1から18のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項20】
鎮痛活性成分の微粒子および失活剤の微粒子を含み、前記微粒子が、同じ粒度分布および同じ濃度を有し、ふるい分けされない、請求項1から19のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項21】
更なる乱用防止剤を含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項22】
前記更なる乱用防止剤が粉砕防止剤を含む、請求項21に記載の剤形。
【請求項23】
前記更なる乱用防止剤が増粘剤を含む、請求項21または22に記載の剤形。
【請求項24】
前記乱用防止剤が、
・前記乱用防止剤を含有する微粒子中に、および/または
・前記鎮痛活性成分を含有するマトリックス中に、および/または
・前記鎮痛活性成分を含有する微粒子のコーティング中に、および/または
・前記剤形の部分または全体オーバーコーティング中に、および/または
・前記剤形から離れて
存在している請求項1から23のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項25】
前記粉砕防止剤が、
・下記の特長の少なくとも1つを有する、前記微粒子上の保護用オーバーコーティング、
-粉砕の間に放散されるエネルギーを吸収するための粘弾性
-粉砕の間に微粒子の破壊よりもオーバーコーティングの破壊を助長する低粘着性
-粉砕の間に微粒子が互いに滑ることを助長する低い表面エネルギー
-高剪断下でペーストを形成する能力
・および/あるいは遊離添加剤、すなわち微粒子中に含有されずもしくは微粒子上に載っておらず、前記鎮痛活性成分を含有する医薬剤形の粉砕を損ない、または完全に防止するのに好適である添加剤
を含む、請求項22に記載の剤形。
【請求項26】
前記オーバーコーティングが、
・(i)オーバーコーティングの粘着を確実にする少なくとも1種類の皮膜形成ポリマーと、
・下記の化合物の少なくとも1種類と
-(ii)潤滑/凝塊剤
-(iii)粘弾性化合物
-(iv)可塑剤
を含む、請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
前記皮膜形成ポリマー(i)が、セルロース誘導体、アクリルポリマー、およびこれらの混合物を含む群から選択される、請求項26に記載の剤形。
【請求項28】
前記潤滑/凝塊剤(ii)が、
・ステアリン酸、ステアリン酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸マグネシウム、
・酸化マグネシウム、
・ポロキサマー、
・安息香酸ナトリウム、
・アニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤、
・デンプン、好ましくはコーンスターチ、
・タルク、
・コロイダルシリカ、
・ワックス、好ましくは水素化植物油、更に好ましくは綿実水素化油、ダイズ水素化油、パーム水素化油、ベヘン酸グリセロール、ヒマシ水素化油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄ろう、白ろう、ハードファット、無水乳脂肪、ラノリン、パルミトステアリン酸グリセロール、ステアリン酸グリセロール、ラウリン酸マクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノステアリン酸エチレン、オメガ3脂肪酸、およびこれらの混合物、
・グリセリン、トリグリセリド、カカオ脂、カカオバター、およびこれらの混合物を含む坐薬脂肪ベース、
・これらの混合物
を含む群から選択される、請求項26に記載の剤形。
【請求項29】
前記粘弾性化合物(iii)が、
・ポリ-N-ビニルアミド、
・ゴム、
・脂肪アルコール、
・ポリ-N-ビニル-ラクタム、
・ポリビニルアルコール、
・ポリオキシエチレン、
・ポリエチレングリコール、
・ポリデキストロース、
・水素化単糖類、二糖類および多糖類、
・ポリビニルピロリドン(これが好ましい)、
・ならびにこれらの混合物
を含む群から選択される、請求項26に記載の剤形。
【請求項30】
前記可塑剤(iv)が、
・グリセロール、グリセロールエステル、好ましくはアセチル化グリセリド、モノステアリン酸グリセロール、三酢酸グリセロール、三酪酸グリセロール、
・フタル酸エステル、好ましくはフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、
・クエン酸エステル、好ましくはアセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、
・セバシン酸エステル、好ましくはセバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、
・アジピン酸エステル、
・アゼライン酸エステル、
・安息香酸エステル、
・植物油、好ましくは綿実油、ダイズ油、パーム油、ヒマシ油、およびこれらの混合物、
・フマル酸エステル、好ましくはフマル酸ジエチル、
・リンゴ酸エステル、好ましくはリンゴ酸ジエチル、
・シュウ酸エステル、好ましくはシュウ酸ジエチル、
・コハク酸エステル、好ましくはコハク酸ジブチル、
・酪酸エステル、
・セチルアルコールエステル、
・トリアセチン、
・マロン酸エステル、好ましくはマロン酸ジエチル、
・ならびにこれらの混合物
を含む群から選択される、請求項26に記載の剤形。
【請求項31】
前記添加剤が、
・圧縮剤、および/または
・不活性なマイクロビーズ、および/または
・ゴム、および/または
・請求項29に規定される粘弾性化合物
を含む群から選択される、請求項25に記載の剤形。
【請求項32】
前記剤形の乱用を減少させるために、前記剤形から調製した液体抽出物の粘度を増加させるのに適切な増粘剤を更に含む、請求項23に記載の剤形。
【請求項33】
前記増粘剤が、
・アクリルポリ酸およびその誘導体、ならびに/または
・ポリオキシエチレン、ならびに/または
・ポリビニルアルコール、ならびに/または
・ポリビニルピロリドン、ならびに/または
・ゼラチン
・セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびに/または
・多糖類、好ましくはアルギン酸ナトリウム、ペクチン、グアール、キサンタン、カラギナン、ジェランを含む群からの多糖類、ならびに/または
・これらの混合物
を含む群から選択される、請求項32に記載の剤形。
【請求項34】
前記鎮痛活性成分の調節放出のための複数の微粒子を含み、各微粒子は各々コアおよび前記コア上のコーティングを含み、前記コアは少なくとも1種類の鎮痛活性成分を含み、前記コーティングは前記活性成分の調節放出を制御し、前記微粒子は1,000μm未満または1,000μmに等しい平均粒径を有する、請求項1に記載の剤形。
【請求項35】
前記鎮痛活性成分が、塩の形態のオピオイド活性成分を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項36】
前記オピオイド活性成分が、アニレリジン、アセトルフィン、アセチルアルファメチルフェンタニル、アセチルジヒドロコデイン、アセチルメタドール、アルフェンタニル、アリルプロジン、α-アセチルメタドール、α-メプロジン、α-プロジン、α-メタドール、α-メチルフェンタニル、α-メチルチオ-フェンタニル、α-プロジン、アニレリジン、アトロピン、ブトルファノール、ベンゼチジン、ベンジルモルヒネ、β-ヒドロキシフェンタニル、β-ヒドロキシ-メチル-3-フェンタニル、β-セチルメタドール、β-メプロジン、β-メタドール、β-プロジン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ジオキサフェチルブチラート、クロニタゼン、シクラゾシン、カンナビス、セトベミドン、クロニタゼン、コデイン、コカ、コカイン、コドキシム、デゾシン、ジメノキサドール、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、ジアンプロミド、ジエチル-チアムブテン、ジフェノキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジフェノキシレート、ジピパノン、ドロテバノール、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エクゴニン、エフェドリン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、エトキセリジン、フェンタニル、フレチジン、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルヒノール、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、ロフェンタニル、レボメソルファン、レボモラミド、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、メプタジノール、メペリジン、メタゾシン、メタドン、メチルデソルフィン、メチルジヒドロ-モルヒネ、メチルフェニデート、メチル-3-チオフェンタニル、メチル-3-フェンタニル、メトポン、モラミド、モルフェリジン、モルヒネ、mppp、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ニココジン、ニコジコジン、ニコモルヒネ、ノルアシメサドール、ノルコデイン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、フェナドキソン、フェノペリジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェンパラ-フルオロフェンタニル、pepap、ペンタゾシン、ペチジン、フェナンプロミド、フェナゾシン、フェノモルファン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロパノロール、プロペリジン、プロピラム、ラセメソルファン、ラセモラミド、ラセモルファン、レミフェンタニル、スフェンタニル、セバコン、テバイン、チオフェンタニル、チリジン、トリメペリジン、トラモドール、薬理学的に許容できるこれらの塩、およびこれらの混合物を含む群から選択される、請求項35に記載の剤形。
【請求項37】
抗うつ剤、アンフェタミン、食欲抑制薬、鎮痛剤、抗てんかん剤、抗片頭痛薬、抗パーキンソン病薬、鎮咳薬、抗不安薬、バルビツール剤、ベンゾジアゼピン、催眠剤、緩下剤、神経弛緩剤、覚醒剤、向精神薬、鎮静剤、興奮剤、抗炎症剤、薬理学的に許容できるこれらの塩、およびこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1種類の非鎮痛活性成分を含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項38】
錠剤、散剤、サシェ剤、またはカプセル剤の形態の、請求項1に記載の剤形。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−543746(P2008−543746A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515177(P2008−515177)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062625
【国際公開番号】WO2006/134018
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(505437321)フラメル・テクノロジーズ (14)
【Fターム(参考)】