説明

乳化化粧料

【課題】 剤効果を利用した角栓除去用の化粧料の角栓除去効果を高める手段を提供する。
【解決手段】 1)ダイマー酸のエステルから選択される1種乃至は2種以上と、2)アシル化アミノ酸のエステルから選択される2種以上とを、化粧料に含有させる。前記ダイマー酸のエステルとしては、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルが好ましく、前記2種以上のアシル化アミノ酸のエステルとして、N−アシルサルコシンアルキルエステルと、N−アシルメチルアミノプロピオン酸アルキルエステルとを含有することが好ましく、前記N−アシルサルコシンアルキルエステルとしては 、N−ラウロリルサルコシンイソプロピルが好ましく、前記N−アシルメチルアミノプロピオン酸アルキルエステルとしては、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には、角栓除去用の乳化化粧料に好適な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
角栓が毛穴の肥大、ダニなどの生物の温床となり、これが炎症などの原因になる等種々の肌トラブルと肌の美観を損なうことの原因となっていることは広く知られていることであり、肌を健やかに保つためには角栓の除去が欠かせないことは業界の常識となっている。この様な状況を反映して、種々の角栓除去用の化粧料が開発され、販売されている。この様な化粧料としては、例えば、支持体上に粘着剤を塗工して、これを小鼻などの角栓の存する部位に貼付し、粘着剤を固化させ、しかる後に剥離し、角栓を除去するもの(例えば、特許文献1を参照)、油性成分の溶剤効果により、角栓を皮膚に固着させている脂肪酸を溶解せしめ、物理的揉み出しによって角栓を除去するもの(例えば、特許文献2を参照)、アルカリにより脂肪酸を可溶化し、角栓の構造をゆるめ物理的な擦過により除去する化粧料(例えば、特許文献3を参照)などが存する。しかしながら、これらの方法では何れも、化粧料に由来する刺激が強すぎたり、擦過や剥離などにより皮膚を損傷が起こりやすい等の欠点が存した。これらの方法の中で、溶剤効果を利用するものについて、その溶剤効果を、アシル化アミノ酸エステルを選択して用いることにより、刺激を軽減する技術も開発され、著効を得た(例えば、特許文献4を参照)が、この方法に於いては、角栓除去率が一つの課題として残っていた。ダイマー酸のエステルについては、保湿性に優れる、粘ちょうな油脂であり、保湿などの目的で化粧料に使用されているが、角栓除去への効果は全く知られていない。(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照)
【0003】
一方、1)ダイマー酸のエステルから選択される1種乃至は2種以上と、2)アシル化アミノ酸のエステルから選択される2種以上とを、含有する、化粧料は全く知られていないし、この様な構成を取ることにより、優れた角栓除去力を有するクレンジング化粧料となることも全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−145982号公報
【特許文献2】特開2005−82481号公報
【特許文献3】特開2004−75575号公報
【特許文献4】特開2005−97147号公報
【特許文献5】特開2005−206573号公報
【特許文献6】特開2003−160430号公報
【特許文献7】特開2002−128623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、溶剤効果を利用した角栓除去用の化粧料の角栓除去効果を高める手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、溶剤効果を利用した角栓除去用の化粧料の角栓除去効果を高める手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、アシル化アミノ酸エステルを2種以上組合せ、更に、これにダイマー酸のエステルを組み合わせることにより、優れた溶媒効果を発揮し、角栓除去作用が著しくなることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)1)ダイマー酸のエステルから選択される1種乃至は2種以上と、2)アシル化アミノ酸のエステルから選択される2種以上とを、含有することを特徴とする、化粧料。
(2)前記ダイマー酸のエステルとして、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルを含有することを特徴とする、(1)に記載の化粧料。
(3)前記2種以上のアシル化アミノ酸のエステルとして、N−アシルサルコシンアルキルエステルと、N−アシルメチルアミノプロピオン酸アルキルエステルとを含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧料。
(4)前記N−アシルサルコシンアルキルエステルが 、N−ラウロリルサルコシンイソプロピルであることを特徴とする、(3)に記載の化粧料。
(5)前記N−アシルメチルアミノプロピオン酸アルキルエステルが、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルであることを特徴とする、(3)又は(4)に記載の化粧料。
(6)乳化形態であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の化粧料。
(7)角栓除去用の化粧料であることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、溶剤効果を利用した角栓除去用の化粧料の角栓除去効果を高める手段を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の化粧料の必須成分であるダイマー 酸のエステル
本発明の化粧料は、ダイマー酸のエステルを必須成分として、含有することを特徴とする。本発明に言う、ダイマー酸のエステルとは、2分子の不飽和脂肪酸の重合によって得られる2塩基酸のエステルで、例えばダイマージリノール酸、ダイマージリノレイン酸、ダイマージオレイン酸などエステル或いはこれらの水素添加物などが例示できる。かかるダイマー酸のエステルのエステル部分を構成するアルキル基乃至はアルケニル基としては、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、リノレイルアルコール等の通常の高級アルコールの他、ダイマージリノレイルアルコールなどの、不飽和アルコール2分子が重合したダイマージオールから誘導されるものなどが好ましく例示できる。これらの内ではダイマージオールが特に好ましく例示できる。かかるアルコール残基についても水素添加されていても良い。この様なダイマー 酸のエステルは、多くのものが化粧料用の原料として市販されている。この様な市販品のうち、特に好ましいものは、ダイマー酸硬化ヒマシ油である「リンカスターDA−H」(高級アルコール工業株式会社製)、ダイマー酸エステルである「プランドゥールS」(日本精化株式会社製)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルである「ラスプランDD−DA7」(日本精化株式会社製)、ダイマージリノール酸イソステアリル/フィトステリルである「ラスプランPI−DA」(日本精化株式会社製)等が好適に例示でき、これらの内では、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルが特に好適に例示できる。本発明の化粧料においては、かかるダイマー酸のエステルは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明の化粧料における、ダイマー酸のエステルの好ましい含有量は、総量で、化粧料全量に対して、10〜50質量%であり、より好ましくは25〜45質量%である。この量範囲において、適度な粘着性と脂質溶解性とを化粧料に付与することが出来る。かかる成分は角栓の付着因子となっている脂肪酸などの脂質を溶解するとともに、その粘性により毛穴に充填されている角栓構成成分を擦過に際して引き出す効果を有する。又、極性汚れを溶解離脱せしめる作用にも優れるため、本発明の化粧料にクレンジング効果を付与し、その用途を広げる副次的効果も有する。
【0009】
(2)本発明の化粧料の必須成分であるアシル化アミノ酸エステル
本発明の化粧料は、必須成分として、アシル化アミノ酸のエステルを2種以上含有することを特徴とする。アシル化アミノ酸エステルの基体となるアミノ酸としては、通常化粧料で使用されているアミノ酸で有れば特段の限定無く使用することが出来、例えば、アラニン、グリシン、アルギニン、リシン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、サルコシン、メチルアミノプロピオン酸などが例示できる。角栓除去効果を高めるために、特に好ましいアミノ酸残基はグルタミン酸残基とサルコシン残基である。又、アシル基としては、炭素数10〜30のものが好ましく、例えば、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノル基、イソオクタノイル基、イソステアロイル基、オレオイル基、リノロイル基等が好適に例示できる。角栓除去効果を高めるために、特に好ましい基はラウロイル基である。アシル化アミノ酸エステルのエステルを構成する、炭化水素基としては、脂肪族のものが好ましく、脂肪族であれば不飽和結合を有していても良いし、飽和脂肪族であっても良い。炭素数は2〜40が好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘキセニル基、オクチル基、デカニル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基、イソオクチル基、イソステアリル基、ヘキシルデシル基、コレステリル基、フィトステリル基などが好適に例示でき、イソプロピル基、オクチル基、コレステリル基、フィトステリル基などが好適に例示できる。
【0010】
前記アシル化アミノ酸エステルは、アミノ酸とアシルクロリドをアルカリの存在下縮合させ、しかる後に酸やアルカリを触媒とし、アシル化アミノ酸と対応するアルコールを脱水縮合することにより製造することが出来る。アシル化アミノ酸エステルは斯くの如くに製造することも出来るが、既に化粧料原料として市販されているものも存し、かかる市販品を購入して利用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、味の素株式会社から販売されている「エルデュウSL205」(N−ラウロイルサルコシンイソプロピル)や「エルデュウPS203」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチル/フィトステリル)、日本エマルション株式会社製の「アミテルMA−HD」(ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル)等が例示できる。2種の組合せとしては、少なくとも「アミテルMA−HD」を含有する組合せが好ましく、「エルデュウSL205」との組合せが特に好ましい。
【0011】
前記「アミテルMA−HD」と「エルデュウSL205」との組合せの場合に於いては、これらの質量比は10:1〜10:3が特に好ましい。
【0012】
本発明の化粧料に於いては、かかる成分は角栓を構成する脂肪酸を溶解せしめ、毛穴との接着性を低下させ、角栓が毛穴より離脱しやすい状態に遷移させる作用を発揮する。本発明の化粧料におけるアシル化アミノ酸エステルの好ましい含有量は、総量で、1〜20質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。多すぎた場合には、前記ダーマー酸の効果を損なう場合が存し、少なすぎるとダイマー酸との組合せ効果が得られない場合が存する。
【0013】
(3)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記必須成分を含有し、角栓の除去機能を有することを特徴とする。本発明の化粧料は、通常使用されている化粧料の剤形を特段の制限なく、取ることが出来る。この様な剤形としては、例えば、ローション剤形、エアゾル剤形、乳化剤形、オイルゲル剤形、二層剤形などが好適に例示でき、乳化剤形がより好ましく、中でも水中油乳化剤形が特に好ましい。これは角栓の構成成分が油性成分のみならず、水性成分も含有し、一種のマトリックスを形成しているためである。又、本発明の化粧料は角栓除去効果を有するものの、クレンジング機能やマッサージ機能などの副次的な機能も兼ね備えるため、この様な副次的効果を目的とした化粧料とすることも出来る。この様な目的の化粧料として使用しても、その使用過程に於いて角栓を除去する作用を発揮するので、この様な化粧料も本発明の化粧料の技術的範囲に属する。
【0014】
本発明の化粧料は、前記必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジカプリルなどの炭酸ジエステル;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0015】
これらの成分の内、特に好ましいものは炭酸ジエステルであり、中でも炭酸ジカプリルが特に好適に例示できる。かかる成分は極性成分、非極性成分ともに溶解する作用に優れ、角栓を毛穴より離脱させる作用に優れる。かかる成分の好ましい含有量は、総量で化粧料総量に対して、20〜60質量%であり、より好ましくは40〜55質量%である。
【0016】
本発明の化粧料を、角栓除去用の化粧料として使用した場合、使用後の化粧料の除去は水洗であると勘案されるが、この様な場合に於いては、本発明の化粧料を水洗により肌より速やかに離脱せしめる成分を含有させることが好ましい。この様な成分としては、POE脂肪酸グリセリルや、ポリグリセリンモノラウレートなどが好適に例示でき、前記ポリグリセリンモノラウレートとしては、ジグリセリンモノラウレートが特に好適に例示できる。POE脂肪酸グリセリルの好ましい含有量は、3〜10質量%であり、ジグリセリンモノラウレートの好ましい含有量は、1〜5質量%である。
【0017】
本発明の化粧料は、前記必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0018】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0019】
以下に示す処方に従って、本発明化粧料である、角栓除去化粧料1を製造した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱、攪拌し、イに徐々にロを加え乳化し、しかる後に攪拌、冷却し、角栓除去化粧料1を得た。このものは油中水乳化剤形であった。
【0020】

「エルデュウSL205」 1 質量%
「アミテルMA−HD」 5 質量%
セチルイソオクタネート 5 質量%
炭酸ジカプリル 55 質量%
「ラスプランDD−DA7」 25 質量%
POE(20)トリイソステアリン酸グリセリル 5 質量%
ジグリセリンモノラウレート 2 質量%

尿素 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 1.5質量%
【0021】
<試験例1>
角栓除去化粧料1について、角栓除去能の試験を行った。同時に「エルデュウSL205」を「アミテルMA−HD」に置換した比較例1、「アミテルMA−HD」「エルデュウSL205」に置換した比較例2、「エルデュウSL205」と「アミテルMA−HD」とを「ラスプランDD−DA7」に置換した比較例3及び「ラスプランDD−DA7」を「アミテルMA−HD」に置換した比較例4とを角栓除去化粧料1と同様に作成し、これらの評価した。即ち、5群計25名のパネラーを用意し、無作為に1群5名ずつ5群に分け、それぞれの群に前記5種の化粧料を割り付けた。各パネラーは小鼻の部分の右側をサンプルで処理し、クレンジングを行った。その後、角栓除去シートを用いて小鼻の部分の角栓を固着剥離し、左の小鼻の部分から採取された角栓の数で右の小鼻の部分から採取された角栓の数を除し、100を乗じて、それを100から減じ、サンプル化粧料による角栓の除去率とした。結果を表1に示す。これより本発明のクレンジング化粧料は角栓除去効果に優れることが判る。
【0022】
【表1】

【実施例2】
【0023】
角栓除去化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、角栓除去化粧料2を製造した。又、このものについて、試験例1の手技に従って評価を行った。(n=1)結果は、角栓除去率98%であった。
【0024】

「エルデュウPS203」 1 質量%
「アミテルMA−HD」 5 質量%
セチルイソオクタネート 5 質量%
炭酸ジカプリル 55 質量%
「ラスプランDD−DA7」 25 質量%
POE(20)トリイソステアリン酸グリセリル 5 質量%
ジグリセリンモノラウレート 2 質量%

尿素 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 1.5質量%
【実施例3】
【0025】
角栓除去化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、角栓除去化粧料3を製造した。又、このものについて、試験例1の手技に従って評価を行った。(n=1)結果は、角栓除去率97%であった。
【0026】

「エルデュウSL205」 1 質量%
「エルデュウPS203」 5 質量%
セチルイソオクタネート 5 質量%
炭酸ジカプリル 55 質量%
「ラスプランDD−DA7」 25 質量%
POE(20)トリイソステアリン酸グリセリル 5 質量%
ジグリセリンモノラウレート 2 質量%

尿素 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 1.5質量%
【実施例4】
【0027】
角栓除去化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、角栓除去化粧料4を製造した。又、このものについて、試験例1の手技に従って評価を行った。(n=1)結果は、角栓除去率94%であった。
【0028】

「エルデュウSL205」 1 質量%
「アミテルMA−HD」 5 質量%
セチルイソオクタネート 5 質量%
炭酸ジカプリル 55 質量%
「ラスプランPI−DA」 25 質量%
POE(20)トリイソステアリン酸グリセリル 5 質量%
ジグリセリンモノラウレート 2 質量%

尿素 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 1.5質量%
【実施例5】
【0029】
角栓除去化粧料1と同様に、下記に示す処方に従って、本発明の化粧料である、角栓除去化粧料5を製造した。又、このものについて、試験例1の手技に従って評価を行った。(n=1)結果は、角栓除去率92%であった。ダイマー酸のエステルの含有量は10質量%以上であることが好ましいことが判る。
【0030】

「エルデュウSL205」 1 質量%
「アミテルMA−HD」 5 質量%
セチルイソオクタネート 5 質量%
炭酸ジカプリル 70 質量%
「ラスプランDD−DA7」 10 質量%
POE(20)トリイソステアリン酸グリセリル 5 質量%
ジグリセリンモノラウレート 2 質量%

尿素 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 1.5質量%
【0031】
<試験例2>
角栓除去化粧料1〜5について、リップカラーを用いてクレンジング作用を評価した。いずれのサンプルも速やかにリップカラーを除去できることが判り、本発明の化粧料はクレンジング化粧料全般に亘って好適な特性を有していることが判った。本発明の化粧料は角栓除去作用を有するクレンジング化粧料として使用できることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、クレンジング化粧料などの化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ダイマー酸のエステルから選択される1種乃至は2種以上と、2)アシル化アミノ酸のエステルから選択される2種以上とを、含有することを特徴とする、化粧料。
【請求項2】
前記ダイマー酸のエステルとして、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルを含有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記2種以上のアシル化アミノ酸のエステルとして、N−アシルサルコシンアルキルエステルと、N−アシルメチルアミノプロピオン酸アルキルエステルとを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記N−アシルサルコシンアルキルエステルが 、N−ラウロリルサルコシンイソプロピルであることを特徴とする、請求項3に記載の化粧料。
【請求項5】
前記N−アシルメチルアミノプロピオン酸アルキルエステルが、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の化粧料。
【請求項6】
乳化形態であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の化粧料。
【請求項7】
角栓除去用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2007−112767(P2007−112767A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308153(P2005−308153)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】