説明

乾燥空気供給装置

【課題】低露点の乾燥空気を安定して得ることができるとともに、装置を小型化し、かつ簡素な構成にすることができる乾燥空気供給装置を提供する。
【解決手段】乾燥空気供給装置11は、空気圧源12から多湿空気が供給される予備除湿用高分子膜式ドライヤ15、及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16を直列に接続して備える。また、乾燥空気供給装置11は、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の下流側に該本除湿用高分子膜式ドライヤ16からの乾燥空気を減圧する第1の減圧弁23及び第2の減圧弁24を備える。さらに、乾燥空気供給装置11は、本除湿用高分子膜式ドライヤ16から得られる乾燥空気を全ての高分子膜式ドライヤ15,16へ直接個別に供給して多孔質中空糸膜を再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含んだ多湿空気の水分を除去して乾燥空気を得るための乾燥空気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、樹脂の製造工場では、乾燥空気を用いて樹脂の乾燥工程が行われている。乾燥空気は多湿空気を除湿して得られるが、この乾燥空気を供給する装置として、例えば、特許文献1の半導体製造システムに開示の乾燥除湿器が挙げられる。この乾燥除湿器は、水分を含んだ多湿空気の水分を除去して低露点の乾燥空気を生成するものであり、除湿ロータ、駆動用モータ、処理ファン、再生ファン、フィルタ、及び加熱器を備える。
【0003】
除湿ロータは、所定の材質を表面主成分とする多孔性のハニカム構造に吸湿剤を固着させた円柱形状をなし、駆動用モータの駆動によって所定の回転速度で回転する。また、除湿ロータは、吸湿ゾーン及び再生ゾーンを有する。そして、除湿ロータを駆動用モータによって回転させながら除湿ゾーンと再生ゾーンとを適宜切り替え、除湿ゾーンに多湿空気を通過させてクリーンな乾燥空気を得るとともに再生ゾーンに廃熱空気を通過させて吸湿材を再生させることにより、吸湿材を取り替えることなく半永久的に使用することができるようになっている。
【特許文献1】特開2000−296309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示の乾燥除湿器は、除湿ゾーンと再生ゾーンに切り換えるために、除湿ロータを回転させる必要があり、その回転のための駆動用モータを必要とする。さらに、除湿させた乾燥空気を送り出すための処理ファンを必要とするとともに、排気用空気を排出するための再生ファンを必要とする。よって、乾燥除湿器は装置全体として大型であり、また、駆動用モータ、各ファンといった可動部を複数必要とするため、故障が発生しやすいという問題があった。加えて、除湿ロータを回転させて再生ゾーンに廃熱空気を通過させて吸湿材を再生させている。このため、吸湿材の再生のために除湿ロータを回転させる駆動用モータを必要とし、吸湿材の再生のために乾燥除湿器が大型化してしまうという問題があった。さらに、乾燥除湿器においては、多湿空気を除湿ロータを通過させるだけで乾燥空気を得るため、多湿空気の供給側(一次側)の負荷変動(圧力変動や流量変動)により、得られる乾燥空気(二次側)の露点が変動しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、低露点の乾燥空気を安定して得ることができるとともに、装置を小型化し、かつ簡素な構成にすることができる乾燥空気供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、水分を含んだ多湿空気の水分を除去して乾燥空気を得るための乾燥空気供給装置であって、前記多湿空気の供給源から多湿空気が供給される予備除湿用の高分子膜式ドライヤ、及び本除湿用の高分子膜式ドライヤを直列に接続して備えるとともに、前記本除湿用の高分子膜式ドライヤの下流側に該本除湿用の高分子膜式ドライヤからの乾燥空気を減圧する減圧弁を備え、さらに、最下流に位置する前記高分子膜式ドライヤから得られる乾燥空気を全ての高分子膜式ドライヤへ直接個別に供給して高分子膜を再生させるようにしたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乾燥空気供給装置において、前記乾燥空気を加熱するヒータを、前記減圧弁の下流側に備えることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の乾燥空気供給装置において、前記乾燥空気供給装置をクリーンルーム内に設置し、各高分子膜式ドライヤそれぞれに排気管を接続するとともに全ての排気管を集中させた集中排気管を前記クリーンルーム外へ引き出して集中排気することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低露点の乾燥空気を安定して得ることができるとともに、装置を小型化し、かつ簡素な構成にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した乾燥空気供給装置の一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
本実施形態の乾燥空気供給装置は樹脂の製造工場に設置され、乾燥空気を用いて樹脂の乾燥工程を行うため、水分を含んだ多湿空気の水分を除去して乾燥空気を得るためのものである。図1に示すように、乾燥空気供給装置11は、クリーンルームCR(図1の2点鎖線に示す)内に設置されている。乾燥空気供給装置11には、製造工場に設けられた空気圧源12から水分を含んだ高圧の多湿空気が供給されるようになっている。よって、空気圧源12が乾燥空気供給装置11の多湿空気の供給源となっている。
【0010】
この空気圧源12からの乾燥空気の供給方向下流側(以下、単に下流側とする)には、管路31を介してエアフィルタ13が接続されるとともに、このエアフィルタ13には第1排出管27が接続されている。第1排出管27には逆止弁27aが設けられている。エアフィルタ13の下流側には、管路32を介してオイルミストフィルタ14が接続されている。このオイルミストフィルタ14には第2排出管28が接続されている。第2排出管28には逆止弁28aが設けられている。第1排出管27と第2排出管28は、集中排出管29に接続されるとともに、集中排出管29はクリーンルームCR外へ引き出されている。
【0011】
また、オイルミストフィルタ14の下流側には、管路33を介して予備除湿用の高分子膜式ドライヤとしての予備除湿用高分子膜式ドライヤ15が接続されるとともに、この予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の下流側には管路34を介して本除湿用の高分子膜式ドライヤとしての本除湿用高分子膜式ドライヤ16が接続されている。予備除湿用高分子膜式ドライヤ15と本除湿用高分子膜式ドライヤ16は、管路34を介して直列に接続されている。
【0012】
ここで、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16について詳細に説明する。なお、両高分子膜式ドライヤ15,16は構成が同じであるため、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15を具体例として挙げて詳細に説明し、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の詳細な説明は省略する。
【0013】
図2(a)に示すように、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15における円筒状のハウジングH内には遮蔽円筒18が収容されるとともに、ハウジングHの内周面と遮蔽円筒18の外周面との間に形成される円環状の収容空間19には、ポリイミド製等の高分子浸透膜からなる多数本の多孔質中空糸膜17が円環状に束ねられて収容されている。また、収容空間19内は、多孔質中空糸膜17内の高圧領域と多孔質中空糸膜17外の低圧領域とに隔てられている。
【0014】
ハウジングHの長さ方向の一端(図2(a)では上端)には、収容空間19に連通する流入口15aが形成されるとともに、ハウジングHの径方向において流入口15aと対向する位置には流出口15bが形成されている。そして、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の流入口15aには管路33を介してオイルミストフィルタ14が接続され、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15内に多湿空気が流入されるようになっている。また、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の流出口15bには管路34を介して本除湿用高分子膜式ドライヤ16の流入口が接続され、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15から流出した除湿空気が本除湿用高分子膜式ドライヤ16内に流入するようになっている。なお、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の流出口には管路35を介して第1の減圧弁23が接続され、本除湿用高分子膜式ドライヤ16内で除湿された乾燥空気が第1の減圧弁23へ流出するようになっている。
【0015】
また、ハウジングHの長さ方向における中央部には、多湿空気を除湿した除湿空気の一部を予備除湿用高分子膜式ドライヤ15外へ排出する排気口15dが形成されている。そして、図1に示すように、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の排気口15dには第1排気管20の一端が接続されている。なお、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の排出口には第2排気管21の一端が接続されている。さらに、第1排気管20と第2排気管21の他端それぞれは、集中排気管22の一端に接続されるとともに、集中排気管22の他端はクリーンルームCR外へ引き出されている。
【0016】
図2(a)に示すように、ハウジングH内において、遮蔽円筒18の一端(図2(a)では上端)は流出口15bに連通するとともに、遮蔽円筒18の他端(図2(a)では下端)は、収容空間19に連通している。また、遮蔽円筒18にはパージオリフィス18aが形成されている。ハウジングHの端部(下端部)には、ハウジングH内外を連通させるとともに、多孔質中空糸膜17を再生させるための乾燥空気(パージエア)を導入する導入口Haが形成されている。
【0017】
図1に示すように、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の流出口に接続された管路35には、パージ用管路36が接続されるとともに、パージ用管路36には第1分岐管路37及び第2分岐管路38が接続されている。第1分岐管路37は予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の導入口Haに接続されるとともに、第2分岐管路38は本除湿用高分子膜式ドライヤ16の導入口に接続されている。そして、複数(2つ)の高分子膜式ドライヤ15,16が直列に接続された状態において、2つの高分子膜式ドライヤ15,16のうちの最下流に位置する本除湿用高分子膜式ドライヤ16から得られる乾燥空気が、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16へ直接個別に供給(導入)されるようになっている。
【0018】
第1の減圧弁23の下流側には、管路39を介して第2の減圧弁24が接続されている。第1の減圧弁23と第2の減圧弁24とは管路39を介して直列に接続されている。第2の減圧弁24の下流側には、管路40を介してヒータ25が接続されている。ヒータ25の下流側には管路41を介して消音フィルタ26が接続されている。そして、空気圧源12に対し、エアフィルタ13、オイルミストフィルタ14、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15、本除湿用高分子膜式ドライヤ16、第1の減圧弁23、第2の減圧弁24、ヒータ25、及び消音フィルタ26が管路31〜35,39〜41によって直列に接続されて乾燥空気供給装置11が構成されている。
【0019】
なお、エアフィルタ13、オイルミストフィルタ14、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15、本除湿用高分子膜式ドライヤ16、第1の減圧弁23、第2の減圧弁24、ヒータ25、及び消音フィルタ26と各管路31〜35,39〜41との接続それぞれは、図2(b)に示すように、雄ねじNと雌ねじMの螺合等によって行われる。例えば、エアフィルタ13と管路32との螺合部において、管路32の雄ねじNの外周面には、シールテープTが巻回されている。そして、管路32の雄ねじNと、エアフィルタ13の雌ねじMが螺合された状態において、雌ねじMの端面と雄ねじNの外周面とにはシール剤Sが塗布されている。
【0020】
さて、上記構成の乾燥空気供給装置11によれば、空気圧源12から供給された多湿空気は、エアフィルタ13を通過する際に塵芥等が除去される。次に、オイルミストフィルタ14を多湿空気が通過する際に、オイルミストフィルタ14により多湿空気に含まれるオイルが除去される。次に、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15内における多孔質中空糸膜17の高圧領域に高圧の多湿空気が供給されると、図2(a)に示すように、多湿空気が収容空間19内における多孔質中空糸膜17内を通過する間に高分子浸透膜の浸透分離作用を受ける。すると、多孔質中空糸膜17内を膜面に沿って通過する多湿空気内の水分は浸透分離作用により多孔質中空糸膜17内から低圧領域内へ浸透分離される。
【0021】
そして、多孔質中空糸膜17を通った多湿空気は除湿された除湿空気となり、この除湿空気の大部分は、収容空間19内から遮蔽円筒18内を通過して流出口15bから管路34へ流出する。また、除湿空気の一部は、遮蔽円筒18のパージオリフィス18aを通過して低圧領域へ排出され、第1排気管20から集中排気管22へ排出される。続けて、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の流出口15bから流出した除湿空気は、本除湿用高分子膜式ドライヤ16内に流入し、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の多孔質中空糸膜の高圧領域に供給される。すると、除湿空気が多孔質中空糸膜内を通過する間に高分子浸透膜の浸透分離作用を受けるとともに、多孔質中空糸膜内を膜面に沿って通過する除湿空気内の水分は浸透分離作用により多孔質中空糸膜内から低圧領域内へ浸透分離される。
【0022】
そして、多孔質中空糸膜を通った多湿空気は、除湿された乾燥空気となり、低露点(例えば、マイナス90°C以下の超低露点)となっている。この乾燥空気の大部分は遮蔽円筒内を通過して流出口から第1の減圧弁23へ流出するとともに、一部が遮蔽円筒からパージオリフィスを通過して低圧領域へ排出され、第2排気管21から集中排気管22へ排出される。そして、第1排気管20と第2排気管21に排出された空気は、集中排気管22に纏められ、集中排気管22からクリーンルームCR外へ排出される。
【0023】
本除湿用高分子膜式ドライヤ16から流出した乾燥空気は、第1の減圧弁23及び第2の減圧弁24を連続して通過することにより、徐々に減圧され、乾燥空気による空気音が消音される。さらに、乾燥空気がヒータ25を通過する際に、ヒータ25によって乾燥空気が所定の温度にまで加熱される。なお、ヒータ25によって加熱される乾燥空気の温度(所定の温度)とは、樹脂の乾燥工程に用いられるのに適した温度であり、乾燥対象に応じて適宜変更される。その後、消音フィルタ26により乾燥空気による空気音が消音される。そして、消音フィルタ26を通過した乾燥空気が、樹脂の乾燥工程で用いられる。
【0024】
両高分子膜式ドライヤ15,16の多孔質中空糸膜17の再生は、本除湿用高分子膜式ドライヤ16から流出した低露点の乾燥空気によって行われる。まず、本除湿用高分子膜式ドライヤ16によって除湿された低露点の乾燥空気が、パージ用管路36から第1及び第2分岐管路37,38及び導入口Haを通過して遮蔽円筒18内に導入される。すると、乾燥空気がパージオリフィス18aを通過して多孔質中空糸膜17内に供給され、水分が浸透した多孔質中空糸膜17から水分が除去されて多孔質中空糸膜17が再生される。
【0025】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)乾燥空気供給装置11は予備除湿用高分子膜式ドライヤ15と本除湿用高分子膜式ドライヤ16を直列に接続して備えている。そして、空気圧源12から供給された多湿空気は、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15によって予備除湿された後、本除湿用高分子膜式ドライヤ16によって再度除湿される。このため、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15により空気圧源12等に依存した多湿空気の圧力変動や流量変動、外気温等に依存した温度変動等の負荷変動を吸収して、一定の状態の除湿空気を本除湿用高分子膜式ドライヤ16に供給することができる。そして、本除湿用高分子膜式ドライヤ16により除湿空気を除湿することで、より一層除湿することができるとともに、負荷変動に左右されない安定した低露点の乾燥空気を得ることができる。その結果として、低露点の乾燥空気が安定供給されるため、樹脂の乾燥速度を上げることができる。
【0026】
(2)乾燥空気供給装置11によれば、空気圧源12より高圧の多湿空気を乾燥空気供給装置11に送り込み、多湿空気を予備除湿用高分子膜式ドライヤ15及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16を通過させるだけで乾燥空気を得ることができる。よって、背景技術のように、吸湿材を備えた除湿ロータを回転させるための駆動用モータ、除湿させた乾燥空気を送り出すための処理ファン、排気用空気を排出するための再生ファン、多湿空気を送り出すポンプ等の可動部を一切必要としない。このため、乾燥空気供給装置11を小型化し、かつ簡素な構成にすることができるとともに可動部を減らして故障の発生頻度を減らすことができ、さらに、可動部を可動させるための電力も必要としないため消費電力量を抑えることができる。
【0027】
(3)上述した実施形態の効果(2)のように、乾燥空気供給装置11を小型化することができるため、乾燥空気供給装置11をクリーンルームCR内に設置することが可能となる。よって、例えば、乾燥空気供給装置を地下に埋設する場合に比して、乾燥空気供給装置11のクリーンルームCR内への設置を容易とし、さらに、地下からクリーンルームCR内へ乾燥空気を供給するための配管等を必要としないため、乾燥空気供給装置11の構成を簡素にすることができる。
【0028】
(4)本除湿用高分子膜式ドライヤ16から流出した乾燥空気は、パージ用管路36から第1分岐管路37及び第2分岐管路38を介して予備除湿用高分子膜式ドライヤ15及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16内に導入(供給)される。そして、各高分子膜式ドライヤ15,16内では、乾燥空気によって多孔質中空糸膜17が再生される。本除湿用高分子膜式ドライヤ16から流出する乾燥空気は、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15から流出する除湿空気より低露点であるため、多孔質中空糸膜17を効率良く再生することができる。よって、乾燥空気供給装置11は、背景技術のように多湿空気を除湿するための材料(吸湿材)の再生のために可動部(除湿ロータ回転用の駆動用モータ)を必要とせず、乾燥空気供給装置11を小型化することができる。
【0029】
(5)本除湿用高分子膜式ドライヤ16より流出した乾燥空気は、第1の減圧弁23及び第2の減圧弁24を通過することによって段階をおって減圧される。このため、乾燥空気を樹脂の乾燥工程で用いる際に乾燥空気供給装置11から排出される際の音量を低減させることができる。さらに、第2の減圧弁24で減圧された乾燥空気は、消音フィルタ26を通過するため、乾燥空気の騒音を確実に抑えることができる。
【0030】
(6)本除湿用高分子膜式ドライヤ16から流出した乾燥空気は、ヒータ25によって加熱することができる。よって、樹脂の乾燥工程の際、乾燥に適した温度にまで加熱された乾燥空気を樹脂に向けて供給することができ、樹脂の乾燥工程の作業効率を向上させることができる。
【0031】
(7)エアフィルタ13、オイルミストフィルタ14、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15、本除湿用高分子膜式ドライヤ16、第1の減圧弁23、第2の減圧弁24、ヒータ25、及び消音フィルタ26と各管路31,32,33,34,35,39,40,41との接続はそれぞれ雄ねじNと雌ねじMの螺合によって行われる。そして、雄ねじNにはシールテープTが巻回されるとともに、雄ねじNと雌ねじMの螺合部にはシール剤Sが塗布されている。このため、シールテープTとシール剤Sによって、雄ねじNと雌ねじMの螺合部からの空気漏れを無くすことができる。
【0032】
(8)予備除湿用高分子膜式ドライヤ15から排出される除湿空気の一部は第1排気管20を介して集中排気管22からクリーンルームCR外へ排出され、本除湿用高分子膜式ドライヤ16から排出される乾燥空気の一部は第2排気管21を介して集中排気管22からクリーンルームCR外へ排出される。したがって、各高分子膜式ドライヤ15,16からの排気がクリーンルームCR内に排出されることを無くしてクリーンルームCRを清浄な状態に維持することができる。
【0033】
(9)第1排気管20と第2排気管21とを集中排気管22に接続し、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16からの排気を纏めて行うようにした。よって、第1排気管20及び第2排気管21それぞれをクリーンルームCR外まで延長する場合に比して、配管使用量を抑えて乾燥空気供給装置11の製作コストを抑えることができる。
【0034】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1排気管20及び第2排気管21それぞれをクリーンルームCR外へ引き出してもよく、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15及び本除湿用高分子膜式ドライヤ16からの排気を集中排気管22に纏めなくてもよい。
【0035】
○ ヒータ25は無くてもよい。
○ 高分子膜式ドライヤは、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の下流側にさらに設けてもよい。又は、高分子膜式ドライヤは、予備除湿用高分子膜式ドライヤ15の下流側にさらに設けてもよい。
【0036】
○ 第2の減圧弁24の下流側に、さらに減圧弁を設けてもよい。又は、本除湿用高分子膜式ドライヤ16の下流側に設けられる減圧弁の数を一つだけとしてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0037】
(1)前記減圧弁は複数設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の乾燥空気供給装置。
(2)前記ヒータより下流側に消音フィルタを設けた請求項2に記載の乾燥空気供給装置。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態の乾燥空気供給装置を示す図。
【図2】(a)は予備除湿用高分子膜式ドライヤを模式的に示す図、(b)は雄ねじと雌ねじの螺合部を示す断面図。
【符号の説明】
【0039】
CR…クリーンルーム、11…乾燥空気供給装置、12…供給源としての空気圧源、15…予備除湿用の高分子膜式ドライヤとしての予備除湿用高分子膜式ドライヤ、16…本除湿用の高分子膜式ドライヤとしての本除湿用高分子膜式ドライヤ、20…第1排気管、21…第2排気管、22…集中排気管、23…第1の減圧弁、24…第2の減圧弁、25…ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含んだ多湿空気の水分を除去して乾燥空気を得るための乾燥空気供給装置であって、
前記多湿空気の供給源から多湿空気が供給される予備除湿用の高分子膜式ドライヤ、及び本除湿用の高分子膜式ドライヤを直列に接続して備えるとともに、前記本除湿用の高分子膜式ドライヤの下流側に該本除湿用の高分子膜式ドライヤからの乾燥空気を減圧する減圧弁を備え、
さらに、最下流に位置する前記高分子膜式ドライヤから得られる乾燥空気を全ての高分子膜式ドライヤへ直接個別に供給して高分子膜を再生させるようにした乾燥空気供給装置。
【請求項2】
前記乾燥空気を加熱するヒータを、前記減圧弁の下流側に備える請求項1に記載の乾燥空気供給装置。
【請求項3】
前記乾燥空気供給装置をクリーンルーム内に設置し、各高分子膜式ドライヤそれぞれに排気管を接続するとともに全ての排気管を集中させた集中排気管を前記クリーンルーム外へ引き出して集中排気する請求項1又は請求項2に記載の乾燥空気供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−268958(P2009−268958A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120373(P2008−120373)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】