説明

乾燥食品

【課題】本発明は、喫食時熱湯を注ぐことにより簡単に調理ができる乾燥食品例えば、汁もの「味噌汁、みぞれ汁」、スープ「ポタージュ、ふかひれスープ、かにたまスープ、シチュウ、ポテトスープ、オニオンスープ、クラムチャウダー」、惣菜「八宝菜、麻婆豆腐」、等あるいは、丼物の素「天津飯の素、中華丼の素」その他としてあんかけそばの素などに関する。
【解決手段】本発明は、乾燥具材及び/または増粘剤等と凍結乾燥により乾燥した可溶性基材とを一緒に包装した乾燥食品において、前記可溶性基材2を所定形状の器に形成すると共に、この可溶性基材2の器に乾燥具材50及び/又は増粘剤52等を所定量装填し、この可溶性基材2と乾燥具材を一つの袋で包装したことを特徴とする乾燥食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫食時熱湯を注ぐことにより簡単に調理ができる乾燥食品例えば、汁もの「味噌汁、みぞれ汁」、スープ「ポタージュ、ふかひれスープ、かにたまスープ、シチュウ、ポテトスープ、オニオンスープ、クラムチャウダー」、惣菜「八宝菜、麻婆豆腐の素」、等あるいは、丼物の素「天津飯の素、中華丼の素」その他としてあんかけそばの素などに関する。
【背景技術】
【0002】
喫食時に熱湯を注ぐことにより汁もの、スープあるいは惣菜を作るいわゆる即席の乾燥食品は、味噌、スープ、麻婆豆腐の素などを乾燥した可溶性基材と、うきみ、具等を乾燥した乾燥具材及びとろみ付与剤とよりなり、この可溶性乾燥基材と乾燥具材に熱湯を注ぐことで、汁物、スープ、惣菜、丼の素、あんかけそばの素などを得るものである。この乾燥食品は、保存性に優れ軽量であることから、携帯、保存食などにも利用される。
【0003】
この様に利便性の高い乾燥食品は、大きく分類して次の3種類がある。(1)、熱湯を注いだ時にスープになる可溶性基材をスプレー乾燥して粒状にし、この粒状の可溶性基材と乾燥具材を一緒に包装した形態のもの。(2)、前記可溶性基材と具材を一体にして凍結乾燥しブロック状に形成して包装したもの(特許文献1。)(3)、可溶性基材を生の状態で包装「例えば調味した味噌を袋詰にした状態」し、これとは別に、乾燥具材を袋詰にして双方の袋を一緒にして包装したもの等がある。
【0004】
上記した乾燥食品のうち、(1)、熱湯を注いだ時にスープになる可溶性基材を乾燥して粒状にし、この粒状の可溶性基材と乾燥具材を一緒に包装した形態のものは、可溶性基材を粒状にするために、多くの場合スプレー乾燥を用いる。このスプレー乾燥は、基材の調合から粒状になるまでに長時間加熱された状態に置かれるので基材の風味を逃し易い。しかし、上記したスプレー乾燥で粒状にした可溶性基材を用いる乾燥食品は、多少風味が損なわれるもののその生産コストが凍結乾燥に比べて安く且つ、生産時に基材と具材とを一緒に調理しないので、基材から具材への味移りと色移りを防止することが可能であり、さらに、乾燥基材と乾燥具材とを夫々計量して一緒に包装できるので、商品の品質(包装した乾燥具材の数等が一定している)を良好に保ち手軽なことがその利点となる。
【0005】
上記した乾燥食品のうち、(2)、前記可溶性基材と具材を一体にして凍結乾燥しブロック状に形成して包装した形態のもの(特許文献1)は、基材と具材とを混合し一緒に凍結乾燥によって作るものである。この製造方法は、調理した基材と具材を予備凍結した後凍結乾燥を行う。このため、基材と具材に必要以上の熱を加えることなく凍結状態のままで固形化するので、基材の風味を損ないにくい利点を有する。しかし、具材が軽いうきみなどの場合は、基材と具材の調理時に基材の中で具材が一方に偏るなどの問題があり、商品製造に当たっていずれの組合せでもよいという汎用性にかける欠点がある。さらに、凍結乾燥において、大きなブロック状のものを凍結乾燥する場合、乾燥がその表面から順次進むため製造工程に長時間を必要とする。さらに、凍結乾燥装置は、真空状態の部屋が必要であり装置が大型になりコストが嵩むものである。
【0006】
また、凍結乾燥により、基材と具材を一体的にした乾燥食品は、その製造時に基材と具材を一緒に調理した後、小分けの型枠トレーに充填し予備凍結した後に凍結乾燥するので、基材と具材を一緒に調理するとき基材の味が具材に移るいわゆる味移りが生じる。また色の薄い具材例えば麩などは、調理中に基材の色が移るいわゆる色移りがある。色移り、味移りは出来上がったスープの味に影響が無くても商品としての外見が悪く食欲を殺ぐので商品価値が下がるものである。このため、基材と具材を一体にした乾燥食品の製造に当たっては、この様な状況にならない基材と具材の組合せに制限される。
【0007】
さらに、可溶性基材と乾燥具材を一体的にした乾燥食品は、全体が立方体に形成してあり、喫食時に熱湯を注いだ時その表面からほぐれるので、乾燥基材と乾燥具材と戻り速度を合わせることが難しくなる。このため、乾燥基材と乾燥具材の組合せを、熱湯を注いで乾燥基材と乾燥具材がほぐれたとき双方の風味が一致するように選定する必要がある。
【0008】
また、上記した乾燥食品のうち、(3)、可溶性基材を生の状態で包装「例えば調味した味噌を袋詰にした状態」し、この袋詰した可溶性基材とは別に、乾燥具材を袋詰にして双方の袋を一緒にして包装したものは、可溶性基材を生のままで利用する。そのため、乾燥工程を必要としないのでコストが削減できる。しかし、可溶性基材が生であるから基材と乾燥具材を一緒にすると基材の水分が乾燥具材に移るので、基材と乾燥具材を小さい包装分け、いわゆる分包して、その分包を所定量ずつセットにして包装する必要がある。
【0009】
この様な商品形態である乾燥食品は、喫食時に全体の包装と夫々の分包をあけて器に移した後給湯する必要があるので、喫食に際して包装をあけるのに手間がかかる。また分包を開くときに、乾燥具材が飛び散ったりする。従って乾燥食品に求められる簡便性が阻害される欠点がある。
【0010】
上記した分包による喫食時の煩雑さを避けるために特許文献2に示すように、乾燥具材を溶解性のカプセルに封入した乾燥食品あるいは、特許文献3に示すように、基材と乾燥具材との間に可食性ゲル層を設けた乾燥食品がある。これらは喫食時に給湯してカプセル、ゲル層を溶かすので分包開封の煩わしさを避けるようにしたものである。
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に示される乾燥食品は、出来上がった食品の中にカプセルあるいはゲル層が充分に溶解せず小さい塊(だま)になって残り喫食に際して違和感が残るなど食品として違和感が残る等の問題がある。
【0011】
【特許文献1】特公昭61−26344
【特許文献2】特開平7−327646
【特許文献3】実用新案登録第3015231号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、可溶性基材を凍結乾燥することでその風味を保ち、更に乾燥具材との自由な組合せを選択可能とし、かつ生産に当たってもその品質の均一性を保ち喫食に当たっても利便性を損なうことをなくした乾燥食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
本発明は乾燥具材と凍結乾燥により乾燥した可溶性基材とを一緒に包装した乾燥食品において、前記可溶性基材を所定形状の器に形成すると共に、この可溶性基材の器に前記乾燥具材を所定量装填し、この可溶性基材と乾燥具材とを一つの袋で包装したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、乾燥具材と増粘剤等と凍結乾燥により乾燥した可溶性基材とを一緒に包装した乾燥食品において、前記可溶性基材を所定形状の器に形成すると共に、この可溶性基材の器に乾燥具材、増粘剤等を所定量装填し、この可溶性基材と乾燥具材を一つの袋で包装したことを特徴とする乾燥食品である。
【0015】
上記した本発明は、凍結乾燥により乾燥した可溶性基材を所定形状の容器に形成すること及びこの可溶性基材の容器に乾燥具材、増粘剤を装填する構成により、製造時において可溶性基材と乾燥具材及び増粘剤の組合せを自由に選択することが可能である。従って、乾燥具材、増粘剤の組合せを多数用意する必要性が無く生産する乾燥具材及び増粘剤の在庫調整が極めて容易になる効果を有する。
【0016】
従って、乾燥具材及び増粘剤と可溶性基材を夫々生産しておき、市場の動向に対応してその組合せを選定するのみでよいから、生産設備を変更することなく異種類の乾燥食品を提供することができる利点を有する。また、乾燥具材及び増粘剤の組合せを直接目視により装填できるため、乾燥具材及び増粘剤の数量のばらつきや偏りを抑えることが可能であるので、乾燥食品の品質を均質に保つことができる効果を有する。
【0017】
また、可溶性基材に乾燥具材及び増粘剤を装填した状態で一つの袋に包装されているので、喫食時に、複数の分包をあける作業が無く利便性が確保されている。更に、可溶性基材に乾燥具材及び増粘剤を装填してあるので、可溶性基材から乾燥具材への味移り、色移り及び基材と具材との混合時に生ずる具材の損傷が皆無である、このため、乾燥食品としての本来の食感を保つことができる。すなわち、本発明の乾燥食品に給湯した場合、可溶性基材と乾燥具材及び増粘剤が個別に復元するので、乾燥具材は乾燥具材の風味、食感を保つ。さらに、復元したときの形状が欠けたりせず元の状態にすることができる。このため、出来上がった食品が極自然になり、喫食時の食感の一つである視認性「見た目の美しさ」を良好に保ち、また増粘剤の量を加減することで喫食者の好みに応じてとろみを加減する等喫食者の嗜好に対応する効果を有する。
【0018】
さらに、可溶性基材に乾燥具材及び増粘剤を装填してあるので、喫食者は、喫食時にどの様なものを作っているかが視認できる。さらに、喫食者の好みに応じて乾燥具材の一部を捨てる(例えば、味噌汁においてねぎが嫌いな喫食者は、乾燥具材からねぎを省く)を選択して喫食者の嗜好に対応できる。さらに、喫食時に、乾燥具材及び増粘剤と可溶性基材との復元時間に差をつけ喫食者の嗜好に対応できる。すなわち、乾燥具材のみに給湯して乾燥具材が充分復元して、具材の風味あるいは形状等が自然になった後、可溶性基材及び増粘剤を投入して味及びとろみをつける等、喫食者の嗜好にあった調理が可能となる効果を有する。
【0019】
さらに、乾燥食品の包装中には、可溶性基材と乾燥具材あるいは増粘剤しか存在しないので、喫食時の給湯により余分な成分(ゲル層、カプセル)などによる「だま」の発生の余地が無いので食感をより自然に近い状態にする効果がある。
【0020】
また、本発明は、前記可溶性基材で形成する器の厚みをほぼ同一に形成したことを特徴とする乾燥食品である。
【0021】
可溶性基材で構成する器の厚みをほぼ同一構成することにより、給湯時に可溶性基材の溶ける速度が全体として一様にすることができるので、喫食時の調理時間を短縮して即席性を確保する効果を有する。さらに、可溶性基材の器の厚みを加減して乾燥具材の復元時間とのタイミングを合わせることで、乾燥具材の風味、食感を損なうことのない高品質の乾燥食品を得ることができる。
【0022】
また、本発明は、前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた中空を有しその外形を箱型に形成されたことを特徴とする。
【0023】
可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた中空を有しその外形を箱型に形成されるので、その底面から延出する壁面と底面の厚みをほぼ均等にしても、容器としての強度を保ちその保形性が確保できる。さらに、容器の厚みを全体に一様にすることが可能であるから可溶性基材の即席性(給湯により復元する早さを速くする。)ことが可能であるから、商品としての乾燥食品の品質を高める効果を有する。
【0024】
また、本発明は、前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた前記中空をほぼ直方体に構成したことを特徴とする。
【0025】
前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた前記中空をほぼ直方体に構成することで、その底面から延出する壁面と底面により、また底面とその底面から延出する壁面の厚みをほぼ均等にしても、容器としての強度を保ちその保形性が確保できる。さらに、容器の厚みを全体に一様にすることが可能であるから可溶性基材の溶解性(給湯により復元する早さ)を速くする。ことが可能であるから、商品としての乾燥食品の品質を高める効果を有する。また、箱型に形成することで、ピロー包装等の包装機に適合しやすくなる。また、包装し終わった製品を出荷のための箱詰めにおいても隙間の発生を少なくすることができるので搬送が効率的である効果を有する。
【0026】
また、本発明は、前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた中空の箱体であり、その外形が多角形、円筒形、あるいは球形などの各種形状をしたことを特徴とする。
【0027】
前記可溶性基材の外形を、各種の形状にする事で、乾燥食品の独自性(市場での斬新性、奇抜性などにより他社商品との識別力など)を高め顧客へのアピール力を高くすることができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下本発明の第一実施例について説明する。図1は、乾燥食品を味噌汁とした実施した場合の横断面図である。
図1において、1は、乾燥食品としての味噌汁の全体を現しており、2は、味噌を調整(水、調味料を混合して調整)して凍結乾燥してなる可溶性基材であり、この可溶性基材2内に味噌汁用の具材である葱、麩、豆腐、わかめ、油揚、納豆、えのきなどを乾燥した乾燥具材50を装填した後、包装フィルム4で包装した状態の乾燥食品を示す。
【0029】
前記可溶性基材2は、図2に示すように味噌を調整(水、調味料を混合して調整)して凍結乾燥して箱型に形成してある。この箱型に形成された可溶性基材2の形状は、底板19の四方に側板20を上方に延出させ長方形をしている。この側板20は、図2に示すようにその外壁23を底板19にほぼ直角にすると共に、その上端21より底板19に接続する内壁24が下端22に向かって狭くなる様に、内壁24が底板19から上端21に向かって傾斜する構造である
【0030】
前記4枚の側板20は、直交する一方を他方より長くしてあり全体が長方形を形成する様に構成してある。さらに、底板19が形成する底面25の面積は、上端21が形成する開放面26より狭くなる構成にして、底板19と側板20が構成する空間を台形の凹部27に形成する。また、底板19と側板20とが形成する可溶性基材2の外形は、ほぼ直方体となっている。さらに、4枚の側板20と底板19の厚みをそのいずれかが極端に肉厚にならないようほぼ同一に構成してある。尚、具体的に図示しないが、可溶性基材2の外形は、この様な形状に限定されるものでなく、三角形、五角形等の多角形、あるいは、円筒形及びそのほか器の形状等、乾燥食品のイメージを具現化する適宜な形状にすることができる。
【0031】
この様な構成に形成された可溶性基材2の目的は、可溶性基材2を比較的薄くし、且つ、その厚みをほぼ均等に形成することで、可溶性基材2が熱湯に接触して溶解するとき全体が均等に溶解する様にして、即席性を良くすることにある。及び、ほぼ直方体など各種の形状に形成しその内部に台形の凹部27を形成することで、乾燥具材50を装填できる空間にして、装填する乾燥具材50の種類を必要に応じて変更し市場動向に合わせた製品が容易に製造することができる。また、開放面26より底面25を狭くすることで、可溶性基材2の製造時に当たって、凍結乾燥した可溶性基材2を型枠トレーから外す「離型」を容易にして生産性を上げることにも留意してある。
【0032】
可溶性基材2の形状は、上述したように多くの目的を達成するために構成してあるが、その構成の基本は、可溶性基材2が全体的にほぼ同一の厚みに形成できることにより、即席性を向上させると共に、空間を有する立体構造にする事で、包装時に余分な素材(包装用トレー、分包など)を必要としない構成が基本形状である。従って、可溶性基材2をこの様な構造にする事で、製造時の包装及び搬送時に作用する外力に対応できるよう各種の補強材を備えることができる。
【0033】
なお、この実施例では、可溶性基材2の形状をほぼ直方体にしたが、その形状は、乾燥食品としての商品により例えば、多角形(三角形、五角形等)、円形、菱形、楕円形など各種の形状が考えられる。また、全体を長方形に構成した可溶性基材2は、台形の凹部27内を容器として利用する目的で空間にしたが、可溶性基材2を包装するときの強度が弱くなると破損し易いので、例えば側板20と同等の厚みの補強材を十文字に形成するといった構造にすることも考えられる。この場合、4箇所の空間が構成されるので、乾燥具材50を種類別に装填することができる。この様に、乾燥具材50を種類別に装填すると、乾燥具材50装填時にその分量が明確に把握でき、製品の品質が向上するという効果を得る。
【実施例1】
【0034】
味噌汁1の工程
以下図3により図1、図2に示した形態の乾燥食品を味噌汁にした第1実施例の製造工程について説明する。図3において、混合工程33は、味噌30に水31及び調味料32(かつおだし、昆布だしなどの風味調味料)を加えて、混合して味噌汁の味を調えると共に凍結乾燥に必要な水分を含ませるように混合して均質化する。この均質化された混合物は、味噌汁の可溶性基材2の材料となる。
【0035】
充填工程34は、前記混合工程33で均質化された味噌汁の可溶性基材2の材料を図1に示す形状に形成するため型枠トレーに充填する。この型枠トレーは図示していないが、図1に示す可溶性基材2の形状が空間となる型を複数個形成したトレーである。この型枠トレーは、熱の伝達の好い素材で構成してあり、予備凍結工程35および凍結乾燥工程36において、その加工時間を短くするものを使用する。
【0036】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結された味噌汁の可溶性基材2の材料は、その材料内で水分が氷結した状態になる。
【0037】
凍結乾燥装置で構成される凍結乾燥工程36は、前記予備凍結工程35で凍結した複数枚の型枠トレー内の味噌汁の可溶性基材2の材料を凍結乾燥する。この凍結乾燥工程36の凍結乾燥装置は、真空装置によって高度に真空状態に保たれ、且つ可溶性基材2の材料を加熱する装置を備えた真空加熱室とこの真空加熱室の出口側にコールドトラップを設けた構成である。前記可溶性基材2の材料が充填された複数枚の型枠トレーを真空加熱室に搬入して真空状態下で加熱される、すると、型枠トレー内の可溶性基材2の材料は、昇華によりその表面から順次乾燥する。この凍結乾燥時において、昇華された水分は、真空加熱室の外部でコールドトラップにより冷却され水分として捕集して外部に廃棄される。
【0038】
凍結乾燥工程36は、味噌汁の可溶性基材2の材料を凍結乾燥して味噌汁の可溶性基材2を製造する工程である。この凍結乾燥時においても、味噌汁の可溶性基材2の材料が図1に示したように全体がほぼ均等な厚みであるため、真空加熱室の熱が均等に伝達される。このため味噌汁の可溶性基材2の材料の凍結乾燥による昇華が全体に均等に進行するので、凍結乾燥時間の短縮が可能となる。すなわち、厚みの変化で一部が乾燥し他の部分が乾燥しないなどの不具合が発生しないので、凍結乾燥工程36の処理時間を早くすることができる。
【0039】
取り出し工程37は、前記凍結乾燥工程36で凍結乾燥した味噌汁の可溶性基材2を取り出す工程である。この取り出し工程37においても、味噌汁の可溶性基材2が台形の凹部27を有する箱体であるため、味噌汁の可溶性基材2の内部から型枠トレーを外し易く、さらに味噌汁の可溶性基材2を取り外す時の破損も発生しにくい。したがって、この取り出し工程37の処理時間を短縮できると共に歩留まりを向上させることができる。
【0040】
装填工程38は、前記取り出し工程37の工程で取り出した味噌汁の可溶性基材2の台形の凹部27に乾燥具材50を装填する工程である。この乾燥具材50は、味噌汁に必要な具材を予め乾燥(凍結乾燥、熱風乾燥等で乾燥)した具材を夫々個別にストックしておき、そのストックした乾燥具材50を装填する。例えば一つの味噌汁の可溶性基材2に装填する種別を、葱を10個、麩を5個、乾燥わかめを20個、乾燥油揚7個の様に順次装填する。乾燥具材50をこの様に装填するので、乾燥具材50の個数が正確に視認でき、乾燥食品の品質を均質に保つことができる。さらに、乾燥具材50の装填を上記の様に個々に装填することができるので、客の好みである市場ニーズあるいは市場に存在する将来の形態であるシーズを先取して対応し商品に形態を変化させることができる。このため、市場の変化への対応が早くなる。さらに、商品に形態を変化させても生産工程及び設備を変化させることを必要としない効果を有する。
【0041】
包装工程39は、包装装置を備えてあり、前記装填工程38で味噌汁の可溶性基材2の必要な乾燥具材50が装填された乾燥食品を包装する工程である。この包装工程39の包装装置を横ピロー包装装置にすると、味噌汁の可溶性基材2はそのまま包装用トレーとして機能するので、包装のための余分な基材を省ける。すなわち、横ピロー包装装置は、幅広の包装フィルムを縦長に二つ折りにし、この二つ折りした包装フィルムの中に包装工程39で乾燥具材50が装填された可溶性基材2を挿入して、包装フィルムの縦方向の合わせ面を合掌シールする。その後、乾燥具材50が装填された可溶性基材2の両端をシールする事で包装が完了する。この包装工程39において、可溶性基材2の強度が弱いと可溶性基材2が破損して商品価値が損なわれる可能性がある。しかし、可溶性基材2の構成は可溶性基材2を構成する各部分とほぼ同等な厚みの補強材を台形の凹部27内に設けることで、包装工程39で必要とする強度に保つことができるので、包装工程39での破損を減少させることができる。尚、包装工程39の包装装置を横ピロー包装装置として説明したが。例えば他の包装装置として、シュリンクパック包装装置、あるいは縦ピロー包装装置を利用してもよい。但し、これらの包装装置を利用する場合は、その包装装置の特性(例えば包装力が強い、あるいは、包装方向が横ピロー包装機と相違する等)に合わせて可溶性基材2形状を検討する必要性がある。
【0042】
この包装工程39で包装して完成した乾燥食品は、その包装フィルム4の全部あるいは一部を透明にすることで、製品の可溶性基材2に装填された乾燥具材50がどの様なものであるかを消費者が視認できるので、消費者が安心して購入できる効果がある。さらに装填工程39を終えた乾燥食品も梱包前に全体が視認できるので、高品質に保つことができる。
【0043】
以上の様にして、包装工程39で個々の包装が終了すると梱包工程40に移り、個々に包装した乾燥食品を複数個まとめて梱包し、出荷工程41により客先に出荷される。この2つの工程で作用する外力で可溶性基材2が破損する可能性がある場合は、前述と同様に可溶性基材2の形状を検討し補強材を設けるあるいは、可溶性基材2の形状自体を検討するなどして強度を確保できる。しかし、この可溶性基材2の形状の検討にあたっては、可溶性基材2全体をほぼ同一の厚みで構成することが肝要である。
【実施例2】
【0044】
味噌汁2の工程
次に図1に示した形態の乾燥食品を味噌汁とした第2実施例の製造工程を示す図4に付いて説明する。尚第1実施例と第2実施例は、その製造工程の一部が相違するのみであるから、相違部分を重点に説明し他は必要に応じて同一符号をつけて説明する。
【0045】
図4に示す第2実施例は、乾燥食品を味噌汁として説明する。この第2実施例と第1実施例との相違点は、調味料32を混合工程33で混合せずに装填工程38で乾燥具材50と共に装填して、喫食者が好みに応じて調味料32の量を加減して味の調整ができるようにしたものである。
【0046】
装填工程38で装填する調味料32は、例えば、食塩、グルタミンソーダ、鰹節、昆布エキス等、味噌汁の風味調味料として用いられる調味料を混合調整して、熱風乾燥による乾燥あるいは、凍結乾燥で乾燥しのち粉末とし、または、粉末をさらに造粒による粒状化により、取り扱いが容易な形状する。この調味料32と味噌汁の具材である葱、麩、乾燥わかめ、乾燥油揚などの具材と共に可溶性基材2に装填し、前述したように、包装工程39から梱包工程40を経て出荷工程41より市場に出荷する。
【0047】
この第2実施例では、喫食時に可溶性基材2から不必要な具材を取り除きあるいは減少させた後給湯して味噌汁として完成する。この完成した味噌汁の味に充分満足できないときは、減少させた調味料32を加え、喫食者の好みに合った味噌汁とすることができる。
さらに、乾燥具材50の復元早さと可溶性基材2の溶解早さとの相違により好みの味を得ることができない場合(例、乾燥具材50である乾燥わかめ、乾燥葱などは水分の吸収が多いため給湯による復元に時間がかかる。この間に可溶性基材2が溶解してしまうと、可溶性基材2の味が乾燥具材50に移り、乾燥具材50の食感が悪くなる。)は、可溶性基材2内の乾燥具材50を容器に移して給湯し、乾燥具材50の復元の度合いを見計らって可溶性基材2を投入することで、乾燥具材50への味移りを防止して風味を保った味噌汁を喫食することができる。
【実施例3】
【0048】
みぞれ汁の工程
次に図1に示した形態の乾燥食品をみぞれ汁とした第3実施例の製造工程を示す図5について説明する。尚、第3実施例と前記した第1および第2実施例とは、その製造工程の一部が相違するのみであるから、相違部分を重点に説明し他は必要に応じて同一符号をつけて説明する。
【0049】
みぞれ汁の製造工程を示す図5において、混合工程33は、賦型剤45と調味料46及び水31混合する。この混合工程33では、みぞれ汁の可溶性基材2の素材を作る。
みぞれ汁の可溶性基材2の素材である調味料46は、塩、酒、だし汁「ブイヨン」、醤油等である。これら調味料46と水31を混合したのみでは、流動性が高く予備凍結するためトレーへの充填に不具合をきたすので、型枠トレー内で安定性を良くしその取り扱いを容易にするため、賦型剤45が投入される。この賦型剤45は、必要最小限度にする必要かある。すなわち、賦形財45の量を多くすると形を整えやすくなり、取り扱いが容易になるが、乾燥した後の溶解性を悪くする。従って、賦形財45の量は、みぞれ汁の可溶性基材2の材料として取り扱いやすく且つ溶解性を確保可能な量となる。
【0050】
混合工程33で混合されたみぞれ汁の可溶性基材2の素材は、加熱攪拌工程48においてゆっくりかき回しながら加熱して賦型剤45がとろみを帯びる状態まで加熱攪拌を行う。この様にして作られたみぞれ汁の可溶性基材2の材料は、熱を持ち比較的流動性を保ったまま充填工程34でトレーに充填された後冷却される。あるいは、加熱攪拌工程48の終了の後冷却されて充填工程34でトレーに充填される。
【0051】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結されたみぞれ汁の可溶性基材2の材料は、その材料内で水分が氷結した状態になる。この氷結したみぞれ汁の可溶性基材2の材料は、凍結乾燥工程36で乾燥されみぞれ汁の可溶性基材2になる。尚、この凍結乾燥工程36においてみぞれ汁の可溶性基材2の形成は、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。また、凍結乾燥工程36で凍結乾燥したみぞれ汁の可溶性基材2を取り出す工程である取り出し工程37にいても、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。
【0052】
装填工程38は、前記取り出し工程37の工程で取り出したみぞれ汁の可溶性基材2の台形の凹部27に乾燥具材50と増粘剤としてのとろみ付与剤52を装填する工程である。この乾燥具材50は、みぞれ汁に必要な具材を予め乾燥(凍結乾燥、熱風乾燥等で乾燥)した乾燥材料で、大根おろし、納豆、油揚等を凍結乾燥した具材ものが選ばれる。これらの乾燥具材50は、個別に順次装填するので、乾燥具材50の量が正確に視認でき、みぞれ汁としての乾燥食品の品質を均質に保つことができる。さらに、乾燥具材50を上記の様に個々に装填することができるので、客の好みである市場ニーズあるいは市場に存在する将来の形態であるシーズを先取して対応し商品に形態を変化させることができる。このため、市場の変化への対応が早くなる。さらに、商品に形態を変化させても生産工程及び設備を変化させることを必要としない効果を有する。
【0053】
さらに、前記装填工程38では、乾燥具材50と一緒にとろみ付与剤52(増粘剤)が装填される。このとろみ付与剤52は、デキストリン、澱粉、増粘多糖類などである。このとろみ付与剤52は、乾燥具材50と同様に、みぞれ汁の可溶性基材2に装填して、喫食者が自己の好みに合わせることができるようになっている。また、とろみ付与剤52は、みぞれ汁の可溶性基材2に装填してあるので、給湯時に直接湯がかかり、とろみ成分の溶解性は良好である。
【0054】
装填工程38で乾燥具材50ととろみ付与剤52(増粘剤)が装填された乾燥食品としてのみぞれ汁は、包装工程39において横ピロー包装装置あるいはその他包装装置により個々に包装され商品となる。梱包工程40工程では、出荷できるように前記商品を複数個梱包して出荷工程41より市場に出荷される。
【実施例4】
【0055】
ポタージュの工程
次に図1に示した形態の乾燥食品をポタージュとした第4実施例の製造工程を示す図6について説明する。尚、第4実施例と前記した第1および第2実施例とは、その製造工程の一部が相違するのみであるから、相違部分を重点に説明し他は必要に応じて同一符号をつけて説明する。
【0056】
ポタージュの製造工程を示す図6において、加熱攪拌工程48は、賦型剤45と調味料46及び水31混合するとともにゆっくりかき回しながら加熱して賦型剤45がとろみを帯びる状態まで加熱攪拌を行いポタージュの可溶性基材2の素材を作る。
【0057】
混合工程33は、加熱攪拌工程48で作ったポタージュの可溶性基材2の素材に各種のペースト54を加えて混合することで、ポタージュの可溶性基材2の材料を作る。このペースト54は、ポタージュの種類により選択される。すなわち、コ−ンポタージュの場合は、コ−ンペーストであり、パンプキンポタージュの場合は、パンプキンペーストである。また、具材55は、ポタージュにその種別により食感を付与するための具であり、例えば、コ−ンポタージュの場合、冷凍コーンであり、調理済みの肉や野菜等である。混合工程33で混合されたポタージュの可溶性基材2の材料は、熱を持ち比較的流動性を保ったまま充填工程34でトレーに充填された後冷却される。あるいは、加熱攪拌工程48の終了の後冷却されて充填工程34で型枠トレーに充填される。
【0058】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結されたポタージュの可溶性基材2の材料は、その材料内で水分が氷結した状態になる。この氷結したポタージュの可溶性基材2の材料は、凍結乾燥工程36で乾燥されポタージュの可溶性基材2になる。尚、この凍結乾燥工程36においてポタージュの可溶性基材2の形成は、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。また、凍結乾燥工程36で凍結乾燥したポタージュの可溶性基材2を取り出す工程である取り出し工程37においても、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。
【0059】
装填工程38は、前記取り出し工程37の工程で取り出したポタージュの可溶性基材2の台形の凹部27にうきみ56ととろみ付与剤52(増粘剤)を装填する工程である。このうきみ56は、ポタージュに必要な具材を予め乾燥(凍結乾燥、熱風乾燥等で乾燥)した乾燥材料で、乾燥パセリ、クルトン等が選ばれる。これらのうきみ56は、個別に順次装填するので、うきみ56の量が正確に視認でき、ポタージュとしての乾燥食品の品質を均質に保つことができる。さらに、うきみ56の装填を上記の様に個々に装填することができるので、客の好みである市場ニーズあるいは市場に存在する将来の形態であるシーズを先取して対応し商品に形態を変化させることができる。このため、市場の変化への対応が早くなる。さらに、商品に形態を変化させても生産工程及び設備を変化させることを必要としない効果を有する。
【0060】
さらに、前記装填工程38では、うきみ56と一緒にとろみ付与剤52(増粘剤)が装填される。このとろみ付与剤52(増粘剤)は、デキストリン、澱粉、増粘多糖類などである。また、このとろみ付与剤52(増粘剤)は、うきみ56と同様に、ポタージュの可溶性基材2に装填して、喫食者が自己の好みに合わせることができるようになっている。さらに、とろみ付与剤52(増粘剤)は、みぞれ汁と同様の可溶性基材2に装填してあるので、給湯時に直接湯がかかりとろみ成分の溶解が早い。さらに、喫食に際しては、ポタージュの可溶性基材2が溶解した後に入れることができるので、うきみ56の食感(クルトンのカリとした歯ざわり、パセリへの色移りを防止し且つ新鮮な匂いを保つ)を活かすことができる。
【0061】
装填工程38でうきみ56ととろみ付与剤52(増粘剤)が装填された乾燥食品としてのポタージュは、包装工程39において横ピロー包装装置あるいはその他包装装置により個々に包装され商品となる。梱包工程40工程では、出荷できるように前記商品を複数個梱包して出荷工程41より市場に出荷される。
【実施例5】
【0062】
オニオンス−プの工程
次に図1に示した形態の乾燥食品をオニオンス−プとした第5実施例の製造工程を示す図7について説明する。尚、第5実施例と前記した第1および第2実施例とは、その製造工程の一部が相違するのみであるから、相違部分を重点に説明し他は必要に応じて同一符号をつけて説明する。
【0063】
オニオンス−プの製造工程を示す図7において、加熱攪拌工程48は、賦型剤45と調味料46及び水31混合するとともにゆっくりかき回しながら加熱して賦型剤45がとろみを帯びる状態まで加熱攪拌を行いオニオンス−プの可溶性基材2の素材を作る。
【0064】
混合工程33は、加熱攪拌工程48で作ったオニオンス−プの可溶性基材2の素材に各種のローストオニオン58を加えて混合することで、オニオンス−プの可溶性基材2の材料を作る。この混合工程33で混合されたオニオンス−プの可溶性基材2の材料は、熱を持ち比較的流動性を保ったまま充填工程34で型枠トレーに充填された後冷却される。あるいは、加熱攪拌工程48の終了の後冷却されて充填工程34で型枠トレーに充填される。
【0065】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結されたオニオンス−プの可溶性基材2の材料は、その材料内で水分が氷結した状態になる。この氷結したオニオンス−プの可溶性基材2の材料は、凍結乾燥工程36で乾燥されオニオンス−プの可溶性基材2になる。尚、この凍結乾燥工程36においてオニオンス−プの可溶性基材2の形成は、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。また、凍結乾燥工程36で凍結乾燥したオニオンス−プの可溶性基材2を取り出す工程である取り出し工程37にいても、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。
【0066】
装填工程38でうきみ56が装填された乾燥食品としてのオニオンス−プは、包装工程39において横ピロー包装装置あるいはその他包装装置により個々に包装され商品となる。梱包工程40工程では、出荷できるように前記商品を複数個梱包して出荷工程41より市場に出荷される。
【0067】
さらに、前記装填工程38では、うきみ56をオニオンス−プの可溶性基材2に装填して、喫食者が自己の好みに合わせることができるようになっている。喫食に際しては、オニオンス−プの可溶性基材2が溶解した後に入れることができるので、うきみ56の食感(フランスパンのカリとした歯ざわり、パセリへの色移りを防止し且つ新鮮な匂いを保つ)を活かすことができる。
【0068】
装填工程38でうきみ56(増粘剤)が装填された乾燥食品としてのオニオンス−プは、包装工程39において横ピロー包装装置あるいはその他包装装置により個々に包装され商品となる。梱包工程40工程では、出荷できるように前記商品を複数個梱包して出荷工程41より市場に出荷される。
【実施例6】
【0069】
天津飯の素の工程
次に図1に示した形態の乾燥食品を天津飯とした第6実施例の製造工程を示す図8について説明する。尚、第6実施例と前記した第1および第2実施例とは、その製造工程の一部が相違するのみであるから、相違部分を重点に説明し他は必要に応じて同一符号をつけて説明する。
【0070】
天津飯の素の製造工程を示す図8において、加熱変成工程61は、原料卵調整工程60で調整した原料卵を水31に加え変成加工する工程である。すなわち、加熱変成工程61は、原料卵調整工程60では、卵を割りその黄身と白身をかき回すなどの調整を施した後水31を添加して加熱した卵汁である天津飯の素を作る工程である。
【0071】
混合工程33は、加熱変成工程61で作った天津飯の素に調味料63と具材64を混合することで、天津飯の可溶性基材2の材料を作る。この混合工程33で混合された天津飯の素の可溶性基材2の材料は、充填工程34で型枠トレーに充填される。
【0072】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結された天津飯の可溶性基材2の材料は、その材料内で水分が氷結した状態になる。この氷結した天津飯の可溶性基材2の材料は、凍結乾燥工程36で乾燥された天津飯の素の可溶性基材2になる。尚、この凍結乾燥工程36において天津飯の素の可溶性基材2の形成は、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。また、凍結乾燥工程36で凍結乾燥した天津飯の素の可溶性基材2を取り出す工程である取り出し工程37にいても、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。
【0073】
装填工程38では、とろみ付与剤52(増粘剤)が装填される。このとろみ付与剤52(増粘剤)は、デキストリン、澱粉、増粘多糖類などである。このとろみ付与剤52(増粘剤)は、天津飯の素の可溶性基材2に装填してあるので溶解が早い。尚、給湯前にとろみ付与剤52(増粘剤)の量を加減して天津飯の素のとろみを喫食者の好みに合わせることができる。さらに、喫食に際しては、天津飯の素の可溶性基材2が溶解した後に入れることができる。
【0074】
装填工程38でとろみ付与剤52(増粘剤)が装填された乾燥食品としての天津飯の素は、包装工程39において横ピロー包装装置あるいはその他包装装置により個々に包装され商品となる。梱包工程40工程では、出荷できるように前記商品を複数個梱包して出荷工程41より市場に出荷される。
【実施例7】
【0075】
麻婆豆腐の素の工程
次に図1に示した形態の乾燥食品を麻婆豆腐の素とした第7実施例の製造工程を示す図9について説明する。尚、第7実施例と前記した第1および第2実施例とは、その製造工程の一部が相違するのみであるから、相違部分を重点に説明し他は必要に応じて同一符号をつけて説明する。
【0076】
麻婆豆腐の素の製造工程を示す図9において、加熱攪拌工程48は、賦型剤45と調味料46及び水31混合するとともにゆっくりかき回しながら加熱して賦型剤45がとろみを帯びる状態まで加熱攪拌を行い麻婆豆腐の素材を作る。
【0077】
混合工程33は、加熱攪拌工程48で作った麻婆豆腐の素に各種の調理済のひき肉など麻婆豆腐の具材65を加えて混合することで、麻婆豆腐の素の可溶性基材2の材料を作る。この混合工程33で混合された麻婆豆腐の素の可溶性基材2の材料は、熱を持ち比較的流動性を保ったまま充填工程34で型枠トレーに充填された後冷却される。あるいは、加熱攪拌工程48の終了の後冷却されて充填工程34でトレーに充填される。
【0078】
予備凍結工程35は、凍結庫に前記充填工程34で充填した型枠トレーを複数枚搬入して凍結する工程である。この工程で凍結された麻婆豆腐の可溶性基材2の材料は、その材料内で水分が氷結した状態になる。この氷結した麻婆豆腐の可溶性基材2の材料は、凍結乾燥工程36で乾燥され麻婆豆腐の可溶性基材2になる。尚、この凍結乾燥工程36において麻婆豆腐の可溶性基材2の形成は、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。また、凍結乾燥工程36で凍結乾燥した麻婆豆腐の可溶性基材2を取り出す工程である取り出し工程37にいても、前述した第1第2実施例の説明と同様の効果を有する。
【0079】
装填工程38は、前記取り出し工程37の工程で取り出した麻婆豆腐の素の可溶性基材2の台形の凹部27に乾燥具材50ととろみ付与剤52を装填する工程である。この乾燥具材50は、麻婆豆腐の素に必要な具材を予め乾燥(凍結乾燥、熱風乾燥等で乾燥)した乾燥材料で、乾燥豆腐、白髭ネギ等が選ばれる。これらの乾燥具材50は、個別に順次装填するので、乾燥具材50の量が正確に視認でき、乾燥具材50としての乾燥食品の品質を均質に保つことができる。さらに、乾燥具材50の装填を上記の様に個々に装填することができるので、客の好みである市場ニーズあるいは市場に存在する将来の形態であるシーズを先取して対応し商品に形態を変化させることができる。このため、市場の変化への対応が早くなる。さらに、商品に形態を変化させても生産工程及び設備を変化させることを必要としない効果を有する。
【0080】
さらに、前記装填工程38では、乾燥具材50と一緒にとろみ付与剤52(増粘剤)が装填される。このとろみ付与剤52(増粘剤)は、デキストリン、澱粉、増粘多糖類などである。このとろみ付与剤52(増粘剤)は、乾燥具材50と同様に、麻婆豆腐の素の可溶性基材2に装填して、喫食者が自己の好みに合わせることができるようになっている。また、とろみ付与剤52(増粘剤)は、麻婆豆腐の素の可溶性基材2に装填してあるので、給湯時に直接湯がかかりとろみ成分の溶解が早い。さらに、喫食に際しては、麻婆豆腐の素の可溶性基材2が溶解した後に入れることができるので、麻婆豆腐の食感(乾燥豆腐の形状を正確に保ち視覚の食感を良くし、されに白髭ネギへの色移りを防止し且つ新鮮な匂いを保つ)を活かすことができる。
【0081】
装填工程38で乾燥具材50ととろみ付与剤52(増粘剤)が装填された乾燥食品としての麻婆豆腐の素は、包装工程39において横ピロー包装装置あるいはその他包装装置により個々に包装され商品となる。梱包工程40工程では、出荷できるように前記商品を複数個梱包して出荷工程41より市場に出荷される。
【0082】
本発明の効果は、以上第1〜第7までの実施例において共通して述べたように、可溶性基材2を、ほぼ均等な厚みの器に形成して、この器に目的とする乾燥食品に必要な乾燥具材、あるいはとろみ付与剤を挿入するので、乾燥食品を喫食する時に、喫食者の好みに応じて、乾燥具材あるいはとろみ付与剤を調整できる。このため、喫食者の嗜好に応じた食品を提供できる効果がある。
また、製造に当たっては、可溶性基材を乾燥食品の基礎材料で構成し、この可溶性基材で構成する器に乾燥具材、とろみ付与剤などを適宜装填するので、乾燥具材、とろみ付与剤を個別に保管しておき、乾燥食品の種別に対応して装填することで各種の乾燥食品を作ることができる。従って、乾燥食品が変化してもその製造設備を大幅に変更することなくまた、乾燥具材、とろみ付与剤等を乾燥食品の種別に対応して利用することができるので、市場ニーズへの対応が早くなる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】乾燥食品の断面図
【図2】可溶性基材の外形図
【図3】第1実施例である乾燥食品(味噌汁1)の製造工程図
【図4】第2実施例である乾燥食品(味噌汁2)の製造工程図
【図5】第3実施例である乾燥食品(みぞれ汁)の製造工程図
【図6】第4実施例である乾燥食品(ポタージュスープ)の製造工程図
【図7】第5実施例である乾燥食品(オニオンスープ)の製造工程図
【図8】第6実施例である乾燥食品(天津飯の素)の製造工程図
【図9】第7実施例である乾燥食品(麻婆豆腐の素)の製造工程図
【符号の説明】
【0084】
1 乾燥食品
2 可溶性基材
4 包装フィルム
19 底板
20 側板
21 上端
22 下端
23 外壁
24 内壁
25 底面
26 解放端
27 台形の凹部
30 味噌
31 水
32 調味料
33 混合工程
34 充填工程
35 予備凍結工程
36 凍結乾燥工程
37 取り出し工程
38 装填工程
39 包装工程
40 梱包工程
41 出荷工程
50 乾燥具材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥具材と凍結乾燥により乾燥した可溶性基材とを一緒に包装した乾燥食品において、
前記可溶性基材を所定形状の器に形成すると共に、この可溶性基材の器に前記乾燥具材を所定量装填し、この可溶性基材と乾燥具材を一つの袋で包装したことを特徴とする乾燥食品。
【請求項2】
乾燥具材と増粘剤等と凍結乾燥により乾燥した可溶性基材とを一緒に包装した乾燥食品において、
前記可溶性基材を所定形状の器に形成すると共に、この可溶性基材の器に乾燥具材と増粘剤等を所定量装填し、この可溶性基材と乾燥具材、増粘剤等を一つの袋で包装したことを特徴とする乾燥食品。
【請求項3】
前記可溶性基材で形成する器の厚みをほぼ同一に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥食品。
【請求項4】
前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた中空を有しその外形を箱型に形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥食品。
【請求項5】
前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた中空の箱型に形成し、前記中空をほぼ直方体に構成したことを特徴とする請求項4に記載の乾燥食品。
【請求項6】
前記可溶性基材で形成する器が底面とこの底面から延出する壁面を備えた中空を有し、その外形が多角形、円筒形、あるいは球形などの各種の形状としたことを特徴とする請求項5に記載の乾燥食品。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−319010(P2007−319010A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149577(P2006−149577)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000130145)株式会社コスモス食品 (2)
【Fターム(参考)】