説明

予防又は治療目的のためにMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法

本発明の実施形態は、癌腫抗原のMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を誘導、同調、及び/又は増幅して有効な抗癌免疫応答を得るための方法及び組成物に関する。本明細書中に開示される方法及び組成物を、予防又は治療目的で使用することができる。さらなる実施形態は、化学療法薬と組み合わせた免疫原性組成物を含む療法ストラテジーを必要とする被験体に施すことによる癌等の細胞増殖性疾患を治療する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示される本発明の実施の形態は、予防又は治療で使用するための免疫療法レジメン及び化学療法レジメンの併用のための方法及び組成物に関する。特に実施の形態は、化学療法薬、免疫原性組成物、それらの性質、並びにそれらが有効に用いられる投与の順序、時機及び経路に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許仮出願第60/831,256号(2006年6月14日出願)及び同第60/863,332号(2006年10月27日出願)(それぞれその開示全体が本明細書に参照により援用される)の出願日の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
全体的に抑制されたT細胞機能は、多数の癌患者の臨床的に有効な癌免疫療法の開発におけるおもな障害であると説明されている。抗腫瘍免疫応答の阻害は、主に、癌患者中に存在する阻害因子に関連している。首尾の良い抗腫瘍ワクチン接種を妨げる主な障壁は、腫瘍抗原に特異的な高アビディティT細胞の寛容である。
【発明の概要】
【発明を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施の形態は、患者中の腫瘍を化学療法薬と接触させることであって、化学療法薬が腫瘍炎症を促進し、そして/又は制御性T細胞機能を干渉する、接触させること、並びに患者に、第1の抗原の少なくとも一部を含むか又はコードする、免疫原を含み、且つ免疫賦活薬をさらに含む第1の組成物を患者に誘導すること、増幅ペプチドを含む第2の組成物を患者のリンパ系に直接投与することであって、ペプチドが第1の抗原のエピトープに対応する、投与することを含む免疫感作方法を含む。好ましくは、接触ステップ及び誘導ステップによって処置の有効性が接触ステップ又は誘導ステップのみのいずれかの有効性よりも増強される。
【0005】
本発明のいくつかの実施の形態では、第1の組成物及び第2の組成物は同一である。あるいは、第1の組成物及び第2の組成物は同一ではない。いくつかの実施の形態では、第1の組成物は、例えば、抗原又はその免疫原性フラグメントをコードする核酸を含む。いくつかの実施の形態では、第1の組成物は、pAPC中に抗原又はその免疫原性フラグメントを発現することができる核酸を含む。いくつかの実施の形態では、第1の組成物は、例えば、免疫原性ポリペプチド及び免疫賦活薬等を含む。本発明のいくつかの実施の形態では、免疫原性ポリペプチドは、増幅ペプチドである。
【0006】
本発明のいくつかの実施の形態では、免疫原性ポリペプチドは第1の抗原である。いくつかの実施の形態では、免疫賦活薬はサイトカインである。いくつかの実施の形態では、免疫賦活薬はトール様受容体リガンドである。いくつかの実施の形態では、第2の組成物はアジュバントをさらに含む。本発明のいくつかの実施の形態では、第2の組成物は、アジュバント及び免疫賦活薬を含まない。いくつかの実施の形態では、送達サブステップは1つを超える部位への投与を含む。いくつかの実施の形態では、送達サブステップは、例えば、患者のリンパ系への直接投与を含む。いくつかの実施の形態では、例えば、患者のリンパ系への直接投与はリンパ節又はリンパ管への直接投与を含む。
【0007】
なおさらなる実施の形態は、抗原特異的寛容性又は制御性免疫応答の発生を含む。本方
法は、組成物(無アジュバントペプチドが含まれる)を患者のリンパ系に周期的に直接投与することであって、ペプチドは抗原のエピトープに対応し、患者はエピトープ的にナイーブであり得る、投与すること、及び第1の組成物又は第2の組成物の送達と同時又はその後に化学療法薬を投与することを含むことができる。本方法は、寛容性又は制御性T細胞免疫応答を得ること、検出すること、及び検定することをさらに含むことができる。免疫応答は、例えば、炎症性障害又は癌の治療を補助することができる。炎症性障害は、例えば、クラスII MHC拘束免疫応答に由来し得る。免疫応答には、免疫抑制サイトカイン(例えば、IL−5、IL−10、又はTGB−β等)の産生が含まれ得る。癌は、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、膀胱癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、睾丸癌、子宮癌、脳腫瘍、リンパ癌、皮膚癌、骨の癌、腎臓癌、直腸癌、黒色腫、膠芽細胞腫、又は肉腫であり得る。
【0008】
本発明のいくつかの実施の形態では、直接投与を2つ以上のリンパ節又はリンパ管に行う。いくつかの実施の形態では、リンパ節は、例えば、鼠径リンパ節、腋窩リンパ節、頸部リンパ節、及び扁桃腺リンパ節等から成る群から選択される。
【0009】
本発明のいくつかの実施の形態では、CTL応答は第1の抗原に特異的である。いくつかの実施の形態では、エピトープはハウスキーピングエピトープである。いくつかの実施の形態では、第1の組成物及び第2の組成物は、リンパ系又はリンパ節等への直接投与に適切なキャリアをさらに含む。本発明のいくつかの実施の形態では、エピトープは免疫エピトープである。いくつかの実施の形態では、送達サブステップ又は投与サブステップは単回ボーラス注射を含む。いくつかの実施の形態では、送達サブステップ又は投与サブステップは反復ボーラス注射を含む。いくつかの実施の形態では、送達サブステップ又は投与サブステップは連続注入を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施の形態では、化学療法薬は制御性T細胞活性を下方制御するか又は枯渇させ、それにより、例えば、腫瘍細胞又は癌細胞内等のエフェクターT細胞活性を促進するか又は増強する。いくつかの実施の形態では、制御性T細胞機能の干渉は、例えば、制御性T細胞数の減少を含む。いくつかの実施の形態では、制御性T細胞数の減少を、フローサイトメトリーを使用して測定する。いくつかの実施の形態では、制御性T細胞数の減少を、例えば、CD4+、CD25+、及びFoxP3HI等のマーカーを使用して測定する。
【0011】
本発明のいくつかの実施の形態では、制御性T細胞機能の干渉は制御性T細胞活性の低下を含む。いくつかの実施の形態では、制御性T細胞活性を、例えば、患者からの制御性T細胞の単離、標準的なエフェクター細胞機能検定における単離細胞のエフェクター細胞とのインキュベーション、及びエフェクター細胞活性の測定によって測定する。いくつかの実施の形態では、標準的なエフェクター細胞機能検定は、CTL検定、エリスポット検定、及び増幅検定から成る群から選択される。いくつかの実施の形態では、エフェクターT細胞応答を、少なくとも1つの指標(例えば、サイトカイン検定、エリスポット検定、細胞傷害性検定、四量体検定、DTH応答、臨床反応、腫瘍の縮小、腫瘍の排除、腫瘍進行の阻害、病原体力価の減少、病原体の排除、及び病徴の改善等によって検出することができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施の形態では、化学療法薬は、例えば、シクロホスファミド、ゲムシタビン、フルダラビン、ドキソルビシン等を含む群から選択される。いくつかの実施の形態では、化学療法薬はシクロホスファミドである。接触ステップを、制御性T細胞機能の惹起、異常な細胞増殖の誘導、又は腫瘍成長が認められた際に行う。いくつかの実施の形態では、接触ステップ及び誘導ステップを2回以上のサイクルで繰り返す。いくつかの実施の形態では、接触ステップ及び誘導ステップを、例えば、制御性T細胞活性の減少
又は異常な細胞増幅若しくは腫瘍成長の抑制等が達成されるまで繰り返す。
【0013】
本発明のいくつかの実施の形態では、接触ステップを誘導ステップの前に行う。いくつかの実施の形態では、接触ステップを誘導ステップの前に繰り返す。いくつかの実施の形態では、接触ステップを誘導ステップの約1週間前に完了する。いくつかの実施の形態では、接触ステップを誘導ステップの6、7、8、又は9日前に完了する。いくつかの実施の形態では、接触ステップを誘導ステップの投与サブステップ前に繰り返す。いくつかの実施の形態では、送達サブステップ及び投与サブステップを異なる日に行う。いくつかの実施の形態では、送達サブステップ及び投与サブステップを少なくとも約2、3、4、5、6、又は7日間あけて行う。
【0014】
本発明のいくつかの実施の形態では、誘導ステップの送達サブステップを接触ステップ後に行う。いくつかの実施の形態では、送達サブステップは、化学療法薬の投与前又は投与後に抗原のエピトープに対応する1つ又は複数のペプチドを投与することを含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施の形態はまた、化学療法/免疫療法レジメンの併用に加えて、例えば、放射線療法、遺伝子療法、生化学療法、及び手術等の少なくとも1つの治療様式を施すことを含む。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの治療様式を接触ステップ前又は接触ステップ中に行う。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの治療様式を、接触ステップ及び誘導ステップ前に行う。いくつかの実施の形態では、少なくとも1つの治療様式を、化学療法/免疫療法レジメンの接触ステップ及び誘導ステップを施す前に完了する。したがって、いくつかの実施の形態では、接触ステップ及び誘導ステップを施す前に完全寛解が達成される。他の実施の形態では、化学療法/免疫療法レジメンの併用前に必ずしも完全に寛解する必要はない。1つの実施の形態では、少なくとも1つの治療様式を、化学療法/免疫療法レジメンの接触ステップ及び誘導ステップの1回、2回、又はそれ以上の完全なサイクル後に施す。別の実施の形態では、少なくとも1つの治療様式を、化学療法/免疫療法レジメンの接触ステップ及び誘導ステップと併せて施す。
【0016】
抗原は疾患関連抗原である可能性があり、疾患関連抗原は腫瘍関連抗原又は病原体関連抗原であり得る。実施の形態は、記載の免疫感作方法を利用した癌等の疾患を治療する方法を含む。本明細書中で意図する抗原は、標的関連抗原であり得る。標的は、新生物細胞及び病原体感染細胞等であり得る。例えば、任意の新生物細胞を標的化することができる。病原体感染細胞には、例えば、細菌、ウイルス、原生動物、及び真菌等に感染しているか、又は例えば、プリオンに影響を受けた細胞が含まれ得る。
【0017】
本発明のいくつかの実施の形態は、免疫感作併用薬の製造における化学療法薬及びCTL誘導併用薬の使用であって、化学療法薬は、例えば、腫瘍炎症の促進及び制御性T細胞機能の干渉の少なくとも1つを達成し、CTL併用薬は患者への送達のための第1の組成物であって、第1の組成物は免疫原を含み、免疫原は第1の抗原の少なくとも一部又はその免疫原性フラグメントを含むか又はコードする、第1の組成物、及び患者のリンパ系への直接投与のための第2の組成物であって、第2の組成物はペプチドを含み、ペプチドは第1の抗原のエピトープに対応する、第2の組成物を含み、併用によって化学療法薬又はCTL誘導併用薬のみのいずれかの有効性よりも治療有効性が増強される、化学療法薬及びCTL誘導併用薬の使用に関する。
【0018】
さらなる実施の形態は、1〜6つの同調用量及び少なくとも1つの増幅用量を含む患者におけるクラスI MHC拘束免疫応答を誘導するための免疫原性組成物の組を含んでもよく、同調用量は免疫原又は免疫原をコードする核酸を含むことができ、増幅用量はペプチドエピトープを含むことができ、エピトープはpAPCによって提示することができ、この組は、化学療法薬を含むか、又は化学療法薬に使用される。免疫原をコードする核酸
は、さらに、免疫増強薬として機能することができる免疫刺激配列を含み得る。免疫原は、ウイルス、又は免疫増強薬を含むか誘導し得る複製コンピテントベクターであり得る。免疫原は細菌、細菌溶解物又は精製細胞壁構成成分であり得る。細菌細胞壁構成成分はまた、免疫増強薬として機能し得る。免疫増強薬は、例えば、TLRリガンド、免疫刺激配列、CpG含有DNA、dsRNA、飲食作用パターン認識受容体(PRR)リガンド、LPS、キラヤサポニン、ツカレソール及び炎症誘発性サイトカイン等であり得る。多価応答の促進のためのいくつかの好ましい実施の形態では、組は、各投与のための種々の各抗原又は抗原の組合せに対応する複数の同調用量及び/又は複数の増幅用量を含み得る。複数の同調用量を、単一の組成物の一部分又は1つよりも多い組成物の一部分として投与することができる。組は任意選択的に少なくとも1つの化学療法薬を含み得る。
【0019】
増幅用量を、例えば、異なる時間及び/又は1つを超える部位に投与することができる。化学療法薬を、同調用量及び/又は増幅用量のいずれかの前、間、又は後に投与することができる。いくつかの実施の形態では、化学療法薬を、免疫療法プロトコールの開始後に投与する。
【0020】
種々の実施の形態で使用される増幅ペプチドは、免疫感作抗原のエピトープに対応する。いくつかの実施の形態では、対応は、エピトープの天然配列の確実な反復を含み得る。いくつかの実施の形態では、対応は、1つ又は複数のアミノ酸が修飾若しくは置換されているか又はエピトープの長さが変化した天然配列の類似体であり得る対応配列を含み得る。このような類似体は、エピトープの免疫原機能を保持し得る(すなわち、機能的に類似する)。特定の実施の形態では、類似体は、天然配列と比較して、1つ又は複数のクラスI MHC分子との結合が類似しているか改善されている。他の好ましい実施の形態では、類似体は、天然配列と比較して、免疫原性が類似しているか改善されている。類似体を作製するためのストラテジーは、当該技術分野で広く知られている。このようなストラテジーの例示的考察は、米国特許出願第10/117,937号(公開番号2003−0220239A1)(2002年4月4日出願)及び同第10/657,022号(公開番号20040180354)2003年9月5日出願(共に表題「エピトープ配列(EPITOPE SEQUENCES)」)、米国特許仮出願第60/581,001号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第11/156,253号(公開番号2006−0063913)(2005年6月17日出願)(共に表題「SSX−2ペプチド類似体(SSX-2 PEPTIDE ANALOGS)」)、並びに米国特許仮出願第60/580,962号及び米国特許出願第11/155,929号(公開番号20060094661)(2005年6月17日出願)(共に表題「NY−ESOペプチド類似体(NY-ESO PEPTIDE ANALOGS)」)(それぞれの全体が本明細書に参照により援用される)に見出すことができる。
【0021】
なお、いくつかの実施の形態は、同調及び増幅免疫療法/化学療法併用プロトコールで使用されるアジュバント無含有薬の製造におけるペプチドの使用に関する。組成物、キット、免疫原、及び化合物を、本明細書中に記載のように、種々の疾患(限定するものではないが、例えば癌)の治療、免疫応答の増幅、及び特定のサイトカイプロフィールの生成等のための薬に使用することができる。実施の形態は、免疫応答の増幅方法におけるアジュバント無含有ペプチドの使用に関する。
【0022】
いくつかの実施の形態では、本明細書中に開示される免疫療法/化学療法ストラテジーの併用には、MHCに対する特異性を有するエピトープに関連する方法、使用、療法、及び組成物が含まれる(例えば以下に開示のものが含まれる:米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)、米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願)(これらの全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPON
SES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」)。他の実施の形態は、米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)及び米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願)(これらの全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」に開示の1つ又は複数のMHCを含む(その組合せを含む)が、他の実施の形態は、その任意の1つ又は複数のMHC又はその組合せを明確に排除する。米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)及び米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願)(これらの全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」(それぞれのその全体が本明細書に参照により援用される))は、列挙したHLA抗原の頻度を含む。
【0023】
種々の抗原の組合せは、米国特許出願第10/871,708号(公開番号20050118186)(2004年6月17日出願)(表題「種々の癌型のための組成物における腫瘍関連抗原の組合せ(COMBINATIONS OF TUMOR-ASSOCIATED ANTIGENS IN COMPOSITIONS FOR VARIOUS TYPES OF CANCERS)」)、米国特許仮出願第60/640,598号(2004年12月29日出願)、及び米国特許出願第11/323049号(公開番号20060159694)(2005年12月29日出願、共に表題「種々の癌型のための組成物における腫瘍関連抗原の組合せ(COMBINATIONS OF TUMOR-ASSOCIATED ANTIGENS IN COMPOSITIONS FOR VARIOUS TYPES OF CANCERS)」)(それぞれの全体が本明細書に参照により援用される)に提示されている。好ましくは、抗原(抗原A又はBを含む)は、SSX−2、Melan−A、チロシナーゼ、PSMA、PRAME、又はNY−ESO−1等であり得る。多数の他の抗原は、当業者に既知である。この実施の形態及び他の実施の形態では、2つよりも多い組成物、免疫原、抗原、エピトープ、及び/又はペプチドを使用することができると理解すべきである。例えば、上記のうちの任意の1つ又は複数の3つ、4つ、5つ、又はそれ以上を使用することができる。
【0024】
本明細書中に開示される免疫療法/化学療法ストラテジーと組み合わせて、他の療法ストラテジーも使用することができる。例えば、免疫療法/化学療法ストラテジーの併用を、例えば、放射線療法、生物学的療法、遺伝子療法、ホルモン療法、又は手術等(これらに限定されない)と併用して使用することができる。
【0025】
したがって、本発明は、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、生化学療法、及び手術から成る群から選択される少なくとも1つの治療様式とさらに組み合わせた化学療法組成物と併用した免疫療法レジメンを準備することを含む、癌又は腫瘍を有する被験体を治療する方法を提供する。
【0026】
さらなる治療様式を使用した本明細書中に開示される免疫療法/化学療法ストラテジーの併用により、引き出された免疫応答に対する腫瘍過程の感受性が増加し、それにより、治療上の利点を増大することができる。いくつかの実施の形態では、治療上の利点は、相乗的に増強される。免疫療法/化学療法の前又は間の腫瘍減量により、任意の特定の免疫応答レベルに対して疾患の進行を遅延若しくは停止させるか、又は腫瘍を抑制若しくは消失させる可能性を増大させる。さらに、抗体療法、放射線療法、生物学的療法、化学療法、受動免疫療法(モノクローナル抗体及び/又はポリクローナル抗体、組換えTCR、及び/又はCTL又は他の免疫系細胞の養子移入、又は自然免疫系のアクチベーター(Cp
Gオリゴヌクレオチド及び他のTLRリガンド等)による処置が含まれる)、又は手術で引き起こされた組織の損傷、壊死、又はアポトーシスにより、免疫エフェクター細胞(抗原特異的エフェクターが含まれる)が動員する全身炎症を介して免疫療法/化学療法アプローチを容易にすることができる。一般に、1つ又は複数の腫瘍/転移性病変内に一過性又はより永続的な全身炎症を誘導する任意の方法により、能動免疫療法を容易にすることができる。あるいは、エフェクターの動員を可能にし得ることに加えて、全身炎症により、免疫媒介攻撃に対する標的細胞の感受性を増大させることもできる(例えば、インターフェロンが癌細胞及び下層にある間質上の標的分子の発現を増加させる場合)。
【0027】
好ましい実施の形態では、免疫療法薬送達は、患者のリンパ系への直接投与を含むことができる。患者のリンパ系への直接投与は、リンパ節又はリンパ管への直接投与を含むことができる。直接投与は2つ以上のリンパ節又はリンパ管に行うことができる。リンパ節は、例えば、鼠径リンパ節、腋窩リンパ節、頸部リンパ節、及び扁桃腺リンパ節であり得る。
【0028】
いくつかの実施の形態では、免疫療法薬の送達又は投与は、例えば、単回ボーラス注射又は反復ボーラス注射としての送達することを含むことができる。いくつかの実施の形態では、免疫療法薬の送達又は投与は、連続注入を含むことができ、例えば、この連続注入は、約8日間〜約7日間の持続時間を有することができる。本方法は、送達ステップの終了と投与ステップの開始との間に間隔をあけることができる。この間隔は、少なくとも約7日間であり得る。また、間隔は、例えば、約7日間〜約14日間、約17日間、約20日間、約25日間、約30日間、約40日間、約50日間、又は約60日間であり得る。間隔は、約75日間以上、約80日間以上、約90日間以上、約100日間以上の間隔であり得る。
【0029】
当業者は、添付の図面が例示のみを目的とすることを理解するであろう。図面は、本発明の教示の範囲を制限することを決して意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】HPV16由来のE74957ペプチドで予防的に免疫感作したマウスにおける腫瘍防御を示す図である。
【図2】コントロール群と比較した腫瘍攻撃誘発から7、10、21、及び24日後のHPV16由来のE74957ペプチドで治療的に免疫感作したマウスにおける腫瘍の実質的抑制を示す図である(p<0.0001)。
【図3】HPV16由来のE74957ペプチドで免疫感作した再発マウスに対する治癒マウスにおける免疫応答と腫瘍根絶との相関を示す図である(p=0.04)。
【図4】E74957ペプチドのさらなる追加免疫で免疫感作した再発マウスが有意な免疫応答を示すが、測定可能な腫瘍有効性の増加は示さなかったことを示す図である。
【図5】コントロールマウス群と比較したHPV16由来のE74957ペプチドで免疫感作したマウスにおける大多数の抗原特異的腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を示す図である。
【図6】ナイーブマウス(パネルA)、治癒マウス(パネルD)、及びシクロホスファミド(100mg/kg)を注射したマウス(パネルC)と比較した腫瘍保有マウス(パネルB)中のCD4+CD25+FoxP3+制御性T細胞数の増加を示す図である。パネルEは、パネルA〜D由来のマウス脾臓中の制御性T細胞の平均比率を示す。
【図7】E74957ペプチド免疫療法レジメンとシクロホスファミドとの併用の免疫調節効果を示す図である。
【図8】HPV−16ペプチド又はHPV−16ペプチド及びdsRNA(ポリIC)を注射したマウスにおける播種性疾患(disseminated disease)からの免疫学的防御を示す図である。パネルAは、末梢血由来の25日目の四量体染色を示す。パネルBは、各マウス群についての生存率を示す。
【図9】HPV−16の従来の投与に対するリンパ節内投与の抗腫瘍有効性を示す図である。パネルAは、各群の腫瘍サイズを示す。パネルBは、末梢血由来の31日目の四量体染色を示す。
【図10】シクロホスファミドの存在下でのHPV−16形質転換腫瘍を保有するマウスにおけるT−regレベルの低下を示す図である。パネルA及びパネルBは、脾臓中のT−regの低下を示す。パネルCは、腫瘍中のT−regsの低下を示す。
【図11】後期癌における補助療法の有効性を示す図である。パネルAは、シクロホスファミド、E74957免疫療法、又はシクロホスファミドとE74957免疫療法との併用の存在下における腫瘍抑制を示す。パネルBは、シクロホスファミド、E74957免疫療法、又はシクロホスファミドとE74957免疫療法との併用で処置したマウスにおける免疫応答を示す。
【図12】化学療法及び免疫療法で処置したマウスにおける生存に及ぼす補助療法の影響を示す図である。
【図13】免疫療法薬の皮下投与治療群(arm)及びリンパ免疫療法薬に対する皮下免疫療法に起因する腫瘍有効性を示す図である。
【図14】補助療法の有効性を示す図である。これは、能動免疫療法によって化学療法又は手術による無増悪生存率(progression free survival)及び原発性腫瘍除去後の再発時間が改善されることを示す。
【図15】新補助療法の有効性を示す図である。これは、能動免疫療法によって応答率が改善されることを示し、化学療法又は手術による原発性腫瘍処置前に適用した場合の臨床的利点を示す。
【図16】地固め療法を示す図であり、これは、能動免疫療法によって化学療法後の無増悪生存率及び進行時間が改善されることを示す。
【図17】補助療法を示す図であり、これは、能動免疫療法によって手術又は化学療法に付加した場合に応答率が改善されることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以前の免疫感作プロトコールは、制御性T細胞産生の減少が認められた。しかし、以前は、制御性T細胞のさらなる枯渇によって免疫応答の有効性を増強することが可能であるかどうか知られていなかった。例えば、さらなる枯渇が免疫応答に任意のさらなる影響を及ぼすかどうかは知られていなかった。同様に、化学療法薬の使用によって細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の活性化及び機能に負の影響を及ぼし、制御性T細胞枯渇の任意の起こり得る利点が相殺されるかどうか知られていなかった。制御性T細胞を下方制御又は枯渇させる化学療法薬を「同調及び増幅」免疫療法プロトコールと併せて使用し、さらに良好な結果を得ることができるという予想外の結果をここに報告する。
【0032】
強いCTL応答を得るための二段階免疫感作プロトコールは、以前に説明されている。米国特許仮出願第60/479,393号(2003年6月17日出願、表題「MHCクラスI拘束免疫応答の調節方法(METHODS TO CONTROL MHC CLASS I-RESTRICTED IMMUNE RESPONSE)」)、米国特許出願第10/871,707号(2004年6月17日出願)(公開番号20050079152)、米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)、及び米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願)(これらの全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」)を参照のこと。各出願(全ての方法、図面、及び組成物が含まれる)は、その全体が本明細書に参照により援用される。誘導又は同調と呼ばれる開始段階は、少なくとも1つのCTLエピトープに対して少なくとも最小の応答を誘導するための標的抗原に対する免疫感作
を含む。好ましい実施形態では、これは、エフェクター応答を同調するための免疫増強薬を含む。好ましい実施形態では、1)CTLエピトープの発現を引き起こし、CpG免疫刺激配列を有するプラスミド、又は2)エピトープペプチド及び免疫賦活薬(dsRNA又はCpGオリゴヌクレオチド等)のリンパ節内投与によってこれを行う。しかし、他の実施形態では、より伝統的な組成物及び投与経路を使用することが可能である。開始段階は、単回ボーラス注射、相互に数日間以内の複数回の注射、又は数日間(例えば、3〜7日間)の連続注入を含むことができる。かかる経路を、典型的には1〜3週間の間隔の、典型的には全部で2回又は3回の治療単位で繰り返すことができるが、より多数の治療単位又はたった1回の治療単位も可能である。
【0033】
増幅と呼ばれる免疫感作プロトコールの第2段階では、第1段階で応答が誘導されたCTLエピトープに対応するエピトープペプチドを、リンパ系に、好ましくはリンパ節内に投与する。免疫賦活薬又は他のアジュバントを含める必要はないが、いくつかの実施形態では存在し得る。例えば、エピトープペプチド+dsRNAを、同調組成物及び増幅組成物の両方として使用することができる。投与のスケジュール及び様式は、開始段階について上記の投与のスケジュール及び様式に類似し得る。しかし、典型的には、いくらかより多数の治療単位(1〜3回以上よりもむしろ2〜4回以上)を投与し、治療単位の間及び段階の間の間隔は、1〜3週間以上から数ヵ月であり得る。誘導用量の治療単位及びその後の増幅用量の治療単位を、治療サイクルという。治療は、一般に、複数の治療サイクルを含むであろう。
【0034】
上記順序(同調及び増幅免疫感作プロトコール)でのこれらの特定の組成物の使用によって、安定なエフェクター(例えば、CTL)表現型を有する多数の抗原特異的CD8+T細胞を生成することが可能であることが見出された。これは、別のプロトコールと対照的であった。例えば、エピトープペプチドのリンパ節内投与により、細胞傷害性/細胞溶解性T細胞(CTL)応答を得ることができ、さらなる注射を使用してこの応答をさらに増幅する試みにより、制御性T細胞集団が拡大され、観察可能なCTL活性を減少させることができる。かかる免疫感作プロトコールのデザイン、実施、及び影響は、米国特許仮出願第60/479,393号(2003年6月17日出願、表題「MHCクラスI拘束免疫応答の調節方法(METHODS TO CONTROL MHC CLASS I-RESTRICTED IMMUNE RESPONSE)」)、米国特許出願第10/871,707号(2004年6月17日出願)(公開番号20050079152)、米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)、及び米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願)(これらの全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」)(それぞれその全体が本明細書に参照により援用される)に完全に記載されている。
【0035】
腫瘍環境は、しばしば、免疫学的攻撃に不応性である。腫瘍環境をより応答性にして腫瘍内のCTL又は他のエフェクターT細胞の活性を増加させ、全体的な治療の有効性を改善することが癌免疫療法で望ましい。本明細書中で使用される場合、「有効性」は、化学療法組成物及び/又は免疫療法組成物又は併用治療が所望の作用又は結果を達成する能力をいう。1つの可能なアプローチは、免疫療法を制御性T細胞(Treg)を枯渇若しくは下方制御するか又は腫瘍環境の炎症誘発性を増大させる化学療法薬の使用と併用することである。伝統的には、能動免疫療法及び化学療法を、免疫応答の低下又は抑制を回避するために適切な時期に分ける。さらに、上記免疫感作プロトコールによってTreg細胞数が減少したので、プロトコールをこの集団のさらなる枯渇によって改良することができるかは明確ではなかった。併用治療の全有効性が化学療法又は同調及び増幅免疫感作プロトールのみの有効性より高くなるように、同調及び増幅免疫感作プロトコールを化学療法
薬の使用と併用することが実際に可能であることがここに見出された。実際、いずれかの治療のみで腫瘍成長に影響を及ぼさない条件下で実質的な腫瘍抑制が得られたので、併用は相乗作用を示した。
【0036】
本発明の他の実施形態では、免疫療法/化学療法プロトコールの併用を、補助療法又は地固め療法等の標準的な癌療法パラダイム(手術、放射線、又はより高い用量の化学療法薬等を含む)に組み込むことができる。
【0037】
本発明の他の実施形態では、免疫療法/化学療法プロトコールの併用を、補助療法又は地固め療法等の標準的な癌療法パラダイム(手術、放射線、又はより高い用量の化学療法薬等を含む)に組み込むことができる。
【0038】
化学療法と免疫療法との併用では、実施者によって選択された化学療法薬の用量は、一般に、腫瘍細胞に対する直接細胞傷害性のために使用される用量よりも少なくなり得るが、リンパ細胞傷害性を示すには非常に十分である。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、Treg細胞を枯渇させることを必要とせずにTreg細胞の機能を低下させることができる。かかる治療は、枯渇又は非活性化のいずれかにかかわらずに腫瘍中に存在するTreg細胞の機能性を低下させ、それにより、腫瘍環境をCTL等のエフェクターT細胞に対してより応答性にすることができる。さらに、化学療法薬の使用投薬量は、腫瘍の縮小又はその成長の停止に不十分であるにもかかわらず、腫瘍内のより高い炎症誘発環境に寄与する細胞損傷が依然として存在し、それにより、エフェクターT細胞の動員及び活性を促進することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、化学療法薬を、免疫感作開始前1週間のうちに投与する。腫瘍中に存在するTregが枯渇し、免疫感作プロトコールがTregの生成に偏っているので、強いエフェクター応答が得られ、腫瘍の縮小又は根絶が認められる。本発明の他の実施形態では、化学療法薬を、誘導段階と増幅段階との間、増幅組成物の治療単位の間、又は治療サイクルの間に投与する。これらの各場合の好ましい実施形態では、化学療法を、次の免疫感作治療単位開始の約1週間前(6、7、8、又は9日前)に開始する。化学療法薬を複数回投与すべき場合には、一般に、次の免疫感作治療単位開始の0、1、又は2日前にその前の用量を投与することが好ましい。
【0040】
上記の種々の実施形態では、他の癌療法に多様に関連して併用療法を行う。治癒可能性を増大させるためのアジュバント設定で使用することができる。すなわち、腫瘍切除処置(例えば、外科的切除、放射線、又は癌細胞に直接的に細胞傷害性を示す用量での化学療法等であるがこれらに限定されない)によって癌を完全に寛解することができる。その後に併用療法に着手し、それにより、再発率が減少し、無病生存の間隔が増大する。種々の実施形態では、併用プロトコールを、初期治療の完了から4日以内、1週間以内、又は2週間以内に開始することが好ましい。いくつかであるが全てではない実施形態(初期治療として直接化学療法を含む)では、化学療法薬をさらに投与する必要はなく、このさらなる投与は記載の間隔内で開始する併用療法の免疫感作の一部である。
【0041】
他の実施形態では、一般に、あまり巨大でない病変の場合、併用療法を、ネオアジュバント設定で使用することができる。すなわち、併用療法の少なくとも1つの治療サイクルを、腫瘍切除処置(例えば、手術、放射線、又は直接化学療法等であるが、これらに限定されない)前に完了する。種々の実施形態では、腫瘍切除処置を、治療サイクルの完了の4日以内、1週間以内、又は2週間以内に開始する。これらの患者は、同一部位又は離れた部位での寛解率が完全及び部分的に増加し、再発率が減少し、さらに、無病生存率の中央値が増加する。
【0042】
さらに他の実施形態では、併用療法を、地固め療法として使用する。これは、必ずしも完全な寛解を達成しないこと以外は上記アジュバント設定に類似する。併用療法により、増殖抑制期間及び無増悪生存率を増大させ(部分的寛解の場合)、再発期間を増大させる(完全寛解の場合)。
【0043】
さらに他の実施形態では、併用療法を、補助療法として使用することができる(すなわち、処置の有効性を増大させるために腫瘍切除処置とさらに併用する)。一次処置が完了するまで併用療法を開始しない上記の補助療法と対照的に、ここでは、2つの処置を共に使用して、応答率(すなわち、部分的又は完全な寛解率)を増加させる。2つの処置の実際のスケジュールは、上記と類似し得るが、併用療法の治療サイクルを、一次処置ラウンド(化学療法又は放射線等)と交互に行うことができる。別の実施形態では、併用療法の治療サイクルの間、好ましくは、誘導段階と増幅段階との間又は増幅組成物の治療単位の間に行うことができる。
【0044】
本明細書中に開示される本発明の実施形態は、抗腫瘍CTL応答を初回刺激するようにデザインされたプラスミドのリンパ管内投与によってin situでAPCを標的化し、その後にペプチドエピトープで追加免疫して抗原特異的T細胞プールを劇的に拡大及び活性化し、化学療法薬を、標的化ステップ又は追加免疫ステップの前、間、又は後に投与することによる、当該技術分野の欠点を克服するための新規のアプローチを提供する。特定の実施形態では、化学療法薬はシクロホスファミドである。
【0045】
いくつかの実施形態は、例えば、標的細胞に特異的な免疫細胞の生成、標的細胞に対する有効な免疫応答の誘導、又は増殖性細胞障害への作用/治療のための方法及び組成物を提供する。増殖性細胞障害には、例えば、癌又は腫瘍(前立腺癌、卵巣癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、又は腎臓癌等であるが、これらに限定されない)が含まれる。
【0046】
方法及び組成物には、例えば、免疫原性組成物(ワクチン及び治療薬等)が含まれ、予防方法及び治療方法も含まれ得る。抗原形態の選択により、投与される順序及び時機、二次リンパ器官への抗原の直接送達、免疫応答の規模だけでなく定性的性質を管理することができ、このアプローチのさらなる療法ストラテジー(化学療法等)との併用により、治療有効性が増大する。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態は、化学療法薬と併用して使用するためのT細胞応答を同調及び増幅するための組成物及び方法に関する。例えば、かかる方法は、免疫原をコードする核酸を含む組成物を動物に送達させる同調ステップを含むことができる。組成物を、動物上の種々の位置に送達させることができるが、好ましくは、リンパ系(例えば、リンパ節又はリンパ排液領域)に送達させる。同調ステップは、組成物の1回又は複数回の送達(例えば、一定期間にわたる拡大又は一定期間にわたる連続様式での拡大)を含むことができる。好ましくは、本方法は、エピトープペプチド免疫原を含む組成物を投与することを含む増幅ステップをさらに含むことができる。増幅ステップを、例えば、一定期間にわたって周期的に、単回ボーラス、又は一定期間にわたって連続的に1回又は複数回行うことができる。全ての実施形態で必要ではないが、増幅ステップのいくつかの実施形態は、免疫賦活薬又はアジュバントを含む組成物の使用を含むことができる。化学療法薬を、同調用量又は増幅用量のいずれかの前、間、又は後に投与することができる。一実施形態では、同調用量の前又は後である。
【0048】
以下の応用形態の各開示(全ての方法、図、及び組成物を含む)は、その全体が本明細書に参照により援用される:米国特許仮出願第60/479,393号(2003年6月17日出願、表題「MHCクラスI拘束免疫応答の調節方法(METHODS TO CONTROL MHC CLASS I-RESTRICTED IMMUNE RESPONSE)」)、米国特許出願第10/871,707号(
2004年6月17日出願)(公開番号20050079152)、米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)、米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願、これら3つ全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」)、米国特許出願第10/871,708号(公開番号20050118186)(2004年6月17日出願、表題「種々の癌型のための組成物における腫瘍関連抗原の組合せ(COMBINATIONS OF TUMOR-ASSOCIATED ANTIGENS IN COMPOSITIONS FOR VARIOUS TYPES OF CANCERS)」)、米国特許仮出願第60/640,598号(2004年12月29日出願)、及び米国特許出願第11/323,049号(公開番号20060159694)(2005年12月29日出願、共に表題「種々の癌型のための組成物における腫瘍関連抗原の組合せ(COMBINATIONS OF TUMOR-ASSOCIATED ANTIGENS IN COMPOSITIONS FOR VARIOUS TYPES OF CANCERS)」)(それぞれその全体が本明細書に参照により援用される)。また、以下の出願は、本発明の方法及び組成物と共に使用することができる方法及び組成物を含む。プラスミド及びプラスミド設計の原理は、米国特許出願第10/292,413号(公開番号20030228634A1)(表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びその設計方法(EXPRESSION VECTORS ENCODING EPITOPES OF TARGET ASSOCIATED ANTIGENS AND METHODS FOR THEIR DESIGN)」)(その全体が本明細書に参照により援用される)に開示され、さらなる方法論、組成物、ペプチド、及びペプチド類似体は、米国特許仮出願第60/581,001号(2004年6月17日出願)、米国特許出願第11/156,253号(公開番号20060063913)(表題「SSX−2ペプチド類似体(SSX-2 PEPTIDE ANALOGS)」)(それぞれその全体が本明細書に参照により援用される)、米国特許仮出願第60/580,962号(2004年6月17日出願)、米国特許出願第11/155,929号(公開番号20060094661)(2005年6月17日出願、表題「NY−ESOペプチド類似体(NY-ESO PEPTIDE ANALOGS)」)(それぞれその全体が本明細書に参照により援用される)、並びに米国特許出願第10/117,937号(公開番号20030220239)(2002年4月4日出願)及び同第10/657,022号(公開番号20040180354)(2003年9月5日出願、共に表題「エピトープ配列(EPITOPE SEQUENCES)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に開示されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、免疫原の性質及びそれが遭遇する状況によって、引き出される免疫応答はその特定の活性及び構成が異なり得る。特に、ペプチドを用いた免疫感作は細胞傷害性/細胞溶解性T細胞(CTL)応答を生成し得るが、さらなる注射によりこの応答をさらに増幅する試みは、その代わりに調節性T細胞集団の拡大及び観察可能なCTL活性の減少をもたらし得る。したがって付加的免疫増強活性を伴わずにリンパ節内の細胞表面に高MHC/ペプチド濃度を付与する組成物は、調節性又は寛容原性応答を意図的に促進するために用いられ得る。これに対比して、豊富な免疫修飾シグナルを提供する免疫原性組成物(例えばトール様受容体リガンド(又はそれらが誘導するサイトカイン/自己分泌因子))は、限定抗原のみを提供する場合でさえ、豊富な抗原(例えば注入ペプチド)とのその後の遭遇が観察された活性の性質を変えることなく応答を増幅するよう、応答を誘導するだけでなく、同様にそれを同調する。したがっていくつかの実施形態は、免疫応答プロフィール、例えば、得られた応答の種類並びに産生されたサイトカインの種類の制御に関する。いくつかの実施形態は、CTLの拡大又はさらなる拡大を促進するための方法及び組成物に関する。
【0050】
開示された方法は、ペプチドのみを用いる、又は同調及び増幅方法に従わない多数のプロトコールに対して有益である。上記のように、多数のペプチドベースの免疫感作プロトコール及びベクターベースのプロトコールは、Treg応答の上方制御によるCTL応答
増強という欠点を有する。それにもかかわらず、うまくいった場合、ペプチドベースの免疫感作又は免疫増幅ストラテジーは、他の方法、例えば特に或る微生物ベクターと比べて有利である。これは、より多くの複合ベクター、例えば生弱毒化ウイルス又は細菌ベクターが、有害な副作用、例えばin vivo複製又は組換えを誘導し得るか、又はベクターそれ自体に対する中和抗体の生成のために反復投与時に無力になる、という事実のためである。さらに、強力な免疫原に成るためにこのようにして利用される場合、ペプチドは、プロテアソーム媒介性プロセシングの必要性を回避することができる(タンパク質又はより複雑な抗原を用いる場合と同様に、「交差プロセシング」又はその後の細胞感染の状況において)。それは、ペプチドが得られる、MHCクラスI拘束提示のための複合抗原の細胞性プロセシングが、亜優勢エピトープを上回る優勢な(好ましい)エピトープを固有に選択して、妥当な標的に対応するエピトープの免疫原性を潜在的に妨害する現象であるためである。最後に、有効なペプチドベースの免疫感作は、免疫療法の開発の過程を簡単にし、短縮する。
【0051】
定義:
本明細書中の用語の使用の状況から明らかである場合を除いて、以下の列挙された用語は一般に、この説明の目的のために指示された意味を有するであろう。
【0052】
プロフェッショナル抗原提示細胞(pAPC)−T細胞同時刺激分子を保有し、T細胞応答を誘導し得る細胞。十分に特性化されたpAPCとしては、樹状細胞、B細胞及びマクロファージが挙げられる。
【0053】
末梢細胞−pAPCでない細胞。
【0054】
ハウスキーピングプロテアソーム−普通は末梢細胞中で活性であり、一般的にはpAPC中に存在しないか又は強活性でないプロテアソーム。
【0055】
免疫プロテアソーム−pAPCにおいて一般に活性であるプロテアソーム。免疫プロテアソームは感染組織中の、又はインターフェロンへの曝露後のいくつかの末梢細胞中でも活性である。
【0056】
エピトープ−抗体又は抗原受容体によって認識される抗原上の部位。T細胞エピトープはたんぱく質抗原由来の短いペプチドである。エピトープはMHC分子と結合し、且つ特定のT細胞によって認識される。好ましい実施形態では、本定義によるエピトープとしては、ポリペプチド及びポリペプチドをコードする核酸が挙げられ、この場合、ポリペプチドは免疫応答を刺激し得るが、必ずしもこれらに限定されない。その他の好ましい実施形態では、この定義によるエピトープとしては、細胞の表面上に提示されるペプチドが挙げられ、ペプチドは、T細胞受容体(TCR)と相互作用し得るよう、クラスI MHCの結合溝に非共有結合的に結合されるが、必ずしもこれに限定されない。クラスI MHCにより提示されるエピトープは、未熟又は成熟形態であり得る。「成熟」とは、ハウスキーピングエピトープを含むか又は本質的にそれらから成り得るが、プロセシング、例えば単独で又は組合せて、プロテアソーム消化、N末端トリミング又は外因性酵素活性の作用(これらに限定されない)により除去される一次翻訳産物中の他の配列も含む任意の前駆体(「未熟」)と区別してMHCエピトープを指す。したがって成熟エピトープは、やや長いポリペプチド中に埋め込まれて提供されることができ、その免疫学的可能性は、少なくとも一部は、埋込みエピトープによるものである。同様に、成熟エピトープは、TCRにより認識されるMHC結合溝中で結合され得るその最終形態で提供され得る。
【0057】
MHCエピトープ−哺乳類クラスI又はクラスII主要組織適合性複合体(MHC)分子に対する既知の又は予測される結合親和性を有するポリペプチド。いくつかの特に十分
に特性化されたクラスI MHC分子は、米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)、米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願、これら全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」)に提示されている。
【0058】
ハウスキーピングエピトープ−好ましい実施形態では、ハウスキーピングエピトープは、MHCエピトープであり、且つハウスキーピングプロテアソームが優勢に活性である細胞上に提示されるポリペプチド断片と定義される。別の好ましい実施形態では、ハウスキーピングエピトープは、上記の定義による、即ち1個〜数個のさらなるアミノ酸が隣接したハウスキーピングエピトープを含有するポリペプチドと定義される。別の好ましい実施形態では、ハウスキーピングエピトープは、上記の定義によるハウスキーピングエピトープをコードする核酸と定義される。例示的なハウスキーピングエピトープは、米国特許出願第10/117,937号(公開番号20030220239A1)(2002年4月4日出願)及び同第11/067,159号(公開番号20050221440A1)(2005年2月25日出願)、同第11/067,064号(公開番号20050142144A1)(2005年2月25日出願)、及び同第10/657,022号(公開番号20040180354A1)(2003年9月5日出願)、並びにPCT出願PCT/US2003/027706号(公開番号WO2004/022709A2)(2003年5月9日出願)、並びに米国特許仮出願第60/282,211号(2001年4月6日出願)、同第60/337,017号(2001年11月7日出願)、同第60/363,210号(2002年3月7日出願)及び同第60/409,123号(2002年9月6日出願)に提示されている。列挙された出願は各々、「エピトープ配列(EPITOPE SEQUENCES)」と表題を付けられている。このパラグラフで述べた出願はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0059】
免疫エピトープ−好ましい実施形態では、免疫エピトープは、MHCエピトープであり、且つ免疫プロテアソームが優勢に活性である細胞上に提示されるポリペプチド断片と定義される。別の好ましい実施形態では、免疫エピトープは、上記の定義による、即ち1個〜数個のさらなるアミノ酸が隣接した免疫エピトープを含有するポリペプチドと定義される。別の好ましい実施形態では、免疫エピトープは、クラスI MHCに対する既知の又は予測される親和性を有する少なくとも2つのポリペプチド配列を有するエピトープクラスター配列を含むポリペプチドと定義される。さらに別の好ましい実施形態では、免疫エピトープは、上記の定義のいずれかによる免疫エピトープをコードする核酸と定義される。
【0060】
標的細胞−好ましい実施形態では、標的細胞は、例えばウイルス又はその他の細胞内寄生生物に感染した細胞、又は新生細胞等の、免疫系の構成成分により作用され得る病原状態に関連した細胞である。別の実施形態では、標的細胞は本発明のワクチン及び方法により標的化される細胞である。この定義による標的細胞の例としては、新生細胞及び細胞内寄生生物、例えばウイルス、細菌又は原生動物が寄生する細胞が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。標的細胞としては、適正なエピトープ遊離並びに免疫プロテアソームを発現する細胞によるプロセシングを確定するか又は確証するための、所望のエピトープに対するT細胞特異性又は免疫原性を確定するための検定の一部としてCTLにより標的化される細胞も挙げられ得る。このような細胞は遊離配列を発現するよう形質転換されることができ、又は細胞は単にペプチド/エピトープでパルス標識され得る。
【0061】
標的関連抗原(TAA)−標的細胞中に存在するタンパク質又はポリペプチド。
【0062】
腫瘍関連抗原(TuAA)−標的細胞が新生細胞であるTAA。
【0063】
HLAエピトープ−ヒトクラスI又はクラスII HLA複合体分子に対する既知の又は予測される結合親和性を有するポリペプチド。特に十分に特性化されたクラスI HLAは、米国特許仮出願第60/640,402号(2004年12月29日出願)、米国特許出願第11/323,572号(公開番号20060165711)(2005年12月29日出願、これら全ての表題「予防又は治療目的のためのMHCクラスI拘束エピトープに対する免疫応答を引き出し、増強し、保持する方法(METHODS TO ELICIT, ENHANCE AND SUSTAIN IMMUNE RESPONSES AGAINST MHC CLASS I-RESTRICTED EPITOPES, FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC PURPOSES)」)に提示されている。
【0064】
抗体−生化学的に得られるか、又は組換えDNAの使用によるか又は任意のその他の手段によるものであれ、全部又は一部、Ig結合ドメインから成る天然免疫グロブリン(Ig)、ポリ又はモノクローナル、或いは任意の分子。例としては、とりわけ、F(ab)、一本鎖Fv、及びIg可変部−ファージ被覆タンパク質融合物が挙げられる。
【0065】
実質的類似性−この用語は、配列の検査により判定した場合に、重要でない様式で参照配列と異なる配列を指すために用いられる。同一アミノ酸配列をコードする核酸配列は、縮重位置の違い又は任意の非コード領域の長さ又は組成の小差にもかかわらず、実質的に類似する。保存的置換又はわずかな長さ変動のみが異なるアミノ酸配列は、実質的に類似している。さらに、N末端隣接残基の数が異なるハウスキーピングエピトープ、或いはいずれかの末端の隣接残基の数が異なる免疫エピトープ及びエピトープクラスターを含むアミノ酸配列は、実質的に類似する。実質的に類似のアミノ酸配列をコードする核酸は、それ自体も実質的に類似する。
【0066】
機能的類似性−この用語は、生物学的又は生化学的特性試験により判定した場合に、重要でない様式で参照配列と異なる配列を指すために用いられるが、配列は実質的に類似しない場合がある。例えば2つの核酸は、同一配列のためのハイブリダイゼーションプローブとして有用であり得るが、異なるアミノ酸配列をコードする。交差反応性CTL応答を誘導する2つのペプチドは、それらが非保存的アミノ酸置換により異なる場合でさえ、機能的に類似する(したがって、実質的類似性定義内であり得ない)。同一エピトープを認識する抗体対又はTCRは、どんな構造的差異が存在しようと、互いに機能的に類似であり得る。免疫原性の機能的類似性に関する試験は、「変性」抗原で免疫感作し、標的抗原を認識する誘発応答、例えば抗体応答、CTL応答、サイトカイン産生等(これらに限定されない)の能力を試験することにより実行され得る。したがって2つの配列は、同一機能を保持しながら、或る点で異なるよう設計され得る。開示された又は特許請求された配列のこのように設計された配列変異体は、本発明の実施形態の1つである。
【0067】
発現カセット−プロモーター並びにその他の転写及び翻訳制御素子、例えばエンハンサー、終了コドン、内部リボソーム進入部位及びポリアデニル化部位(これらに限定されない)に操作可能的に連結されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列。カセットは、一宿主分子から別の分子にそれを動かすのを促す配列も包含し得る。
【0068】
埋込みエピトープ−いくつかの実施形態では、埋込みエピトープは、長いポリペプチド内に全体的に含入されるエピトープである。他の実施形態では、この用語は、エピトープが長いポリペプチドに関して内部位置に全体的に存在しないよう、N末端又はC末端のみが埋め込まれるエピトープも包含し得る。
【0069】
成熟エピトープ−エピトープがMHCペプチド結合溝中に結合される場合に存在する以
上の付加的配列を有さないペプチド。
【0070】
エピトープクラスター−共有MHC拘束因子に対する結合親和性を有する2つ以上の既知の又は予測されるエピトープを含むタンパク質配列、例えばネイティブタンパク質配列の一セグメントであるポリペプチド又はそれをコードする核酸配列。好ましい実施形態では、クラスター内のエピトープの密度は、完全タンパク質配列内の共有MHC拘束因子に対する結合親和性を有する全ての既知の又は予測されるエピトープの密度より大きい。エピトープクラスターは、米国特許出願第09/561,571号(表題「エピトープクラスター(EPITOPE CLUSTERS)」)(2000年4月28日出願)に開示され、より詳細に定義されている(参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0071】
遊離配列−例えば免疫プロテアソーム活性、N末端トリミング及び/又はその他の過程又は活性を含めた、単独での又は任意の組合せでの、プロセシング活性によりハウスキーピングエピトープを遊離させる状況を提供する大型配列中に埋め込まれたハウスキーピングエピトープを含むか又はコードする、設計又は工学処理配列。
【0072】
CTLp−CTL前駆体は、細胞溶解活性を示すために誘発され得るT細胞である。CTLpが一般的に観察される二次in vitro溶解活性は、ナイーブ、エフェクター及びメモリーCTLのin vivoでの任意の組合せから生じ得る。
【0073】
メモリーT細胞−抗原により予め活性化されたT細胞は、身体中のその位置とは関係なく、静止中の生理学的状態にあり、エフェクター機能を獲得するために抗原への再曝露を要する。表現型的には、それらは一般にCD62L-CD44hiCD107α-IFN−γ-LTβ-TNF−α-であり、細胞周期のG0にある。
【0074】
エフェクターT細胞−抗原との遭遇時に、エフェクター機能を容易に示すT細胞。エフェクターT細胞は一般に、リンパ系を出て、免疫学的末梢に進入し得る。表現型的には、それらは一般にCD62L-CD44hiCD107α+IGN−γ+LTβ+TNF−α+であり、活発に循環中である。
【0075】
エフェクター機能−一般に、細胞溶解性活性の獲得及び/又はサイトカイン分泌を一般に含むT細胞活性化。
【0076】
T細胞応答の誘導−多数の実施形態においては、ナイーブ細胞、又はいくつかの状況では静止中細胞からT細胞応答を生成して、T細胞を活性化する過程を包含する。
【0077】
T細胞応答の増幅−多数の実施形態においては、細胞の数、活性化細胞の数、活性のレベル、増殖の速度、又は特定の応答に関与するT細胞の類似のパラメーターを増大する過程を包含する。
【0078】
同調−多数の実施形態においては、T細胞の誘導性結合の免疫プロフィールに特定の安定性を付与する誘導を包含する。さまざまな実施形態においては、用語「同調」は「誘発」及び/又は「開始」に相当し得る。
【0079】
トール様受容体(TLR)−トール様受容体(TLR)は、微生物の特定の構成成分及び或る種の宿主分子により活性化されるパターン認識受容体の一ファミリーである。生得の免疫系の一部として、それらは多数の病原体に対する最前線の防御に寄与するだけでなく適応免疫においても役割を果たす。
【0080】
トール様受容体(TLR)リガンド−トール様受容体を結合し、活性化し得る任意の分
子。例としては、インターフェロンを誘導することに関して既知のポリIC合成二本鎖RNAが挙げられるが、これに限定されない。ポリマーは、ポリイノシン酸及びポリシチジル酸の各々の一鎖、二本鎖RNA、非メチル化CpGオリゴデオキシリボヌクレオチド又はその他の免疫刺激配列(ISS)、リポ多糖(LPS)、β−グルカン及びイミダゾキノリン、並びにその誘導体及び類似体から作られる。
【0081】
免疫増強アジュバント−pAPC又はT細胞を活性化するアジュバント、例えば:TLRリガンド、飲食作用パターン認識受容体(PRR)リガンド、キラヤサポニン、ツカレソール、サイトカイン等を含む。いくつかの好ましいアジュバントは、Marciani, D.J. Drug Discovery Today 8: 934-943, 2003に開示されている(参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0082】
免疫刺激配列(ISS)−一般に非メチル化CpG配列を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド。CpGは、細菌性産生DNA、特にプラスミド中にも埋め込まれ得る。さらなる実施形態は、種々の類似体を包含する。特に好ましい実施形態は、1つ又は複数のホスホロチオエート結合又は非生理学的塩基を有する分子である。
【0083】
ワクチン−好ましい実施形態では、ワクチンは、疾患の予防を提供するか又は手助けする免疫原性組成物であり得る。他の実施形態では、ワクチンは、疾患の治癒を提供するか又は手助けし得る組成物である。他の実施形態では、ワクチン組成物は、疾患の改善を提供するか又は手助けし得る。ワクチン免疫原性組成物のさらなる実施形態は、治療薬及び/又は予防薬として用いられ得る。
【0084】
免疫感作−疾患に対する部分的又は完全防御を誘導するための方法。代替的には抗原に対する免疫系応答を誘導するか又は増幅するための方法。第2の定義では、この方法は、防御的免疫応答、特に炎症誘発性又は能動免疫を意味し得るが、調節的応答も含み得る。したがっていくつかの実施形態では、免疫感作は寛容化(免疫系が炎症誘発性又は能動免疫の産生を回避する方法)とは区別され、一方、他の実施形態では、この用語は寛容化を包含する。
【0085】
主要組織適合性複合体及びT細胞標的認識並びにクラスI及びクラスII MHC分子、HLA−A及びHLA−B抗原の推定遺伝子頻度、並びにCT遺伝子は、米国特許出願第11/323572号(公開番号20060165711号)(2005年12月29日出願)(全体が本明細書に参照により援用される)に記載されている。
【0086】
本発明で使用するための標的抗原
本発明の実施形態は、免疫療法プロトコールが被験体におけるT細胞応答の誘導のための免疫原を含む、化学療法ストラテジーと併用した免疫療法プロトコールを提供する。かかる免疫原は、抗原を含むか又はコードする。
【0087】
本発明の実施形態で使用するための抗原には、非限定的な様式で、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、及びその誘導体が含まれてもよく、非ペプチド高分子も含まれ得る。抗原を、場合によって、CTL応答(細胞性免疫応答とも呼ばれる)(すなわち、標的細胞(例えば、悪性腫瘍細胞又は病原体感染細胞)が溶解する免疫系による細胞傷害性反応)を誘導するように処置される被験体で見出される特定の疾患に適合することができる。本発明はまた、標的関連抗原を意図する。例えば、標的は、任意の新生物細胞及び癌の間質腫瘍細胞、及び病原体感染細胞等であり得る。病原体感染細胞には、例えば、細菌、ウイルス、原生動物、及び真菌等に感染しているか、例えば、プリオンに影響を受けた細胞が含まれ得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗原には、当業者に既知であるような腫瘍抗原(腫瘍特異的抗原(TSA)又は腫瘍関連抗原(TAA)等が含まれる)が含まれ得る。さらなる抗原には、分化抗原、胚抗原、精巣癌抗原、癌遺伝子及び変異腫瘍抑制遺伝子の抗原、染色体転座に起因する固有の腫瘍抗原、ウイルス抗原、及び当業者に現在又は将来的に明らかであり得る他の抗原が含まれる。さらに他の抗原には、感染症を罹患した生物中で見出される抗原(構造ウイルスタンパク質及び非構造ウイルスタンパク質等)が含まれる。本発明で意図される潜在的な標的微生物には、肝炎ウイルス(例えば、C型、B型、及びδ型)、ヘルペスウイルス、HIV、HTLV、HPV、及びEBV等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原及びウイルス抗原の両方であるHPV16 E74957抗原を使用する。
【0089】
本発明の他の実施形態では、巨大タンパク質ベースの抗原を使用することができる。かかる抗原には、以下が含まれる:分化抗原(MART−1/MelanA(MART−I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、及び腫瘍特異的多系列抗原(MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15等)等);過剰発現胚抗原(CEA等);過剰発現癌遺伝子及び変異腫瘍抑制遺伝子(p53、Ras、HER−2/neu等);染色体転座に起因する固有の腫瘍抗原(BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR等);及びウイルス抗原(エプスタイン・バーウイルス抗原(EBVA及びヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7等)。他の巨大タンパク質ベースの抗原には、以下が含まれ得る:TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、RAGE、NY−ESO、p185erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23HI、PSA、TAG−72、CA 19−9、CA 72−4、CAM 17.1、NuMa、K−ras、β−Catenin、CDK4、Mum−1、p15、p16、43−9F、5T4、791Tgp72、α−フェトプロテイン、β−HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15−3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA−50、CAM43、CD68\KP1、CO−029、FGF−5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、PLA2、TA−90\Mac−2結合タンパク質\シクロフィリンC会合タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、及びTPS。タンパク質ベースの抗原は、一般に、当業者に既知である。
【0090】
本発明の他の実施形態では、8〜15アミノ酸長のペプチド抗原を使用することができる。かかるペプチドは、より大きな抗原のエピトープであり得る(すなわち、MHC/HLA分子によって提示され、例えば、抗原受容体又はT細胞受容体によって認識することができるより大きな分子上の部位に対応するアミノ酸配列を有するペプチド)。これらのより小さなペプチドは、当業者に利用可能であり、米国特許第5,747,269号及び同第5,698,396号;並びにPCT出願PCT/EP95/02593号(1995年7月4日出願)及び同第PCT/DE96/00351号(1996年2月26日出願)(全て、本明細書に参照により援用される)の教示に従うことによって得ることができる。エピトープ発現へのさらなるアプローチは、米国特許第6,037,135号及び同第6,861,234号(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に記載されている。
【0091】
一般に、T細胞によって最終的に認識される抗原はペプチドであるが、免疫原性調製物として実際に投与した抗原の形態は、ペプチド自体である必要はない。投与する場合、エピトープペプチド(複数可)は、完全なタンパク質抗原、そのいくつかのセグメント、又はいくつかの操作配列にかかわらず、より大きなポリペプチド内に存在することができる。操作配列には、抗体又はウイルスキャプシドタンパク質等のいくつかのキャリア配列に
組み込まれたポリペプチド及びエピトープが含まれ得る。かかるより長いポリペプチドには、米国特許出願第09/561,571号(表題「エピトープクラスター(EPITOPE CLUSTERS)」)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載のエピトープクラスターが含まれ得る。エピトープペプチド又はこれが含まれるより長いポリペプチドは、微生物(例えば、ウイルス、細菌、原生動物等)の成分又は哺乳類細胞(例えば、腫瘍細胞又は抗原提示細胞)、又は上記の任意の溶解物(全精製又は部分精製)であり得る。エピトープペプチドを、他のタンパク質(例えば、熱ショックタンパク質)との複合体として使用することができる。エピトープペプチドはまた、脂質化等によって共有結合的に修飾することができるか、合成化合物の成分(デンドリマー、多抗原ペプチド系(MAPS)、及びポリオキシム等)を作製することができるか、リポソーム又はミクロスフィア等に組み込むことができる。
【0092】
以下の考察は、本発明の態様の実施についての本発明の理解又は所見を記述する。しかしながらこの考察は、特許請求の範囲に記述されていない実施についてのいかなる特定の理論にも本特許を限定するものではない。
【0093】
腫瘍過程又は微生物感染の有効な免疫媒介性制御は一般に、移動、エフェクター機能及びメモリー細胞への分化といったような多数の能力を付与された抗原特異的T細胞の誘導及び拡大を包含する。免疫応答の誘導は、種々の方法により試みられ、異なる形態の抗原の投与を包含し、免疫応答の大きさ及び質に種々の作用を及ぼす。免疫応答の制御を達成する場合の一限定因子は、プロセシングし、その結果生じるエピトープを特定T細胞に有効に提示し得るpAPCをターゲッティングすることである。
【0094】
この問題の解決は、二次リンパ系器官、pAPCに富む微小環境及びT細胞への直接抗原送達である。抗原は、例えばポリペプチドとして、又は発現抗原として、任意の種々のベクターにより送達され得る。免疫の大きさ及び質に関する結果は、例えばベクターの投与量、処方、性質、並びに分子環境を含めた因子により制御され得る。本発明の実施形態は、免疫応答の制御を増強し得る。免疫応答の制御は、例えば調節的応答から炎症誘発性応答まで、必要に応じて異なる種類の免疫応答を誘導する能力を包含する。好ましい実施形態は、能動免疫療法のための大きな関心であるMHCクラスI拘束エピトープに対する応答の大きさ及び質の制御増強を提供する。
【0095】
従来の免疫感作方法は、一定の重要な制限を示した。第1に、非常にしばしば、ワクチンの力価に関する結論は、超高感度読み出し検定のうちの1つから、又は非常に限定されたパネルから生成された免疫原性データから推定された。しばしば、予防接種レジメンの推測力価にもかかわらず、臨床応答は有意でないか又は最適状態であった。第2に、免疫感作後、T調節細胞は、より慣用的なTエフェクター細胞と共に、生成され且つ/又は拡大され、このような細胞は所望の免疫応答の機能を妨害する可能性がある。能動免疫療法におけるこのようなメカニズムの重要性は、近年認識されてきたに過ぎない。
【0096】
免疫原の結節内投与は、免疫応答の大きさ及びプロフィールの制御のための基礎を提供する。このような投与の結果として成し遂げられるpAPCの有効in vivo負荷は、その最も簡単な形態で、即ちペプチドエピトープで、そうでなければ一般に不十分な薬物動態に関連した抗原を用いることによってさえ、免疫の実質的大きさを与えることを可能とする。応答の質は、免疫原の性質、ベクター及び免疫感作のプロトコールにより、さらに制御され得る。このようなプロトコールは、腫瘍過程における応答を増強し/変更するために適用され得る。
【0097】
免疫感作は従来、免疫応答の大きさを増大するために抗原の反復投与によってきた。DNAワクチンの使用は、高い質の応答を生じたが、反復追加免疫用量を用いた場合でさえ
、このようなワクチンを用いて高度の大きさの応答を得ることは困難であった。応答の両特質、即ち高い質及び低い大きさは、これらのベクターを用いて達成されるMHC上の相対的に低レベルのエピトープ負荷によるものと思われる。その代わりに、臨床的有用性に必要とされる応答の高度の大きさを達成するために、生ウイルスベクター中にコードされた抗原を用いてこのようなワクチンを追加免疫することは、より一般的になってきた。しかしながら生ベクターの使用は、例えば潜在的安全性問題、前の投与により誘導されたベクターに対する体液性応答のための後期追加免疫の有効性低減、並びに作製及び製造の経費を含めたいくつかの欠点を伴う可能性がある。したがって生ベクター又はDNA単独の使用は、高い質の応答を引き出すが、応答の大きさを限定的とするか又は応答の継続性をもたらす可能性がある。
【0098】
本明細書中に開示されるのは、ペプチドに適用される場合、それらを免疫療法ツールとして有効にさせるプロトコール並びに方法に関する実施形態である。このような方法は、ペプチドの貧PKを回避し、特定の、そしてしばしば特定のより複雑なレジメンの状況で適用される場合、免疫応答の強固な増幅及び/又は制御を生じる。好ましい実施形態では、リンパ系器官へのペプチドの直接投与は、Tc1細胞から成る強力な免疫応答、中等度の免疫応答、又は軽度の免疫応答さえ(従来の技法による検出のレベルで又はそれより低いレベルで)誘導するプライミング剤後に、免疫応答の予期せぬ強力な増幅を生じる。本発明の好ましい実施形態は免疫感作の全ての段階で抗原のリンパ内投与又はリンパ外投与を用い得る一方、アジュバント無含有ペプチドのリンパ内投与が最も好ましい形態である。リンパ内投与を利用するペプチド増幅は、予め誘導されているであろう現存免疫応答に適用され得る。先の誘導は、抗原への天然曝露により、又は一般的に用いられる投与経路、例えば皮下、皮内、腹腔内、筋肉内及び粘膜投与(これらに限定されない)により生じ得る。
【0099】
本明細書中にも示されるように、その後に特異的T細胞が拡大される至適開始は、同時刺激が豊富な状況下(リンパ節等)での限られた量の抗原(しばしばプラスミドコード抗原の発現の制限に起因し得る)へのナイーブT細胞の曝露によってより良好に達成することができる。これにより、抗原提示細胞上でのMHC−ペプチド複合体を高親和性で認識するT細胞受容体を保有するT細胞を活性化し、その後の刺激に対してより高い反応性を示すメモリー細胞を生成することができる。免疫増強薬の使用によって有利な同時刺激環境を、増大させるか又は確実にすることができ、それにより、利点はあるものの、全ての実施形態で免疫応答の開始にリンパ内投与が必要というわけではない。誘導/同調のためのエピトープペプチドの使用を含む実施形態では、特に直接リンパ内投与を使用する場合、提示が制限されるように比較的低投薬量のペプチド(増幅用量又はMHC飽和濃度と比較した場合)を使用することができることが好ましい。このような実施形態は、一般に、同調を達成するための免疫賦活薬の含有を包含する。
【0100】
遊離ペプチドの不十分な薬物動態はほとんどの投与経路においてそれらの使用を妨げたが、2次リンパ系器官、特にリンパ節への直接投与は、連続注入又は高頻度(例えば毎日)注射により多少継続的に抗原のレベルが保持される場合、有効であることが立証された。CTLの生成のためのこのような結節内投与は、米国特許出願第09/380,534号及び同第09/776,232号(公開番号20020007173A1)、現在は米国特許第6,977,074号及び同第11/313,152(公開番号20060153858)(2005年12月19日出願)、並びにPCT出願PCT/US98/14289(公開番号WO9902183A2)(各々、表題「CTL応答の誘導方法(METHOD OF INDUCING A CTL RESPONSE)」)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に教示されている。本発明のいくつかの実施形態では、ペプチドの結節内投与は、プラスミドDNAワクチンで最初に誘導された応答を増幅するのに有効であった。さらにサイトカインプロフィールは異なり、プラスミドDNA誘導/ペプチド増幅に関しては、一般に
DNA/DNA又はペプチド/ペプチドプロトコールよりも大きいケモカイン(化学誘引物質サイトカイン)及びより低い免疫抑制性サイトカイン産生を生じた。
【0101】
したがって、このようなDNA誘導/ペプチド増幅プロトコールは、組成物(癌及び慢性感染症のための治療ワクチンが含まれる)の有効性を改善することができる。このような免疫療法のための有利なエピトープ選択原理は、米国特許出願第09/560,465号、同第10/026,066号(公開番号20030215425A1)、同第10/005,905号(2001年11月7日出願)、同第10/895,523号(公開番号20050130920A1)(2004年7月20日出願)、及び同第10/896,325号(公開番号 )(2004年7月20日出願)(全て表題「抗原提示細胞におけるエピトープ同調(EPITOPE SYNCHRONIZATION IN ANTIGEN PRESENTING CELLS)」)、同第09/561,074号(現在、米国特許第6,861,234号)、同第10/956,401号(公開番号20050069982A1)(2004年10月1日出願)(共に表題「エピトープ発見方法(METHOD OF EPITOPE DISCOVERY)」)、同第09/561,571号(2000年4月28日出願、表題「エピトープクラスター(EPITOPE CLUSTERS)」)、同第10/094,699号(公開番号20030046714A1)(2002年3月7日出願)、同第11/073,347号(公開番号20050260234)(2005年6月30日出願)(それぞれ、「癌のための抗新生血管系調製物(ANTI-NEOVASCULATURE PREPARATIONS FOR CANCER)」)、同第10/117,937号(公開番号20030220239A1)(2002年4月4日出願)、同第11/067,159号(公開番号20050221440A1)(2005年2月25日出願)、同第10/067,064号(公開番号20050142114A1)(2005年2月25日出願)、同第10/657,022号(公開番号20040180354A1)、及びPCT出願PCT/US2003/027706号(公開番号WO04/022709A2)(それぞれ、表題「エピトープ配列(EPITOPE SEQUENCES)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に開示されている。ワクチンプラスミドの全体的設計の態様は、米国特許出願第09/561,572号(2000年4月28日出願)、同第10/225,568号(公開番号20030138808A1)(2002年8月20日出願)(共に表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター(EXPRESSION VECTORS ENCODING EPITOPES OF TARGET-ASSOCIATED ANTIGENS)」)、同第10/292,413号(公開番号20030228634A1)、同第10/777,053号(公開番号20040132088A1)(2004年2月10日出願)、及び同第10/837,217号(公開番号20040203051)(2004年4月30日出願)(全て表題「標的関連抗原のエピトープをコードする発現ベクター及びそれらの設計方法(EXPRESSION VECTORS ENCODING EPITOPES OF TARGET-ASSOCIATED ANTIGENS AND METHODS FOR THEIR DESIGN)」);同第10/225,568号(公開番号20030138808A1)、PCT出願PCT/US2003/026231(公開番号WO2004/018666)及び米国特許第6,709,844号、及び米国特許出願第10/437,830号(公開番号20030180949A1)(2003年5月13日出願)(それぞれ、表題「プラスミド増殖における望ましくない複製中間体の回避(AVOIDANCE OF UNDESIRABLE REPLICATION INTERMEDIATES IN PLASMID PROPAGATION)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に開示されている。特定の癌に対して免疫応答を向ける場合の特定の利点の特異抗原組合せは、米国特許仮出願第60/479,554号(2003年6月17日出願)、米国特許出願第10/871,708号(公開番号20050118186A1)(2004年6月17日出願)、PCT特許出願PCT/US2004/019571号(公開番号WO2004/112825)、米国特許仮出願第60/640,598号(2005年12月29日出願)、米国特許出願第11/323,049号(公開番号20060159694)(2005年12月29日出願、全て表題「種々の種類の癌のためのワクチン中の腫瘍関連抗原の組合せ(COMBINATIONS
OF TUMOR-ASSOCIATED ANTIGENS IN VACCINES FOR VARIOUS TYPES OF CANCERS)」)(そ
れぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に開示されている。BRMのリンパ内投与の使用及び利点は、米国特許仮出願第60/640,727号(2005年12月29日出願)及び米国特許出願第11/321,967号(公開番号20060153844)(2005年12月29日出願、共に表題「リンパ器官への生物学的応答調節物質の標的化投与によって免疫応答を誘発し、維持し、操作する方法(Methods to trigger, maintain and manipulate immune responses by targeted administration of biological response modifiers into lymphoid organs)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に開示されている。さらなる方法論、組成物、ペプチド、及びペプチド類似体は、米国特許出願第09/999,186号(2001年11月7日出願、表題「抗原の商品化方法(METHODS OF COMMERCIALIZING AN ANTIGEN)」)、並びに米国特許仮出願第60/640,821号(2005年12月29日出願)及び米国特許出願第11/323,520号(公開番号 )(2005年12月29日出願、共に表題「免疫応答の誘導におけるCD4+細胞の迂回方法(METHODS TO BYPASS CD4+ CELLS IN
THE INDUCTION OF AN IMMUNE RESPONSE)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に開示されている。
【0102】
他の関連する開示は、米国特許出願第11/156,369号(公開番号20060057673)及び米国特許仮出願第60/691,889号(共に2005年6月17日出願、共に表題「エピトープ類似体(EPITOPE ANALOGS)」)(それぞれ、本明細書に参照により援用される)に存在する。同様に、米国特許仮出願第60/691,579号(2005年6月17日出願、表題「癌細胞及び腫瘍基質上に発現した優勢及び亜優勢エピトープに対する多価免疫応答を引き出すための方法及び組成物(METHODS AND COMPOSITIONS TO ELICIT MULTIVALENT IMMUNE RESPONSES AGAINST DOMINANT AND SUBDOMINANT EPITOPES, EXPRESSED ON CANCER CELLS AND TUMOR STROMA)」)、及び同第60/691,581号(2005年6月17日出願、表題「癌腫のための多価同調−増幅免疫療法(MULTIVALENT ENTRAIN-AND-AMPLIFY IMMUNOTHERAPEUTICS FOR CARCINOMA)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)も関連する。
【0103】
組換えDNA同調投与の特定の順序とその後のリンパ系器官に投与されたペプチド追加免疫を包含するプロトコールは、例えば、感染性又は新生物性疾患の予防又は治療のための、強力なT細胞応答の誘導、増幅及び保持の目的のために有用である。このような疾患は、癌腫(例えば腎臓、卵巣、乳房、肺、結腸直腸、前立腺、頭部及び頚部、膀胱、子宮、皮膚)、黒色腫、種々の起源の腫瘍、並びに概して、限定腫瘍関連抗原又は限定可能な腫瘍関連抗原を発現する腫瘍、例えば腫瘍胎児性(例えばCEA、CA19−9、CA125、CRD−BP、Das−1、5T4、TAG−72等)、組織分化(例えばMelanA、チロシナーゼ、gp100、PSA、PSMA等)又は癌−精巣抗原(例えばPRAME、MAGE、LAGE、SSX−2、NY−ESO−1等)であり得る。癌−精巣遺伝子及びがん治療に関するそれらの関連性は、Scanlon et al., Cancer Immunity 4:
1-15, 2004で検討されている(参照によりその全体が本明細書に援用される)。腫瘍新生血管系に関連する抗原(例えばPSMA、VEGFR2、Tie−2)も、米国特許出願第10/094,699号(公開番号20030046714A1)及び同第11/073,347号(公開番号20050260234)(2005年6月30日出願)(表題「癌のための抗新生血管系調製物(ANTI-NEOVASCULATURE PREPARATIONS FOR CANCER)」)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されているように、癌性疾患との結びつきにおいても有用である。
【0104】
同調及び増幅方法の好ましい用途としては、好ましくは免疫学的不活性ビヒクル又は処方物中(用量範囲1ng/kg〜10mg/kg、好ましくは0.005〜5mg/kg)の、組換えDNA(用量範囲0.001〜10mg/kg、好ましくは0.005〜5mg/kg)の多数回(例えば1〜10又はそれ以上、2〜8、3〜6、好ましくは約4
又は5回)の投与と、その後のペプチドの1回又は複数回(好ましくは約2回)の投与で開始する1つ又は複数のリンパ節への注射又は注入が挙げられる。用量は必ずしも被験体のサイズに伴って直線状に決められるわけではなく、ヒトに関する用量はより低い方に向かう傾向があり、マウスに関する用量は高い方に向かう可能性があり、これらの部分は多岐にわたる。注射時のプラスミド及びペプチドの好ましい濃度は、一般に約0.1μg/ml〜10mg/mlであり、最も好ましい濃度は約1mg/mlであり、一般に被験体のサイズ又は種とは関係ない。しかしながら特に強力なペプチドは、この範囲の低末端方向に、例えば1〜100μg/mlに最適濃度を有し得る。寛容を促進するためにペプチドのみのプロトコールが用いられる場合、これらの範囲の高い方の末端に向かう用量が一般に好ましい(例えば0.5〜10mg/ml)。この配列は、in vivoでの強力な免疫応答を保持する必要がある限り反復され得る。さらに、DNAの最終同調投与とペプチドの最初の増幅投与間の時間は重要でない。好ましくはそれは約7日以上であり、数ヶ月を超え得る。DNA及び/又はペプチドの多数回の注射は、数日間(好ましくは2〜7日)継続する置換注入により低減され得る。注射として投与され得るものと同様の物質のボーラスを用いた注入を開始し、その後、緩徐注入(DNAに関して約25〜2500μg/日を送達するために24〜12000μl/日、ペプチドに関して0.1〜10000μg/日)するのが有益であり得る。これは、手動で、又はプログラム可能なポンプ、例えばインスリンポンプの使用により成し遂げられ得る。このようなポンプは当該技術分野で既知であり、いくつかの実施形態において所望され得る周期的スパイク及びその他の投与量プロフィールを可能にする。
【0105】
好ましい実施形態では、方法は、リンパ系への直接投与を要する。好ましい実施形態では、これはリンパ節への直接投与である。輸入リンパ管が同様に好ましい。リンパ節の選択は重要でない。鼠径部リンパ節がそれらのサイズ及び接近可能性のために好ましいが、腋窩及び頚部リンパ節並びに扁桃が同様に有益であり得る。単一リンパ節への投与は、免疫応答を誘導するか又は増幅するのに十分であり得る。多数のリンパ節への投与は、応答の信頼性及び大きさを増大し得る。多価応答を促進し、それにより、複数の増幅ペプチドが使用される実施形態のために、1ペプチドのみを任意の特定の場合に任意の特定のリンパ節に投与することが好ましい。したがって、例えば、第1のペプチドを右鼠径部リンパ節に投与し、第2のペプチドを同時に左鼠径部リンパ節に投与することができる。Tリンパ球が移動するため開始及び増幅用量を同一部位に投与することが不可欠ではないので、他のリンパ節が誘導部位に存在しない場合でさえ、さらなるペプチドを他のリンパ節に投与することができる。或いは、任意のさらなるペプチドを、数日後に、例えば、前に投与した増幅ペプチドのために使用した同じリンパ節に投与することができる。このことは、誘導から増幅までの間隔が一般に重要なパラメーターではないからであるが、好ましい実施形態では、時間間隔は約1週間を超え得る。増幅ペプチドの投与の分離は、一般に、そのMHC結合親和性が類似している場合はあまり重要ではないが、親和性が異なるようになるにつれて重要になり得る。種々のペプチドの配合が適合しない場合も、分離投与が好ましくなり得る。
【0106】
このような免疫感作方法から利益を得ることができる患者は、彼等のMHCタンパク質発現プロフィール及び全身レベルの免疫応答性を求める方法を用いて集められる。さらに彼等の免疫レベルは、標準技法を、末梢血へのアクセスと共に用いてモニタリングされ得る。最後に、治療プロトコールは、誘導又は増幅期に対する応答性、並びに抗原発現における変動に基づいて調整され得る。例えば反復同調用量は、好ましくは検出可能応答が得られるまで投与されることができ、そして数組の同調用量後に増幅するというよりむしろ、次に増幅ペプチド用量(複数可)を投与する。同様に、予定された増幅又は維持用量のペプチドは、それらの有効性が徐々に弱まり、抗原特異的調節T細胞数が増大し、又は寛容のいくつかの他の証拠が観察されたならば、中断され、そしてさらなる同調が施された後、ペプチドによる増幅を再開し得る。免疫感作方法により免疫応答性を評価すると共に
監視するための統合診断技法は、米国特許仮出願第60/580,964号(2004年6月17日出願)及び米国特許出願第11/155,928号(公開番号20050287068)(共に表題「診断方法を治療方法と統合することによる能動免疫療法の効力改善(IMPROVED EFFICACY OF ACTIVE IMMUNOTHERAPY BY INTEGRATING DIAGNOSTIC WITH THERAPEUTIC METHODS)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)において完全に考察されている。
【0107】
本発明の多数の方法論的実施形態の実施は、少なくとも2つの異なる組成物及び少なくとも1つの化学療法薬の使用を含む1つよりも多い標的抗原が存在する実施形態では、当該方法は、数種の免疫原性組成物、並びにこれと共に及び/又は異なる時間で投与される化学療法薬(複数可)を含み得る。したがって、本発明の実施形態は、化学療法薬(複数可)及び免疫原性組成物のセット及びサブセット並びにその個別の用量を含む。多価免疫原、1価免疫原の組合せを含む組成物の使用、1つ又は複数の1価免疫原若しくはその種々の組合せを含む組成物の調整された使用により、多価性を達成することができる。このような方法によって特定の治療レジメン又は治療プロトコールで使用するために製造された複数の組成物は、免疫治療製品を限定する。いくつかの実施形態では、製品の全て又はサブセットを、化学療法薬(複数可)に添えて又はそれとは分離させた状態でキット中に共に包装する。いくつかの例では、1エピトープ又はエピトープセットをターゲティングする誘導及び増殖組成物を、共に包装することができる。他の例では、複数の誘導組成物を一方のキットに集め、対応する増幅組成物を他方のキットに集めることができる。或いは、組成物を、どのようにして組成物を互いに組合せて使用すれば本発明の方法の有利な結果を得ることができるのかについて記載した印刷用紙の形態又は機械読み取り可能な媒体の形態の説明書と共に個別に包装及び販売することができる。さらなるバリエーションが当業者に明らかである。米国特許仮出願第60/580,969号(2004年6月17日出願)、米国特許出願第11/155,288号(公開番号20060008468)(2005年6月17日出願)、及び米国特許出願第11/323,964号(2005年12月29日出願)(全て表題「種々の癌型の診断における腫瘍関連抗原の組合せ(COMBINATIONS OF TUMOR-ASSOCIATED ANTIGENS IN DIAGNOTISTICS FOR VARIOUS TYPES OF CANCERS)」)、米国特許仮出願第60/580,964号及び米国特許出願第11/155,928号(公開番号20050287068)(共に表題「診断方法を治療方法と統合することによる能動免疫療法の効力改善(IMPROVED EFFICACY OF ACTIVE IMMUNOTHERAPY BY INTEGRATING DIAGNOSTIC WITH THERAPEUTIC METHODS)」)(それぞれ、その全体が本明細書に参照により援用される)に記載のように、特定のプロトコール又はレジメンで使用することができる全てではない薬剤及び/又は組成物を含む種々の包装スキームの使用により、例えば、腫瘍抗原発現又は免疫治療薬若しくはその種々の成分に対する応答の所見に基づいて、治療の個別化(personalization)が容易になる。
【0108】
併用療法及び送達
本発明の特定の実施形態では、制御性T細胞を枯渇させ、それにより、腫瘍内でT細胞活性を可能にする化学療法薬を併用した免疫療法レジメンを含む療法アプローチを提供する。好ましくは、化学療法薬はシクロホスファミドである。
【0109】
本明細書中に開示される免疫療法/化学療法ストラテジーと併用して、他の療法ストラテジーも使用することができる。意図する他の癌療法には、非限定様式で、放射線療法、生物学的療法、遺伝子療法、ホルモン療法、又は手術が含まれる。
【0110】
本明細書中に記載の免疫療法/化学療法ストラテジーと併用して使用することができる他の療法には、以下が含まれるが、これらに限定されない:免疫アジュバント(例えば、マイコバクテリウム・ボビス、熱帯熱マラリア原虫、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物);サイトカイン療法(例えば、インターフェロンα、β、及びγ;IL−1、
GM−CSF、及びTNF);及びモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER−2、抗p185)。
【0111】
当業者に既知の他の化学療法薬を、本明細書中に開示される方法及び併用ストラテジーで使用することもできる。これらには、非限定様式で、例えば、ゲムシタビン、フルダラビン、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、カンプトセシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ビスルファン、ニトロソ尿素、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、タキソール、トランスプラチナ、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びメトトレキサート、又はその任意の類似体若しくは派生的異型が含まれる。
【0112】
さらに他の実施形態では、治癒手術等の手術を、本明細書中に開示される免疫療法/化学療法ストラテジーと併用して使用することができる。癌の治癒手術には、癌組織の全部又は一部を物理的に除去、摘出、及び/又は破壊する切除が含まれる。
【0113】
被験体への免疫療法及び/又は化学療法組成物の送達又は投与で種々のパラメーターを考慮することができる。さらに、投薬レジメン及び免疫感作スケジュールを使用することができる。一般に、療法組成物中の成分の量は、以下の要因等に応じて患者及び抗原によって変化する:応答誘導における抗原の活性;患者の系を介したリンパの流速;被験体の体重及び年齢;処置すべき疾患及び/又は容態の型;疾患又は容態の重症度;以前又は現在の治療介入;個体の免疫系が抗体を合成する能力;所望の防御度;投与様式等(全て、実施者によって容易に決定することができる)。
【0114】
一般に、療法組成物を、約1〜約500μl/時又は約24〜約12000μl/日の速度で送達させることができる。抗原濃度は、約0.1μg〜約10000μgの抗原を24時間で送達するような濃度である。流速は、毎分約100〜約1000μlのリンパ液が成人鼠径リンパ節を流れるという知識に基づく。リンパ系中のワクチン処方物の局所濃度を最大にすることを目的とする。ヒトにおける所与のワクチン調製物の最も有効な注入レベルを決定するために、患者に関する一定量の経験的調査が必要であろう。
【0115】
免疫療法及び/又は化学療法組成物には、種々の「単位用量」が含まれ得る。単位用量を、その投与(すなわち、適切な経路及び治療レジメン)に関連する所望の応答が得られるように計算された所定量の療法組成物を含むものと定義する。投与すべき量並びに特定の経路及び処方物は、臨床分野の当業者の範囲内である。治療を受ける被験体、特に、被験体の状態及び所望の防御も重要である。単位用量を、単回注射として投与する必要はないが、設定時間にわたる連続注入を含むことができる。
【0116】
特定の実施形態では、免疫療法及び/又は化学療法組成物を、複数の連続する用量として投与することができる。かかる複数の用量は、必要に応じて、2、3、4、5、6回以上の用量であり得る。本発明のさらなる実施形態では、免疫療法及び/又は化学療法組成物の用量を、右又は左の鼠径リンパ節に相互に約数秒又は数分以内に投与することができる。例えば、プラスミド(第1の)を、右リンパ節に最初に注射し、その数秒又は数分以内に左鼠径リンパ節に第2のプラスミドを注射することができる。他の例では、1つ又は複数の免疫原を発現する1つ又は複数のプラスミドの組合せを投与することができる。リンパ節への第1の注射後の注射を、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10分以内、又はそれ以上であるが、第1の注射から約30、40、50、又は60分を超えないことが好ましい。類似の検討事項を、右及び左リンパ節への2つのペプチドの個別の投与に適用する。複数の用量の本発明の免疫療法及び/又は化学療法組成物を一定日数の間隔(その後の投与の間に数日間(1、2、3、4、5、6、又は7日間以上)が経過する)で
投与することが望ましくあり得る。他の例では、最初の用量の投与から約1、2、3週間以内又は約1、2、3ヶ月以内に両側鼠径リンパ節注射を介して投与すべき本発明の療法組成物のその後の投与(複数可)が望まれ得る。
【0117】
投薬処方物に適合する任意の様式及び治療有効量等で投与することができる。本発明の免疫療法及び/又は化学療法組成物の有効量又は有効用量は、治療される被験体において所望の応答を得るのに必要な量である。有効量は、一般に、疾患又はその症状を検出可能且つ繰り返し改善させるか、軽減するか、最小にするか、その範囲を制限するのに十分な量と説明される。より厳格な定義(疾患の消失、根絶、又は治癒が含まれる)を適用することができる。
【0118】
好ましくは、制御性T細胞を選択的に枯渇させて免疫療法前に免疫応答性を増強するようにデザインされた免疫調節用量(通常、低用量)の化学療法薬を、毒性を考慮して、現在承認されている医療水準に従って提供することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明の或る特定のいくつかの実施形態を説明及び主張するために使用される成分の量、分子量及び反応条件等の性質を示す数は、場合によっては、用語「約」で修飾されると理解すべきである。したがって、いくつかの実施形態では、説明文及び添付の特許請求の範囲に記載の数のパラメーターは近似値であり、これらは、特定の実施形態によって得られると考えられる所望の性質に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、数のパラメーターは、報告した有効数字に照らし、通常の丸め処理技法の適用によって解釈すべきである。広域の本発明のいくつかの実施形態を示す数値域及びパラメーターは近似値であるが、特定の例に記載の数値は実用可能に正確に報告している。本発明のいくつかの実施形態に示す数値は、一定の誤差を含む可能性があり、この誤差は必然的にその各試験での測定で見出された標準偏差に起因する。
【0120】
いくつかの実施形態では、用語「a」、「an」、及び「the」、並びに本発明の特定の実施形態を説明する文脈(特に、添付の特許請求の範囲の一定の文脈)で使用される類似の指示対象は、単数又は複数の両方を対象とすると解釈することができる。本明細書中の値の範囲の列挙は、範囲内に含まれる1つ1つの別個の値について言及する簡便な方法としての機能を果たすことを意図するに過ぎない。本明細書中の他で示さない限り、各個々の値は、本明細書中で個別に引用されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載の全ての方法を、本明細書中の他で示さない限り、又は文脈上明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書中の一定の実施形態に関して提供される任意及び全ての実施形態又は例示の用語(例えば、「〜等」)の使用は、本発明をより明確に説明することを意図するに過ぎず、別の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。明細書中に記載されていない事項は、本発明の実施に不可欠な、特許請求の範囲に記載していない任意の要素を示すと解釈すべきである。
【0121】
本明細書中に開示されている本発明の別の要素又は実施形態のグループは、制限するように解釈されるべきではない。各グループのメンバーを、個別に、又はグループの他のメンバー若しくは本明細書中で見出される他の要素との任意の組合せで言及し、主張することができる。利便性及び/又は特許性の理由で、グループの1つ又は複数のメンバーを、グループに含めるかグループから削除することができると予想される。任意のこのような含有又は削除が起こる場合、明細書は、修正されたグループを含み、それにより、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの記載を満たすと見なされる。
【0122】
本発明の好ましい実施形態を本明細書中に記載しており、これらには、本発明者らに既知の、発明実施の最良の形態が含まれる。これらの好ましい実施形態の変形形態は、上記説明を読んだ際に当業者に明らかとなるであろう。当業者は必要に応じてこのような変形
形態を使用することができ、本明細書中に具体的に記載されていない別の方法で本発明を実施することができることが意図される。したがって、本発明の多数の実施形態には、適用法によって許容される場合、添付の特許請求の範囲に引用した主題の全ての修正形態及び等価物が含まれる。さらに、本明細書中の他で示されない限り、又は文脈上明確に矛盾しない限り、全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組合せは、本発明に含まれる。
【0123】
さらに、本明細書の至るところに、特許及び刊行物への多数の言及がなされている。上記の各参考文献及び刊行物は、その全体が本明細書に参照により個別に援用される。
【0124】
本明細書中に開示の本発明の実施形態は、本発明の原理を例示すると理解すべきである。使用することができる他の修正形態は、本発明の範囲内に含まれ得る。したがって、制限されないが、例として、本明細書中の教示にしたがって本発明の別の形態を使用することができる。したがって、本発明は、正確に表示及び説明した発明に限定されるものではない。
【0125】
本発明を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲中に定義した本発明の範囲を逸脱することなく、修正形態、変形形態、及び等価な実施形態が可能であることが明であろう。さらに、本開示の中の全ての実施例が非限定的な例として提供されると認識すべきである。
【実施例】
【0126】
本発明をさらに説明するために以下の非限定的な例を提供する。以下の実施例に開示の技術は、本発明者らが本発明の実施で十分に機能することを見出したアプローチを示し、したがって、その実施様式の例を構成すると見なすことができると当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示の特定の実施形態を多数変化させ、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく依然として同様又は類似の結果を得ることができると認識すべきである。
【0127】
[実施例1]
HPV−16(E7)ペプチドを使用した標的化されたリンパ節免疫療法によって引き出された腫瘍抑制
HPV−16腫瘍モデルにおける標的化リンパ節免疫療法によって引き出された腫瘍抑制を、強いMHCクラスI拘束免疫を引き出すためにTLR(合成dsRNA)を介して作用するアジュバントと併用したE74957ペプチドでのリンパ節APCのin vivo負荷によって評価した。
【0128】
ヒトパピローマウイルス16型形質転換腫瘍を保有するマウスに、皮下腫瘍(105細胞)での攻撃誘発後の7日目にMHCクラスI HPV−16E74957ペプチドをリンパ節内注射し、アジュバンとして二本鎖RNA(ポリIC)を同時注射した(図1)。大部分の免疫感作マウス(60%)が完全に治癒し、その20匹中7匹が完全な防御(CP)を示し、その20匹中5匹が測定可能な腫瘍を形成し、7、10、21、及び24日目の免疫療法後に完全に応答した(CR)(図2;表1)。1匹は部分的応答(PR)を示し、腫瘍を生じるが、処置レジメンの終了時に32%小さかった(表1)。カリパス測定及び超音波画像化技術を使用して、腫瘍の進行をモニタリングし、無腫瘍生存率を評価した。
【0129】
残りの動物における腫瘍進行(PD)は有意に遅延し(図3)、これは、四量体分析によって示されるように、より低い初期抗原特異的CTL応答と相関した。35日目及び38日目のさらなる免疫療法ラウンド(追加免疫)により、四量体分析によって示されるよ
うに、進行マウスにおける免疫応答が有意に(平均5〜30%)増加したが(図3及び図4の右パネル)、腫瘍有効性の改善は認められなかった(図3及び図4)。
【0130】
図5に示すように、腫瘍からのTILの単離により、コントロール(2.2%)と比較した免疫感作マウス集団中のHPV特異的CD8+細胞の存在(83.7%)を確認した。このデータは、TILの機能が低下し、腫瘍有効性の改善の欠如が他の要因(例えば、腫瘍微視的環境等)に起因し得ることを示した。
【0131】
【表1】

【0132】
[実施例2]
進行性疾患における制御性T細胞頻度の増加
免疫療法に応答できなかった動物における制御性T細胞の役割を評価するために、ヒトパピローマウイルス16型形質転換腫瘍を保有するマウスに、皮下腫瘍(105細胞)の攻撃誘発後の21、25、35、及び39日目にMHCクラスI HPV−16E74957ペプチドをリンパ節内注射し、アジュバンとして二本鎖RNA(ポリIC)を同時注射した。コントロールマウスに、ポリIC又は生理食塩水のいずれかを投与した。
【0133】
さらに、シクロホスファミドの免疫調節効果に対するHPV特異的腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の潜在的寛容性を決定するために、実施例1に開示のHPV−16E74957ペプチド免疫療法ストラテジーと併用してシクロホスファミドを使用した。シクロホスファミドはアルキル化化学療法薬であり、細胞傷害性及び免疫調節効果(腫瘍有効性を増大させるCD4+CD35+制御性T細胞の枯渇及び抗原特異的CTL応答の増強等)が示されている(Ercolini AM, et al., J Exp Med., 16;201 (10): 1591-602, 2005; Lutsiak ME, et al., Blood. Apr 1;105(7):2862-8, 2005; Hermans IF, et al., Cancer Research 63, 8408-8413, 2003; Loeffler M, et al., Cancer Res, 65:12, 2005)。
【0134】
46日目及び50日目に、マウスにシクロホスファミド(CTX、100mg/kg)を1回注射した。49日目に各群の3匹のマウスから脾臓を取り出し、全CD4+集団内のCD25+細胞及びFoxP3+細胞の比率を計算した(図6)。データは、進行性腫瘍を有するマウス(パネルB)がナイーブマウス(パネルA及びE)又は治癒マウス(パネルD)と比較して、約3倍の制御性T細胞を有していたことを示す。46日目にシクロホスファミド(CTX、100mg/kg)を1回注射した腫瘍を有するマウスは、制御性T細胞レベルが有意に減少した(スチューデントT検定、p値=0.02)(図6、パネルC及びE)。
【0135】
さらに、HPV−16E74957ペプチド免疫療法ストラテジーとシクロホスファミド(図7)との両方を使用した併用療法により、抗腫瘍活性が得られた。この活性は、単独で投与したいずれの治療よりも劇的に増強した(p<0.02)。これらの結果は、併用療法アプローチ(本明細書中の他の場所で開示)によって癌能動免疫療法の有効性が強化されることを示す。これらの所見は、癌治療における化学療法と免疫療法との併用の新規の理論的根拠を提供する。
【0136】
[実施例3]
免疫療法レジメン前の化学療法薬の投与
制限されない化学療法薬(例えば、シクロホスファミド、ゲムシタビン、フルダラビン、及びドキソルビシン等であるが、これらに限定されない)を使用して、免疫療法前に制御性T細胞を選択的に枯渇させて免疫応答性を増強するさらなる研究を行う。上記の実施例1に開示のストラテジーに類似のストラテジーを使用して、ヒトパピローマウイルス16型形質転換腫瘍を保有するマウスに、免疫調節用量(低用量)の化学療法薬を最初に投与し、その後に種々の間隔で、MHCクラスI HPV−16E74957ペプチドをリンパ節内注射し、アジュバンとして二本鎖RNA(ポリIC)を同時注射した。次いで、マウスを腫瘍の後退について評価した。
【0137】
投与は、当業者に既知の現在承認されている医療水準に従う。療法レジメン、化学療法、及びその後のリンパ節標的化免疫療法を、任意選択的に数回反復して腫瘍有効性を改善する。
【0138】
[実施例4]
ペプチド追加免疫ストラテジーと併用したプラスミド初回刺激
ペプチド追加免疫ストラテジーと併用したプラスミド初回刺激によって上記の実施例1〜実施例3で認められた結果に類似する結果が得られるかどうかを評価するために、化学療法薬を1週間投与し、その後に種々の日数(例えば、8、11、22、及び25日目)にプラスミド初回刺激(本明細書中の他の場所に開示のpROC、pBPL、pSEM)を行った。次いで、例えば、36日目及び40日目に、免疫応答をペプチド(本明細書中の他の場所に開示のPRAME425433、PSMA288297、NY−ESO−1157165、SSX−24149、Melan−A2635、チロシナーゼ369377、及びその類似体)で追加免疫した。第1の治療サイクルから1週間後、任意選択的に第2の治療サイクルを繰り返す。
【0139】
[実施例5]
DCストラテジーのex vivoペプチド負荷
DCストラテジーのex vivoペプチド負荷によって上記の実施例1〜実施例3で認められた結果に類似する結果が得られるかどうかを評価するために、化学療法前にDCの培養のために、被験体から末梢血を単離する。化学療法薬を投与し、次いで、ペプチド(PRAME425433、PSMA288297、NY−ESO−1157165、SSX−24149、Melan−A2635、チロシナーゼ369377、及びその類似体)を負荷したDCをリンパ節に注射する。第1の手順から1週間後、第2の手順を繰り返すことができる。
【0140】
[実施例6]
化学療法と併用した単回抗原アプローチ対複数回抗原アプローチを使用した投与
他の研究では、免疫療法サイクル中に規則的な免疫調節用量の化学療法薬を与えて腫瘍後退に及ぼす影響を評価する。本研究では、化学療法薬を、免疫感作サイクル中の各週の初日に投与し、例えば、8、11、22、及び25日目にプラスミド初回刺激(pROC、pBPL、pSEM)を行い、例えば、36及び40日目にペプチド追加免疫(PRAME425433、PSMA288297、NY−ESO−1157165、SSX−24149、Melan−A2635、チロシナーゼ369377、及びその類似体)を行う。第1の治療サイクルから1週間後、第2の治療サイクルを繰り返すことができる。
【0141】
プラスミド(初回刺激)/ペプチド(追加免疫)の後に化学療法薬を与えた場合の腫瘍有効性を評価するための研究をさらに行う。このストラテジーは、被験体を、1、4、15、18日目に最初にプラスミドで免疫感作し、29日目及び32日目にペプチドで追加
免疫するという点で、巨大病変又は転移性疾患(腫瘍)の場合に有利である。制御性T細胞を枯渇させるための1週間の静置後、免疫療法の後で化学療法を行い、それにより、T細胞寛容性が減少し、腫瘍微視的環境中の腫瘍特異的CTLのエフェクター能が開放される。
【0142】
[実施例7]
静脈内HPV−16腫瘍攻撃誘発後の播種性疾患からの防御
播種性疾患からの免疫学的防御を評価するために、C57BL/6マウス(n=10)に、5×105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞(C3.43)を静脈内注射し、次いで、腫瘍攻撃誘発から1、4、15、及び18日後に両側鼠径リンパ節にリンパ節あたり12.5μgのE74957HPVペプチド及びアジュバントとしての12.5μgのdsRNA(ポリIC)で免疫感作した。末梢血由来の25日目のE74957四量体によって免疫応答を測定し(図8、パネルA)、各群の生存率を計算し(図8、パネルB)、非処置腫瘍攻撃誘発コントロールマウスと比較した(n=10)。免疫感作マウスは、有意な(平均10.5%)HPV−16特異的免疫応答を生じ、65日目までHPV−16腫瘍細胞のIV攻撃誘発から完全に防御した。予想通り、非処置マウスはバックグラウンドレベルのE7四量体染色を示し、65日目に40%の動物しか生存していなかった。非処置動物の死亡は、超音波及び死後解剖によって確認したところ、肺内の腫瘍微小転移に起因するとわかった。
【0143】
[実施例8]
抗原の標的化リンパ節投与はHPV癌免疫療法の抗腫瘍有効性を有意に改善する
HPV−16の治療モデルでは、リンパ節内投与対従来の投与の抗腫瘍有効性を比較した。C57BL/6マウスに、0日目に105個のHPV腫瘍細胞を皮下に攻撃誘発し、次いで、7、10、21、及び24日目に2.5μgのE74957HPV抗原及び25μgのdsRNA(ポリIC)で両側鼠径リンパ節(n=19)又は皮下(n=19)に免疫感作した。末梢血由来の31日目のE74957四量体染色によって免疫応答を測定し(図9、パネルB)、各群の腫瘍サイズを計算し(図9、パネルA)、非処置腫瘍攻撃誘発コントロールマウスと比較した(n=19)。リンパ節免疫感作マウスは、皮下投与マウスと比較して統計的に有意なHPV−16特異的免疫応答(平均14.5%)をもたらした(p<0.0001)。さらに、リンパ節中で免疫感作したマウス中の腫瘍は、15日目に後退し始め、84%の動物が40日目に寛解した。この応答は、皮下投与した動物よりも有意に優れていた(p<0.003)。腫瘍進行は腫瘍コントロールと比較して遅延しただけであり、16%の動物しか疾患が寛解しなかった。非処置腫瘍コントロールマウスは、バックグラウンドレベルのE7四量体染色を示し(パネルB)、その腫瘍は、予想通り、後退することなく指数関数的に進行した(パネルA)。
【0144】
[実施例9]
難治性/進行性腫瘍を有するマウスは、CD4+/CD25+/FoxP3HI制御性T細胞レベルの増加を示した。
HPV−16形質転換腫瘍を保有するC57BL/6マウスは、ナイーブマウス又はその腫瘍が完全に後退したマウスと比較して、脾臓中のCD4+/CD25+/FoxP3+制御性T細胞数が約3倍であった(図10)。シクロホスファミド(100mg/kg)での腹腔内処置によって脾臓(パネルA及びパネルB)又は腫瘍(パネルC)中のT−regレベルを減少させることができ、後期腫瘍の治療のために化学療法を免疫療法と併用することが合理的である。
【0145】
[実施例10]
補助療法は、抗腫瘍有効性を有意に改善する
後期癌における補助療法の有効性を試験するために、C57BL/6マウスに、0日目
に105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を接種し、14日目及び18日目にCTX(30mg/kg)で処置し(n=20)、20、24、34、及び38日目に両側鼠径リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作するか(n=20)、CTXと免疫療法との併用によって処置した(n=20)。腫瘍進行(図11、パネルA)及び免疫応答(図11、パネルB)を、非処置腫瘍コントロールマウスと比較した(n=20)。末梢血由来の45日目のE74957四量体染色によって免疫応答を測定し、20%の範囲でHPV特異的免疫応答を示した群のみを免疫感作した。CTXと免疫療法との併用で処置した動物において免疫応答の阻害は認められず、類似の応答が生じた。さらに、CTXと免疫療法との併用(パネルA)により、免疫療法のみ及び化学療法のみ(非処置腫瘍コントロールと比較して腫瘍後退を有意に誘導しなかった)と比較して有意な腫瘍後退を誘導した(p<0.001)。
【0146】
[実施例11]
化学療法と免疫療法との併用は生存率を有意に改善した
実施例10に記載のように、105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を接種したC57BL/6マウスにおける生存率に及ぼす補助療法の影響も評価した。第2の治療サイクルを投与した。このサイクルは、動物に46日目及び50日目にCTX(30mg/kg)を投与するか(n=20)、52、56、65、及び69日目に両側鼠径リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作するか(n=20)、CTXと免疫療法との併用で処置した(n=20)。図12に示すように、4つの各条件(コントロール、CTXのみ、免疫療法のみ、及びCTX/免疫療法併用)についての生存時間関数のカプラン・マイヤー(積極限)推定値を得た。ログランク検定を使用して、4つの生存曲線を比較した。4つの曲線が等しいオムニバス仮説(omnibus hypothesis)を、排斥した(X2(3)=18.2、p=0.0004)。個別の比較により、CTX/免疫療法併用群における生存がコントロール群(p<0.0001)、CTXのみの群(p=0.0188)、及び免疫療法のみの群(p=0.0033)における生存よりも有意に長いことが確認された。CTX/免疫療法併用群における生存期間の中央値も、コントロール群(52日間)、CTXのみの群(68日間)、及び免疫療法のみの群(54日間)と比較して有意に長かった(80日間)。したがって、CTXとHPV免疫療法との併用は、いずれの治療のみと比較しても後期癌で疾患の結果を有意に改善した。
【0147】
[実施例12]
化学療法と皮下免疫療法との併用
実施例10に記載の実験を、さらなる皮下免疫療法薬投与治療群を使用して繰り返し、皮下免疫療法対リンパ管内免疫療法由来の腫瘍有効性を、CTXとの併用療法の設定で比較する。C57BL/6マウスに、0日目に105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を接種し、14日目及び18日目にCTX(30mg/kg)で処置し(n=20)、20、24、34、及び38日目に皮下又は両側鼠径リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作するか(n=20/群)、CTXと皮下又はリンパ管内免疫療法との併用によって処置した(n=20/群)。補助療法プロトコールについては、図13を参照のこと。腫瘍進行及び免疫応答を、非処置腫瘍コントロールマウス(n=20)と比較する。結果は、CTXと同様に併用させた皮下免疫療法と比較しても優れた腫瘍後退及び生存上の利点を有意に引き出すようにCTXの後にリンパ管内免疫療法が必要であることが強調される。
【0148】
[実施例13]
アジュバント有効性:能動免疫療法は、化学療法又は手術による原発性腫瘍除去後の無増悪生存率及び再発期間を改善する
C57BL/6マウスに、0日目に105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を皮下接種し、14日目から開始して1日おきに完全な寛解に到達するまでCTX(100mg/
kg)で処置した(図14)。個別のコホートを非処置のままにし、20日目に手術を使用して腫瘍を除去するか、従来の放射線療法を使用して照射する。次いで、全動物に、24、27、37、及び40日目に両側鼠径リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作し(n=20)、次いで、腫瘍再発を観察する。さらなるコントロール治療群を、CTX、放射線療法、又は手術で処置するが、免疫感作しない。100%の腫瘍形成及び進行を示すコントロールコホート(非処置、腫瘍保有)と比較して、CTX、放射線療法、又は手術で処置した全ての動物は完全な寛解(臨床疾患(clinical disease)なし)を達成する。それにもかかわらず、追跡免疫療法を使用せずに、これらの動物の有意数が再発する。対照的に、免疫療法によって処置した動物は、同一の間隔における原発性腫瘍部位又は遠隔部位での再発率の減少及び無病生存率の中央値の増加を示す。CTXに加えてより広範な化学療法を使用して、類似の観察を行う。
【0149】
[実施例14]
ネオアジュバント有効性:能動免疫療法は、化学療法又は手術による原発性腫瘍処置前に適用すると応答率を改善し、臨床上の利点を示す
C57BL/6マウスに、0日目に105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を皮下接種し、14、17、24、及び27日目に両側鼠径リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作した。次いで、マウスを、30日目から開始して1日おきに、動物が完全な寛解に到達するまでCTX(100mg/kg)又は放射線療法で処置した(図15)。30日目に個別のコホートの腫瘍を除去するが、CTXで処置しなかった。次いで、動物を、腫瘍再発について観察する。100%の腫瘍形成及び進行を示すコントロールコホート(腫瘍保有及び非処置)と比較して、CTX、放射線療法、又は手術で処置した非免疫感作動物は部分的又は完全な寛解を達成する。これらの動物の有意数が再発する。対照的に、手術、放射線療法、又は化学療法による巨大腫瘍(tumor bulk)の除去前に免疫療法によって処置した動物は、同一間隔における同一部位又は遠隔部位での完全又は部分的な寛解率の増加及び再発率の減少を示し、さらに、無病生存率の中央値の増加を示す。CTXに加えてより広範な化学療法を使用して、類似の観察を行う。
【0150】
[実施例15]
地固め療法:能動免疫療法は、化学療法後の無増悪生存率及び増殖抑制期間を改善する
C57BL/6マウスに、0日目に105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を皮下接種し、14日目及び16日目にCTX(100又は30mg/kg)で処置するか、放射線療法によって処置する(図16)。血中のリンパ球数が正常レベルに到達するまで、動物を7日間休ませる。この時点で、全動物は、処置前段階と比較して疾患の減少又は完全な寛解を示す。次いで、全動物を、24、27、37、及び40日目に両側鼠径リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作し(n=20)、次いで、腫瘍の減少及び再発について観察する。さらなるコントロール治療群を、CTX又は放射線療法で処置するが、免疫感作しない。100%の腫瘍形成及び進行を示すコントロールコホート(非処置、腫瘍保有)と比較して、CTX又は放射線療法で処置した全ての動物は、処置後10日以内に部分的寛解又は完全な寛解を達成する。免疫感作マウスは、免疫感作していない動物と比較して、増殖抑制期間、無増悪生存率の増加(部分的寛解の場合)及び再発期間の増加(完全な寛解の場合)を示す。CTXに加えてより広範な化学療法を使用して、類似の観察を行う。
【0151】
[実施例16]
補助療法:能動免疫療法は、手術又は化学療法と併せた場合、応答率を改善する
C57BL/6マウスに、0日目に105個のHPV−16形質転換腫瘍細胞を皮下接種し、14日目及び16日目にCTX(100又は30mg/kg)で処置するか、放射線療法によって処置する。次いで、動物を、18、21、28、及び31日目に両側鼠径
リンパ節中にてE74957HPVペプチド及びdsRNA(25μg/日)で免疫感作し(n=20)、次いで、腫瘍の減少について観察する(図17)。さらなるコントロール治療群をCTXで処置するが、免疫感作しない。100%の腫瘍形成及び進行を示すコントロールコホート(非処置、腫瘍保有)と比較して、CTXで処置した全ての動物は、CTX処置後20日以内に部分的寛解又は完全な寛解を達成する。CTX処置と併せて免疫感作したマウスは、CTXで処置したか免疫感作のみを行ったマウスと比較して、応答率の増加(完全又は部分的な応答と解釈される)を示す。CTXに加えてより広範な化学療法を使用して、類似の観察を行う。
【0152】
実施例及び本明細書中の他の場所に記載の方法のいずれかを、異なる組成物、抗原、エピトープ、類似体等を含むように修正することができるか、又は修正する。例えば、任意の他の癌抗原を使用することができる。また、多数のエピトープを交換し、エピトープ類似体(本明細書中に開示、記載、又は組み込まれたエピトープ類似体が含まれる)を使用することができる。本方法を使用して、免疫応答(種々の疾患及び疾病に対する多価免疫応答が含まれる)を生じさせることができる。
【0153】
本発明の多数の変形形態及び代替的な要素を開示している。なおさらなる変形形態及び代替的な要素は業者に明らかであろう。本発明の種々の実施形態は、これらの変形形態又は要素のいずれかを具体的に含むか又は排除することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫感作方法、又は癌治療方法であって、
患者中の腫瘍を炎症の促進及び制御性T細胞機能の干渉の少なくとも1つを達成する化学療法薬と接触させる接触ステップと、
CTL応答を誘導する誘導ステップであって、該CTL応答を誘導する誘導ステップが、以下のサブステップ:
前記患者に、第1の抗原の少なくとも一部を含むか又はコードする免疫原を含み、且つ免疫賦活薬をさらに含む第1の組成物を送達させること、及び
前記第1の抗原のエピトープに対応する増幅ペプチドを含む、第2の組成物を前記患者のリンパ系に直接投与することを含み、
前記接触ステップ及び誘導ステップによって処置の有効性が接触ステップ又は誘導ステップのみのいずれかの有効性よりも増強される、免疫感作方法、又は癌治療方法。
【請求項2】
前記第1の組成物及び第2の組成物が同一ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の組成物が抗原又はその免疫原性フラグメントをコードする核酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の組成物がpAPC中に抗原又はその免疫原性フラグメントを発現することができる核酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の組成物が免疫原性ポリペプチド及び免疫賦活薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫原性ポリペプチドが前記増幅ペプチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫原性ポリペプチドが前記第1の抗原である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫賦活薬がサイトカインである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫賦活薬がトール様受容体リガンドである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の組成物がアジュバントをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の組成物がアジュバント及び免疫賦活薬を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記送達サブステップが1つを超える部位への投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記送達サブステップが前記患者のリンパ系への直接投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記患者のリンパ系への直接投与がリンパ節又はリンパ管への直接投与を含む、請求項1又は11に記載の方法。
【請求項15】
直接投与を2つ以上のリンパ節又はリンパ管に行う、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記リンパ節が鼠径リンパ節、腋窩リンパ節、頸部リンパ節、及び扁桃腺リンパ節から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記CTL応答が前記第1の抗原に特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記エピトープがハウスキーピングエピトープである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の組成物及び第2の組成物がリンパ系又はリンパ節への直接投与に適切なキャリアをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記エピトープが免疫エピトープである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記送達サブステップ又は投与サブステップが単回ボーラス注射を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記送達サブステップ又は投与サブステップが反復ボーラス注射を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記送達サブステップ又は投与サブステップが連続注入を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記化学療法薬が制御性T細胞活性を下方制御するか又は枯渇させ、それにより、腫瘍細胞又は癌細胞内のエフェクターT細胞活性を促進するか又は増強する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記制御性T細胞機能の干渉が制御性T細胞数の減少を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記制御性T細胞数の減少をフローサイトメトリーを使用して測定する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記制御性T細胞数の減少を、CD4+、CD25+、及びFoxP3HIから成る群から選択されるマーカーを使用して測定する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記制御性T細胞機能の干渉が制御性T細胞活性の低下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記制御性T細胞活性を、患者からの制御性T細胞の単離、標準的なエフェクター細胞機能アッセイによる単離細胞のエフェクター細胞とのインキュベーション、及びエフェクター細胞活性の測定によって測定する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記標準的なエフェクター細胞機能検定がCTL検定、エリスポット検定、及び増幅検定から成る群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記化学療法薬がシクロホスファミド、ゲムシタビン、フルダラビン、及びドキソルビシンから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記化学療法薬がシクロホスファミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記接触ステップを、制御性T細胞機能の惹起、異常な細胞増殖の誘導、又は腫瘍成長が認められた際に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記接触ステップ及び誘導ステップを2回以上のサイクルで繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記接触ステップ及び誘導ステップを、制御性T細胞活性の減少又は異常な細胞増幅若しくは腫瘍成長の抑制が達成されるまで繰り返す、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記接触ステップを前記誘導ステップの前に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記接触ステップを前記誘導ステップの前に繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記接触ステップを前記誘導ステップの約1週間前に完了する、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記接触ステップを前記誘導ステップの6、7、8、又は9日前に完了する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記接触ステップを前記誘導ステップの投与サブステップ前に繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記送達サブステップ及び前記投与サブステップを異なる日に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記送達サブステップ及び前記投与サブステップを少なくとも約2、3、4、5、6、又は7日間あけて行う、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記誘導ステップの送達サブステップを前記接触ステップ後に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記送達サブステップが化学療法薬の投与前又は投与後に抗原のエピトープに対応する1つ又は複数のペプチドを投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
放射線療法、遺伝子療法、生化学療法、及び手術から成る群から選択される少なくとも1つの治療様式を施すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの治療様式を前記接触ステップ前又は接触ステップ中に行う、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの治療様式を、前記接触ステップ及び誘導ステップを施す前に行う、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
免疫感作併用薬の製造における化学療法薬、及びCTL誘導併用薬の使用であって、
前記化学療法薬が、腫瘍炎症の促進及び制御性T細胞機能の干渉の少なくとも1つを達成し、
前記CTL併用薬が、第1の抗原の少なくとも一部又はその免疫原性フラグメントを含むか又はコードする免疫原を含む、患者への送達のための第1の組成物、
及び、該第1の抗原のエピトープに対応するペプチドを含む、前記患者のリンパ系への直接投与のための第2の組成物を含み、
この併用によって化学療法薬又はCTL誘導併用薬のみのいずれかの有効性よりも治療有効性が増強される、化学療法薬及びCTL誘導併用薬の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−544610(P2009−544610A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520782(P2009−520782)
【出願日】平成19年7月14日(2007.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/016075
【国際公開番号】WO2008/008541
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(503208552)マンカインド コーポレイション (50)
【Fターム(参考)】