二次元コードおよびその読取装置
【課題】元の二次元コードの情報量を減少させることなく、第2の二次元コードを記録し得る二次元コードを提供する。
【解決手段】本実施形態に係るQRコード10によると、機能パターンを構成する単位モジュール11または単位セルの集合体で正方形状のn×nモジュール11’に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、マイクロQRコード16を記録していることから、データパターンDPやその領域を減らすことなく、マイクロQRコード16を記録することができる。このため、元のQRコード10の情報量を減少させることなく、マイクロQRコード16を記録することができる。
【解決手段】本実施形態に係るQRコード10によると、機能パターンを構成する単位モジュール11または単位セルの集合体で正方形状のn×nモジュール11’に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、マイクロQRコード16を記録していることから、データパターンDPやその領域を減らすことなく、マイクロQRコード16を記録することができる。このため、元のQRコード10の情報量を減少させることなく、マイクロQRコード16を記録することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2の二次元コードを記録する二次元コードおよびその読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次元コードに第2の二次元コードを記録する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される「2次元コード」がある。この二次元コードは、例えばQRコードのデータ領域に第2の二次元コードとして、CPコード、カルラコード等を配置することによって、当該二次元コードに第2の二次元コードを記録可能にしている。
【特許文献1】特開平11−328301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示される「2次元コード」では、このような第2の二次元コードを記録する領域をデータ領域に確保する必要から、そのぶん元の二次元コードがコード化できるデータ領域が減るため、情報量が減少してしまうという問題がある。
【0004】
また、このような二次元コードに記録されている第2の二次元コードは、例えば、当該二次元コードが記録される商品や物品等の流通途中では必要なものであっても、最終消費者にとっては不必要なものである場合がある。つまり、二次元コード等に記録されている内容のうち、その一部を関係者以外に読み取られたくない場合があっても、汎用の読取装置で読み取られてしまう場合がある。
【0005】
さらに、このような二次元コードに第2の二次元コードが記録されているものでは、それぞれのコード体系(コードの種類)が異なる場合には、2種類の読取装置で読み取る必要が生じ得るが、できれば一度の操作で読み取りたいところである。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、元の二次元コードの情報量を減少させることなく、第2の二次元コードを記録し得る二次元コードを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、第2の二次元コードを記録した二次元コードから当該第2の二次元コードを容易に消去し得る二次元コードを提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、第2の二次元コードを記録した二次元コードを一度の操作で読み取り得る二次元コードの読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の二次元コードでは、当該二次元コードにコード化されたデータをデコードするのに要する機能パターンと、前記データおよび前記データに付随する情報をコード化したデータパターンと、を記録している二次元コードであって、前記機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録していることを技術的特徴とする。「モジュール」とは、当該二次元コードを構成する最小構成要素のことで、「明モジュール」とは、当該モジュールが明色(例えば白色等の明度の高い色)と暗色(例えば黒色等の明度の低い色)の2種類で構成される場合における明色のモジュールのことで、「暗モジュール」とは、当該モジュールが明色と暗色の2種類で構成される場合における暗色のモジュールのことである。
【0008】
特許請求の範囲に記載の請求項2の二次元コードでは、請求項1記載の二次元コードにおいて、当該二次元コードがQRコードである場合、前記第2の二次元コードは、当該第2の二次元コードを記録している前記QRコードに対して明暗を反転して記録されていることを技術的特徴とする。
【0009】
特許請求の範囲に記載の請求項3の二次元コードでは、請求項1記載の二次元コードにおいて、前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものであり、前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものであることを技術的特徴とする。
【0010】
特許請求の範囲に記載の請求項4の二次元コードでは、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次元コードにおいて、前記第2の二次元コードは、前記機能パターンおよび前記データパターンが記録された記録媒体上に、(1) 物理的に剥離可能な剥離層として形成されて、または(2) 化学的に分解可能なインクで印刷されて、記録されていることを技術的特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項5の二次元コードの読取装置では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次元コードをデコードする二次元コードの読取装置であって、前記二次元コードの全体を撮像した全体画像情報を取得する全体画像取得手段と、前記全体画像取得手段により取得された全体画像情報に基づいて、前記二次元コードにコード化されたデータをデコードする第1のデコード手段と、前記全体画像情報に含まれる前記機能パターンに相当する部分画像情報に基づいて、前記第2の二次元コードにコード化された第2のデータをデコードする第2のデコード手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録していることから、データパターンやその領域を減らすことなく、第2の二次元コードを記録することができる。このため、元の二次元コードの情報量を減少させることなく、第2の二次元コードを記録することができる。
【0013】
請求項2の発明では、当該二次元コードがQRコードである場合、第2の二次元コードは、当該第2の二次元コードを記録しているQRコードに対して明暗を反転して記録されている。例えば、通常のQRコードはその周囲であるクワイエットゾーンが明モジュールで構成されていることから、遠目でみると比較的明るく見えるのに対して、明モジュールと暗モジュールとを反転した反転のQRコードはその周囲であるクワイエットゾーンが暗モジュールで構成されていることから、遠目でみると比較的暗く見える。
【0014】
このため、例えば、通常のQRコードは、その機能パターンの一つであるファインダパターンの中心を単位セルを3行3列に正方形状に配置した暗モジュールで構成しているので、このファインダパターン中心の暗モジュールを、反転のQRコードを第2の二次元コードとして置き換えることによって、ファインダパターンの暗モジュールをそのまま当該反転のQRコードのクワイエットゾーンにすることができ、また遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と比較的暗く見える当該反転のQRコードをファインダパターンの中心として機能させることができる。
【0015】
これとは逆に、例えば、反転のQRコードは、その機能パターンの一つであるファインダパターンの中心を単位セルを3行3列に正方形状に配置した明モジュールで構成しているので、このファインダパターン中心の明モジュールを、通常のQRコードを第2の二次元コードとして置き換えることによって、ファインダパターンの明モジュールをそのまま当該通常のQRコードのクワイエットゾーンにすることができ、また遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と比較的明るく見える当該反転のQRコードをファインダパターンの中心として機能させることができる。
【0016】
請求項3の発明では、第2の二次元コードに代える前の単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものであり、第2の二次元コードに代える前の単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものである。これにより、第2の二次元コードに代える前の単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものに置き換えるので、遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と、あたかも明モジュールであるかの如く見える(画像認識することができる)。これに対し、第2の二次元コードに代える前の単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものに置き換えるので、遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と、あたかも暗モジュールであるかの如く見える(画像認識することができる)。
【0017】
請求項4の発明では、第2の二次元コードは、機能パターンおよびデータパターンが記録された記録媒体上に、(1) 物理的に剥離可能な剥離層として形成されて、または(2) 化学的に分解可能なインクで印刷されて、記録されている。これにより、第2の二次元コードを記録した二次元コードから当該第2の二次元コードを容易に消去することができるので、例えば、当該第2の二次元コードの内容を関係者以外に読み取られ難くすることができる。
【0018】
請求項5の発明では、全体画像取得手段により、二次元コードの全体を撮像した全体画像情報を取得し、第1のデコード手段により、全体画像取得手段により取得された全体画像情報に基づいて二次元コードにコード化されたデータをデコードし、第2のデコード手段により、全体画像情報に含まれる機能パターンに相当する部分画像情報に基づいて第2の二次元コードにコード化された第2のデータをデコードする。これにより、二次元コードが、その機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録しても、一度の読取操作で二次元コードおよび第2の二次元コードを読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の二次元コードおよびその読取装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、本発明の二次元コードに係る実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。なお本実施形態では、二次元コードとして、QRコードを例示して説明するが、当該二次元コードにコード化されたデータをデコードするのに要する機能パターンと、このデータおよびそれに付随する情報をコード化したデータパターンと、を記録している二次元コードであれば、例えば、データマトリックスコード、マキシコード、ベリコード、カルラコード、CPコード等であっても本発明を適用することができる。
【0020】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るQRコード10は、QRコードの基本仕様(日本工業規格;JIS X 0510:2004、以下これを単に「JIS規格」という。)にほぼ準拠して構成されるもので、ファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14等からなる機能パターンと、データパターン15と、から構成されている。
【0021】
即ち、図1に示すQRコード10は、JIS規格に基づく2型(25×25モジュール)に準ずるもので、図2に示すように、ファインダパターンFP、アライメントパターンAP、タイミングパターンTP、データパターンDPから構成されている。なお、図1に示す、ファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14、データパターン15は、図2に示す、ファインダパターンFP、アライメントパターンAP、タイミングパターンTP、データパターンDPにそれぞれ対応している。
【0022】
図1および図2に示すように、ファインダパターン12(FP)は、切り出しシンボルや位置合わせパターンとも称されるもので、QRコード10(Q)の3箇所の隅に位置する正方形に配置される複数の単位モジュール11の集合体、つまりn×nモジュール11’で、QRコードの位置、大きさ、傾きを検出可能に構成されて記録されている。具体的には、例えば黒色の単位モジュール11を3行3列のマトリックス状に配置した3×3暗モジュール12aと、これを取り囲むように白色の単位モジュール11を5行5列のマトリックス状に配置した5×5明モジュール12bと、さらにこれらの周囲を取り囲むように黒色の単位モジュール11を7行7列のマトリックス状に配置した7×7暗モジュール12cと、により構成される。このため、ファインダパターン12を横断または縦断するように明暗情報を走査すると、暗、明、暗、明、暗の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となることを利用して当該画像範囲が当該ファインダパターン12であることや当該ファインダパターン12の中心位置を検出している。つまり、ファインダパターン12によって360度全方向でQRコードの検出を可能にしている。
【0023】
アライメントパターン13(AP)も、正方形に配置される複数の単位モジュール11の集合体(n×nモジュール11’)で、QRコードの歪みを補正可能に構成されて記録されており、3箇所のファインダパターン12によって規定される正方形範囲内の所定箇所に位置している。具体的には、1単位モジュール11分の独立した例えば黒色の1×1暗モジュール13aと、この1×1暗モジュール13aの周囲を囲む8個の白色の3×3明モジュール13bと、この正方形状の3×3明モジュール13bの周囲を囲む16個の黒色の5×5暗モジュール13cとから構成されている。このアライメントパターン13により、中心座標を検出を容易にしている。
【0024】
タイミングパターン14(TP)は、各単位モジュール11の中心座標を求めるためのタイミング抽出を可能にする、白色や黒色の単位モジュール11が繰り返し現れる単位モジュール11の繰り返しパターンで、白色の1×1明モジュール14aと黒色の1×1暗モジュール14bとを直線状に交互に配置されて構成されている。例えば、QRコードが歪んだり、単位モジュール11のピッチに誤差が生じている場合、単位モジュール11の中心座標を補正するために用いられる。タイミングパターン14は、アライメントパターン13の中心を通るように、QRコードの縦方向および横方向のそれぞれに記録されている。
【0025】
データパターン15(DP)は、例えば、図2に示すように、単位モジュール11を4行2列に配置して構成されるもので、これによりビット0〜ビット7の8ビット分のデータを表現可能にしている。なお、このデータパターン15は、ファインダパターン12、アライメントパターン13およびタイミングパターン14が配置されている機能パターン領域以外のデータパターン領域に記録されている。
【0026】
なお、図3(A) に示すように、QRコード10の周囲には、上述したファインダパターン12の輪郭や存在をQRコード10の読取装置が認識する必要から、4モジュール幅(4個分の単位モジュール11)のクワイエットゾーンQZが確保されている。
【0027】
JIS規格に準拠するQRコードは、例えば、このように構成されるが、本実施形態に係るQRコード10は、図1に示すように、例えば、ファインダパターン12の中心に配置される3×3暗モジュール12aに置き換えて、QRコード10に対して明暗を反転した反転のマイクロQRコード16を記録している。また、アライメントパターン13の中心に配置される1×1暗モジュール13aに置き換えて、QRコード10に対して明暗を反転した反転のマイクロQRコード17を記録したり、さらにタイミングパターン14の1×1暗モジュール14bに置き換えて、QRコード10に対して明暗を反転した反転のマイクロQRコード18を記録したりしている。
【0028】
ここで、QRコード10に対してマイクロQRコード16等を反転しているのは、例えば、図3(A) に示すように、反転していない通常のQRコード10はその周囲であるクワイエットゾーンが、例えば、白色のモジュール(明モジュール)で構成されていることから、遠目でみると比較的明るく見えるのに対して、図3(B) に示すように、反転した反転のQRコード10’はその周囲であるクワイエットゾーンQZが、例えば、黒色のモジュール(暗モジュール)で構成されていることから、遠目でみると比較的暗く見える。なお、ここでいう「遠目で見る」とは、QRコードの読取装置の場合には、受光センサ(撮像素子)の解像度が低いこと、または解像度の高い画像データを間引きして解像度を低くしていることを意味する。
【0029】
このため、図3(A) に示すように、通常のQRコード10のファインダパターン12の3×3暗モジュール12aに反転のマイクロQRコード16を置き換えても、当該QRコード10を遠目で見ると、置き換えのあったファインダパターン12の3×3暗モジュール12aは黒っぽく(暗く)見えることから、このようなマイクロQRコード16をその中心に記録したファインダパターン12であっても、前述したように、ファインダパターン12を横断または縦断するように明暗情報を走査すると、暗、明、暗、明、暗の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となることを利用して、360度全方向でQRコード10の検出が可能となる。
【0030】
これとは逆に、図3(B) に示すように、反転のQRコード10’のファインダパターン12’に対しては、その3×3明モジュール12a’に通常のマイクロQRコード16’を置き換えることが可能となる。これにより、当該QRコード10’を遠目で見ると、置き換えのあったファインダパターン12’の3×3明モジュール12a’は白っぽく(明るく)見えることから、このようなマイクロQRコード16’をその中心に記録したファインダパターン12’であっても、前述したように、ファインダパターン12’を横断または縦断するように明暗情報を走査すると、明、暗、明、暗、明の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となることを利用して、360度全方向でQRコード10’の検出が可能となる。
【0031】
このような置き換えの原理は、ファインダパターン12だけではなく、アライメントパターン13やタイミングパターン14についても同様に適用することができることから、図1に示すように、QRコード10を構成するアライメントパターン13の中心の1×1暗モジュール13aに反転のマイクロQRコード17を置き換え、またタイミングパターン14の1×1暗モジュール14aに反転のマイクロQRコード18を置き換えることがそれぞれ可能となる。
【0032】
なお、タイミングパターン14については、それを構成する1×1明モジュール14bに通常のマイクロQRコードを置き換えても良いし、またファインダパターン12の5×5明モジュール12bの明モジュールやアライメントパターン13の3×3明モジュール13bの明モジュールに通常のマイクロQRコードを置き換えても良い。
【0033】
また、図4に示すQRコード10αのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにマイクロQRコードではなく、ファインダパターンが3つある標準のQRコードを反転したQRコード16αを置き換えることも可能である。また、同図に示すように、QRコード10αのアライメントパターン13の1×1暗モジュール13aに反転のQRコード17αを置き換えることも可能である。
【0034】
さらに、図5に示すQRコード10βのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにデータマトリックスコード16βを置き換えることも可能である。この場合、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が暗モジュールであることから、当該データマトリックスコード16βは、暗モジュールの占める割合(暗比率)が明モジュールの占める割合(明比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。これに対し、図示されていないが、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が明モジュールである場合には、当該データマトリックスコード16βは、明モジュールの占める割合(明比率)が暗モジュールの占める割合(暗比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。
【0035】
また、図6に示すQRコード10γのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにベリコード16γを置き換えることも可能である。この場合も、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が暗モジュールであることから、当該ベリコード16γは、暗モジュールの占める割合(暗比率)が明モジュールの占める割合(明比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。これに対し、図示されていないが、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が明モジュールである場合には、当該ベリコード16γは、明モジュールの占める割合(明比率)が暗モジュールの占める割合(暗比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。
【0036】
同様に、図7に示すQRコード10δのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにカルラコード16δを置き換えることも可能である。この場合も、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が暗モジュールであることから、当該カルラコード16δは、暗モジュールの占める割合(暗比率)が明モジュールの占める割合(明比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。これに対し、図示されていないが、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が明モジュールである場合には、当該カルラコード16δは、明モジュールの占める割合(明比率)が暗モジュールの占める割合(暗比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るQRコード10、10’、10α、10β、10γ、10δ(以下「QRコード10等」という。)によると、機能パターンを構成する単位モジュール11または単位セルの集合体で正方形状のn×nモジュール11’(所定範囲)に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、マイクロQRコード16、16α、16β、16γ、16δ、17α(以下「マイクロQRコード16等」という。)を記録していることから、データパターンDPやその領域を減らすことなく、マイクロQRコード16等を記録することができる。このため、元のQRコード10等の情報量を減少させることなく、マイクロQRコード16等を記録することができる。
【0038】
なお、上述したマイクロQRコード16等(第2の二次元コード)は、例えば、図9(A) に示すように、当該QRコード10が貼付された商品の流通段階においてはファインダパターン12の3×3暗モジュール12aに代えて記録されていたとしても、このマイクロQRコード16等を小売り段階で消去可能に構成することで、最終消費者により当該マイクロQRコード16等を読み取られることを防止することができる。
【0039】
具体的には、例えば、当該商品の包装用紙や包装フィルム等の記録媒体上に、アルミシートまたはアルミ箔をシルクスクリーン印刷等により重ねて形成することでマイクロQRコード16等を印刷する。そして、このアルミシート等からなるマイクロQRコード16等の表面をラテックス樹脂等でコーティング加工する。これにより、アルミシート等が物理的に剥離可能な剥離層として形成されることから、マイクロQRコード16等自体がいわゆるスクラッチフィルムとして容易に剥離可能、つまり消去可能に構成できる(図9(B) に示す符号16x)。
【0040】
また、例えば、化学的に分解可能な色素を含んだインクでマイクロQRコード16等を印刷することにより当該インクを分解可能な薬剤KをマイクロQRコード16等に塗布することでその薬剤Kによる化学反応(色素分解反応)によって、マイクロQRコード16等を消去可能に構成できる(図9(A) に示す符号16y)。
【0041】
また、例えば、所定温度以上で分解可能な色素を含んだインクでマイクロQRコード16等を印刷することにより当該マイクロQRコード16等の記録部分を消しゴムで擦ることでその摩擦熱等による化学反応(熱分解反応)によって、マイクロQRコード16等を消去可能に構成できる(図9(B) に示す符号16z,J)。
【0042】
このようにマイクロQRコード16等を構成することで、マイクロQRコード16等を記録したQRコード10等から当該マイクロQRコード16等を容易に消去することができるので、例えば、当該マイクロQRコード16等の内容を関係者以外に読み取られ難くすることができる。
【0043】
次に、本発明の二次元コードの読取装置に係る実施形態を図10および図11に基づいて説明する。二次元コードリーダ20は、図略のハウジング内に収容された光学系ユニット20a、制御系ユニット20b等から構成されている。このハウジングの先端部には、当該光学系ユニット20aから発せられる照明光Lfの出射を可能にしたり、反射光Lrの入射を可能にする読取口が形成されている。
【0044】
図10に示すように、二次元コードリーダ20は、照明光源21、結像レンズ22、受光センサ23等の光学系ユニット20aと、メモリ35、制御回路40、電源スイッチ41、操作スイッチ42、液晶表示器46、電池49等の制御系ユニット20bと、から構成されている。
【0045】
光学系ユニット20aの照明光源21は、照明光を発光可能な機能を有するもので、複数個の赤色のLEDとこれらのLEDの出射側に設けられる図略の拡散レンズ等とから構成されている。本実施形態の場合、複数個のLEDが、ハウジングの読取口を介して、表示媒体Rに向けて照明光を照射可能に設けられている。なお、この表示媒体Rには、前述したQRコード10等が貼付されている。
【0046】
結像レンズ22は、読取口から入射する入射光を受光センサ23の受光面23aで受光可能に当該光学系ユニット20aのプリント基板またはハウジングに図略の鏡筒を介して実装されている。
【0047】
受光センサ23は、表示媒体RやQRコード10等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である。本実施形態の場合、二次元コードであるQRコード10等およびマイクロQRコード16等を読取可能な精細な画像データも得るため、いわゆるエリアセンサでも画素数が比較的多い高解像度仕様(例えば100万画素〜1000万画素)のセンサを用いている。
【0048】
これに対し、制御系ユニット20bは、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。この制御系ユニット20bは、マイコンとして機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成される。
【0049】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データは、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0050】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域等も確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0051】
制御回路40は、二次元コードリーダ20全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなり、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0052】
これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取ったQRコード10等によるコード内容を画面表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、通信インタフェース48に接続される外部装置には、当該二次元コードリーダ20の上位システムに相当するホストコンピュータ等が含まれる。
【0053】
電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な二次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0054】
このように二次元コードリーダ20を構成することによって、例えば、電源スイッチ41がオンされて所定の自己診断処理等が正常終了し、QRコード10等の読み取りが可能な状態になると、制御回路40が照明光Lfの発光を指示する操作スイッチ42(トリガスイッチ)の入力を受け付ける。
【0055】
そして、使用者が操作スイッチ42(トリガスイッチ)をオンにすることによって、制御回路40が同期信号を基準に照明光源21に発光信号を出力するので、当該発光信号を受けた照明光源21は照明光Lfを照射し、照射された照明光LfがQRコード10等に反射するとその反射光Lrが読取口を介して結像レンズ22に入射する。このため、受光センサ23の受光面23aには、QRコード10等の像が結像されるので、上述した制御系ユニット20bにより画像処理された後、画像データとしてメモリ35を介して、これから説明する読取処理に渡される。
【0056】
これにより、制御系ユニット20bは、メモリ35に格納されて読取プログラムに従って、図11に示すような読取処理を行う。即ち、図11に示すように、ステップS101により、メモリ35から全体画像データを取り込むと、続くステップS103により画像縮小処理が行われる。
【0057】
即ち、ステップS101により取り込んだ全体画像データ(全体画像情報)は、QRコード10等およびマイクロQRコード16等の精細な画像を含んでいるので、ステップS103により画像処理的に間引きすることで解像度を下げて、当該QRコード10等を遠目で見たように画像データを加工する処理を行う。
【0058】
続くステップS105では、通常コードをデコードする処理が行われる。即ち、ステップS103により解像度を下げた画像データに基づいてQRコード10等の解読を行い当該QRコード10等のコード内容を読み出す。
【0059】
次のステップS107では、特定位置取得処理が行われる。この処理では、QRコード10等に含まれるマイクロQRコード16等の記録されている位置が位置データとして予めメモリ35に記憶されている場合、当該位置データをメモリ35から読み込む。
【0060】
もし、このような位置データがメモリ35に記憶されていない場合には、ステップS101により取得した精細な画像データに基づいて、マイクロQRコード16等として把握可能な画像の認識処理をQRコード10等の所定範囲(例えばn×nモジュール11’)ごとに行ってマイクロQRコード16等に相当する画像を探索し、見つかった位置を当該位置データとして記憶する。なおこの場合には次ステップ109はスキップする。
【0061】
ステップS109では、ステップS107の位置データに基づいて特定位置の周辺に該当する部分画像データ(部分画像情報)をステップS101により取得した精細な全体画像データから抽出する。なお、この部分画像データは、全体画像データに含まれるファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14等の機能パターンにも相当し得るものである。
【0062】
続くステップS111では、ステップS109(またはステップS107)により得られた特定位置周辺の部分画像データに基づいて、マイクロQRコード16等に相当する縮小コードが存在するか否かを判断する処理が行われる。この処理では、例えば、予め登録されているマイクロQRコード、データマトリックスコード、マキシコード、ベリコード、カルラコード、CPコードを特徴付ける画像データと、特定位置周辺の部分画像データとの画像マッチング処理を行うことにより、いずれかと一致すれば縮小コードがあるとしてステップS113に移行し、いずれも一致しなければ縮小コードがないとしてステップS117に移行する。
【0063】
ステップS113では、縮小コードをデコードする処理が行われる。即ち、ステップS109により得られた精細な画像データに基づいてマイクロQRコード16等(縮小コード)の解読を行い当該マイクロQRコード16等のコード内容を読み出す。
【0064】
ステップS115では、ステップS113によりデコード(解読)した縮小コードのコード内容を液晶表示器46や通信インタフェース48に出力する処理が行われる。これにより、マイクロQRコード16等のデコード結果が出力される。
【0065】
ステップS117では、ステップS105によりデコード(解読)した通常コードのコード内容(第2のデータ)を液晶表示器46や通信インタフェース48に出力する処理が行われる。これにより、QRコード10等のデコード結果が出力される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る二次元コードリーダ20によると、制御系ユニット20bにより、QRコード10等の全体を撮像した全体画像データを取得し(S101)、制御系ユニット20bにより、全体画像データに基づいてQRコード10等にコード化されたデータをデコードし(S105)、制御系ユニット20bにより、全体画像データに含まれるファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14等(機能パターン)に相当する部分画像データに基づいてマイクロQRコード16等にコード化された第2のデータをデコードする(S115)。これにより、QRコード10等が、その機能パターンの一部に代えて、マイクロQRコード16等を記録しても、一度の読取操作でQRコード10等およびマイクロQRコード16等を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、切り出しシンボルの一部、タイミングパターンの一部やアライメントパターンの一部に反転のマイクロQRコードを記録した例を示すものである。
【図2】QRコードの一般的な構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、図3(A) は通常のQRコードに反転のマイクロQRコードを記録した例、図3(B) は反転のQRコードに通常のマイクロQRコードを記録した例、である。
【図4】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のQRコードを記録した例である。
【図5】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のデータマトリックスコードを記録した例である。
【図6】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のベリコードを記録した例である。
【図7】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のカルラコードを記録した例である。
【図8】本実施形態に係るQRコードの他の構成例を示す説明図で、図8(A) はマイクロQRコードを記録した例、図8(B) は記録したマイクロQRコードを消去する例のうちマイクロQRコードの部分のスクラッチフィルムを削り取る場合の例である。
【図9】本実施形態に係るQRコードの他の構成例を示す説明図で、図9(A) は記録したマイクロQRコードを消去する例のうち、マイクロQRコードの部分の色素を薬剤で分解する場合の例、図9(B) はマイクロQRコードの部分の色素を摩擦熱で分解する場合の例、である。
【図10】本発明の実施形態に係る二次元コードリーダの構成例を示すブロック図である。
【図11】本実施形態に係る二次元コードリーダによる読取処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10、10’、10α、10β、10γ、10δ…QRコード(二次元コード)
11…単位モジュール(単位セル)
11’…n×nモジュール(単位セルの集合体)
12…ファインダパターン(機能パターン)
13…アライメントパターン(機能パターン)
14…タイミングパターン(機能パターン)
15…データパターン
16…マイクロQRコード(第2の二次元コード)
16α…QRコード(第2の二次元コード)
16β…データマトリックスコード(第2の二次元コード)
16γ…ベリコード(第2の二次元コード)
16δ…カルラコード(第2の二次元コード)
17…マイクロQRコード(第2の二次元コード)
17α…QRコード(第2の二次元コード)
18…マイクロQRコード(第2の二次元コード)
20…二次元コードリーダ
20a…光学系ユニット
20b…制御系ユニット(全体画像取得手段、第1のデコード手段、第2のデコード手段)
40…制御回路
AP…アライメントパターン
DP…データパターン
FP…ファインダパターン
TP…タイミングパターン
Q…QRコード
QZ…クワイエットゾーン
R…表示媒体
S101(全体画像取得手段)、S105(第1のデコード手段)、S113(第2のデコード手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2の二次元コードを記録する二次元コードおよびその読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次元コードに第2の二次元コードを記録する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される「2次元コード」がある。この二次元コードは、例えばQRコードのデータ領域に第2の二次元コードとして、CPコード、カルラコード等を配置することによって、当該二次元コードに第2の二次元コードを記録可能にしている。
【特許文献1】特開平11−328301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示される「2次元コード」では、このような第2の二次元コードを記録する領域をデータ領域に確保する必要から、そのぶん元の二次元コードがコード化できるデータ領域が減るため、情報量が減少してしまうという問題がある。
【0004】
また、このような二次元コードに記録されている第2の二次元コードは、例えば、当該二次元コードが記録される商品や物品等の流通途中では必要なものであっても、最終消費者にとっては不必要なものである場合がある。つまり、二次元コード等に記録されている内容のうち、その一部を関係者以外に読み取られたくない場合があっても、汎用の読取装置で読み取られてしまう場合がある。
【0005】
さらに、このような二次元コードに第2の二次元コードが記録されているものでは、それぞれのコード体系(コードの種類)が異なる場合には、2種類の読取装置で読み取る必要が生じ得るが、できれば一度の操作で読み取りたいところである。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、元の二次元コードの情報量を減少させることなく、第2の二次元コードを記録し得る二次元コードを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、第2の二次元コードを記録した二次元コードから当該第2の二次元コードを容易に消去し得る二次元コードを提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、第2の二次元コードを記録した二次元コードを一度の操作で読み取り得る二次元コードの読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の二次元コードでは、当該二次元コードにコード化されたデータをデコードするのに要する機能パターンと、前記データおよび前記データに付随する情報をコード化したデータパターンと、を記録している二次元コードであって、前記機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録していることを技術的特徴とする。「モジュール」とは、当該二次元コードを構成する最小構成要素のことで、「明モジュール」とは、当該モジュールが明色(例えば白色等の明度の高い色)と暗色(例えば黒色等の明度の低い色)の2種類で構成される場合における明色のモジュールのことで、「暗モジュール」とは、当該モジュールが明色と暗色の2種類で構成される場合における暗色のモジュールのことである。
【0008】
特許請求の範囲に記載の請求項2の二次元コードでは、請求項1記載の二次元コードにおいて、当該二次元コードがQRコードである場合、前記第2の二次元コードは、当該第2の二次元コードを記録している前記QRコードに対して明暗を反転して記録されていることを技術的特徴とする。
【0009】
特許請求の範囲に記載の請求項3の二次元コードでは、請求項1記載の二次元コードにおいて、前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものであり、前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものであることを技術的特徴とする。
【0010】
特許請求の範囲に記載の請求項4の二次元コードでは、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次元コードにおいて、前記第2の二次元コードは、前記機能パターンおよび前記データパターンが記録された記録媒体上に、(1) 物理的に剥離可能な剥離層として形成されて、または(2) 化学的に分解可能なインクで印刷されて、記録されていることを技術的特徴とする。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項5の二次元コードの読取装置では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次元コードをデコードする二次元コードの読取装置であって、前記二次元コードの全体を撮像した全体画像情報を取得する全体画像取得手段と、前記全体画像取得手段により取得された全体画像情報に基づいて、前記二次元コードにコード化されたデータをデコードする第1のデコード手段と、前記全体画像情報に含まれる前記機能パターンに相当する部分画像情報に基づいて、前記第2の二次元コードにコード化された第2のデータをデコードする第2のデコード手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録していることから、データパターンやその領域を減らすことなく、第2の二次元コードを記録することができる。このため、元の二次元コードの情報量を減少させることなく、第2の二次元コードを記録することができる。
【0013】
請求項2の発明では、当該二次元コードがQRコードである場合、第2の二次元コードは、当該第2の二次元コードを記録しているQRコードに対して明暗を反転して記録されている。例えば、通常のQRコードはその周囲であるクワイエットゾーンが明モジュールで構成されていることから、遠目でみると比較的明るく見えるのに対して、明モジュールと暗モジュールとを反転した反転のQRコードはその周囲であるクワイエットゾーンが暗モジュールで構成されていることから、遠目でみると比較的暗く見える。
【0014】
このため、例えば、通常のQRコードは、その機能パターンの一つであるファインダパターンの中心を単位セルを3行3列に正方形状に配置した暗モジュールで構成しているので、このファインダパターン中心の暗モジュールを、反転のQRコードを第2の二次元コードとして置き換えることによって、ファインダパターンの暗モジュールをそのまま当該反転のQRコードのクワイエットゾーンにすることができ、また遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と比較的暗く見える当該反転のQRコードをファインダパターンの中心として機能させることができる。
【0015】
これとは逆に、例えば、反転のQRコードは、その機能パターンの一つであるファインダパターンの中心を単位セルを3行3列に正方形状に配置した明モジュールで構成しているので、このファインダパターン中心の明モジュールを、通常のQRコードを第2の二次元コードとして置き換えることによって、ファインダパターンの明モジュールをそのまま当該通常のQRコードのクワイエットゾーンにすることができ、また遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と比較的明るく見える当該反転のQRコードをファインダパターンの中心として機能させることができる。
【0016】
請求項3の発明では、第2の二次元コードに代える前の単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものであり、第2の二次元コードに代える前の単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものである。これにより、第2の二次元コードに代える前の単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものに置き換えるので、遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と、あたかも明モジュールであるかの如く見える(画像認識することができる)。これに対し、第2の二次元コードに代える前の単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものに置き換えるので、遠目でみる(撮像素子の解像度が低い)と、あたかも暗モジュールであるかの如く見える(画像認識することができる)。
【0017】
請求項4の発明では、第2の二次元コードは、機能パターンおよびデータパターンが記録された記録媒体上に、(1) 物理的に剥離可能な剥離層として形成されて、または(2) 化学的に分解可能なインクで印刷されて、記録されている。これにより、第2の二次元コードを記録した二次元コードから当該第2の二次元コードを容易に消去することができるので、例えば、当該第2の二次元コードの内容を関係者以外に読み取られ難くすることができる。
【0018】
請求項5の発明では、全体画像取得手段により、二次元コードの全体を撮像した全体画像情報を取得し、第1のデコード手段により、全体画像取得手段により取得された全体画像情報に基づいて二次元コードにコード化されたデータをデコードし、第2のデコード手段により、全体画像情報に含まれる機能パターンに相当する部分画像情報に基づいて第2の二次元コードにコード化された第2のデータをデコードする。これにより、二次元コードが、その機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録しても、一度の読取操作で二次元コードおよび第2の二次元コードを読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の二次元コードおよびその読取装置の実施形態について図を参照して説明する。まず、本発明の二次元コードに係る実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。なお本実施形態では、二次元コードとして、QRコードを例示して説明するが、当該二次元コードにコード化されたデータをデコードするのに要する機能パターンと、このデータおよびそれに付随する情報をコード化したデータパターンと、を記録している二次元コードであれば、例えば、データマトリックスコード、マキシコード、ベリコード、カルラコード、CPコード等であっても本発明を適用することができる。
【0020】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るQRコード10は、QRコードの基本仕様(日本工業規格;JIS X 0510:2004、以下これを単に「JIS規格」という。)にほぼ準拠して構成されるもので、ファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14等からなる機能パターンと、データパターン15と、から構成されている。
【0021】
即ち、図1に示すQRコード10は、JIS規格に基づく2型(25×25モジュール)に準ずるもので、図2に示すように、ファインダパターンFP、アライメントパターンAP、タイミングパターンTP、データパターンDPから構成されている。なお、図1に示す、ファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14、データパターン15は、図2に示す、ファインダパターンFP、アライメントパターンAP、タイミングパターンTP、データパターンDPにそれぞれ対応している。
【0022】
図1および図2に示すように、ファインダパターン12(FP)は、切り出しシンボルや位置合わせパターンとも称されるもので、QRコード10(Q)の3箇所の隅に位置する正方形に配置される複数の単位モジュール11の集合体、つまりn×nモジュール11’で、QRコードの位置、大きさ、傾きを検出可能に構成されて記録されている。具体的には、例えば黒色の単位モジュール11を3行3列のマトリックス状に配置した3×3暗モジュール12aと、これを取り囲むように白色の単位モジュール11を5行5列のマトリックス状に配置した5×5明モジュール12bと、さらにこれらの周囲を取り囲むように黒色の単位モジュール11を7行7列のマトリックス状に配置した7×7暗モジュール12cと、により構成される。このため、ファインダパターン12を横断または縦断するように明暗情報を走査すると、暗、明、暗、明、暗の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となることを利用して当該画像範囲が当該ファインダパターン12であることや当該ファインダパターン12の中心位置を検出している。つまり、ファインダパターン12によって360度全方向でQRコードの検出を可能にしている。
【0023】
アライメントパターン13(AP)も、正方形に配置される複数の単位モジュール11の集合体(n×nモジュール11’)で、QRコードの歪みを補正可能に構成されて記録されており、3箇所のファインダパターン12によって規定される正方形範囲内の所定箇所に位置している。具体的には、1単位モジュール11分の独立した例えば黒色の1×1暗モジュール13aと、この1×1暗モジュール13aの周囲を囲む8個の白色の3×3明モジュール13bと、この正方形状の3×3明モジュール13bの周囲を囲む16個の黒色の5×5暗モジュール13cとから構成されている。このアライメントパターン13により、中心座標を検出を容易にしている。
【0024】
タイミングパターン14(TP)は、各単位モジュール11の中心座標を求めるためのタイミング抽出を可能にする、白色や黒色の単位モジュール11が繰り返し現れる単位モジュール11の繰り返しパターンで、白色の1×1明モジュール14aと黒色の1×1暗モジュール14bとを直線状に交互に配置されて構成されている。例えば、QRコードが歪んだり、単位モジュール11のピッチに誤差が生じている場合、単位モジュール11の中心座標を補正するために用いられる。タイミングパターン14は、アライメントパターン13の中心を通るように、QRコードの縦方向および横方向のそれぞれに記録されている。
【0025】
データパターン15(DP)は、例えば、図2に示すように、単位モジュール11を4行2列に配置して構成されるもので、これによりビット0〜ビット7の8ビット分のデータを表現可能にしている。なお、このデータパターン15は、ファインダパターン12、アライメントパターン13およびタイミングパターン14が配置されている機能パターン領域以外のデータパターン領域に記録されている。
【0026】
なお、図3(A) に示すように、QRコード10の周囲には、上述したファインダパターン12の輪郭や存在をQRコード10の読取装置が認識する必要から、4モジュール幅(4個分の単位モジュール11)のクワイエットゾーンQZが確保されている。
【0027】
JIS規格に準拠するQRコードは、例えば、このように構成されるが、本実施形態に係るQRコード10は、図1に示すように、例えば、ファインダパターン12の中心に配置される3×3暗モジュール12aに置き換えて、QRコード10に対して明暗を反転した反転のマイクロQRコード16を記録している。また、アライメントパターン13の中心に配置される1×1暗モジュール13aに置き換えて、QRコード10に対して明暗を反転した反転のマイクロQRコード17を記録したり、さらにタイミングパターン14の1×1暗モジュール14bに置き換えて、QRコード10に対して明暗を反転した反転のマイクロQRコード18を記録したりしている。
【0028】
ここで、QRコード10に対してマイクロQRコード16等を反転しているのは、例えば、図3(A) に示すように、反転していない通常のQRコード10はその周囲であるクワイエットゾーンが、例えば、白色のモジュール(明モジュール)で構成されていることから、遠目でみると比較的明るく見えるのに対して、図3(B) に示すように、反転した反転のQRコード10’はその周囲であるクワイエットゾーンQZが、例えば、黒色のモジュール(暗モジュール)で構成されていることから、遠目でみると比較的暗く見える。なお、ここでいう「遠目で見る」とは、QRコードの読取装置の場合には、受光センサ(撮像素子)の解像度が低いこと、または解像度の高い画像データを間引きして解像度を低くしていることを意味する。
【0029】
このため、図3(A) に示すように、通常のQRコード10のファインダパターン12の3×3暗モジュール12aに反転のマイクロQRコード16を置き換えても、当該QRコード10を遠目で見ると、置き換えのあったファインダパターン12の3×3暗モジュール12aは黒っぽく(暗く)見えることから、このようなマイクロQRコード16をその中心に記録したファインダパターン12であっても、前述したように、ファインダパターン12を横断または縦断するように明暗情報を走査すると、暗、明、暗、明、暗の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となることを利用して、360度全方向でQRコード10の検出が可能となる。
【0030】
これとは逆に、図3(B) に示すように、反転のQRコード10’のファインダパターン12’に対しては、その3×3明モジュール12a’に通常のマイクロQRコード16’を置き換えることが可能となる。これにより、当該QRコード10’を遠目で見ると、置き換えのあったファインダパターン12’の3×3明モジュール12a’は白っぽく(明るく)見えることから、このようなマイクロQRコード16’をその中心に記録したファインダパターン12’であっても、前述したように、ファインダパターン12’を横断または縦断するように明暗情報を走査すると、明、暗、明、暗、明の順番で同色モジュールの連続比率が1:1:3:1:1となることを利用して、360度全方向でQRコード10’の検出が可能となる。
【0031】
このような置き換えの原理は、ファインダパターン12だけではなく、アライメントパターン13やタイミングパターン14についても同様に適用することができることから、図1に示すように、QRコード10を構成するアライメントパターン13の中心の1×1暗モジュール13aに反転のマイクロQRコード17を置き換え、またタイミングパターン14の1×1暗モジュール14aに反転のマイクロQRコード18を置き換えることがそれぞれ可能となる。
【0032】
なお、タイミングパターン14については、それを構成する1×1明モジュール14bに通常のマイクロQRコードを置き換えても良いし、またファインダパターン12の5×5明モジュール12bの明モジュールやアライメントパターン13の3×3明モジュール13bの明モジュールに通常のマイクロQRコードを置き換えても良い。
【0033】
また、図4に示すQRコード10αのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにマイクロQRコードではなく、ファインダパターンが3つある標準のQRコードを反転したQRコード16αを置き換えることも可能である。また、同図に示すように、QRコード10αのアライメントパターン13の1×1暗モジュール13aに反転のQRコード17αを置き換えることも可能である。
【0034】
さらに、図5に示すQRコード10βのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにデータマトリックスコード16βを置き換えることも可能である。この場合、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が暗モジュールであることから、当該データマトリックスコード16βは、暗モジュールの占める割合(暗比率)が明モジュールの占める割合(明比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。これに対し、図示されていないが、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が明モジュールである場合には、当該データマトリックスコード16βは、明モジュールの占める割合(明比率)が暗モジュールの占める割合(暗比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。
【0035】
また、図6に示すQRコード10γのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにベリコード16γを置き換えることも可能である。この場合も、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が暗モジュールであることから、当該ベリコード16γは、暗モジュールの占める割合(暗比率)が明モジュールの占める割合(明比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。これに対し、図示されていないが、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が明モジュールである場合には、当該ベリコード16γは、明モジュールの占める割合(明比率)が暗モジュールの占める割合(暗比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。
【0036】
同様に、図7に示すQRコード10δのように、ファインダパターン12の3×3暗モジュール12aにカルラコード16δを置き換えることも可能である。この場合も、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が暗モジュールであることから、当該カルラコード16δは、暗モジュールの占める割合(暗比率)が明モジュールの占める割合(明比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。これに対し、図示されていないが、置き換えの対象となるn×nモジュール11’が明モジュールである場合には、当該カルラコード16δは、明モジュールの占める割合(明比率)が暗モジュールの占める割合(暗比率)よりも高くなるように、反転することなく、または反転させて置き換えられる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るQRコード10、10’、10α、10β、10γ、10δ(以下「QRコード10等」という。)によると、機能パターンを構成する単位モジュール11または単位セルの集合体で正方形状のn×nモジュール11’(所定範囲)に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、マイクロQRコード16、16α、16β、16γ、16δ、17α(以下「マイクロQRコード16等」という。)を記録していることから、データパターンDPやその領域を減らすことなく、マイクロQRコード16等を記録することができる。このため、元のQRコード10等の情報量を減少させることなく、マイクロQRコード16等を記録することができる。
【0038】
なお、上述したマイクロQRコード16等(第2の二次元コード)は、例えば、図9(A) に示すように、当該QRコード10が貼付された商品の流通段階においてはファインダパターン12の3×3暗モジュール12aに代えて記録されていたとしても、このマイクロQRコード16等を小売り段階で消去可能に構成することで、最終消費者により当該マイクロQRコード16等を読み取られることを防止することができる。
【0039】
具体的には、例えば、当該商品の包装用紙や包装フィルム等の記録媒体上に、アルミシートまたはアルミ箔をシルクスクリーン印刷等により重ねて形成することでマイクロQRコード16等を印刷する。そして、このアルミシート等からなるマイクロQRコード16等の表面をラテックス樹脂等でコーティング加工する。これにより、アルミシート等が物理的に剥離可能な剥離層として形成されることから、マイクロQRコード16等自体がいわゆるスクラッチフィルムとして容易に剥離可能、つまり消去可能に構成できる(図9(B) に示す符号16x)。
【0040】
また、例えば、化学的に分解可能な色素を含んだインクでマイクロQRコード16等を印刷することにより当該インクを分解可能な薬剤KをマイクロQRコード16等に塗布することでその薬剤Kによる化学反応(色素分解反応)によって、マイクロQRコード16等を消去可能に構成できる(図9(A) に示す符号16y)。
【0041】
また、例えば、所定温度以上で分解可能な色素を含んだインクでマイクロQRコード16等を印刷することにより当該マイクロQRコード16等の記録部分を消しゴムで擦ることでその摩擦熱等による化学反応(熱分解反応)によって、マイクロQRコード16等を消去可能に構成できる(図9(B) に示す符号16z,J)。
【0042】
このようにマイクロQRコード16等を構成することで、マイクロQRコード16等を記録したQRコード10等から当該マイクロQRコード16等を容易に消去することができるので、例えば、当該マイクロQRコード16等の内容を関係者以外に読み取られ難くすることができる。
【0043】
次に、本発明の二次元コードの読取装置に係る実施形態を図10および図11に基づいて説明する。二次元コードリーダ20は、図略のハウジング内に収容された光学系ユニット20a、制御系ユニット20b等から構成されている。このハウジングの先端部には、当該光学系ユニット20aから発せられる照明光Lfの出射を可能にしたり、反射光Lrの入射を可能にする読取口が形成されている。
【0044】
図10に示すように、二次元コードリーダ20は、照明光源21、結像レンズ22、受光センサ23等の光学系ユニット20aと、メモリ35、制御回路40、電源スイッチ41、操作スイッチ42、液晶表示器46、電池49等の制御系ユニット20bと、から構成されている。
【0045】
光学系ユニット20aの照明光源21は、照明光を発光可能な機能を有するもので、複数個の赤色のLEDとこれらのLEDの出射側に設けられる図略の拡散レンズ等とから構成されている。本実施形態の場合、複数個のLEDが、ハウジングの読取口を介して、表示媒体Rに向けて照明光を照射可能に設けられている。なお、この表示媒体Rには、前述したQRコード10等が貼付されている。
【0046】
結像レンズ22は、読取口から入射する入射光を受光センサ23の受光面23aで受光可能に当該光学系ユニット20aのプリント基板またはハウジングに図略の鏡筒を介して実装されている。
【0047】
受光センサ23は、表示媒体RやQRコード10等に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である。本実施形態の場合、二次元コードであるQRコード10等およびマイクロQRコード16等を読取可能な精細な画像データも得るため、いわゆるエリアセンサでも画素数が比較的多い高解像度仕様(例えば100万画素〜1000万画素)のセンサを用いている。
【0048】
これに対し、制御系ユニット20bは、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。この制御系ユニット20bは、マイコンとして機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成される。
【0049】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データは、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0050】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域等も確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0051】
制御回路40は、二次元コードリーダ20全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなり、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0052】
これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取ったQRコード10等によるコード内容を画面表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、通信インタフェース48に接続される外部装置には、当該二次元コードリーダ20の上位システムに相当するホストコンピュータ等が含まれる。
【0053】
電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な二次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0054】
このように二次元コードリーダ20を構成することによって、例えば、電源スイッチ41がオンされて所定の自己診断処理等が正常終了し、QRコード10等の読み取りが可能な状態になると、制御回路40が照明光Lfの発光を指示する操作スイッチ42(トリガスイッチ)の入力を受け付ける。
【0055】
そして、使用者が操作スイッチ42(トリガスイッチ)をオンにすることによって、制御回路40が同期信号を基準に照明光源21に発光信号を出力するので、当該発光信号を受けた照明光源21は照明光Lfを照射し、照射された照明光LfがQRコード10等に反射するとその反射光Lrが読取口を介して結像レンズ22に入射する。このため、受光センサ23の受光面23aには、QRコード10等の像が結像されるので、上述した制御系ユニット20bにより画像処理された後、画像データとしてメモリ35を介して、これから説明する読取処理に渡される。
【0056】
これにより、制御系ユニット20bは、メモリ35に格納されて読取プログラムに従って、図11に示すような読取処理を行う。即ち、図11に示すように、ステップS101により、メモリ35から全体画像データを取り込むと、続くステップS103により画像縮小処理が行われる。
【0057】
即ち、ステップS101により取り込んだ全体画像データ(全体画像情報)は、QRコード10等およびマイクロQRコード16等の精細な画像を含んでいるので、ステップS103により画像処理的に間引きすることで解像度を下げて、当該QRコード10等を遠目で見たように画像データを加工する処理を行う。
【0058】
続くステップS105では、通常コードをデコードする処理が行われる。即ち、ステップS103により解像度を下げた画像データに基づいてQRコード10等の解読を行い当該QRコード10等のコード内容を読み出す。
【0059】
次のステップS107では、特定位置取得処理が行われる。この処理では、QRコード10等に含まれるマイクロQRコード16等の記録されている位置が位置データとして予めメモリ35に記憶されている場合、当該位置データをメモリ35から読み込む。
【0060】
もし、このような位置データがメモリ35に記憶されていない場合には、ステップS101により取得した精細な画像データに基づいて、マイクロQRコード16等として把握可能な画像の認識処理をQRコード10等の所定範囲(例えばn×nモジュール11’)ごとに行ってマイクロQRコード16等に相当する画像を探索し、見つかった位置を当該位置データとして記憶する。なおこの場合には次ステップ109はスキップする。
【0061】
ステップS109では、ステップS107の位置データに基づいて特定位置の周辺に該当する部分画像データ(部分画像情報)をステップS101により取得した精細な全体画像データから抽出する。なお、この部分画像データは、全体画像データに含まれるファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14等の機能パターンにも相当し得るものである。
【0062】
続くステップS111では、ステップS109(またはステップS107)により得られた特定位置周辺の部分画像データに基づいて、マイクロQRコード16等に相当する縮小コードが存在するか否かを判断する処理が行われる。この処理では、例えば、予め登録されているマイクロQRコード、データマトリックスコード、マキシコード、ベリコード、カルラコード、CPコードを特徴付ける画像データと、特定位置周辺の部分画像データとの画像マッチング処理を行うことにより、いずれかと一致すれば縮小コードがあるとしてステップS113に移行し、いずれも一致しなければ縮小コードがないとしてステップS117に移行する。
【0063】
ステップS113では、縮小コードをデコードする処理が行われる。即ち、ステップS109により得られた精細な画像データに基づいてマイクロQRコード16等(縮小コード)の解読を行い当該マイクロQRコード16等のコード内容を読み出す。
【0064】
ステップS115では、ステップS113によりデコード(解読)した縮小コードのコード内容を液晶表示器46や通信インタフェース48に出力する処理が行われる。これにより、マイクロQRコード16等のデコード結果が出力される。
【0065】
ステップS117では、ステップS105によりデコード(解読)した通常コードのコード内容(第2のデータ)を液晶表示器46や通信インタフェース48に出力する処理が行われる。これにより、QRコード10等のデコード結果が出力される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る二次元コードリーダ20によると、制御系ユニット20bにより、QRコード10等の全体を撮像した全体画像データを取得し(S101)、制御系ユニット20bにより、全体画像データに基づいてQRコード10等にコード化されたデータをデコードし(S105)、制御系ユニット20bにより、全体画像データに含まれるファインダパターン12、アライメントパターン13、タイミングパターン14等(機能パターン)に相当する部分画像データに基づいてマイクロQRコード16等にコード化された第2のデータをデコードする(S115)。これにより、QRコード10等が、その機能パターンの一部に代えて、マイクロQRコード16等を記録しても、一度の読取操作でQRコード10等およびマイクロQRコード16等を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、切り出しシンボルの一部、タイミングパターンの一部やアライメントパターンの一部に反転のマイクロQRコードを記録した例を示すものである。
【図2】QRコードの一般的な構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、図3(A) は通常のQRコードに反転のマイクロQRコードを記録した例、図3(B) は反転のQRコードに通常のマイクロQRコードを記録した例、である。
【図4】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のQRコードを記録した例である。
【図5】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のデータマトリックスコードを記録した例である。
【図6】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のベリコードを記録した例である。
【図7】本実施形態に係るQRコードの構成例を示す説明図で、通常のQRコードの切り出しシンボルの一部に反転のカルラコードを記録した例である。
【図8】本実施形態に係るQRコードの他の構成例を示す説明図で、図8(A) はマイクロQRコードを記録した例、図8(B) は記録したマイクロQRコードを消去する例のうちマイクロQRコードの部分のスクラッチフィルムを削り取る場合の例である。
【図9】本実施形態に係るQRコードの他の構成例を示す説明図で、図9(A) は記録したマイクロQRコードを消去する例のうち、マイクロQRコードの部分の色素を薬剤で分解する場合の例、図9(B) はマイクロQRコードの部分の色素を摩擦熱で分解する場合の例、である。
【図10】本発明の実施形態に係る二次元コードリーダの構成例を示すブロック図である。
【図11】本実施形態に係る二次元コードリーダによる読取処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10、10’、10α、10β、10γ、10δ…QRコード(二次元コード)
11…単位モジュール(単位セル)
11’…n×nモジュール(単位セルの集合体)
12…ファインダパターン(機能パターン)
13…アライメントパターン(機能パターン)
14…タイミングパターン(機能パターン)
15…データパターン
16…マイクロQRコード(第2の二次元コード)
16α…QRコード(第2の二次元コード)
16β…データマトリックスコード(第2の二次元コード)
16γ…ベリコード(第2の二次元コード)
16δ…カルラコード(第2の二次元コード)
17…マイクロQRコード(第2の二次元コード)
17α…QRコード(第2の二次元コード)
18…マイクロQRコード(第2の二次元コード)
20…二次元コードリーダ
20a…光学系ユニット
20b…制御系ユニット(全体画像取得手段、第1のデコード手段、第2のデコード手段)
40…制御回路
AP…アライメントパターン
DP…データパターン
FP…ファインダパターン
TP…タイミングパターン
Q…QRコード
QZ…クワイエットゾーン
R…表示媒体
S101(全体画像取得手段)、S105(第1のデコード手段)、S113(第2のデコード手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該二次元コードにコード化されたデータをデコードするのに要する機能パターンと、前記データおよび前記データに付随する情報をコード化したデータパターンと、を記録している二次元コードであって、
前記機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録していることを特徴とする二次元コード。
【請求項2】
当該二次元コードがQRコードである場合、
前記第2の二次元コードは、当該第2の二次元コードを記録している前記QRコードに対して明暗を反転して記録されていることを特徴とする請求項1記載の二次元コード。
【請求項3】
前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものであり、
前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものであることを特徴とする請求項1記載の二次元コード。
【請求項4】
前記第2の二次元コードは、前記機能パターンおよび前記データパターンが記録された記録媒体上に、(1) 物理的に剥離可能な剥離層として形成されて、または(2) 化学的に分解可能なインクで印刷されて、記録されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次元コード。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次元コードをデコードする二次元コードの読取装置であって、
前記二次元コードの全体を撮像した全体画像情報を取得する全体画像取得手段と、
前記全体画像取得手段により取得された全体画像情報に基づいて、前記二次元コードにコード化されたデータをデコードする第1のデコード手段と、
前記全体画像情報に含まれる前記機能パターンに相当する部分画像情報に基づいて、前記第2の二次元コードにコード化された第2のデータをデコードする第2のデコード手段と、を備えることを特徴とする二次元コードの読取装置。
【請求項1】
当該二次元コードにコード化されたデータをデコードするのに要する機能パターンと、前記データおよび前記データに付随する情報をコード化したデータパターンと、を記録している二次元コードであって、
前記機能パターンを構成する単位セルまたは単位セルの集合体で正方形状の所定範囲に配置される同一色の明モジュールまたは暗モジュールに代えて、第2の二次元コードを記録していることを特徴とする二次元コード。
【請求項2】
当該二次元コードがQRコードである場合、
前記第2の二次元コードは、当該第2の二次元コードを記録している前記QRコードに対して明暗を反転して記録されていることを特徴とする請求項1記載の二次元コード。
【請求項3】
前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが明モジュールである場合、この第2の二次元コードは明比率が暗比率に比べて高いものであり、
前記第2の二次元コードに代える前の前記単位セルが暗モジュールである場合、この第2の二次元コードは暗比率が明比率に比べて高いものであることを特徴とする請求項1記載の二次元コード。
【請求項4】
前記第2の二次元コードは、前記機能パターンおよび前記データパターンが記録された記録媒体上に、(1) 物理的に剥離可能な剥離層として形成されて、または(2) 化学的に分解可能なインクで印刷されて、記録されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次元コード。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次元コードをデコードする二次元コードの読取装置であって、
前記二次元コードの全体を撮像した全体画像情報を取得する全体画像取得手段と、
前記全体画像取得手段により取得された全体画像情報に基づいて、前記二次元コードにコード化されたデータをデコードする第1のデコード手段と、
前記全体画像情報に含まれる前記機能パターンに相当する部分画像情報に基づいて、前記第2の二次元コードにコード化された第2のデータをデコードする第2のデコード手段と、を備えることを特徴とする二次元コードの読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−87286(P2009−87286A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259545(P2007−259545)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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