説明

二次転写ベルトユニットおよび画像形成装置

【課題】二次転写ベルトの耐久寿命を延ばすことができる二次転写ベルトユニットを提供する。
【解決手段】二次転写ベルトユニット570は、二次転写ベルト57、転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564、リブ57A,B、板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569ならびに圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bを備える。圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569が二次転写ベルトユニット570本体を移動させることに連動して二次転写ベルト57に対する二次転写ベルト57、転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564の圧力分布を変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像をシート上に転写するための二次転写ベルトユニットおよびこの二次転写ベルトユニットを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式や静電記録方式で画像形成する画像形成装置の分野において、像担持体である感光体ドラムや中間転写ベルトを備えた画像形成装置の場合、感光体ドラムに担持されたトナー画像を一旦中間転写ベルトの表面に転写し、その転写されたトナー画像をさらに記録媒体であるシートに一括して転写する。このようにしてシート上に一括転写を行う中間転写方式の画像形成装置では、作動中の中間転写ベルトの位置精度の良し悪しが画像品質に影響する。すなわち、中間転写ベルトが作動中にベルト幅方向へ片寄りしてブレを発生すると、カラー印刷の場合は特に各色の重ね合わせ精度が低下して画像品質を著しく損ねる。
【0003】
そこで、中間転写ベルトの片寄り防止を目的として提案されたものに以下のような構造がある。例えば、中間転写ベルトは複数のローラ間に巻回して張架されるが、その張架ローラの1つであるベルト張力付与用のテンションローラを利用したベルト片寄り防止構造がある。この場合、テンションローラの回転軸線を中間転写ベルトのベルト幅方向に対して斜めに角度をもたせてずらすことで、中間転写ベルトに対して所定方向へ片寄りさせる力を付与する。すなわち、回転軸線を斜めに傾けたテンションローラによって中間転写ベルトに片寄り力を働かせ、予め中間転写ベルトを所定方向へ片寄らせた状態で位置決めして張架する。その場合、中間転写ベルトの幅方向の両端部に蛇行/斜行防止用として設けられるガイドリブ等の規制部材によって中間転写ベルトの片寄りを規制することで、中間転写ベルトのブレの発生を抑えて画像ズレが生じないようにしている。
【0004】
しかし、転写ベルト、中間転写ベルトまたは二次転写ベルト等のベルト搬送体を片側一方向へのみ偏倚させていると、ベルト搬送体に設けられたガイドリブとベルト搬送体が架け渡される駆動ローラ、従動ローラまたはテンションローラ等の端面部分とが摺擦して双方の部材に摩耗が生じ、ベルト搬送体の短期寿命につながりやすい。
【0005】
そこで、蛇行/斜行の検出手段を設けたベルト搬送体にあっては、ベルト偏倚が過剰となるのを監視しながら、駆動モータでテンションローラなどを調整してベルト搬送体の姿勢を矯正するようにしている技術がある。
【0006】
しかし、この技術は、蛇行/斜行の検出手段を増設することで部品点数が増加してコスト高となり、画像形成装置本体が大型化し、かつ、制御系が複雑化する不具合がある。
【0007】
そこで、ベルトの幅方向における片寄りをセンサで検知し、一方側へ最大に偏倚すると、他方側へ最大に偏倚させることを反復して行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−162196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1において開示されている技術は、ベルト搬送体の偏倚方向の変更に際し、両端のガイドリブの摩耗が進行する傾向、画像形成装置の稼働状況/動作状況、および、ベルト搬送体に対して機械的負荷が作用する期間の長短等の時間的要素は反映されていないため、必ずしも両端のガイドリブの摩耗が均一または平均化して進行するとは限らない。
【0010】
すなわち、ガイドリブの摩耗が進行し易い側にベルト搬送体が偏倚されるにもかかわらず、長期間にわたってガイドリブが機械的負荷を受け、逆に、ガイドリブの摩耗が進行し難い側にベルト搬送体が偏倚されるにもかかわらず、短期間しかガイドリブが機械的負荷を受けないような不合理が発生することがある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、二次転写ベルトの耐久寿命を延ばすことができる二次転写ベルトユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の二次転写ベルトユニットは、二次転写ベルト、複数のローラ、リブ、移動機構および加圧部を備える。二次転写ベルトは、中間転写ベルト上に担持されたトナー像をシート上に転写するために中間転写ベルトと圧接可能である。複数のローラは、二次転写ベルトを張架する。リブは、二次転写ベルトの内周面の幅方向両端部に設けられ、二次転写ベルトが複数のローラ上で蛇行することを防止する。
【0013】
移動機構は、中間転写ベルトと二次転写ベルトとが圧接している画像形成位置または中間転写ベルトと二次転写ベルトとが離間している非画像形成位置に二次転写ベルトユニット本体を移動させる。加圧部は、移動機構が二次転写ベルトユニット本体を移動させることに連動して二次転写ベルトに対する複数のローラの圧力分布を変更可能である。
【0014】
また、加圧部は、移動機構が二次転写ベルトユニット本体を画像形成位置に移動させると、第1位置に向けて二次転写ベルトが偏倚するように二次転写ベルトに対する圧力分布を変更し、一方、移動機構が二次転写ベルトユニット本体を非画像形成位置に移動させると、第2位置に向けて二次転写ベルトが偏倚するように二次転写ベルトに対する圧力分布を変更する。
【0015】
この構成では、二次転写ベルトユニット本体が2通りの位置をとり、その位置によって、二次転写ベルトの内周面の幅方向の一端部に設けられたリブおよび他端部に設けられたリブの双方がローラ端面に接触し得る。したがって、双方のリブの摩耗状態が均一化されるため、二次転写ベルトの耐久寿命を延ばすことができる。
【0016】
また、この構成では、部品点数を増加させる必要がないため、二次転写ベルトユニットの大型化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における二次転写ベルトユニットは、二次転写ベルトの耐久寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニットを備える画像形成装置の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニットの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニットの構成を示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニットの構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニットの構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニットの構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る二次転写ベルトユニットの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る二次転写ベルトユニットを、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
最初に、本発明の第1実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニット570を備える画像形成装置100の構成を示す正面図である。
【0022】
画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色または単色の画像を形成するものである。画像形成装置100は、原稿処理装置120、給紙部80、画像形成部110および排紙部90から構成されている。
【0023】
原稿処理装置120は、原稿載置台121、原稿搬送装置122および原稿読取部123を有する。原稿載置台121は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送装置122は、原稿トレイに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。また、原稿搬送装置122は、矢印124方向に回動自在に構成され、原稿載置台121の上を開放することにより原稿載置台121に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部123は、原稿搬送装置122で搬送中の原稿または原稿載置台122に載置された原稿を読み取る。
【0024】
給紙部80は、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、ピックアップローラ83およびピックアップローラ84が設けられている。給紙カセット81は、定形シートを蓄積しておくためのトレイである。手差し給紙カセット82は、不定形シートを載置することができるトレイである。ピックアップローラ83は、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。同様にピックアップローラ84は、手差し給紙カセット82の端部近傍に設けられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。
【0025】
画像形成部110は、画像形成ステーション31,32,33,34、露光ユニット30、中間転写ベルトユニット50および定着ユニット70から構成されている。画像形成ステーション31,32,33,34は、それぞれ感光体ドラム10、帯電器20、現像器40およびクリーナユニット60が設けられており、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。本実施形態では、画像形成ステーション31について説明する。
【0026】
感光体ドラム10は、画像形成時に回転し、現像剤像を担持するためのものである。感光体ドラム10の周囲には、回転方向上流から帯電器20、露光ユニット30、現像器40、中間転写ベルトユニット50、クリーナユニット60の順に配置されている。定着ユニット70は、搬送路101上において画像形成部110の最も下流に位置する。
【0027】
帯電器20は、感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0028】
露光ユニット30は、帯電された感光体ドラム10を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット30は、レーザ射出部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット30は、レーザ光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム10に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット30としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0029】
現像器40は、感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーにより顕像化するものである。
【0030】
中間転写ベルトユニット50は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、中間転写ローラ54および中間転写ベルトクリーニングユニット55を備えている。
【0031】
中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53および中間転写ローラ54は、中間転写ベルト51を張架して回転駆動させる。また、中間転写ローラ54は、感光体ドラム10のトナー像を、中間転写ベルト51上に転写するための転写バイアスを与える。
【0032】
中間転写ベルト51は、感光体ドラム10に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム10に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写することによって、中間転写ベルト51上にトナー像を形成する機能を有している。中間転写ベルト51は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0033】
感光体ドラム10から中間転写ベルト51へのトナー像の転写は、中間転写ベルト51の裏側に接触している中間転写ローラ54によって行われる。中間転写ローラ54には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ54は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト51に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0034】
上述のように感光体ドラム10上で顕像化された静電潜像は中間転写ベルト51で積層される。このように積層された画像情報は、中間転写ベルト51の回転によって、用紙と中間転写ベルト51との接触位置に配置される転写ローラ56を含む二次転写ベルト57によって用紙上に転写される。
【0035】
このとき、中間転写ベルト51と転写ローラ56は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ56にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ56は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ56もしくは中間転写ベルト駆動ローラ52のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0036】
また、上記のように、感光体ドラム10に接触することにより中間転写ベルト51に付着したトナーもしくは転写ローラ56によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト51上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット55によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット55には、中間転写ベルト51に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト51は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ53で支持されている。
【0037】
クリーナユニット60は、現像・画像転写後における感光体ドラム10上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0038】
定着ユニット70は、加熱ローラ71および加圧ローラ72を備えており、加熱ローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。また加熱ローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、加熱ローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0039】
排紙部90は、排紙トレイ91および排紙ローラ92を有する。定着ユニット70を通過した用紙は、排紙ローラ92を経て排紙トレイ91に排出される。排紙トレイ91は、印刷済みのシートを集積するためのトレイである。
【0040】
また、両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット70を通過したシートの後端が排紙ローラ92で把持されたときに、排紙ローラ92が逆回転することによってシートを搬送ローラ102,103に導く。そしてその後レジストローラ104を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0041】
図2は、本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニット570の構成を示す正面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニット570の構成を示す正面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニット570の構成を示す平面図である。図5は、本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニット570の構成を示す平面図である。図6は、本発明の第1実施形態に係る二次転写ベルトユニット570の構成を示す平面図である。
【0042】
二次転写ベルトユニット570は、二次転写ベルト57、転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564、リブ57A,B、板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569ならびに圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bを備える。
【0043】
転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564は、本発明の複数のローラに相当する。板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569は、本発明の移動機構に相当する。圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、本発明の加圧部に相当する。
【0044】
二次転写ベルト57は、中間転写ベルト51上に担持されたトナー像をシート上に転写するために中間転写ベルト51と圧接可能である。転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564は、二次転写ベルト57を張架する。
【0045】
リブ57A,Bは、二次転写ベルト57の内周面の幅方向両端部に設けられ、二次転写ベルト57が転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564上で蛇行することを防止する。
【0046】
すなわち、リブ57Aまたは57Bは、転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564の端面に接触することで、二次転写ベルト57がこれらのローラ上で蛇行することを防止する機能を有する。
【0047】
板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569は、中間転写ベルト51と二次転写ベルト57とが圧接している画像形成位置または中間転写ベルト51と二次転写ベルト57とが離間している非画像形成位置に二次転写ベルトユニット570本体を移動させる。なお、二次転写ベルトユニット570本体は、一例として、二次転写ベルトユニット570から引っ張りバネ566、カム577、モータ568および制御部569を除いた部分を示す。
【0048】
すなわち、この構成は、少なくとも駆動ローラ561および従動ローラ562を板部材565が支持しており、この板部材565を引っ張りバネ566が矢印566A方向に引っ張っている。したがって、二次転写ベルトユニット570本体は、引っ張りバネ566によって矢印566A方向に付勢されている。そして、板部材565とカム577とが接触しているため、図2の状態では、二次転写ベルトユニット570本体は、画像形成位置に位置しているが、カム577が矢印567A方向に回転すると、図3に示すように、二次転写ベルトユニット570本体は、非画像形成位置に移動する。
【0049】
圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569が二次転写ベルトユニット570本体を移動させることに連動して二次転写ベルト57に対する転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564の圧力分布を変更可能である。
【0050】
すなわち、この構成は、圧縮バネ571Aが支持部材572Aに支持されて駆動ローラ軸561Aを押圧し、圧縮バネ571Bが支持部材572Bに支持されて駆動ローラ軸561Bを押圧している。図4では、圧縮バネ571Aによる押圧力と圧縮バネ571Bによる押圧力とがほぼ等しいが、図5および図6に示すように、圧縮バネ571Aによる押圧力と圧縮バネ571Bによる押圧力とを変更すると、駆動ローラ561が傾くため、各ローラの圧力分布が変更する。この圧力分布は、二次転写ベルトユニット570本体が移動することに連動して変更するようになっている。
【0051】
また、圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569が二次転写ベルトユニット570本体を画像形成位置に移動させると、第1位置に向けて二次転写ベルト57が偏倚するように二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更する。
【0052】
ここでは、第1位置を軸561B,562B側とする。この構成は、二次転写ベルトユニット570本体が画像形成位置に移動すると、その移動に連動して支持部材572Aが矢印575A方向に移動し、圧縮バネ571Aによる軸561Aへの押圧力が小さくなり、また、その移動に連動して支持部材572Bが矢印575B方向に移動し、圧縮バネ571Bによる軸561Bへの押圧力が大きくなる。したがって、駆動ローラ561は、図5のように傾く。これにより、二次転写ベルト57は、二次転写ベルト57に発生する張力が大きい矢印574B方向に、すなわち第1位置に向けて移動する。
【0053】
一方、圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、板部材565、引っ張りバネ566、カム567、モータ568および制御部569が二次転写ベルトユニット570本体を非画像形成位置に移動させると、第2位置に向けて二次転写ベルト57が偏倚するように二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更する。
【0054】
ここでは、第2位置を軸561A,562A側とする。この構成は、二次転写ベルトユニット570本体が非画像形成位置に移動すると、その移動に連動して支持部材572Aが矢印573A方向に移動し、圧縮バネ571Aによる軸561Aへの押圧力が大きくなり、また、その移動に連動して支持部材572Bが矢印573B方向に移動し、圧縮バネ571Bによる軸561Bへの押圧力が小さくなる。したがって、駆動ローラ561は、図6のように傾く。これにより、二次転写ベルト57は、二次転写ベルト57に発生する張力が大きい矢印574A方向に、すなわち第2位置に向けて移動する。
【0055】
この構成では、二次転写ベルトユニット570本体が2通りの位置をとり、その位置によって、二次転写ベルト57の内周面の幅方向の一端部に設けられたリブ57Aおよび他端部に設けられたリブ57Bの双方がローラ端面に接触し得る。したがって、双方のリブ57A,Bの摩耗状態が均一化されるため、二次転写ベルト57の耐久寿命を延ばすことができる。
【0056】
また、この構成では、部品点数を増加させる必要がないため、二次転写ベルトユニット570の大型化を抑制することができる。
【0057】
ここで、第1位置は、二次転写ベルト57を劣化する外的要因の度合いが第2位置よりも低い位置であると好ましい。外的要因とは、オゾン、熱または窒素酸化物の少なくとも1つを含む要因である。
【0058】
外的要因の度合いが低い第1位置側には、リブ57Bが配置されており、外的要因の度合いが高い第2位置側には、リブ57Aが配置されている。画像形成装置100の全体的な動作状況をとらえると、二次転写ベルトユニット570本体が画像形成位置に位置している時間よりも二次転写ベルトユニット570本体が非画像形成位置に位置している時間のほうが長い。
【0059】
したがって、二次転写ベルトユニット570本体が画像形成位置に位置している状態では、リブ57Aが各ローラ端面による機械的負荷を受けるようにし、二次転写ベルトユニット570本体が非画像形成位置に位置している状態では、リブ57Bが各ローラ端面による機械的負荷を受けるようにするとよい。
【0060】
すなわち、外的要因の度合いおよびリブ57A,Bの機械的負荷を受ける時間を考慮することで、リブ57Aと57Bの摩耗状態が均一化されるため、二次転写ベルト57の耐久寿命を延ばすことができる。
【0061】
また、圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、転写ローラ56、駆動ローラ561、従動ローラ562およびテンションローラ563,564のうち少なくとも1つの回転軸を傾けることによって二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更すると好ましい。
【0062】
この構成では、各ローラのうち1つの回転軸を傾けるだけで二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更可能であるため、当該圧力分布を変更するための構成を簡易なものとすることができる。
【0063】
さらに、圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,Bは、駆動回転する駆動ローラ561の回転軸を傾けることによって二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更するとさらに好ましい。
【0064】
この構成では、駆動ローラ561の回転軸を傾けるだけで二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更可能である。すなわち、既存のテンション部材(圧縮バネ571A,Bおよび支持部材572A,B)を使用すればよいので、当該圧力分布を変更するための構成を簡易なものとすることができる。
【0065】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0066】
図7は、本発明の第2実施形態に係る二次転写ベルトユニット570の構成を示す平面図である。
【0067】
ここでは、加圧部に相当する圧縮バネ576A,Bおよび支持部材577A,Bを、それぞれ従動ローラ562の軸562A,Bを押圧するように備えている。この構成のように、従動ローラ562の回転軸を傾けることによって二次転写ベルト57に対する圧力分布を変更して、二次転写ベルト57を偏倚させてもよい。
【0068】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
51 −中間転写ベルト
56 −転写ローラ
57 −二次転写ベルト
57A−リブ
57B−リブ
70 −定着ユニット
100 −画像形成装置
561 −駆動ローラ
562 −従動ローラ
563 −テンションローラ
564 −テンションローラ
565 −板部材
566 −引っ張りバネ
567 −カム
568 −モータ
569 −制御部
570 −二次転写ベルトユニット
571A−圧縮バネ
571B−圧縮バネ
572A−支持部材
572B−支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写ベルト上に担持されたトナー像をシート上に転写するために該中間転写ベルトと圧接可能な二次転写ベルトと、
前記二次転写ベルトを張架する複数のローラと、
前記二次転写ベルトの内周面の幅方向両端部に設けられ、前記二次転写ベルトが前記複数のローラ上で蛇行することを防止するためのリブと、
前記中間転写ベルトと前記二次転写ベルトとが圧接している画像形成位置または前記中間転写ベルトと前記二次転写ベルトとが離間している非画像形成位置に二次転写ベルトユニット本体を移動させる移動機構と、
前記移動機構が前記二次転写ベルトユニット本体を移動させることに連動して前記二次転写ベルトに対する前記複数のローラの圧力分布を変更可能な加圧部と、
を備え、
前記加圧部は、前記移動機構が前記二次転写ベルトユニット本体を前記画像形成位置に移動させると、第1位置に向けて前記二次転写ベルトが偏倚するように該二次転写ベルトに対する前記圧力分布を変更し、一方、前記移動機構が前記二次転写ベルトユニット本体を前記非画像形成位置に移動させると、第2位置に向けて前記二次転写ベルトが偏倚するように該二次転写ベルトに対する前記圧力分布を変更する
二次転写ベルトユニット。
【請求項2】
前記第1位置は、前記二次転写ベルトを劣化する外的要因の度合いが前記第2位置よりも低い位置である
請求項1に記載の二次転写ベルトユニット。
【請求項3】
前記加圧部は、前記複数のローラのうち少なくとも1つのローラの回転軸を傾けることによって前記二次転写ベルトに対する前記圧力分布を変更する
請求項1または2に記載の二次転写ベルトユニット。
【請求項4】
前記加圧部は、駆動回転する駆動ローラの回転軸を傾けることによって前記二次転写ベルトに対する前記圧力分布を変更する
請求項3に記載の二次転写ベルトユニット。
【請求項5】
前記外的要因は、オゾンを含む
請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次転写ベルトユニット。
【請求項6】
前記外的要因は、熱を含む
請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次転写ベルトユニット。
【請求項7】
前記外的要因は、窒素酸化物を含む
請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次転写ベルトユニット。
【請求項8】
シート上にトナー像を転写する請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次転写ベルトユニットと、
前記二次転写ベルトユニットによってシート上に転写されたトナー像をシート上に定着する定着ユニットと、
を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−226049(P2012−226049A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92090(P2011−92090)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】