説明

二次電池の検査方法、及び二次電池の製造方法

【課題】正確かつ簡便に二次電池を検査することができる二次電池の検査方法、及び生産性の高い二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる二次電池の検査方法は、容量比が1.5〜2.0の二次電池の検査に好適である。そして、本発明の一態様にかかる二次電池の検査方法は、二次電池のSOCを3〜15%に設定するステップと、10℃〜30℃の環境下において、SOCが3〜15%の前記二次電池の抵抗を測定するステップと、を備えているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の検査方法、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池などの二次電池の開発が広く行われている。例えば、特許文献1には、リチウムイオン電池を検査する方法が開示されている。特許文献1の検査方法では、リチウムイオン電池を45℃以上の環境下で所定時間放置後の電圧低下を求めている。
【0003】
また、特許文献2では、ニッケル・水素二次電池の短絡検査方法が開示されている。特許文献2の方法では、二次電池を加圧しながら、短絡検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−158643号公報
【特許文献2】特開2001−236985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車用の二次電池は、より過酷な環境下で使用される。そのため、二次電池の出荷前検査についても、様々な環境下で行う必要がある。例えば、低温でのエンジン始動を開始するためには、より低温環境下に検査を行う必要がある。より具体的な一例として、−30℃においてSOC(ステートオブチャージ:State of Charge)30%出力を確認したいとする。この場合、二次電池を−30℃の環境下に設置して、SOC30%出力を測定することになる。
【0006】
しかしながら、−30℃の環境下での測定は、コストと時間の観点から困難であるため、室温付近で測定することが望ましい。従って、−30℃、SOC30%出力と相関の高い測定を室温近辺において行うことが望まれる。低温環境下における測定を室温環境下における測定に置き換えた場合、本件出願の発明者によって、以下に示す問題があることが分かった。
【0007】
容量比1.4以下の電池では、SOCを変えずに温度だけ変えても相関がある。すなわち、同じSOCであっても、低温環境下での測定と、室温環境下での測定との相関が高い。しかしながら、容量比の大きい電池では、室温環境下での測定と、低温環境下での測定に相関が取れない。
【0008】
容量比が大きい二次電池は正極に対する負極の量が多く、電池抵抗に占める負極抵抗の割合が極端に小さくなる。低温環境下での電池出力は、負極のLiイオン受け入れ性の影響を受ける。従って、室温環境下で測定を行うと、負極の寄与が反映されずに、正確な検査を行うことができないという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、正確かつ簡便に二次電池を検査することができる二次電池の検査方法、及び生産性の高い二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にかかる検査方法は、容量比が1.5以上の二次電池のSOCを3〜15%に設定するステップと、10℃〜30℃の環境下において、SOCが3〜15%の前記二次電池の抵抗を測定するステップと、を備えたものである。これにより、二次電池を低温環境下に設置することなく、低温環境下と相関の高い測定を行うことができるため、正確かつ簡便に検査を行うことができる。
【0011】
本発明の第2の態様にかかる検査方法は、前記SOCを設定するステップでは、前記二次電池のSOCを4〜10%に設定することを特徴とするものである。これにより、より相関を高い測定を行うことができ、より正確な検査を行うことができる。
【0012】
本発明の第3の態様にかかる検査方法は、前記二次電池がリチウムイオン電池であることを特徴とするものである。これにより、より相関を高い測定を行うことができ、より正確な検査を行うことができる。
【0013】
本発明の第4の態様にかかる二次電池の製造方法は、上記の検査方法によって、二次電池のセルを検査するステップと、前記検査するステップによって、良品と判定されたセルを用いて、二次電池を作製するステップと、を備えるものである。これにより、生産性を向上することができる。
【0014】
本発明の第5の態様にかかる検査方法は、上記の検査方法によって、二次電池のセルを検査するステップと、検査された複数のセルのSOCを調整するステップと、前記SOCが調整された複数のセルをスタックして、セルスタックを作製するステップと、前記セルスタックに含まれる前記複数のセルのSOCが50〜90%とした状態で、前記セルスタックの自己放電を開始して、前記セルスタックの自己放電による電圧低下を測定するステップと、を備えるものである。これにより、セルスタックにおける短絡セルを高い精度で検出することが可能になる。
【0015】
本発明の第6の態様にかかる検査方法は、前記セルスタックに含まれる前記複数のセルのSOCが55%〜65%とした状態で、前記セルスタックの自己放電を開始することを特徴とするものである。これにより、セルスタックにおける短絡セルをより高い精度で検出することが可能になる。
【0016】
本発明の第6の態様にかかる検査方法は、上記の検査方法によって、セルスタックの検査を行うステップと、前記セルスタックの自己放電による電圧低下に応じて、良否判定を行うものである。これにより、生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、正確かつ簡便に二次電池を検査することができる二次電池の検査方法、及び生産性の高い二次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る検査方法を示すフローチャートである。
【図2】リチウムイオン電池の容量比を変えたときの、−30℃、SOC30%出力と20℃の抵抗との相関を示すグラフである。
【図3】20℃、SOC5%での4秒抵抗と−30℃、SOC30%での出力との関係を示すグラフである。
【図4】本実施の形態に係る二次電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】自己放電量が大きい場合の自己放電日数と電圧の関係を示すグラフである。
【図6】自己放電量が小さい場合の自己放電日数と電圧の関係を示すグラフである。
【図7】自己放電の開始電圧と電圧変化との関係を示すグラフである。
【図8】電池のSOCと負極電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0020】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1にかかる検査方法について、図1を用いて説明する。図1は検査方法を示すチャートである。本実施の形態の検査方法は、リチウムイオン電池などの二次電池の検査方法である。例えば、リチウムイオン電池のセル単体について、図1に示すフローにしたがって検査を行う。本実施の形態に係る検査方法は、容量比が1.5以上の二次電池に適している。なお、容量比とは、正極に対する負極の割合であり、負極の両が多くなる程、容量比が大きくなる。
【0021】
リチウムイオン電池のセルを用意して、セルに対して初期充放電を行う(ステップS11)。ここでは、リチウムイオン電池用のセルを用いている。リチウムイオン電池のセルは、正極と、負極と、非水電解質と、セパレータ等を有している。ステップS11では、例えば、セルを充電、放電させて、電流を流す。これにより、セルの電圧が所定の値になる。次に、セルに対して高温エージングを行う。例えば、セルを高電圧になるまで充電した後、60℃の環境下で20時間保持する。これにより、セルを安定化させるとともに、初期劣化を発生させることができる。また、金属異物が混入した場合、セルを短絡させることができる。
【0022】
次に、セルの自己放電を行う(ステップS13)。例えば、20℃の環境下で5日間保持して、セルの自己放電による電圧低下を測定する。そして、測定した電圧低下量に基づいて良否判定を行う。短絡しているセルは、通電しなくても、自己放電量が大きくなるため、電圧が低下する。よって、電圧低下量がしきい値よりも大きいものを短絡セルと判定する。このようにして、二次電池が短絡したか否かを判定することができる。なお、製造ロットによるばらつきが大きい場合、製造ロット毎にしきい値を変えてもよい。そして、良品セルに対して出荷検査を行う(ステップS14)。ステップS14の出荷検査工程では、二次電池の容量、抵抗などを測定する。
【0023】
以下に、ステップS14の出荷検査について、詳細に説明する。出荷検査では、−30℃、SOC30%出力(W)を測定する代わりに、20℃、SOC5%で抵抗測定している。例えば、低温でのエンジン始動のために要求される基準は、−30℃、SOC30%出力(W)であるが、低温環境下での出力測定を、室温環境下での抵抗測定で代替している。なお、測定するSOCは5%に限られるものではなく、環境温度も20℃に限られるものではない。例えば、室温環境下、SOC3%〜15%で抵抗測定することが好ましく、室温環境下、SOC4%〜10%で抵抗測定することがより好ましい。また、10〜30℃で測定することがより好ましい。このようにすることで、空調機(エアコン)で下げることができる温度環境下で測定が可能となる。
【0024】
本実施の形態では、低温環境下での測定に対して相関の高い室温環境下での測定を行っている。二次電池を低温環境下に設置することがなく、低温環境下での出力と相関の高い測定を行うことができる。これにより、製造コストを低減することができ、生産性を向上することができる。特に、自動車等の乗物用の二次電池に対して、低温環境下で確実にエンジンを始動させることができるようになる。
【0025】
−30℃、SOC30%出力と、20℃の4秒抵抗の相関を図2に示す。図2は、横軸が容量比であり、縦軸が低温環境下における出力測定と室温環境下における抵抗測定の相関である。図2では、−30℃、SOC30%2秒出力と、20℃の4秒抵抗の逆数との相関値をプロットしている。本実施の形態にかかる二次電池において、SOC0%は電池電圧3.0Vに対応し、SOC100%は電池電圧4.1Vに対応している。ここでは、容量比が1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2.0の二次電池のセルを用意して、相関を測定している。さらに、SOCを1%、3%、5%、10%、15%、20%、30%として、相関を測定している。上記の容量比の二次電池のセルに対して、SOCが1%、3%、5%、10%、15%、20%、30%の条件で、20Aの電流を4秒流した時の電圧を測定する。電圧を電流で割ることで4秒抵抗を測定することができる。
【0026】
図2に示すように容量比が1.5以上になると、SOC1%、20%、30%では、相関が低くなっていることがわかる。例えば、SOC1%の場合、容量比にかかわらず、相関が低くなっている。容量比が小さい場合、図2の点線枠に示すように、SOC20%、30%では、相関が高くなるが、容量比が1.5以上となると、相関が低くなる。これに対して、図2の実線枠に示されているように、SOC3%、5%、10%、15%では、容量比が高い場合も相関が高くなっている。このように、容量比が1.5〜2.0の場合、−30℃、SOC30%2秒出力と、20℃、SOC3%、5%、10%、15%の4秒抵抗との相関が高くなっている。
【0027】
このようなSOCが低い値で抵抗測定することで、低温環境下の出力測定と相関の高い室温環境下の抵抗測定が可能となる。容量比が大きい電池は、正極に対する負極の量が多く、電池抵抗に占める負極抵抗の割合が小さくなる。特に、室温環境下では、電池抵抗に対する負極の寄与が小さくなる。一方、低温環境下になると、電池抵抗に対する負極の寄与が大きくなる。そこで、容量比の高いセルにおいて、SOCを低くすることによって、電池抵抗に対する負極の寄与を大きくしている。このように、低温環境下における負極抵抗の寄与の増加を、SOCを低下させることで、補償している。これにより、室温環境下において、正確に検査を行うことができるため、良否判定を確実に行うことができる。例えば、20℃、SOC5%4秒抵抗の測定値を、しきい値と比較することで、良否判定を行うことができる。よって、確実に良否判定を行うことができる。
【0028】
以下、本件出願にかかる発明者が行った様々な測定の測定結果の一部について示す。図3は、容量比1.8のリチウムイオン電池の測定結果を示すグラフである。図3は、−30℃、SOC30%出力(W)と、20℃、SOC5%での4秒抵抗との関係を示している。図3では、5個の電池で測定を行った時の測定結果を示している。図3に示すように、20℃、SOC5%での4秒抵抗の逆数が高くなると、−30℃、SOC30%出力(W)も高くなる。−30℃、SOC30%出力(W)と、20℃、SOC5%での4秒抵抗の逆数との関係は、ほぼ線形になっている。したがって、20℃、SOC5%で抵抗測定は、−30℃、SOC30%出力との相関が高くなる。SOCを低くして、室温環境下の測定を出荷検査として行うことで、低温環境下に二次電池を設置しなくてもよくなる。これにより、検査時間を短縮することができるとともに、確実に検査を行うことができる。良品と判定されたセルを用いて、二次電池を製造する。このようにすることで、不良品と判定されるセルを少なくすることができるため、二次電池の製造コストを低減することができる。
【0029】
低温環境下の出力測定との相関を高くするために、SOC3%〜15%とすることが好ましく、4〜10%とすることがより好ましい。このように、10℃〜30℃の環境下において、SOC3〜15%の抵抗値の測定を行うことで、低温環境下の出力測定と相関の高い測定を行うことができる。さらに、SOC4%〜10%で抵抗測定することで、より相関の高い測定を行うことができる。よって、検査時間を短縮することができるとともに、確実に検査を行うことができる。良品と判定されたセルを用いて、二次電池を製造する。このようにすることで、不良品と判定されるセルを少なくすることができるため、二次電池の製造コストを低減することができる。
【0030】
実施の形態2.
本実施の形態にかかる検査方法について、図4を用いて説明する。図4は、二次電池の検査方法を示すフローチャートである。まず、実施の形態1で示した検査工程を行う(ステップS21)。すなわち、ステップS21のセルの検査工程は、実施の形態1で示した初期充放電工程(ステップS11)、高温エージング工程(ステップS12)、セル自己放電工程(ステップS13)、及び出荷検査工程(ステップS14)を含んでいる。ステップS21によって、複数のセルを検査する。
【0031】
そして、SOC調整工程(ステップS22)を経て、スタック工程(ステップS23)が行われる。ステップS22のSOC調整工程では、複数のセルのSOCが一定範囲になるように、充放電する。スタック工程S23には、スタック拘束工程とスタック自己放電工程等が含まれる。例えば、ステップS22でSOCが調整された複数のセルを用意する。そして、複数のセルを積層した状態として、拘束する。これにより、複数のセルが積み重なったセルスタックが作製される。
【0032】
ここで、複数のセルをスタックする際に、正極と負極とが短絡するおそれがある。例えば、正極負極間に金属異物が混入している場合がある。この場合、スタック拘束工程において荷重をかけると、金属異物がセパレータを突き破る可能性がある。従って、本実施の形態では、スタック拘束工程の後、セルスタックを自己放電させて短絡の有無を検出する。すなわち、セルスタックを一定時間放置して、自己放電による電圧低下を測定する。そして、電圧低下がしきい値よりも大きいものは、短絡が発生した不良品と判定する。
【0033】
しかしながら、良品セルを用いてスタックを作製したとしても、セルの自己放電が大きい場合と、小さい場合がある。例えば、製造ロットに応じて、自己放電の大きさにバラツキがある。複数のセルをスタックする場合、異なる製造ロットのセルが混ざって、スタックされてしまうことがある。この場合、良品と判定された良品セルを用いた場合でも、自己放電量にバラツキが生じてしまう。そこで、本実施の形態では、自己放電量のバラツキを低減するために、ステップS22でSOCが所定の範囲になるように調整している。こうすることで、より確実に検査することができる。
【0034】
この理由を以下に説明する。良品セルの自己放電が大きい場合、自己放電日数と電圧の関係は、図5に示すようになる。一方、良品セルの自己放電が小さい場合、自己放電日数と電圧の関係は、図6に示すようになる。図5、図6において、横軸は自己放電日数であり、縦軸は電圧である。図5、図6では、良品セルと短絡セルの電圧が低下する様子が示されている。なお、図5、図6では、短絡セルの短絡抵抗が同じとしている。図5、図6に示すように、自己放電の日数が経過するほど、電圧が徐々に降下していく。
【0035】
良品セルの自己放電が大きい場合、全体の電圧に対する短絡分の割合が小さい。従って、短絡を検出するのが困難になる。一方、良品セルの自己放電が小さい場合、良品セルと短絡セルの電圧変化の差が大きくなる。従って、短絡を検出しやすくなる。すなわち、良品セルの自己放電が小さい程、(短絡による電圧低下)/(良品セルの電圧低下)が大きくなるため、短絡セルが検出しやすくなる。従って、良品セルの自己放電が小さい条件で、自己放電量を測定すれば、短絡セルを容易に検出することができる。
【0036】
図7に、自己放電の開始電圧(SOC)と、電圧変化との関係を示す。図7において、横軸がスタック自己放電の開始電圧(SOC)であり、縦軸がスタック自己放電の電圧変化である。ここでは、スタックを5日間放置した時の、自己放電による電圧変化を示している。図7に示すように、自己放電開始電圧がSOC50%〜90%の範囲で、電圧変化が小さくなっている。従って、自己放電を開始する時のSOCを50%〜90%とすることが好ましい。SOCが90%を越えると、電池の活性が高くなり、自己放電が大きくなってしまう。一方、SOCが50%よりも小さい場合、負極の電位傾きが大きく、自己放電が大きくなってしまう。例えば、図8に示すようにSOCが50%以下の場合、負極の電位傾きが小さくなる。すなわち、SOCが50%以下の場合、SOCの低下に対する負極電位の変化が大きくなるため、自己放電量が大きくなってしまう。なお、図8では、横軸がSOCを示しており、縦軸が負極の電位を示している。自己放電では、負極の寄与が大きいため、負極の電位変化がなだらかな範囲で、スタック自己放電測定を行うことが好ましい。
【0037】
上記の理由から、SOC50%〜90%でスタック自己放電を開始することが好ましく、SOC55%〜66%でスタック自己放電を開始することがより好ましい。このため、スタック拘束工程の前に、SOC50%〜90%となるように、各セルのSOCを調整する(ステップS22)。そして、SOCが調整されたセルを複数用意して、スタックする。これにより、全てのセルのSOCが50%〜90%となっているセルスタックが作製される。なお、全てのセルがSOC50%〜90%の範囲であれば、全てのセルを同じSOCとしてよく、異なる値としてもよい。
【0038】
そして、セルスタックを通電せずに一定期間保持して、セルスタックの自己放電による電圧低下を測定する。そして、電圧低下量としきい値を比較して良否判定を行う。このようにすることで、安定してセルスタックの検査を行うことができる。よって、確実にセルスタックの良否判定することができるようになり、生産性を向上することができる。ステップS22でSOCを50%〜90%と調整することが好ましく、SOC55%〜65%と調整することがより好ましい。このようにすることで、より確実に検査することができる。
【0039】
実施の形態1、2に検査方法によって、検査を行う。そして、不良品と判定されたセル、セルスタックを排除して、良品と判定されたセル、セルスタックのみを自動車に取り付ける。このように、自動車用の二次電池を製造することで、生産性を向上することができる。なお、上記の説明では、リチウムイオン電池の検査、製造方法について説明したが、本実施の形態は、リチウム電池以外の非水電解質二次電池に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
S11 初期充放電工程
S12 高温エージング工程
S13 セル自己放電工程
S14 出荷検査工程
S21 セル検査工程
S22 SOC調整工程
S23 スタック工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量比が1.5以上の二次電池のSOCを3〜15%に設定するステップと、
10℃〜30℃の環境下において、SOCが3〜15%の前記二次電池の抵抗を測定するステップと、を備えた二次電池の検査方法。
【請求項2】
前記SOCを設定するステップでは、前記二次電池のSOCを4〜10%に設定することを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記二次電池がリチウムイオン電池であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の検査方法によって、二次電池のセルを検査するステップと、
前記検査するステップによって、良品と判定されたセルを用いて、二次電池を作製するステップと、を備える二次電池の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、又は3に記載の検査方法によって、二次電池のセルを検査するステップと、
検査された複数のセルのSOCを調整するステップと、
前記SOCが調整された複数のセルをスタックして、セルスタックを作製するステップと、
前記セルスタックに含まれる前記複数のセルのSOCが50〜90%とした状態で、前記セルスタックの自己放電を開始して、前記セルスタックの自己放電による電圧低下を測定するステップと、を備える二次電池の検査方法。
【請求項6】
前記セルスタックに含まれる前記複数のセルのSOCが55%〜65%とした状態で、前記セルスタックの自己放電を開始することを特徴とする請求項5に記載の検査方法。
【請求項7】
請求項5、又は6の記載の検査方法によって、セルスタックの検査を行うステップと、
前記セルスタックの自己放電による電圧低下に応じて、良否判定を行う二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84508(P2013−84508A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224995(P2011−224995)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】