説明

二次電池

【課題】長期にわたる使用によっても電池性能の維持を図り得る二次電池を提供する。
【解決手段】扁平型電池10(二次電池)は、正極と負極とセパレータ22とを有する積層電極体を外装部材30内に電解液とともに収納してある。この扁平型電池は、セパレータの外周部を外装部材とともに接合した複数の接合部40を有している。少なくとも接合部同士の間に、電解液を保持した保持部50を形成している。そして、接合部のそれぞれの周囲の長さの合計は、接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さよりも長く形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
外装部材から外部に導出される電極を有する扁平型電池を複数積層し、電気的に直列および/または並列に接続することによって、高出力および/または高容量の電池モジュールを得ている。
【0003】
上記の扁平型電池には、例えば、非水電解質二次電池が使用される。非水電解質二次電池は、積層電極体を外装部材内に非水系の電解液とともに収納した電池である。積層電極体は、正極と、負極と、両極の短絡を防止するセパレータとを有する。外装部材として、例えばアルミラミネートシートが使用される。アルミラミネートシートの外周部を溶着することによって、積層電極体を収納する電池容器を構成している。
【0004】
この種の二次電池において、積層電極体におけるずれの発生を防止するために、セパレータの外周部をアルミラミネートシートの溶着封口とともに溶着する技術が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−250873
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電池性能を維持するためには、積層電極体が所定の量の電解液を含んでいることが重要である。このため、何らかの原因によって積層電極体における電解液の量が不足する事態に至った場合には、電解液が積層電極体に対して補充されることが好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1の非水電解質二次電池は、セパレータの外周部を外装部材とともに接合する構造に関して、電解液を積層電極体に対して補充する観点からの考察がなされておらず、長期にわたる使用によって電池性能が低下する虞がある。
【0008】
また、セパレータの外周部がアルミラミネートシートなどの外装材に接合された二次電池においては、電池性能の低下を防止する観点から、セパレータの外周部に形成された接合部からの破断を防止するための対策を講じることが望ましいが、特許文献1の非水電解質二次電池においては破断防止に関する対策は何ら講じられていない。したがって、電池の長寿命化が図り難いものとなっている。
【0009】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、セパレータの外周部を外装部材とともに接合する構造を、電解液を積層電極体に対して補充し、かつ接合部からのセパレータの破断を好適に防止し得る構造とし、もって、長期にわたる使用によっても電池性能の維持を図り得る二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、正極と負極とセパレータとを有する積層電極体を外装部材内に電解液とともに収納した二次電池であって、前記セパレータの外周部を前記外装部材とともに接合した複数の接合部を有している。少なくとも前記接合部同士の間に、前記電解液を保持した保持部を形成する。そして、前記接合部のそれぞれの周囲の長さの合計は、前記接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さよりも長く形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セパレータの外周部を外装部材とともに接合する構造において、連続した単一の接合部によって接合するのではなく、複数の接合部を有し、少なくとも接合部同士の間に、電解液を保持した保持部を形成してある。このため、接合部同士の間の保持部から、電解液を積層電極体に対して補充することができる。さらに、接合部のそれぞれの周囲の長さの合計を、接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さよりも長くすることによって、引っ張り方向の力に対する強度を向上させ、セパレータの厚みが薄くなった接合部における破断を防止することができる。このため、長期にわたる使用によっても電池性能の維持を図り得る二次電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電池モジュールを示す斜視図である。
【図2】図1に示される電池モジュールのセルユニットを示す斜視図である。
【図3】図2に示される積層体の背面側を示す分解斜視図である。
【図4】扁平型電池を示す斜視図である。
【図5】セパレータの外周部を外装部材とともに接合した接合部を説明するための、扁平型電池の要部を示す平面図である。
【図6】図6(A)は図5の6A−6A線に沿う断面図、図6(B)は図5の6B−6B線に沿う断面図である。
【図7】図7(A)は図5において破線7Aで囲まれた部分の部分拡大図、図7(B)は図5において破線7Bで囲まれた部分の部分拡大図である。
【図8】図8(A)(B)は、白抜き矢印によって示される方向の引張力が扁平型電池に作用したときの作用を説明するための模式図である。
【図9】図9(A)〜(E)は、複数の接合部の形状や配置形態の例、および、接合部のそれぞれの周囲の長さの合計(La)と接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さ(Lb)との関係を示す模式図である。
【図10】図10(A)〜(C)は、複数の接合部の形状や配置形態の例、および、接合部のそれぞれの周囲の長さの合計(La)と接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さ(Lb)との関係を示す模式図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る偏平型電池の接合部を説明するための平面図である。
【図12】実施例および比較例の接合部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。図面に付されたX軸およびY軸はそれぞれ、扁平型電池10の短手方向および長手方向を示している。
【0014】
図1および図2を参照して、電池モジュール100は、ケース120の内部に、複数の扁平型電池10(二次電池に相当する)を含むセルユニット130と、電気絶縁性を備えた絶縁カバー140とを収納している。電池モジュール100は、単独で使用することが可能であるが、例えば、複数の電池モジュール100を直列化および/または並列化することによって、所望の電流、電圧、容量に対応した組電池を形成することができる。
【0015】
ケース120は、略矩形の箱形状をなすロアケース122と、蓋体をなすアッパーケース124とを有する。アッパーケース124の縁部は、カシメ加工によって、ロアケース122の周壁の縁部に巻き締められている。ロアケース122およびアッパーケース124は、比較的薄肉の鋼板またはアルミ板から形成している。ロアケース122およびアッパーケース124は貫通孔126を有する。貫通孔126は、隅部の4箇所に配置されており、電池モジュール100同士を複数積み重ねて組み電池として保持するための通しボルト(図示せず)を挿通するために使用される。符号131、132は、ロアケース122の前面の開口部から突出するように配置された出力端子である。
【0016】
図2を参照して、セルユニット130は、複数の扁平型電池10が電気的に接続されて積層された積層体132、および、電池を支持するための複数のスペーサ160、161を有する。スペーサ160、161は、電気絶縁性を有する。スペーサ160は積層体132の前面側に配置され、スペーサ161(支持部材に相当する)は積層体132の背面側に配置される。
【0017】
図3を参照して、例えば、積層体132の背面側に配置されるスペーサ161は、外装部材30における外周部32を挟持するよう位置決めされている。スペーサ161は、長手方向両端部に貫通孔162を有する。貫通孔162は、ロアケース122およびアッパーケース124の背面側の貫通孔126と位置合わせされている。
【0018】
図4〜図7を参照して、扁平型電池10は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、積層電極体20を外装部材30内に電解液とともに収納してある。扁平型電池10は、外装部材30から外部に導出される電極(以下、「タブ」という)41、42を有する。なお、図5において符号21は正極または負極を示し、図6においては簡略化のためにセパレータ22のみを示してある。
【0019】
積層電極体20は、正極、負極およびセパレータ22を順に積層して形成される。正極は、例えば、LiMn24等のリチウム−遷移金属複合酸化物からなる正極活物質層を
を有する。負極は、例えば、カーボンおよびリチウム−遷移金属複合酸化物からなる負極活物質層を有する。セパレータ22は、例えば、電解質を浸透し得る通気性を有するポーラス状のPE(ポリエチレン)から形成される。
【0020】
外装部材30は、軽量化および熱伝導性の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムなどのシート材からなる。外装部材30は、積層電極体20を覆う本体部31と、本体部31の周縁に伸びる外周部32とを有している。外周部32の一部または全部が、熱融着により接合されている。
【0021】
タブ41および42は、積層電極体20から電流を引き出すための部材であり、扁平型電池10の前面側に延長している。
【0022】
扁平型電池10は、積層電極体20におけるずれの発生を防止するために、セパレータ22の外周部を外装部材30とともに接合した複数の接合部40を有している。そして、少なくとも接合部40同士の間に、電解液を積層電極体20に対して補充自在に保持した保持部50を形成してある。接合は、熱溶着や超音波溶着、溶接を適用することができる。図5、図7および図8においては、理解の容易のために、接合部40にはハッチングを付してある。
【0023】
さらに詳しくは、図5、図6、および図7の各図に示すように、セパレータ22の外周部を外装部材30とともに接合する構造において、連続した単一の接合部で接合するのではなく、分けて接合することによって、複数の接合部40を有するようにしてある。なお、説明の便宜上、「連続した単一の接合部」を、単に、「連続接合部」ともいう。
【0024】
接合部40の寸法例の一例を挙げれば、図7(A)(B)を参照して、W1(幅)=2mm、W2(隙間間隔)=1mm、W3(奥行き)=2mmである。また、W4(セパレータ22の外周部と外装部材30との溶着部(接合部40)から外装部材30における外周部32同士の溶着部までの隙間)=5mmである。セパレータ22の全面積に対する接合部40の全面積の比率は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1%〜1%である。
【0025】
連続接合部で接合した場合には、連続接合部から、外装部材における外周部同士の接合部までの間の隙間領域に、溜まった電解液を閉じ込めてしまういわゆる袋構造となる。かかる形態の場合には、閉じ込めた電解液を有効活用できなくなってしまう。
【0026】
これに対して本実施形態のように複数の接合部40を有するように接合した場合には、少なくとも接合部40同士の間の領域では、セパレータ22同士が溶着されていないので、セパレータ22間の微小隙間に電解液51を保持させた保持部50を形成することができる(図6を参照)。そして、何らかの原因によって積層電極体20における電解液51の量が不足する事態に至った場合には、保持部50から、毛細管現象によって、電解液51を積層電極体20に対して補充することができる。このような積層電極体20に対する電解液51の補充によって、積層電極体20が所定の量の電解液51を含んだ状態を長期にわたって維持でき、長期にわたる使用によっても電池性能の維持を図り得る扁平型電池10を提供することができる。
【0027】
また、電池の生産工程において積層電極の間に溜まったガスを、発電に寄与する領域から、接合部40同士の間の領域S1を通して、外周部32に逃がし易くなる。これによって、ガスによる発電効率の低下を抑えることができる。
【0028】
図5、図7を参照して、図示例では、接合部40同士の間の領域S1のみならず、複数の接合部40のうち図中最上位の接合部40と外装部材30との間の隙間領域S2、図中最下位の接合部40と外装部材30との間の隙間領域S3、および、複数の接合部40と背面側(図5中右手側)に位置する外装部材30との間の隙間領域S4も、保持部50としての機能を発揮する。したがって、より多くの電解液51を積層電極体20に対して補充自在に保持することができ、より一層長期にわたって電池性能の維持を図ることができる。
【0029】
図3〜図5を参照して、外装部材30における外周部32は、電池を支持するためのスペーサ161に接着剤により接続される複数の支持部33と、支持部33同士の間に配置され電池の外方に向けて伸びる延長部34と、を含んでいる。また、セパレータ22の外周部は、外装部材30の延長部34に向けて伸びるとともに接合部40が形成される舌部23を含んでいる。かかる構成によって、スペーサ161によって支持されて発電に実質的に寄与しないデッドスペースを有効に活用して、電解液51の保持容量を増やすことができ、電池の高寿命化を図ることができる。
【0030】
延長部34には、スペーサ161に設けたピンが挿通される貫通孔35が形成されている。ピンを貫通孔35に挿通させることによって、スペーサ161に対する扁平型電池10の支持位置を規制することができる。
【0031】
図8(A)には、白抜き矢印60によって示される方向の引張力がセパレータ22に作用したときに、接合部40近傍で生じる破断線61が2点鎖線によって模式的に示されている。図8(B)には、接合部40のそれぞれに引張応力が加わる方向が実線矢印62によって模式的に示されている。
【0032】
図8(B)に実線矢印62によって示される方向の引張応力が接合部40のそれぞれに過剰に加わると、図8(A)に示される破断線61に沿ってセパレータ22などが破断する。破断線61は、接合部40のそれぞれの周囲(3辺)に沿って伸びている。換言すれば、接合部40のそれぞれの周囲の長さの合計が長くなれば、より大きな引張応力に対抗することができる。
【0033】
したがって、大きな引張応力が作用する場合にあっては、図5に示すように、接合部40の個数を増やして、接合部40のそれぞれの周囲の長さの合計を長くするとよい。
【0034】
接合部40のそれぞれの周囲の長さの合計(La)は、接合部40のすべてを包含する最小面積をなす矩形63の周囲の長さ(Lb)よりも長いことが好ましい。矩形63の態様は、図9および図10に破線によって示されている。自動車などの走行に伴って振動が生じる車両に扁平型電池10を搭載する場合において、引っ張り方向の力に対する強度が向上するからである。さらに、セパレータ22の厚みが薄くなった接合部40における破断を防止することができるからである。
【0035】
図9(A)〜(E)および図10(A)〜(C)は、複数の接合部40の形状や配置形態の例、および、上記のLaとLbとの関係を示す模式図である。
【0036】
図5、図9(A)(C)は、複数の接合部40のそれぞれの大きさが同じで、X方向に一列に配置した例を示している。LaとLbとの関係は、La<Lb(図9(C))、La>Lb(図5、図9(A))である。本発明は、この場合に限定されるものではない。
【0037】
図9(B)に示すように、異なる大きさの接合部40をX方向に一列に配置してもよい。La>Lbである。
【0038】
図9(D)(E)に示すように、接合部40をX方向に一列に配置せずに、ある接合部40を他の接合部40に対してY方向に変位させてもよい。La>Lb(図9(D))、La<Lb(図9(E))である。
【0039】
図10(A)に示すように、複数の接合部40をX方向に並べるだけでなく、Y方向に2段に配列してもよい。La>Lbである。この形態においても、図中左右に隙間が存在していれば、少なくとも接合部40同士の間に、電解液51を積層電極体20に対して補充自在に保持した保持部50を形成することができる。
【0040】
図10(B)に示すように、X方向に2列、Y方向に2段に配列してもよい。La>Lbである。
【0041】
図10(C)に示すように、X方向に5列、Y方向に2段に配列してもよい。La>Lbである。この形態においては、Y方向下段側における接合部40同士の間の隙間位置と、Y方向上段側における接合部40同士の間の隙間位置とが、X方向に変位している。この形態においても、少なくとも接合部40同士の間に、電解液51を積層電極体20に対して補充自在に保持した保持部50を形成することができる。
【0042】
図示省略するが、接合部40は、X方向またはY方向に平行に伸びる場合に限定されるものではなく、X方向またはY方向に対して傾いて伸びていてもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の扁平型電池10は、セパレータ22の外周部を外装部材30とともに接合した複数の接合部40と、少なくとも接合部40同士の間に形成され電解液51を積層電極体20に対して補充自在に保持した保持部50と、を有するので、接合部40同士の間の保持部50から、電解液51を積層電極体20に対して補充することができ、積層電極体20が所定の量の電解液51を含んだ状態を長期にわたって維持できる。もって、長期にわたる使用によっても電池性能の維持を図り得る二次電池を提供することが可能となる。また、積層電極の間に溜まったガスを、接合部40同士の間の領域を通して外周部32に逃がし易くなり、ガスによる発電効率の低下を抑えることができる。さらに、接合部40のそれぞれの周囲の長さの合計を、接合部40のすべてを包含する最小面積をなす矩形63の周囲の長さよりも長くすることによって、引っ張り方向の力に対する強度を向上させ、セパレータ22の厚みが薄くなった接合部40における破断を防止することができる。
【0044】
外装部材30における外周部32は、電池を支持するためのスペーサ161に接続される複数の支持部33と、支持部33同士の間に配置され電池の外方に向けて伸びる延長部34と、を含み、セパレータ22の外周部は、外装部材30の延長部34に向けて伸びるとともに接合部40が形成される舌部23を含んでいるので、スペーサ161によって支持されて発電に実質的に寄与しないデッドスペースを有効に活用して、電解液51の保持容量を増やすことができ、電池の高寿命化を図ることができる。
【0045】
(他の実施形態)
次に、本発明に係る扁平型電池の他の実施形態について説明する。
【0046】
図11を参照して、他の実施形態に係る偏平型電池10は、概説すれば、セパレータ22の外周部を外装部材30とともに接合した接合部40と、互いに隙間W2を隔てて隣接する複数の接合部40を含む一の接合領域45と、隙間W2よりも一の接合領域45から離隔して形成された他の接合領域46、47と、接合部40同士の間に形成され電解液を保持した保持部50と、を有している。そして、一の接合領域45および他の接合領域46、47において、隣接する接合部40のそれぞれの周囲の長さの合計は、隣接した接合部40を包含する最小面積をなす矩形65の周囲の長さよりも長く形成されている。
【0047】
上述した実施形態においては、接合部40における破断防止の観点より、偏平型電池10に形成された全ての接合部40と、全ての接合部40を包含する最小面積をなす矩形63との関係に着目し、La>Lbの条件を満たす構成を採用している。一方、本実施形態にあっては、隣接する複数の接合部40がなす接合領域45、46、47に着目して、接合領域45、46、47ごとの接合強度の向上を図っている。
【0048】
図11に示すように、偏平型電池10には、複数の接合領域45、46、47を形成している。各接合領域45、46、47は、隣接して配置された複数の接合部40がそれぞれ形成する所定の領域である。各接合領域45、46、47間には、隙間間隔W5が設けられている。この隙間間隔W5は、隣接する接合部40間の隙間間隔W2よりも大きく形成されている。なお、隣接する接合部40間、および各接合領域45、46、47間には、保持部50を形成している。
【0049】
一の接合領域45においては、La(隣接する接合部40のそれぞれの周囲の長さの合計)>Lc(隣接した接合部40を包含する最小面積をなす矩形65の周囲の長さ)の条件が満たされるように接合部40を形成している。このため、一の接合領域45は、一の接合領域に相当する部位に連続接合部が形成された場合と比較して、引っ張り強度が向上される。一の接合領域45と同様に、他の接合領域46、47のそれぞれにおいて、La>Lcの条件が満たされるように接合部40を形成している。したがって、他の接合領域46、47のそれぞれにおける引っ張り強度が向上される。このように、各接合領域45、46、47のそれぞれの引っ張り強度を向上させることによって、偏平型電池10全体におけるセパレータ22の引っ張り強度の向上を図ることができる。
【0050】
以上説明したように、他の実施形態の扁平型電池10によれば、保持部50によって電解液の補充を行わせることができ、かつ接合部40における破断を好適に防止することができるため、長期にわたって電池性能の維持を図ることができる。
【0051】
なお、他の実施形態においては、4つの隣接する接合部によって1つの接合領域が形成された形態を示したが、接合領域を形成する接合部の個数は特に限定されず、適宜変更することができる。また、1つの偏平型電池に3つの接合領域が形成された形態を示したが、接合領域の数も特に限定されず、適宜変更することが可能である。
【0052】
(改変例)
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜改変することができる。例えば、外装部材30の一の辺に正負のタブ41、42の両方が配置される扁平型電池10を示したが、正負のタブを異なる辺に配置した二次電池に適用できることは言うまでもない。また、タブが配置される辺に保持部50を設けてもよい。
【0053】
(実施例)
次に、複数の接合部40を備える扁平型電池10の実施例について説明する。なお、本発明に係る二次電池は、以下の実施例に示す形態のみに限定されるものではない。
【0054】
表1に各実施例および比較例の実施条件を示す。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例1、実施例2は、溶着部(接合部40)のそれぞれの周囲の長さの合計(La)>溶着部40のすべてを包含する最小面積をなす矩形63の周囲の長さ(Lb)の条件を満たす構造を備える扁平型電池10である。図12(A)において実施例1の溶着部を模式的に示し、図12(B)に実施例2の溶着部を模式的に示す。
【0057】
実施例1と実施例2とでは、各溶着部40の大きさ、溶着部40間の隙間間隔の大きさ、溶着点数がそれぞれ異なる。また、溶着部40の全面積は、実施例1の方が実施例2よりも大きく形成した。実施例1、2ともに複数の溶着部40の間に保持部50を形成した。
【0058】
比較例は、連続溶着部(溶着点数が1点)140を備える従来の偏平型電池である。図12(C)において比較例の溶着部140を示す。なお、溶着部140の全面積は、実施例2と同じ大きさに形成した。
【0059】
表1に示す結果より、実施例1、2に示す扁平型電池10の方が、比較例に示す従来の偏平型電池よりも大きな溶着強度を備えることが確認できる。また、実施例2と比較例とを比較すると、溶着部の全面積に変わりがないにも関わらず、実施例2の偏平型電池10の方が大きな溶着強度を備えることが確認できる。以上の結果より、本願発明に係る偏平型電池10は、従来の偏平型電池と比較して、溶着部40に付与される引っ張り方向の力
に対する強度が向上することが確認できた。
【符号の説明】
【0060】
10 扁平型電池(二次電池)、
20 積層電極体、
21 正極または負極、
22 セパレータ、
23 舌部、
30 外装部材、
31 本体部、
32 外周部、
33 支持部、
34 延長部、
40 接合部、
45 一の接合領域、
46、47 他の接合領域、
50 保持部、
51 電解液、
63 接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形、
65 隣接した接合部を包含する最小面積をなす矩形、
100 電池モジュール、
161 スペーサ(支持部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とセパレータとを有する積層電極体を外装部材内に電解液とともに収納した二次電池であって、
前記セパレータの外周部を前記外装部材とともに接合した複数の接合部と、
少なくとも前記接合部同士の間に形成され前記電解液を保持した保持部と、を有し、
前記接合部のそれぞれの周囲の長さの合計は、前記接合部のすべてを包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さよりも長い、二次電池。
【請求項2】
正極と負極とセパレータとを有する積層電極体を外装部材内に電解液とともに収納した二次電池であって、
前記セパレータの外周部を前記外装部材とともに接合した接合部と、
互いに隙間を隔てて隣接する複数の前記接合部を含む一の接合領域と、
前記隙間よりも前記一の接合領域から離隔して形成された他の接合領域と、
少なくとも前記接合部同士の間に形成され前記電解液を保持した保持部と、を有し、
前記一および他の接合領域において、隣接する前記接合部のそれぞれの周囲の長さの合計は、隣接した前記接合部を包含する最小面積をなす矩形の周囲の長さよりも長い、二次電池。
【請求項3】
前記外装部材における外周部は、電池を支持するための支持部材に接続される複数の支持部と、前記支持部同士の間に配置され電池の外方に向けて伸びる延長部と、を含み、
前記セパレータの外周部は、前記外装部材の前記延長部に向けて伸びるとともに前記接合部が形成される舌部を含んでいる請求項1または請求項2に記載の二次電池。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−124150(P2012−124150A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185051(P2011−185051)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】