説明

二次電池

【課題】電極群内部の温度上昇を効果的に抑制できる二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池は、正極板174および負極板175をセパレータ173を介在させて積層して構成される電極群170と、電極群170を収容する電池容器と、電池容器の同一設置面にそれぞれ設けられた正極端子141および負極端子151と、正極板174と正極端子141とを接続する正極集電体180と、負極板175と負極端子151とを接続する負極集電体190とを備え、正負極集電体180,190のそれぞれは、電極群170内に配置される熱接続部と、電極群170内から設置面に向けて同一方向に突出され、正負極端子141,151と接続される端子接続部とを有し、正負極集電体180,190の熱接続部のそれぞれは、少なくとも一部が電極群170と絶縁部材を介して熱的に接続され、電極群170で発生した熱が正負極集電体180,190を介して正負極端子141,151のそれぞれに伝わる構成とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池が知られている。二次電池は充電と放電の際に発熱し、温度が上昇する。二次電池は温度上昇に伴い性能が低下するため、効率的に二次電池を冷却する必要がある。
【0003】
特許文献1には、電極群の正極板および負極板のそれぞれに電気的に接続されている正極端子および負極端子のそれぞれが、外装ケースの周縁部を越えて外部に突出する突出端部の他に、周縁部内に留まって外部に突出しない伝熱端部を備えた二次電池が開示されている。伝熱端部は、表面側外装ケースと裏面側外装ケースの周縁部によって被覆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−172870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の二次電池では、ケースを形成する密着周縁を冷却することによって電極群を効率的に冷却することができる。しかしながら、特許文献1に記載の二次電池では、電極群の外表面から正極端子および負極端子に熱が伝わり、正負極端子に伝わった熱は正負極端子のそれぞれの伝熱端部から放熱される。
【0006】
特許文献1に記載の二次電池では、電極群で発生した熱は電極群の外表面から正負極端子のそれぞれに伝わるため、電極群中心部では熱がこもりやすく、温度が上昇してしまうことがあった。特に、系統連系をはじめとする大規模な電池システムを構築する際に大容量の電池を用いる場合では、電極群が大きくなるため、電極群内部において熱がこもりやすく、特許文献1に記載の電池では、電極群の温度上昇を抑制することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、正極板および負極板をセパレータを介在させて積層して構成される電極群と、電極群を収容する電池容器と、電池容器の同一設置面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子と、正極板と正極端子とを接続する正極集電体と、負極板と負極端子とを接続する負極集電体とを備え、正負極集電体のそれぞれは、電極群内に配置される熱接続部と、電極群内から設置面に向けて同一方向に突出され、正負極端子と接続される端子接続部とを有し、正負極集電体の熱接続部のそれぞれは、少なくとも一部が電極群と絶縁部材を介して熱的に接続され、電極群で発生した熱が正負極集電体を介して正負極端子のそれぞれに伝わる構成とされていることを特徴とする二次電池である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の二次電池において、電池容器は、一対の主面を含んで構成される有底形状の缶と、缶を封止する蓋とを有し、正負極集電体のそれぞれは、平板状であって、電池容器の主面と平行に配置されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の二次電池において、電極群は、少なくとも2つ以上の分割電極群を有し、分割電極群のそれぞれは、複数枚の正極板と複数枚の負極板と複数のセパレータとを有し、正極板および負極板をセパレータを介在させて積層して構成され、正負極集電体の熱接続部のそれぞれは、分割電極群間に配置され、分割電極群同士に絶縁部材を介して挟まれていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の二次電池において、電極群は、帯状の正極板および帯状の負極板を帯状のセパレータを介在させて捲回することで作製された捲回電極群であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二次電池において、正極集電体と負極集電体とを所定間隔をあけて保持する保持部材を備え、保持部材は絶縁性を有していることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の二次電池において、保持部材の外形寸法は、缶の内寸に対応して形成されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、正極電極層が形成されるとともに正極電極層が形成されない正極集電部が幅方向の一側に配置された帯状の正極板、および、負極電極層が形成されるとともに負極電極層が形成されない負極集電部が幅方向の一側に配置された帯状の負極板を帯状のセパレータを介在させて正負極集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、一対の主面を含んで構成され、捲回電極群を収容する有底形状の缶と、缶を封止する蓋と、蓋に設けられた正極端子および負極端子と、正極板と正極端子とを接続する矩形平板状の正極集電体と、負極板と負極端子とを接続する矩形平板状の負極集電体と、正極集電体および負極集電体の一端側を保持する第1保持部材と、正極集電体および負極集電体の他端側を保持する第2保持部材とを備え、第1および第2保持部材のそれぞれは、絶縁性を有し、正負極集電体のそれぞれが缶の主面と平行に配置され、正極集電体と負極集電体との間に空間が形成されるように、正極集電体および負極集電体を保持し、正負極集電体のそれぞれは、第1保持部材および第2保持部材とによって画成され、捲回電極群内に配置される熱接続部と、捲回電極群内から蓋に向けて突出され、正負極端子と接続される端子接続部とを有し、正極集電体の熱接続部における負極集電部に対向する面は、絶縁シートによって覆われ、絶縁シートを介して負極集電部に熱的に接続され、正極集電体の熱接続部における正極集電部に対向する面は、正極集電部に電気的かつ熱的に接続され、負極集電体の熱接続部における正極集電部に対向する面は、絶縁シートによって覆われ、絶縁シートを介して正極集電部に熱的に接続され、負極集電体の熱接続部における負極集電部に対向する面は、負極集電部に電気的かつ熱的に接続され、捲回電極群で発生した熱が正負極集電体を介して正負極端子のそれぞれに伝わる構成とされていることを特徴とする二次電池である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電極群内部の温度上昇を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る電池セルを複数備えた電池モジュールの平面模式図、(b)は側面模式図。
【図2】図1の電池モジュールを構成する電池セルを示す部分破断斜視図。
【図3】図2の電池セルの内部構造を示す斜視図。
【図4】図2の電池セルの電極群の構成を示す斜視図。
【図5】図2の電池セルの集電体組立体を示す斜視図。
【図6】図3のVI−VI線切断断面模式図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図。
【図9】図8の集電体組立体を示す斜視図。
【図10】図8の電極群の構成を示す斜視図。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図。
【図13】図12の電池セルの集電体組立体の斜視図。
【図14】図12の電池セルの捲回電極群を作製する様子を示す斜視図。
【図15】(a)は、本発明の変形例に係る電池セルの内部構造を示す斜視図であり、(b)は(a)の第2分割電極群の図示を省略した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を定置用の蓄電装置に組み込まれる電池モジュールを構成する角形リチウムイオン二次電池(以下電池セルと記す)に適用した実施の形態について説明する。なお、同様の形状、同種の材質の構成要素には、同一の符号を付けた。
―第1の実施の形態―
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る電池セルを複数備えた電池モジュール10の平面模式図であり、図1(b)は電池モジュール10の側面模式図である。図1(a)および図1(b)に示すように、電池モジュール10は、複数の電池セル100A〜100Dを有している。電池セル100A〜100Dは、それぞれ直方体形状であって、側面のうちで広い面積を有する主面同士が対向するように並べて配置されている。
【0011】
図1(a)に示すように、電池セル100A,100Cは、正極端子141が図中下側、負極端子151が図中上側に配され、電池セル100B,100Dは、負極端子151が図中下側、正極端子141が図中上側に配されている。すなわち、並置された複数の電池セル100A〜100Dは、各電池セル100A〜100Dのそれぞれの蓋102に取り付けられた正極端子141および負極端子151の位置が逆転するように、向きが反転して配置されている。
【0012】
図1(a)に示すように、電池セル100Aの図中下側の正極端子141と電池セル100Dの図中下側の負極端子151とを除いて、隣り合う各電池セル100A〜100Dの正極端子141と負極端子151とは金属製の平板状導電部材であるバスバー109によって電気的に接続されている。正極端子141および負極端子151において、電池容器の外に露出している部分にはそれぞれおねじが形成されており、電池セル同士を電気的に接続するバスバー109が、図示しないナットにより正極端子141および負極端子151に接続されている。なお、バスバー109は、レーザ溶接や電子ビーム溶接などにより、正極端子141および負極端子151に接続してもよい。
【0013】
図1(a)に示す電池セル100Aの図中下側の正極端子141と、電池セル100Dの図中下側の負極端子151には、不図示の他の電池モジュールに電気的に直列または並列に不図示のバスバーにより接続されるか、不図示の電力取り出し用の端子に不図示のバスバーにより接続されている。
【0014】
電池モジュール10は、各電池セル100A〜100Dを冷却するための冷却風を送出するファン19と、各電池セル100A〜100Dを覆う筐体11とを備えている。筐体11は、冷却風の入口である吸気口11aと、冷却風の出口である排気口11bとを有している。
【0015】
図1(b)に示すように、筐体11の上面板11cと各電池セル100A〜100Dの蓋102との間には、電池セル100A〜100Dのそれぞれに設けられる正負極端子141,151や蓋102に空気が当てられるように、空気を流すための所定の隙間が設けられている。
【0016】
図1(a)および図1(b)に示すように、電池セル相互間には、電池表面に沿って空気を流すための隙間が設けられている。電池セル間には、図示しないセルホルダが配設され、セルホルダは電池セル100A〜100Dのそれぞれを保持するとともに電池セル相互間の距離を規定している。セルホルダには複数の溝が形成されており、セルホルダの溝と電池セル表面とで流路としての隙間が形成されている。
【0017】
ファン19により冷却風を吸気口11aから送風すると、電池セル100A〜100Dの上面に沿って、あるいは、電池セル相互間の隙間に冷却風が流れる。電池容器内部で発生した熱は、電池セル100A〜100Dの正極端子141および負極端子151や電池容器外表面から放熱され、各電池セル100A〜100Dが冷却される。
【0018】
電池モジュール10を構成する電池セル100A〜100Dについて説明する。電池セル100A〜100Dはそれぞれ同じ構造であるため、以下、代表して電池セル100Aについて説明する。図2は電池セル100Aを示す部分破断斜視図であり、缶101と蓋102の一部を破断して示している。図3は電池セル100Aの内部構造を示す斜視図である。図4は電極群170の構成を示す斜視図である。
【0019】
図2に示すように、電池セル100Aは、缶101と蓋102とからなる電池容器を備えている。缶101および蓋102の材質は、ステンレスやアルミニウム、アルミニウム合金などである。図2に示すように、缶101には正極集電体180および負極集電体190(図5参照)に接続された電極群170(図3参照)が収容されている。
【0020】
図2に示すように、缶101は上面が開口された矩形箱状に形成され、一対の幅広の主面101aと一対の幅狭の側面101bと底面とを有している。缶には電極群170が収容されている。本実施の形態では、電極群170は第1分割電極群170aと第2分割電極群170bとに等分割されている。
【0021】
図2および図3に示すように、第1分割電極群170aおよび第2分割電極群170bは、それぞれ絶縁フィルム108に覆われた状態で缶101に収容されている。絶縁フィルム108は、ポリプロピレン等の絶縁性を有する厚さ100μm程度の樹脂フィルムである。これにより、缶101の側面と電極群170とは電気的に絶縁されている。
【0022】
図2に示すように、蓋102は、矩形平板状であって、缶101の開口を塞ぐように溶接されている。つまり、蓋102は、缶101を封止している。
【0023】
蓋102には、電極群170の正極板174と電気的に接続された正極端子141、ならびに、電極群170の負極板175と電気的に接続された負極端子151が配設されている。つまり、正極端子141および負極端子151は、それぞれ電池容器の同一設置面に設けられている。
【0024】
正極端子141が電極群170の正極板174に電気的に接続され、負極端子151が電極群170の負極板175に電気的に接続されているため、正極端子141および負極端子151を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、正極端子141および負極端子151を介して外部発電電力が電極群170に供給されて充電される。
【0025】
図2に示すように、蓋102には、注液部106が設けられている。注液部106には、電池容器内に電解液を注入するための注液孔が穿設されている。注液孔は、電解液注入後に注液栓によって封止される。電解液としては、たとえば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
【0026】
蓋102には、ガス排出弁103も設けられている。ガス排出弁103は、プレス加工によって蓋102を部分的に薄肉化することで形成されている。ガス排出弁103は、電池セル100Aが過充電等の異常により発熱してガスが発生し、電池容器内の圧力が上昇して所定圧力に達したときに開裂して、内部からガスを排出することで電池容器内の圧力を低減させる。なお、蓋102にガス排出弁用の開口を設け、蓋102よりも薄い厚みのガス排出弁をガス排出弁用開口に溶接で取り付けることとしてもよい。
【0027】
図4を参照して、蓄電要素である電極群170の構成について説明する。本実施の形態の電極群170は、上記したように、第1分割電極群170aと第2分割電極群170bとに分割されている。第1分割電極群170aと第2分割電極群170bとは同じ構造であるため、以下、代表して第1分割電極群170aについて説明する。図4は、第1分割電極群170aの積層構造を説明するための概念図であり、図4には第1分割電極群170aを構成する複数枚の正極板174および複数枚の負極板175と、正負極板174,175の間に介在される複数枚のセパレータ173とが模式的に示されている。第1分割電極群170aは、図4に示すように、正極板174および負極板175をセパレータ173を介在させて交互に積層することで作製される。
【0028】
正極板174は、正極箔171と、正極活物質に結着材(バインダ)が配合された正極活物質合剤が正極箔171の両面に塗工されて形成された正極電極層176とを有する。負極板175は、負極箔172と、負極活物質に結着材(バインダ)が配合された負極活物質合剤が負極箔172の両面に塗工されて形成された負極電極層177とを有する。正極活物質と負極活物質との間では、充放電が行われる。
【0029】
正極箔171は、厚さ20〜30μm程度のアルミニウム箔であり、負極箔172は、厚さ15〜20μm程度の銅箔であり、セパレータ173の素材は多孔質のポリエチレン樹脂である。
【0030】
正極板174は、正極箔171の両面に正極電極層176が形成された矩形状の塗工部と、塗工部の上部の一端(図示左側)から上方に延出した未塗工部とを備えている。正極板174の未塗工部は、正極電極層176が形成されずに正極箔171が露出した正極集電部であり、以下、この正極集電部を正極タブ178と称す。
【0031】
負極板175は、負極箔172の両面に負極電極層177が形成された矩形状の塗工部と、塗工部の上部の一端(図示右側)から上方に延出した未塗工部とを備えている。負極板175の未塗工部は、負極電極層177が形成されずに負極箔172が露出した負極集電部であり、以下、この負極集電部を負極タブ179と称す。
【0032】
図5は、集電体組立体115を示す斜視図である。図5に示すように、集電体組立体115は、正負極集電体180,190と、正負極集電体180,190のそれぞれの上端に接続された正負極端子141,151と、正負極集電体180,190のそれぞれの上端側を保持する上部保持部材161と、正負極集電体180,190のそれぞれの下端側を保持する下部保持部材162とを備えている。
【0033】
正極端子141および正極集電体180の材質はアルミニウムであり、負極端子151および負極集電体190の材質は銅である。
【0034】
正負極端子141,151はそれぞれ円柱状部材であり、それぞれ図示しないシール材を介して蓋102の正負極端子取付用の開口に挿着される。シール材の材質は、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂である。これにより、蓋102と正負極端子141,151との間が封止され、正負極端子141,151と蓋102とは電気的に絶縁される。
【0035】
正極集電体180は矩形平板状部材であり、後述の上部保持部材161の上端から蓋102に向けて上方に突出された接合部181と、後述の上部保持部材161と下部保持部材162とによって画成された熱接続部182とを有している。同様に、負極集電体190は矩形平板状部材であり、後述の上部保持部材161の上端から蓋102に向けて上方に突出された接合部191と、後述の上部保持部材161と下部保持部材162とによって画成された熱接続部192とを有している。
【0036】
正極集電体180の接合部181の上端には、正極端子141が溶接されている。負極集電体190の接合部191の上端には、負極端子151が溶接されている。
【0037】
正極集電体180の接合部181は、第1分割電極群170aの正極タブ178との接合面181f(図6参照)および第2分割電極群170bの正極タブ178との接合面181fを有している。正極集電体180の熱接続部182は、第1分割電極群170aとの熱接触面182f(図6参照)および第2分割電極群170bとの熱接触面182fを有している。
【0038】
同様に、負極集電体190の接合部191は、第1分割電極群170aの負極タブ179との接合面191f(図6参照)および第2分割電極群170bの負極タブ179との接合面191fを有している。負極集電体190の熱接続部192は、第1分割電極群170aとの熱接触面192f(図6参照)および第2分割電極群170bとの熱接触面192fを有している。
【0039】
正負極集電体180,190は、それぞれ熱接続部182,192の両面で第1および第2分割電極群170a,170bに熱的に接続され、第1および第2分割電極群170a,170bで発生した熱を正負極端子141,151のそれぞれに伝える伝熱経路を構成する。伝熱経路の断面積は大きいほど熱抵抗が低くなるため、正負極集電体180,190の板厚は、厚くすることが望ましく、たとえば1mm以上であることが好ましい。
【0040】
上部保持部材161および下部保持部材162は、絶縁性を有する部材である。正負極集電体180,190には電極群170で発生した熱が伝わり、温度が上昇するため、上部保持部材161および下部保持部材162の材質には、絶縁性と耐熱性とを兼ね備えた材料として、たとえば、テフロン(登録商標)を用いることが好ましい。
【0041】
上部保持部材161および下部保持部材162は、それぞれ直方体形状部材である。上部保持部材161および下部保持部材162は、それぞれ長手方向の寸法が缶101の内寸に対応して形成されている。上部保持部材161および下部保持部材162のそれぞれの長手方向の寸法は、缶101の内寸と同寸法か、もしくは僅かに缶101の内寸より短い寸法となるように設定されている。
【0042】
正極集電体180と負極集電体190は、互いに平行となるように並べられ、正極集電体180と負極集電体190との間に所定幅の隙間(空間)が形成された状態で、上部保持部材161および下部保持部材162により保持されている。これにより、正極集電体180の熱接続部182における一方の熱接触面182fと、正極集電体180の接合部181における一方の接合面181fと、負極集電体190の熱接続部192における一方の熱接触面192fと、負極集電体190の接合部191における接合面191fとが、同一面上に位置する。
【0043】
同様に、正極集電体180の熱接続部182における他方の熱接触面182f(図6参照)と、正極集電体180の接合部181における他方の接合面181f(図6参照)と、負極集電体190の熱接続部192における他方の熱接触面192f(図6参照)と、負極集電体190の接合部191における他方の接合面191f(図6参照)とが、同一面上に位置する。
【0044】
上部保持部材161には、正極集電体180および負極集電体190のそれぞれの外形形状に対応した大きさの貫通孔161aと貫通孔161bとが所定間隔をあけて形成されている。下部保持部材162は、正極集電体180および負極集電体190のそれぞれの下端部における外形形状に対応した大きさの凹部162aと凹部162bとが所定間隔をあけて形成されている。
【0045】
正極集電体180および負極集電体190は、それぞれ上部保持部材161の貫通孔161a,161bに圧入され、上部保持部材161は、正極集電体180および負極集電体190の上部に配置されている。上部保持部材161の上端と正負極端子141,151の下端との間には、所定の間隔があけられ、正負極集電体180,190における接合部181,191が上部保持部材161によって画成されている。
【0046】
正極集電体180および負極集電体190の下端部は、それぞれ下部保持部材162の凹部162a,162bに圧入されている。上部保持部材161と下部保持部材162との間隔が図4に示した電極群170を構成する正負極板174,175の正負極タブ178,179を除く部分(すなわち、塗工部)の上下方向寸法よりも長くなるように、上部保持部材161と下部保持部材162とが配置されている。
【0047】
上記したように、正極集電体180における上部保持部材161と下部保持部材162との間の部分は、第1分割電極群170aと第2分割電極群170bとの間に配置され、第1分割電極群170aと第2分割電極群170bに絶縁フィルム108を介して挟まれて第1および第2分割電極群170a,170bのそれぞれに熱的に接続される熱接続部182とされている。同様に、上記したように、負極集電体190における上部保持部材161と下部保持部材162との間の部分は、第1分割電極群170aと第2分割電極群170bとの間に配置され、第1分割電極群170aと第2分割電極群170bに絶縁フィルム108を介して挟まれて第1および第2分割電極群170a,170bのそれぞれに熱的に接続される熱接続部192とされている。
【0048】
上部保持部材161の貫通孔161a,161bおよび下部保持部材162の凹部162a,162bのそれぞれに正負極集電体180,190が圧入され、正負極端子141,151が正負極集電体180,190のそれぞれに溶接されることで、集電体組立体115を構成する各部材は、所定の位置において強固に固定されている。
【0049】
上部保持部材161および下部保持部材162によって、正極集電体180および負極集電体190は、互いに接することがないように、所定間隔をあけて保持されている。つまり、上部保持部材161および下部保持部材162は、正極集電体180と負極集電体190とが接して短絡を防止するためのスペーサとしての役割を有している。
【0050】
集電体組立体115の下端には、絶縁性を有する下部保持部材162が配設されているため、缶101に収容された集電体組立体115を構成する正負極集電体180,190のそれぞれが直接に缶101の底面に接することがない。
【0051】
正極集電体180および負極集電体190は、後述するように電極群170が集電体組立体115に接続されてなる電極構造体110が缶101に挿入されたとき、電池容器の主面101aと平行に配置される(図2参照)。
【0052】
図6を参照して、第1および第2分割電極群170a,170bの正極タブ178および負極タブ179のそれぞれが、正負極集電体180,190の接合部181,191のそれぞれに電気的に接続されている構成について説明する。
【0053】
図6は、図3のVI−VI線切断断面模式図である。図6では正極側の構成を示しているが、負極側も同様の構成であるため、便宜上、かっこ書きで負極側の構成要素の参照番号も付している。
【0054】
図3および図6に示すように、第1および第2分割電極群170a,170bのそれぞれの上端から延出された正極板174の正極タブ178は予め束ねられ、正極タブ178の束の先端部は超音波接合により正極集電体180の接合部181の接合面181fに接続されている。本実施の形態では、正極タブ178の束の先端部は、正極タブ178の束の外方から保護板120が当接された状態で超音波接合されている。正極タブ178の接合に用いる保護板120は、厚さ1mm程度のアルミニウム製の矩形状平板である。超音波発振ホーンを保護板120を介して正極タブ178に押し当てた状態で接合することで、正極タブ178の損傷が防止される。
【0055】
超音波接合されることで、正極集電体180の接合面181f(図5および図6参照)に正極タブ178の束が接合されるとともに、正極タブ178同士も接合される。これにより、電極群170の正極板174と正極集電体180とが電気的に接続される。上記したように、正極端子141は、正極集電体180の接合部181に溶接されているため、電極群170の正極板174と正極端子141とが正極集電体180を介して電気的に接続される。
【0056】
同様に、図3および図6に示すように、第1および第2分割電極群170a,170bのそれぞれの上端から延出された負極板175の負極タブ179は予め束ねられ、負極タブ179の束の先端部は超音波接合により負極集電体190の接合部191の接合面191fに接続されている。本実施の形態では、負極タブ179の束の先端部は、負極タブ179の束の外方から保護板130が当接された状態で超音波接合されている。負極タブ179の接合に用いる保護板130は、厚さ1mm程度の銅製の矩形状平板である。超音波発振ホーンを保護板130を介して負極タブ179に押し当てた状態で接合することで、負極タブ179の損傷が防止される。
【0057】
超音波接合されることで、負極集電体190の接合面191f(図5および図6参照)に負極タブ179の束が接合されるとともに、負極タブ179同士も接合される。これにより、電極群170の負極板175と負極集電体190とが電気的に接続される。上記したように、負極端子151は、負極集電体190の接合部191に溶接されているため、電極群170の負極板175と負極端子151とが負極集電体190を介して電気的に接続される。
【0058】
上記のように、第1分割電極群170aおよび第2分割電極群170bが集電体組立体115に超音波接合されることで、図3に示す電極構造体110が作製される。
【0059】
図6を参照して、第1分割電極群170aおよび第2分割電極群170bと、正負極集電体180,190とが熱的に接続されている構成について説明する。図6に示すように、第1分割電極群170aおよび第2分割電極群170bのそれぞれは、正極板174と負極板175とがセパレータ173を介して積層された積層構造とされ、それぞれ絶縁フィルム108によって覆われている。
【0060】
図示左側の第1分割電極群170aの右側面を覆う絶縁フィルム108は、正負極集電体180,190の熱接続部182,192の図示左側の熱接触面182f,192fに当接している。換言すれば、第1分割電極群170aと、絶縁フィルム108と、正負極集電体180,190の熱接続部182,192とは積層され、第1分割電極群170aと、正負極集電体180,190のそれぞれとは絶縁フィルム108を介して熱的に接続されている。
【0061】
同様に、図示右側の第2分割電極群170bの左側面を覆う絶縁フィルム108は、正負極集電体180,190の熱接続部182,192の図示右側の熱接触面182f,192fに当接している。換言すれば、第2分割電極群170bと、絶縁フィルム108と、正負極集電体180,190の熱接続部182,192とは積層され、第2分割電極群170bと、正負極集電体180,190のそれぞれとは絶縁フィルム108を介して熱的に接続されている。
【0062】
したがって、充放電の際、電極群170で発生した熱は、電極群170の内部に配置された正負極集電体180,190を介して正負極端子141,151に伝わる。上記したように、正負極端子141,151において、電池容器から外方に突出した部分には、ファン19からの冷却風が噴き当てられるため、電極群170で発生した熱は効率的に電池容器外部に放熱される。
【0063】
なお、絶縁フィルム108に摩擦係数の高いものを採用することで、電極群170と正極集電体180および負極集電体190との位置ずれを抑制できる。
【0064】
上述した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)正負極集電体180,190のそれぞれには、電極群170内に配置される熱接続部182,192が設けられている。電極群170は、一対の分割電極群(第1および第2分割電極群170a,170b)に分割され、分割された第1分割電極群170aと第2分割電極群170bとは、それぞれ絶縁フィルム108で覆われた状態で正負極集電体180,190の熱接続部182,192に当接されている。これにより、正負極集電体180,190の熱接続部182,192と、第1分割電極群170aとが絶縁フィルム108を介して熱的に接続され、正負極集電体180,190の熱接続部182,192と、第2分割電極群170bとが絶縁フィルム108を介して熱的に接続される。
【0065】
正負極集電体180,190のそれぞれには、電極群170内から蓋102に向けて突出された接合部181,191が設けられ、接合部181,191には正負極端子141,151が溶接されている。これにより、正負極集電体180,190と正負極端子141,151とが熱的に接続される。このように、充放電に際して、電極群170の中で最も温度上昇が大きくなる中心部に、正極端子141および負極端子151のそれぞれに熱を伝えることのできる伝熱体としての役割を担う正負極集電体180,190が配置されるため、電極群170内部の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0066】
(2)集電体組立体115を構成する各部材は、所定の位置において強固に固定されている。これにより、電極群170や蓋102を集電体組立体115に対して容易に位置決めをして取り付けることができ、電極構造体110を容易に缶101に挿入することができるため、組立性もよい。
【0067】
(3)上部保持部材161および下部保持部材162は、それぞれ長手方向の寸法が、缶101の内寸に合わせて形成されている。これにより、電池セル100Aに振動や衝撃が加わった場合に、上部および下部保持部材161,162の端部が缶101の内面に接触するため、内部構造物の破損を防止できる。つまり、本実施の形態によれば、耐振性、耐衝撃性に優れた電池セル100Aを提供できる。
【0068】
―第2の実施の形態―
図7を参照して第2の実施の形態に係る二次電池(以下電池セルと記す)を説明する。図7は本発明の第2の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所には100番台に代えて200番台の参照番号を付し、下2桁を同一番号として、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0069】
第2の実施の形態の電池セルは、第1の実施の形態と同容量の電池セルであるが、図7に示すように、電極群270が4つに等分割されている。4つの分割電極群である第1分割電極群270a、第2分割電極群270b、第3分割電極群270cおよび第4分割電極群270dは、それぞれ絶縁フィルム208によって側面が覆われている。
【0070】
第2の実施の形態では、分割形成された分割電極群(たとえば、第1分割電極群270a)の幅が、第1の実施の形態において分割形成された分割電極群(たとえば、第1分割電極群170a)の幅の半分程度とされているが、図7では便宜上図3と同等の幅寸法で記載している。
【0071】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の電極構造体110(図3参照)とほぼ同様の構成の電極構造体210が2つ設けられている。第1の実施の形態の電極構造体110と、第2の実施の形態の電極構造体210との異なる点は、正負極集電体280,290のそれぞれと、正負極端子241,251のそれぞれとの接続構造である。
【0072】
第1の実施の形態では、正負極集電体180,190のそれぞれが直接に正負極端子141,151に溶接されていたが(図3参照)、第2の実施の形態では、図7に示すように、正負極集電体280,290のそれぞれが正負極伝熱板284,285のそれぞれを介して正負極端子241,251のそれぞれに熱的、かつ、電気的に接続されている。
【0073】
正極伝熱板284は、アルミニウム製の矩形平板状部材であって、長手方向両端部において、一対の電極構造体210のそれぞれの正極集電体280の上端部に溶接されている。負極伝熱板285は、銅製の矩形平板状部材であって、長手方向両端部において、一対の電極構造体210のそれぞれの負極集電体290の上端部に溶接されている。
【0074】
正極端子241は、溶接により下端部が正極伝熱板284上面のほぼ中心に固着され、同様に、負極端子251は、溶接により下端部が負極伝熱板285上面のほぼ中心に固着されている。
【0075】
つまり、正極集電体280の接合部281は、正極伝熱板284を介して正極端子241に電気的かつ熱的に接続され、負極集電体290の接合部291は、負極伝熱板285を介して負極端子251に電気的かつ熱的に接続されている。
【0076】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(1)と同様に、電極群270の内部に、正極端子241および負極端子251のそれぞれに熱を伝えることのできる正負極集電体280,290が配置されるため、電極群270内部の温度上昇を効果的に抑制できる。第2の実施の形態では、電極群270の内部に配置された正負極集電体280,290の数が第1の実施の形態に比べて2倍であるため、電極群270と正負極集電体280,290との熱接触面積も第1の実施の形態に比べて2倍である。したがって、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に比べて、より効率よく電極群270内部の温度上昇を抑制できる。
【0077】
さらに、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(2)および(3)と同様の各作用効果に加えて、次の(4)のような作用効果を奏する。
(4)第2の実施の形態では、電極群270が4つに等分割されて、第1分割電極群270aと第2分割電極群270bとの間、および、第3分割電極群270cと第4分割電極群270dとの間に、それぞれ正負極集電体280,290が配置されている。したがって、正極板274の正極タブ278と正極集電体280との接合面が4つあり、負極板275の負極タブ279と負極集電体290との接合面も4つある。つまり、第2の実施の形態では、正負極タブ278,279と正負極集電体280,290との接合面の数が第1の実施の形態に比べて2倍である。したがって、第2の実施の形態では、各接合面のそれぞれに超音波接合される正極タブ278あるいは負極タブ279の枚数が第1の実施の形態に比べて半分となるため、歩留りを向上できる。
【0078】
―第3の実施の形態―
図8〜図10を参照して第3の実施の形態に係る二次電池(以下電池セルと記す)を説明する。図8は本発明の第3の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図であり、図9は集電体組立体315を示す斜視図である。図10は、電極群370の構成を示す斜視図である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所には100番台に代えて300番台の参照番号を付し、下2桁を同一番号として、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0079】
第3の実施の形態の電池セルは、第1の実施の形態と同容量の電池セルである。図8に示すように、第3の実施の形態では、第1の実施の形態の電極構造体110(図3参照)とほぼ同様の構成の電極構造体310が設けられている。第1の実施の形態の電極構造体110と、第3の実施の形態の電極構造体310との異なる点は、正負極集電体380,390のそれぞれと、正負極板374,375の正負極タブ378,379のそれぞれとの接続構造である。
【0080】
第1の実施の形態では、図3に示したように、上部保持部材161から上方に突出した接合部181,191のそれぞれにおいてのみ、正負極板174,175の正負極タブ178,179のそれぞれが超音波接合されていた。これに対して、第3の実施の形態では、図8に示すように、正負極集電体380,390の上部だけでなく、下部においても正負極板374,375の正負極タブ378,379のそれぞれが接続されている。
【0081】
図10を参照して、第3の実施の形態の電極群370の構成について説明する。第1分割電極群370aと第2分割電極群370bとは同じ構造であるため、以下、代表して第1分割電極群370aについて説明する。第1分割電極群370aは、正極板374および負極板375をセパレータ373を介在させて交互に積層されることで形成される。
【0082】
第3の実施の形態では、図10に示すように、正極タブ(正極箔371の露出部)378が、正極板374の正極電極層376が形成された塗工部の上部および下部の一端(図示左側)から上方および下方に延出されている。同様に、負極タブ(負極箔372の露出部)379が、負極板375の負極電極層377が形成された塗工部の上部および下部の一端(図示右側)から上方および下方に延出されている。
【0083】
図9に示すように、正極集電体380は上部保持部材361から上方に突出した上部接合部381を有し、負極集電体390は上部保持部材361から上方に突出した上部接合部391を有している。上部接合部381,391のそれぞれには、正負極板374,375の正負極タブ378,379の束のそれぞれが超音波接合される(図8参照)。上部接合部381,391のそれぞれの上端には、正負極端子341,351が溶接されている。
【0084】
図9に示すように、第3の実施の形態では、下部保持部材362の上方にある正極集電体380の下端部近傍が、下部接合部383とされている。下部接合部383には、正極板374の正極タブ378の束が超音波接合される(図8参照)。同様に、下部保持部材362の上方にある負極集電体390の下端部近傍が、下部接合部393とされている。下部接合部393には、負極板375の負極タブ379の束が超音波接合される(図8参照)。
【0085】
図8に示すように、第3の実施の形態では、第1の実施の形態(図3参照)よりも正負極集電体380,390のそれぞれが、下部接合部383,393の分だけ下方に長く形成されており、正負極集電体380,390のそれぞれにおいて、下部保持部材362の上端と電極群370の下端との間が下部接合部383,393(図9参照)として画成されている。
【0086】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(1)〜(3)と同様の各作用効果に加えて、次の(5)のような作用効果を奏する。
【0087】
(5)第3の実施の形態では、正極タブ378の数および負極タブ379の数が、それぞれ第1の実施の形態に比べて2倍であるため、正負極タブ378,379を流れる電流の電流密度は第1の実施の形態に比べて半分程度となる。これにより、正極タブ378同士、負極タブ379同士、および、正負極タブ378,379のそれぞれと正負極集電体380,390のそれぞれとの接合面における発熱量を第1の実施の形態に比べて低減できる。発熱量は、電流の2乗に比例するため、第3の実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、発熱量を1/4程度にできる。したがって、第3の実施の形態によれば、電池容器内の温度上昇をより抑制できる。
【0088】
―第4の実施の形態―
図11を参照して第4の実施の形態に係る二次電池(以下電池セルと記す)を説明する。図11は本発明の第4の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図である。なお、第3の実施の形態と同様の箇所には300番台に代えて400番台の参照番号を付し、下2桁を同一番号として、第3の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0089】
第4の実施の形態の電池セルは、第3の実施の形態と同容量の電池セルである。第4の実施の形態では、第3の実施の形態の電極構造体310(図8参照)とほぼ同様の構成の電極構造体410が設けられている。第3の実施の形態の電極構造体310と、第4の実施の形態の電極構造体410との異なる点は、正負極集電体480,490のそれぞれと、正負極板474,475の正負極タブ478,479のそれぞれとの接続構造である。
【0090】
図8および図10に示したように、第3の実施の形態では、正極タブ378が正極板374の塗工部の上部および下部の一端から上方および下方に延出され、負極タブ379が負極板375の塗工部の上部および下部の一端から上方および下方に延出されていた。
【0091】
これに対して、図11に示すように、第4の実施の形態では、電極群470の中心側、すなわち第1分割電極群470aの図示右側および第2分割電極群470bの図示左側の正負極板474,475には、上方に突出するように正負極タブ478,479が延出されている。電極群370の積層方向外側、すなわち第1分割電極群470aの図示左側および第2分割電極群470bの図示右側の正負極板474,475には、下方に突出するように正負極タブ478,479が延出されている。換言すれば、電極群470の中心側では、下方に正負極タブ478,479が延出されておらず、電極群370の積層方向外側では、上方に正負極タブ478,479が延出されていない。
【0092】
図11に示すように、上方から突出した正極タブ478は正極集電体480の上部接合部481に超音波接合されることで電気的に接続され、同様に上方から突出した負極タブ479は、負極集電体490の上部接合部491に超音波接合されることで電気的に接続されている。
【0093】
下方から突出した正極タブ478は正極集電体480の下部接合部483に超音波接合されることで電気的に接続され、同様に下方から突出した負極タブ479は、負極集電体490の下部接合部(不図示)に超音波接合されることで電気的に接続されている。
【0094】
正極端子441および負極端子451は、第3の実施の形態と同様に、それぞれ上部接合部481,491に溶接されている。これにより、電極群470の正極板474と正極端子441とが正極集電体480を介して電気的に接続され、電極群470の負極板475と負極端子451とが負極集電体490を介して電気的に接続される。
【0095】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(1)〜(3)および第2の実施の形態で説明した(4)と同様の効果を奏する。
【0096】
―第5の実施の形態―
図12〜図14を参照して第5の実施の形態に係る二次電池(以下電池セルと記す)を説明する。図12は本発明の第5の実施の形態に係る電池セルの内部構造を示す斜視図である。図13は集電体組立体515の斜視図であり、図14は捲回電極群570を作製する様子を示す斜視図である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所には100番台に代えて500番台の参照番号を付し、下2桁を同一番号として、第1の実施の形態との相違点について主に説明する。
【0097】
第5の実施の形態の電池セルは、第1の実施の形態と同容量の電池セルである。図13に示すように、第5の実施の形態では、第1の実施の形態の集電体組立体115(図5参照)とほぼ同様の構成の集電体組立体515が設けられている。図12に示すように、第5の実施の形態の電極構造体510では、捲回電極群570に正負極集電体580,590が挿着された構成とされている。捲回電極群570は、正極板574および負極板575をセパレータ573a,573bを介在させて扁平形状に捲回することで積層構造とされている(図14参照)。
【0098】
図14に示すように、捲回電極群570は、図示しないローラにより張力を付与しながら、帯状の正極板574と帯状の負極板575と帯状のセパレータ573a,573bとを重ね合わせつつ捲回することで作製される。
【0099】
正極板574は、正極箔571と、正極活物質に結着材(バインダ)が配合された正極活物質合剤が正極箔571の両面に塗工されて形成された正極電極層576とを有する。帯状の正極板574は、幅方向の一側に正極電極層576が形成されない正極集電部が配置されている。負極板575は、負極箔572と、負極活物質に結着材(バインダ)が配合された負極活物質合剤が負極箔572の両面に塗工されて形成された負極電極層577とを有する。帯状の負極板575は、幅方向の一側に負極電極層577が形成されない負極集電部が配置されている。
【0100】
捲回電極群570は、正極板574の正極集電部および負極板575の負極集電部が互いに逆になるように捲回することで作製される。つまり、捲回電極群570の幅方向(捲回方向に直交する方向)の両端部は、一方が正極電極層576が形成されていない未塗工部(正極箔571が露出した正極集電部)が積層された部分とされ、他方が負極電極層577が形成されていない未塗工部(負極箔572が露出した負極集電部)が積層された部分とされている。
【0101】
図13に示すように、捲回に先立って、正極集電体580における熱接続部582の下部には絶縁シート589が装着され、負極集電体590における熱接続部592の上部には絶縁シート599が装着される。これにより、正極集電体580の熱接続部582の下部外表面が絶縁シート589によって覆われ、負極集電体590の熱接続部592の下部外表面が絶縁シート599によって覆われる。絶縁シート589,599は、それぞれポリプロピレン等の絶縁性を有する材料からなる。
【0102】
図14に示すように、捲回に際しては、先ず、水平軸を中心に回転する集電体組立体515にセパレータ573a,573bを複数回捲回した後、セパレータ573aの下側に正極板574を巻き込み、セパレータ573bの上側に負極板575を巻き込む。集電体組立体515を回転させることで、セパレータ573aと正極板574およびセパレータ573bと負極板575は、それぞれ水平に設置されるガイドローラ588,598によって案内されつつ集電体組立体515の周りに捲回される。
【0103】
図12に示すように、捲回電極群570の幅方向一端部である図示上端部では、正極箔571の露出面(正極集電部)が正極集電体580に直接に接触している。一方、図示上端部において、負極集電体590の熱接続部592における正極箔571の露出面(正極集電部)に対向する面は、絶縁シート599によって覆われており(図13参照)、正極箔571の露出面(正極集電部)と負極集電体590との間には絶縁シート599が介在されている。したがって、負極集電体590の熱接続部592における正極箔571の露出面(正極集電部)に対向する面は、絶縁シート599を介して正極箔571の露出面(正極集電部)に熱的に接続される。正極集電部と負極集電体590との間に絶縁シート599が介在しているため、正極板574と負極集電体590とは電気的に絶縁されている。
【0104】
図12に示すように、捲回電極群570の幅方向他端部である図示下端部では、負極箔572の露出面(負極集電部)が負極集電体590に直接に接触している。一方、図示下端部において、正極集電体580の熱接続部582における負極箔572の露出面(負極集電部)に対向する面は、絶縁シート589によって覆われており(図13参照)、負極箔572の露出面(負極集電部)と正極集電体580との間には絶縁シート589が介在されている。したがって、正極集電体580の熱接続部582における負極箔572の露出面(負極集電部)に対向する面は、絶縁シート589を介して負極箔572の露出面(負極集電部)に熱的に接続される。負極集電部と正極集電体580との間に絶縁シート589が介在しているため、負極板575と正極集電体580とは電気的に絶縁されている。
【0105】
図12に示すように、正極箔571の露出部(正極集電部)の積層体は、正極集電体580の上部において、押しつぶされ、正極箔571の外表面に保護板520が当接された状態で超音波接合される。これにより、図13に二点鎖線で示した正極集電体580の熱接続部582における正極箔571の露出部(正極集電部)に対向する面の接合領域581に、正極箔571の露出部の積層体が接合され、かつ、正極箔571同士が接合され、捲回電極群570の正極板574と正極集電体580とが電気的かつ熱的に接続される。
【0106】
同様に、図12に示すように、負極箔572の露出部(負極集電部)の積層体は、負極集電体590の上部において、押しつぶされ、負極箔572の外表面に保護板530が当接された状態で超音波接合される。これにより、図13に二点鎖線で示した負極集電体590の熱接続部592における負極箔572の露出部(負極集電部)に対向する面の接合領域593に、負極箔572の露出部の積層体が接合され、かつ、負極箔572同士が接合され、捲回電極群570の負極板575と負極集電体590とが電気的かつ熱的に接続される。
【0107】
図13に示すように、正極集電体580の中央部は絶縁シート589で覆われていない。同様に、負極集電体590の中央部は絶縁シート599で覆われていない。したがって、正極集電体580の中央部は、絶縁部材であるセパレータ573a,573bが当接される。同様に、負極集電体590の中央部は、絶縁部材であるセパレータ573a,573bが当接される。つまり、捲回電極群570と正負極集電体580,590の中央部とは、セパレータ573a,573bを介して熱的に接続されている。
【0108】
上記のように構成した第5の実施の形態の電池セルによれば、第1の実施の形態で説明した(1)と同様の効果を奏する。
【0109】
さらに、第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(2)および(3)と同様の各作用効果に加えて、次の(6)のような作用効果を奏する。
(6)集電体組立体515に正極板574および負極板575をセパレータ573a,574bを介在させて捲回することで電極構造体510を作製でき、作製された電極構造体510を捲回後にそのまま缶(不図示)に挿入できるため、組立性を向上させることができる。
【0110】
なお、次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
(1)第1〜第4の実施の形態では、上部保持部材161,261,361,461および下部保持部材162,262,362,462を設けたが、本発明はこれに限定されない。上部保持部材161,261,361,461および下部保持部材162,262,362,462のいずれか一方を省略してもよい。いずれか一方が省略された場合であっても、位置決め精度が極端に落ちることはない。
【0111】
図15(a)は本発明の変形例に係る電池セルの内部構造を示す斜視図であり、図15(b)は図15(a)の第2分割電極群670bの図示を省略した図である。たとえば、図15では、上部保持部材661のみで正極集電体680と負極集電体690とを所定間隔をあけて保持している。本変形例では、下部保持部材が省略されているため、正負極集電体680,690の高さ方向寸法を短くできる。
【0112】
正負極集電体680,690の大きさは、電池容量、電極群670の形状、大きさ、発熱量や使用環境等に応じて適宜設定される。ただし、電極群670で発生した熱を効率よく放熱させるために、正極集電体680における第1分割電極群670aとの熱接触面積SAと、負極集電体690における第1分割電極群670aとの熱接触面積SBとの和が、第1分割電極群670aの一側面全体の面積Sに対して1/3以上(すなわち(SA+SB)≧1/3S)となるように、正負極集電体680,690を形成することが好ましい。同様に、正極集電体680における第2分割電極群670bとの熱接触面積SAと、負極集電体690における第2分割電極群670bとの熱接触面積SBとの和が、第2分割電極群670bの一側面全体の面積Sに対して1/3以上(すなわち(SA+SB)≧1/3S)となるように、正負極集電体680,690を形成することが好ましい。
【0113】
(2)第1〜第5の実施の形態では、正極集電部を正極集電体180,280,380,480,580に保護板120,220.320,420,520を用いて超音波接合し、負極集電部を負極集電体190,290,390,490,590に保護板130,230,330,430,530を用いて超音波接合したが、本発明はこれに限定されない。保護板120,130,220,230,320,330,420,430,520,530を省略してもよい。
(3)電極群170,270,370,470,570と正負極集電体180,190,280,290,380,390,480,490,580,590との接続構造は、電気的に接続することのできる種々の構造を採用できる。たとえば、超音波接合に代えて、正極集電部および負極集電部のそれぞれの束を正極集電体180,280,380,480,580および負極集電体190,290,390,490,590のそれぞれにレーザ溶接あるいは電子ビーム溶接により電気的に接続してもよい。
(4)第1〜第4の実施の形態において、正極用の保護板120,220,320,420に代えて保護板120,220,320,420と同様の構成の正極用接続板を設け、正極用接続板に正極集電部を超音波接合し、正極用接続板をボルトとナットにより正極集電体180,280,380,480に接続してもよい。同様に、負極用の保護板130,230,330,430に代えて保護板130,230,330,430と同様の構成の負極用接続板を設け、負極用接続板に負極集電部を超音波接合し、負極用接続板をボルトとナットにより負極集電体190,290,390,490に接続してもよい。
【0114】
(5)第1〜第5の実施の形態では、上部保持部材161,261,361,461,561および下部保持部材162,262,362,462,562は、それぞれ長手方向の寸法が電池容器の内寸に合うように形成され、電池セルに振動や衝撃が加わった場合に、内部構造物の破損を防止できる電池セルの構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。振動や衝撃が、電池セルに作用しないことが予め想定される場合、たとえば、図示しない防振装置が蓄電装置に設けられている場合などでは、上部および下部保持部材の長手方向寸法は、電池容器の内寸とは無関係に設定できる。
【0115】
(6)第5の実施の形態では、図12に示したように、正極箔571の露出部(正極集電部)の積層体を電極構造体510の上部に配置させ、負極箔572の露出部(負極集電部)の積層体を電極構造体510の下部に配置させたが、本発明はこれに限定されることなく、正極集電部と負極集電部との位置を上下逆にした構成としてもよい。
【0116】
(7)第1〜第5の実施の形態では、正極端子141,241,341,441,541および負極端子151,251,351,451,551は、それぞれ単一の円柱状部材として説明したが、本発明はこれに限定されない。電気的かつ熱的に接続された複数の矩形状部材や棒状部材で正極端子および負極端子のそれぞれを構成してもよい。同様に、正極集電体180,280,380,480,580および負極集電体190,290,390,490,590をそれぞれ単一の矩形平板状部材として説明したが、本発明はこれに限定されない。電気的かつ熱的に接続された複数の平板状部材や棒状部材等で正極集電体および負極集電体のそれぞれを構成してもよい。
【0117】
(8)第1および第3〜第5の実施の形態では、正極端子141,341,441,541および負極端子151,351,451,551のそれぞれと、正極集電体180,380,480,580および負極集電体190,390,490,590のそれぞれとを溶接により接続した例を説明し、第2の実施の形態では、正極端子241および負極端子251のそれぞれと、正極伝熱板284および負極伝熱板285のそれぞれとを溶接により接続した例を説明したが、本発明はこれに限定されない。カシメにより接続してもよいし、カシメと溶接を併用して接続してもよい。
【0118】
(9)リチウムイオン電池セルを一例として説明したが、ニッケル水素電池などその他の電池セルにも本発明を適用できる。
【0119】
(10)正極端子141,241,341,441,541、正極集電体180,280,380,480,580および正極箔171,371,571の材質は、アルミニウムに限定されることなく、アルミニウム合金としてもよい。負極端子151,251,351,451,551、負極集電体190,290,390,490,590および負極箔172,372,572の材質は、銅に限定されることなく、銅合金としてもよい。
【0120】
(11)本発明は、第1〜第4の実施の形態で説明したように、電極群170,270,370,470を2つあるいは4つに分割する場合に限定されない。たとえば、電極群を3つ、あるいは、5つ以上の分割電極群に分割して、分割電極群間に正負極集電体の熱接続部を配置してもよい。また、本発明は、電極群170,270,370,470を等分割する場合に限定されることなく、不等分割してもよい。
【0121】
(12)上記した実施の形態では、定置用の蓄電装置に組み込まれる電池モジュールについて説明したが本発明はこれに限定されない。ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される蓄電装置に組み込まれる電池モジュールに本発明を適用してもよい。さらに、他の電動車両、たとえばハイブリッド電車などの鉄道車両、バスなどの乗合自動車、トラックなどの貨物自動車、バッテリ式フォークリフトトラックなどの産業車両などの蓄電装置に利用可能な電池モジュールに本発明を適用してもよい。
【0122】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0123】
100A〜100D 電池セル、101 缶、101a 主面、102 蓋、108 絶縁フィルム、110 電極構造体、115 集電体組立体、120,130 保護板、141 正極端子、151 負極端子、161 上部保持部材、162 下部保持部材、170 電極群、170a 第1分割電極群、170b 第2分割電極群、171 正極箔、172 負極箔、173 セパレータ、174 正極板、175 負極板、176 正極電極層、177 負極電極層、178 正極タブ、179 負極タブ、180 正極集電体、181 接合部、181f 接合面、182 熱接続部、182f 熱接触面、190 負極集電体、191 接合部、191f 接合面、192 熱接続部、192f 熱接触面、208 絶縁フィルム、210 電極構造体、220,230 保護板、241 正極端子、251 負極端子、261 上部保持部材、262 下部保持部材、270 電極群、270a 第1分割電極群、270b 第2分割電極群、270c 第3分割電極群、270d 第4分割電極群、274 正極板、275 負極板、278 正極タブ、279 負極タブ、280 正極集電体、281,291 接合部、284 正極伝熱板、285 負極伝熱板、290 負極集電体、310 電極構造体、315 集電体組立体、320,330 保護板、341 正極端子、351 負極端子、361 上部保持部材、362 下部保持部材、370 電極群、370a 第1分割電極群、370b 第2分割電極群、371 正極箔、372 負極箔、373 セパレータ、374 正極板、375 負極板、376 正極電極層、377 負極電極層、378 正極タブ、379 負極タブ、380 正極集電体、381 上部接合部、383 下部接合部、390 負極集電体、391 上部接合部、393 下部接合部、410 電極構造体、420,430 保護板、441 正極端子、451 負極端子、461 上部保持部材、462 下部保持部材、470 電極群、470a 第1分割電極群、470b 第2分割電極群、474 正極板、475負極板、478 正極タブ、479 負極タブ、480 正極集電体、481 上部接合部、483 下部接合部、490 負極集電体、491 上部接合部、510 電極構造体、515 集電体組立体、520,530 保護板、541 正極端子、551 負極端子、570 電極群、571 正極箔、572 負極箔、573a,573b セパレータ、574 正極板、575 負極板、576 正極電極層、577 負極電極層、580 正極集電体、581 接合領域、582 熱接続部、589 絶縁シート、590 負極集電体、592 熱接続部、593 接合領域、599 絶縁シート、661 上部保持部材、670 電極群、670a 第1分割電極群、670b 第2分割電極群、680 正極集電体、690 負極集電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板および負極板をセパレータを介在させて積層して構成される電極群と、
前記電極群を収容する電池容器と、
前記電池容器の同一設置面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子と、
前記正極板と前記正極端子とを接続する正極集電体と、
前記負極板と前記負極端子とを接続する負極集電体とを備え、
前記正負極集電体のそれぞれは、
前記電極群内に配置される熱接続部と、
前記電極群内から前記設置面に向けて同一方向に突出され、前記正負極端子と接続される端子接続部とを有し、
前記正負極集電体の熱接続部のそれぞれは、少なくとも一部が前記電極群と絶縁部材を介して熱的に接続され、
前記電極群で発生した熱が前記正負極集電体を介して前記正負極端子のそれぞれに伝わる構成とされていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池において、
前記電池容器は、一対の主面を含んで構成される有底形状の缶と、前記缶を封止する蓋とを有し、
前記正負極集電体のそれぞれは、
平板状であって、前記電池容器の主面と平行に配置されていることを特徴とする二次電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二次電池において、
前記電極群は、少なくとも2つ以上の分割電極群を有し、
前記分割電極群のそれぞれは、複数枚の正極板と複数枚の負極板と複数のセパレータとを有し、前記正極板および前記負極板を前記セパレータを介在させて積層して構成され、
前記正負極集電体の熱接続部のそれぞれは、前記分割電極群間に配置され、前記分割電極群同士に絶縁部材を介して挟まれていることを特徴とする二次電池。
【請求項4】
請求項1または2に記載の二次電池において、
前記電極群は、帯状の正極板および帯状の負極板を帯状のセパレータを介在させて捲回することで作製された捲回電極群であることを特徴とする二次電池。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記正極集電体と前記負極集電体とを所定間隔をあけて保持する保持部材を備え、
前記保持部材は絶縁性を有していることを特徴とする二次電池。
【請求項6】
請求項5に記載の二次電池において、
前記保持部材の外形寸法は、前記缶の内寸に対応して形成されていることを特徴とする二次電池。
【請求項7】
正極電極層が形成されるとともに前記正極電極層が形成されない正極集電部が幅方向の一側に配置された帯状の正極板、および、負極電極層が形成されるとともに前記負極電極層が形成されない負極集電部が幅方向の一側に配置された帯状の負極板を帯状のセパレータを介在させて前記正負極集電部が互いに逆になるように捲回した捲回電極群と、
一対の主面を含んで構成され、前記捲回電極群を収容する有底形状の缶と、
前記缶を封止する蓋と、
前記蓋に設けられた正極端子および負極端子と、
前記正極板と前記正極端子とを接続する矩形平板状の正極集電体と、
前記負極板と前記負極端子とを接続する矩形平板状の負極集電体と、
前記正極集電体および前記負極集電体の一端側を保持する第1保持部材と、
前記正極集電体および前記負極集電体の他端側を保持する第2保持部材とを備え、
前記第1および第2保持部材のそれぞれは、絶縁性を有し、前記正負極集電体のそれぞれが前記缶の主面と平行に配置され、前記正極集電体と前記負極集電体との間に空間が形成されるように、前記正極集電体および前記負極集電体を保持し、
前記正負極集電体のそれぞれは、
前記第1保持部材および前記第2保持部材とによって画成され、前記捲回電極群内に配置される熱接続部と、
前記捲回電極群内から前記蓋に向けて突出され、前記正負極端子と接続される端子接続部とを有し、
前記正極集電体の熱接続部における前記負極集電部に対向する面は、絶縁シートによって覆われ、前記絶縁シートを介して前記負極集電部に熱的に接続され、
前記正極集電体の熱接続部における前記正極集電部に対向する面は、前記正極集電部に電気的かつ熱的に接続され、
前記負極集電体の熱接続部における前記正極集電部に対向する面は、絶縁シートによって覆われ、前記絶縁シートを介して前記正極集電部に熱的に接続され、
前記負極集電体の熱接続部における前記負極集電部に対向する面は、前記負極集電部に電気的かつ熱的に接続され、
前記捲回電極群で発生した熱が前記正負極集電体を介して前記正負極端子のそれぞれに伝わる構成とされていることを特徴とする二次電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−69417(P2013−69417A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205071(P2011−205071)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】