説明

二段押圧スイッチ

【課題】二段スイッチの押圧感触を良好な状態に維持しつつ、同時に外形の小型化が図れる二段押圧スイッチを提供する。
【解決手段】基台10と、基台10上に設置され第一のスイッチ27を設けてなる第一の基板20と、第一の基板20上に設置されると共に合成樹脂フイルムに押圧部材55を取り付けてなる押圧部材取付部材50と、押圧部材取付部材50上に設置され第二のスイッチ37を設けてなる第二の基板30と、第二の基板30上に取り付けられるキートップ40と、基台10とキートップ40間に設置されると共に基台10に対してキートップ40を上下動自在にガイドしながら保持するガイド保持機構(弾性係合部材13と係合部409からなる)と、を具備して構成される二段押圧スイッチ1−1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二段押圧スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧スイッチの中には、キートップを押圧するとまず一段目のスイッチがオンし、更にキートップを押圧すると二段目のスイッチもオンする構造の二段押圧スイッチがある。そして電子機器の小型・薄型化のためにこの種の二段押圧スイッチも小型・薄型化が要望されている。図8は特許文献1に示されている従来の小型・薄型化を図った二段押圧スイッチ200を示す概略側断面図である。同図に示す二段押圧スイッチ200は、基台210上に取り付けられる第一の基板220と、キートップ260の下面に取り付けられる第二の基板240とを、第一,第二の基板220,240にそれぞれ設けたスイッチ226,246が対向するように積み重ねて設置すると共に、第一,第二の基板220,240間にスイッチ226,246をそれぞれ押圧する押圧部281を設けた作動型物280を設置して構成されている。そして前記キートップ260を押圧することで第一,第二の基板220,240に設けたスイッチ226,246が押圧部281によって順次オンされる。この二段押圧スイッチ200によれば、スイッチ226,246の間に押圧部281を設置するだけなので、その厚みの薄型化が図れる。
【0003】
しかしながら上記従来の二段押圧スイッチ200において、キートップ260を押圧して一段目のスイッチ246をオンした際、キートップ260及び第二の基板240が傾くことがあるが、その傾き角度が大きいと、図9に示すように、第二の基板240の外周近傍部分が作動型物280の外周部282の近傍部分に当接してしまい、このため二段目のスイッチ226を押圧する際の押圧感触が悪くなってしまう恐れがある。そしてこれを防止してキートップ260を基台210に対して正確に上下動させるためには、例えば特許文献2に示すように、前記作動型物280の外周のさらに外側の基台210上にケースを設置し、このケースと前記キートップ260の間にキートップ260を上下動自在にガイドするガイド機構を設ける方法等が用いられている。
しかしながら上記のように作動型物280の外周のさらに外側にケースを設置すると、二段押圧スイッチ200の外形寸法が大型化してしまうという問題が生じる。
【特許文献1】特開2003−346600号公報
【特許文献2】特開2001−184983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、二段スイッチの押圧感触を良好な状態に維持しつつ、同時に厚みの薄型化及び外形の小型化が図れる二段押圧スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載の発明は、基台と、前記基台上に設置され第一のスイッチを設けてなる第一の基板と、前記第一の基板上に設置されると共に合成樹脂フイルムに押圧部材を取り付けてなる押圧部材取付部材と、前記押圧部材取付部材上に設置され第二のスイッチを設けてなる第二の基板と、前記第二の基板上に取り付けられるキートップと、前記基台とキートップ間に設置されると共に基台に対してキートップを上下動自在にガイドしながら保持するガイド保持機構と、を具備して構成されていることを特徴とする二段押圧スイッチにある。
【0006】
本願請求項2に記載の発明は、前記ガイド保持機構は、前記基台又はキートップの何れか一方に弾性を有する係合突起を設けて構成される弾性係合部材を設けると共に、基台又はキートップの何れか他方に前記弾性係合突起を係合する係合部を設け、前記弾性係合突起を弾性変形させながら前記係合部にスナップイン係合することで、キートップを上下動自在にガイドすると同時にキートップの基台から離れる方向への抜けを防止する機構で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の二段押圧スイッチにある。
【0007】
本願請求項3に記載の発明は、前記基台又はキートップの何れか一方にキートップの上下動方向に向けて突出するガイド突起を形成すると共に、前記基台又はキートップの何れか他方に前記ガイド突起を上下動自在に挿入するガイド孔を形成することにより、キートップがその上下動に垂直な面方向に移動することを規制する面方向移動規制手段を構成し、前記面方向移動規制手段における前記ガイド突起と前記ガイド孔間に生じる面方向の遊びを、前記弾性係合部材と係合部間に生じる面方向の遊びよりも小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の二段押圧スイッチにある。
【0008】
本願請求項4に記載の発明は、前記押圧部材の周囲に位置する押圧部材取付部材を第一,第二の基板の内の何れか一方の基板上に固定したことを特徴とする請求項1に記載の二段押圧スイッチにある。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、基台とキートップ間にガイド保持機構を設置したので、キートップが傾かずにスムーズに上下動できて良好な二段スイッチの押圧感触を得ることができると同時に、別途キートップを基台に対して上下動自在にガイドするケース等の部材を設置する必要がないので、二段押圧スイッチの外径寸法の小型化が図れる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、基台又はキートップの何れか一方に設けた弾性係合部材と、基台又はキートップの何れか他方に設けた係合部をスナップイン係合することでガイド保持機構を構成したので、その組み立てが容易になる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、基台又はキートップの何れか一方に設けたガイド突起と、前記基台又はキートップの何れか他方に設けたガイド孔とによって面方向移動規制手段を構成したので、キートップの面方向への移動を確実に規制することができ、ガイド保持機構を補強できる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、押圧部材を第一,第二のスイッチの中央に常に確実に位置させることができ、第一,第二のスイッチを確実にオンオフ操作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第一実施形態にかかる二段押圧スイッチ1−1の基本的構成を示す概略構成図である。同図に示す二段押圧スイッチ1−1は、基台10と、基台10上に設置される第一の基板20と、第一の基板20上に設置される硬度の高い熱可塑性樹脂からなる成形品の押圧部材55を取り付けてなる押圧部材取付部材50と、押圧部材取付部材50上に設置される第二の基板30と、第二の基板30上に取り付けられるキートップ40とを具備して構成されている。
【0014】
ここで基台10は剛性を有する合成樹脂製(金属等、他の各種材質のものでもよい)の板材で構成されている。第一の基板20は合成樹脂フイルム(ポリエチレンテレフタレートフイルム〔PETフイルム〕等)上に回路パターンを配置することにより形成されたフレキシブル回路基板によって構成されており、この実施形態では可撓性を有するフレキシブル回路基板を二枚重ね合わせることで、このフレキシブル回路基板に設けられた図示しない二つの接点パターンを所定の隙間を持って対向させ、さらに重ね合わせたフレキシブル回路基板の裏面上に反転板25を取り付けて第一のスイッチ27を構成している。第二の基板30も合成樹脂フイルム(PETフイルム等)上に回路パターンを配置することにより形成されたフレキシブル回路基板によって構成されており、この実施形態では可撓性を有するフレキシブル回路基板を二枚重ね合わせることで、このフレキシブル回路基板に設けられた図示しない二つの接点パターンを所定の隙間をもって対向させ、さらに重ね合わせたフレキシブル回路基板の裏面上(図では下面となる)に反転板35を取り付けて第二のスイッチ37を構成している。キートップ40は合成樹脂を略円柱状に成形して構成されており、その下面に前記第二の基板30を取り付けている。第二の基板30を構成する合成樹脂フイルムの一部には、第二の基板30に連絡して第二の基板30から外方に突出するように押圧部材取付部材50が設けられ、この押圧部材取付部材50を折り曲げて第一,第二基板20,30の間に重ね合わせることで、押圧部材取付部材50に設けた押圧部材55を第一,第二のスイッチ27,37の間に設置している。押圧部材55は押圧部材取付部材50に設けた開口51の部分に取り付けられ、その上下面はスイッチ押圧面551,551となっており、それぞれ第一,第二のスイッチ27,37の中央(さらに具体的には反転板25,35の中央)に当接又は接近して配置されている。
【0015】
また基台10の上面(第一のスイッチ27の周囲の位置)には上方向に突出する弾性を有する棒状の係合突起133を設けて構成される弾性係合部材13が設けられ、一方キートップ40の下面外周には前記弾性係合部材13を係合する凹状の係合部409を設け、前記弾性係合部材13を弾性変形させながら前記係合部409にスナップイン係合することで、キートップ40を上下動自在にガイドすると同時にキートップ40の基台10から離れる方向への抜けを防止するガイド保持機構を構成している。弾性係合部材13と係合部409とをスナップイン係合することでガイド保持機構を構成したので、その組み立てが容易である。
【0016】
以上のように構成した二段押圧スイッチ1−1において、例えば反転板25の反転に必要な荷重よりも反転板35の反転に必要な荷重の方を小さくしておけば、キートップ40を押圧することで、図2に示すように押圧部材55によって反転板35が反転して第二のスイッチ37がオンし、さらにキートップ40を押圧することで、押圧部材55によって反転板25が反転して第一のスイッチ27がオンする。前記キートップ40への押圧を解除すると、まず反転板25が元の形状に自動復帰して第一のスイッチ27がオフし、さらに反転板35が元の形状に自動復帰して第二のスイッチ37もオフする。
【0017】
ところで本実施形態においては、基台10とキートップ40間にガイド保持機構を設けているので、キートップ40を押圧した際でも弾性係合部材13と係合部409の係合状態は維持されてガイドされ、キートップ40が大きく傾くことはなく、キートップ40のスムーズな上下動が行え、良好な二段押圧スイッチ1−1の押圧感触を得ることができると同時に、別途キートップ40を基台10に対して上下動自在にガイドするケース等の部材を設置する必要がないので、二段押圧スイッチ1−1の外径寸法の小型化、厚みの薄型化を図ることができる。なお例えキートップ40が傾いて第二の基板30の外周部分が押圧部材取付部材50に触れたとしても、押圧部材取付部材50は可撓性を有する合成樹脂フイルム製なので、押圧部材取付部材50は容易に撓み、従って何らキートップ40や第二の基板30を更に下降させるための障害にはならず、スムーズで良好な二段スイッチの押圧感触を維持できる。
【0018】
上記第一実施形態ではフイルム状の押圧部材取付部材50を固定せずにフリーの状態として示しているが、この押圧部材取付部材50はその押圧部材55の周囲の部分を第一,第二の基板20,30の内の何れかの側に固定することが好ましい。固定方法には種々の方法があるが、具体的に第一実施形態の変形例である第二実施形態を説明する。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。即ち図3に示す二段押圧スイッチ1−2のように、キートップ40の下面の外周近傍部分から突出する固定部401を第二の基板30と押圧部材取付部材50とに設けた孔又は溝に挿入してその先端を熱カシメして固定すれば、押圧部材取付部材50が第二の基板30側に取り付けられる。押圧部材取付部材50を第一の基板20側に取り付ける場合は、例えば基台10の上面から突出する小突起を第一の基板20と押圧部材取付部材50とに設けている孔又は溝に挿入してその先端を熱カシメして固定すれば良い。このように押圧部材取付部材50を第一,第二の基板20,30の何れかに固定すれば、押圧部材55を第一,第二のスイッチ27,37の中央に常に確実に位置させておくことができ、第一,第二のスイッチ27,37を確実にオンオフ操作できる。なお第一,第二実施形態のように押圧部材取付部材50を第二の基板30に連結している場合は、押圧部材取付部材50は第二の基板30に固定することが、組み立て工程の容易性等の点から好適である。また押圧部材取付部材50が第一の基板20に連結している場合は、押圧部材取付部材50は第一の基板20に固定すれば良い。
【0019】
押圧部材55は上記各実施形態では硬度の高い熱可塑性合成樹脂の成形品からなり、押圧部材取付部材50に設けた開口51の上下に突出するように取り付けられている。開口51部分への押圧部材55の取り付けは、機械的嵌め込み方法による取り付けでも良いし、開口51の上下に直接押圧部材55を成形(インサート成形)する方法による取り付けでも良い。また開口51を設けずに押圧部材取付部材50の表面に押圧部材55を接着しても良い。さらに押圧部材55は必ずしも合成樹脂の成形品に限定されず、押圧部材取付部材50の表面に合成樹脂等からなる塗布材を塗布して硬化させて構成しても良く、また紙などのシートを接着材によって貼り付けて構成しても良い。但し塗布材の塗布の場合は通常その塗布と硬化を複数回繰り返して一定の厚みが得られるようにする必要があるのでその製造が煩雑であり、また塗布材の塗布や紙等のシートを貼り付ける場合は押圧部材の硬度が低いので必ずしも好適なスイッチの押圧が行えなくなる恐れがあり、また押圧部材55を接着によって取り付ける場合は熱等による接着材の軟化によって位置ズレが生じる恐れがある。従って前記各実施形態のように押圧部材取付部材50に開口51を設けてこの開口51に硬度の高い合成樹脂製の押圧部材55を機械的嵌め込みによって取り付けたり、合成樹脂のインサート成形によって取り付ける構造がより好適である。
【0020】
また上記各実施形態では第一,第二のスイッチ27,37を、二枚のフレキシブル回路基板を積層してスイッチ接点を対向させ、さらにその上に反転板25,35を取り付けて構成しているが、これら第一,第二のスイッチ27,37の構造がこの実施形態に限定されないことは言うまでもない。即ち第一,第二のスイッチ27,37は、一枚のフレキシブル回路基板上に点状の接点パターンとその周囲を囲むC字状の接点パターンとを設け、周囲を囲む接点パターン上に反転板の外周が当接するように載置してなるスイッチでも良いし、また前記二枚のフレキシブル回路基板を積層してスイッチ接点を対向する場合は必ずしも反転板25,35は取り付けなくても良い。またそれ以外にも圧力を印加することによって通電する感圧材料を用いたスイッチ(例えば特開平9−213168号公報参照)等、他の種々の構成のスイッチであってもよい。
【0021】
図4は第二実施形態である図3に示す二段押圧スイッチ1−2をさらに具体的に構成した第三実施形態を示す二段押圧スイッチ1−3の分解斜視図である。同図において前記各実施形態と同一又は相当する部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項は、第一,第二実施形態と同じである。即ちこの実施形態においては、基台10と、第一,第二基板20,30と押圧部材取付部材50とを一体に設けてなるフレキシブル回路基板100と、キートップ40とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0022】
基台10は剛性を有する合成樹脂板によって構成されており、その上面の下記する第一の基板20を載置する部分には複数本(四本)の小突起状の第一基板固定部11が設けられ、またその上面の下記する第一の基板20を載置する部分の外側には複数本(二本)の弾性係合部材13と一本のガイド突起15とが立設されている。弾性係合部材13は弾性を有する棒状の係合突起133の先端に、下記するキートップ40の係合部409に係止される爪部131を設け、またガイド突起15は柱状(円柱状)に形成されている。ここで係合突起133はその厚みが薄く形成され、従って厚みの薄い面に垂直な方向に向かって弾性変形する。これに対してガイド突起15は円柱状であって特に薄いところはなく、従って容易に弾性変形しない形状となっている。
【0023】
フレキシブル回路基板100は可撓性を有する合成樹脂フイルム(この実施形態ではPETフイルムを用いているが、ポリイミドフイルム等、他の各種材質からなる合成樹脂フイルムでも良い)上に各種回路パターンを形成して構成されている。各種回路パターンの形成方法は、この実施形態では印刷(スクリーン印刷等)による方法を用いているが、銅箔のエッチングや蒸着などの他の手段によって形成しても良い。そしてこのフレキシブル回路基板100は、第一の基板20を構成する二枚の略同一形状の基板部21,23と、第二の基板30を構成する二枚の略同一形状の基板部31,33と、一枚の押圧部材取付部材50とをそれぞれ帯状の連結部101,103,105,107によって連結して構成されている。
【0024】
ここで基板部21,23は矩形状でそれぞれの略中央には接点パターン211,231が形成され、またその四隅近傍にはそれぞれ小孔からなる係止部213,233が設けられている。これら係止部213,233は基板部21,23を重ね合わせた際に対向する位置であって、且つ前記基台10の各第一基板固定部11に対応する位置に設けられている。なお基板部23の外周からは帯状に突出する引出部235が設けられ、前記接点パターン211,231から引き出される図示しない回路パターンがこの引出部235に引き出されている。基板部31,33は略円形であり、それぞれの略中央には接点パターン311,331が形成され、また接点パターン311,331の周囲の複数箇所(四箇所)には小孔からなる係止部313,333が設けられ、また外周近傍の所定位置にはそれぞれ一つの孔と三つの外周から切り欠かれる凹溝からなる挿通部315,335が設けられている。係止部313と係止部333、及び挿通部315と挿通部335は何れも基板部31,33を重ね合わせた際に対向する位置に設けられている。押圧部材取付部材50は円形であって、その中央に開口51を設け、また外周近傍の複数箇所(四箇所)であって前記挿通部315,335に対向する位置に小孔からなる係止部53を設け、また開口51と係止部53との間の部分には複数の貫通孔を設けることでそれら貫通孔の間に複数本のアーム状のヒンジ部54を形成している。各ヒンジ部54は同一面内で略L字状に屈曲し、その厚み方向に対して所定の可撓性を有し、これによって各係止部53がキートップ40に固定された際に開口51の部分がその厚み方向に所定の可撓性を有して移動できるようになっている。
【0025】
前記押圧部材取付部材50の開口51には、硬度の高い熱可塑性合成樹脂を成形してなる押圧部材55が機械的に取り付けられる。図7,図8は開口51に押圧部材55を取り付ける方法を示す要部拡大斜視図である。図7に示すように押圧部材取付部材50の開口51は円形の内周辺から放射状に外方向に向かって複数(四つ)の直線状の係止溝511を突出して設け、これによって各係止溝511の間に舌片形状を有する内側に向かって突出する部分を厚み方向に弾性を持って撓む係止面513として構成している。一方押圧部材55は柱状(円柱状)の押圧部材本体部553と、押圧部材本体部553の外周の中央部分から放射状に突出する複数本(四本)の位置決め部555と、各隣り合う位置決め部555の間の部分であって位置決め部555よりも上方と下方に交互に(それぞれ180°対向する位置に)設けられる係止部557とを具備して構成されている。押圧部材55の上下面はスイッチ押圧面551,551となっている。押圧部材本体部553は前記開口51の内径よりも少し小さい外径寸法に形成され、また各位置決め部555は前記開口51の各係止溝511に挿入される寸法形状に形成されている。そして押圧部材取付部材50の開口51にその下側から(もちろんその上側からでも良い)押圧部材55を押し込めば、押圧部材本体部553が開口51内に挿入されていくが、その際上側の二本の係止部557が係止面513を上方向に撓ませ、ついには図8に示すように、撓んでいた係止面513が上側の二本の係止部557の下面側に入り込み、同時にこのとき各位置決め部555は各係止溝511に挿入されて位置決めされる。押圧部材55は上側二本の係止部557の下面が係止面513の上面に当接し、下側二本の係止部557の上面が係止面513の下面に当接し、これによって押圧部材55は開口51の部分に機械的に取り付けられる。
【0026】
図4に戻ってキートップ40は合成樹脂を略円板状に成形して構成されており、その外周からはリング状で薄板状のつば部43が突出している。ここで図7はキートップ40をその下面側から見た斜視図である。図4及び図7に示すように、キートップ40の下面には、前記基板部31,33の各係止部313,333に対向する位置に設けた複数本(四本)の小突起状の固定部401と、前記押圧部材取付部材50の各係止部53に対向する位置に設けた複数本(四本)の小突起状の固定係止部403と、つば部43の部分に設けた一つの貫通孔からなるガイド孔405とがある。ガイド孔405は、前記基台10のガイド突起15を挿入できる寸法形状に形成されている。四つの固定係止部403の内の180°対向する二つの固定係止部403の根元部分は矩形状に下方向に突出する台部407となっており、その上面側(つば部43の上面側)には前記基台10に設けた弾性係合部材13の爪部131を挿入して係止・ガイドする凹状の係合部409が設けられている。なお図4に示す25,35は、弾性金属板(弾性合成樹脂板でも良い)をドーム形状に形成してなる反転板である。
【0027】
二段押圧スイッチ1−3の組み立て方法を説明する。まず予め前述のように押圧部材55を押圧部材取付部材50の開口51に取り付け、また基板部23の接点パターン231を形成した部分の裏面側と、基板部31の接点パターン311を形成した部分の裏面側とにそれぞれ反転板25,35を貼り付けておく。
【0028】
そしてまず連結部105の部分を折り曲げることで基板部31の上に基板部33を載置し、次に基板部33の上にキートップ40を載置し、その際キートップ40下面の各固定部401を両基板部31,33の重ね合わされた各係止部313,333に挿入し、同時にキートップ40下面の各固定係止部403を両基板部31,33の重ね合わされた各挿通部315,335に挿通する。そして前記各固定部401の先端を基板部31の下面側で熱カシメして固定し、これによってキートップ40の下面に両基板部31,33からなる第二の基板30を固定する。両基板部31,33の接点パターン311,331の周囲には図示しない絶縁層(スペーサ層)が印刷されているので、両接点パターン311,331は絶縁層の厚み分の隙間を介して対向し、反転板35と共に第二のスイッチ37(図3参照)を構成する。
【0029】
次に連結部107の部分を折り曲げることでキートップ40に固定した基板部31の下面側に押圧部材取付部材50を重ね合わせ、その際キートップ40下面の各固定係止部403を押圧部材取付部材50の各係止部53に挿入し、その先端を押圧部材取付部材50の下面で熱カシメすることで、押圧部材55の周囲に位置する押圧部材取付部材50を第二の基板30上に固定する。これによって押圧部材取付部材50に取り付けている押圧部材55の一方のスイッチ押圧面551が反転板35の中央に当接する。
【0030】
次に連結部101の部分を折り返すことで基板部23上に基板部21を載置し、さらに連結部103の部分を折り返すことで押圧部材取付部材50の下側にこれら基板部21,23を配置し、これら積層した基板部21,23を基板部21を下側とした状態で基台10上に載置する。このとき両基板部21,23の重ね合わされた各係止部213,233に基台10の各第一基板固定部11が挿入され、その先端を基板部23上で熱カシメして固定し、これによって基台10上に両基板部21,23からなる第一の基板20を固定する。両基板部21,23の接点パターン211,231の周囲には図示しない絶縁層(スペーサ層)が印刷されているので、両接点パターン211,231は絶縁層の厚み分の隙間を介して対向し、反転板25と共に第一のスイッチ27(図3参照)を構成する。
【0031】
そしてキートップ40の一対の係合部409に基台10に設けた一対の弾性係合部材13の爪部131をスナップインによって係合してキートップ40の上方向への抜けを防止すると同時にキートップ40の上下動をガイドし、同時に基台10のガイド突起15をキートップ40のガイド孔405に挿入すれば、二段押圧スイッチ1−3が完成する。
【0032】
二段押圧スイッチ1−3の動作・作用は前記第一,第二実施形態の場合と同じであるが、この実施形態の場合はさらに、基台10にキートップ40の上下動方向に向けて突出するガイド突起15を形成すると共に、キートップ40に前記ガイド突起15を上下動自在に挿入するガイド孔405を形成することにより、キートップ40がその上下動に垂直な面方向に移動することを規制する面方向移動規制手段を構成している。そしてこのガイド突起15とガイド孔405の間に生じる面方向の遊び(即ちガイド孔405に挿入したガイド突起15が、ガイド孔405との間に生じている隙間によって面方向に移動する寸法、いわゆるガタ)を、前記弾性係合部材13と係合部409の間に生じる面方向の遊び(即ち係合部409に係合〔スナップイン係合〕した弾性係合部材13が、係合部409との間に生じている隙間によって面方向に移動する寸法、いわゆるガタ)よりも小さくなるように、これら各部材の寸法を形成している。即ち弾性係合部材13と係合部409とによるガイド保持機構は、基台10に対してキートップ40を上下動自在にガイドすると同時に基台10からキートップ40が外れないように保持する機能を有するが、この実施形態の場合、弾性係合部材13が弾性を有しているため、キートップ40に強い力が加わると、基台10からキートップ40が外れてしまう恐れがある。そこでこの実施形態ではこのガイド保持機構の他に、ガイド突起15とガイド孔405による面方向移動規制手段を設け、これによってキートップ40の面方向への移動を別途確実に規制し、前記弾性係合部材13の係合部409からの脱落を確実に防止したのである。
【0033】
またこの実施形態の場合、押圧部材取付部材50の周囲はキートップ40の下面に固定されるが、中央に取り付けた押圧部材55はその周囲のヒンジ部54によって押圧部材取付部材50の厚み方向に向けて所定の可撓性を有しているので、無理なく押圧部材55を反転板35上に設置できて好適である。
【0034】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えばガイド保持機構を構成する弾性係合部材13と係合部409の数・形状・構造、及び面方向移動規制手段を構成するガイド突起15とガイド孔405の数・形状・構造には種々の変更が可能である。また上記実施形態では弾性係合部材13を基台10に設け、係合部409をキートップ40に設けたが、その逆に弾性係合部材13をキートップ40に設け、係合部409を基台10に設けてもよい。また上記実施形態ではガイド突起15を基台10に設け、ガイド孔405をキートップ40に設けたが、その逆にガイド突起15をキートップ40に設け、ガイド孔405を基台10に設けてもよい。また基台10や第一,第二の基板20,30やキートップ40の外形形状に種々の変形が可能であることは言うまでもない。また押圧部材55の開口51への機械的固定構造も他の種々の構造への変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】二段押圧スイッチ1−1の基本的構成を示す概略構成図である。
【図2】二段押圧スイッチ1−1の動作説明図である。
【図3】二段押圧スイッチ1−2の基本的構成を示す概略構成図である。
【図4】二段押圧スイッチ1−3の分解斜視図である。
【図5】開口51に押圧部材55を取り付ける方法を示す要部拡大斜視図である。
【図6】開口51に押圧部材55を取り付ける方法を示す要部拡大斜視図である。
【図7】キートップ40をその下面側から見た斜視図である。
【図8】従来の二段押圧スイッチ200を示す概略側断面図である。
【図9】二段押圧スイッチ200の問題点説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1−1〜1−3 二段押圧スイッチ
10 基台
13 弾性係合部材(ガイド保持機構)
133 係合突起(ガイド保持機構)
15 ガイド突起(面方向移動規制手段)
20 第一の基板
25 反転板
27 第一のスイッチ
30 第二の基板
35 反転板
37 第二のスイッチ
40 キートップ
405 ガイド孔(面方向移動規制手段)
409 係合部(ガイド保持機構)
50 押圧部材取付部材
51 開口
55 押圧部材
551 スイッチ押圧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台上に設置され第一のスイッチを設けてなる第一の基板と、前記第一の基板上に設置されると共に合成樹脂フイルムに押圧部材を取り付けてなる押圧部材取付部材と、前記押圧部材取付部材上に設置され第二のスイッチを設けてなる第二の基板と、前記第二の基板上に取り付けられるキートップと、前記基台とキートップ間に設置されると共に基台に対してキートップを上下動自在にガイドしながら保持するガイド保持機構と、を具備して構成されていることを特徴とする二段押圧スイッチ。
【請求項2】
前記ガイド保持機構は、前記基台又はキートップの何れか一方に弾性を有する係合突起を設けて構成される弾性係合部材を設けると共に、基台又はキートップの何れか他方に前記弾性係合突起を係合する係合部を設け、前記弾性係合突起を弾性変形させながら前記係合部にスナップイン係合することで、キートップを上下動自在にガイドすると同時にキートップの基台から離れる方向への抜けを防止する機構で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の二段押圧スイッチ。
【請求項3】
前記基台又はキートップの何れか一方にキートップの上下動方向に向けて突出するガイド突起を形成すると共に、前記基台又はキートップの何れか他方に前記ガイド突起を上下動自在に挿入するガイド孔を形成することにより、キートップがその上下動に垂直な面方向に移動することを規制する面方向移動規制手段を構成し、
前記面方向移動規制手段における前記ガイド突起と前記ガイド孔間に生じる面方向の遊びを、前記弾性係合部材と係合部間に生じる面方向の遊びよりも小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の二段押圧スイッチ。
【請求項4】
前記押圧部材の周囲に位置する押圧部材取付部材を第一,第二の基板の内の何れか一方の基板上に固定したことを特徴とする請求項1に記載の二段押圧スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−140047(P2006−140047A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329080(P2004−329080)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】