説明

二流体ノズル

【課題】二流体ノズルから広角扇状の噴霧パターンで噴射する。
【解決手段】液体流路の先端と気体流路の先端とが仕切壁を挟んで長さ方向の両側に対向して設けられ、前記気体流路の先端側の外周壁に周方向にスリット状に切り込んた気体噴射口が設けられる一方、前記液体流路の先端側に設けられる液体噴射口は前記気体噴射口から噴射される気体と該液体噴射口から噴射される液体とが外部衝突混合するように設けられ、かつ、該液体噴射口から扇状に噴射される液体噴射幅に対して前記気体噴射口から噴射される気体噴射幅が広い設定とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二流体ノズルに関し、詳しくは、液体を気体と外部で衝突混合して噴霧する二流体ノズルにおいて、液体を空気と均一に混合して広い角度範囲で扇形噴霧できるようにすると共に目詰まりの発生を低減できるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
食品製造工程において、食品の表面に味付け液を塗布するためノズルから味付け液を噴射して塗布する場合がある。このような味付け液は充填剤が配合されていたり、粘性の高い油を液体として用いる場合があるため、噴霧範囲を広角とすることは比較的困難である。よって、噴射する液体に圧搾空気を混合して二流体とすると噴霧範囲を広げることができるため、二流体ノズルを用いることが好ましい。
さらに、気体中に液体を均等に混合するには、ノズル内部で液体と気体とを混合するより、外部に噴射した液体と噴射した気体とを外部混合する方が、気体中に液体を均等に混合することができる。
上記した観点から、味付け液を食品に塗布するためのノズルとして外部混合型の二流体ノズルが好適に用いられる。
【0003】
前記外部混合型の二流体ノズルとして、特開平8−141448号公報が提供されている。該ノズルは図11(A)に示す複雑な構造で、概略的には図11(B)に示す構造とされている。即ち、軸線に沿った中心に液体流路100、その外周に気体流路101を設けた多重管構造とし、液体Qの外周に気体Aを噴射して外部混合し、さらに、気体流路101を分岐させて噴射側外方に突出させた外周気体流路102を設け、該外周気体流路102の先端側に対向して気体噴射口102aを設け、外部で衝突混合させている。該ノズルでは、液体流路100から噴射する液体の外周の気体流路101から気体を噴射して外部混合した後に、気体噴射口102aから気体を噴射して衝突させることで、噴霧パターンを扇状に変えて、噴霧角度を広角としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−141448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記図11(A)に示す外部衝突混合型の二流体ノズルでは、非常に複雑な構造で部品点数が多いため、ノズルは大型化すると共にコスト高になる。さらに、噴霧角度が比較的狭い等の問題がある。
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、簡単な構造で小型化およびコスト低下が図れると共に、気体中に液体が均一に分布した噴霧を広角な扇状の噴霧パターンで噴霧できる外部混合型の二流体ノズルを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、液体流路の先端と気体流路の先端とが仕切壁を挟んで長さ方向の両側に対向して設けられ、前記気体流路の先端側の外周壁に周方向にスリット状に切り込んだ気体噴射口が設けられる一方、前記液体流路の先端側に設けられる液体噴射口は前記気体噴射口から噴射される気体と該液体噴射口から噴射される液体とが外部衝突混合するように設けられ、かつ、該液体噴射口から扇状に噴射される液体噴射幅に対して前記気体噴射口から噴射される気体噴射幅が広い設定とされていることを特徴とする外部混合型の二流体ノズルを提供している。
【0008】
従来の外部混合型二流体ノズルでは、前記のように、液体流路と気体流路とを内外層に平行に設けた多重管形状とされ、かつ、ノズルの先端側の噴射部では、液体噴射口の外周に気体噴射口を設け、噴射方向を同一方向として噴射して液体と気体を外部混合しているため混合効率が悪い問題、あるいは、噴射部分を対向するようにノズルを屈折させているため構造が複雑になる等の問題があった。
これに対して本発明のノズルは気体流路と液体流路とを内外層に平行に設けず、仕切壁を挟んで気体流路と液体流路を設け、仕切壁を挟む両側に気体噴射口と液体噴射口とを近接して設け、噴射される気体と液体とを外部衝突混合させる構成としているため、ノズルの構造を簡単にでき、そのため、小型化およびコスト低下を図ることができる。
特に、金属加工または樹脂成形で一部品として形成できるため、製造コストを低減できる利点がある。
具体的には筒体の中間部を前記仕切壁で仕切り、其の両側を気体流路と液体流路としている。
【0009】
また、気体噴射口は周方向にスリット状で延在する形状としているため、気体を広角の扇状噴霧パターンで噴射することができる。
一方、液体噴射口から噴射される液体噴射幅を気体噴射口から噴射される気体噴射幅より小さくし、同一方向に噴射されて衝突させる気体と液体とは、液体が必ず気体の噴射範囲内に噴射されることより、液滴を気体で微細化できる。さらに、広角の気体の噴霧範囲を二流体の噴霧範囲として維持でき、二流体の噴霧範囲を広げることができる。
【0010】
1つの前記気体噴射口は45度〜180度の範囲にわたって設けられ、かつ、該気体噴射口は周方向に1つ、前後一対、または90度間隔をあけて前後左右に設けられ、
前記各1つの気体噴射口に対して各1つの前記液体噴射口が周方向の同一側に設けられ、前記気体噴射口から扇状に噴射される気体の噴射方向に対して、前記液体噴射口から噴射される液体が0〜90度の角度で衝突される設定とされていることが好ましい。
【0011】
前記のように、一方向にのみ二流体を噴射するノズル、対向する2方向に二流体を噴射するノズル、全周に二流体を噴射するノズルのいずれの形態としても、ノズルの形状は複雑にならず、小型化および低コスト化を維持することができる。
【0012】
本発明のノズルは、具体的には、例えば、前記仕切壁は軸線方向に延在する厚肉とされ、前記気体噴射口が設けられている外周側と同一側に円弧状切欠が設けられ、
前記円弧状切欠は、前記気体流路との境界面に近接した外面から内方に傾斜して切り欠かれた傾斜切欠面と、該傾斜切欠面の奥端に連続して前記液体流路との境界面側に向けて軸線方向に切り欠かれた軸方向切欠面と、該軸方向切欠面の先端に連続して外周面に向けて切り欠かれた液体流路側径方向切欠面を連続して備えた形状とされ、
該液体噴射口から前記円弧状切欠内部に向けて噴射される液体は前記傾斜切欠面に衝突した後に該傾斜切欠面に誘導されて扇状に拡がって外部に噴霧され、前記気体噴射口から噴射される気体と外部衝突混合される構成とすることが好ましい。
【0013】
前記円弧状切欠は前記仕切壁の外周面に45度〜180度の範囲で設けられ、該円弧状切欠の液体流路側径方向切欠面に開口する前記液体噴射口は円形とされ、その噴射方向は前記気体噴射口の噴射方向と直交方向とされていることが好ましい。
噴射口は楕円形状とするより円形にする方が目詰まりが発生しにくい。よって、液体に充填物が配合されたり、粘性を有する油が配合されている場合には、目詰まりが発生しやすくなるが、液体噴射口を円形とすることで目詰まり発生の防止、低減を図ることができる。
【0014】
本発明ノズルは、具体的な構成は、例えば、仕切壁に円弧状切欠を設けずに、仕切壁は薄肉の平板状とし、該仕切壁に近接した前記液体流路の外周壁に、前記気体噴射口と同一側に、周方向のスリット状とした前記液体噴射口が設けられ、該液体噴射口の周方向長さは前記気体噴射口の周方向長さより小さく設定されている構成としてもよい。
【0015】
前記気体噴射口を設けた外面より液体噴射口を設けた外面を外方へ突出させ、液体噴射口に前記気体噴射口から噴射される圧搾空気の負圧を負荷させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
前記した本発明の外部混合型の二流体ノズルは、気体流路と液体流路とを仕切壁を挟んで両側に設け、該仕切壁に近接した両側の同一側の位置に気体噴射口と液体噴射口とを噴射される液体と気体とが衝突するように設けた簡単な構造としているため、小型化および低コスト化を図ることができる。
かつ、気体噴射口は周方向にスリット状に延在する形状としているため、気体を広角な扇状の噴霧パターンで噴射できる。この噴射される気体より液体を狭い角度で噴射して外部衝突させるため、噴射される液滴を気体中で確実に微細して均一に混合でき、かつ、広角噴霧の気体中に液滴を混合させているため、二流体を広角に噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一実施形態のノズルの軸線方向の断面図である。
【図2】前記ノズルの要部を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は背面図である。
【図3】(A)は前記ノズルの気体噴射口の角度範囲を示す断面図、(B)は液体噴射口を示す断面図である。
【図4】図1の要部拡大断面図である。
【図5】第一実施形態の第一変形例の断面図である。
【図6】第一実施形態の第二変形例を示す断面図である。
【図7】第二実施形態のノズルの断面図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】(A)〜(C)は第二実施形態の第一〜第三変形例の断面図である。
【図10】第三実施形態の断面図である。
【図11】(A)(B)は従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4に第一実施形態のノズルを示す。
【0019】
ノズル1は金属製または樹脂製の略筒体の一部品からなる。筒体10の長さ方向の一方の側部10aの中空部に気体流路2、他方の側部10bの中空部に液体流路3を設け、気体流路2と液体流路3の間に仕切壁4を介在させている。
【0020】
前記気体流路2の外端面を大径の気体流入口2aとし、気体供給管(図示せず)と連結し、ブロアまたはコンプレッサーから圧搾空気を導入している。気体流路2には仕切壁4側に中径部2bを設けている。該中径部2bの先端側を仕切壁4へ若干突出させ、該突出させた中径部2bの外周壁部に略130度の範囲でスリットに切り込んだ気体噴射口5を設けている。該130度の範囲にわたるスリット状の気体噴射口5から圧搾空気Aを扇状の噴霧パターンで噴射させるようにしている。
【0021】
一方、筒体10の他方の側部10bに設ける前記液体流路3の外端面を大径の液体流入口3aとし、液体供給管(図示せず)と連結している。該液体供給管には充填剤を配合した液体または油を主成分とする粘度を有する液体をポンプを介して所要圧で供給している。
該液体流路3は前記仕切壁4側が平坦な先端閉鎖面3bとなり、該先端閉鎖面3bの半側部に円錐形状とした縮径流路3cを連通して設け、該縮径流路3cの先端に断面円形の小径流路3dを前記仕切壁4内に突出させて設けている。
【0022】
仕切壁4には、前記気体噴射口5を設けた側と同一側の半周部分に外周面を切り欠いて円弧状切欠6を設けている。該円弧状切欠6は前記気体噴射口5に隣接する位置の外周面から内方に向けて円弧状に傾斜させた傾斜切欠面6aを設けている。この傾斜切欠面6aの奥端からノズル1の中心軸線L方向に沿って液体流路3側へと切り込んだ軸方向切欠面6bが連続し、該軸方向切欠面6bの先端から外周面へと径方向に延在する円弧形状の径方向切欠面6cが連続した形状としている。
【0023】
前記径方向切欠面6cの奥端で軸方向切欠面6bと接する位置に前記液体流路3の小径流路3dの先端開口である液体噴射口8を開口している。
前記液体噴射口8はノズル1の中心軸線Lに対して平行方向であり、該液体噴射口8と対向位置の前記傾斜切欠面6aを液体噴射口8に対して105゜の角度で傾斜させている。液体噴射口8から噴射する液体Qは対向する傾斜切欠面6aに衝突し、衝突した後に傾斜切欠面6aに沿って外部へと誘導させることで、扇状の噴霧パターンとなるように設定している。
かつ、前記気体噴射口5から噴射される圧搾空気Aは軸線L方向に直交方向に噴射されるため、前記傾斜切欠面6aに沿って噴射される液体Qの噴射方向と15度で交差させ、扇形噴霧パターンの圧搾空気Aと液体Qとが確実に外部衝突混合されるようにしている。
【0024】
前記形状からなる外部混合型二流体ノズルからなる前記ノズル1は、図4に示すように、液体噴射口8から液体Qは傾斜切欠面6aに向けて噴射され、該傾斜切欠面6aに衝突し、衝突した液体は傾斜切欠面6aに沿って外方に誘導され、扇状の噴霧パターンで噴射される。この傾斜切欠面6aの外方位置に前記気体噴射口5から圧搾空気Aが扇状の噴霧パターンで噴射されている。
前記扇状の噴霧パターンで噴射される液体Qと、扇状の噴霧パターンで噴射される圧搾空気Aとが近接した位置から噴霧され、かつ、15度の角度で交差しているため、外部衝突混合する。このように外部衝突混合することで、扇状に拡がっている圧搾空気A中に液体Qが微細化されて均質に混合された状態で拡がり、混合二流体が扇形の拡がりを維持して噴霧されることとなる。
【0025】
前記のように、本発明のノズル1では、広角な扇状噴霧は、気体噴射口5を約130度のスリット状の気体噴射口とすることで達成している。一方、小径な円形の液体噴射口8から液体Qを噴射することで、液体Qの噴射圧を高めて広範囲に噴射させ、かつ、対向位置の円弧状切欠6に衝突させ、液体Qを円弧状切欠6で扇状の噴霧パターンとして、前記圧搾空気と効率よく外部衝突混合させているため、液滴が均等に分散混合した二流体を広範囲に噴霧させることができる。
【0026】
特に、ノズル1は気体流路2と液体流路とを対向位置に設け、かつ、気体流路2および液体流路3とも簡単な形状としているため、ノズル全体をコンパクトにできると共に安価に製造でき、さらに、メンテナンスを容易にできる。さらに、液体流路3は簡単な形状であると共に、本実施形態では、小径流路3dおよび液体噴射口8を断面円形としていることにより目詰まりの発生を低減できる。
【0027】
図5に第一実施形態の第一変形例のノズル1−Aを示す。
該第一変形例では、円筒形状の筒体10の気体流路2を囲む一方側部10aの外周面に気体噴射口5A、5Bを対向位置に設け、かつ、仕切壁4の外周面に一対の円弧状切欠6A、6Bを対向して設け、対向する2方向に二流体混合噴霧を噴射している。
前記一対の気体噴射口5A、5Bは例えば、それぞれ45度以上160度以下の範囲とすることが好ましい。他の構成は第一実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
図6に第一実施形態の第二変形例のノズル1−Bを示す。
該第二変形例では、全周方向に二流体を噴霧している。気体流路2を囲む筒体10に略90度の範囲でスリット状の気体噴射口5A、5Bを同一周上に前後方向に対向して設けると共に、軸線方向に間隔をあけた周上に左右方向に対向して略90度の範囲でスリット状の気体噴射口5C、5Dを設けている。
仕切壁4の外周面から切り込む円弧状切欠6は全周に沿って設け、液体流路3側の径方向切欠面6cの奥端に90度間隔をあけて液体噴射口8A〜8Dを設けている。
【0029】
前記構成としたノズル1−Bでは、液体噴射口8A〜8Dからそれぞれ噴射する液体を傾斜切欠面6aに衝突させ、前記気体噴射口5A〜5Dから全周に噴射される圧搾空気Aと外部衝突混合し、全周方向に二流体を噴射している。
他の構成および作用は第一実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図7および図8に第二実施形態のノズル1ーCを示す。
第二実施形態のノズル1ーCは仕切壁4は前記円弧状切欠を設けた円柱形状とせず、仕切壁4を平板状の薄肉の仕切壁としている。該仕切壁4を挟む気体流路2に第一実施形態と同様に45度以上180度以下の周方向にわたるスリット状の気体噴射口5を設けると共に、液体流路3の周壁に45度以上180度未満の角度にわたるスリット状の液体噴射口15を設けている。該液体噴射口15は気体噴射口5と薄い仕切壁4を挟んだ近接した位置に設けている。
【0031】
前記液体噴射口15はノズルの中心軸線Lに対して直交方向とし、よって、ノズル中心軸線Lと直交方向の気体噴射口5とは平行になり、交差角度は0となる。しかしながら、気体噴射口5から噴射される圧搾空気Aと液体噴射口15から噴射される液体Qとは厚さ方向にも拡がりを持つため、噴射される気体と液体とは外部衝突混合され、二流体として噴射される。かつ、気体噴射口5の周方向角度を液体噴射口15よりも広くしているため、広角度で拡がる圧搾空気中に液体が分散混合し、二流体の広角噴霧が達成できる。
【0032】
図9(A)(B)(C)に第二実施形態の第一〜第三変形例のノズル1−D〜1−Fを示す。
図9(A)の第一変形例のノズル1−Dでは筒体10は軸線Lに平行な筒体としているが、液体噴射口15を傾斜させて、気体噴射口5と液体噴射口15との噴射方向とを交差するように形成してもよい。
図9(B)の第二変形例のノズル1−Eでは筒体10を仕切壁4を挟んで対称な台形筒体とし、外周壁に設ける気体噴射口5と液体噴射口15の両方の噴射方向を外部で交わるように傾斜させている。
図9(C)の第三変形例のノズル1−Fでは前後一対の気体噴射口5A、5Bを設けると共に、前後一対の液体噴射口15A、15Bを設け、対向する2方向に二流体混合噴霧を噴射できるようにしている。なお、90度間隔をあけた4方向に気体噴射口と液体噴射口を設け、全周に二流体噴霧を噴射できるようにしてもよい。
【0033】
図10に第三実施形態のノズル1−Gを示す。
第三実施形態のノズル1−Gは第二実施形態のノズル1−Cと同様に、液体噴射口15を筒体10の外周壁にスリット状で周方向に延在する形状としている。
液体流路3を囲む筒体10の側部10bの外周壁は厚肉とし、気体流路2を囲む側部10aの肉厚は薄くし、仕切壁4の外周面は傾斜面10dとしている。
【0034】
前記第二実施形態と同様に、薄肉の外周壁の側部10aに180度の範囲にわたるスリット状の気体噴射口5を設けるとともに、厚肉の外周壁の側部10bにも180度未満の範囲(好適には120〜160度の範囲)にわたるスリット状の液体噴射口15を設けている。前記気体噴射口5の位置は液体噴射口15の位置よりも内径側に位置し、該気体噴射口5から噴射される圧搾空気Aは液体噴射口15の開口外面にも流れ、液体噴射口15に負圧を発生させるようにしている。
【0035】
前記構成からなるノズル1−Gでは、液体噴射口15に負圧が発生するため、液体Qの噴射力を増強でき、かつ、圧搾空気A中に液体Qが噴射されるため、液体Qの液滴は全て確実に微細化でき、液体と気体とを均一に混合することができる。かつ、圧搾空気を180度のスリット状の気体噴射口5から噴射して広角噴霧としているため、二流体も広角の噴霧範囲を維持することができる。
【0036】
なお、第三実施形態のノズルにおいても、前記第二実施形態の図9(C)に示す変形例と同様に、2方向あるいは全周に向けて二流体を噴射できるようにしてもよい。
【0037】
前記第二実施形態及び第三実施形態のノズルは、第一実施形態のノズルのように仕切壁に円弧状切欠を設けておらず、仕切壁4は薄い平板状とし、該仕切壁に接する気体流路2と液体流路3の外周壁にスリット状の気体噴射口5と液体噴射口15とを隣接して設けているだけである。よって、ノズルの形状がより簡単となり、ノズルの小型化を図れると共に製造コストの低下を図ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ノズル
2 気体流路
3 液体流路
4 仕切壁
6 円弧状切欠
5 気体噴射口
8、15 液体噴射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流路の先端と気体流路の先端とが仕切壁を挟んで長さ方向の両側に対向して設けられ、前記気体流路の先端側の外周壁に周方向にスリット状に切り込んだ気体噴射口が設けられる一方、前記液体流路の先端側に設けられる液体噴射口は前記気体噴射口から噴射される気体と該液体噴射口から噴射される液体とが外部衝突混合するように設けられ、かつ、該液体噴射口から扇状に噴射される液体噴射幅に対して前記気体噴射口から噴射される気体噴射幅が広い設定とされていることを特徴とする外部混合型の二流体ノズル。
【請求項2】
1つの前記気体噴射口は45度〜180度の範囲にわたって設けられ、該気体噴射口は周方向に1つ、前後一対、または90度間隔をあけて前後左右に設けられ、
前記各1つの気体噴射口に対して各1つの前記液体噴射口が周方向の同一側に設けられ、前記気体噴射口から扇状に噴射される気体の噴射方向に対して、前記液体噴射口から噴射される液体が0〜90度の角度で衝突される設定とされている請求項1に記載の外部混合型の二流体ノズル。
【請求項3】
前記仕切壁は軸線方向に延在する厚肉とされ、前記気体噴射口が設けられている外周側と同一側に円弧状切欠が設けられ、
前記円弧状切欠は、前記気体流路との境界面に近接した外面から内方に傾斜して切り欠かれた傾斜切欠面と、該傾斜切欠面の奥端に連続して前記液体流路との境界面側に向けて軸線方向に切り欠かれた軸方向切欠面と、該軸方向切欠面の先端に連続して外周面に向けて切り欠かれた液体流路側径方向切欠面を連続して備えた形状とされ、
該液体噴射口から前記円弧状切欠内部に向けて噴射される液体は前記傾斜切欠面に衝突した後に該傾斜切欠面に誘導されて扇状に拡がって外部に噴霧され、前記気体噴射口から噴射される気体と外部衝突混合される構成としている請求項1または請求項2に記載の外部混合型の二流体ノズル。
【請求項4】
前記円弧状切欠は前記仕切壁の外周面に45度〜180度の範囲で設けられ、該円弧状切欠の液体流路側径方向切欠面に開口する前記液体噴射口は円形とされ、その噴射方向は前記気体噴射口の噴射方向と直交方向とされている請求項3に記載の外部混合型の二流体ノズル。
【請求項5】
前記仕切壁は薄肉の平板状とし、該仕切壁に近接した前記液体流路の外周壁に、前記気体噴射口と同一側に、周方向のスリット状とした前記液体噴射口が設けられ、該液体噴射口の周方向長さは前記気体噴射口の周方向長さより小さく設定されている請求項1または請求項2に記載の外部混合型の二流体ノズル。
【請求項6】
前記気体噴射口を設けた外面より液体噴射口を設けた外面を外方へ突出させ、液体噴射口に前記気体噴射口から噴射される圧搾空気の負圧を負荷させている請求項5に記載の外部混合型の二流体ノズル。
【請求項7】
一部品からなる請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の外部混合型の二流体ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−224484(P2011−224484A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97605(P2010−97605)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(390002118)株式会社いけうち (26)
【Fターム(参考)】