説明

二相型増白用歯みがき剤

実質的に無水のキャリヤー中に結合過酸化物を含む第1相、ならびに口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制系を含む第2相を含む、二相型増白用口腔ケア組成物。歯の表面を増白する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
[0001] 多くの人が”輝く”笑顔と白い歯を望み、艶がなく着色のある歯は美容上魅力がないと考えている。歯の材質は吸収性であるため、予防処置または治療処置をしなければ残念ながら歯の着色はほとんど避けられない。煙草製品の喫煙そのほか口内での使用、ある種の食品や飲料(特にコーヒー、茶および赤ワイン)を食べる、噛むまたは飲むなどの日常活動が、歯の表面に好ましくない着色を生じる原因となる。着色は微生物活動によっても起きる可能性があり、これには歯垢に関連するものが含まれる。これらの物質中の色素原または着色原因物質は外皮層の一部になり、エナメル層に浸透する可能性がある。規則的な歯みがきおよびフロス使用を行ってすら、長年の色素原の蓄積が顕著に歯を変色させる可能性がある。
【0002】
[0002] 当技術分野で、歯の変色を予防または治療するための多様な組成物が記載されている。特に、着色に対処し、艶を与え、または自然のエナメル色を回復させるために、漂白剤を含有する多様な製品が業務用および消費者用として市販されている。歯の増白(whitening)に現在最も一般的に用いられている物質は過酸化物である。そのような過酸化物には、過酸化水素、過酸化カルバミド(過酸化尿素)、過ホウ酸ナトリウムおよび過炭酸ナトリウムが含まれる。これらの過酸化物が適切に歯と接触すれば、それらは通常は大部分の着色を酸化して歯をより白くするであろう。
【0003】
[0003] 家庭での現在の増白処理法には、研摩剤入り練り歯みがき、酸化物を生成する練り歯みがき、歯科用トレーと共に用いる増白ゲル、および増白ストリップが含まれる。そのような方法の有効性は、着色の種類や強さ、漂白剤の種類、歯に対する漂白剤の接触時間、組成物中の利用可能な漂白有効物質の量、漂白剤が歯のエナメル質に浸透する能力、および消費者のコンプライアンスを含めた、さまざまな要因に依存する。
【0004】
[0004] 増強された増白効果および卓越した洗浄能をもつ口腔ケア組成物を提供することが望ましいであろう。
発明の概要
[0005] 本発明は、二相型増白用口腔ケア組成物を提供する。本発明組成物は、実質的に無水の口腔用として許容できるキャリヤー中に増白剤を含有する第1相、ならびに口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制薬を含有する第2相を含む。第1相と第2相は、投与されるまで互いに分離した状態に維持される。
【0005】
[0006] 本発明はさらに、本発明組成物を調製し、組成物の第1相と第2相を接触させてアマルガムを形成し;このアマルガムを歯の表面に付与することを含む、歯の表面を増白する方法を提供する。
【0006】
発明の詳細な記述
[0007] 本発明は、実質的に無水のキャリヤー中に増白剤を含む第1相;ならびに口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制薬を含む第2相を含み;第1相と第2相は歯の表面に付与されるまで互いに分離した状態に維持される、口腔ケア組成物を提供する。第1相の増白剤を第2相中の研摩剤および歯石抑制系から分離しておくことによって、貯蔵安定性があり、有効性の高い増白用および洗浄用の口腔ケア製品を配送することができる。
【0007】
[0008] 第1相は、増白剤および実質的に無水のキャリヤーを含む。第1相の水の全濃度は、遊離水およびいずれかの成分に含有されるすべての水を含めて、水が約10重量%未満である。これは、増白剤の安定化に寄与する。
【0008】
[0009] 好ましくは、本発明に使用するための増白剤には、実質的に無水の酸素発生化合物である固体増白剤および結合増白剤が含まれる。本発明に有用な固体増白剤には、過酸化物、亜塩素酸金属塩、ペルスルフェートおよびその組合わせが含まれる。過酸化物相の例には、ヒドロペルオキシド、たとえば過酸化水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の過酸化物、有機ペルオキシ化合物、ペルオキシ酸(peroxy acids)、その医薬的に許容できる塩類、ならびにその混合物が含まれる。他の例には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の過酸化物、有機ペルオキシ化合物、ペルオキシ酸、およびそれらの塩類、ならびに無機過酸塩が含まれる。好ましい増白剤は、過ホウ酸ナトリウム、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、およびその混合物である。適切な亜塩素酸金属塩には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウムが含まれる。増白剤は、好ましくは結合したもの、結合していないもの、および/または固体であってよい。たとえば、増白剤はPVP(ポリ(N-ビニルピロリドン))などのポリマーに結合していてもよい。適切なPVP複合体は、たとえばU.S.P. No. 3,376,110、3,480,557および5,122,370に開示されている。
【0009】
[0010] 第1相は、場合により少なくとも1種類の口腔用として許容できるフッ化物イオン源を含むことができる。適切なフッ化物イオン源には、フッ化物、モノフルオロリン酸およびフルオロケイ酸の塩類が含まれる。口腔用として許容できるそのような塩類をいずれも使用でき、限定ではないが、これにはアルカリ金属(たとえばカリウム、ナトリウム)塩、アンモニウム塩、スズ(II)塩およびインジウム塩などが含まれる。水溶性のフッ化物放出塩が一般に用いられる。オラフルル(olaflur)(N'-オクタデシルトリメチレンジアミン-N,N,N'-トリス(2-エタノール)-ジヒドロフルオリド)を含めたアミンフッ化物も使用できる。場合により1種類以上のフッ化物放出塩が、合計約100〜約20,000 ppm、約200〜約5,000 ppm、または約500〜約2,500 ppmのフッ化物イオンを供給する量で存在することができる。フッ化ナトリウムが存在する唯一のフッ化物放出塩である場合、それは好ましくは約0.01〜約5%、約0.05〜約1%、または約0.1〜約0.5%の量で存在する。
【0010】
[0011] 第1相のキャリヤーは、含水率の低い口腔用として許容できるキャリヤーである。本明細書中で用いる”口腔用として許容できるキャリヤー”は、本発明組成物中に使用するのに安全な物質または物質の組合わせであって、妥当な損/益比に相応して、有意の有効性を維持しながら、それにより増白剤、研摩剤および歯石抑制薬(別個の第1相と第2相中で、および/または混合した状態で)を会合させることができるものを表わす。好ましくは、キャリヤーは本発明組成物の有効物質の有効性を実質的に低下させない。
【0011】
[0012] 第1相のキャリヤーは、組成物の流動性および感触を調整するために、多様な歯みがき剤成分、たとえば保湿剤、界面活性剤、増粘剤またはゲル化剤などをも含むことができる。増白剤の安定性を維持するために、成分の組合わせは酸性であることが好ましい。したがって、好ましい態様において、第1相のpHは約7未満、より好ましくは約4〜約6である。
【0012】
[0013] 本発明の多様な態様において、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール(たとえば400〜600の平均分子量)は適切な保湿剤/キャリヤーであろう。同様に有利なものは、水、グリセリンおよびソルビトールの液体混合物である。多様な態様において、第1相のキャリヤーは、好ましくはポリエチレングリコールを含むゲルである。他の適切な物質には、PEG 400 MW、PEG 600 MWのPEG、エチレンオキシドの、およびプロピレンオキシドのポリマーおよびコポリマー、たとえばPLURAFLO(登録商標) L4370および/またはL1220(それぞれBASF, Wyandotte、米国ミシガン州により販売)が含まれる。
【0013】
[0014] 第1相は、好ましくは界面活性剤を含む。多様な態様において、適切な界面活性剤は界面活性剤、乳化剤および/または起泡調節剤として機能することができる。界面活性剤は、一般に増白剤を口腔全体に分散させることにより予防作用の増強を達成する。口腔用として許容できる界面活性剤をいずれも使用でき、その大部分はアニオン性、非イオン性または両性である。適切なアニオン界面活性剤には、限定ではないが、水溶性のC8-20アルキル硫酸塩、C8-20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシネート、タウレートなどが含まれる。これらおよび他のクラスの具体例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイルモノグリセリドスルホン酸ナトリウム(sodium cocoyl monoglyceride sulfonate)、ラウリルサルコシン酸ナトリウム(sodium lauryl sarcosinate)、ラウリルイセチオン酸ナトリウム(sodium lauryl isoethionate)、ラウレスカルボン酸ナトリウム(sodium laureth carboxylate)、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。適切な非イオン界面活性剤には、限定ではないが、ポロキサマー(poloxamer)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第三級アミンオキシド、第三級ホスフィンオキシド、ジアルキルスルホキシドなどが含まれる。適切な両性界面活性剤には、限定ではないが、アニオン基、たとえばカルボキシレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェートまたはホスホネートをもつ、C8-20脂肪族第二級および第三級アミンの誘導体が含まれる。適切な例は、ココアミドプロピルベタイン(cocoamidopropyl betaine)である。
【0014】
[0015] 第1相は、場合により増粘剤を含むことができる。増粘剤またはゲル化剤は、シリコーン油、カルボマー、天然および合成ガム、コロイド、ならびにその混合物よりなる群から選択できる。さらに他の態様において、本発明組成物は少なくとも1種類の増粘剤を含む。これらは、たとえば目的とする流動性、稠度および/または口当たりを組成物に付与するのに有用である。口腔用として許容できる増粘剤をいずれも使用でき、限定ではないが、これには下記のものが含まれる:カルボマー(カルボキシビニルポリマーとしても知られる)、カラギーナン(アイリッシュモス(Irish moss)としても知られる)、より具体的にはι-カラギーナン(イオタ-カラギーナン)、セルロースポリマー、たとえばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびその塩類、たとえばCMCナトリウム、天然ガム、たとえばカラヤガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびトラガント、コロイドケイ酸アルミニウムマグネシウム、コロイドシリカなど。場合により1種類以上の増粘剤が、第1相の約0.1〜約90重量%、たとえば約1〜約50重量%、または約5〜約35重量%の全量で存在することができる。
【0015】
[0016] 多様な好ましい態様において、第1相のキャリヤーはポリエチレングリコール、エチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマー、およびシリコーンの混合物を含む。この組合わせによって、温度安定性である望ましい粘度をもつ第1相が得られる。
【0016】
[0017] 口腔用として許容できるいずれかのpH調節剤をキャリヤー中に含有させることができ、これにはカルボン酸、リン酸およびスルホン酸、酸性塩(たとえばクエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、リンゴ酸一ナトリウムなど)、アルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウム、炭酸塩、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸水素塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩(たとえばリン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩など)、イミダゾール、およびその混合物が含まれる。場合により1種類以上のpH調節剤が、本発明組成物を口腔用として許容できるpH範囲に維持するのに有効な全量で存在してもよい。
【0017】
[0018] 第2相は、口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制薬を含む。本発明の機序、機能または有用性を限定するわけではないが、第2相中の有効成分の組合わせおよび第1相と第2相のpH差が増白効果および増白剤放出の改善を補助すると考えられる。
【0018】
[0019] 口腔用として許容できる研摩剤または艶出剤は、歯のエナメル質を研摩し、または組成物の増白効果を付与もしくは増強するのに役立つ。口腔用として許容できる研摩剤をいずれも使用できる。適切な研摩剤には、限定ではないが、シリカ、たとえばシリカゲル、水和シリカまたは沈降シリカの形のもの、アルミナ、不溶性ホスフェート、炭酸カルシウム、樹脂性研摩剤、たとえば尿素-ホルムアルデヒド縮合物などが含まれる。研摩剤として有用な不溶性ホスフェートには、オルトホスフェート、ポリメタホスフェートおよびピロホスフェートが含まれる。具体例は、オルトリン酸二カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸β-カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウムおよび不溶性ポリメタリン酸ナトリウムである。好ましい研摩剤は、高洗浄性シリカ系研摩剤である。場合により1種類以上の研摩剤が、研摩剤として有効な全量、一般に第2相の約0.1〜約40重量%で存在する。研摩剤が存在する場合、その平均粒径は一般に約0.1〜約30μm、たとえば約1〜約20μm、または約5〜約15μmである。
【0019】
[0020] 本発明の多様な態様において、口腔用組成物は歯石抑制薬を含有することができる。そのような薬剤が1種類以上存在してもよい。適切な歯石抑制薬には、たとえば下記の当技術分野で既知のもの、または開発されるものが含まれる:ホスフェートおよびポリホスフェート(たとえばピロホスフェート)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸亜鉛3水和物、ポリペプチド、たとえばポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸、ポリオレフィンスルホネート、ポリオレフィンホスフェート、ジホスホネート、たとえばアザシクロアルカン-2,2-ジホスホネート(たとえばアザシクロヘプタン-2,2-ジホスホン酸)、N-メチルアザシクロペンタン-2,3-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(EHDP)およびエタン-1-アミノ-1,1-ジホスホネート、ホスホノアルカンカルボン酸、これらのいずれかの物質の塩類、たとえばそれらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、ならびにその混合物。
【0020】
[0021] 第2相は、場合により過酸化物活性化剤を含有することができる。本発明の過酸化物活性化剤は、好ましくは遷移金属触媒、アルカリ性化合物、またはその混合物である。過酸化物活性化剤は本発明組成物の増白作用を促進し、より低濃度の過酸素化合物を用いて高い有効性を提供する。
【0021】
[0022] 所望により、遷移金属触媒は周期表3〜12族の安定な遷移元素のいずれかを含むことができ、これにはカドミウム、クロム、コバルト、銅、金、ハフニウム、イリジウム、鉄、ルテチウム、マンガン、水銀、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、ルテニウム、スカンジウム、銀、タンタル、チタン、タングステン、バナジウム、イットリウム、亜鉛、ジルコニウム、およびその組合わせが含まれる。特に、遷移金属触媒は鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マンガン、クロムおよびその組合わせを含むことができる。好ましい遷移金属触媒はマンガンである。
【0022】
[0023] 多様な態様において、口腔ケア組成物の第2相の調製に用いる口腔用として許容できるビヒクルは、ゲルまたはペーストである。前記の保湿剤、界面活性剤および増粘剤を第2相のキャリヤー中に使用できる。
【0023】
[0024] 好ましくは、第2相のキャリヤーは水をも含有する。用いる水は、好ましくは脱イオンされ、有機不純物を含有しないものでなければならない。水は、添加する遊離水と、他の物質と共に導入される水、たとえばソルビトールと共に添加されるものの合計である。水は、一般に第2相の約10〜50重量%、好ましくは約20〜40重量%を構成する。第2相のキャリヤーは、前記のようにフッ化物を含有してもよい。
【0024】
[0025] 特定の成分の添加は、当業者に既知のとおり、各相のpH、ならびに/あるいは第1相および第2相中の有効成分との相互副作用の可能性に応じて変更できると理解される。
【0025】
[0026] 当業者に認識されるように、本発明の口腔用組成物(第1相および/または第2相の両方)は他の物質、たとえば抗齲食薬;知覚鈍麻薬;粘度調節剤;希釈剤;界面活性剤、たとえばサーファクタント、乳化剤および起泡調節剤;pH調節剤;研摩剤(本明細書中で前記に挙げたもののほかに);保湿剤;口当たり改善剤;甘味剤;着香剤;起泡調節剤;有効薬剤(医薬、局所用薬剤または全身用薬剤を含む);着色剤;保存剤;ならびにその組合わせを含有することができる。
【0026】
[0027] ヒトまたは動物対象の歯の表面を増白するための方法であって、増白剤および実質的に無水の口腔用として許容できるキャリヤーを含む第1相;ならびに口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制系を含む第2相を有する増白用口腔ケア組成物を、第1相と第2相が互いに分離した状態に維持し;第1相と第2相を混合し;そして混合した組成物を歯の表面と接触させることを含む方法を提供する。本明細書中で用いる”動物対象”には、ヒト以外の高等哺乳類、たとえばイヌ、ネコおよびウマが含まれる。本発明の口腔ケア組成物を哺乳動物対象の歯の表面と接触させることにより、増白剤、歯石抑制薬および研摩剤成分間の有害な相互作用なしに、きわめて効果的に歯が増白される。
【0027】
[0028] 多様な態様において、口腔ケア組成物を歯の表面に付与して接触させることが好ましい。本発明に従って調製した歯みがき剤を、規則的に、好ましくは毎日、少なくとも1日1回で多数日間、または2日もしくは3日毎に、歯の表面に付与する。好ましくは、口腔用組成物を1日1〜3回、約7より高いpH、好ましくはpH 8〜10で、少なくとも2週間、最高8週間、4カ月ないし3年間、またはさらに生涯、歯の表面に付与する。
【0028】
[0029] 本発明組成物は、当技術分野で既知の2コンパートメント容器を含めた多様なパッケージのいずれかにパッケージすることができる。好ましくは、そのようなパッケージは、使用に際して調合するまで第1相と第2相をこれらの2相が実質的に接触しない状態で収容する。多様な態様において、第1相は第1閉鎖容器内に貯蔵され;第2相は第2閉鎖容器内に貯蔵され;歯に付与する直前に、第1相を第1閉鎖容器から押し出し、第2相を第2閉鎖容器から押し出し、これにより第1相と第2相が押し出されて第2相との流体界面に第1相を含むアマルガムが生成する。この態様は、好ましくは下記のものを備えた口腔ケアキットまたはパッケージの形で消費者に提供される:(a)第1相の排出のために第1チャンバーと流体連絡する第1出口を備えた第1チャンバー(第1相用の第1貯蔵容器);および(b)第2相の排出のために第2チャンバーと流体連絡する第2出口を備えた第2チャンバー(第2相用の第2貯蔵容器)。第1相と第2相が実質的に同時に排出されるように、第2出口は第1出口に近接している。そのようなパッケージを本明細書中で2コンパートメント練り歯みがきチューブとも呼ぶ。ある態様においてはほぼ等量の各相が送り出されてアマルガムになるので、消費者には、両相が送り出されていること、およびアマルガムがブラシで歯に擦りつけられるのに伴ってこれらの相が速やかに混和するであろうということを確認するのに好都合な根拠が得られる。ある態様においては、異なる量の各相が送り出される。
【0029】
[0030] 本発明を限定ではない下記の例で説明する。
実施例1
【0030】
【表1】

【0031】
[0031] 表1に従って二相歯みがき剤を調製する。第1相の増白剤は架橋ポリビニルピロリドン-過酸化水素複合体増白剤である。第1相のキャリヤーには、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、およびシリコーン油が含有される。第1相のキャリヤーは遊離水を含有せず、安定なPVP-過酸化水素複合体の送り出しを可能にするのに適切なpHをもつ。歯みがき剤の口腔ケア効果、特に抗齲食効果を増強するために、第1相にフッ化物を含有させる。第2相は、歯石抑制薬であるピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびビニルメチルエーテル(GANTREZ(登録商標)-97)を含有する。水酸化ナトリウム溶液により、第2相のpHを十分に高い値にまで高める。第2相は、活性化剤グルコン酸マンガンをも含有する。この二相歯みがき剤は、卓越した洗浄効果および増白効果を備えている。
【0032】
実施例2
[0032] 実施例1に従って二相歯みがき剤を調製する。この歯みがき剤を、第1相が第2相から分離された2チャンバー容器に貯蔵する。歯みがき剤を歯ブラシ上に分注すると、ここで第1相と第2相の内容物が初めて互いに混和する。対象が歯みがき剤で歯を擦り始めると、剪断力によって2相がさらに混和する。増白剤である過酸化水素の酸化活性が相を混和している期間全体を通して放出され、高い増白作用が提供される。
【0033】
[0033] 本明細書に記載した実施例および他の態様は例示であって、本発明の組成物および方法の全範囲の記載を限定することを意図したものではない。本発明の範囲内で具体的な態様、物質、組成物および方法の均等な交換、改変および変更を行って、実質的に同様な結果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.実質的に無水の口腔用として許容できるキャリヤー中に増白(whitening)剤を含む第1相;ならびに
b.口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制薬を含む第2相
を含み、投与されるまで第1相と第2相が互いに分離した状態に維持される、二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項2】
増白剤が、結合過酸化物および固体過酸化物よりなる群から選択される、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項3】
増白剤が、過ホウ酸ナトリウム、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、過酸化PVPおよび亜塩素酸ナトリウムから選択される、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項4】
第1相が、第1相の約0.1〜約30重量%の量の増白剤を含む、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項5】
第1相の含水率が第1相の約10重量%未満である、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項6】
実質的に無水のキャリヤーが、PEG、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのポリマーおよびコポリマーを含む、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項7】
実質的に無水のキャリヤーがさらに、少なくとも1種類の界面活性剤、ならびにシリコーン油、ヒュームドシリカ、ポリエチレングリコール、カルボマーおよびガムよりなる群から選択される増粘剤を含む、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項8】
第1相がさらに、過酸化物、フッ化物供給剤、およびその混合物よりなる群から選択される少なくとも1種類の物質を含む、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項9】
第2相がさらに、pH調整剤およびフッ化物供給剤よりなる群から選択される少なくとも1種類の物質を含む、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項10】
第2相の研摩剤がシリカ系研摩剤である、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項11】
第2相の歯石抑制薬が、無機リン酸塩、無機ポリリン酸塩、高分子ポリカルボキシレート、金属イオン封鎖剤、およびその混合物よりなる群から選択される、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項12】
第2相がさらに、遷移金属触媒、アルカリ性化合物、およびその組合わせよりなる群から選択される過酸化物活性化剤を含む、請求項1に記載の二相型増白用口腔ケア組成物。
【請求項13】
a.過酸化物系増白剤および実質的に無水の口腔用として許容できるキャリヤーを含む第1相;ならびに口腔用として許容できるキャリヤー中に研摩剤および歯石抑制系を含む第2相を有し、第1相と第2相が互いに分離している増白用口腔ケア組成物を調製し;そして
b.第1相と第2相を接触させ;そして
c.第1相と第2相を歯の表面に付与する
ことを含む、歯の表面を増白する方法。
【請求項14】
過酸化物相が、ポリ-N-ビニル-ポリ-2-ピロリドン、ポリ-N-ビニル-ポリ-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-ポリ-2-カプロラクタム、およびその混合物よりなる群から選択される過酸化水素複合体を含む結合過酸化物である、請求項13に記載の歯の表面を増白する方法。
【請求項15】
過酸化物が、過ホウ酸ナトリウム、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、およびその混合物よりなる群から選択される、請求項13に記載の歯の表面を増白する方法。

【公表番号】特表2009−510061(P2009−510061A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533397(P2008−533397)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/035277
【国際公開番号】WO2007/037960
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】