説明

二軸押出機内で液相化学反応を行う方法

内部にキャビティ(12)を画定する円筒状ハウジング(10)を備える二軸押出機であって、このキャビティ(12)の内側で少なくとも二種類の試薬の化学反応が液体状態で行われ、かつ、長手軸(16)の周りを回転する二つの相互貫入スクリュー(14)がこのキャビティ(12)の内側に載置されている二軸押出機内で方法を行う。これらの試薬は混合手段の作用を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸押出機内で少なくとも二種類の試薬の化学反応を液体状態で行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既に知られているように、この種類の装置は、内部にキャビティを画定する円筒状ハウジングを備え、このキャビティの内側で上記化学反応が行われ、かつ、長手軸の周りを回転する二つの相互貫入スクリューがこのキャビティの内側に載置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に、押出機に供給される液体試薬の量の間に大きな差−例えば、それぞれの百分率間に一桁以上の差−がある場合、反応生成物に著しい均一性の欠如が存在していた。この均一性の欠如は、品質管理中に排斥される最終生成物をもたらすかまたはいずれにしても押出機の機械構成要素を損傷応力にさらす固化物質の凝集をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの欠点を克服するために、本発明の目的は、上記試薬に混合手段の作用を受けさせることを特徴とする、本明細書の導入部において示されたタイプの方法を提供することである。
【0005】
混合作用は、望ましい化学反応が全試薬液相中で実質的に均一に起こるように、様々な試薬の均質濃度を保証する。そのようにして最終生成物の均質性を保証し、一方、有害な、押出機の機械構成要素の応力を避ける。
【0006】
本発明による方法の適用は、押出機に供給される試薬の量の間に大きな差が存在する場合に、例えば、二種類の異種試薬の量の質量比が50:1よりも大きく、特に1000:1や10,000:1よりも大きい場合に、特に好都合である。
【0007】
実質的にあらゆるタイプの混合手段、例えばスタティックミキサー、スクリューのシャフトにキー締めされた(keyed)相互作用混合メンバー対、並びにいくつかの異なるタイプのミキサーの組み合わせ、が本発明による方法において使用されうる。本明細書中、用語「スタティックミキサー」は、中に配置された、そらせ板、バッフル、パーティション、または内側を層流で流れる流体の混合を引き起こすことができる同様の障害物を有するダクトを備えるデバイスを意味すると理解されることに注意すべきである。
【0008】
混合手段は、押出機の外側もしくは内側または押出機の外側と内側の両方に載置されうる。
【0009】
本発明の別の利点および特徴は、添付の図面を参照して提供される以下の発明の詳細な説明で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、その内側で本発明による方法が行われる二軸押出機セクションの側面断面図である。
【図2】図2は、図1の押出機の二つの混合メンバーの概略斜視図である。
【0011】
二軸押出機(図1)は、内部にキャビティ12を画定する円筒状ハウジング10を備え、キャビティ12の内側には二つの相互貫入スクリュー14(片方のみが図1で見える。)が載置されている。スクリュー14は、その長手軸16の周りを回転し、長手軸16はキャビティ12の軸に対して平行である。
【0012】
スタティックミキサー18(例えばスイス国ヴィンテルトゥールのSulzer社製。)がこの押出機の外側に載置されている。このミキサー18は、種々の液体試薬を供給するためのいくつかの注入口20を有し、かつ、押出機の内部キャビティ12の内側に出る吐出オリフィス(outlet orifice)22を有する。
【0013】
更に、相互作用混合メンバー28の対を、それぞれスクリュー14のシャフト26の対向部(facing sections)24にキー締めさせる(図2)。前記メンバーはそれぞれ、スリーブ状に形成されており、これらはシャフト26にキー締めさせる中央軸ホール30および側面上に実質的に螺旋状に延在するレリーフ32を有する。レリーフ32の頂部34は、その長さに沿って連続的に配置された複数のノッチ36を有する。混合メンバー28の対は、共に、スタティックミキサーに加えて、更なる混合デバイスを形成する。
【0014】
押出機の内側でいくつかの試薬の化学反応を液体状態で行うために、後者は注入口20を通ってスタティックミキサー18に別々に供給され、その内側を流れて混合される。次に、混合試薬は、オリフィス22を通って押出機のキャビティ12の内側に供給され、ここで、混合試薬は相互作用メンバー28の対によって更なる混合作用を受ける。一方で、実際、メンバー28のレリーフ32の頂部34は、関連メンバー28であって、全スクリュー14の長手軸16の周りの回転に続いて接触する関連メンバー28の表面に「クリーニング」作用を発揮する。他方で、頂部34におけるノッチ36の存在は、試薬の更なる混合および形成される凝集の砕解を伴う試薬の逆流を引き起こす。
【0015】
全体として、スタティックミキサー18および混合メンバー28の対の存在のために、最終反応生成物の特性の均一性が最高であり、かつ、押出機の機械的構成要素に影響を与える損傷応力が実質的になく、液体試薬の非常に能率的な混合が達成される。
【0016】
当然のことながら、本発明の本質を変えずに、単に一例として記述した態様に関して、保護の範囲から逸脱することなく構成上の詳細および態様を大きく変えてもよい。特に、本発明による方法を行うために、スタティックミキサーのみを有するかまたはスクリューシャフトにキー締めされた混合メンバーのみを有する押出機を使用することもまた可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸押出機内で少なくとも二種類の試薬の化学反応を液体状態で行う方法であって、該二軸押出機が内部にキャビティ(12)を画定する円筒状ハウジング(10)を備え、該キャビティ(12)の内側で前記化学反応が行われ、かつ、長手軸(16)の周りを回転する二つの相互貫入スクリュー(14)が該キャビティ(12)の内側に載置されており、前記試薬が混合手段の作用を受けることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも二種類の試薬の質量比が50:1よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合手段がスタティックミキサー(18)を備え、該スタティックミキサー(18)が該押出機の外側に載置されており、かつ、押出機の内部キャビティ(12)の内側に出る吐出オリフィス(22)を有することを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記混合手段が相互作用混合メンバー(28)対を備え、該混合メンバー(28)がそれぞれ前記スクリュー(14)のシャフト(26)の対向部(24)にキー締めされており、各対の少なくとも一つの混合メンバー(28)がスリーブ状に形成されており、該スリーブがキー締めさせる中央軸ホール(30)および側面に実質的に螺旋状に延在するレリーフ(32)を有し、前記レリーフ(32)の頂部(34)がその長さに沿って少なくとも一つのノッチ(36)を有することを特徴とする、従前請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各対の両方の相互作用混合メンバー(28)がスリーブ状に形成されており、該スリーブがキー締めさせる中央軸ホール(30)および側面に実質的に螺旋状に延在するレリーフ(32)を有し、前記レリーフ(32)の頂部(34)がその長さに沿って少なくとも一つのノッチ(36)を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記レリーフ(32)の頂部(34)がその長さに沿って連続して配置される複数のノッチ(36)を有することを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合手段が、該押出機の外側、該押出機の内側、または該押出機の外側と内側の両方に載置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−529901(P2010−529901A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550349(P2009−550349)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050559
【国際公開番号】WO2008/102290
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(505007582)フラテッリ・マリス・ソシエタ・ペル・アチオニ (2)
【氏名又は名称原語表記】F. LLI MARIS S.p.A.
【Fターム(参考)】