説明

二酸化バナジウム粒子分散液、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

【課題】二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した二酸化バナジウム粒子分散液、サーモクロミック性を有し、透明性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供する。
【解決手段】二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、並びに、液状可塑剤を含有する二酸化バナジウム粒子分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した二酸化バナジウム粒子分散液、サーモクロミック性を有し、透明性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化バナジウム又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部を他の原子で置換した置換二酸化バナジウムは、特定の温度以上になると半導体から金属に相転移し、赤外線透過率を大きく減少させるサーモクロミック特性を有することが広く知られている(例えば、特許文献1)。即ち、例えばガラス上に二酸化バナジウムからなる膜を形成すると、相転移温度未満では可視光線及び赤外線の透過率が高いが、相転移温度以上になると可視光線の透過率が高い状態で、赤外線の透過率が低下する性質を示す。
【0003】
従来より、二酸化バナジウムが有するサーモクロミック特性を利用したサーモクロミック性を有する合わせガラス用中間膜の製造が試みられてきた。即ち、合わせガラス用中間膜中に二酸化バナジウムを微分散させることにより、二酸化バナジウムの相転移温度未満では可視光線及び赤外線の透過率が高いが、相転移温度以上になると可視光線の透過率が高い状態で、赤外線の透過率が低下する性質を示す合わせガラス用中間膜が得られることが期待される。
しかしながら、実際には二酸化バナジウム粒子を合わせガラス用中間膜中に分散させようとしても分散性に劣り、透明性の低い合わせガラス用中間膜しか得ることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−233929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した二酸化バナジウム粒子分散液、サーモクロミック性を有し、透明性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、並びに、液状可塑剤を含有する二酸化バナジウム粒子分散液である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、分散剤としてグリセリンエステルを用いることにより、二酸化バナジウム粒子を液状可塑剤中に安定して微分散させることができること、及び、該二酸化バナジウム粒子分散液を用いれば、サーモクロミック特性を有し透明性に優れる合わせガラス用中間膜を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液は、二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、並びに、液状可塑剤を含有する。
【0009】
上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子は、サーモクロミック特性を有する。
二酸化バナジウムは様々な結晶相が存在するが、単斜晶結晶と正方晶結晶(ルチル型)が可逆的に相転移する。その相転移温度は約68℃である。
上記相転移温度は、二酸化バナジウム中のバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換することにより調整することができる。従って、二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子を適宜選択したり、置換二酸化バナジウム粒子において置換する原子種や置換率を適宜選択したりすることにより、得られる合わせガラス用中間膜の性能を制御することができる。
上記置換二酸化バナジウムを用いる場合、金属原子の置換率の好ましい下限は0.1原子%、好ましい上限は10原子%である。置換率が0.1原子%以上であると、上記置換二酸化バナジウムの相転移温度を容易に調整することができ、10原子%以下であると、優れたサーモクロミック性を得ることができる。
なお、置換率とは、バナジウム原子数と置換された原子数との合計に占める、置換された原子数の割合を百分率で示した値である。
【0010】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液中における上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の分散径(D50)の好ましい上限は100μmである。D50が100μmを超えると、透明性に優れる合わせガラス用中間膜を製造することができないことがある。D50のより好ましい上限は10μmである。D50の下限については特に限定されないが、実質的には10nm程度が限界であると考えられる。
なお、本明細書においてD50とは、粒子をある粒子径から2つに分けたときに、大きい側と小さい側が等量となる粒子径のことを意味する。
【0011】
上記二酸化バナジウム粒子は、実質的に二酸化バナジウムのみで構成された粒子であってもよく、コア粒子の表面に二酸化バナジウムが付着した粒子であってもよい。同様に、上記置換二酸化バナジウム粒子は、実質的に置換二酸化バナジウムのみで構成された粒子であってもよく、コア粒子の表面に置換二酸化バナジウムが付着した粒子であってもよい。上記コア粒子として、例えば、酸化ケイ素、シリカゲル、酸化チタン、ガラス、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト化合物、ハイドロタルサイト化合物の焼成物、及び、炭酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。
【0012】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液中における上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の含有量の好ましい下限は0.001重量%、好ましい上限は60重量%である。上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の含有量が0.001重量%以上であると、優れたサーモクロミック特性を有する合わせガラス用中間膜を得ることができ、60重量%以下であると、透明性に優れる合わせガラス用中間膜を製造することができる。上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の含有量のより好ましい下限は0.01重量%、より好ましい上限は40重量%である。
【0013】
上記グリセリンエステルは、上記液状可塑剤中に上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子を微分散させるための分散剤の役割を有する。
上記グリセリンエステルは特に限定されず、例えば、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンデカステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンジステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、テトラグリセリンペンタステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、グリセロールモノステアレート、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンデカオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンペンタオレイン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリンペンタオレイン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、グリセロールモノオレエート、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、カプリン酸トリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ミリスチン酸トリグリセライド、デカグリセリンモノカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリル酸エステル、カプリル酸トリグリセライド、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンヘプタベヘニン酸エステル、デカグリセリンドデカベヘニン酸エステル、ポリグリセリンベヘニン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル、ポリグリセリンエルカ酸エステル、テトラグリセリン縮合リシノール酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等が挙げられる。
上記グリセリンエステルのうち市販品としては、例えば、SYグリスターCR−ED(阪本薬品工業社製、縮合リシノール酸ポリグリセリン酸エステル)、SYグリスターPO−5S(阪本薬品工業社製、オレイン酸ヘキサグリセリンペンタエステル)等が挙げられる。
【0014】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液中における上記グリセリンエステルの含有量の好ましい下限は0.001重量%、好ましい上限は30重量%である。グリセリンエステルの含有量が0.001〜30重量%の範囲内であると、上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の優れた分散効果を得ることができる。上記グリセリンエステルの含有量のより好ましい下限は0.01重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0015】
上記液状可塑剤は特に限定されず、合わせガラス用中間膜の可塑剤として用いられる従来公知の液状可塑剤を用いることができる。
上記液状可塑剤は、具体的には例えば、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート及びトリエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート等が挙げられ、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
【0016】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液は、低揮発性有機溶剤、ショ糖脂肪酸エステル等の保留剤、非カチオン性界面活性剤、安定剤、紫外線吸収剤等の従来公知の添加物を含有してもよい。
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液は、更に目的に応じて、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子等の遮熱粒子を含有してもよい。
【0017】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液を製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、液状可塑剤及び必要に応じて添加する添加剤を、ビーズミル、遊星式攪拌装置、湿式メカノケミカル装置、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、超音波照射機等を用いて混練する方法等が挙げられる。
【0018】
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液は、極めて二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子の分散安定性に優れ、これを用いることによりサーモクロミック性を有し、透明性に優れた合わせガラス用中間膜を製造することができる。
本発明の二酸化バナジウム粒子分散液と、熱可塑性樹脂とを用いてなる合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
また、二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、液状可塑剤、並びに、熱可塑性樹脂を含有する合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
【0019】
上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、従来より合わせガラス用中間膜に用いられる樹脂を用いることができる。なかでも、ガラス板に対する接着力に優れることから、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましく、ポリビニルブチラール樹脂であることがより好ましい。
【0020】
本発明の合わせガラス用中間膜における上記二酸化バナジウム粒子又は置換二酸化バナジウム粒子の含有量は、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して好ましい下限が0.001重量部、好ましい上限が20重量部である。上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の含有量が0.001重量部以上であると、充分なサーモクロミック特性を得ることができ、20重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。上記二酸化バナジウム粒子、置換二酸化バナジウム粒子の含有量のより好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0021】
本発明の合わせガラス用中間膜の膜厚は特に限定されないが、合わせガラスとして最小限必要な耐貫通性を考慮すると、実用的には、好ましい下限が0.1mm、好ましい上限が1.0mmであり、より好ましい下限が0.3mm、より好ましい上限が0.8mmである。また、耐貫通性の向上を目的として、必要に応じて本発明の合わせガラス用中間膜に他の合わせガラス用中間膜を積層してもよい。
【0022】
本発明の合わせガラス用中間膜を製造する方法は特に限定されないが、本発明の二酸化バナジウム粒子分散液と必要に応じて配合する添加剤や追加の可塑剤を、上記熱可塑性樹脂に添加して混練し、成形する方法が挙げられる。
上記混練の方法としては特に限定されず、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適することから、押出機を用いる方法が好適である。
本発明の合わせガラス用中間膜を成形する方法としては特に限定されず、押し出し法、カレンダー法、プレス法等が挙げられる。
【0023】
本発明の合わせガラス用中間膜が、2枚の透明板の間に挟み込まれている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
本発明の合わせガラスの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。
【0024】
上記透明板は特に限定されず、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。具体的には例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、グリーンガラス等の無機ガラス等が挙げられる。また、ポリカーボネートやポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
【0025】
上記2枚の透明板は、同種の透明板であってもよいし、異種の透明板であってもよい。異種の透明板の組み合わせは、例えば、透明フロート板ガラスとグリーンガラスのような着色された板ガラスとの組み合わせや、無機ガラスと有機プラスチックス板との組み合わせ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した二酸化バナジウム粒子分散液、サーモクロミック性を有し、透明性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されない。
【0028】
(実施例1)
(1)二酸化バナジウム粒子分散液の調製
二酸化バナジウム粒子(WO)2%(VO)98%、NanoAmor社製)0.1重量部、分散剤として縮合リシノール酸ポリグリセリンエステル(SYグリスターCR−ED、阪本薬品工業社製)0.5重量部を、28重量部のトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート中に添加し、ビーズミルで混合して二酸化バナジウム粒子分散液を得た。
【0029】
(2)合わせガラス用中間膜及び合わせガラスの製造
得られた二酸化バナジウム粒子分散液の全量を、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレツクBH−8)72重量部に加え、押出機により溶融混練し、金型よりシート状に押し出して、厚さ760μmの合わせガラス用中間膜を得た。
【0030】
得られた合わせガラス用中間膜を、2枚の透明な無機平板ガラス(厚さ2mm)の間に挟み、この積層体を所定温度に調節したゴムバックに入れ、ゴムバック内の圧力−53.2KPa下で100℃まで昇温し、100℃、−53.2KPa下で20分間保持した後に室温まで冷却し、減圧解除を行い、合わせガラスを作製した。
【0031】
(実施例2)
分散剤としてオレイン酸ヘキサグリセリンペンタエステル(SYグリスターPO−5S、阪本薬品工業社製)を用いた以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
【0032】
(実施例3)
分散剤としてエルカ酸デカグリセリンエステル(SYグリスターNE−750、阪本薬品工業社製)を用いた以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
【0033】
(比較例1)
分散剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(プライサーフA208F、第一工業製薬社製)を用いた以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
【0034】
(比較例2)
分散剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして二酸化バナジウム粒子分散液を調製し、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを製造した。
【0035】
(評価)
実施例及び比較例で得られた二酸化バナジウム粒子分散液及び合わせガラスについて以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
【0036】
(1)二酸化バナジウム粒子分散液中における二酸化バナジウム粒子の分散径の測定
粒度分布計(日機装社製、マイクロトラックUAM−1)を用いて、二酸化バナジウム粒子分散液中における二酸化バナジウム粒子の分散径(D50)を測定した。
【0037】
(2)合わせガラスのヘイズの測定
直記分光光度計(日立ハイテク社製、U−4000)を用いて、JIS K 6714に準拠する方法により合わせガラスのヘイズ値を測定した。
【0038】
(3)サーモクロミック性の評価
直記分光光度計(日立ハイテク社製、U−4000)を用いて、JIS R 3106に準拠した方法により、得られた合わせガラスの10℃及び50℃における赤外線透過率TIRを測定し、10℃の赤外線透過率TIRと50℃の赤外線透過率TIRとの差(ΔTIR)を算出した。
なお、合わせガラスを10℃又は50℃に調整した室内に30分間放置することにより、合わせガラスの温度が充分に均一になってから、測定を行った。
【0039】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、二酸化バナジウム粒子が液状可塑剤中に微分散した二酸化バナジウム粒子分散液、サーモクロミック性を有し、透明性に優れた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、並びに、液状可塑剤を含有することを特徴とする二酸化バナジウム粒子分散液。
【請求項2】
請求項1記載の二酸化バナジウム粒子分散液と、熱可塑性樹脂とを用いてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
二酸化バナジウム粒子又は二酸化バナジウムのバナジウム原子の一部をタングステン、モリブデン、ニオブ及びタンタルから選択される少なくとも1種以上の原子で置換した置換二酸化バナジウム粒子、グリセリンエステル、液状可塑剤、並びに、熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
請求項2又は3記載の合わせガラス用中間膜が、2枚の透明板の間に挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。



【公開番号】特開2012−25630(P2012−25630A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166078(P2010−166078)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】