説明

二重像化をほとんど有さないグレージング

本発明は、フロートガラスから作製された、湾曲されたガラス板であって、その主要面の面積が、1.5mを上回り、曲げのその2つの深さの積が、3000mmを上回り、ガラス板の重心を通るその表面の法線上に位置するその点が、いずれの方向においても3m未満の曲率半径を有するようになり、長手フロート方向におけるその厚さの変動が、500mmにわたって10μm未満である、湾曲されたガラス板に関する。このガラス板は、自動車用のウインドシールドタイプの合わせグレージングになるように組み立てられ得る。そのようなウインドシールドは、水平に近くなるように車両に取り付けられたときでも非常に少量の二重像化しか有さない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレージングの分野、特に二重像化をほとんど有さない自動車用グレージングに関する。
【背景技術】
【0002】
特にウインドシールドまたはリヤウインドタイプの自動車用グレージングは、安全的理由および美観的理由のために光学的欠点は最小でなければならない。運転者の視野は、できるだけはっきりとしなければならず、特に、運転者が知覚する自動車の周囲環境の像が二重像になることは受け入れられない。ウインドシールドを介して運転者によって知覚される多重像化は、空気/ガラスの境界面での複数の反射から生じる知られている現象である。このような多重像化は、理論上、他のさらなる像が存在しても、これらのさらなる像が非常に低い明度のものであるため、一般的には二重像化と称される。追加の反射は、実際には、メイン像の明度に対して寄生像(parasitic image)の明度が100のオーダー分の1の規模で大幅に損失することに付随して生じる。この現象の大きさは、グレージングの勾配角度によって増大する。
【0003】
当業者によって分の数値として表される二重像化の理論上の量が、コンピュータによって算出され得る。この量は、ウインドシールドを構成するガラス板の厚さなどの多くの要因および局所的な曲率だけでなくグレージングを通して視認する角度によっても決まる。垂直の二重像化(人が車両内に座っているとき、一方が他方の上方に出現する像)の量と水平の二重像化(人が車両内に座っているとき、一方が他方の横に出現する像)の量との間には区別がなされる。ウインドシールドのたいていの勾配は、垂直の二重像化を生じさせるが、一般的には、水平の二重像化問題は存在しない。グレージングが自動車両上で水平に近くなるほど(たとえば図3におけるように)、垂直の二重像化の量が大きくなる。現在、二重像化の最大限に受け入れ可能な量(すべての方向における)は、7分であると考えられる。というのも、これが、人の眼によって知覚できないと見なされるためである。使用位置で大きく傾けられるグレージングの場合、最大7分内に抑えることが困難であるのは、垂直の二重像化の量である。二重像化の量は、標的試験技術、あるいはE/ECE/324またはE/ECE/TRANS/505協定の法規43、付加事項42に記載された視準テレスコープ試験技術(この技術は、車両、車両上で装着され得るまたは使用され得る装置および構成要素に適用可能な統一の技術的要求事項の適合、ならびにこれらの規定に従って与えられた認証の相互認識のための条件に関連する)を用いて測定されてもよい。
【0004】
自動車製造会社、特にフランスの自動車製造会社は、さらにより革新的なモデルを設計しようと努めている。特に、設計されるウインドシールドは、非常に大型になることがある。というのも、これらのウインドシールドは時に、前の乗客の上を通ることによって屋根の一部を形成することもあるためである。これらのウインドシールドはまた、水平になるようにますます傾けられる。さらに、これらウインドシールドの曲率は、自動車の一般的形状に合うように非常に標準的なものでなければならない。
【0005】
そのようなウインドシールドの開発との関連で、垂直の二重像化の量が、理由は分からないが、二重像化の理論上の量を上回ることが発見されている。問題のウインドシールドは、理論上これらを成形するのに非常に適しているはずの重力曲げプロセスによって製造されている。垂直の二重像化の量は、二重像化の理論上の量を50%以上上回っていた。
【0006】
欧州特許第0448447号明細書、欧州特許第0705798号明細書および国際公開第2004/103922号におけるような重力曲げ、国際公開第2004/033381号または国際公開第2005/047198号におけるような搬送ローラ間にガラスを通すことによる曲げ、および米国特許第5974836号明細書、国際公開第95/01938号、国際公開第02/06170号、または国際公開第2004/087590号におけるようなフレームを使用して実施される、ガラスを中実の型に対して押さえ付けることによる曲げ、あるいは国際公開第02/064519号または国際公開第2006/072721号におけるような吸引による曲げなどの多くの曲げプロセスが、すでに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0448447号明細書
【特許文献2】欧州特許第0705798号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/103922号
【特許文献4】国際公開第2004/033381号
【特許文献5】国際公開第2005/047198号
【特許文献6】米国特許第5974836号明細書
【特許文献7】国際公開第95/01938号
【特許文献8】国際公開第02/06170号
【特許文献9】国際公開第2004/087590号
【特許文献10】国際公開第02/064519号
【特許文献11】国際公開第2006/072721号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、中央ゾーンにおいてすべての方向に大きく湾曲されたそのような大きいグレージングは、重力曲げによって製造されたときは大きな二重像化を呈し、他方、このガラスが、中実の型に対して押さえ付けられることによって製造されたときは、理論上の量に非常に近い二重像化を呈するという発見に基づいている。本発明の範囲を限定するこれらの説明がない場合、重力プロセスは、ガラス板のわずかな薄化を中央ゾーン内に生み出し、それにより、ガラス板の2面が、実際には厳密に平行でなく、非常にわずかなプリズムを形成するようになると思われる。問題の変動は、非常に小さく、約40μmから50μmであるが、この変動は、特にウインドシールドが大きく傾けられたとき、二重像化が、人の眼にまさに知覚できるくらいに拡大されるのに十分である。この欠点は、次の要因の組合せから生じる。すなわち、すべての方向の高い曲率、大型サイズ、特により高い曲げ温度を必要とする重力プロセスの使用の組合せから生じる。自動車両上のグレージングの勾配角度が大きいと、この現象はさらに際立つ。
【0009】
また、最初の平面ガラス(ガラスを溶融金属に浮遊させることによって製造されたフロートガラス)の厚さにおける変動が、曲げられたガラスの厚さ変動に影響を及ぼすことを考慮に入れることも必要である。フロートガラスは、一般に、長手方向におけるよりも横断方向においてより大きな厚さ変動を有する。フロートガラスの長手方向は、ガラスがフロートガラスプラントを走行する方向に対応する。フロートガラスの横断方向および長手方向は、長手方向に対応する線により、シャドーグラフ技術を用いて非常に容易に識別される。したがって、フロートガラスは、これらのラインによっておよびその面の1つがすずで強化されるということによって完全に識別可能である。本発明の関連では、横断方向500mmに対して50μm未満および長手方向500mmに対して2μm未満の厚さ変動を有するフロートガラスが、曲げる前に使用される。光の伝送品質という理由のため、グレージングは、一般に、ガラスの横断方向が水平に対応するように自動車両上に置かれる。
【0010】
本発明により、長手方向に曲げられたフロートガラスのガラス板の厚さ変動は、500mにわたって10μm未満、さらには500mにわたって7μm未満まで低減されることが可能であり、それによって垂直方向(またはフロート方向に対して長手方向)の二重像化の量は、20°の視角(すなわち、水平線と、2つの横断方向バンドの中間を通る長手方向弦との間の角度)で、最大で7分に低減される。
【0011】
厚さ(したがって、厚さ変動)は、マイクロメータまたは非接触センサ、特に共焦点光学センサを用いて測定されてもよい。これは、個々のガラス板および組み立てられたグレージングの両方にあてはまる。
【0012】
本発明によるグレージングは、2つの相互に直交する方向に沿って湾曲され、したがって2つの深さの曲げを有する。自動車用グレージングの当業者は、横断方向曲げ(自動車両に対する)の最大深さを「サグ」と称し、長手方向曲げ(自動車両に対する)の最大深さを「曲げの第2の深さ」と称している。
【0013】
特に自動車用ウインドシールドタイプのグレージングは、全般的に、全部で4つの側部または「バンド」を備える。
【0014】
本発明が関するグレージングは、大型のものであり、その幅は概ね1.10mを上回り、その長さは概ね1.10mを上回り、さらには1.3mを上回る。さらに、このグレージングは(これが作製される元の各々のガラス板も同様に)、以下の特性を有する:
a)グレージングの面積(グレージングの主要面の一方の)は、1.5mを上回るものであり、さらには1.6mを上回り、または1.8mを上回ってもよい。
b)曲げのその2つの深さの積は、3000mmを上回り、さらには5000mmまたは8000mmを上回ってもよい。
c)グレージングの表面の、その重心を通る法線上に位置するグレージング上の点は、いずれの方向においても3m未満、さらには2.5m未満の曲率半径を有する。
【0015】
上記の条件a)は、グレージングが幅および長さ共に大きいことを意味する。条件b)は、グレージングが、すべての方向に大きく湾曲されることを意味する。条件c)は、グレージングが、視野に必須の中央領域においてすべての方向に大きくかつ均一に湾曲されることを意味する。これは、グレージング組立体が、図2aに示されるように、大きいサグ、およびその湾曲が中央領域ではあまりはっきりしない大きいカウンター曲げを有することがあるためである。このタイプの形状は、極めて一般的であり、重力成形によって得ることが容易である。縁に近い領域のサグ化は、当業者によって「バス効果」と呼ばれている。中央領域は、わずかしか湾曲されない。このタイプの形状は、今日ではあまり魅力的ではないと考えられている。国際公開第2004/103922号において教示されたように内部のゾーン支持体を提供することによって重力プロセスにおけるこのバス効果を回避することが知られている。
【0016】
したがって、本発明は、第1に、フロートガラスから作製された、湾曲されたガラス板であって、その主要面の面積が、1.5mを上回り、曲げのその2つの深さの積が、3000mmを上回り、ガラス板の重心を通る、その表面の法線上に位置するその点が、いずれの方向においても3m未満の曲率半径を有するようになり、長手フロート方向におけるその厚さの変動が、500mmにわたって10μm未満、好ましくは500mmにわたって7μm未満である、湾曲されたガラス板に関する。
【0017】
全般的に、ガラス板の主要面の面積は、3m未満である。
【0018】
曲げの2つの深さの積は、6000mmを上回ってもよいが、概ね150000mm未満である。
【0019】
グレージングの重心を通る、その表面の法線上に位置するグレージング上の点は、いずれの方向においても2m未満の曲率半径を有することができ、概ね1mを上回る。
【0020】
本発明によれば、本発明による大型のグレージングペインは、これを中実の曲げ型で成形することによって曲げられ、ガラスを前記型に対して押さえ付ける力を機械的または空気的な性質のものにすることが可能である。この力は、機械的性質のものである場合、中実またはフレーム形状のカウンター型によって印加され得る。特に、これは、国際公開第95/01938号の図1の参照符号(4)によって示されたフレームまたは米国特許第5974836号明細書の図1および図2で参照される区画化されたフレーム(9、10、11、12)であり得る。この力は、空気的性質のものである場合、国際公開第2006/072721号の図2に示されるように、ガラスが前記中実の型と接触する表面内の穴により、中実の型を通して吸引することによって印加され得る。空気力はまた、国際公開第04/087590号の図2で参照されたスカート16のモデルにおけるように中実の型を取り囲むスカート手段によって印加されてもよい。スカートは、ガラス板を取り囲み、その縁を通り過ぎる空気の流れを生じさせる吸引力を与える。しかしながら、スカートによって生じた空気力は、概ね不十分であり、好ましくは、中実の型を通して機械力または空気力で補われる。
【0021】
中実の型に押し付ける曲げは、少なくとも曲げの最後、すなわち、冷却の直前に行われる。したがって、中実の型に押し付けるこうした曲げの直後(すなわち、特定の追加の曲げステップ無しに)、冷却ステップ、概ね自然冷却が、フレーム上で概ね行われる。
【0022】
中実の型に押し付けるこうした曲げは、曲げの2つの最終深さの各々の少なくとも50%、またはさらには曲げの2つの最終深さの各々の少なくとも60%をグレージングに与える。曲げのこれら2つの深さは、すでに説明されたように、サグおよび曲げの第2の深さに対応する。全般的には、曲げのこれらの2つの深さは、相互に直交する曲げ方向に対応し、これらの2つの深さのうち1つは、ガラス板の曲げの最大深さである。
【0023】
中実の型に押し付ける成形は、別のプロセスを用いる曲げによって、特に好ましくは重力曲げによって先行されてもよい。重力による事前曲げが存在することは、最後には、光学的品質を劣化させることなく、グレージングの複雑性を増大させること(すべての方向で曲げのより大きい深さ)を可能にするため、好ましことでもある。この重力曲げは、フレームまたは骨組タイプ、特に二重骨組タイプの支持体上で実施される(欧州特許第0448447号明細書、欧州特許第0705798号明細書、および国際公開第2004/103922号を参照のこと。)この予備曲げ(または、事前曲げ)は、曲げの2つの最終深さの各々の50%未満、さらには曲げの2つの最終深さの各々の40%未満をグレージングに与える。
【0024】
中実の型に押し付ける曲げは、好ましくは、ガラスの重心を通るその表面の法線上に位置する点において、ガラスが、590℃から615℃の間の温度であるようにして実施される。
【0025】
任意選択の予備重力曲げは、好ましくは、ガラスの重心を通るその表面の法線上に位置する点において、ガラスが、610℃から640℃の間の温度であるようにして実施される。
【0026】
すべての曲げステップに関して、同じ最終品の合わせグレージング(一般的には2つのガラス板が存在する)になるように組み立てられることが意図されたさまざまなガラス板が、全体的に重ねられ、一緒に同時に曲げられる。当業者に知られているように、さまざまな板ガラス間には、それらが一緒に固着する傾向を最低限に抑えるために、層間粉末剤が置かれる。
【0027】
合わせグレージングの重心を通るその表面の法線上に位置する前記グレージング上の点は、各々のガラス板の表面の、前記ガラス板の重心を通る法線上に位置するグレージングのガラス板の各々上の点とほぼ同じ場所にあることが考慮される。
【0028】
本発明による各々が湾曲されたガラス板の厚さ変動は、長手フロート方向500mmにわたって10μm未満、好ましくは7μm未満、さらには3μm未満である。この厚さ変動は、表面上での長手方向500mmの距離にわたる、ガラス板の最大厚さと最小厚さとの間の相違である。曲げる前、ガラス板は平坦であり、長手フロート方向500mmにわたって2μm未満の厚さ変動を有する。
【0029】
ガラス板は、一般的には1mmから4mm、より一般的には1.1mmから2.8mmの範囲の厚さを有する。
【0030】
合わせグレージング内で2つのガラス板の間に挿入されるポリマーのシート(一般的にはポリビニルブチラールまたはPVB)は、概ね0.3mmから1.6mmの範囲の厚さを有する。
【0031】
ガラス板は、ガラス板のフロート方向(または、向き)が、相互に一致するようにして合わせグレージングになるように組み立てられる。したがって、本発明はまた、本発明によるいくつかの湾曲されたガラス板(一般的には2枚のガラス板)を備える合わせグレージングであって、
グレージングの重心を通るその表面の法線上に位置するその表面上の点を通り、
20°の視角のところで
測定されたレベルが、最大で7分である二重像化を有する、グレージングにも関する。このグレージングは、すべての種類の車両、特に自動車両に取り付けるように意図される。グレージングになるように組み立てられたガラス板の横断フロート方向は、車両の場合水平に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】自動車両に取り付けられた位置にあるグレージング1のサグFおよび幅lによって意味されるものを示す図である。サグF、すなわち、横断方向曲げの最大深さは、横断方向弧4の中点およびそれに対応する、ここではグレージングの幅lである弦5の中点を端部として有する最大セグメントの長さである。このグレージングは、2つの横断方向バンド21および22ならびに2つの長手方向バンド23および24の全部で4つのバンド(または、側部)を有する。
【図1b】グレージング1の曲げの第2の深さDBおよび長さLによって意味されるものを示す図である。曲げの第2の深さDB、すなわち、長手方向の曲げの最大深さは、長手方向弧2(2つの横バンド21および22の中点を通る)上の点とそれに対応する弦3(この弦はここではグレージングの長さLでもある)との間の最大距離の長さである。横バンド21および22は、それぞれ中点25および26を有する。
【図2】同じ深さの曲げ7を有するが、中央領域8および9の曲率に関して、それぞれ非常に異なる2つのグレージングの組立体を比較する図である。(a)は、中央領域8において非常に平坦であるグレージング組立体10の図である。(b)は、中央領域9においてより湾曲されたグレージング組立体11の図であり、これは、より調和的な形状、より良好なワイピング品質と連携し、現在の自動車の一般的な形状により良好に適合する。
【図3】2つの横断方向バンド21および22の中点25および26を通る対称の垂直平面内を通るその長手方向弧(これは図1bの弧2である)を貫通する断面における、自動車両に取り付けられたときのグレージング組立体12、およびその角度以下で垂直の二重像化の量が測定される20°の角度α(視角)を示す図である。垂直の二重像化の量は、水平線13と、横バンドの中点を通る、すなわち横バンド21および22の中点25および26を通る長手方向弧の弦14(これは図1bの弦3である)との間の20°の角度αのところで測定される。水平線13は、自動車両内の乗客の視野方向にほぼ対応する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施例
同一のウインドシールドを、同一のフロートガラス板のバッチから、但し2つの異なる曲げプロセスを使用することによって製造した。2つのバージョンを製造した。一方は、非常に大型であり(「TG」と称される)、他方は、より通常のサイズ(「N」と称される)のものであった。これらのウインドシールドの寸法は、次の通りであった:
非常に大型のウインドシールド(TG):
長さL:1.48m;
幅l:1.4m(ウインドシールドが自動車に取り付けられたとき水平で);
L×l:2.072m
サグF:103mm;
曲げの第2の深さDB:105mm;
F×DB:10815mm
重心を通る表面の法線上に位置する点Pにおける曲率の最大半径:1500mm。
通常のウインドシールド(N):
長さL:1.1m;
幅l:1.2m(ウインドシールドが自動車に取り付けられたとき水平で);
L×l:1.32m
サグF:80mm;
曲げの第2の深さDB:25mm;
F×DB:2000mm
重心を通る表面の法線上に位置する点Pにおける曲率の最大半径:3500mm。
【0034】
ウインドシールドは、厚さ0.76mmのPVBのシートによって分離された、各々が2.1mmの厚さの2枚のガラス板が積層されて構成されたものであった。両方の場合とも、2枚のガラス板を、重ねることによって一緒に曲げた。
【0035】
グレージングNを、国際公開第04/103922号の図3に記載されたタイプの二重骨組を用いる従来の重力曲げによって成形した。比較例2に関しては、ウインドシールドGを、国際公開第04/103922号の図9に示された原理に基づいて、あらゆるバス効果を回避するために内部のゾーン支持体を含む、複合支持の骨組を用いる重力曲げによって成形した。比較例3に関しては、ウインドシールドTGを、最初、最終的なサグの30パーセントにあたるサグが得られ、曲げの最終的な第2の深さの50%にあたる曲げの第2の深さが得られるまで、620℃の温度で、単一の骨組を用いる重力曲げによって成形した。こうして事前に曲げられたグレージングを、次いで、国際公開第04/087590号の図2に示されたプロセスの原理に基づいて600℃で、これを中実の型に対して押さえ付けることによって成形作業にかけた。
【0036】
各々のガラス板の厚さ変動を、共焦点光学センサを用いて、組立前に測定した。
【0037】
2枚のガラス板を、次いで、当業者に知られている方法で中間のPVBシートを伴って合わせグレージングとして互いに結合した。
【0038】
二重像化の量を、グレージングの重心を通る表面の法線上に位置する点Pにおいて、水平線と、2つの横断方向バンドの中間距離においてグレージングの2つの点を結合する長手方向弦との間の20°の視角αで測定した。二重像化の量を、標的試験技術、またはECE R43法規に記載された視準テレスコープ試験技術を用いて測定した。
【0039】
表1は、結果を示している。この表で示された温度は、重心を通る表面の法線上に位置する点Pにおける各々のガラス板のものである。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートガラスから作製された、湾曲されたガラス板であって、ガラス板の主要面の面積が、1.5mを上回り、ガラス板の曲げの2つの深さの積が、3000mmを上回り、ガラス板の重心を通るガラス板の表面の法線上に位置するガラス板の点が、いずれの方向においても3m未満の曲率半径を有するように、長手フロート方向におけるガラス板の厚さの変動が、500mmにわたって10μm未満である、ガラス板。
【請求項2】
ガラス板の厚さの変動が、長手フロート方向500mmにわたって7μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載のガラス板。
【請求項3】
主要面の面積が、1.8mを上回ることを特徴とする、請求項1または2に記載のガラス板。
【請求項4】
ガラス板の曲げの2つの深さの積が、6000mmを上回り、ガラス板の重心を通るガラス板の表面の法線上に位置する点が、いずれの方向においても2m未満の曲率半径を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項5】
ガラス板の厚さが、1.1mmから2.8mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス板。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のいくつかのガラス板を備え、前記いくつかのガラス板のフロート方向が相互に一致する、合わせグレージング組立体。
【請求項7】
二重像化の測定されたレベルが、
グレージングの重心を通るグレージングの表面の法線上に位置するグレージングの表面上の点を通り、
20°の視角のところで最大で7分であることを特徴とする、請求項6に記載のグレージング組立体。
【請求項8】
請求項7に記載のグレージングを備えるウインドシールド。
【請求項9】
請求項8に記載のウインドシールドであり、横断フロート方向が水平である、ウインドシールドを備える自動車両。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載の湾曲されたガラス板を製造するためのプロセスであって、ガラス板を中実の型に押し付けて曲げ、グレージングにグレージングの曲げの2つの最終深さの各々の少なくとも50%を与えるステップを含む、プロセス。
【請求項11】
中実の型に押し付けて曲げる間、ガラスの重心を通るガラスの表面の法線上に位置するガラスの表面上の点におけるガラスの温度が、590℃から615℃の間であることを特徴とする、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
ガラス板を中実の型に押し付けて曲げるステップの直後、冷却ステップが続くことを特徴とする、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
ガラス板を中実の型に押し付けて曲げるステップが、重力曲げステップによって先行されることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
重力曲げの間、ガラスの重心を通るガラスの表面の法線上に位置するガラスの表面上の点におけるガラスの温度が、610℃から640℃の間であること特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
いくつかの重ねられたガラス板が、同時に曲げられることを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載のプロセス。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−528062(P2012−528062A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512429(P2012−512429)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050975
【国際公開番号】WO2010/136702
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】