説明

二重画面ディスプレイパネル

【課題】横対縦の空間周波数比率が16:9を満足する映像を表示可能な二重画面ディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】赤色11、青色12、緑色13のセルがこの順で直線状に周期的に配置された第1の垂直セルラインと、第1の垂直セルラインに隣接して、第1の垂直セルラインの赤色11のセルと青色12のセルとの界面の横側に緑色21のセルを配列し、続いて垂直に赤色22、青色23のセルが周期的に配置された第2の垂直セルラインと、第2の垂直セルラインに隣接して、第2の垂直セルラインと同じ垂直位置に配置された第3の垂直セルラインと、第3の垂直セルラインに隣接して、第1の垂直セルラインと同じ垂直位置に配置された第4の垂直セルラインと、第1視聴方向に第1映像を、第2視聴方向には第2映像を表示できる視差バリヤー手段と、を備える二重画面ディスプレイパネルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重画面ディスプレイパネルに係り、特にセル配列方法を改善することによって、理想的な画面比率を提供するディスプレイパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二重画面ディスプレイ装置では、複数のユーザが同時に一つの画面を見るように設計されるものではなく、異なる方向から一つのディスプレイ画面を見る二名の観察者が異なる画像を見るように設計される。これは、同じディスプレイから他の情報を見るのが個々のユーザに望ましい場合に使われる。例えば、自動車内で、運転者は衛星航法データを見ることを所望する一方、乗客は映画を見ることを所望するとき、かかる対立的な要求は、別途の二つのディスプレイ装置を提供する代わりに、二重画面ディスプレイが使われて満足されうる。そして、かかる二重画面ディスプレイ装置は、コスト、空間及び重量を大きく低減できる。
【0003】
二重画面ディスプレイの他の利点は、ユーザが他人の画面を見ることを防止できるというところにあるので、現金自動預け払い機(ATM)を使用する商取引のように安全性が要求される分野及びコンピュータゲームの分野等への応用が期待されている。又、二重画面ディスプレイは、3次元ディスプレイの製作にも適用可能である。
【0004】
従来の二重画面ディスプレイ装置を生成する時は、図1の破線に示すように、水平方向(行方向)に沿って、赤色(R)、赤色(R)、緑色(G)、緑色(G)、青色(B)、青色(B)のセルを配列して一つの画素(ピクセル)を形成している。このとき、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のセルは、それぞれストリップ構造をなす。この構造を1920×1080のフルHD(High Definition)級ディスプレイ装置に適用して、二つの960×1080級映像が実現できる。
【0005】
一般的に、横対縦の空間周波数比率が4:3であるが、16:9を満足する時に最も理想的な映像を実現できるが、従来の構造は、960×1080であって、その条件を満足しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、赤色、青色、緑色のセルの配列方法を改善することによって、概ね横対縦の空間周波数比率が16:9を満足する理想的な映像を表示可能な二重画面ディスプレイパネルを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、赤色、青色、緑色のセルがこの順で直線状に周期的に配置され、垂直方向に延伸する第1の垂直セルラインと、第1の垂直セルラインに隣接して、第1の垂直セルラインの赤色のセルと青色のセルとの界面の横側に緑色のセルを配置し、続いて赤色、青色のセルが周期的に配置され、垂直方向に延伸する第2の垂直セルラインと、第2の垂直セルラインに隣接して、第2の垂直セルラインと同じ垂直位置に配置され、垂直方向に延伸する第3の垂直セルラインと、第3の垂直セルラインに隣接して、第1の垂直セルラインと同じ垂直位置に配置され、垂直方向に延伸する第4の垂直セルラインと、第1視聴方向に第1映像を、第2視聴方向には第2映像を選択的に表示させる視差バリヤー手段と、を備える二重画面ディスプレイ装置を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるディスプレイパネルは、赤色、青色、緑色のセルの配列方法を改善することによって、理想的な画面比率の二重画面ディスプレイ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付された図面に示した本発明による実施形態を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0010】
図1は、従来の二重画面ディスプレイ装置のセル配列構造を示す図面である。図2は、本発明の一実施形態による二重画面ディスプレイパネルの上部から見たセル配列を示す図面であり、図3は、図2に示した二重画面ディスプレイパネルの原理を説明するための図2のI−I方向から見た断面図の一部である。
【0011】
図2及び図3に示した本発明の一実施形態に係る二重画面ディスプレイパネルは、単一画面ディスプレイパネルと異なり、図2の破線で示したように、赤色、赤色、緑色、緑色、青色、青色のセルの配列が一つの画素(ピクセル)を構成している。赤色、緑色、青色のセルは、それぞれ長方形のストリップ構造(短冊構造)をなしている。
【0012】
即ち、本発明の一実施形態に係る二重画面ディスプレイパネルは、図2に示すように、互いに平行に垂直方向(列方向)に延伸する第1の垂直セルライン10、第2の垂直セルライン20、第3の垂直セルライン30及び第4の垂直セルライン40の配列を単位配列(ユニット)とし、この単位配列を水平方向(行方向)に周期的に配列している。ここで、第1の垂直セルライン10は、赤色11、青色12、緑色13のセルがこの順で直線状に周期的に配置されて構成され、垂直方向に延伸している。第2の垂直セルライン20は、第1の垂直セルライン10に隣接して、第1の垂直セルラインの赤色11のセルと青色12のセルとの界面の横側に緑色21のセルが配置され、緑色21のセルに続いて赤色22のセル、青色23のセルが周期的に配置されて構成され、垂直方向に延伸している。第3の垂直セルライン30は、第2の垂直セルライン20に隣接して、第2の垂直セルラインと同じ垂直位置で緑色31、赤色32、青色33のセルが配置されて構成され、垂直方向に延伸している。第4の垂直セルライン40は、第3の垂直セルライン30に隣接して、第1の垂直セルライン10と同じ垂直位置で赤色11、青色12、緑色13のセルがこの順で直線状に周期的に配置されて構成され、垂直方向に延伸している。この結果、第1の垂直セルライン10と第2の垂直セルライン20とは垂直方向に互いに1/2周期ずれ、第3の垂直セルライン30と第4の垂直セルライン40とは垂直方向に互いに1/2周期ずれて、煉瓦目地模様をなしている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る二重画面ディスプレイパネルでは、第1視聴方向に第1映像を、第2視聴方向には第2映像を選択的に表示させる視差バリヤー手段50が必要であるが、図3に示すような第1〜第4の垂直セルラインの配列面に垂直方向の隔壁が、視差バリヤー手段50の機能をなす。隔壁は金属薄膜等の遮光性材料で構成すれば良い。視差バリヤー手段50は、第2の垂直セルラインと第3の垂直セルラインとの間、及び第4の垂直セルラインと第1の垂直セルラインとの間に垂直方向に延伸して、周期的に設けられている。尚、「垂直」及び「水平」は定義の問題である。即ち、本明細書では第1〜第4の垂直セルラインが延伸している方向を便宜上、「垂直方向」に選択しているが、現実には配列を90度回転して、「垂直方向(列方向)」と「水平方向(行方向)」とが入れ替わる場合や、「垂直方向」と「水平方向」が、現実の「垂直方向」と「水平方向」に対し斜め方向に延伸する場合も許容されることは勿論である。
【0014】
解像度1920×1080のフルHD級ディスプレイ装置を二重画面ディスプレイとして実現するとき、従来のストリップ形態(図1参照)でセルを配列すれば、960×1080級の二つの映像をそれぞれ表示できる。
【0015】
映像を表現するディスプレイ装置は、理想的な映像を表示するために、横対縦の空間周波数比率を4:3、さらに16:9としているが、従来の二重画面ディスプレイパネルのセル配列構造は、960:1080であって、かかる比率を満足しない。
【0016】
図1は、従来の二重画面ディスプレイパネルの一部のセル配列構造を示す図面であり、破線で示したように水平方向(行方向)に赤色、赤色、緑色、緑色、青色、青色の6つのセルを順に配列して一つの画素(ピクセル)を構成し、芋目地模様をなしている。一方、図2は、本発明の一実施形態に係る二重画面ディスプレイパネルの一部のセル配列構造を示す図面であり、破線で示したように水平方向に配列された2つの赤色のセルの下側に、水平方向に配列された2つの青色のセルを配列し、更に赤色のセルと青色のセルとの界面の両側に2つの緑色のセルを配列して挟んで、計6つのセルで一つの画素(ピクセル)を構成している。画素(ピクセル)の構造は異なるものの、図1及び図2に示された配列部分の領域に含まれる総画素数は、それぞれ12個となる。従来の発明では、図1に示された配列部分の領域には、横方向には4個の画素が配列され、縦方向には3個の画素が配列されている。しかし、本発明の一実施形態に係るセル配列構造では、図2に示された配列部分の領域には、横方向に6個、縦方向に2個の画素が配列される。したがって、本発明の煉瓦目地模様の配列は、従来の芋目地模様の配列に比べて、横方向の画素の配列数が4個から6個になるので3/2倍解像度が向上し、縦方向の画素の配列数が3個から2個に減少するので2/3倍解像度が低下するという結果が生じる。
【0017】
解像度の側面で、従来のセル配列構造での解像度である960×1080と比較するとき、本発明は、横には960の3/2倍である1440、縦には1080の2/3倍である720、すなわち1440×720の解像度を有するので、約16:9に近い比率である2:1の横対縦の比率が生じる。
【0018】
表1は、HD級ディスプレイ装置で単一画面ディスプレイである場合、従来のセル配列構造による二重画面ディスプレイである場合、本発明による二重画面ディスプレイである場合の解像度を比較したものである。
【表1】

【0019】
表1を参照すれば、従来の二重画面ディスプレイ装置のセル配列では、垂直解像度はそのままであるが、水平解像度のみが1920から960に50%低下して理想的な画面比率を有しないが、本発明のセル配列によれば、水平解像度は1920から1440に67%、垂直解像度は1080から720に75%低下して理想的な画面比率である16:9にさらに近くなるということが分かる。
【0020】
さらに、他の解像度(1366×768、1024×720)のディスプレイ装置でも、同様な結果を見せるということが分かる。
【0021】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、当業者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲により決められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、二重画面ディスプレイパネル関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の二重画面ディスプレイ装置のセル配列構造を示す図面である。
【図2】本発明の一実施形態に係る二重画面ディスプレイパネルのセル配列構造を示す図面である。
【図3】二重画面ディスプレイパネルの原理を説明するための、図2のI−I方向から見た断面図の一部である。
【符号の説明】
【0024】
10 第1の垂直セルライン
20 第2の垂直セルライン
30 第3の垂直セルライン
40 第4の垂直セルライン
11,12,13 第1の垂直セルラインに配列される赤色、青色、緑色のセル
21,22,23 第2の垂直セルラインに配列される緑色、赤色、青色のセル
31,32,33 第3の垂直セルラインに配列される緑色、赤色、青色のセル
41,42,43 第4の垂直セルラインに配列されるの赤色、青色、緑色のセル
50 視差バリヤー手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、青色、緑色のセルがこの順で直線状に周期的に配置され、垂直方向に延伸する第1の垂直セルラインと、
前記第1の垂直セルラインに隣接し、前記第1の垂直セルラインの赤色のセルと青色のセルとの界面の横側に緑色のセルを配置し、続いて順に赤色、青色のセルが周期的に配置され、垂直方向に延伸する第2の垂直セルラインと、
前記第2の垂直セルラインに隣接し、前記第2の垂直セルラインと同じ垂直位置に緑色、赤色、青色のセルがそれぞれ配置され、垂直方向に延伸する第3の垂直セルラインと、
前記第3の垂直セルラインに隣接して、第1の垂直セルラインと同じ垂直位置に赤色、青色、緑色のセルがそれぞれ配置され、垂直方向に延伸する第4の垂直セルラインと、
第1視聴方向に第1映像を、第2視聴方向には第2映像を選択的に表示させる視差バリヤー手段と、を備えることを特徴とする二重画面ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記ディスプレイ装置は、プラズマ放電により駆動されることを特徴とする請求項1に記載の二重画面ディスプレイパネル。
【請求項3】
前記視差バリヤー手段は、垂直方向に延伸し、且つ前記第1〜第4の垂直セルラインの配列面に垂直な隔壁であることを特徴とする請求項1に記載の二重画面ディスプレイパネル。
【請求項4】
前記第1〜第4の垂直セルラインの配列を単位配列として、該単位配列を水平方向に周期的に配列したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二重画面ディスプレイパネル。
【請求項5】
前記視差バリヤー手段を前記第2の垂直セルラインと前記第3の垂直セルラインとの間、及び前記第4の垂直セルラインと前記第1の垂直セルラインとの間に、垂直方向に延伸して、周期的に設けたことを特徴とする請求項4に記載の二重画面ディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−96990(P2008−96990A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236417(P2007−236417)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】