説明

二重管ケーシングを有するハニカム体

【課題】ハニカム体を機械的な損傷から確実に保護し、同時にできるだけ軽量である管ケーシングを持つハニカム体を提供する。
【解決手段】本発明は、半径方向(4)に実質的にガス不浸透でありまた少なくとも1つの内側管ケーシング(2)と少なくとも1つの外側管ケーシング(3)とを備えた管ケーシング(1)内に、流体が通って流れることができるハニカム構造体(10)を備えたハニカム体(9)であって、少なくとも外側管ケーシング(3)は少なくとも小領域にカットアウト(6)を有する、ハニカム体に関する。本発明によるハニカム体(9)は、標準的な管ケーシングに比べて軽量であるがそれにも係わらず同じ機械的安定性および気密性を持つ管ケーシング(1)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が通って流れることができまた二重管ケーシング内に収容されているハニカム構造体を有するハニカム体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム体は空洞を持ち、流体が少なくともこれら空洞へと、そして通常はこれら空洞を貫いて流れることができる。ハニカム体は排ガスの処置のための触媒支持体として用いられる。これらには、特に、例えば乗物(例えば自動車、オートバイ、ボート、飛行機、4輪バイク、3輪バイクなど)で、または定置の分野、例えば、発電機の排気システムでまたは発電所で用いられる内燃機関からの排ガスを含む。これらハニカム体は、管ケーシング内に保持されるハニカム構造体を備える。ハニカム構造体はまた、開放または閉鎖設計の微粒子フィルター(特に互い違いの側が閉鎖される通路を持つディーゼル微粒子フィルター)として形成することができる。
【0003】
管ケーシングは通常は2つの機能を果たさなければならない。第1は、排ガスのすべてがハニカム構造体を確実に貫流するように意図されていること、そして第2は、ハニカム体またはハニカム構造体を外部からの機械的な損傷から保護しなければならないことである。このような損傷は非常に広範囲な原因で、例えば、ハニカム体が自動車両で用いられる場合は石の衝撃の結果として起こり得る。さらに、例えば、メンテナンスを行っているときに工具が滑ってハニカム体に損傷を生じることもあり得る。
【0004】
一方で、特に管ケーシングの製造において材料を節約する必要がある。さらに、これらケーシングを可動システムで用いる場合は、できるだけ軽量であることが有利である。しかし同時に、管ケーシングの重量を減らすことで気密性および機械的安定性が損なわれることがあってはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、可能な限り排ガスのすべてがハニカム構造体を確実に貫流するようにする一方で、ハニカム体を機械的な損傷から確実に保護し、同時にできるだけ軽量である管ケーシングを持つハニカム体を提供するという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1の特徴を有するハニカム体によって実現される。いくつかの有利な改良点が従属請求項の主題を形成している。本発明によるハニカム体は、半径方向に実質的にガス不浸透でありまた少なくとも1つの内側管ケーシングと少なくとも1つの外側管ケーシングとを備えた管ケーシング内に、流体が通って流れることができるハニカム構造体を備えている。本発明によれば、少なくとも外側管ケーシングは少なくとも小領域にカットアウトを有する。
【0007】
ここでは、カットアウトとは、特に管ケーシングの材料厚が減る領域を意味するものとして理解されたい。特に、半径方向の開口部または穴部もまた本発明の意味ではカットアウトを構成する。本発明によれば、内側管ケーシングをできるだけ薄い材料から実質的にガス不浸透の形態で製造する一方で、外側管ケーシングをもっと厚い材料から形成することが可能であるという有利がある。このようにして、ガス不浸透であり且つ機械的安定性が保証され同時に比較的軽量である管ケーシングを製造することが可能である。これは内側管ケーシングおよび外側管ケーシングの両方がカットアウトを持つことによっても等し
く可能である。このようにして各管ケーシングの重さを減らすことが可能である。この場合には、特に内側管ケーシングのカットアウトが外側管ケーシングのカットアウトと重ならず、むしろ各々他方の管ケーシングのカットアウトがない連続した領域に対向する場合に有利である。このようにして、この場合でも可能な最大気密性が保証される一方で、機械的安定性が比較的低重量で実現される。特に、管ケーシングは、例えば特殊鋼などの高温腐蝕に耐性のある材料から製造される。ハニカム構造体は好ましくは、例えば排ガスなどの流体が通って流れることができる通路を備える。このタイプのハニカム構造体は、例えば押出し物の形態のセラミック材料から製造することができる。同時に、ハニカム構造体は、例えば、少なくとも一部が構造化された層とほぼ平坦な層とを合わせて巻き付けて、これによって少なくとも一部が構造化された層が平坦な層と接触するとき通路を形成することによって、層から構築することも可能である。これら層は金属層およびセラミック層の両方を含み得る。本発明では、層は特にシートメタル層またはファイバー層を意味するものとして理解されたい。ハニカム構造体は標準的な触媒支持体であり得るが、そうではないものとしてまたはこれに加えて、ハニカム体が微粒子フィルターとしてまたは閉鎖微粒子トラップとして働くことも可能である。閉鎖微粒子トラップの場合には、互い違いの側が閉鎖される通路とするのが一般的であり、排ガスは通路へと流れるが同じ通路を通ってハニカム体から出て行くことはできず、通路壁を突き抜けて隣の通路へと流れなければならず、これにより排ガスに含有される微粒子が多孔通路壁に閉じ込められる。
【0008】
本発明によるハニカム体の有利な改良によれば、ハニカム構造体は少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された金属層を備える。
【0009】
この場合には、ハニカム体は、例えば、特に単一の少なくとも一部が構造化された金属層を螺旋状に巻き付けて、または少なくとも一部が構造化された層をほぼ平坦な層と共に螺旋状に巻き付けて形成され得る。しかし同時に、少なくとも一部が構造化された箔および、選択的に、ほぼ平坦な層から形成される積層体を製造して、これら積層体のうちの1つ以上を同じ方向にまたは反対方向に絡み合わせることもまた可能である。
【0010】
本発明によるハニカム体の別の有利な構成によれば、内側管ケーシングは第1材料厚を有し、外側管ケーシングは第2材料厚を有し、第1材料厚と第2材料厚との比率は1より小さい。
【0011】
特に、内側管ケーシングのみをカットアウトなしで形成する場合は、外側管ケーシングを形成するために用いられる金属シートに比べて材料厚が小さい金属シートからカットアウトなしで形成される内側管ケーシングによって気密性が得られるため、相当程度の軽量化を実現することが可能である。特に、材料厚の比率は好ましくは0.5より小さいか、特に好ましくは0.3またはさらに0.2より小さい。第1および第2材料は好ましくは高温腐蝕に対して耐性がある。特に、特殊鋼が用いられる。
【0012】
本発明によるハニカム体の別の有利な構成によれば、内側管ケーシングおよび外側管ケーシングは少なくとも結合領域で互いに結合される。ここでは、結合とは、特に粘着性、圧力フィットおよび/または形状フィットの結合を意味するものとして理解されたい。ここでは、粘着性結合、特に溶接および/またははんだ付け結合が好適である。ここでは、はんだ付けという用語は、特に、真空中で高温で行われるハードはんだ付け(鑞付け)プロセスを意味するものとして理解されたい。特にスポット溶接、レーザー溶接および/または、ローラシーム溶接などの抵抗溶接プロセスが有利な溶接プロセスであることが分かっている。これらすべての結合プロセスにより、所定の小領域で内側および外側管ケーシング間の結合を形成することが可能である。
【0013】
本発明によるハニカム体が自動車の排気システムで使用される場合は、ハニカム構造体
はそれ故管ケーシングもまた高い熱勾配および/または過渡現象に晒され、これはシステム全体が相当の負荷を負うことを示す。これらの負荷に持ちこたえ得るためには、ハニカム構造体および/または管ケーシングは、いくつかの領域では同じ構成要素の他の部分かまたは各々他の構成要素に結合され、その他の領域では結合は行われないかまたは特に避けるようにすると有利である。このようなシステムは、多くの場合、連続して結合されているシステムより変動熱応力により良く持ちこたえることができる。従って、特に所定の小領域のみに結合を形成することによって、自動車両または定置設備の排気システムで使用中に遭遇する変動熱応力に良好に適合する管ケーシングを提供することが可能である。特に、可動の応用例では、排気システムの構成要素は定期的に加熱され再び冷却される。この場合温度勾配および過渡現象は相当なものである。従って、個々の構成要素の様々な熱膨張を吸収するのに非常に適しているハニカム体そしてまた管ケーシングは有利である。本発明によれば、これは内側および外側管ケーシングの対応する小領域のみを互いに結合させることによって実現され得る。この種の結合により、後の変動熱応力中での熱特性を考慮に入れることが、または管ケーシング製造中という早い段階であってもこれを明確に設定することさえ可能となる。
【0014】
本発明によるハニカム体の別の有利な構成によれば、結合領域がハニカム体の端面の領域で全周にわたって形成される。
【0015】
ここでは、端面の領域という用語は、特に、ハニカム体の直端面を、または端面に隣接するハニカム体の長さの10%または20%の領域にわたることを意味する。全周にわたる結合領域によって、所与の密封機能が保証され、これにより内側管ケーシングと外側管ケーシングとの間を排ガスが迂回して流れるのを避けるという利点がある。
【0016】
本発明によるハニカム体の別の有利な構成によれば、内側管ケーシングおよび/または外側管ケーシングは、少なくとも1つの浮き出し形成部を持つ少なくとも1つの小領域を有する。
【0017】
ここでは、浮き出し形成部とは、管ケーシングの他の小領域に比べて変更された直径または半径を有する小領域を意味するものとして理解されたい。この場合、浮き出し形成部領域の管ケーシングの材料厚も、管ケーシングの残りの部分の材料厚と異なってもよい。このタイプの浮き出し形成部を持つ小領域は、内側管ケーシングおよび外側管ケーシングの両方に形成され得る。これら浮き出し形成部は様々な機能を果たす。第1に、各管ケーシングを形成する材料を強化し、これにより同じ厚さの場合、浮き出し形成部を持つ管ケーシングは、浮き出し形成部を持たない管ケーシングより安定性において相当程度有利である。第2に、これら浮き出し形成部は追加の機能を果たすという利点がある。これらには第1に、内側および外側管ケーシング間に、断熱の働きをし得る空気間隙を形成すること、第2に、明確に画定された結合領域を形成することがある。管ケーシング間では、外側管ケーシングが例えば内向きの浮き出し形成部を持ち、これによって2つの管ケーシングをこの浮き出し形成部の領域で特に簡単な方法、例えばスポット溶接で結合させることができる。一方、空気間隙を形成するように各々他方の管ケーシングから離れる方向に向かう浮き出し領域では、はんだをその中に保持させ、これによりこの場合に浮き出し形成部は、2つの管ケーシングをいくつかの小領域のみで互いに確実に結合させる一種のはんだ貯蔵部として働くことができる。このタイプの間隙にはんだを導入しない場合は、この間隙内でははんだが液化するときはんだを分散させる毛管力が効果的に抑制されるため、浮き出し形成部は特に内側および外側管ケーシングの結合を防ぐことができる。
【0018】
本発明によるハニカム体の有利な構成によれば、少なくとも1つの結合領域が、内側管ケーシングまたは外側管ケーシングの浮き出し形成部を持つ小領域によって形成される。
【0019】
この場合、上述のように、浮き出し形成部は一方でははんだ貯蔵部として働き、他方では原則的には内側および外側管ケーシング間の明確に画定された結合領域を形成する方法として働くことができ、これによって浮き出し形成部以外の他の小領域での結合が抑制される。明確に画定された結合領域の形成することにより、一方ではその熱膨張特性を正確に前もって決定することができ、また他方では各々の用途に適応するようにすることができる管ケーシングを提供することができる。
【0020】
本発明を添付の図面を参照して以下により詳細に説明するが、本発明はこれらに示す例示的な実施形態に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、ハニカム体のための内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とを備えた管ケーシング1を示す。この管ケーシング1は図示しないハニカム構造体を取り囲み、ハニカム構造体を貫いて流体が流れることができる。管ケーシング1は、軸方向5に対して垂直である半径方向4には実質的にガス不浸透である。従って、ガスは軸方向5に管ケーシング1を貫流することができるが、半径方向4のガス流は実質的に回避される。明確化のために、図1では、内側管ケーシング2が外側管ケーシング3内に完全には押し込まれていない図を選択したが、完成したハニカム体では、管ケーシング2、3は完全に重なり得る。管ケーシング2、3が少なくともハニカム構造体が形成される軸方向の小領域内で重なっていると特に有利である。
【0022】
本例示的実施形態では、内側管ケーシング2は実質的にガス不浸透である。これは特にいかなるカットアウトも持たない連続した金属箔により形成される。これに対して、外側管ケーシング3はカットアウト6を有する。
【0023】
本例示的実施形態では、内側管ケーシング2および外側管ケーシング3は互いに結合される。特に、例としては、管ケーシング2、3間には圧力フィット、形状フィットおよび/または粘着性の結合が存在する。2つの管ケーシング2、3間に特に粘着性結合が存在する結合領域7を形成することが特に有利である。例としては、結合領域7に、はんだ付け結合、特に高温真空はんだ付け(鑞付け)結合を形成することが可能である。特に、結合領域7は、内側管ケーシング2および/または外側管ケーシングの、ハニカム体の端面8の領域に形成される。この場合、結合領域7は密封機能を果たすことができ、これにより、ガスが2つの管ケーシング間を流れ次に外側管ケーシング3内でカットアウト6を通って外側に徐々に流れるのが回避される。結合は、結合領域7内ではんだ付けおよび/または溶接もしくは別の結合手法によって行われ得る。例えばローラシーム溶接などの抵抗溶接プロセスによって結合を形成することが特に有利である。
【0024】
内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とからなる管ケーシング1の構造は、実質的にガス不浸透であるが同時に比較的軽量である管ケーシング1の形成を可能にするという利点がある。この場合、内側管ケーシング2は、カットアウトはなしで形成され、ハニカム構造体を半径方向4に気密であるように閉鎖することができる一方、外側管ケーシング3は内側管ケーシング2およびハニカム構造体を外部からの機械的な損傷から保護する。例えば、特に、内側管ケーシング2を比較的薄い材料厚で形成する一方で、外側管ケーシング3をより厚くして、これにより例えば石による衝撃などの外部の動きによりまたは工具の滑りなどにより生じる機械的な損傷を効果的に避けることが可能である。このようにして、同じ機械的特性および気密性に関する同じ特性を有する単層で無孔の管ケーシングに比べて、管ケーシング1の重さを効果的に減らすことが可能である。特に、従って、管ケーシング1の気密性の機能と、管ケーシング1の機械的な保護とを機能的に分離し、このようにしてこれら各々の副機能に特定的に適応させる内側管ケーシング2および外側管ケーシング3を提供することが初めて可能となった。
【0025】
例示的実施形態1では、カットアウト6の形状は長方形として示されている。しかし、円形、楕円形または多角形のカットアウトを設けることも等しく可能である。カットアウト6は特に開口部または穴部である。カットアウトが単に材料厚の小さい領域を形成することもまた可能である。
【0026】
またカットアウトを著しく小さくまたは大きくすること、もしくはカットアウトのない小領域をカットアウト6がある他の小領域間に形成することも可能である。
【0027】
図2は、本発明によるハニカム体9の例示的実施形態を示す。本発明によるハニカム体9は、流体が貫流し得る通路11を有するハニカム構造体10を備えている。本例示的実施形態では、これら通路11は、ほぼ平坦な金属層12と少なくとも一部が構造化された金属層13とによって形成される。他の方法で形成されたハニカム構造体10、例えばセラミック材料からモノリス体が突き出たものなどもまた可能であり本発明によるものである。ハニカム構造体10が層12、13から形成される場合は、本発明は、ここに例示した1つのほぼ平坦な層12と1つの少なくとも一部が構造化された層13とを螺旋状に巻き付けたものに限定されない。一例としては、ほぼ平坦な層12と少なくとも一部が構造化された層13とから複数の積層体を形成して、これら積層体のうちの1つ以上を同じ方向にまたは反対方向に絡み合わせることも可能である。ここでは、ほぼ平坦という用語は、ほぼ平坦な層12は構造部を持ってもよいがこれら構造部の振幅は少なくとも一部が構造化された層13の構造部の振幅より相当小さいことを意味する。
【0028】
ハニカム体9は、内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とを備えた管ケーシング1を有する。本発明によれば、外側管ケーシング3は、図面に一例として示されているカットアウト6を有する。ここに示す例示的実施形態はまた、管ケーシング2、3の間に空洞14が存在し、内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とはスペーサー15によって離され結合領域16で接合手法によって互いに結合されるという事実によって特徴付けられる。
【0029】
図3は、内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とを備えた管ケーシング1を模式的に示す。本発明のこの例示的実施形態では、管ケーシング2、3は、内側管ケーシング2と外側管ケーシング3との間が可能最小距離であるように構成される。外側管ケーシングは、図では実線によって表されるカットアウト6を有する。内側管ケーシング2は、図では点線によって示されるカットアウト17を有する。内側管ケーシング2は外側管ケーシング3に対して、カットアウト6とカットアウト17とが互いに重ならないような角度で配置される。従って、管ケーシング2、3の一方の各カットアウト6、17は、他方の管ケーシング2、3のカットアウトがない領域に対向して配置される。次に内側管ケーシング2を外側管ケーシングに特に接合手法によって結合すると、結果として半径方向4で実質的にガス不浸透である管ケーシング1が得られる。同時に、管ケーシング1は従来の管ケーシングより相当程度軽くされる。
【0030】
図4は、2つの異なる状態における内側管ケーシング2または外側管ケーシング3を模式的に示す。ハニカム体を製造するとき、異なる直径のハニカム体そしてそれ故管ケーシングも製造することが必要な場合が多い。本発明はまた、直径が領域によって変動するがそれにも係わらず実質的にガス不浸透で且つ機械的に安定している管ケーシング1を提供することができる。この場合、先ず、管ケーシング1における内側管ケーシング2でも外側管ケーシング3でもよい管ケーシング18を、第1形状のカットアウト19を有する第1状態で製造する。第1状態の管ケーシング18を方向20に変形させることによって、第1状態の管ケーシング18は第2状態の管ケーシング21へと変換される。第2状態の管ケーシング21は第2形状のカットアウト22を有する。本例示的な実施形態では、第
1形状の楕円形のカットアウト19が第2形状のほぼ円形のカットアウト22へと変換された。第1状態の管ケーシング18を第2状態の管ケーシング21に変換することによって生じる他のいかなる形状変化もまた可能であり本発明によるものである。特に、このようにして異なる直径の管ケーシング18、20を製造することが可能である。このようにして少ない数の管ケーシング18の基本形状を用いて比較的多数の第2状態の管ケーシング21を製造することができるため、ハニカム体製造工場での在庫保持要件および工具構成を減らすことが可能であるという有利がある。内側管ケーシング2および外側管ケーシング3の両方共対応する方法で製造し得ることは理解されよう。
【0031】
図5は、本発明によるハニカム体9の別の実施形態の一部を模式的に示す。このハニカム体9は、結合領域16で互いに結合される内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とを備える。内側管ケーシング2はカットアウト6を有する。外側管ケーシングは浮き出し形成部23を有する。浮き出し形成部とは、管ケーシング2、3の半径が変更されている、すなわち管ケーシング2、3の隣接する領域の半径より小さいかまたはこれら領域の半径より大きい管ケーシング2、3の領域を意味するものとして理解されたい。本例示的実施形態では、浮き出し形成部23は、外側管ケーシング3の残りの領域より直径または半径が大きい。内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とを有し内側管ケーシング2または外側管ケーシング3が浮き出し形成部23を持つ管ケーシング1の形状はまた、内側管ケーシング2および/または外側管ケーシング3でのカットアウト6の形成とは関係なく可能でもある。浮き出し形成部23は、一方で、浮き出し形成部23の領域ではハニカム体によって提供される断熱性を向上させ、従ってハニカム体からの熱の外部への放散を低減する。他方、このタイプの浮き出し形成部はまた各管ケーシング2、3を形成する箔を補強する。従って、浮き出し形成部23を適切に設計することにより、浮き出し形成部23を持たないより厚い材料から製造される対応する管ケーシング2、3と同じ機械的安定性を有する内側管ケーシング2および/または外側管ケーシング3を形成することが可能である。この結果、対応する浮き出し形成部23を有する、内側管ケーシング2および外側管ケーシング3を備えた二重管ケーシング1もまた、対応する従来の管ケーシング1と同程度の安定性を実現する一方でこれより軽量の管ケーシング1を製造するために使用することができる。
【0032】
図6は同様に形成された管ケーシング1を示す。内側管ケーシング2は、本例示的実施形態では、カットアウト6を持っていても、カットアウトは持たずに連続的であってもよい。外側管ケーシング3は浮き出し形成部23を持つ。これら浮き出し形成部23は外側に突き出て外側管ケーシング3を強化する。同時に、浮き出し形成部23ははんだ貯蔵部として働くことができ、この場合は、はんだが浮き出し形成部23の少なくともいくつかに導入され、内側管ケーシング2と外側管ケーシング3とが互いにスライドし合うとき2つの管ケーシング2、3が互いに対して明確に画定された接着が行われるように導く。このようにして、画定された小領域で互いに結合される二重管ケーシング1を製造することが可能である。このようにして特に管ケーシング1の熱膨張特性を非常に正確に前もって決定し誘導することが可能である。従って、各々の意図した用途に良好に適合しまた対応する従来の製品より良好な耐久性を有する管ケーシング1を備えたハニカム体を製造することが可能である。
【0033】
図7は、管ケーシング1の同様の例を模式的に示す。本例では、外側管ケーシング3は、バレルリングの様式で形成される浮き出し形成部23を有する。浮き出し形成部23は、図6に関連して上述したスタッド状の浮き出し形成部とほぼ同じ機能を果たす。外側管ケーシングから内向きに延びるバレルリング様式の浮き出し形成部23またはスタッド状浮き出し形成部23を形成するときは、浮き出し形成部23のない小領域によって形成される空気間隙を絶縁目的で利用することによって、管ケーシング1の断熱特性を向上させることができる。これによって熱がハニカム体9から外向きに放射される程度を減らし、
ハニカム体が自動車両または定置内燃機関の排気システムでコールドスタート中に用いられる場合は、より迅速にライトオフ温度に到達することが可能になる。
【0034】
図8は、本発明によるハニカム体9の断面を模式的に示す。このハニカム体9は通路11を備えたハニカム構造体10を有する。通路は、明確化のために、セラミック押出し物として設計されるハニカム構造体10の断面の一部にのみ示されている。ハニカム構造体10は、第1材料厚24の内側管ケーシング2と第2材料厚25の外側管ケーシング3とを備えた管ケーシング1内に保持される。第1材料厚24と第2材料厚25との比率は1より小さく、特に0.5よりまたはさらに0.2より小さい。
【0035】
外側管ケーシング3は、外側管ケーシング3にわたって非対称に分布し形状が異なる複数のカットアウト6を有する。断面で平行であるエッジを持つ連続開口部に加えて、長方形または三角形断面の材料厚が小さい領域もまた示されている。他の形態のカットアウト6または開口部もまた可能である。外側管ケーシング3にわたるカットアウト6のこの非対称分布は、例えば、動作中に例えば石の衝撃からの高レベルの危険に晒される外側管ケーシング3の領域には危険の少ない領域よりカットアウト6を少なくすることによって得られ得る。一例としては、ハニカム体9の下面はハニカム体9の上面より外側管ケーシング3のカットアウト6を少なくし得る。
【0036】
本発明によるハニカム体9は、標準的な管ケーシングに比べて軽量であるがそれにも係わらず同じ機械的安定性および気密性を持つ管ケーシング1を有する。特に、熱膨張特性が後の用途に適応するようにされる管ケーシング1を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】管ケーシングの第1の例示的実施形態を模式的に示す。
【図2】本発明によるハニカム体の例示的実施形態を模式的に示す。
【図3】本発明による管ケーシングの別の例示的実施形態を模式的に示す。
【図4】単一の管ケーシングから異なる直径のいくつかの管ケーシングを製造する可能性を模式的に示す。
【図5】管ケーシングの別の例示的実施形態を模式的に示す。
【図6】図5の管ケーシングの例示的実施形態の斜視図を模式的に示す。
【図7】管ケーシングの別の例示的実施形態を模式的に示す。そして
【図8】本発明によるハニカム体の別の例示的実施形態の断面図を模式的に示す。
【符号の説明】
【0038】
1 管ケーシング
2 内側管ケーシング
3 外側管ケーシング
4 半径方向
5 軸方向
6 カットアウト
7 結合領域
8 端面
9 ハニカム体
10 ハニカム構造体
11 通路
12 ほぼ平坦な層
13 少なくとも一部が構造化された層
14 空洞
15 スペーサー
16 結合領域
17 カットアウト
18 第1状態の管ケーシング
19 第1形状のカットアウト
20 方向
21 第2状態の管ケーシング
22 第2形状のカットアウト
23 浮き出し形成部
24 第1材料厚
25 第2材料厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向(4)に実質的にガス不浸透でありまた少なくとも1つの内側管ケーシング(2)と少なくとも1つの外側管ケーシング(3)とを備えた管ケーシング(1)内に、流体が通って流れることができるハニカム構造体(10)を備えたハニカム体(9)であって、少なくとも該外側管ケーシング(3)は少なくとも小領域にカットアウト(6)を有する、ハニカム体。
【請求項2】
該ハニカム構造体(10)は少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された金属層(13)を備える、請求項1に記載のハニカム体(9)。
【請求項3】
該内側管ケーシング(2)は第1材料厚(24)を有し、該外側管ケーシング(3)は第2材料厚(25)を有し、該第1材料厚(24)と該第2材料厚(25)との比率は1より小さい、請求項1または2に記載のハニカム体(9)。
【請求項4】
該内側管ケーシング(2)および該外側管ケーシング(3)は少なくとも結合領域(7)で互いに結合される、上記請求項の1つに記載のハニカム体(9)。
【請求項5】
結合領域(7)が該ハニカム体(9)の端面(8)の領域で全周にわたって形成される、請求項4に記載のハニカム体(9)。
【請求項6】
該内側管ケーシング(2)および/または該外側管ケーシング(3)は、少なくとも1つの浮き出し形成部(23)を持つ少なくとも1つの小領域を有する、上記請求項の1つに記載のハニカム体(9)。
【請求項7】
少なくとも1つの結合領域(7)が、該内側管ケーシング(2)および/または該外側管ケーシング(3)の浮き出し形成部(23)を持つ小領域によって形成される、請求項6に記載のハニカム体(9)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−297387(P2006−297387A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112310(P2006−112310)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(594174493)エミテク・ゲゼルシャフト・フュール・エミシオーンテクノロギー・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【Fターム(参考)】