説明

亜鉛を含有するクロム酸化物組成物、それらの調製、ならびにそれらの触媒および触媒前駆体としての使用

ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムの両方を含むクロム含有触媒を開示する。ZnCrは、組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および組成物中でクロム酸化物として存在するクロムのうち少なくとも約90原子パーセントは、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在する。ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含むこの組成物の調製法;ならびにZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物をフッ素化剤で処理することによって調製されるクロム含有触媒組成物も開示する。(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムの組成物、ならびに(ii)フッ素化剤で処理された、ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムの組成物よりなる群から選択される少なくとも1つの組成物の存在下で、ハロゲン化炭化水素中のフッ素分布を変化させる方法、または飽和もしくは不飽和炭化水素中にフッ素を組み入れる方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロム含有組成物、それらの調製、ならびに炭化水素および/またはハロゲン化炭化水素の触媒プロセスのためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許公報(特許文献1)は、クロムおよび亜鉛を含有するフッ素化触媒を開示する。亜鉛の量は、約0.5重量%〜約25重量%の範囲である。
【0003】
(特許文献2)は、クロム酸化物(またはクロムの酸化物)と少なくとも1つの他の触媒活性金属(例えば、Mg、V、Mn、Fe、Co、NiまたはZn)とをベースとし、酸化物の主要部が結晶状態である、バルク触媒または担持触媒を開示する(触媒がバルク触媒である場合、HFによる活性化後のその比表面積は、少なくとも8m/gである)。開示される結晶相は、Cr、CrO、NiCrO、NiCrO、NiCr、MgCrO、ZnCrおよびこれらの酸化物の混合物を含む。
【0004】
米国特許公報(特許文献3)は、活性化無水酸化クロム(III)および二価亜鉛化合物の触媒の組み合わせの存在下で2−クロロペンタフルオロプロペンを形成するための、1,1,2−トリクロロトリフルオロプロペンとフッ化水素との触媒反応を開示する。
【0005】
飽和および不飽和炭化水素、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボンおよびクロロフルオロカーボンの選択的フッ素化およびクロロフッ素化、不飽和フルオロカーボンのフッ素化、フッ素化有機化合物の異性化および不均化、ヒドロフルオロカーボンの脱フッ化水素化、ならびにフルオロカーボンのクロロ脱フッ素化のようなプロセスで使用可能な触媒が必要とされている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,281,568号明細書
【特許文献2】オーストラリア特許第AU−A−80340/94号明細書
【特許文献3】米国特許第3,878,257号明細書
【特許文献4】米国特許出願第60/511,354号明細書
【特許文献5】米国特許出願第60/511,284号明細書
【特許文献6】米国特許出願第60/511,355号明細書
【特許文献7】米国特許第5,345,017号明細書
【特許文献8】米国特許第5,763,698号明細書
【非特許文献1】ザルゼック(Zaluzec)著、イントロダクション トゥ アナリティカル エレクトロン マイクロスコピー(Introduction to Analytical Electron Microscopy)、J.J.ハレン(J.J.Hren)、J.I.ゴールドスタイン(J.I.Goldstein)およびD.C.ジョイ(D.C.Joy)編、(プレナン プレス(Plenum Press)、ニューヨーク(New York)、1979)の第121頁〜第167頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含むクロム含有触媒組成物であって、ZnCrが、組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および組成物中でクロム酸化物として存在するクロムのうち少なくとも約90原子パーセントが、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在するクロム含有触媒組成物を提供する。
【0008】
本発明は、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含む前記組成物の調製法も提供する。この方法は、(a)溶液中のクロム(すなわち、Cr3+)1モルあたり少なくとも3モルの硝酸イオン(すなわち、NO)を含有し、そして溶液中の亜鉛およびクロムの全濃度の約5モル%〜約25モル%の亜鉛濃度を有する、溶解性亜鉛塩および溶解性三価クロム塩の水溶液に水酸化アンモニウム(アンモニア水)を添加することによって固体を共沈させる工程であって、溶液中のクロム(すなわち、Cr3+)1モルあたり少なくとも3モルのアンモニウム(すなわち、NH)が溶液に添加される工程と、(b)工程(a)で形成された共沈固体を回収する工程と、(c)回収された固体を乾燥する工程と、(d)乾燥された固体をか焼する工程とを含む。
【0009】
本発明は、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含む前記組成物を、フッ素化剤(例えば、無水フッ化水素)で処理することによって調製される、クロム含有触媒組成物も提供する。
【0010】
本発明は、触媒の存在下で、ハロゲン化炭化水素中のフッ素分布(すなわち、含量および/または配列)を変化させるプロセス、または飽和もしくは不飽和炭化水素中にフッ素を組み入れるプロセスも提供する。このプロセスは、(i)本発明のZnCrおよび結晶性α−酸化クロムの組成物、ならびに(ii)フッ素化剤で処理された、本発明のZnCrおよび結晶性α−酸化クロムの組成物よりなる群から選択される少なくとも1つの組成物を触媒として使用することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の組成物は、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含む亜鉛−およびクロム−含有酸化物であって、ZnCrが、組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有する。開示された組成物は、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含む触媒組成物を含む。
【0012】
か焼を伴う共沈を使用する上記方法によって、本発明の組成物を調製することができる。かかる方法としては、限定されないが、所望のモル比でクロムおよび亜鉛塩を含有する水溶液からの沈殿が挙げられる。
【0013】
典型的な共沈技術において、亜鉛およびクロム(III)塩の水溶液が調製される。水溶液中の亜鉛およびクロム(III)塩の相対濃度は、最終触媒において所望されるクロムに対しての亜鉛の容積による原子パーセントによって示される。亜鉛の濃度は、溶液中の亜鉛およびクロムの全濃度の約5モル%〜約25モル%である。水溶液中のクロム(III)の濃度は、典型的に、1リットルあたり0.3〜3モルの範囲であり、1リットルあたり0.75〜1.5モルが好ましい濃度である。様々なクロム(III)塩を使用してよいが、硝酸クロム(III)または[Cr(NO(HO)]のようなその水和物型が前記水溶液の調製のために最も好ましいクロム(III)塩である。
【0014】
前記水溶液の調製のために様々な亜鉛塩を使用してよいが、本発明のプロセスに関する触媒の調製のために好ましい亜鉛塩としては、硝酸亜鉛(II)および[Zn(NO(HO)]のようなその水和物型が挙げられる。
【0015】
次いで、真空下または高温のいずれかで、クロム(III)および亜鉛塩の水溶液をエバポレーションし、固体を得て、次いで、これをか焼する。
【0016】
水酸化物として亜鉛およびクロムを沈殿させるために、水酸化アンモニウム(アンモニア水)のような塩基でクロム(III)および亜鉛塩の水溶液を処理することが好ましい。ナトリウムもしくはカリウムの水酸化物または炭酸塩のようなアルカリ金属を含有する塩基を使用してもよいが、好ましくない。クロム(III)および亜鉛塩の水溶液への水酸化アンモニウムの添加は、典型的に、1〜12時間の期間で徐々に実行される。塩基添加の間、溶液のpHを監視する。最終pHは、典型的に、6.0〜11.0、好ましくは、約7.5〜約9.0、最も好ましくは、約8.0〜8.7の範囲である。亜鉛およびクロムの水酸化物混合物の沈殿は、典型的に、約15℃〜約60℃、好ましくは、約20℃〜約40℃の温度で実行される。水酸化アンモニウムの添加後、典型的に24時間まで混合物を撹拌する。沈殿されたクロムおよび亜鉛の水酸化物は、ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムへの前駆体として有用である。
【0017】
亜鉛およびクロムの水酸化物混合物の沈殿の完了後、混合物を乾燥する。適切な温度でホットプレートもしくはスチームバス上、またはオーブンもしくは炉中のオープンパン中で、エバポレーションによってこれを実行してよい。適切な温度としては、約60℃〜約130℃(例えば、約100℃〜約120℃)の温度が挙げられる。あるいは、例えば、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で乾燥工程を実行してよい。
【0018】
任意選択的に、沈殿された亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を回収し、そして所望であれば、乾燥前に脱イオン水で洗浄してよい。好ましくは、乾燥工程の前に、沈殿された亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を洗浄しない。
【0019】
亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を乾燥後、次いで、約250℃〜約350℃で固体を加熱することによって硝酸塩を分解する。次いで、得られた固体を、約400℃〜約1000℃、好ましくは、約400℃〜約900℃の温度でか焼する。オーブンもしくは炉中または管型反応器中のるつぼまたはパン中で、か焼を実行してよい。か焼温度は触媒の活性および生成物分布に影響し得る。より低いか焼温度(すなわち、約500℃未満)では、いくらかの残留硝酸イオン不純物の存在がもたらされる。好ましくは、酸素の存在下で、最も好ましくは空気の存在下で、か焼を実行する。
【0020】
か焼工程の間にZnCrが形成される、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含む組成物に注目すべきである。
【0021】
ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の約20原子パーセントと約50原子パーセントとの間のクロムを含有する、本発明のクロム含有触媒組成物に注目すべきである。また、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の少なくとも約90原子パーセントの亜鉛を含有する、本発明のクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、亜クロム酸亜鉛と結晶性α−酸化クロムとを含み、亜クロム酸亜鉛としては存在しないクロムの95原子パーセント超が結晶性α−酸化クロムとして存在する、本発明のクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)および結晶性α−酸化クロムから本質的になる本発明のクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。
【0022】
透過型電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散分光法(EDS)およびX線回折を含む十分確立された分析技術によって、本発明の組成物を特徴付けできる。EDSは、走査または分析TEMと一緒に利用可能な分析ツールである。
【0023】
本発明の様々な亜鉛およびクロムの酸化物の組成物中の亜鉛の存在は、EDSを使用する元素分析によって明白に示される。900℃でか焼された、2、5、10および20原子%のZn含量を有する様々なCr/Zn酸化物試料のEDS分析によって、2相:Cr対Znの相対含量が2対1である亜クロム酸亜鉛相と、格子中に亜鉛の証拠がないクロム酸化物相(この相のEDSスペクトルにおいて、Znは検出されない)の存在が示される。例えば、図1に、公称で20原子%の亜鉛を含有する亜鉛/クロム組成物中に存在する亜クロム酸亜鉛相のEDSスペクトルを示す。比較のために、図2に、公称で20原子%の亜鉛を含有する同一亜鉛/クロム組成物中に存在するα−Cr相のEDSスペクトルを示す。これらの図のそれぞれにおいて、電子ボルト(keV)の千の数値を表示するエネルギーレベルEに対して、千の数値を表示するX線強度Iをプロット化する。各プロット中のピークは、ある種の元素の存在と相関する。キャリブレーション実験は、混合された亜鉛およびクロムの酸化物の組成物中の金属のKαピークの相対的な高さが、組成物中の亜鉛およびクロムのモル比を反映することを示している。従って、EDSスペクトルは、原子質量が非常に類似している元素の量的基準において有効である。またこれらの結果は、各試料が2つの相:純粋なα−CrおよびZnCrスピネル相からなることを示す、様々な試料の広範囲のX線回折分析実験と一致している。亜鉛を含まないクロム酸化物と比較して、Cr/Zn試料中のCr相の格子体積の著しい変化はない。これは、Cr格子中でZnの検出可能な置換がないことを示す。亜鉛濃度が増加すると、ZnCr相の重量パーセントが増加する。
【0024】
本発明の組成物は、結晶性α−CrおよびZnCrまたはフッ素化α−CrおよびZnCrを含有する触媒組成物の選択性および/または活性を変更できる金属化合物の形態で、1つまたは複数の添加剤をさらに含んでもよい。適切な添加剤は、Mg、Ca、Zn、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、AuおよびCeのフッ化物、酸化物またはオキシフッ化物化合物よりなる群から選択され得る。
【0025】
本発明の組成物中の添加剤の全含量は、組成物の全金属含量に基づき約0.05原子%〜約15原子%であってよいが、ただし、添加剤が亜鉛の化合物である場合、最終組成物中の全亜鉛の30モルパーセント未満の添加剤が含まれる。添加剤溶液の含浸、それに続く乾燥または共沈のような標準手順によって、添加剤を本発明の組成物中に組み入れてもよい。
【0026】
本発明のか焼された亜クロム酸亜鉛/α−酸化クロム組成物を、パッキング反応器に使用するためのペレットのような様々な形状にプレスしてもよい。粉末の形態で使用されてもよい。
【0027】
典型的に、ハロゲン化炭素化合物のフッ素含量を変化させるための触媒として使用する前に、か焼された組成物をフッ素化剤で前処理する。典型的に、四フッ化硫黄、フッ化カルボニルおよびフッ素化炭素化合物、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタンまたは1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンのような他の材料を使用してもよいが、このようなフッ素化剤はHFである。例えば、本発明のプロセスを実行するために使用される反応器であり得る適切な容器中に触媒を配置し、その後、乾燥されたか焼触媒上にHFを通過させ、HFで触媒を部分的に飽和させることによって、このような前処理を完了することができる。例えば、約200℃〜約450℃の温度で、例えば、約0.1〜約10時間の期間で、触媒上にHFを通過させることによって、これは都合よく実行される。それにもかかわらず、この前処理は必須ではない。
【0028】
上記の通り、本発明に従って提供される触媒を、ハロゲン化炭化水素のフッ素分布および/または含量を変化させるために使用してもよい。また、フッ素を飽和または不飽和炭化水素に組み入れるために、本発明の触媒を使用してもよい。ハロゲン化炭化水素中のフッ素分布を変化させるプロセスとしては、フッ素化、クロロフッ素化、異性化、不均化、脱フッ化水素化およびクロロ脱フッ素化が挙げられる。飽和または不飽和炭化水素にフッ素を組み入れるプロセスとしては、飽和または不飽和炭化水素のクロロフッ素化ならびに不飽和炭化水素のフッ素化が挙げられる。本発明のプロセスは、本発明のZnCr/結晶性α−酸化クロムの組成物、およびフッ素化剤で処理された、本発明のZnCr/結晶性α−酸化クロムの組成物よりなる群から選択される少なくとも1つの組成物を触媒として使用することを特徴とする。前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物または不飽和炭化水素化合物をフッ化水素と反応させることによって、前記化合物のフッ素含量を増加させるプロセスに注目すべきである。前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物または炭化水素化合物をHFおよびClと反応させることによって、前記化合物のフッ素含量を増加させるプロセスにも注目すべきである。前記触媒組成物の存在下で、ハロゲン化炭化水素化合物を異性化することによって、ハロゲン化炭化水素化合物中のフッ素分布を変化させるプロセスにも注目すべきである。前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物を不均化することによって、ハロゲン化炭化水素化合物中のフッ素分布を変化させるプロセスにも注目すべきである。前記触媒組成物の存在下で、ハロゲン化炭化水素化合物を脱フッ化水素化することによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素含量を減少させるプロセスにも注目すべきである。前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物を塩化水素と反応させることによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素含量を減少させるプロセスにも注目すべきである。
【0029】
フッ素化、クロロフッ素化、異性化、不均化、脱フッ化水素化およびクロロ脱フッ素化プロセスのために適切な飽和ハロゲン化炭化水素の代表は、式CBrCl(式中、nは1〜6の整数であり、aは0〜12の整数であり、bは0〜4の整数であり、cは0〜13の整数であり、dは0〜13の整数であり、b、cおよびdの合計が少なくとも1であり、そしてa、b、cおよびdの合計が2n+2に等しいが、ただし、異性化、不均化および脱フッ化水素化プロセスに関してnは少なくとも2であり、脱フッ化水素化プロセスに関してaは少なくとも1であり、クロロ脱フッ素化プロセスに関してbは0であり、フッ素化プロセスに関してb+cは少なくとも1であり、そして脱フッ化水素化プロセスに関して0であり、フッ素化、クロロフッ素化、異性化、不均化および脱フッ化水素化プロセスに関してa+b+cは少なくとも1であり、そして異性化、不均化、脱フッ化水素化およびクロロ脱フッ素化プロセスプロセスに関してdは少なくとも1である)を有するものである。クロロフッ素化のために適切な飽和炭化水素化合物の代表は、式C(式中、qは1〜6の整数であり、そしてrは2q+2である)を有するものである。フッ素化、クロロフッ素化、異性化、不均化およびクロロ脱フッ素化プロセスのために適切な不飽和ハロゲン化炭化水素の代表は、式CBrCl(式中、pは2〜6の整数であり、eは0〜10の整数であり、fは0〜2の整数であり、gは0〜12の整数であり、hは0〜11の整数であり、f、gおよびhの合計は少なくとも1であり、そしてe、f、gおよびhの合計は2pと等しいが、ただし、クロロ脱フッ素化プロセスに関してfは0であり、異性化および不均化プロセスに関してe+f+gは少なくとも1であり、そして異性化、不均化およびクロロ脱フッ素化プロセスに関してhは少なくとも1である)を有するものである。クロロフッ素化のために適切な飽和炭化水素の代表は、式C(式中、qは1〜6の整数であり、そしてrは2q+2である)を有するものである。フッ素化およびクロロフッ素化のために適切な不飽和炭化水素の代表は、式C(式中、iは2〜6の整数であり、そしてjは2iである)を有するものである。
【0030】
フッ素化およびクロロフッ素化プロセスは、典型的に、約150℃〜500℃の温度で管型反応器中で気相中で実行される。飽和化合物に関して、フッ素化は、好ましくは、約175℃〜400℃、そしてより好ましくは、約200℃〜約350℃で実行される。不飽和化合物に関して、フッ素化は、好ましくは、約150℃〜350℃、そしてより好ましくは、約175℃〜約300℃で実行される。反応は、典型的に、大気圧および超大気圧で実行される。下流の分離プロセス(例えば、蒸留)での便宜の理由のため、約30気圧までの圧力が使用されてもよい。反応器中での接触時間は、典型的に、約1秒〜約120秒、そして好ましくは、約5秒〜約60秒である。
【0031】
不飽和炭化水素またはハロゲン化炭化水素化合物と反応されるHFの量は、少なくとも化学量論的量でなければならない。化学量論的量は、存在するならば炭素−炭素二重結合を飽和させるための1モルのHFに加えてFによって置換されるBrおよび/またはCl置換基の数に基づく。典型的に、HFと、式CBrCl、CBrClおよびCの前記化合物とのモル比は、約0.5:1〜約100:1、好ましくは、約2:1〜約50:1、そしてより好ましくは、約3:1〜約20:1の範囲であり得る。一般的に、所定の触媒組成物によって、温度が高いほど、そして接触時間が長いほど、フッ素化生成物への変換が高い。より高いフッ素置換生成物の形成が最大化されるように、一方を他方へ、上記の変数を釣り合わせることができる。
【0032】
本発明の触媒の存在下でHFと反応し得る、式CBrClの飽和化合物の例としては、CHCl、CHBr、CHCl、CCl、CCl、CBrCl、CClF、CCl、CCl、CCl、CClF、CHCl、CHClF、CHCl、CHCl、CHClF、CHBrF、CCl、CClF、CCl、CClF、CCl、CClF、CClF、CCl、CClF、CCl、CCl、CCl、CCl、CHCl、CHClF、CHCl、CHCl、CHCl、CHCl、CCl、CBrCl、CClF、CCl、CCl、CCl、CClF、CCl、CClF、CCl、CCl、CClF、CCl、CClCl、CClCl、CCl、CClFおよびCClが挙げられる。
【0033】
本発明の触媒を使用して、上記条件下で実行され得る飽和ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素化反応の具体例としては、CHClからCHへの変換、CHClからCHClF、CHClFおよびCHFの混合物への変換、CHCHClからCHCHClFおよびCHCHFの混合物への変換、CHClCHClからCHCHClFおよびCHCHFの混合物への変換、CHCClからCHCClF、CHCClFおよびCHCFの混合物への変換、CHClCFからCHFCFへの変換、CHClCFからCHClFCFおよびCHFCFの混合物への変換、CHClFCFからCHFCFへの変換、CHBrFCFからCHFCFへの変換、CClCFCClからCClFCFCClFおよびCClFCFCClFの混合物への変換、CClCHCClからCFCHCFまたはCFCHCClFおよびCFCHCFの混合物への変換、CClCHCHClからCFCHCHF、CFCH=CHClおよびCFCH=CHFの混合物への変換、CFCClCClFからCFCClCFおよびCFCClFCFの混合物への変換、CFCClCFからCFCClFCFへの変換、ならびにCFCFCHClおよびCClFCFCHClFを含む混合物からCFCFCHClFおよびCFCFCHFの混合物への変換が挙げられる。
【0034】
本発明の触媒の存在下でHFと反応し得る、式CBrClおよびCの不飽和化合物の例としては、CCl、CBrCl、CClF、CCl、CClF、C、CHCl、CHBrCl、CHClF、CHClF、CHF、CCl、CClF、C、CCl、CF、C、C、CCl、CCl、CCl、CCl、CHCl、CCl、CClF、CCl、CCl、CCl、CClF、CHF、C、C、CCl、CCl、CClF、CおよびCHClFが挙げられる。
【0035】
本発明の触媒を使用して実行され得る不飽和ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素化反応の具体例としては、CHCl=CClからCHClCFおよびCHFCFの混合物への変換、CCl=CClからCHClCF、CHClFCFおよびCHFCFの混合物への変換、CCl=CHからCHCClF、CHCClFおよびCHCFの混合物への変換、CH=CHClからCHCHClFおよびCHCHFの混合物への変換、CF=CHからCHCFへの変換、CCl=CClCFからCFCCl=CFおよびCFCHClCFの混合物への変換、CFCF=CFからCFCHFCFへの変換、CFCH=CFからCFCHCFへの変換、ならびにCFCH=CHFからCFCHCHFへの変換が挙げられる。
【0036】
1つまたは複数のハロプロペン化合物CXCCl=CClX(式中、各Xは、独立して、FおよびClよりなる群から選択される)のフッ素化による、2−クロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(すなわち、CFCCl=CFまたはCFC−1215xc)と2−クロロ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(すなわち、CFCHClCFまたはHCFC−226da)との混合物を製造するための触媒プロセスにも注目すべきである。式CXCCl=CClXの好ましいハロプロペンとしては、1,2,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(すなわち、CCl=CClCFまたはCFC−1213xa)およびヘキサクロロプロペン(すなわち、CCl=CClCCl)が挙げられる。約240℃〜約400℃、好ましくは、約250℃〜約350℃の温度で、本発明の触媒の存在下、気相中で、上記不飽和化合物をHFと反応させることによって、CFC−1215xc/HCFC−226daの混合物は製造される。
【0037】
反応器に供給されるHFの量は、CXCCl=CClX出発材料中のCl置換基の数に基づき、少なくとも化学量論的量でなければならない。CFC−1213xaのフッ素化の場合、HCFC−226daの合成のためのHFとCFC−1213xaとの化学量論的比率は3:1である。HFとCXCCl=CClX出発材料との好ましい比率は、典型的に、化学量論的比率の約2倍から約30:1の範囲である。好ましい接触時間は、1秒〜60秒である。亜鉛の不在下でクロム酸化物を含む触媒組成物と対照的に、本発明の触媒組成物は、CFC−1215xcおよびHCFC−226daの混合物を提供する。
【0038】
CFC−1215xcおよびHCFC−226daの混合物へのCFC−1213xaのフッ素化に関するさらなる情報は、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献4)[CL2372 US PRV]に提供されており、これによって、この文献は全体的に本明細書に援用される(対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)。
【0039】
不飽和炭化水素およびハロゲン化炭化水素化合物の両方を含む混合物と同様に、気相フッ素化反応において、飽和ハロゲン化炭化水素化合物の混合物あるいは不飽和炭化水素および/またはハロゲン化炭化水素化合物の混合物も使用してよい。本発明の触媒を使用する気相フッ素化を受け得る飽和ハロゲン化炭化水素化合物の混合物、ならびに不飽和炭化水素および不飽和ハロゲン化炭化水素化合物の混合物の具体例としては、CHClおよびCCl=CClの混合物、CClFCClFおよびCClCFの混合物、CCl=CClおよびCCl=CClCClの混合物、CH=CHCHおよびCH=CClCHの混合物、CHClおよびCHCClの混合物、CHFCClFおよびCHClFCFの混合物、CHClCClCHClおよびCClCHClCHClの混合物、CHClCHCClおよびCClCHClCHClの混合物、CHClCHClCCl、CClCHCClおよびCClCClCHClの混合物、CHClCHCClおよびCClCHCClの混合物、CFCHCClFおよびCFCH=CClの混合物、ならびにCFCH=CHClおよびCFCH=CClの混合物が挙げられる。
【0040】
クロロフッ素化におけるように塩素(Cl)が存在する場合、反応器に供給される塩素の量は、反応器に供給されるハロゲン化炭化水素化合物が不飽和であるかどうか、そして塩素およびフッ素によって置換されるCBrCl、C、CBrClおよびC中の水素の数に基づく。炭素−炭素二重結合を飽和させるために1モルのClが必要とされ、そして塩素またはフッ素によって置換される各水素に対して1モルのClが必要である。実際的な理由のために、化学量論的量よりわずかに過剰量の塩素が必要とされ得るが、塩素の大過剰は生成物の完全なクロロフッ素化をもたらす。Clとハロゲン化炭素化合物との比率は、典型的に約1:1〜約10:1である。
【0041】
本発明の触媒を使用して実行され得る一般式CBrClの飽和ハロゲン化炭化水素化合物および一般式Cの飽和炭化水素化合物の気相クロロフッ素化反応の具体例としては、CからCHClCFを含有する混合物への変換、CHClCFからCHClFCFおよびCHFCFの混合物への変換、CClCHCHClからCFCClCClF、CFCClCF、CFCClFCClFおよびCFCClFCFの混合物への変換、CClCHCHClからCFCClCClF、CFCClCF、CFCClFCClFおよびCFCClFCFの混合物への変換、CClCHClCHClからCFCClCClF、CFCClCF、CFCClFCClFおよびCFCClFCFの混合物への変換、CHClCClCHClからCFCClCClF、CFCClCF、CFCClFCClFおよびCFCClFCFの混合物への変換、CClCHCHClからCFCClCHF、CFCClFCHF、CFCClFCClFおよびCFCClCFの混合物への変換、ならびにCClCHCHClからCFCClCHF、CFCClFCHF、CFCClFCClFおよびCFCClCFの混合物への変換が挙げられる。
【0042】
本発明の触媒を使用して実行され得る一般式CBrClの不飽和ハロゲン化炭化水素化合物および一般式Cの不飽和炭化水素化合物の気相クロロフッ素化反応の具体例としては、CからCClCClF、CClFCClF、CClFCClF、CClCF、CFCClFおよびCClFCClFの混合物への変換、CClからCClCClF、CClFCClF、CClFCClF、CClCF、CFCClFおよびCClFCClFの混合物への変換、ならびにCまたはCFCCl=CClからCFCClCClF、CFCClCF、CFCClFCClFおよびCFCClFCFの混合物への変換が挙げられる。
【0043】
式CXCCl=CClX(式中、各Xは、独立して、群FおよびClから選択される)のハロプロペンのクロロフッ素化による、1,2,2−トリクロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(すなわち、CClFCClCFまたはCFC−215aa)と、1,1,2−トリクロロ−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(すなわち、CFCClFCClFまたはCFC−215bb)との混合物を製造するための触媒プロセスに注目すべきである。式CXCCl=CClXの好ましいハロプロペンとしては、1,2,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(すなわち、CCl=CClCFまたはCFC−1213xa)およびヘキサクロロプロペン(すなわち、CCl=CClCCl)が挙げられる。約200℃〜約400℃、好ましくは、約250℃〜約350℃の温度で、本発明の触媒の存在下、気相中で、上記不飽和化合物をClおよびHFと反応させることによって、CFC−215aaおよびCFC−215bbの混合物は製造される。
【0044】
CFC−215aaおよびCFC−215bbを製造するためのCFC−1213xaのクロロフッ素化に関するさらなる情報は、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献5)[CL2320 US PRV]に提供されており、これによって、この文献は全体的に本明細書に援用される(対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)。
【0045】
式CXCCl=CCX(式中、各Xは、独立して、群FおよびClから選択される)のハロプロペンのクロロフッ素化による、2,2−ジクロロ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(すなわち、CFCClCFまたはCFC−216aa)と、1,2−ジクロロ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(すなわち、CFCClFCClFまたはCFC−216ba)との混合物を製造するための触媒プロセスにも注目すべきである。式CXCCl=CClXの好ましいハロプロペンとしては、1,2,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(すなわち、CCl=CClCFまたはCFC−1213xa)およびヘキサクロロプロペン(すなわち、CCl=CClCCl)が挙げられる。約230℃〜約425℃、好ましくは、約250℃〜約400℃の温度で、本発明の触媒の存在下、気相中で、上記不飽和化合物をClおよびHFと反応させることによって、CFC−216aaおよびCFC−216baの混合物は製造される。
【0046】
CFC−216aaおよびCFC−216baを製造するためのCFC−1213xaのクロロフッ素化に関するさらなる情報は、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献6)[CL2246 US PRV]に提供されており、これによって、この文献は全体的に本明細書に援用される(対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)。
【0047】
飽和および不飽和化合物の両方を含む混合物と同様に、本発明の触媒を使用して、飽和炭化水素化合物と飽和ハロゲン化炭化水素化合物との混合物、および不飽和炭化水素化合物と不飽和ハロゲン化炭化水素化合物との混合物はクロロフッ素化され得る。使用され得る飽和および不飽和炭化水素およびハロゲン化炭化水素の混合物の具体例としては、CCl=CClおよびCCl=CClCClの混合物、CHClCClCHClおよびCClCHClCHClの混合物、CHClCHCClおよびCClCHClCHClの混合物、CHClCHClCCl、CClCHCClおよびCClCClCHClの混合物、CHFCHCFおよびCHCl=CHCFの混合物、ならびにCH=CHおよびCH=CHCHの混合物が挙げられる。
【0048】
同一数のH、Br、ClおよびF置換基をそれぞれ保持しながら、分子中のH、Br、ClおよびF置換基を(典型的に、熱力学的に好ましい配列に)再配列することによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素分布を変化させる実施形態は、本発明に含まれる。このプロセスを本明細書では異性化と呼ぶ。
【0049】
本発明のもう1つの実施形態において、ハロゲン化炭化水素出発原料と比較して減少されたフッ素含量を有する1つまたは複数のハロゲン化炭化水素化合物およびハロゲン化炭化水素出発原料と比較して増加されたフッ素含量を有する1つまたは複数ハロゲン化炭化水素化合物の形成が得られるように、1モルのハロゲン化炭化水素出発材料の少なくとも1個のF置換基を、他のハロゲン化炭化水素出発材料の少なくとも1個のH、Brおよび/またはCl置換基と交換することによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素分布を変化させる。このプロセスを本明細書では不均化と呼ぶ。
【0050】
本発明のもう1つの実施形態において、異性化反応および不均化反応の両方が同時に生じてもよい。
【0051】
異性化、不均化、または異性化および不均化の両方が実行されるかどうかに関係なく、式CBrClの飽和化合物および/または式CBrClの不飽和化合物のフッ素分布は、本発明の触媒組成物の存在下で変化され得る。
【0052】
異性化および不均化反応は、典型的に、約150℃〜500℃、好ましくは、約200℃〜約400℃の温度で実行される。反応器中での接触時間は、典型的に、約1秒〜約120秒、そして好ましくは、約5秒〜約60秒である。ヘリウム、アルゴンまたは窒素のような不活性ガスの存在下で、異性化および不均化反応を実行してもよい。HFおよびHClの存在下で異性化および不均化反応を実行してもよい。
【0053】
本発明の触媒を使用して実行され得る気相異性化反応の具体例としては、CClFCClFからCClCFへの変換、CClFCClFからCFCClFへの変換、CHFCClFからCFCHClFへの変換、CHFCHFからCFCHFへの変換、CFCClFCClFからCFCClCFへの変換、ならびにCFCHFCHFからCFCHCFへの変換が挙げられる。
【0054】
本発明の触媒を使用して実行され得る気相不均化反応の具体例としては、CClFCClFからCClFCClF、CClCFおよびCFCClFの混合物への変換、ならびにCHClFCFからCHClCFおよびCHFCFの混合物への変換が挙げられる。
【0055】
2−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(すなわち、CHFCClFまたはHCFC−124a)および2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン(すなわち、CFCHClFの混合物の転換またはHCFC−124)の混合物から、未変換の出発材料に加えて、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(すなわち、CHClCFまたはHCFC−123)および1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(すなわち、CFCHFまたはHFC−125)を含む混合物への変換のためのプロセスに注目すべきである。任意選択的に、HF、HCl、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび炭素二酸化物よりなる群から選択される希釈剤の存在下で、本発明の触媒上でHCFC−124aおよびHCFC−124の混合物を接触させることによって、HFC−125およびHCFC−123を含む混合物が気相中で得られる。不均化は、好ましくは、約150℃〜約400℃、より好ましくは、約250℃〜約350℃で実行される。使用される場合、約1:1〜約5:1の希釈剤とハロエタンとのモル比で希釈剤ガスが存在してよい。好ましい接触時間は、約10秒〜約60秒である。
【0056】
本発明の触媒の存在下で前記ハロゲン化炭化水素化合物を脱フッ化水素化することによってハロゲン化炭化水素化合物のフッ素含量を減少させる方法は、本発明に含まれる。本発明の脱フッ化水素化プロセスのための出発材料として適切なハロゲン化炭化水素化合物としては、一般式C(式中、nは2〜6の整数であり、aは1〜12の整数であり、dは1〜13の整数であり、そしてaとdとの合計は2n+2に等しい)のものが挙げられる。
【0057】
脱フッ化水素化反応は、典型的に、約200℃〜約500℃、好ましくは、約300℃〜約450℃の温度で実行される。反応器中での接触時間は、典型的に、約1秒〜約360秒、そして好ましくは、約5秒〜約120秒である。また、ハロゲン化炭化水素化合物の脱フッ化水素化の範囲を増加させるために、ヘリウム、アルゴンまたは窒素のような不活性ガスの存在下で、脱フッ化水素化反応を実行することもできる。
【0058】
脱フッ化水素化反応の生成物は、HF、および出発材料からのHFの損失から得られる不飽和フッ素化炭素化合物からなる。本発明の触媒を使用して実行され得る気相脱フッ化水素化反応の具体例としては、CHCHFからCH=CHFへの変換、CHCFからCH=CFへの変換、CFCHFからCF=CHFへの変換、CHFCHCFからCHF=CHCFへの変換、およびCFCHCFからCFCH=CFへの変換が挙げられる。
【0059】
1,1−ジフルオロエタン(すなわち、CHFCHまたはHFC−152a)の脱フッ化水素化によって、フルオロエタン(すなわち、CH=CHFまたはフッ化ビニル)を製造するための触媒プロセスに注目すべきである。任意選択的に、HF、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび炭素二酸化物よりなる群から選択される希釈剤の存在下で、本発明の触媒上でHFC−152aを接触させることによって、フッ化ビニルおよび未変換のHFC−152aを含む混合物が気相中で得られる。脱フッ化水素化は、好ましくは、約150℃〜約400℃、より好ましくは、約250℃〜約350℃で実行される。使用される場合、約1:1〜約5:1の希釈剤とハロエタンとのモル比で希釈剤ガスが存在してよい。好ましい接触時間は、約10秒〜約60秒である。
【0060】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(すなわち、CFCHCFまたはHFC−236fa)の脱フッ化水素化によって、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(すなわち、CF=CHCFまたはHFC−1225zc)を製造するための触媒プロセスにも注目すべきである。任意選択的に、HF、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび炭素二酸化物よりなる群から選択される希釈剤の存在下で、本発明の触媒上でHFC−236faを接触させることによって、HFC−1225zcおよび未変換のHFC−236faを含む混合物が気相中で得られる。脱フッ化水素化は、好ましくは、約250℃〜約450℃、より好ましくは、約300℃〜約400℃で実行される。使用される場合、約1:1〜約5:1の希釈剤とハロエタンとのモル比で希釈剤ガスが存在してよい。好ましい接触時間は、約10秒〜約60秒である。
【0061】
本発明の触媒組成物の存在下で、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物を塩化水素(HCl)と反応させることによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素含量を減少させるプロセスは、本発明に含まれる。かかるプロセスは、本明細書中でクロロ脱フッ素化と呼ばれる。クロロ脱フッ素化については、本明細書に援用される、米国特許公報(特許文献7)および米国特許公報(特許文献8)に開示される。
【0062】
本発明のクロロ脱フッ素化プロセスのための出発材料として適切なハロゲン化炭化水素化合物は、飽和または不飽和であってよい。本発明のクロロ脱フッ素化プロセスのために適切な飽和ハロゲン化炭化水素化合物としては、一般式CCl(式中、nは1〜6の整数であり、aは0〜12の整数であり、cは0〜13の整数であり、dは1〜13の整数であり、そしてa、cおよびdの合計は2n+2に等しい)のものが挙げられる。本発明のクロロ脱フッ素化プロセスのために適切な不飽和ハロゲン化炭化水素化合物としては、一般式CCl(式中、pは2〜6の整数であり、eは0〜10の整数であり、gは0〜12の整数であり、hは1〜11の整数であり、そしてe、gおよびhの合計は2pに等しい)のものが挙げられる。本発明の触媒組成物の存在下で、気相中で、化合物をHClと反応させることによって、式CClの飽和化合物および/または式CClの不飽和化合物のフッ素含量が減少され得る。
【0063】
クロロ脱フッ素化反応の生成物は、典型的に、未反応のHCl、HF、未変換の出発材料、出発材料よりも低いフッ素含量を有する飽和ハロゲン化炭化水素化合物、および不飽和ハロゲン化化合物を含む。本発明の触媒を使用して実行され得る気相クロロ脱フッ素化反応の具体例としては、CHFからCHCl、CHClFおよびCHClFの混合物への変換、CClFCClFからCClCCl、CClCClF、CClCClF、CClFCClF、CClFCClFおよびCClCFの混合物への変換、CFCClFからCClCCl、CClCClF、CClCClF、CClFCClF、CClFCClF、CClCF、CClFCClFおよびCFCClFの混合物への変換、CFCClCFからCFCClCClF、CFCClCClF、CFCClCClおよびCClFCClCClの混合物への変換、CFCHCFからCCl=CHCFおよびCCl=CClCFの混合物への変換が挙げられる。
【0064】
限定されないが、スクラッビング、デカンテーションまたは蒸留を含む組み合わせのような従来技術によって、本発明のプロセスによって得られる反応生成物を分離することができる。本発明の様々な実施形態の生成物のいくつかは、互いに、またはHFと1つまたは複数の共沸混合物を形成し得る。
【0065】
本発明のプロセスの適用時に使用される反応器、蒸留カラム、ならびにそれらの関連供給ライン、流出ラインおよび関連装置は、フッ化水素および塩化水素に耐性を有する材料から構成されなければならない。構造の典型的な材料はフッ素化の分野で周知であり、ステンレス鋼、特に、オーステナイト型のもの、モネル(Monel)(商標)ニッケル−銅合金、ハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケルベース合金およびインコネル(Inconel)(商標)ニッケル−クロム合金のような周知の高ニッケル合金、ならびに銅−クラッド鋼が挙げられる。
【0066】
周知の化学工学的方式を使用して、本発明のプロセスを容易に実行可能である。
【0067】
(実用性)
本明細書に開示される触媒の使用によって得られる反応生成物のいくつかは、直接の商業的な使用のために所望の特性を有する。例えば、CH(HFC−32)、CHFCF(HFC−125)、CHFCF(HFC−125)、CHFCHF(HFC−134)、CFCHCF(HFC−236fa)およびCFCHCHF(HFC−245fa)では冷却剤としての適用が見出され、CHFCF(HFC−134a)およびCFCHFCF(HFC−227ea)では推進剤としての適用が見出され、CHFCHF(HFC−134)およびCFCHCHF(HFC−245fa)では膨張剤としての適用が見出され、そしてCHFCF(HFC−125)、CFCHCF(HFC−236fa)およびCFCHFCF(HFC−227ea)では消火剤としての適用が見出される。
【0068】
本発明を使用することによって得られる他の反応生成物は、有用な生成物を製造するための化学中間体として使用される。例えば、CFC−114aを調製するために、CClCF(CFC−113a)を使用することができ、次いで、これをヒドロ脱塩素化によってCHFCF(HFC−134a)へと変換可能である。同様に、ヒドロ脱塩素化によって、CFCHCF(HFC−236fa)を調製するためにCFCClCF(CFC−216aa)およびCFCHClCF(HCFC−226da)を使用することができる。また、水素化によってCFCHCHF(HFC−245fa)を調製するためにCFCCl=CF(CFC−1215xc)およびCFCClCClF(CFC−215aa)を使用することができ、そしてCFCF=CF(HFP)を調製するためにCFCClFCClF(CFC−216ba)を使用することができる。
【0069】
以下の具体的な実施形態は単なる実例として解釈されるべきであり、そして本開示の残りの部分をいずれかの形式に制約することはない。
【実施例】
【0070】
【表1】

【0071】
(触媒特性)
(エネルギー分散分光法(EDS)および透過型電子顕微鏡(TEM))
これらの研究において、200kVの加速電圧で操作され、そしてSi(Li)元素検出器によるオックスフォード(Oxford)窓なしEDSシステムが配置された、フィリップス(Philips)CM−20高分解能透過型電子顕微鏡を使用して結晶子を分析した。EDS分析において、試料の電子透過性薄片を使用して、蛍光のような試料厚さ効果を最小化した。また、それらの原子質量の類似のため、CrおよびZnのX線吸収断面積は同一であると想定された((非特許文献1)の考察を参照のこと)。EDS中の銅の存在は、顕微鏡中のTEM格子および背景による。
【0072】
(X線粉末回折(XRD))
CuK(α)放射(λ=1.5406Å)を使用して、フィリップス(Philips)エクスペート(XPERT)自動粉末回折計、モデル3040で、X線回折測定値を収集した。これらの測定は、0.03°のステップおよび2秒のカウントタイムで、2〜90°の2−シータの間で走査を伴った。GSASソフトウェアおよびリートフェルト(Rietveld)法を使用して、体積寸法および重量パーセントを決定した。マテリアルス データ ジェード(Materials Data Jade)ソフトウェアを使用して、体積平均結晶子径を推定した。
【0073】
(触媒調製)
(調製例1)
(95%クロム/5%亜鉛触媒の調製(450℃))
1000mLの脱イオン水中で、380.14gのCr(NO[9(HO)](0.950モル)および14.87gのZn(NO[6(HO)](0.050モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中450℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は76.72gであった。
【0074】
(調製例2)
(90%クロム/10%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、360.13gのCr(NO[9(HO)](0.900モル)および29.75gのZn(NO[6(HO)](0.100モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1.4時間かけて処理すると、pHが1.9からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は75.42gであった。
【0075】
試料のX線粉末分析によって、3相:ケイ素内部標準、Cr(エスコライト(eskolaite))およびZnCr(亜クロム酸亜鉛)の存在が示された。ZnCrの重量%は23.9%であると決定された。亜鉛の不在下で沈殿された、900℃でか焼されたCr試料(0.2895nm)と比較して、Cr/Zn試料の格子体積(0.2896nm)の著しい変化はなかった。これによって、亜鉛がCr格子中に置換されなかったことを示す。CrおよびZnCr相の概算コヒーレントドメインサイズは、それぞれ、814オングストロームおよび712オングストロームであった。
【0076】
TEMおよびEDSによる試料の分析によって、2のCr/Zn比を有する亜鉛を含有するクロム酸化物相および亜鉛を含有しないクロム酸化物相の存在が示された。
【0077】
(調製例3)
(95%クロム/5%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、380.14gのCr(NO[9(HO)](0.950モル)および14.87gのZn(NO[6(HO)](0.050モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は70.06gであった。
【0078】
試料のX線粉末分析によって、3相:ケイ素内部標準、Cr(エスコライト(eskolaite))およびZnCr(亜クロム酸亜鉛)の存在が示された。ZnCrの重量%は12.1%であると決定された。亜鉛の不在下で沈殿された、900℃でか焼されたCr試料(0.2895nm)と比較して、Cr/Zn試料の格子体積(0.2894nm)の著しい変化はなかった。これによって、亜鉛がCr格子中に置換されなかったことを示す。CrおよびZnCr相の概算コヒーレントドメインサイズは、それぞれ、962オングストロームおよび913オングストロームであった。
【0079】
TEMおよびEDSによる試料の分析によって、2のCr/Zn比を有する亜鉛を含有するクロム酸化物相および亜鉛を含有しないクロム酸化物相の存在が示された。
【0080】
(調製例4)
(80%クロム/20%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、320.12gのCr(NO[9(HO)](0.800モル)および59.49gのZn(NO[6(HO)](0.200モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で22時間か焼すると、得られた固体の重量は75.80gであった。
【0081】
試料のX線粉末分析によって、3相:ケイ素内部標準、Cr(エスコライト(eskolaite))およびZnCr(亜クロム酸亜鉛)の存在が示された。ZnCrの重量%は60.9%であると決定された。亜鉛の不在下で沈殿された、900℃でか焼されたCr試料(0.2895nm)と比較して、Cr/Zn試料の格子体積(0.2896nm)の著しい変化はなかった。これによって、亜鉛がCr格子中に置換されなかったことを示す。CrおよびZnCr相の概算コヒーレントドメインサイズは、それぞれ、779オングストロームおよび679オングストロームであった。
【0082】
TEMおよびEDSによる試料の分析によって、2のCr/Zn比を有する亜鉛を含有するクロム酸化物相および亜鉛を含有しないクロム酸化物相の存在が示された。
【0083】
(調製例5)
(98.1%クロム/1.9%亜鉛触媒の調製(550℃))
ホットプレート上で静止している1Lビーカー中、500mLの脱イオン水中で、516.46gのCr(NO[9(HO)](1.29モル)および7.31gのZn(NO[6(HO)](0.0246モル)の溶液を調製した。次いで、この混合物をパイレックス(Pyrex)(商標)容器に移し、そして容器を炉の中に配置した。10℃/分で容器を室温から125℃まで加熱し、次いで6時間125℃で保持した。1℃/分で容器を125℃から350℃まで加熱し、次いで6時間350℃で保持した。1℃/分で容器を350℃から550℃まで加熱し、次いで24時間550℃で保持した。
【0084】
(実施例1)
(CFCHCF脱フッ化水素化)
調製例5で調製された触媒の試料をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));29.86g(20mL)そして、ふるいにかけ、そして流動砂浴中で加熱された直径5/8インチ(1.58cm)インコネル(Inconel)(商標)ニッケル合金反応管中に配置した。使用前に約250℃で触媒に窒素パージした。加えて、以前にクロロフッ素化反応で使用された触媒を、最初は、175℃で比率1:1のHFおよび窒素(50cc/分(8.3(10)−7/秒))を使用してフッ素化した。次いで、数時間かけて反応温度を175℃から400℃まで徐々に増加させながら、比率4:1のHFおよび窒素(窒素流速:20cc/分(3.3(10)−7/秒);HF流速:80cc/分(1.3(10)−6/秒)で触媒を処理した。1気圧の公称圧力で15秒の触媒接触時間で、1:4のモル比でHFC−236faおよび窒素を反応器に供給した。300℃および400℃での反応器流出物のGC−MS分析を以下に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
微量生成物には、CHCF、C、CHF、CFCHClCFおよびCHClFが含まれた。
【0087】
(実施例2)
(CFCHClCF/CFCHCF混合物の脱フッ化水素化)
調製例2で調製された触媒の試料をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));26.64g(15mL)そして、ふるいにかけ、そして流動砂浴中で加熱された直径5/8インチ(1.58cm)インコネル(Inconel)(商標)ニッケル合金反応管中に配置した。使用前に約250℃で触媒に窒素パージした。加えて、以前にクロロフッ素化反応で使用された触媒を、最初に、実施例1と同様の手順に従ってフッ素化した。1気圧の公称圧力で30秒の触媒接触時間で、窒素、ならびにHCFC−226da(73.9%)、HFC−236fa(25.5%)、HFC−1225zc(0.2%)およびCFC−216aa(0.1%)を含む混合物を反応器中に同時供給した。窒素とフルオロプロパン混合物とのモル比は4:1であった。300℃および400℃での反応器流出物のGC−MS分析を以下に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
微量生成物には、CHCF、C、C、CFCF=CHF、CFCHClCF、CHClF、CClおよびCClが含まれた。
【0090】
(実施例3)
(CFCHClF/CClFCHF混合物の不均化)
実施例2で使用された触媒を含有する反応器に、窒素、ならびにHCFC−124a(97.1モル%)、HCFC−124(2.4モル%)およびCFC−114(0.4モル%)を含む混合物を同時供給した。窒素と124/124a混合物とのモル比は2:1であり、そして接触時間は30秒であった。300℃および400℃での反応器流出物のGC−MS分析を以下に示す。
【0091】
【表4】

【0092】
微量生成物には、CFCHCF、CFCHCl、CHF、CFCHClCF、CHCl、CCl、CClFおよびCClが含まれた。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】公称で20原子%の亜鉛を含有する亜鉛/クロム酸化物組成物中に存在する亜クロム酸亜鉛相のエネルギー分散分光スペクトル。
【図2】公称で20原子%の亜鉛を含有する同一亜鉛/クロム酸化物組成物中に存在するα−Cr相のエネルギー分散分光スペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZnCrと、
結晶性α−酸化クロムと
を含むクロム含有触媒組成物であって、
前記ZnCrが、前記組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、前記組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および前記組成物中でクロム酸化物として存在するクロムのうち少なくとも約90原子パーセントが、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在することを特徴とするクロム含有触媒組成物。
【請求項2】
前記ZnCrが、前記組成物中の約20原子パーセントと約50原子パーセントとの間のクロムを含有することを特徴とする請求項1に記載のクロム含有触媒組成物。
【請求項3】
前記ZnCrが、前記組成物中の少なくとも約90原子パーセントの亜鉛を含有することを特徴とする請求項1に記載のクロム含有触媒組成物。
【請求項4】
亜クロム酸亜鉛としては存在しないクロムの95%超が、結晶性α−酸化クロムとして存在することを特徴とする請求項1に記載のクロム含有触媒組成物。
【請求項5】
ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムより本質的になることを特徴とする請求項1に記載のクロム含有触媒組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物をフッ素化剤で処理することによって調製されることを特徴とするクロム含有触媒組成物。
【請求項7】
前記フッ素化剤が無水フッ化水素であることを特徴とする請求項6に記載のクロム含有触媒組成物。
【請求項8】
(i)請求項1に記載のクロム含有触媒組成物、および(ii)請求項1に記載の組成物をフッ素化剤で処理することによって調製されるクロム含有触媒組成物よりなる群から選択される少なくとも1つの組成物を触媒として使用することを特徴とする、触媒の存在下で、ハロゲン化炭化水素中のフッ素分布を変化させる方法、または飽和もしくは不飽和炭化水素中にフッ素を組み入れる方法。
【請求項9】
前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物または不飽和炭化水素化合物をフッ化水素と反応させることによって、前記化合物のフッ素含量を増加させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物または炭化水素化合物をHFおよびClと反応させることによって、前記化合物のフッ素含量を増加させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒組成物の存在下で、ハロゲン化炭化水素化合物を異性化することによって、ハロゲン化炭化水素化合物中のフッ素分布を変化させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物を不均化することによって、ハロゲン化炭化水素化合物中のフッ素分布を変化させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒組成物の存在下で、ハロゲン化炭化水素化合物を脱フッ化水素化することによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素含量を減少させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒組成物の存在下、気相中で、ハロゲン化炭化水素化合物を塩化水素と反応させることによって、ハロゲン化炭化水素化合物のフッ素含量を減少させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
(a)溶液中のクロム1モルあたり少なくとも3モルの硝酸イオンを含有し、そして溶液中の亜鉛およびクロムの全濃度の約5モル%〜約25モル%の亜鉛濃度を有する、溶解性亜鉛塩および溶解性三価クロム塩の水溶液に水酸化アンモニウムを添加することによって固体を共沈させる工程であって、前記溶液中のクロム1モルあたり少なくとも3モルのアンモニウムが前記溶液に添加される工程と、
(b)工程(a)で形成された共沈固体を回収する工程と、
(c)前記回収された固体を乾燥する工程と、
(d)前記乾燥された固体をか焼する工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載のクロム含有触媒組成物の調製法。
【請求項16】
ZnCrが工程(d)の間に形成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−508140(P2007−508140A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535418(P2006−535418)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/034446
【国際公開番号】WO2005/037431
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】